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歪世界トレイン
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1: ◆e.A1wZTEY.:2017/4/30(日) 20:25:16 ID:4iSJ1d7xp2

乗客Yx1

戸野 千織(トノ チオリ)

目が覚めたらそこは、走る列車の中だった



386: ◆e.A1wZTEY.:2018/9/8(土) 19:05:31 ID:7Cg5LKsjhw
>>385
ありがとうございます〜!
これから更新します
387: ◆e.A1wZTEY.:2018/9/8(土) 19:14:11 ID:7Cg5LKsjhw

千織「・・・」 ポカーン

ブリアン「千織、口あいてるよ」

千織「え、あ・・・あの」

千織「しゃ、車掌さんは・・・な、何者なんですか?」

ブリアン「車掌は車掌だよ」

千織「そうではなくて!せ、精力を使ってないのにあんなに強いなんて」


388: ◆e.A1wZTEY.:2018/9/8(土) 19:15:25 ID:7Cg5LKsjhw

ブリアン「あれは多分、車掌にとっては護身術の域なんだよ。この世界は知能の低い奴らが多くて、絡まれることが多いからね」

ブリアン「ゲテモノを乗せた列車を毎日正常運行させるためには、あのくらい必要でしょ」

千織「でも、2対1なのに・・・」

ブリアン「兎一族はもともと戦闘能力があまり高くないのもあるかもね」

千織「な、なるほど・・・」


389: ◆e.A1wZTEY.:2018/9/8(土) 19:17:56 ID:7Cg5LKsjhw

兎男「えい!とりゃ!ふん!」

必死に剣を振るが、全て読まれているのか車掌には全く当たらない

兎男「・・・」 ハァッハァッ

兎男「くそ、どうすれば・・・」

車掌「・・・」

冷めた瞳で汗だくの兎男を眺める

車掌「・・・お前、千織を守りたいと言ったな」

兎男「!」

車掌「この世界は人間にとって危険で溢れているのに、その程度でよく守るなどと言えたものだ」

390: ◆e.A1wZTEY.:2018/9/8(土) 19:20:25 ID:7Cg5LKsjhw

兎男「そ、それは・・・!」

車掌「気持ちだけではどうにもならない。お前はそれを理解するべきだ」

千織「・・・!」

不意に、以前兎男と話した内容を思い出す

“兎男『実は俺、ミュージシャンになりたいなって、ちょっと考え始めてるんだ。音楽が好きだから』”

“兎男『でも、仲間には無理だって言われてる。見た目も冴えないし、気が弱いから』”

“兎男『俺…みんなから変わってるって言われるんだ。だから自信なくしちゃって』”

あのとき、千織は「変じゃない」「私は応援する」と兎男を鼓舞した

しかし、車掌は「考え方が若くて甘い」と評していた

391: ◆e.A1wZTEY.:2018/9/8(土) 19:22:54 ID:7Cg5LKsjhw

千織(・・・私は)

千織(・・・車掌さんの言うことは正論だと思う・・・けど、)

千織(兎男さんの言ってることは、変じゃない)

