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歪世界トレイン
[8] -25 -50 

1: ◆e.A1wZTEY.:2017/4/30(日) 20:25:16 ID:4iSJ1d7xp2

乗客Yx1

戸野 千織(トノ チオリ)

目が覚めたらそこは、走る列車の中だった



457: ◆e.A1wZTEY.:2019/1/21(月) 20:20:22 ID:owxdLBffe2
>>456
ありがとうございます!読者さんにとってもよい1年になりますように(´∀`*)
応援して下さってとてもとても嬉しいです!

更新詐欺ですみません、明日か明後日には更新します・・・!!
458: ◆e.A1wZTEY.:2019/1/22(火) 21:35:20 ID:owxdLBffe2

千織「――おいしい!」

焼いたレドンの肉を頬張り、笑顔になる

千織「すごくおいしいですね!牛肉みたいです」

車掌「それなら良かった」

千織「車掌さんは食べないんですか?」

車掌「食べてもいいが・・・食べなくても問題ない。だったら、千織やブリアンが私の分も食べたほうがいいだろう」

千織「何言ってるんですか!食事はみんなで食べるからおいしいんですよ」

459: ◆e.A1wZTEY.:2019/1/22(火) 21:36:43 ID:owxdLBffe2

千織が車掌の皿にも肉を盛り付ける

千織「このタレをつけるんですよ。車掌服にこぼさないようにしてくださいね」

ブリアン「プッ」

車掌「・・・あのな」

車掌「私が精力以外食べたことがないからって、馬鹿にし過ぎだぞ」

千織「え、そうなんですか?てっきり箸とかうまく使えないのかなって」

車掌「フン、その程度できるに決まっている」

460: ◆e.A1wZTEY.:2019/1/22(火) 21:39:50 ID:owxdLBffe2

箸を手に取ると、焼けた肉をつかんだ

ポロッ

肉は箸の隙間から抜け、テーブルにぼとりと落ちた

車掌「・・・」

ブリアン「ブッ、ププププ」

千織「・・・わ、笑っちゃだめですよ!ブリアンさん」

千織「車掌さん!まずは箸の持ち方教えてあげますからね。グーじゃなくて、人差し指と中指を・・・」

車掌「・・・」

461: ◆e.A1wZTEY.:2019/1/22(火) 21:41:59 ID:owxdLBffe2

千織「どうです?お味のほうは」

車掌「・・・うまい、と、思う」

千織「ですよね!」 パアァァ

ブリアン「精力の味と比べてどう感じんの?」

車掌「・・・精力を食べても、空腹を満たす感覚しかない。だから、味というものはあまりよくわからない」

車掌「だが、この肉は・・・飽きがないというか、バリエーションがあって、不思議だ。もっと食べてみたいという気持ちにさせる」

千織「それは間違いなくおいしいってことですよ!」

千織「車掌さん、こんな素敵なお店に連れてきてくれて本当にありがとうございます」 ニッコリ

車掌「・・・別に」

車掌「感謝されるようなことじゃ、ない」

横を向き、わずかに頬が赤くなったのを隠した

462: 名無しさん@読者の声:2019/1/29(火) 19:56:51 ID:kXjObwftrc
支援C
463: ◆e.A1wZTEY.:2019/1/29(火) 22:09:45 ID:owxdLBffe2
>>462
支援ありがとうございます!!
前回分少なくてすみません、更新します

