2chまとめサイトモバイル

2chまとめサイトモバイル 掲示板
歪世界トレイン
[8] -25 -50 

1: ◆e.A1wZTEY.:2017/4/30(日) 20:25:16 ID:4iSJ1d7xp2

乗客Yx1

戸野 千織(トノ チオリ)

目が覚めたらそこは、走る列車の中だった



487: ◆e.A1wZTEY.:2019/4/2(火) 22:38:54 ID:1Hsj4T7jp6
>>486
ふおおお令和初支援キタ・・・!ありがとうございます!
令和でも拙作をよろしくお願いいたします
488: ◆e.A1wZTEY.:2019/4/2(火) 22:40:04 ID:1Hsj4T7jp6

「――千織。千織」

千織「ん・・・」

優しく名前を呼ばれ、目を覚ます

母「千織、そろそろ起きなさい?いくら日曜だからって、お昼まで寝てちゃだめよ」

千織「え・・・?」

母「今日は友達と図書館に行くんでしょう?早くご飯食べて準備しなきゃ」

千織「お・・・お母さん?」

母「やだ、どうしたのそんなびっくりして。お母さんの顔に何かついてる?」

千織「お、お母さん、私、」

489: ◆e.A1wZTEY.:2019/4/2(火) 22:40:54 ID:1Hsj4T7jp6

千織「私、今どこにいるの!?」

ガバッと起き上がり、母の肩をつかむ

千織「私人間界に帰ってきたの!?いったいどうやって――」

母「・・・ああ」

にっこりと母が笑う

母「車掌服を着た男の人があなたを送り届けてくれたのよ」


490: ◆e.A1wZTEY.:2019/4/2(火) 22:41:36 ID:1Hsj4T7jp6

千織「え、」

母「全然帰ってこないから心配したのよ。でも良かったわね、親切な人に助けてもらって」

母「お母さんがちゃんとお礼言っておいたから、安心なさい」

千織「待ってお母さん、車掌さんはなんて、」

母「あ、いけない、お母さんお料理の途中だったのよ。じゃ、用意できたらリビングに来なさいね」

千織「お母さん、お母さんちょっと待って―――」


491: ◆e.A1wZTEY.:2019/4/2(火) 22:43:41 ID:1Hsj4T7jp6

がばっっ

千織「・・・」 ハァハァ

起き上がり、息切れをする

千織「・・・ゆ、ゆめ・・・」

やけにリアルな夢だった

本当に人間界へ戻ってきたのかと錯覚した

千織「・・・私、なにしてたんだっけ」

千織(確か、車掌さんやブリアンさんと一緒に外食して――)

千織「いつつ・・・」

軽い頭痛を感じながら、立ち上がる

492: ◆e.A1wZTEY.:2019/4/2(火) 22:44:42 ID:1Hsj4T7jp6

すると、寝台車両のドアがスッとあいた

千織「あ・・・」

車掌「おはよう」

千織「おっ・・・おはようございます!」 ペコリ

車掌「具合は大丈夫か?店で飲んだものが酒だったようだ。私の配慮が足りなかったせいで、すまなかった」

千織「え!?お酒・・・ そうだったんですね」

千織「具合は大丈夫です、心配かけてすみません。もう発車してますか?」

車掌「30分後だ。別に無理はしなくてもいいが」

千織「いえ、いけます!すぐシャワーあびて準備しますね!」

493: ◆e.A1wZTEY.:2019/4/2(火) 22:50:03 ID:1Hsj4T7jp6

――昼、フマダシ駅

十人程度の異界警察官が集まっていた

部下1「準隊長は、歪世界の列車に乗ったことがあるのですか?私は初めてなのですが」

準隊長「ないわよぉ。たいていの場所は異界警察特権のワープでいけちゃうし、近距離移動も特急車を使うしね。話には聞くから、そういう交通手段があることは知ってるけど」

部下1「ですよねぇ。知能の低い奴らがたくさん乗っているんだろうなぁ・・・」

準隊長「そうね〜。車掌が話が通じる奴だといいわねぇ」


494: ◆e.A1wZTEY.:2019/4/2(火) 22:51:29 ID:1Hsj4T7jp6

『――まもなく、フマダシ駅。フマダシ駅に到着いたします』

車内アナウンスとともに、列車が速度を緩め始める

千織(っと、次の駅で運ぶ荷物は、これと、あの段ボールだな・・・)