車掌「だからお前は、他の兎男たちよりも浮いてしまうんだ」

兎男「!」

兎兄貴「てめえ!!」

千織「ま・・・」

千織「待って!!!」

392: ◆e.A1wZTEY.:2018/9/8(土) 19:25:21 ID:7Cg5LKsjhw

「!?」

人一倍大きな声を出した千織に、皆がぎょっとする

ブリアン「千織・・・?」

千織「あ・・・あの」

千織「それ以上、兎男さんを悪く言わないでください。車掌さんは・・・わ、わかってないです」

兎男「! 千織ちゃん!」

車掌「・・・わかってない?」


393: ◆e.A1wZTEY.:2018/9/8(土) 19:28:41 ID:7Cg5LKsjhw

千織「車掌さんの言ってることは正しいです!でも、でも・・・人の心って、単純じゃないんです」

千織「理論的に考えてやめておいた方がいいことも、本心ではやりたいって思っていたら、やらなきゃいけないことがあるんです」

車掌「・・・お前が私を振り回すときは、いつもそれだな。理論で拒否しても、強引に感情で押してくる」

車掌「それは大いに結構だが、自分のキャパシティを考えてやれと言っている」

千織「キャパシティとか、そういうのを無視してでもやりたいと思うことがあるんです!」

千織「そ、それが・・・人間の心の1つ、だと思うんですけど」

兎男「千織ちゃん・・・」

394: ◆e.A1wZTEY.:2018/9/9(日) 10:10:43 ID:7Cg5LKsjhw

兎兄貴「・・・兎男・・・お前、人間だったのか?」

千織「つ、つまり!兎男さんは変わってるとか、浮いてるとかじゃなくて・・・他の人より、人間の心を豊かにもってるんだと思うんです」

千織「だから、そこを否定してあげてほしくないんです・・・」

車掌「・・・」

目を細めて息をつく

車掌「・・・この世界には、人間はいない。だから、人間の心などというものは意味をなさない」

車掌「だから、私にはその心を理解することはできないし、理解する必要もない」

千織「そ、そんなの決めつけです!」

395: ◆e.A1wZTEY.:2018/9/9(日) 10:33:51 ID:7Cg5LKsjhw

千織「意味があるかとか、理解する必要があるかとか、そんなのは車掌さん個人の考え方であって、兎男さんに強制していいことではないと思います」

兎男「・・・!」 ジーン

千織「車掌さんは私の恩人です。でも兎男さんの気持ちもよくわかるんです。私はどっちかが間違っているとは言えません」

千織「だから・・・これ以上皆さんが闘っているところを見たくありません。お願いします・・・」 ペコリ

車掌「・・・」

目を細め、静かに息をつく

車掌「・・・わかった」

千織「車掌さん!」

車掌「実力差は示したし、お前たちも私に勝てないことはわかっただろう。千織に免じて見逃してやるから、さっさと消えろ」

396: ◆e.A1wZTEY.:2018/9/9(日) 10:35:44 ID:7Cg5LKsjhw

兎兄貴「な、なんだと」

兎男「あ、兄貴・・・」

兎兄貴の腕をつかむ

兎男「引こう。千織ちゃんが、俺たちを助けようとしてくれてるんだよ」

兎男「千織ちゃん、ありがとう。俺、また励まされちゃったよ・・・」

兎男「無理やり車掌の傍に拘束されてるわけじゃないんだよね?それだけ確認させて」

千織「は、はい。私は、事情があって車掌さんのお世話になってるんですけど、決して悪いことはされていないです」

兎男「良かった。・・・いろいろ、ごめんね。迷惑かけて。ありがとう」

397: ◆e.A1wZTEY.:2018/9/9(日) 10:38:46 ID:7Cg5LKsjhw
訂正
>>389最終行の車掌のセリフ
「人間にとって」の部分を削除してください
398: 名無しさん@読者の声:2018/9/15(土) 20:12:19 ID:5FLtuh9VMs
楽しい物語をありがとう。支援。
399: 名無しさん@読者の声:2018/9/16(日) 11:06:54 ID:H265LO0gUQ
支援
400: ◆e.A1wZTEY.:2018/9/23(日) 12:41:21 ID:7Cg5LKsjhw
>>398
ひえっ・・・そんな風に言って頂けたら・・・感涙の極みでございます・・・ありがとうございます;;;;
書いていて良かった、本当に;

>>399
支援ありがとうございます!!またもや遅くなってすみません、今週半ば頃には更新する予定です!
401: ◆e.A1wZTEY.:2018/9/26(水) 20:50:50 ID:7Cg5LKsjhw

――車掌たちは屋敷から脱出し、地上に出た

兎男たちともそこで別れた

ブリアン「…ふぅ」

ブリアン「ま、とりあえず一件落着って感じ?」

千織「そうですね!」

車掌「・・・」

千織「・・・車掌さん?」

車掌「・・・」 ツーン

402: ◆e.A1wZTEY.:2018/9/26(水) 20:51:58 ID:7Cg5LKsjhw

ブリアン「・・・あーわかった」

ブリアン「せっかく苦労して千織を助けたのに、最後に説教くらったから拗ねてんでしょ」 ニヤニヤ

千織「えっ!?」

ブリアン「ぎにゃっ!」

ガバッとブリアンの身体をつかむ

車掌「お前は大して役に立たなかったくせに偉そうな口をきくなよ?」

ブリアン「いいいたいっていたいって」

403: ◆e.A1wZTEY.:2018/9/26(水) 20:55:02 ID:7Cg5LKsjhw

千織(車掌さんが・・・拗ねてる?)

千織「車掌さんにも、人間みたいなところあるんですね!」

車掌「ない」

千織「良いと思います!」

車掌「ないと言っている」

ブリアン「もー強情なんだからー」


404: ◆e.A1wZTEY.:2018/9/26(水) 20:56:14 ID:7Cg5LKsjhw

3人は列車に戻ってきた

列車の前には、発車を待つ乗客たちが何人もうろついていた

車掌「お待たせして申し訳ありません。早急に発車準備をいたします」

車掌の口調が、いつもの丁寧な敬語に戻る

車掌「ブリアン、乗客に乗車券の確認を」

ブリアン「はーい」

車掌「千織は、貨物を車両に運んで」

千織「は、はい!」

慌ただしく準備にとりかかる

およそ10分後、列車は発車しキサラギ駅を後にした

405: ◆e.A1wZTEY.:2018/9/26(水) 21:00:02 ID:7Cg5LKsjhw

千織「――おわった、あぁ〜・・・」

ぐぐっと伸びをして、寝台に寝転がる

あの後、休む間もなく列車業務にうつり、作業が終了したのは夜の23時だった

千織「・・・」

千織「・・・そうだ」

ふと、思い出す

キサラギ町で助けてもらったことについて、しっかりと礼を言わなければと思っていた

起き上がると、車掌室へ向かった

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