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歪世界トレイン
[8] -25 -50 

1:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/4/30(日) 20:25:16 ID:4iSJ1d7xp2

乗客Yx1

戸野 千織(トノ チオリ)

目が覚めたらそこは、走る列車の中だった



329:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/7/4(水) 20:03:23 ID:2devQBjAhY

ブリアン「先に言っておくけど、馬鹿みたいな精力の使い方はしないでよ。車掌の精力は、列車を動かすためにあるんだ。寿命を減らさないように頼むよ」

車掌「千織を助けてほしいんじゃないのか?」

ブリアン「千織を助けることで今後得られる精力と、千織を助けるために消費する精力。この精力の収支がマイナスにならないようにしてって言ってんの」

車掌「・・・」 ハァ

車掌「安心しろ。今回はプラスになる」


330:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/7/4(水) 20:05:35 ID:2devQBjAhY

千織「わ、私を、どうするつもりですか?」

兎女「今まで使ってた少女の代わりをしてくれればいいわ。私の下僕となって、身の回りの世話をするの」

兎女「ちっとも難しくないでしょう?化け物に捕らわれて食事にされるよりずっといいわ」

千織「で、でも・・・!あの女の子は、生霊になってしまっていたのに」

兎女「自分で死のうとしたのよ。馬鹿な子よね、せっかくの生身の身体を自分でぼろぼろにするなんて」

兎女「あなたは賢そうだし、そんなことしないでね?」


331:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/7/4(水) 20:07:07 ID:2devQBjAhY

兎女「仮に死のうとしても、同じように生霊化させて使うだけ。生身より不便だし、私もあなたにもメリットはないわ」

千織「・・・生霊ってことは、身体は完全には死んでないんですよね?」

千織「女の子の身体は今どこにあるんですか!?」

兎女「・・・あ」

兎女「すっかり忘れていたわあ。交換契約したんだから、あの車掌に死にぞこないの身体を渡さなきゃだったかしら」


332:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/7/4(水) 20:08:38 ID:2devQBjAhY

うーん、と考えるそぶりをしたあと、にこりと笑った

兎女「・・・ま、面倒だしいっか♪」

千織「ちょ・・・!」

「――わざわざ取りに来てやったが」

次の瞬間

ガタンと扉が開き、車掌が部屋に入ってきた

千織「車掌さん!」

後からブリアンと少女も入ってくる

333:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/7/4(水) 20:09:51 ID:2devQBjAhY

兎女「・・・あらあら」

兎女「どうしてこの地下の部屋にたどり着けたのかしら・・・と思ったら、そういうことね」

少女「ひっ」

兎女に睨まれた少女が車掌の後ろに隠れる

兎女「その子の身体を取りに来たのよね?ごめんなさいねえ、私ったらうっかりしちゃって」

兎女「すぐ渡すから、そしたらお引き取り願える?」

車掌「・・・ああ」

334:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/7/4(水) 20:12:01 ID:2devQBjAhY

兎女「物分かりが良くて助かるわ」 ニッコリ

兎女「その子の身体は、ここの右隣の部屋の棺桶に入ってるわ。鍵をあけといてあげるから、勝手にもっていって」

少女「!」

車掌「・・・ブリアン」

ブリアン「はいはい」

確認のためにブリアンが隣の部屋に走っていく

ブリアン「――あったよ〜」

1分後、隣の部屋からブリアンの声が聞こえた

335:🎏 名無しさん@読者の声:2018/7/12(木) 09:35:03 ID:dYZi6Pf3ok
更新きてた〜(*´∀`*)ノC
336:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/7/17(火) 01:03:08 ID:2devQBjAhY
>>335
支援感謝です〜!
活力になってます(*´ω`)
337:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/7/17(火) 01:09:54 ID:2devQBjAhY

兎女「はい。じゃ、そういうことで」

兎女「もう用はないわよね。サヨウナラ」

手を振り、帰るように促す

車掌「…悪いが」

車掌「この契約は破棄する」

千織「!!」

兎女「・・・は?」

338:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/7/17(火) 01:12:08 ID:2devQBjAhY

車掌「この少女も、千織も、私の所有とさせてもらう」

兎女「な、何を言ってるのかしら?あなた契約書にサインしたわよね」

車掌「した。そのうえで、破棄すると言っている」

兎女「あ・・・あははは!馬鹿なのかしら!?この契約には呪いがかかってると言ったはずよ!」

兎女「破った者は呪いによって死ぬ!信じてないの?」

車掌「死だったら自分の心配をしたらどうだ」

次の瞬間

車掌は剣を抜き、一瞬で兎女へと間合いを詰めた

339:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/7/17(火) 01:14:56 ID:2devQBjAhY

兎女「!!」

ガタン!!

