乗客Yx1
戸野 千織(トノ チオリ)
目が覚めたらそこは、走る列車の中だった
351: ◆e.A1wZTEY.:2018/8/1(水) 23:37:08 ID:ont54cCv1I
千織に繋がれた鎖をはずす
ブリアン「・・・ところで」
ブリアン「少女の身体だけど、だいぶ傷んでるよ。兎女の力?かなんかで、腐らずに保存はしてあるけど」
少女「・・・!!」
車掌「見せてみろ」
隣の部屋にいくと、棺桶に少女の身体が安置されていた
しばしそれを眺めると、車掌は小さく息をついて少女をみた
車掌「どうだ?自分の身体と対面した気分は」
352: ◆e.A1wZTEY.:2018/8/1(水) 23:38:17 ID:ont54cCv1I
少女「・・・わ、私・・・本当に生霊だったんですね・・・」
呆然としており、やはりショックは大きいようだ
千織「か、身体に魂を戻すことはできないんですか?」
車掌「できるなら兎女がやっているだろう。身体からは辛うじて精力が感じ取れるが、おそらく魂が入っても動かすことはできない」
少女「そ、そんな・・・!」
少女「じゃあ、私はどうすれば!どうすればいいんですか・・・!?」
車掌「兎女は、お前が自分で死のうとして身体が使えなくなったと言っていた。自業自得だろう」
353: ◆e.A1wZTEY.:2018/8/1(水) 23:39:18 ID:ont54cCv1I
千織「車掌さん!」
少女「な、何とかしてくれるって、言ってたじゃないですか!」
車掌「兎女から身体を取り戻すという意味で、だ。取り戻したあと蘇生できるか否かは、身体の状態を見なければ判断できない」
少女「・・・!!」
少女「うっ、ううっ・・・」
少女が膝をつき、泣き始める
ブリアン「・・・あーあ」
354: ◆e.A1wZTEY.:2018/8/1(水) 23:40:44 ID:ont54cCv1I
ブリアン「どうすんのこの子。僕は千織以外の人間を面倒見る気はないよ」
車掌「・・・」
ブリアン「いっそボロボロの身体ごと列車の燃料にしちゃったら?少しは精力の足しになるでしょ」
千織「ぶ、ブリアンさん、何を言って・・・」
車掌「・・・こんな活きの悪い精力を欲するほど困ってはいない」
車掌「おい、お前」
少女「は、はい・・・」 ヒック
車掌「人間界での自分をまだ覚えているか?故郷を覚えているなら、魂だけでも家族の元へ戻して弔ってやってもいい」
少女「!!」
355: ◆e.A1wZTEY.:2018/8/1(水) 23:42:27 ID:ont54cCv1I
千織「車掌さん・・・!」 パアア
ブリアン「ちょ、ちょっと待ってよ!?」
ブリアン「魂だけ戻すってどうするつもり!?精力を消費するようなことは――」
車掌「安心しろ」
ブリアンの言葉を遮る
車掌「魂を列車で凍結保存する。千織が人間界に帰るタイミングで適当な物に憑依させて、千織に持ち帰らせる。あとは、千織が人間界でこの少女の家族を探し出して渡せばいい」
千織「・・・!」
千織「わ、私やります!やらせてください!!」
356: 名無しさん@読者の声:2018/8/2(木) 19:06:02 ID:SMN2WuISc6
むりはせず C
357: 名無しさん@読者の声:2018/8/6(月) 19:46:22 ID:v77Q6o0Bws
車掌さんいい人支援
358: ◆e.A1wZTEY.:2018/8/9(木) 22:07:29 ID:ont54cCv1I
>>356
支援ありがとうございます!今日ちょっとひと段落したので、ちょっと更新頻度増やしたいと目論んでますw
>>357
支援ありがとうございます!(*´∀`)つ車掌
359: ◆e.A1wZTEY.:2018/8/9(木) 22:10:11 ID:ont54cCv1I
ブリアン「何で千織を帰す前提なんだよ!僕はそこ納得してない!」
車掌「うるさいな。私が買ったのだから私が決める」
少女「魂を凍結保存って・・・そんなことできるんですか?」
車掌「魂は精力の塊だからな。私の専門分野だ。生霊のままだと管理が難しいし、何かに憑依させたとしてもそれが壊れたら今度は死ぬ可能性もある。凍結して安全なところに保管しておくのが良いだろう」
車掌「それ以上の贅沢は叶えてやれない。理解してほしい」
360: ◆e.A1wZTEY.:2018/8/9(木) 22:11:34 ID:ont54cCv1I
少女「…いえ・・・」
少女はぽろぽろと涙をこぼし始める
少女「それだけでもう・・・十分です。この世界に来て私のこと、大事にしてもらったの、初めてで・・・」
