乗客Yx1
戸野 千織(トノ チオリ)
目が覚めたらそこは、走る列車の中だった
435: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/6(火) 21:04:29 ID:dW73PZiuFo
紫苑「矛盾の多い、不可解な行方不明・・・。当初行方不明だった君が記憶をなくしたことも含めると、極めてその可能性が高いと感じたんだ」
恭太「どうやって神隠しから助けるんだ」
紫苑「迷い込む際には必ず2つの世界のあいだに時空的な繋がりができているはずだ。私はその繋がるポイントを探している」
恭太「ポイント・・・」
紫苑「戸野千織が行方不明になった場所だ。警察には何度も説明しているだろうが、改めて私をそこに案内してほしい。記憶が残っている場所まででいい」
436: 名無しさん@読者の声:2018/11/6(火) 23:35:44 ID:vXKJk.211Q
支援
437: 名無しさん@読者の声:2018/11/8(木) 14:52:12 ID:S/fhLd8FCY
支援!
438: 名無しさん@読者の声:2018/11/13(火) 20:13:58 ID:Kg2uN2ua4E
支援〜(*´ω`*)
439: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/14(水) 16:39:22 ID:gw58qzRucQ
>>436-438
支援ありがとうございます〜!*\(^o^)/*
たくさん支援頂けて嬉しいびっくりです
今後ともよろしくお願いしますm(_ _)m
今週中には更新しますのでもうしばしお待ちくださいませ
440: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/20(火) 01:18:42 ID:dW73PZiuFo
恭太「――ここだ」
通学路の途中にある、直径3メートルほどの小さな池の傍に案内する
恭太「千賀池(せんがいけ)っていうんだ。ここの近くに千織ちゃんが立っているのが見えて、俺は駆け寄っていった・・・そこまでしか、覚えていない」
紫苑「ニュースで言っていた、最後の目撃情報のところだな。池と周辺の川を全部あらったけど何も出てこなかったと聞いた」
恭太「池の深さは1メートルもない。子どもだったら溺れるかもしれないけど、高校生が溺れるような場所じゃない」
441: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/20(火) 01:20:58 ID:dW73PZiuFo
紫苑「なるほどね」
恭太「ここを見て何かわかるのか?」
紫苑「そうだね・・・もう少し調べないと、わからないけど」
紫苑「1つわかることがあるよ」
恭太「? なんだ?」
紫苑「猫の霊が見える」
442: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/20(火) 01:23:15 ID:dW73PZiuFo
恭太「猫・・・?」
紫苑「この池のまわりで、黒猫の霊が見えるんだ。心当たりはないかい?」
恭太「さぁ・・・俺は知らないな」
紫苑「この池から強い霊気を感じるから、この池が死者の世界と繋がる時空間的ポイントである可能性は高そうだ。と、すると・・・この黒猫は、この場所を守る番人みたいなところかな」
恭太「番人?」
紫苑が、池の右端の何もない空間に向かって、話しかける
紫苑「君は、この場所を守っているのかい?」
443: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/20(火) 01:24:22 ID:dW73PZiuFo
恭太「・・・」
紫苑「・・・ほう」
恭太「・・・猫は何て言ってるんだ」
紫苑「小さく首を振った。どうやら、番人というわけではないらしい」
紫苑「君はどうしてそこにいるんだい?」
恭太「・・・」
紫苑「・・・」
紫苑「・・・うーん、さすがに猫と言葉のやりとりはできないね」
444: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/20(火) 01:29:37 ID:dW73PZiuFo
恭太「猫はどんな様子なんだ」
紫苑「悲しそうな瞳でこっちを見ているだけだよ。私の言葉は理解しているかもしれないけど、どうしたらいいかわからないって感じだ」
恭太「・・・霊のことはよくわからないけど、やっぱり何か未練があるからここにいるんだろ?」
恭太「それがちおちゃんと関係あるなら知りたいけど、それすらわからないからな・・・」
紫苑「・・・ふむ」
紫苑「私はもう少しこの周辺を調べてみるよ。何かわかったら君に知らせよう」
445: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/20(火) 01:31:53 ID:dW73PZiuFo
――数日が過ぎ、千織が歪世界に来て、10日目の朝を迎えた
平常通り、列車は動き、千織も自分の仕事を始めた
荷物の積み下ろしにもだいぶ慣れ、てきぱきと動けるようになった
車掌「――千織」
千織「はい!」
背後から呼ばれ、振り向く
車掌がぎょっとしたような顔をする
千織「? どうかしました?」
446: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/20(火) 01:32:58 ID:dW73PZiuFo
車掌「・・・いや、元気だなと・・・」
千織「そうですか?いつも通りですよ!」
ぶんぶんと腕をふる
千織「車掌さんが少しでも精力を節約できるようにお手伝いして、恩を返さなきゃいけませんしね!」
車掌「・・・」
千織「あれ、何か用事があったんじゃないんですか?」
車掌「・・・そうだった」
コホンと咳払いして、気を取り直す
447: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/20(火) 01:35:16 ID:dW73PZiuFo
車掌「この世界に来てから、まずいものしか食べていないだろう。今日の業務が終わったら、食事に連れて行ってやる」
千織「えっ・・・本当ですか!?」
千織「食事って、いったいどこで」
車掌「今日の終点のアカダコ駅で町へおりよう。そこそこ栄えている町だから、良い店があるだろう」
千織「私、町におりても大丈夫なんですか?」
車掌「人間の臭いもほとんど消えているし、私の傍にいれば大丈夫だ」
千織「わあぁ・・・!楽しみです!ありがとうございます!!」 キラキラ
448: ◆e.A1wZTEY.:2018/12/5(水) 14:55:56 ID:4O0j5IHbJk
今週中には更新します!
