乗客Yx1
戸野 千織(トノ チオリ)
目が覚めたらそこは、走る列車の中だった
425: ◆e.A1wZTEY.:2018/10/22(月) 21:41:24 ID:6jBANpAtHw
――深夜
コンッ
なにかぶつかる音がした
恭太「・・・ん・・・」
目を覚ます
コンッ、コンッ
恭太「なんだ・・・?」
2階にある恭太の部屋の窓に、小石がぶつけられているようだ
426: ◆e.A1wZTEY.:2018/10/22(月) 21:42:44 ID:6jBANpAtHw
おぼろげながら、窓から外を覗くと――
恭太「――!?」
見知らぬ長髪の男が立っていた
びっくりして、思わず布団に身を隠す
コンッ、コンッ
再度、窓に石が当たる
恭太(なんなんだよ・・・!!)
恐怖を感じながら、薄目で再び窓の方を見ると――
427: ◆e.A1wZTEY.:2018/10/22(月) 21:43:43 ID:6jBANpAtHw
『戸野千織のいる世界を知っている』
そう大きく書かれた紙を、男が広げていた
恭太「っ・・・!?」
『恐れるな。私は君の味方だ』
男が紙をめくる
『一度話をしよう』
恭太「・・・」
428: ◆e.A1wZTEY.:2018/10/22(月) 21:45:31 ID:6jBANpAtHw
頭が混乱している
どうすればいいのかわからない
長髪の男は、下に降りてこいとジェスチャーをしている
恭太「・・・」
とても信用できる状況ではない
――が、『千織のいる世界』という言葉に、何か刺さるような感覚を覚えた
おそるおそる、恭太は1階へと下りた
429: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/6(火) 20:57:10 ID:dW73PZiuFo
長髪の男「――こんばんは」 ニッコリ
長髪の男「下りてきてくれてありがとう、沖恭太くん」
恭太「・・・あんた、誰だよ」
長髪の男「私のことは紫苑(シオン)と呼んでくれ。霊媒師をしている」
恭太「あんたが、うちに昼間来たっていうやつか」
紫苑「そうさ。君から、強い霊気を感じてね」
恭太「霊気?」
紫苑「私の感覚で呼んでいる言葉なんだがね。詳しく言うと、『死者の魂』って感じかな?」
430: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/6(火) 20:58:14 ID:dW73PZiuFo
恭太「は?どういうことだよ。俺は霊感なんてないぞ」
紫苑「君の身体にまとわりついているのさ。すごく臭う、ぷんぷんとね」
紫苑「あ、勘違いしないで。憑りつかれてるとか、そういった類じゃないから。”死者の臭いが身体についてる”っていう表現のほうが正しいかな」
恭太「わ、訳が分からないんだけど。仮にあんたの言うことが正しいなら、何で俺にそんなものがついてるんだ?」
紫苑「君が死者の世界に行っていたからだよ」
恭太「・・・!?」
431: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/6(火) 20:59:14 ID:dW73PZiuFo
紫苑「君は行方不明になっていた間、死者の世界にいっていたんだよ。その名残で、その世界の臭いが身体についてる。私はそれを辿って君のところにきた」
恭太「ま、待ってくれ。俺が死者の世界に行っていた?そんなこと信じられるわけ・・・」
紫苑「信じる信じないは自由だけど。君は何も覚えていないし、戸野千織に関する有力な情報もない。こんな状況下じゃ、藁にでもすがりたい気持ちじゃないのかい?」
恭太「・・・」
紫苑「君が何も覚えていないのは、その不思議な世界で記憶を消されたからだ。それなら合点がいくだろう?」
432: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/6(火) 21:00:26 ID:dW73PZiuFo
恭太「・・・な、何でそんな世界にいく必要があるんだ」
紫苑「必要かどうかというより、迷い込んでしまった、という表現が正しいのかな」
紫苑「人間が自分から行くことはできないはずだからね」
恭太「じゃあ、ちおちゃんは・・・」
紫苑「おそらく、まだ死者の世界にいるだろう」
恭太「!!」
433: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/6(火) 21:01:29 ID:dW73PZiuFo
こんな現実離れした話、信じられるはずがない
信じられるはずがないのだが――
警察が話していたどの可能性よりも、真実に近いように感じた
恭太「・・・確かに、俺は今、藁にでもすがりたい気持ちだ。ちおちゃんを助けるためなら、あらゆる手を尽くしたい」
恭太「あんたを信じれば、ちおちゃんを助けられるのか?」
紫苑「・・・そうだな」
434: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/6(火) 21:03:10 ID:dW73PZiuFo
紫苑「はっきり言って、助けられる保証はない。が・・・助けられる可能性はある」