少女「嬉しいです・・・ありがとう、ございます・・・」
千織「良かった・・・良かったね」 ウルウル
ブリアン「・・・」 プイ
361: ◆e.A1wZTEY.:2018/8/9(木) 22:13:16 ID:ont54cCv1I
千織「少女さんは、名前とか、覚えてないんですか?あと、この世界に来てしまったきっかけとか」
少女「名前は・・・覚えてます。私の名前は、笠木晴香」
千織「かさきはるか・・・」
少女「でも、どうしてここに来てしまったのか・・・ 学校帰り、気づいたら気を失ってて、」
少女「目が覚めたら暗いトンネルの中だった。そこから必死に歩いたけど、迷子になって、そしたら化け物に捕まって、奴隷にされて・・・」
少女「それからは、もう・・・」 ウウッ
千織「ご、ごめんね、辛いこと思い出させて。教えてくれてありがとう」
千織「私が必ずご家族のところに帰してあげるから」
少女「ありがとう・・・」
362: ◆e.A1wZTEY.:2018/8/9(木) 22:30:05 ID:ont54cCv1I
ブリアン「・・・そういえば、キサラギ駅は人間界との時空が一致しやすいって聞いたことあるよね」
千織「どういうことですか?」
車掌「異世界間の空間に偶発的な繋がりができるということだ。人間が歪世界に入ったとき、キサラギ駅に迷い込むことが多い」
車掌「少女がキサラギ町で奴隷にされたのも、それが原因だろう」
千織「そ、そうなんですか!?じゃあ、私が歪世界に来たとき、列車はキサラギ駅に停まっていたんですか?」
車掌「いや、そんなことはなかった。お前が迷い込んだのは別の原因だと思う」
千織「べ、別の・・・難しいですね・・・」
363: ◆e.A1wZTEY.:2018/8/9(木) 22:32:19 ID:ont54cCv1I
車掌「――話を戻すが」
少女の方へ向き直る
車掌「おそらく、生霊のままではお前はこの屋敷から出ることはできない。肉体から一定距離離れることができないからな」
少女「はい」
車掌「肉体は持っていけない。よって、ここで凍結処理する」
少女「・・・はい」
車掌が少女に手をかざす
364: ◆e.A1wZTEY.:2018/8/9(木) 22:35:36 ID:ont54cCv1I
すると、すうっと少女の周りが薄青色の光につつまれた
少女の身体が次第に消えていき、1つの球体になる
車掌は精力で透明な箱を作り出すと、その中に魂を入れた
千織「・・・」
千織「・・・良かった」
ほっと安堵する
千織「車掌さん。私も彼女も、助けて下さって本当にありがとうございます」 ペコリ
車掌「・・・」 ハァ
車掌「さっさと屋敷を出て、列車に戻るぞ」
365: ◆e.A1wZTEY.:2018/8/9(木) 22:43:09 ID:ont54cCv1I
お気づきの方もいらっしゃったと思いますが、モチーフにさせていただきました
「きさらぎ駅」http://llike.net/2ch/fear/kisaragi.htm
※物語上の関連性はありません
366: 名無しさん@読者の声:2018/8/12(日) 09:30:14 ID:n6L.IjToRA
懐かしいですね、きらさぎ駅(*´∀`*)
367: ◆e.A1wZTEY.:2018/8/18(土) 05:24:42 ID:36uvoWkwM.
>>366
懐かしいですよね
怖いんですけど、不思議な異世界感が忘れられない話です
更新遅れてすみません;
今週中に書く予定だったんですが、急な予定が入ってしまったので
日曜か、来週頭くらいに更新します
368: 名無しさん@読者の声:2018/8/20(月) 10:43:47 ID:n6L.IjToRA
ふぁいと! 支援
369: ◆e.A1wZTEY.:2018/8/21(火) 20:52:22 ID:36uvoWkwM.
>>368
ありがとうございます!感謝です(´∀`*)
370: ◆e.A1wZTEY.:2018/8/21(火) 20:53:13 ID:36uvoWkwM.
――その時だった
ガタンと音を立て、勢いよく部屋の扉が開いた
「やっと見つけたぞおっっ!!!!」
「!?」
見ると、息を切らした兎男と兎兄貴が立っていた
兎男「千織ちゃん!待たせてごめんね!!」
兎兄貴「てめえ、さっきはよくも嵌めやがったな!今度は許さねえぞ!!」
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