449: ◆e.A1wZTEY.:2018/12/8(土) 22:55:52 ID:.NxPsvQjAc
ブリアン「――ご飯に連れて行ってあげるなんて、珍しいじゃん」
列車を運転する車掌の横で、ブリアンがあくびをする
ブリアン「車掌は精力しか食べたことないのに」
車掌「生物の三大欲求の1つは食欲だろう。たまに良いものを食べたほうがいいのはわかる」
ブリアン「ふーん。ま、ヤエヌクラ草を食べるのも飽きてきたしいいんじゃないの」
ブリアン「で、何の店にするのさ」
車掌「肉だ」
ブリアン「ざっくりしてるねえ」
450: ◆e.A1wZTEY.:2018/12/8(土) 23:03:43 ID:.NxPsvQjAc
――夜、列車が業務を終了すると、2人と1匹はアカダコ町へおりた
夜の町は明かりが灯り、賑わっていた
千織「私、すごくわくわくします」 キラキラ
千織「おいしいごはん食べられるのもありますけど、列車の外に出られる機会あまりないので」
千織「しかも、何かあっても車掌さんが傍にいるし。安心感がやばいです」
ブリアン「めっちゃテンション高いじゃん」
千織「そりゃそうですよ!ブリアンさんもたまにはキャットフード以外を食べたくなるでしょう?」
451: ◆e.A1wZTEY.:2018/12/8(土) 23:08:38 ID:.NxPsvQjAc
ブリアン「僕は停まった駅で適当に下りて色々食べてるし」
千織「えーそうだったんですか。確かに猫なら、ささっと行ってささっと帰ってこれそうですよね・・・」
車掌「――ついたぞ」
千織「!」
着いた先には、赤色の看板がかかったレストランがあった
中から笑い声と、ジューッと何かを焼く音がきこえる
千織「すごい、いい感じですね!何のお店なんですか?」
車掌「焼肉だ。レドンという、歪世界にのみ生息する食肉用生物を調理している」
452: ◆e.A1wZTEY.:2018/12/8(土) 23:10:18 ID:.NxPsvQjAc
千織「れ、レドン・・・?」
車掌「人間界の焼肉とどのくらい違うのかは知らないが・・・まずくはないと思う。試しに食べてみるといい」
千織「は、はい!楽しみです」
この世界に、人間界の食べ物はない
そのことにはだいぶ慣れつつあり、聞きなれない食料でもあまり気にしないことにしていた
ブリアン「よし、入ろ〜。お腹ペコペコだよ」
453: ◆e.A1wZTEY.:2018/12/8(土) 23:15:40 ID:.NxPsvQjAc
中に入ると、羊型の男に席に案内された
羊男「こちらへお座りください。すぐにお水をお持ちします」
羊男「ご注文の際は、そちらのベルをお鳴らし下さい。では」 ペコリ
千織「・・・すごい。人間界と一緒だ」
車掌「ぼーっとしていないで、食べたいものを決めろ。私はそのへん詳しくないからな」
千織「は、はい!」
メニューの冊子を手に取る
454: ◆e.A1wZTEY.:2018/12/8(土) 23:17:45 ID:.NxPsvQjAc
千織「・・・」
千織(・・・よ、よくわからないけど、写真でおいしそうなもの適当に選んどけばいいよね)
千織「じゃあ、レドンのアグダと、ナイロと、・・・カカンを1皿ずつ」
ブリアン「あとはねー、ガズイのサラダとレッペの厚焼きも」
ブリアン「飲み物はどうする?」
千織「の、飲みやすくて、ジュースみたいのってありますか?」
ブリアン「そうだなー、ホリーニャとか?」
千織「じゃ、じゃあそれにします」
車掌「では、私もそれにする」
ブリアン「おっけー。じゃあ店員よぶよー」 チリリーン
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