慣れた様子で、貨物運搬の準備をする

1分後

ぷしゅーっと音を立て、列車はフマダシ駅に停車した

495: ◆e.A1wZTEY.:2019/4/2(火) 22:53:35 ID:1Hsj4T7jp6

準隊長「乗るわよ」

部下1「はい」

ぞろぞろと列車に足を踏み入れる

ブリアン「はーい、乗車券はこちらでもらいまーす」

準隊長「ん?」

見ると、入り口手前の段差のところで、黒猫が小さな箱を持って立っている

ブリアン「乗車券を持ってない人は、ダッシュで駅の窓口に行って買ってきてねー」

準隊長「あらぁ、可愛い猫ちゃんね。ここに乗車券を入れればいいの?」

ブリアン「そうでーす。下半分をびりっと破って入れてね。上半分はお客さんの控えだよー」

部下1「なるほど」

乗車券を半分に破り、片方を箱に入れた

ブリアン「はいどうもー。いってらっしゃーい」

496: ◆e.A1wZTEY.:2019/5/11(土) 21:43:20 ID:wBkhRdDbz.

――運転席

ピタリと車掌が動きを止めた

車掌「・・・」

車掌「・・・誰か異質な者が、列車に乗ったな」

顔をしかめ、気配を辿る

車掌(歪世界の者とは違って、生きている者の気配だ。人間か・・・?)

わからない

人間の臭いはしないので、人間ともまた違う気がする

車掌「・・・」

車掌(ブリアンのやつ、ちゃんとチェックしろと言っているのに、また適当に客を通したな)

定刻になったので、列車を発車させなければならない

車掌(・・・とりあえず、出すしかない)

アナウンスを入れ、列車のアクセルを入れた

497: ◆e.A1wZTEY.:2019/5/11(土) 21:45:14 ID:wBkhRdDbz.

ゴトンゴトンと音を立て、列車が走り出す

部下1「どうします?早速車掌のところに行きますか?」

準隊長「そうね。彼に会いに来たわけだし、のんびり乗ってても仕方ないわ」

準隊長「とりあえず、運転席の方に向かえば会えるわよね」

部下1「はい。そうしましょう」

「――その必要はありません」

準隊長「・・・あら」

運転席方面の車両ドアから、車掌が現れた

498: ◆e.A1wZTEY.:2019/5/11(土) 21:47:03 ID:wBkhRdDbz.

準隊長「話が早いわね。どうして私たちのことがわかったのかしら?」

車掌「・・・この世界の者ではない気配がいたしましたので」

部下1「ほう。そんなことが察知できるのか」

準隊長「じゃあ、私たちが誰かということはわかってるの?」

車掌「わかりません。車掌として、乗客のことは把握しておかなければなりませんので、確認に来た次第です」

準隊長「・・・ふふ」

準隊長「あなた、しっかりしてるのねぇ。話が通じそうで良かったわ」

499: ◆e.A1wZTEY.:2019/5/11(土) 21:48:58 ID:wBkhRdDbz.

準隊長「私たちは、“異界警察”というの。聞いたことない?」

車掌「・・・異界、警察・・・?」

準隊長「人間界や歪世界など、異世界どうしの間で生じた問題を取り扱う警察よ。存在は公にされてないから、知らないのが普通だけど」

車掌「・・・」

部下1「今回、君に聞き取りしたい件があったので、参上したのだ」

車掌「・・・」

思考が脳内にめぐる

500: ◆e.A1wZTEY.:2019/5/11(土) 21:52:06 ID:wBkhRdDbz.

