乗客Yx1
戸野 千織(トノ チオリ)
目が覚めたらそこは、走る列車の中だった
499: ◆e.A1wZTEY.:2019/5/11(土) 21:48:58 ID:wBkhRdDbz.
準隊長「私たちは、“異界警察”というの。聞いたことない?」
車掌「・・・異界、警察・・・?」
準隊長「人間界や歪世界など、異世界どうしの間で生じた問題を取り扱う警察よ。存在は公にされてないから、知らないのが普通だけど」
車掌「・・・」
部下1「今回、君に聞き取りしたい件があったので、参上したのだ」
車掌「・・・」
思考が脳内にめぐる
500: ◆e.A1wZTEY.:2019/5/11(土) 21:52:06 ID:wBkhRdDbz.
車掌「・・・なるほど」
車掌「私にわかることでしたら、ご協力しましょう」
準隊長「あらぁほんと?助かるわ」
車掌「断る理由はありませんので」
車掌「しかし、今は業務中で手がはなせません。業務終了までお待ちいただきたく存じます」
部下1「話しながらできないのか?主な業務は運転だろう」
車掌「聞き取りがすぐに終わるのでしたら、対応しましょう」
準隊長「いいわ。そうしましょ」
501: ◆e.A1wZTEY.:2019/6/6(木) 23:43:49 ID:KD8ySevVr2
明日か明後日に更新します
502: ◆e.A1wZTEY.:2019/6/8(土) 23:36:45 ID:KD8ySevVr2
準隊長と部下数人を運転室に通し、会話をする
準隊長「――早速本題に入るけど。10日ほど前、この世界に人間が迷い込んだの」
車掌「・・・人間、ですか」
準隊長「ずっと探しているけど、見つかっていない。普段は、迷い込んだ人間は臭い探知ですぐ見つけられるのに」
準隊長「きっとこの世界の者が人間を捕らえているんだと思うわ。そいつを探しているのよ」
車掌「それで…私に聞きたいことは、人間もしくは人間を捕らえた犯人がこの列車に乗車していないか・・・ということでしょうか」
準隊長「理解が早いわね。そうよ、それが知りたいの」
503: ◆e.A1wZTEY.:2019/6/8(土) 23:39:09 ID:KD8ySevVr2
車掌「・・・」
複数の選択肢が頭に浮かぶ
どう答えることが正解なのか
この者たちが千織を無事に人間界に送り届けてくれるなら、正直に伝えるべきかもしれない
――が、まだ素性がわからない
安易な回答は避けたほうが良いと感じた
車掌「・・・さぁ。申し訳ありませんが、心当たりがございません」
部下1「本当か?」
車掌「はい」
準隊長「・・・ふーん」
504: ◆e.A1wZTEY.:2019/6/8(土) 23:41:07 ID:KD8ySevVr2
準隊長「あなた、人間の臭いをかぎ分けることはできるわよね?」
準隊長「この世界の者は全員、できると聞いたわ」
車掌「・・・そうですね。確かに近距離であればわかります」
準隊長「だから、仮に貨物に紛れ込んだりしていても、人間が列車内に存在していたらわかるってことよね」
車掌「・・・はい」
準隊長「それでも心当たりはなかったと」
車掌「はい。ありませんでした」
迷いの態度は疑いを生む
車掌は毅然とした口調で答えた
505: ◆e.A1wZTEY.:2019/6/8(土) 23:43:19 ID:KD8ySevVr2
部下1「嘘は言っていまいな?」
部下2「虚偽の証言は許さんぞ」
車掌「はい」
準隊長「・・・おかしいわねえ」
準隊長「こちらの調査では既に、犯人がササノコ駅、キサラギ駅、アカダコ駅を経由していることはわかってるんだけど」
車掌「・・・!」
準隊長「この世界において、短期間でこれらの駅を経由するためには、ほぼ確実にこの列車に乗る必要があると思うのよね」
506: ◆e.A1wZTEY.:2019/6/8(土) 23:50:24 ID:KD8ySevVr2
車掌「・・・何の証拠をもって、それらの駅の経由がわかるのですか?」
準隊長「普段の1000倍超高度な人間探査機を使ったの。そしたら、これらの駅に判定がでたわ。微かな臭いが残っていたのね」
車掌「・・・もしこの列車に人間が乗車したことがあるのならば、この車両にも判定は出るのでは?」
準隊長「それが出なかったらしいのよねえ。なぜかしら」
車掌「・・・乗車した事実はないということなのではないですか」
準隊長「乗車しないと町間の移動ができないわ」
準隊長「この謎を解くために、列車内を調べさせてもらいたいの」
車掌「・・・」
507: ◆e.A1wZTEY.:2019/6/8(土) 23:55:43 ID:KD8ySevVr2
列車内に人間の判定が出なかった理由は明白だ
千織を歪世界の者から守るために、列車を車掌の精力で覆い、存在を探知できないようにしていた
車掌(・・・異界警察などという組織が探知を試みていたとは知らなかったが)
また、彼らの話が本当ならば、おそらく沖恭太の安否もわかっているはず
車掌(・・・だが、今は不用意な質問はできない)
車掌「・・・わかりました」
車掌「そういうことであれば、列車内を調査することを許可しましょう」
部下「!」
準隊長「・・・へぇ。いいの?」
車掌「何か手がかりが得られれば、それは異界警察様のお役に立てたということですので」
508: ◆e.A1wZTEY.:2019/6/8(土) 23:58:59 ID:KD8ySevVr2
準隊長「・・・ふふ」
準隊長「では、お言葉に甘えてそうさせて頂こうかしら。全車両を調べさせてもらうわ」
車掌「ただ、お客様がお困りになるようなことはやめてください」
準隊長「もちろんよ。それは配慮するわ。でもね――」
ガッッ
車掌「!」
部下が素早く、車掌の両手を鎖で拘束した
準隊長「念のため、あなたには何も動かずにいてほしいの。念のためね」
車掌「困ります。これでは運転ができません」
準隊長「大丈夫、運転できるだけの自由はあげるわ」
やや緩められた鎖が、運転室のドア横にある柱に巻き付けられる
準隊長「部下をここに置いていくから、絶対ここから出ないでね」 ニッコリ
509: 名無しさん@読者の声:2019/8/14(水) 18:31:30 ID:ofTUkzJ/j2
いいぞぉ
510: ◆e.A1wZTEY.:2019/9/12(木) 08:58:58 ID:RSUiwP9n.s
>>509
お待たせしてすみません!