464: ◆e.A1wZTEY.:2019/1/29(火) 22:12:17 ID:owxdLBffe2

タコ男「・・・おい、あれ見ろよ」

イカ男「ん?なんだ?」

タコ男「あそこの席に座ってる男・・・列車の車掌じゃないか?」

イカ男「あそこ・・・?」

イカ男「おお、本当だ。あいつが列車から降りているところ、初めて見たね」

タコ男「かーっ、女なんか連れてやがるぜ。生真面目な性格してるくせに」

465: ◆e.A1wZTEY.:2019/1/29(火) 22:13:50 ID:owxdLBffe2

イカ男「童貞だと思ってたよなー」

タコ男「よく見ると女はかわいい顔してるじゃねえか。一晩貸してもらうかな」

イカ男「さすがにそれはダメなんじゃないのぉ?」

タコ男「なーに言ってんだよ、俺は列車の常連客だぞ?週に2回は乗ってる。あいつはいつも、『お客様』『お客様』ってヘコヘコしてるんだ。逆らうなんてありえないぜ」

イカ男「たしかにー」 ケラケラ

466: ◆e.A1wZTEY.:2019/1/29(火) 22:17:23 ID:owxdLBffe2

ブリアン「ふーっ!まんぷくまんぷく」

千織「満腹ですね〜」

車掌「なら、そろそろ出るか?」

千織「そうですね〜・・・って、あれ?」

千織の視界が、ぐわんと揺れた

車掌「千織?」

千織「あれ・・・わたし、どうしちゃったんでしょ」 フラフラ

467: ◆e.A1wZTEY.:2019/1/29(火) 22:18:26 ID:owxdLBffe2

ブリアン「ちょっと大丈夫?顔赤いよ」

千織「だ、だいじょうぶ・・・です」

車掌「大丈夫じゃないだろう」

車掌が千織の腕をつかむ

ブリアン「・・・もしかして」

ブリアンがはっと何かに気づいたとき――

468: ◆e.A1wZTEY.:2019/1/29(火) 22:19:56 ID:owxdLBffe2

タコ男「よお?車掌さん」

テーブルの横に、タコとイカの怪人が立っていた

車掌「・・・?」

タコ男「俺が誰だかわかるよな?しょっちゅう列車に乗ってるんだから」

イカ男「わかるよねえ?」

車掌「・・・」

車掌「・・・お客様、ですか」

タコ男「お、そうそう、そうだよ。『お客様』だよ」 ニヤニヤ

469: ◆e.A1wZTEY.:2019/1/29(火) 22:21:48 ID:owxdLBffe2

車掌「何か御用ですか。今取り込み中なのですが」

タコ男「実は今夜の夜伽相手を探してるんだが・・・」

車掌「・・・は?」

タコ男「わかるよな?」

イカ男「わかるよねえ?」

車掌「申し訳ありませんがわかりません。そもそも、今は勤務時間外ですので、お客様のご要望にはこたえられません。お引き取りください」

タコ男「なんだと?」

470: ◆e.A1wZTEY.:2019/1/29(火) 22:24:19 ID:owxdLBffe2

タコ男「誰が列車に乗ってるおかげでここの焼肉が食えてると思ってるんだ?んん?」

車掌「・・・」

イカ男「一晩でいいんだよー。そしたら返してあげるからさ、ね?」

車掌「・・・わかりました」

車掌「支払いを済ませて外に出ますので、お待ちください。ここだと店の迷惑になりますから」

イカ男「お」

タコ男「やっとわかったか」 ニヤニヤ

ブリアン「・・・ほんとこういうバカな連中って、絶えないよね」

大きくため息をついて、呟いた

471: 名無しさん@読者の声:2019/2/5(火) 20:45:04 ID:b7FM2p7xx.
千織ちゃんピンチ(>_<)
支援〜
472: ◆e.A1wZTEY.:2019/2/19(火) 20:22:40 ID:4fTYf.E3LU
>>471
支援ありがとうございますすす!
数日中に更新いたします(*- -)(*_ _)
473: ◆e.A1wZTEY.:2019/2/22(金) 22:37:51 ID:4fTYf.E3LU

タコ男「あ・・・あが、がが・・・」

イカ男「ぐっぐふ・・・」

バタッ

打ちのめされた2人が道端に倒れる

車掌「・・・」 ハー

車掌「ブリアン。千織の様子は?」

ブリアン「酔っ払ってるだけだよ」

車掌「・・・酔ってるだと?」

ブリアン「頼んだホリーニャって飲み物。お酒だったみたい」

474: ◆e.A1wZTEY.:2019/2/22(金) 22:39:33 ID:4fTYf.E3LU

車掌「それなら私も飲んだぞ」

ブリアン「車掌は1杯だけでしょ。千織は3杯くらい飲んでたし」

ブリアン「この子お酒強そうなタイプに見えないしね」

車掌「・・・」 ハァ

ため息をつき、ぐったりした千織をおんぶする

タコ男「ま・・・待ちやがれ」

うめき声とともに、タコ男たちが身体を起こした

タコ男「よくもぶん殴りやがったな・・・俺たちは客だぞ?」

イカ男「今度列車に乗ったら・・・暴れてめちゃくちゃにしてやるぅ」

タコ男「は・・・ははは!そりゃいい考えだ!窓を割って、積み荷を捨ててやろう!」 ゲラゲラ

475: ◆e.A1wZTEY.:2019/2/22(金) 22:41:47 ID:4fTYf.E3LU

車掌「・・・」

静かに振り返ると、微笑んで見せた

車掌「どうぞご自由に」

タコ男「な・・・なんだと?」

車掌「あなた方のような輩はごまんといるんですよ。珍しくもなんともありません」

車掌「そのような事態から列車を守るのも、私の務めですので。いつでもどうぞ」

イカ男「・・・」

車掌「ただし、その時は、容赦なくあなた方を殺します。相応の覚悟をもっていらしてください」

476: ◆e.A1wZTEY.:2019/2/22(金) 22:44:50 ID:4fTYf.E3LU

ブリアン「――もっとコテンパンにぶちのめしちゃえば良かったのに」

千織を背負いながら、列車までの夜道を歩く

ブリアン「あの場で殺したって誰も文句は言わないよ」

車掌「・・・どうでもよかった」

ブリアン「どうでもいい?」

車掌「千織を優先したかった。時間を浪費せずに、早く列車に戻るべきだと思った」

ブリアン「あれま」

車掌「それに・・・」

ブリアン「それに?」

車掌「・・・血を」

ブリアン「血?」

車掌「服に、血をつけたくなかった」

背に千織の重さを感じながら、つぶやいた

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