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歪世界トレイン
[8] -25 -50 

1: ◆e.A1wZTEY.:2017/4/30(日) 20:25:16 ID:4iSJ1d7xp2

乗客Yx1

戸野 千織(トノ チオリ)

目が覚めたらそこは、走る列車の中だった



315: ◆e.A1wZTEY.:2018/6/19(火) 21:59:44 ID:DapDYfJjKw

ブリアン「・・・じゃあ、どうせ千織はこの少女を助けろと言って言うことを聞かなくなるから、さっさと助けてやることにしたってわけ?」

ブリアン「それでもいいけど、代わりに千織を差し出すのは納得いかない」

車掌「少しは頭を使え」

車掌「兎女は、千織を手に入れたいと思っている。そして、千織はいま檻の中に捕らわれていて、私たちの手から離れている。仮に何らかの方法で檻から出せても、兎女が操るこの屋敷から無事に脱出できる保証はない。こちらの方が不利な状況だ」

車掌「この不利な状況を打開するために必要なことは何だと思う」

ブリアン「・・・」

考えて、つぶやく

ブリアン「・・・・兎女を・・・見つけ出して、シメる」

車掌「そういうことだ」

316: ◆e.A1wZTEY.:2018/6/19(火) 22:01:16 ID:DapDYfJjKw

車掌は倒れている少女に近づき、身体に触れようとした

――が、手はすうっと身体を透き抜けた

車掌「・・・生霊というのは確からしいな」

車掌「身体はどうなると言っていた?」

ブリアン「し、知らないけど・・・“身体は使えなくなった”って言ってたよね」

車掌「生霊である以上、身体は死んではいないはずだ。おそらくどこかにある」

ブリアン「どこかにあるって・・・」


317: ◆e.A1wZTEY.:2018/6/19(火) 22:03:27 ID:DapDYfJjKw

車掌「おい、起きろ」

少女に呼びかける

車掌「起きろと言っている」

語気を強めると、少女はぴくりと眉を動かした

ブリアン「あ・・・」

少女「・・・わた・・・し」

少女が目を開けるやいなや、車掌は少女の目の前に剣先をつきつけた

少女「! な、なにを・・・」

車掌「・・・“それ以上死にたくなければ”、私の命令を聞け」

318: 名無しさん@読者の声:2018/6/22(金) 09:22:29 ID:kbTChomcX.
待ってました(>∀<)/
319: ◆e.A1wZTEY.:2018/6/24(日) 16:56:19 ID:DapDYfJjKw
>>318
お待ちいただきありがとうございます!
とても励みになります(´`*)
320: ◆e.A1wZTEY.:2018/6/24(日) 16:59:49 ID:DapDYfJjKw

千織「――う・・・」

千織は大きなベッドの上で目を覚ました

千織「・・・」

千織「・・・」 ハッ

すぐに状況を思い出して、身体を起こした

――が、

ガキッッ!!

