2chまとめサイトモバイル

2chまとめサイトモバイル 掲示板
歪世界トレイン
[8] -25 -50 

1: ◆e.A1wZTEY.:2017/4/30(日) 20:25:16 ID:4iSJ1d7xp2

乗客Yx1

戸野 千織(トノ チオリ)

目が覚めたらそこは、走る列車の中だった



41: ◆e.A1wZTEY.:2017/5/4(木) 23:40:50 ID:spmolqlGjY

恭太「なっ、なんだよあの化け物っ・・・」

千織「沖くん、列車に戻ろう!」

恭太「もう出発してる!無理だ!」

暗い土手を、無我夢中で走る

あの化け物がどこまで追ってきているのか、確認する余裕もない

魚人「はい、追いついた」

「!?」

突如、背後から肩をつかまれ、千織は地面に尻もちをついた

42: ◆e.A1wZTEY.:2017/5/4(木) 23:46:20 ID:spmolqlGjY

恭太「ちおちゃん!!」

魚人がニタニタと笑い、千織の首ねっこをつかむ

恭太「てっ、てめぇ!ちおちゃんをはなせ!!」

叫ぶが、ガタガタと足が震えている

魚人「まさか人間を見つけるなんてなぁ・・・。幸運だぜ」

千織「沖くん、逃げて!!」

次の瞬間

ドゴッ!!

恭太「う、」

千織「!!」

恭太は腹に拳を入れられ、バタリと地面に崩れおちた

43: ◆e.A1wZTEY.:2017/5/5(金) 20:46:40 ID:ufTVIcJVgc

―――――


千織「――ん・・・」

目を覚ますと、そこは薄暗い部屋の中だった

千織「・・・!?」

身体の自由がきかない

手足が縄で拘束され、口にはテープが貼られている

千織「んっ、んっ」

必死にもがくが、一向に縄がほどける気配はない

千織(沖くんは・・・!?)

44: ◆e.A1wZTEY.:2017/5/5(金) 20:49:32 ID:ufTVIcJVgc

まわりを見回すが、恭太の姿はない

ダンボールがそこら中に積まれている

すると

ギイイイィ・・・

千織「!」

部屋の扉が開いた

45: ◆e.A1wZTEY.:2017/5/5(金) 20:53:08 ID:ufTVIcJVgc

入ってきたのは、魚人と、

千織(車掌さん・・・!?)

あの、車掌だった

魚人「あ、起きてるじゃねーか」

ニタニタと笑いながら近づき、千織の顎をつかむ

魚人「てめぇは女だからなぁ・・・。高値で売ってやるぜ」

千織「・・・!」

46: ◆e.A1wZTEY.:2017/5/5(金) 20:56:33 ID:ufTVIcJVgc

魚人「オレの荷物は、これと、これと、この奴隷だ」

2つのダンボール箱と千織を指さす

魚人「ミヤコ駅まで運んでくれ。くれぐれも人間だからって食ってくれるなよ」 ケラケラ

車掌「かしこまりました」 ペコリ

車掌が会釈すると、魚人は部屋を出て行った

千織「んーっ、んーっ」

車掌もそれに続こうとするのを、必死で止める

47: ◆e.A1wZTEY.:2017/5/5(金) 21:03:20 ID:ufTVIcJVgc

千織「んー!んんーっ!」

車掌「・・・」 ハァ

小さくため息をつき、千織の方へ振り返る

車掌「君を助けることはできない。君はこの貨物車両に積まれた『荷物』だ」

千織「んーっ!んーっ!!」

車掌「これからは、魚人の奴隷として生きていくことだ」

バタン

慈悲もなく、車掌は出て行った

48: ◆e.A1wZTEY.:2017/5/5(金) 23:53:30 ID:spmolqlGjY

魚人「いやー、にしても、人間なんて珍しいモン見つけるなんて超ついてるわぁ。そう思わねえ?」

列車内をご機嫌で歩く

車掌「そうですね」

魚人「しかも2人だぜ2人!たまに人間が迷い込んでも誰かにとられちまうからなぁ」

車掌「運ぶのは1人だけでよろしいのですか?」

魚人「あぁ、男の方は今晩の夕飯だ。母ちゃんに蒸し餃子にしてもらうんだあ〜楽しみだぜ」

車掌「そうですか」

49: ◆e.A1wZTEY.:2017/5/6(土) 00:00:11 ID:spmolqlGjY

ゴトン、ゴトン・・・

音を立て、列車が走りはじめる

千織が閉じ込められているのは、最も後続の貨物車両だった

千織(どうすれば・・・)

千織(どうすれば、いいんだろう・・・)

どうやら自分は、どこかで奴隷として売られてしまうらしい

千織(沖くんは、無事なのかな・・・)

そのとき

「にゃ〜〜ご」

千織「!」

1匹の黒猫が、部屋の隅から姿を現した

50: ◆e.A1wZTEY.:2017/5/6(土) 00:03:26 ID:spmolqlGjY

千織(ね、ねこ・・・?なんでこんな所に・・・)

黒猫は千織に歩み寄ると、ペロリと千織の頬をなめた

千織(かわいい・・・)

千織「んー、んー」

黒猫「にゃー」

千織「んー」

黒猫「助かる方法、教えてあげようか」

千織「!?」 ビクッ

千織(しゃしゃしゃ喋った・・・!?!?)

