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歪世界トレイン
[8] -25 -50 

1: ◆e.A1wZTEY.:2017/4/30(日) 20:25:16 ID:4iSJ1d7xp2

乗客Yx1

戸野 千織(トノ チオリ)

目が覚めたらそこは、走る列車の中だった



526: ◆e.A1wZTEY.:2019/11/25(月) 20:36:20 ID:uXZCkO.GE2

準隊長(それともまだ隠し部屋があるのかしら・・・)

周りを見渡しながら、ふと、窓の外に目をむけた

緑のない殺風景が視界に入る

準隊長「――・・・」

準隊長「この列車・・・」

ひとつの違和感に気づく

準隊長「・・・何を、動力にしてるの?」

527: ◆e.A1wZTEY.:2019/11/25(月) 20:37:46 ID:uXZCkO.GE2

部下2「え?」

準隊長「てっきり電力だと思い込んでいたけど。でも、線路脇に集電装置がないし、上空に架線もない。普通の電車じゃありえないわ」

準隊長「蒸気で走ってるようにも見えないし・・・歪世界特有の動力でもあるのかしら?」

部下2「さ、さぁ・・・わかりません。車掌に聞いてきましょうか?」

準隊長「いいわ。上に調査をお願いすればわかるかも」

そう言ってポケットから通信機器を取り出した

ピッピッとボタンを押す

528: ◆e.A1wZTEY.:2019/11/25(月) 20:39:39 ID:uXZCkO.GE2

準隊長「・・・――あ〜もしもし?隊長ですかあ?」

準隊長「ちょっと早急に調べてほしいことがあるんですけどぉ」

準隊長「え〜?ちゃんとやってますよ!任務に関することですから」

準隊長「歪世界の列車のことなんですけどね・・・動力は何なのかご存知です?」

準隊長「それがどうにも、電力じゃなさそうなんですよねえ。私も詳しくはないんですけど」

準隊長「5年くらいに前に、確か一度歪世界の実態調査しましたよね?それがちゃんとしてるなら、列車の仕組みについても多少記載されてると思うんですよね」

529: ◆e.A1wZTEY.:2019/11/25(月) 20:43:18 ID:uXZCkO.GE2

準隊長「車掌?車掌はちょっと・・・ええ、ええ、別に手荒なことはしてないですよ」

準隊長「でも、もし嘘とかつかれたら面倒ですから。ちょっと調べてもらってもいいです?」

準隊長「・・・はい。はーい。ありがとうございますぅ」

ピッ

通話を切り、機器をしまう

準隊長「これでオッケー」

部下2「しかし・・・仮に電力じゃなくても、人間が見つからないことと関係があるんですかね?」

準隊長「さぁ。でも、もしも”人間の命”とかを燃料にして走ってたら・・・怖いと思わない?」 ニッコリ

530: 名無しさん@読者の声:2019/11/26(火) 23:43:55 ID:Ulgjh/Ikt2
支援

ダークな展開、めっちゃ好きです
531: ◆e.A1wZTEY.:2019/11/28(木) 00:14:09 ID:uXZCkO.GE2
>>530
支援ありがとうございます!!
そう言っていただけて嬉しいです〜
532: ◆e.A1wZTEY.:2019/11/28(木) 00:19:26 ID:uXZCkO.GE2
あ、あの、あの、たった今気づいたのですが、
このSSまとめ掲載して頂いていたのですか!?
しかも、今年の2月に載せていただいたようで…まっったく気づいておりませんでした!!
9ヶ月も前に…うおおもっと頑張って更新していれば良かったああ申し訳ないです;
とても光栄です、本当にありがとうございます!今後とも書き続けていきますのでよろしくお願いいたします
533: ◆e.A1wZTEY.:2019/12/11(水) 23:33:55 ID:rVcw3SKl36