千織「え・・・!?」

手には手錠がはめられ、ベッドの柱と鎖で繋がれており、身動きがとれなくなっていた

321: ◆e.A1wZTEY.:2018/6/24(日) 17:01:30 ID:DapDYfJjKw

危機的状況に青ざめる

『――こんにちは』

不意に背後から声が聞こえ、振り向く

そこには、人型の女兎が立っていた

千織「・・・あなたが、兎女・・・?」

兎女「そうよ。今日からあなたの主人」

千織「っ・・・」

間違いなく、車掌は人間交換の契約に同意し、サインしていた

自分は兎女の奴隷となってしまったのだ

322: ◆e.A1wZTEY.:2018/6/24(日) 17:04:43 ID:DapDYfJjKw

千織「しゃ、車掌さんは・・・」

兎女「もしかして、あの車掌が助けに来てくれることを期待してる?残念ながら、あの契約書は本物よ」

兎女「契約を破った瞬間、契約書に封印された呪念が解き放たれ、違反者のはらわたを食らう」

千織「は、はらわた・・・!?」

兎女「この世界は死者の世界だって知ってる?」

兎女「死者の世界の者が再び死を迎えるとね、全ての世界から消えていなくなるの。人間界にも、歪世界にも、他の異世界にも、その魂は存在しなくなる」

兎女「そんなの嫌よね。せっかく二度目の生を与えられたこの世界で、無駄死になんてしたくない・・・」

兎女「だから車掌は契約を破らないわ。わかるわよね?」

323: ◆e.A1wZTEY.:2018/6/24(日) 17:07:17 ID:DapDYfJjKw

少女「――しにたくないっ!」

少女「私は生きて、生きて、生きて・・・生きてもとの世界に帰るの・・・!」

車掌「・・・」 ハァ

車掌「自分がいまどういう状態なのかすらわかっていないようだな」

少女「え?」

すると、車掌は剣を振り上げ、少女の顔に突き刺した

少女「ひいっ!!!」

だが剣は少女の顔を通り抜け、床に刺さった

324: ◆e.A1wZTEY.:2018/6/24(日) 17:13:42 ID:DapDYfJjKw

少女「・・・?」

車掌「お前は今身体を持っていない。つまり、生きてはいないのだ」

少女「え・・・!?え、え・・・!?!?」

車掌「だが、死んでもいない。人間界で言う“幽体離脱”のような状態だ」

車掌「しかしこのままの状態を放置すると、いずれ魂が体から完全に離脱し、自動的に死ぬ」

少女「・・・!」

車掌「助ける方法はただ1つ。兎女からお前の身体を取り戻すことだ」

少女「ど、ど、どうすれば・・・」

車掌「先ほど私が言ったな?死にたくなければ、私の命令を聞けと」

コクコクと少女がうなづく

車掌「この屋敷に隠れている兎女の場所へ案内しろ。あとは何とかしてやる」

325: 名無しさん@読者の声:2018/6/27(水) 17:43:29 ID:fXmvYlRTI6
C
326: 名無しさん@読者の声:2018/7/3(火) 11:28:32 ID:N6n8ZELEgc
支援〜
327: ◆e.A1wZTEY.:2018/7/3(火) 22:39:47 ID:2devQBjAhY
>>325>>326
支援ありがとうございます〜!
明日更新しますのでしばしお待ちを(^○^)
328: ◆e.A1wZTEY.:2018/7/4(水) 20:02:28 ID:2devQBjAhY

少女のあとについて、車掌とブリアンは長い階段を下りていた

走りながら、思案する

ブリアン(相変わらず車掌にとってメリットは何もないけど、千織を見捨てるっていう選択肢は考えてないみたいで良かった)

ブリアン(ま、ここまで精力消費して助けてきたんだから、無駄死にさせないようにするのは当然か)

ブリアン(でも、何か勝算があるのか?ここには列車がないから、仮に精力を操ろうとしても限界があるぞ)

ブリアン「・・・車掌」

車掌「なんだ」

329: ◆e.A1wZTEY.:2018/7/4(水) 20:03:23 ID:2devQBjAhY

ブリアン「先に言っておくけど、馬鹿みたいな精力の使い方はしないでよ。車掌の精力は、列車を動かすためにあるんだ。寿命を減らさないように頼むよ」

車掌「千織を助けてほしいんじゃないのか?」

ブリアン「千織を助けることで今後得られる精力と、千織を助けるために消費する精力。この精力の収支がマイナスにならないようにしてって言ってんの」

車掌「・・・」 ハァ

車掌「安心しろ。今回はプラスになる」


330: ◆e.A1wZTEY.:2018/7/4(水) 20:05:35 ID:2devQBjAhY

千織「わ、私を、どうするつもりですか?」

兎女「今まで使ってた少女の代わりをしてくれればいいわ。私の下僕となって、身の回りの世話をするの」

兎女「ちっとも難しくないでしょう?化け物に捕らわれて食事にされるよりずっといいわ」

千織「で、でも・・・!あの女の子は、生霊になってしまっていたのに」

兎女「自分で死のうとしたのよ。馬鹿な子よね、せっかくの生身の身体を自分でぼろぼろにするなんて」

兎女「あなたは賢そうだし、そんなことしないでね?」


331: ◆e.A1wZTEY.:2018/7/4(水) 20:07:07 ID:2devQBjAhY

兎女「仮に死のうとしても、同じように生霊化させて使うだけ。生身より不便だし、私もあなたにもメリットはないわ」

千織「・・・生霊ってことは、身体は完全には死んでないんですよね?」

千織「女の子の身体は今どこにあるんですか!?」

兎女「・・・あ」

兎女「すっかり忘れていたわあ。交換契約したんだから、あの車掌に死にぞこないの身体を渡さなきゃだったかしら」


332: ◆e.A1wZTEY.:2018/7/4(水) 20:08:38 ID:2devQBjAhY

うーん、と考えるそぶりをしたあと、にこりと笑った

兎女「・・・ま、面倒だしいっか♪」

千織「ちょ・・・!」

「――わざわざ取りに来てやったが」

次の瞬間

ガタンと扉が開き、車掌が部屋に入ってきた

千織「車掌さん!」

後からブリアンと少女も入ってくる

333: ◆e.A1wZTEY.:2018/7/4(水) 20:09:51 ID:2devQBjAhY

兎女「・・・あらあら」

兎女「どうしてこの地下の部屋にたどり着けたのかしら・・・と思ったら、そういうことね」

少女「ひっ」

兎女に睨まれた少女が車掌の後ろに隠れる

兎女「その子の身体を取りに来たのよね?ごめんなさいねえ、私ったらうっかりしちゃって」

兎女「すぐ渡すから、そしたらお引き取り願える?」

車掌「・・・ああ」

334: ◆e.A1wZTEY.:2018/7/4(水) 20:12:01 ID:2devQBjAhY

兎女「物分かりが良くて助かるわ」 ニッコリ

兎女「その子の身体は、ここの右隣の部屋の棺桶に入ってるわ。鍵をあけといてあげるから、勝手にもっていって」

少女「!」

車掌「・・・ブリアン」

ブリアン「はいはい」

確認のためにブリアンが隣の部屋に走っていく

ブリアン「――あったよ〜」

1分後、隣の部屋からブリアンの声が聞こえた

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