今週中に更新します
511: ◆e.A1wZTEY.:2019/9/15(日) 14:52:04 ID:wjAhgKvSuo
車掌「・・・私も立ち会わせてください」
車掌「警察とはいえ皆様は部外者です。私がいないところで好き勝手されては困ります」
準隊長「別に乱暴なことはしないわ。人間の痕跡を探すだけ」
準隊長「それとも、何か不都合なことでもあるのかしら?」
車掌「・・・」
準隊長「あ。そうそう、鍵のかかってる車両とかある?」
車掌「・・・」
準隊長「あるのね。どこ?一番後ろの貨物車両とかかしら」
512: ◆e.A1wZTEY.:2019/9/15(日) 14:53:35 ID:wjAhgKvSuo
車掌「・・・7両目の寝台車両と8両目の貨物車両です。これらの車両は現在お客様の立ち入りを禁止していますので」
準隊長「そう。じゃあ、それらの鍵を貸してちょうだい」
車掌「お渡しすることはできません。同行させて頂ければ通します」
準隊長「強情ねえ」
ため息をつく
準隊長「ならいいわ。少し手荒になるかもしれないけど鍵開けが得意な部下にやらせるから」
513: ◆e.A1wZTEY.:2019/9/15(日) 14:57:05 ID:wjAhgKvSuo
車掌「なぜ私は同行を許してもらえないのでしょうか?私は人間を攫った犯人として疑われているということでしょうか」
準隊長「・・・」
にっこりと微笑む
準隊長「やだぁ。そんなわけないじゃない?」
準隊長「あなたの評判、知ってるわよ。非常にまじめに列車業務に従事して、規律を決して破らない。時間厳守を徹底する。快適な列車の旅を提供するために努力を怠らない――」
車掌「・・・」
準隊長「こんな列車オタクが、人間になんて興味を示すはずないですものね」
準隊長「でも、言ったでしょう?“念のため”だって」
514: ◆e.A1wZTEY.:2019/9/15(日) 14:59:47 ID:wjAhgKvSuo
千織「・・・ふー。ちょっと休憩しよ!」 ボフッ
力仕事に疲れ、寝台車両のベッドに身体を投げる
千織「次の駅は貨物ないみたいだし、20分くらい時間あるよね・・・」
寝ないようにだけしないと、と考えながら目を閉じる
千織「・・・」
千織「・・・」
千織「・・・ん?」
不意に、頭上に気配を感じ、顔を上げた
515: ◆e.A1wZTEY.:2019/9/15(日) 15:01:35 ID:wjAhgKvSuo
千織「――!?!?」
ぎょっとする
天井から巨大な精力の手が出現していた
千織「しゃ、しゃ、しゃ、車掌さん・・・!?」
これは車掌が出現させているものだということは経験から学んだ
だが、いったい何のためにこれが今出ているのか
千織「・・・」
516: ◆e.A1wZTEY.:2019/9/15(日) 15:03:29 ID:wjAhgKvSuo
焦って周囲を見渡すが、車掌の姿もブリアンの姿もない
千織「ど、どうしよ・・・」
あたふたしていると、精力の手はぬっと大きく掌を広げた
千織「ひっ・・・」
そのまま優しく千織を包み込み、ゆっくりと持ち上げる
千織「・・・」
反射的に目をつぶるが、危険は感じない
手は千織を包み込んだまま、天井に向かって吸い込まれた
517: ◆e.A1wZTEY.:2019/9/15(日) 15:06:34 ID:wjAhgKvSuo
千織「―――う。まぶし・・・」
陽の光が顔に当たる
千織「え・・・」
千織「えええええ!?!?」
千織は走る列車の外――寝台車両の真上に座り込んでいた
風が勢いよく身体をつきぬける
千織「な、なんでこんなところに」
千織が落ちないように、精力の手が柵のように周囲をかこんでいる
千織「車掌さん、説明してくださーい・・・」
小さなか細い声が、風の音にかき消された
518: ◆e.A1wZTEY.:2019/11/2(土) 18:58:13 ID:uXZCkO.GE2
部下2「――3両目。人間の痕跡はありません」
部下3「4両目もありません。人外の客が乗っているのみで、探査機も反応しません」
ザワザワ
乗客1「な、なんだこいつら?」
乗客2「警察みたいな格好してるな・・・お、おとなしくしとこうぜ」
5〜6人の異界警察がぞろぞろと探索をはじめ、列車は異様な空気に包まれた
ブリアン「・・・」
その様子を、網棚の上からブリアンが眺める
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