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歪世界トレイン
[8] -25 -50 

1:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/4/30(日) 20:25:16 ID:4iSJ1d7xp2

乗客Yx1

戸野 千織(トノ チオリ)

目が覚めたらそこは、走る列車の中だった



305:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/6/8(金) 20:39:09 ID:DapDYfJjKw
>>304
支援ありがとうございます!
がんばりますぞい(*^▽^*)
306:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/6/8(金) 20:44:51 ID:DapDYfJjKw

車掌「お前に私が欲しいものは用意できない」

少女「・・・そう。せっかく良い取引をもちかけているのに、酷い態度ね」

車掌「取引はしない。代わりに、私はお前が所有する人間に手を出さない、お前も私が所有する人間に手を出さない。それでいいだろう」

千織「ま・・・待ってください!」

千織「車掌さん、私・・・私、この人間の女の子が生きているなら、助けてあげてほしいです・・・!!」

ブリアン「ぶっ」

車掌「・・・」

307:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/6/8(金) 20:46:30 ID:DapDYfJjKw

大きくため息をつく

車掌「・・・いい加減にしろ。お前のそれは一体何回目だ?」

千織「でも、でも・・・!このまま見過ごすことなんてできません・・・!」

ブリアン「千織、自分の状況忘れてない?君、いま兎女に捕まって檻の中なんだよ?」

千織「そ、それは・・・そうですけど」

少女「・・・あなた、面白いわね。それならこうしない?」

少女「お互いの人間を交換するの。私が今使ってるこの少女をあげる。その代わり、その千織とかいう人間を私にちょうだい」

308:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/6/8(金) 20:48:04 ID:DapDYfJjKw

千織「え・・・」

少女「あなた、助けたいって言ったわよね?もしかして自分は何もしないで済むと思ってた?世の中そんなに甘くないわよ」

車掌「いいだろう」

千織「・・・え?」

ブリアン「は?」

車掌の言葉に、耳を疑う


309:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/6/8(金) 20:50:52 ID:DapDYfJjKw

車掌「交換してやる。こちらの人間を渡すから、その生霊になってる娘を渡せ」

千織「しゃ、車掌さ…」

車掌「人間なんて、どれも同じだ。私にこだわりはない」

ブリアン「車掌!何言ってんの!」

少女「・・・その言葉、偽りないわね」

少女「嘘をつかれたら困るから、契約書を書いてもらうわ」

ふわりと1枚の紙とペンが宙に舞い、車掌の前に落ちる

310:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/6/8(金) 20:53:28 ID:DapDYfJjKw

少女「その紙には呪いがかかっているの。契約を破った者は、この世界での死を迎える」

車掌「なるほどな」

何のためらいもなく、車掌はサインする

車掌「――契約完了だ」

次の瞬間、少女がばたりと倒れた

そして―――

ガタン!!

千織「ひいいぃっ!?」

床に巨大な穴が開き、千織が入った檻が落ちていった

311:🎏 名無しさん@読者の声:2018/6/13(水) 15:05:31 ID:jMFJ/QEKJY
再び車掌さんと離れ離れに(>_<)
支援〜。
312:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/6/18(月) 21:19:28 ID:DapDYfJjKw
>>311
支援ありがとうございます〜!!
明日更新しますのでしばしお待ちくださいませ
313:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/6/19(火) 21:54:13 ID:DapDYfJjKw

ブリアン「千織!!」

あっという間に、千織の姿が暗闇に消えた

ブリアン「車掌、どういうつもりなの!」

ブリアン「千織と死にぞこないの人間の娘が同価値なわけないだろう!?」

ブリアン「いったい何を考えて――」

車掌「静かにしろ」

ため息をつく

314:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/6/19(火) 21:55:24 ID:DapDYfJjKw

車掌「経験上、千織はああなると自分の望みを譲らない。私が何を言おうと、ひたすら頭を下げて頼んでくる」

車掌「それは時間の無駄だと思っただけだ」

ブリアン「ああなると・・・?」

車掌「私に頼みごとをするときの態度だ」

ブリアン「・・・」

確かに、自分を買ってくれと頼んだとき、魚人から恭太を助けてくれと頼んだとき、この世界で恭太を探させてくれと頼んだとき、車掌がいくら拒否しても千織は引き下がらなかった

315:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/6/19(火) 21:59:44 ID:DapDYfJjKw

ブリアン「・・・じゃあ、どうせ千織はこの少女を助けろと言って言うことを聞かなくなるから、さっさと助けてやることにしたってわけ?」

ブリアン「それでもいいけど、代わりに千織を差し出すのは納得いかない」

車掌「少しは頭を使え」

車掌「兎女は、千織を手に入れたいと思っている。そして、千織はいま檻の中に捕らわれていて、私たちの手から離れている。仮に何らかの方法で檻から出せても、兎女が操るこの屋敷から無事に脱出できる保証はない。こちらの方が不利な状況だ」

