百物語 第二回
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277 :天使 ◆..BErsdo/E :2006/08/12(土) 04:59:44 ID:HeTfPSLO0
「キューピットさん」 1/3
皆さんはコックリやんやキューピットさんをした経験はありますか?
今日は私の経験した、そんな話に纏わる体験を話したいと思います。
中学一年の時のことでした。
当時はコックリさんによく似たキューピットさんが私達女子の中でとても流行っていました。
キューピットさんというのはコックリさん同様、鳥居のマークやはい、いいえ、50音を書いた紙を用意し、
鉛筆や10円玉を数人で支えて呪文を唱えて霊を呼び出すものです。
呼び出したキューピットさんは私達の質問に対して鉛筆や10円玉で答えを導いてくれるものでした。
その時私は中学生になって初めての夏休みでした。
近所に住む女の子が家に遊びに来て、私達はキューピットさんをやろうということになりました。
キューピットさんを呼び出すことに成功し、私達はそれぞれ知りたいことをキューピットさんに問いかけ答えてもらいました。
散々キューピットさんに色々な質問した後、私はふとある事を思いつきました。
その時私にはクラスメイトに片思いの男の子がいたのですが、小学校が違ったために家を知らなかったのです。
その時一緒に遊んでいた子も家は知らないと言います。
もしキューピットさんがなんでも答えてくれるなら、きっと彼の家を教えてくれるにちがいない・・・。
そして私はキューピットさんに問いかけました。
「キューピットさん、キューピットさん、私は○○君が好きです。でも○○君の家を知りません。
今から紙を10円玉を持って家を出ます。キューピットさん、彼の家まで案内してください」
するとどうでしょう。私達の支える10円玉はゆっくりと『はい』を囲むように円を描きました。
278 :天使 ◆..BErsdo/E :2006/08/12(土) 05:01:10 ID:HeTfPSLO0
「キューピットさん」 2/3
「これってキューピットさんが家まで案内してくれるってことだよね?」
「うん、そうだよ」
興奮した私はキューピットさんに更なるお願いをしました。
「キューピットさん、キューピットさん、今私達は夏休みなんです。○○君にもなかなか会えません。
家を案内してくれると同時に私を○○君に会えるようにしてください」
するとどうでしょう。またキューピットさんは『はい』と答えたのでした。
このキューピットさんの答えに私達は、紙と10円玉を持って家を出ることにしました。
まずは中学校まで行こう。私達と彼は学区の違う学校だったから、ここから始めるのが一番いいと思ったからです。
そして中学校を拠点とし、道が交差するたびに「ここは右に曲がりますか?」「まっすぐですか?」
という問いかけをキューピットさんに繰り返し、
『はい』と答えられた方向に従いどんどんと道を進んで行きました。
ある時T字路に差し掛かり、私達は今までと同じようにキューピットさんに問いました。
「キューピットさん、ここはまっすぐですか?」 『いいえ』
「では左ですか?」 『はい』
左は道が突き当たりになっており、周囲を住宅が囲んでいます。
キューピットさんの言う事が本当であれば、この一角のどこかに○○君の家がある・・・。
そう思った私達は一軒一軒表札を確認していきました。
するとどうでしょう、○○君と同じ苗字の家が一軒、突き当たりの角に建っていたのです。
279 :天使 ◆..BErsdo/E :2006/08/12(土) 05:03:08 ID:HeTfPSLO0
「キューピットさん」 3/3
「ねえ、○○君の家ってここなのかな?」
「・・・わかんない、でも、そうなんじゃないかな」
半信半疑な私達は確信を持てないまま、とりあえず来た道へ戻ろうとしました。
そしてその瞬間――――――――
「キューピットさん、キューピットさん、今私達は夏休みなんです。○○君にもなかなか会えません。
家を案内してくれると同時に私を○○君に会えるようにしてください」
会えるようにしてください 会えるようにしてください 会えるようにしてください――――。
まるで夢を見ているようでした。時が止まったようでした。
目の前に、部活帰りであろう○○君がまさにこちらに向かって歩いて来たのです。
私は恥ずかしくて慌てふためいて走って逃げてしまったのですが、
友達の話では彼は私達の見た家の中へ入っていったということでした。
キューピットさんは○○君の家を知らない私達を彼の家へ導き、
そして形はどうあれ、私のささやかな願いであった○○君本人にも会わせてくれました。
恐怖感はまったくなかったけれど、キューピットさんに纏わる私の人生でたった一度だけ遭遇した、
今でも摩訶不思議な体験でした。
あなたももし迷うことがあったらキューピットさんに相談してみてはいかがでしょうか・・・?
