乗客Yx1
戸野 千織(トノ チオリ)
目が覚めたらそこは、走る列車の中だった
515: ◆e.A1wZTEY.:2019/9/15(日) 15:01:35 ID:wjAhgKvSuo
千織「――!?!?」
ぎょっとする
天井から巨大な精力の手が出現していた
千織「しゃ、しゃ、しゃ、車掌さん・・・!?」
これは車掌が出現させているものだということは経験から学んだ
だが、いったい何のためにこれが今出ているのか
千織「・・・」
516: ◆e.A1wZTEY.:2019/9/15(日) 15:03:29 ID:wjAhgKvSuo
焦って周囲を見渡すが、車掌の姿もブリアンの姿もない
千織「ど、どうしよ・・・」
あたふたしていると、精力の手はぬっと大きく掌を広げた
千織「ひっ・・・」
そのまま優しく千織を包み込み、ゆっくりと持ち上げる
千織「・・・」
反射的に目をつぶるが、危険は感じない
手は千織を包み込んだまま、天井に向かって吸い込まれた
517: ◆e.A1wZTEY.:2019/9/15(日) 15:06:34 ID:wjAhgKvSuo
千織「―――う。まぶし・・・」
陽の光が顔に当たる
千織「え・・・」
千織「えええええ!?!?」
千織は走る列車の外――寝台車両の真上に座り込んでいた
風が勢いよく身体をつきぬける
千織「な、なんでこんなところに」
千織が落ちないように、精力の手が柵のように周囲をかこんでいる
千織「車掌さん、説明してくださーい・・・」
小さなか細い声が、風の音にかき消された
518: ◆e.A1wZTEY.:2019/11/2(土) 18:58:13 ID:uXZCkO.GE2
部下2「――3両目。人間の痕跡はありません」
部下3「4両目もありません。人外の客が乗っているのみで、探査機も反応しません」
ザワザワ
乗客1「な、なんだこいつら?」
乗客2「警察みたいな格好してるな・・・お、おとなしくしとこうぜ」
5〜6人の異界警察がぞろぞろと探索をはじめ、列車は異様な空気に包まれた
ブリアン「・・・」
その様子を、網棚の上からブリアンが眺める
519: ◆e.A1wZTEY.:2019/11/2(土) 18:59:53 ID:uXZCkO.GE2
ブリアン「・・・あらら。適当に仕事してたら変な奴ら通しちゃったみたいね」
ブリアン「また車掌に怒られちゃうな〜やだな〜」
ブリアン「・・・」
ブリアン(・・・普通に考えて、こいつらはきっと千織を探してる)
ブリアン(服装を見る限り・・・警察っぽいな。異質な奴らに列車に上がられて、車掌が黙ってるわけないと思うけど)
ブリアン(・・・あいつ今何してるんだ)
周囲を見渡しながら、怪しまれないように運転室へと向かった
520: ◆e.A1wZTEY.:2019/11/2(土) 19:02:20 ID:uXZCkO.GE2
車掌「・・・」
ガチャッ
手を動かすと、鎖がぶつかり音を立てた
車掌「・・・」
目を細め、顔をしかめる
腕が鎖で柱と繋がれたために、運転動作以外身動きが取れない
加えて、背後には準隊長の部下が待機しており監視されている
車掌(千織は避難させたから、おそらく見つからない・・・。寝台車両や貨物車両も私の精力で覆われている。人間の気配も感じ取れないはず)
521: ◆e.A1wZTEY.:2019/11/2(土) 19:04:24 ID:uXZCkO.GE2
だが、何だか嫌な予感がする
一刻もはやく千織の元へ向かいたい
「にゃ〜」
車掌「!」
部下1「「なんだ?」
運転室の外にブリアンの姿が見えた
ガイガイとドアを引っ掻いている
部下1「なんだなんだ。猫の客か?それともこの列車で飼っているのか」
車掌「・・・」
522: ◆e.A1wZTEY.:2019/11/2(土) 19:07:57 ID:uXZCkO.GE2
部下2「6両目まで調査が終了しましたが、異常はありません」
準隊長「ふーん。じゃあ、鍵がかかってるとかいう7両目と8両目を拝見しましょうか」
準隊長「鍵開けが得意なひとー。お願いね」
部下3「はっ」
ガチャガチャ
ガチャガチャ
ロックのかかったドアの鍵穴に針金のようなものを差し込み、作業する
準隊長「どお?開きそう?」
部下3「複雑なものではなさそうです。すぐ開けられます」
ガチャッ
部下3「開きました!」
準隊長「グッジョブ〜!さぁみんな行くわよ」
523: 名無しさん@読者の声:2019/11/11(月) 18:17:00 ID:EBmepaSjlI
しえん
524: ◆e.A1wZTEY.:2019/11/20(水) 01:23:45 ID:uXZCkO.GE2
>>523
支援ありがとうございます・・・!!