紫苑「私はもともと、神隠しと呼ばれる現象の正体を追っていてね」
恭太「神隠し?」
紫苑「人が行方不明になったり、なんの前触れも無く失踪することを、神の仕業としてとらえた言葉だよ」
紫苑「だが私は、神隠しとは人が死者の世界に迷い込んでしまったために起こることだろうと考えている」
恭太「ちおちゃんは神隠しにあったっていうのか」
紫苑「そうさ」
435: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/6(火) 21:04:29 ID:dW73PZiuFo
紫苑「矛盾の多い、不可解な行方不明・・・。当初行方不明だった君が記憶をなくしたことも含めると、極めてその可能性が高いと感じたんだ」
恭太「どうやって神隠しから助けるんだ」
紫苑「迷い込む際には必ず2つの世界のあいだに時空的な繋がりができているはずだ。私はその繋がるポイントを探している」
恭太「ポイント・・・」
紫苑「戸野千織が行方不明になった場所だ。警察には何度も説明しているだろうが、改めて私をそこに案内してほしい。記憶が残っている場所まででいい」
436: 名無しさん@読者の声:2018/11/6(火) 23:35:44 ID:vXKJk.211Q
支援
437: 名無しさん@読者の声:2018/11/8(木) 14:52:12 ID:S/fhLd8FCY
支援!
438: 名無しさん@読者の声:2018/11/13(火) 20:13:58 ID:Kg2uN2ua4E
支援〜(*´ω`*)
439: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/14(水) 16:39:22 ID:gw58qzRucQ
>>436-438
支援ありがとうございます〜!*\(^o^)/*
たくさん支援頂けて嬉しいびっくりです
今後ともよろしくお願いしますm(_ _)m
今週中には更新しますのでもうしばしお待ちくださいませ
440: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/20(火) 01:18:42 ID:dW73PZiuFo
恭太「――ここだ」
通学路の途中にある、直径3メートルほどの小さな池の傍に案内する
恭太「千賀池(せんがいけ)っていうんだ。ここの近くに千織ちゃんが立っているのが見えて、俺は駆け寄っていった・・・そこまでしか、覚えていない」
紫苑「ニュースで言っていた、最後の目撃情報のところだな。池と周辺の川を全部あらったけど何も出てこなかったと聞いた」
恭太「池の深さは1メートルもない。子どもだったら溺れるかもしれないけど、高校生が溺れるような場所じゃない」
441: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/20(火) 01:20:58 ID:dW73PZiuFo
紫苑「なるほどね」
恭太「ここを見て何かわかるのか?」
紫苑「そうだね・・・もう少し調べないと、わからないけど」
紫苑「1つわかることがあるよ」
恭太「? なんだ?」
紫苑「猫の霊が見える」
442: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/20(火) 01:23:15 ID:dW73PZiuFo
恭太「猫・・・?」
紫苑「この池のまわりで、黒猫の霊が見えるんだ。心当たりはないかい?」
恭太「さぁ・・・俺は知らないな」
紫苑「この池から強い霊気を感じるから、この池が死者の世界と繋がる時空間的ポイントである可能性は高そうだ。と、すると・・・この黒猫は、この場所を守る番人みたいなところかな」
恭太「番人?」
紫苑が、池の右端の何もない空間に向かって、話しかける
紫苑「君は、この場所を守っているのかい?」
443: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/20(火) 01:24:22 ID:dW73PZiuFo
恭太「・・・」
紫苑「・・・ほう」
恭太「・・・猫は何て言ってるんだ」
紫苑「小さく首を振った。どうやら、番人というわけではないらしい」
紫苑「君はどうしてそこにいるんだい?」
恭太「・・・」
紫苑「・・・」
紫苑「・・・うーん、さすがに猫と言葉のやりとりはできないね」
444: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/20(火) 01:29:37 ID:dW73PZiuFo
恭太「猫はどんな様子なんだ」
紫苑「悲しそうな瞳でこっちを見ているだけだよ。私の言葉は理解しているかもしれないけど、どうしたらいいかわからないって感じだ」
恭太「・・・霊のことはよくわからないけど、やっぱり何か未練があるからここにいるんだろ?」
恭太「それがちおちゃんと関係あるなら知りたいけど、それすらわからないからな・・・」
紫苑「・・・ふむ」
紫苑「私はもう少しこの周辺を調べてみるよ。何かわかったら君に知らせよう」
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