思わず身をのけぞり、猫から距離をとる

51: ◆e.A1wZTEY.:2017/5/6(土) 00:08:38 ID:spmolqlGjY

黒猫「なに?知りたくないの?」

千織「・・・!」

ブンブンと首を横に振った

急な出来事に、心臓がバクバクと音を立てている

猫がニヤリと笑った

黒猫「いい?君を助けられるのは、この場においてこの列車の車掌、あいつ一人だけだ」

無意識にうなづく

黒猫「それ以外はどうやったってだめだ。仮にそこの窓から逃げられたとしても、君はまた別の奴に捕まるだろう」

52: ◆e.A1wZTEY.:2017/5/6(土) 00:13:20 ID:spmolqlGjY

黒猫「だから、君はあいつに必死に頼むんだ。『私を買ってください』って」

千織「・・・!?」

黒猫「生きたかったら、覚悟を見せな」

ベリリ、と千織の口のテープを剥がす

黒猫「まずは、大声だして騒げ。騒ぎまくって、あいつを呼べ。そしたら・・・わかってるね」

千織「ま、待って!」

千織「そ、そんなこと言ったって、『お前は客の荷物だからだめだ』って、さっき言われちゃったし・・・!」

黒猫「グズグズしてるとミヤコ駅に着くよ」

そう言うと、暗闇に消えていった

53: ◆e.A1wZTEY.:2017/5/6(土) 21:30:15 ID:spmolqlGjY

――人ならざる者たちが座る車内を、手を後ろに組み、歩く


車掌「―お客さま」

タバコをふかしているカエル男の前で止まる

車掌「この列車は、全席禁煙でございます」

蛙男「あぁ?」

車掌「おタバコはおやめください」

蛙男「いいじゃねえか、タバコくらい。こちとらちゃんと乗車券とって乗ってんだ」

車掌「乗車券を持っているからといって、列車内の決まりを破っていい理由にはなりません」

54: ◆e.A1wZTEY.:2017/5/6(土) 21:33:02 ID:spmolqlGjY

蛙男「てめぇ、車掌の分際で客に文句言うのか」

ギロリと車掌をにらむ

車掌「この列車の規則を守れないのであれば、即刻、降りて頂きます」

蛙男「あんだとぉ!?」

立ち上がり、車掌の胸ぐらをつかんだ

他の乗客たちもざわつき始める

蛙男「俺は今、イライラしてんだ。ストレスたまってんだよ、わかるか?タバコくらい吸わせろや」

55: ◆e.A1wZTEY.:2017/5/6(土) 21:36:14 ID:spmolqlGjY

車掌「そのような個人の理由は配慮致しかねます」

蛙男「あぁそうかい!じゃあ消せばいいんだな、わかったよ」

そういうと、蛙男は床にタバコを落とし、グリグリと足でふみつけた

蛙男「これで満足だろぉ?んん?」 ニヤニヤ

車掌「・・・」

車掌「次、規則を破ったときは容赦致しませんので、ご理解ください」

そう言い、タバコの吸い殻を拾った、そのとき――


「わーーーーっ!!!!!」


「!?」

56: ◆e.A1wZTEY.:2017/5/6(土) 21:40:31 ID:spmolqlGjY

突如、大きな声が列車内に響いた

乗客がみなぎょっとする

「わー!!わーー!!わーーー!!!」

ドタドタ、バタン、ガッシャーン!!!

それと同時に、何か物が倒れたり壊れたりするような音がする

どうやら後続の車両からのようだ

車掌「・・・なんなんだ」

小さく舌打ちをして、歩き出した

57: ◆e.A1wZTEY.:2017/5/6(土) 21:47:11 ID:spmolqlGjY

千織「わーわーわー!!わーーっ!!」

必死に大声を出し、騒ぎ立てる

手足は拘束されたままなので、まるでミノムシのようにダンボールに体当たりする

千織「・・・」 ゼェゼェ

千織「わ・・!」

車掌「静かにしろ」

仏頂面をした車掌が部屋に入ってきた

車掌「こんなに散らかして・・・人の仕事を増やさないでもらえるか」

58: ◆e.A1wZTEY.:2017/5/6(土) 21:50:10 ID:spmolqlGjY

千織「車掌さん!!」

息をのみ、口を開く

千織「私を、かっ・・・」

千織「買ってください!!!!」

車掌「は?」

千織「私、何でもします!何でもっ・・・何でも、お手伝いしますから!私を買ってください!!」

車掌「・・・」

千織「もう、このわけのわからない世界で頼れるの、車掌さんしかいないんです!お願いします・・・!」

千織「ご迷惑をかけてしまうのはわかってます!でも、お願いします、買ってください・・・!」

59: ◆e.A1wZTEY.:2017/5/6(土) 21:54:44 ID:spmolqlGjY

車掌「・・・なにか勘違いしているようだが」

千織「え・・・?」

車掌「君を買うことと、君を助けることは等しくない。私は君を助けることはできない」

千織「・・・!」

車掌「誰にそそのかされたかしらないが、私に過剰な期待をしないことだ」

千織「っ・・・それでも!このまま、魚のお化けに連れて行かれるのは困るんです!」

千織「お願いします、お願いします・・・!」

拘束された状態で、必死に頭を下げる

60: ◆e.A1wZTEY.:2017/5/6(土) 21:59:26 ID:spmolqlGjY

千織「髪の毛、根こそぎあげてもいいです!私にできることなら、何でもします!!」

車掌「・・・」

目をつぶり、ため息をつく

車掌「買うということは、君の身体を全て、私が所有することを意味する。わかっているか?」

千織「・・・!」

ゴクリと唾をのむ

千織「わかって、います・・・」

車掌「よろしい」

すると、車掌は背を向け、貨物車両を出て行った

244.81 KBytes

名前:
sage:


[1] 1- [2] [3]最10

[4]最25 [5]最50 [6]最75

[*]前20 [0]戻る [#]次20

うpろだ
スレ機能】【顔文字