兎女が座っていた椅子が勢いよく倒れる

車掌が兎女を床に倒し、左手で首をおさえ、右手で剣を突き付けていた

千織(ぜ、全然見えなかった・・・!)

兎女「う、うぐぐぐ・・・!」

車掌「・・・ヒソヒソと隠れ住んでいるだけあって、ひ弱なようだな」

車掌「生きて人間2人を解放するか、死んで解放するか、好きな方を選べ」

340:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/7/17(火) 01:17:34 ID:2devQBjAhY

兎女「ふ・・・ふふ。どちらを選んでも、あなたは死ぬことになるわよ?契約違反だもの」

兎女「選択する必要なんてないわ。今の発言で契約違反は明確的・・・」

兎女がにっこりと笑う

兎女「さぁ!呪いの裁きを受けなさい!!」

手を振ると、契約書がヒラリと宙を舞った

そして――

ドギュンッッ

どす黒い物体が飛び出した

341:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/7/17(火) 01:21:07 ID:2devQBjAhY

千織「!!」

その物体は部屋を一周すると、車掌に向かって一直線に飛んだ

千織「車掌さん!!」

兎女「死になさい!」

物体は鋭く形態を変化させ、車掌の背後から腹を貫通した

千織「ひっ・・・」

思わず目をつぶる

ブリアン「腹に入ったのか・・・」

車掌の血肉をまとった物体が浮遊する

兎女「ふふふふふ。はらわたを食われる感覚はいかがかしら?」

342:🎏 名無しさん@読者の声:2018/7/20(金) 09:15:39 ID:N6n8ZELEgc
支援!
343:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/7/24(火) 20:41:49 ID:2devQBjAhY
>>342
支援感謝いたします〜!!
344:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/7/24(火) 20:51:47 ID:2devQBjAhY

車掌は俯き、表情はみえない

相変わらず自分を押さえつけ、剣をつきつけているが、これを維持する力はないはずだ

兎女「馬鹿な男ね」

車掌をどかそうと、手足に力をいれたとき――

車掌「・・・悪いな」

兎女「!!!」

車掌は目を開き、勢いよく剣を兎女の胸に突き刺した

345:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/7/24(火) 20:53:02 ID:2devQBjAhY

兎女「あっあぐっ・・・・」

深く突き刺さった剣からは、逃れることができない

兎女「な、な、・・・なぜ、・・・」

もがき、車掌に向かって手をのばす

兎女「あ、あぐ、あぐ・・・」

兎女「く、くそ・・・くそ・・・どうして・・・、」

車掌「・・・楽にしてやろうか」


346:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/7/24(火) 20:54:49 ID:2devQBjAhY

ズボッッ

車掌は腕に力を入れると、兎女に突き刺さった剣を引き抜いた

兎女「ひぎっ・・・」

千織「きゃっ・・・」

千織が思わず目をつむる

車掌は引き抜いた剣をそのまま、再び兎女の胸に振り下ろした


347:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/7/24(火) 20:57:38 ID:2devQBjAhY

ブリアン「――お疲れさま」

返り血をぬぐう車掌に近づく

ブリアン「最初からわかってたの?“呪いの正体が精力”だって」

千織「え・・・!?精力・・・!?」

車掌「この世界で呪いなどという都合の良い使い方ができるものは、精力しか思い浮かばなかった。それだけだ」

ブリアン「兎女は車掌と同じ精力を与えられた者だったってこと?」

車掌「いや、違うと思う。あの女自体からは精力は感じなかった。金はあるようだから、どこかから精力を購入して形を変えさせたんだろう」

348:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/7/24(火) 20:59:24 ID:2devQBjAhY

千織「え、あの、ちょっと待ってください」

千織「車掌さんが無事なのは、あの黒い物体の正体が精力だったからってことですか?」

ブリアン「そうだよ」

ブリアン「僕も最初は気づかなかったけど。呪いは車掌を喰おうとして腹に入ったけど、逆に車掌に喰われちゃったって感じだよね」

千織「そ、そういうことだったんですか・・・」

千織「良かった、車掌さんが無事で・・・」 ウッ

車掌「・・・」

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