ブリアン「にゃあ〜」

ガイガイと運転室のドアをひっかく

車掌「――あの猫はこの列車のマスコットなのです」

部下1「マスコット?」

車掌「どこの世界でも、かわいいマスコットは人気なのですよ。とても集客効果があります」

部下1「ま、まあ確かに・・・綺麗な黒の毛並みでかわいいな」

車掌「そろそろご飯の時間なので、私にまだかと言ってきてるんです」

部下1「ほう」

車掌「良かったらご飯あげてみますか?」

534: ◆e.A1wZTEY.:2019/12/11(水) 23:35:39 ID:rVcw3SKl36

部下1「! い、いいのか?」

車掌「はい。猫をこの部屋に入れてくれませんか?」

部下1「ふむ・・・まぁ、猫くらいならいいだろう」

車掌を繋ぐ鎖を持ちながら、ドアをわずかに開け、隙間をつくった

ブリアン「にゃん」

スッとブリアンが運転室に入り込んだ

部下1「来た来た」

車掌「・・・」

部下が目を離した隙に、精力で猫の餌を錬成する

535: ◆e.A1wZTEY.:2019/12/11(水) 23:38:19 ID:rVcw3SKl36

車掌「これをどうぞ」 ニッコリ

部下1「お、キャットフードか。準備がいいな」

バッ

手渡す前に、ブリアンが餌をもつ車掌の腕にとびついた

部下1「おわっ、元気がいいな!?」

肩までのぼってきたブリアンに耳打ちする

車掌『異界警察とかいう輩だ。千織を探してる』

ブリアン『・・・』

車掌『千織は列車の上に隔離した。面倒を頼む』

最低限の言葉を伝えると、ブリアンは肩から飛び降り、今度は部下の足元にすり寄った

536: ◆e.A1wZTEY.:2019/12/11(水) 23:41:43 ID:rVcw3SKl36

ブリアン「にゃあ〜」

部下1「よしよし、餌がほしいんだろう」

車掌から餌を受け取り、差し出す

ブリアン「にゃあ〜〜」 モグモグ

部下1「食ってる食ってる」

ブリアン「にゃ」 ダッ

部下1「あ!」

ブリアンは少し食べると、運転室を飛び出していった

部下1「もう満足したのか・・・」 ショボン

車掌「猫って飽き性なんですよね。すみません」

537: 名無しさん@読者の声:2019/12/26(木) 23:17:56 ID:/NPzTh4qO.
めりーくりすます!!
538: ◆e.A1wZTEY.:2019/12/28(土) 03:01:10 ID:rVcw3SKl36
>>537
メリークリスマス!!
良いお年をお迎えください(*^-^*)
539: ◆e.A1wZTEY.:2019/12/29(日) 23:05:06 ID:rVcw3SKl36

準隊長「――せいりょく?」

通信機器を耳にあて、目を見開く

隊長『あぁ。俺も知らなかったが・・・』

準隊長「性力って。そんないやらしい力・・・」

隊長『米偏に青の力な。心身のエネルギーみたいなものか』

準隊長「それ、歪世界の住人に無くて人間に有るものですよね」

隊長『あぁ。調査報告では、車掌が人間の精力を奪ったという前科はないようだが・・・人間を欲するには十分な理由だ。よく気づいたな』

準隊長「女の勘ってやつですわね。オホホ」

540: ◆e.A1wZTEY.:2019/12/29(日) 23:07:06 ID:rVcw3SKl36

準隊長「ところで、そもそも何で動力が精力?」

隊長『そこまでは調べられていないな・・・車掌はどうやって操作しているのか』

準隊長「怪しい。怪しすぎますね。人間の気配はありませんでしたけど、きっと何かある」

隊長『よし。調べられるだけ調べてこい』

準隊長「あら・・・そんなこと言っていいんです?」

隊長『ん?』

準隊長「最初は“列車に人間の痕跡がないか”ということを前提で調査してましたけど、そういうことなら、車掌を縛り上げます」

準隊長「黒である可能性が高いと判断できれば、手荒な手段も投じます」

隊長『・・・かまわん。人間を安全に保護することが我々の最優先事項だ』


541: ◆e.A1wZTEY.:2019/12/29(日) 23:08:40 ID:rVcw3SKl36

千織「――へっくしゅん!」

列車の屋根に座り込み、くしゃみをする

精力の手が風よけをしてくれてはいるが、やはり寒い

千織「車掌さーん、いつまでここにいればいいんですかー・・・?」

精力の手に話しかけてみるが、反応はない

千織(なんでこんな所に置かれてるんだろう)

千織(もしかして、列車の中でなにかあった・・・?)

千織(私に危害が及ばないように、守ってくれてる、とかなのかな・・・)

542: ◆e.A1wZTEY.:2019/12/29(日) 23:11:54 ID:rVcw3SKl36

「――千織」

千織「!」

背後から呼ばれ、振り返った

千織「ブリアンさん・・・!!」

ブリアンが屋根の上に立ち、こちらに歩み寄ってきていた

千織「良かった、ブリアンさん!私、精力の手?にここに連れてこられたみたいなんですけど、どうしたらいいのかわからなくて・・・」


543: ◆e.A1wZTEY.:2019/12/29(日) 23:14:26 ID:rVcw3SKl36

ブリアン「・・・」

ブリアン「まさか屋根に隠すなんてね。ここしかないとはいえ、咄嗟によくやったもんだ」

千織「列車で何かあったんですか?車掌さんは・・・」

ブリアン「異界警察が来たんだよ。千織を探してる」

千織「異界警察・・・?」

ブリアン「思ったより早かった。さすがって感じだね」

千織「どういうことですか?警察が来て、私を探してるんですか?」

ブリアン「そう。彼らは異世界間の秩序を守る組織。歪世界に迷い込んだ人間を助けに来たんだよ」

千織「・・・!」

544: ◆e.A1wZTEY.:2020/1/22(水) 00:54:05 ID:BVk53N/NaE

千織「そ、そんな人たちがいたなんて」

ブリアン「この列車は車掌の精力で覆われてるから、そう簡単に見つからないと思ったんだけどねえ」

千織「け、警察ってことは、悪い人ではないんですよね?念のため、車掌さんは私を隠してくれてるってことですか」

ブリアン「そうだね。異界警察なんて、歪世界の住人は知らないから。いきなり現れた得体のしれない奴らにはいどうぞと渡せないでしょ」

千織「・・・?」

千織「ブリアンさんは、どうして異界警察のことを知って・・・」

ブリアン「・・・さあね」

千織「さあって・・・」

545: ◆e.A1wZTEY.:2020/1/22(水) 00:59:21 ID:BVk53N/NaE

ブリアン「おっと、そんな説明してる場合じゃなかった。いつまでもこんなとこにいたら風邪ひくし、別のところに隠れよう」

千織「え、あ、そうですね・・・精力の手が風よけしてくれてるんですけど、やっぱり寒いです」

ブリアン「っていっても、ここ以上に見つからない場所なんてないんだけど」

千織「え」

ブリアン「でも、ここもいずれ見つかる」

千織「ど、どうすればいいんですか?」

ブリアン「・・・列車を降りよう」

千織「え・・・?」

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