【完】
「キューピットさん」 1/3
皆さんはコックリやんやキューピットさんをした経験はありますか?
今日は私の経験した、そんな話に纏わる体験を話したいと思います。
中学一年の時のことでした。
当時はコックリさんによく似たキューピットさんが私達女子の中でとても流行っていました。
キューピットさんというのはコックリさん同様、鳥居のマークやはい、いいえ、50音を書いた紙を用意し、
鉛筆や10円玉を数人で支えて呪文を唱えて霊を呼び出すものです。
呼び出したキューピットさんは私達の質問に対して鉛筆や10円玉で答えを導いてくれるものでした。
その時私は中学生になって初めての夏休みでした。
近所に住む女の子が家に遊びに来て、私達はキューピットさんをやろうということになりました。
キューピットさんを呼び出すことに成功し、私達はそれぞれ知りたいことをキューピットさんに問いかけ答えてもらいました。
散々キューピットさんに色々な質問した後、私はふとある事を思いつきました。
その時私にはクラスメイトに片思いの男の子がいたのですが、小学校が違ったために家を知らなかったのです。
その時一緒に遊んでいた子も家は知らないと言います。
もしキューピットさんがなんでも答えてくれるなら、きっと彼の家を教えてくれるにちがいない・・・。
そして私はキューピットさんに問いかけました。
「キューピットさん、キューピットさん、私は○○君が好きです。でも○○君の家を知りません。
今から紙を10円玉を持って家を出ます。キューピットさん、彼の家まで案内してください」
するとどうでしょう。私達の支える10円玉はゆっくりと『はい』を囲むように円を描きました。
278 :天使 ◆..BErsdo/E :2006/08/12(土) 05:01:10 ID:HeTfPSLO0
「キューピットさん」 2/3
「これってキューピットさんが家まで案内してくれるってことだよね?」
「うん、そうだよ」
興奮した私はキューピットさんに更なるお願いをしました。
「キューピットさん、キューピットさん、今私達は夏休みなんです。○○君にもなかなか会えません。
家を案内してくれると同時に私を○○君に会えるようにしてください」
するとどうでしょう。またキューピットさんは『はい』と答えたのでした。
このキューピットさんの答えに私達は、紙と10円玉を持って家を出ることにしました。
まずは中学校まで行こう。私達と彼は学区の違う学校だったから、ここから始めるのが一番いいと思ったからです。
そして中学校を拠点とし、道が交差するたびに「ここは右に曲がりますか?」「まっすぐですか?」
という問いかけをキューピットさんに繰り返し、
『はい』と答えられた方向に従いどんどんと道を進んで行きました。
ある時T字路に差し掛かり、私達は今までと同じようにキューピットさんに問いました。
「キューピットさん、ここはまっすぐですか?」 『いいえ』
「では左ですか?」 『はい』
左は道が突き当たりになっており、周囲を住宅が囲んでいます。
キューピットさんの言う事が本当であれば、この一角のどこかに○○君の家がある・・・。
そう思った私達は一軒一軒表札を確認していきました。
するとどうでしょう、○○君と同じ苗字の家が一軒、突き当たりの角に建っていたのです。
279 :天使 ◆..BErsdo/E :2006/08/12(土) 05:03:08 ID:HeTfPSLO0
「キューピットさん」 3/3
「ねえ、○○君の家ってここなのかな?」
「・・・わかんない、でも、そうなんじゃないかな」
半信半疑な私達は確信を持てないまま、とりあえず来た道へ戻ろうとしました。
そしてその瞬間――――――――
「キューピットさん、キューピットさん、今私達は夏休みなんです。○○君にもなかなか会えません。
家を案内してくれると同時に私を○○君に会えるようにしてください」
会えるようにしてください 会えるようにしてください 会えるようにしてください――――。
まるで夢を見ているようでした。時が止まったようでした。
目の前に、部活帰りであろう○○君がまさにこちらに向かって歩いて来たのです。
私は恥ずかしくて慌てふためいて走って逃げてしまったのですが、
友達の話では彼は私達の見た家の中へ入っていったということでした。
キューピットさんは○○君の家を知らない私達を彼の家へ導き、
そして形はどうあれ、私のささやかな願いであった○○君本人にも会わせてくれました。
恐怖感はまったくなかったけれど、キューピットさんに纏わる私の人生でたった一度だけ遭遇した、
今でも摩訶不思議な体験でした。
あなたももし迷うことがあったらキューピットさんに相談してみてはいかがでしょうか・・・?
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