今週中には更新したいと考えてます
525: ◆e.A1wZTEY.:2019/11/25(月) 20:35:12 ID:uXZCkO.GE2
-----------
部下2「――7両目および8両目、不審な点はありません」
準隊長「・・・」
部下2「いかがいたしますか?」
準隊長「・・・」
準隊長「・・・不思議ねえ。私の勘が、ここに何かあるって言ってるのに」
準隊長(この列車に乗ったことは間違いないはず・・・でも、ひとかけらの痕跡も見つからない)
準隊長(完璧すぎる・・・妙だわ)
526: ◆e.A1wZTEY.:2019/11/25(月) 20:36:20 ID:uXZCkO.GE2
準隊長(それともまだ隠し部屋があるのかしら・・・)
周りを見渡しながら、ふと、窓の外に目をむけた
緑のない殺風景が視界に入る
準隊長「――・・・」
準隊長「この列車・・・」
ひとつの違和感に気づく
準隊長「・・・何を、動力にしてるの?」
527: ◆e.A1wZTEY.:2019/11/25(月) 20:37:46 ID:uXZCkO.GE2
部下2「え?」
準隊長「てっきり電力だと思い込んでいたけど。でも、線路脇に集電装置がないし、上空に架線もない。普通の電車じゃありえないわ」
準隊長「蒸気で走ってるようにも見えないし・・・歪世界特有の動力でもあるのかしら?」
部下2「さ、さぁ・・・わかりません。車掌に聞いてきましょうか?」
準隊長「いいわ。上に調査をお願いすればわかるかも」
そう言ってポケットから通信機器を取り出した
ピッピッとボタンを押す
528: ◆e.A1wZTEY.:2019/11/25(月) 20:39:39 ID:uXZCkO.GE2
準隊長「・・・――あ〜もしもし?隊長ですかあ?」
準隊長「ちょっと早急に調べてほしいことがあるんですけどぉ」
準隊長「え〜?ちゃんとやってますよ!任務に関することですから」
準隊長「歪世界の列車のことなんですけどね・・・動力は何なのかご存知です?」
準隊長「それがどうにも、電力じゃなさそうなんですよねえ。私も詳しくはないんですけど」
準隊長「5年くらいに前に、確か一度歪世界の実態調査しましたよね?それがちゃんとしてるなら、列車の仕組みについても多少記載されてると思うんですよね」
529: ◆e.A1wZTEY.:2019/11/25(月) 20:43:18 ID:uXZCkO.GE2
準隊長「車掌?車掌はちょっと・・・ええ、ええ、別に手荒なことはしてないですよ」
準隊長「でも、もし嘘とかつかれたら面倒ですから。ちょっと調べてもらってもいいです?」
準隊長「・・・はい。はーい。ありがとうございますぅ」
ピッ
通話を切り、機器をしまう
準隊長「これでオッケー」
部下2「しかし・・・仮に電力じゃなくても、人間が見つからないことと関係があるんですかね?」
準隊長「さぁ。でも、もしも”人間の命”とかを燃料にして走ってたら・・・怖いと思わない?」 ニッコリ
530: 名無しさん@読者の声:2019/11/26(火) 23:43:55 ID:Ulgjh/Ikt2
支援
ダークな展開、めっちゃ好きです
531: ◆e.A1wZTEY.:2019/11/28(木) 00:14:09 ID:uXZCkO.GE2
>>530
支援ありがとうございます!!
そう言っていただけて嬉しいです〜
532: ◆e.A1wZTEY.:2019/11/28(木) 00:19:26 ID:uXZCkO.GE2
あ、あの、あの、たった今気づいたのですが、
このSSまとめ掲載して頂いていたのですか!?
しかも、今年の2月に載せていただいたようで…まっったく気づいておりませんでした!!
9ヶ月も前に…うおおもっと頑張って更新していれば良かったああ申し訳ないです;
とても光栄です、本当にありがとうございます!今後とも書き続けていきますのでよろしくお願いいたします
533: ◆e.A1wZTEY.:2019/12/11(水) 23:33:55 ID:rVcw3SKl36
ブリアン「にゃあ〜」
ガイガイと運転室のドアをひっかく
車掌「――あの猫はこの列車のマスコットなのです」
部下1「マスコット?」
車掌「どこの世界でも、かわいいマスコットは人気なのですよ。とても集客効果があります」
部下1「ま、まあ確かに・・・綺麗な黒の毛並みでかわいいな」
車掌「そろそろご飯の時間なので、私にまだかと言ってきてるんです」
部下1「ほう」
車掌「良かったらご飯あげてみますか?」
534: ◆e.A1wZTEY.:2019/12/11(水) 23:35:39 ID:rVcw3SKl36
部下1「! い、いいのか?」
車掌「はい。猫をこの部屋に入れてくれませんか?」
部下1「ふむ・・・まぁ、猫くらいならいいだろう」
車掌を繋ぐ鎖を持ちながら、ドアをわずかに開け、隙間をつくった
ブリアン「にゃん」
スッとブリアンが運転室に入り込んだ
部下1「来た来た」
車掌「・・・」
部下が目を離した隙に、精力で猫の餌を錬成する
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