車掌「・・・なるほど」

車掌「私にわかることでしたら、ご協力しましょう」

準隊長「あらぁほんと?助かるわ」

車掌「断る理由はありませんので」

車掌「しかし、今は業務中で手がはなせません。業務終了までお待ちいただきたく存じます」

部下1「話しながらできないのか?主な業務は運転だろう」

車掌「聞き取りがすぐに終わるのでしたら、対応しましょう」

準隊長「いいわ。そうしましょ」

501: ◆e.A1wZTEY.:2019/6/6(木) 23:43:49 ID:KD8ySevVr2
明日か明後日に更新します
502: ◆e.A1wZTEY.:2019/6/8(土) 23:36:45 ID:KD8ySevVr2

準隊長と部下数人を運転室に通し、会話をする

準隊長「――早速本題に入るけど。10日ほど前、この世界に人間が迷い込んだの」

車掌「・・・人間、ですか」

準隊長「ずっと探しているけど、見つかっていない。普段は、迷い込んだ人間は臭い探知ですぐ見つけられるのに」

準隊長「きっとこの世界の者が人間を捕らえているんだと思うわ。そいつを探しているのよ」

車掌「それで…私に聞きたいことは、人間もしくは人間を捕らえた犯人がこの列車に乗車していないか・・・ということでしょうか」

準隊長「理解が早いわね。そうよ、それが知りたいの」

503: ◆e.A1wZTEY.:2019/6/8(土) 23:39:09 ID:KD8ySevVr2

車掌「・・・」

複数の選択肢が頭に浮かぶ

どう答えることが正解なのか

この者たちが千織を無事に人間界に送り届けてくれるなら、正直に伝えるべきかもしれない

――が、まだ素性がわからない

安易な回答は避けたほうが良いと感じた

車掌「・・・さぁ。申し訳ありませんが、心当たりがございません」

部下1「本当か?」

車掌「はい」

準隊長「・・・ふーん」

504: ◆e.A1wZTEY.:2019/6/8(土) 23:41:07 ID:KD8ySevVr2

準隊長「あなた、人間の臭いをかぎ分けることはできるわよね?」

準隊長「この世界の者は全員、できると聞いたわ」

車掌「・・・そうですね。確かに近距離であればわかります」

準隊長「だから、仮に貨物に紛れ込んだりしていても、人間が列車内に存在していたらわかるってことよね」

車掌「・・・はい」

準隊長「それでも心当たりはなかったと」

車掌「はい。ありませんでした」

迷いの態度は疑いを生む

車掌は毅然とした口調で答えた

505: ◆e.A1wZTEY.:2019/6/8(土) 23:43:19 ID:KD8ySevVr2

部下1「嘘は言っていまいな?」

部下2「虚偽の証言は許さんぞ」

車掌「はい」

準隊長「・・・おかしいわねえ」

準隊長「こちらの調査では既に、犯人がササノコ駅、キサラギ駅、アカダコ駅を経由していることはわかってるんだけど」

車掌「・・・!」

準隊長「この世界において、短期間でこれらの駅を経由するためには、ほぼ確実にこの列車に乗る必要があると思うのよね」

506: ◆e.A1wZTEY.:2019/6/8(土) 23:50:24 ID:KD8ySevVr2

車掌「・・・何の証拠をもって、それらの駅の経由がわかるのですか?」

準隊長「普段の1000倍超高度な人間探査機を使ったの。そしたら、これらの駅に判定がでたわ。微かな臭いが残っていたのね」

車掌「・・・もしこの列車に人間が乗車したことがあるのならば、この車両にも判定は出るのでは?」

準隊長「それが出なかったらしいのよねえ。なぜかしら」

車掌「・・・乗車した事実はないということなのではないですか」

準隊長「乗車しないと町間の移動ができないわ」

準隊長「この謎を解くために、列車内を調べさせてもらいたいの」

車掌「・・・」

244.81 KBytes

名前:
sage:


[1] 1- [2] [3]最10

[4]最25 [5]最50 [6]最75

[*]前20 [0]戻る [#]次20

うpろだ
スレ機能】【顔文字