車掌「この不利な状況を打開するために必要なことは何だと思う」

ブリアン「・・・」

考えて、つぶやく

ブリアン「・・・・兎女を・・・見つけ出して、シメる」

車掌「そういうことだ」

316:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/6/19(火) 22:01:16 ID:DapDYfJjKw

車掌は倒れている少女に近づき、身体に触れようとした

――が、手はすうっと身体を透き抜けた

車掌「・・・生霊というのは確からしいな」

車掌「身体はどうなると言っていた?」

ブリアン「し、知らないけど・・・“身体は使えなくなった”って言ってたよね」

車掌「生霊である以上、身体は死んではいないはずだ。おそらくどこかにある」

ブリアン「どこかにあるって・・・」


317:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/6/19(火) 22:03:27 ID:DapDYfJjKw

車掌「おい、起きろ」

少女に呼びかける

車掌「起きろと言っている」

語気を強めると、少女はぴくりと眉を動かした

ブリアン「あ・・・」

少女「・・・わた・・・し」

少女が目を開けるやいなや、車掌は少女の目の前に剣先をつきつけた

少女「! な、なにを・・・」

車掌「・・・“それ以上死にたくなければ”、私の命令を聞け」

318:🎏 名無しさん@読者の声:2018/6/22(金) 09:22:29 ID:kbTChomcX.
待ってました(>∀<)/
319:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/6/24(日) 16:56:19 ID:DapDYfJjKw
>>318
お待ちいただきありがとうございます!
とても励みになります(´`*)
320:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/6/24(日) 16:59:49 ID:DapDYfJjKw

千織「――う・・・」

千織は大きなベッドの上で目を覚ました

千織「・・・」

千織「・・・」 ハッ

すぐに状況を思い出して、身体を起こした

――が、

ガキッッ!!

千織「え・・・!?」

手には手錠がはめられ、ベッドの柱と鎖で繋がれており、身動きがとれなくなっていた

321:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/6/24(日) 17:01:30 ID:DapDYfJjKw

危機的状況に青ざめる

『――こんにちは』

不意に背後から声が聞こえ、振り向く

そこには、人型の女兎が立っていた

千織「・・・あなたが、兎女・・・?」

兎女「そうよ。今日からあなたの主人」

千織「っ・・・」

間違いなく、車掌は人間交換の契約に同意し、サインしていた

自分は兎女の奴隷となってしまったのだ

322:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/6/24(日) 17:04:43 ID:DapDYfJjKw

千織「しゃ、車掌さんは・・・」

兎女「もしかして、あの車掌が助けに来てくれることを期待してる?残念ながら、あの契約書は本物よ」

兎女「契約を破った瞬間、契約書に封印された呪念が解き放たれ、違反者のはらわたを食らう」

千織「は、はらわた・・・!?」

兎女「この世界は死者の世界だって知ってる?」

兎女「死者の世界の者が再び死を迎えるとね、全ての世界から消えていなくなるの。人間界にも、歪世界にも、他の異世界にも、その魂は存在しなくなる」

兎女「そんなの嫌よね。せっかく二度目の生を与えられたこの世界で、無駄死になんてしたくない・・・」

兎女「だから車掌は契約を破らないわ。わかるわよね?」

323:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/6/24(日) 17:07:17 ID:DapDYfJjKw

少女「――しにたくないっ!」

少女「私は生きて、生きて、生きて・・・生きてもとの世界に帰るの・・・!」

車掌「・・・」 ハァ

車掌「自分がいまどういう状態なのかすらわかっていないようだな」

少女「え?」

すると、車掌は剣を振り上げ、少女の顔に突き刺した

少女「ひいっ!!!」

だが剣は少女の顔を通り抜け、床に刺さった

324:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/6/24(日) 17:13:42 ID:DapDYfJjKw

少女「・・・?」

車掌「お前は今身体を持っていない。つまり、生きてはいないのだ」

少女「え・・・!?え、え・・・!?!?」

車掌「だが、死んでもいない。人間界で言う“幽体離脱”のような状態だ」

車掌「しかしこのままの状態を放置すると、いずれ魂が体から完全に離脱し、自動的に死ぬ」

少女「・・・!」

車掌「助ける方法はただ1つ。兎女からお前の身体を取り戻すことだ」

少女「ど、ど、どうすれば・・・」

車掌「先ほど私が言ったな?死にたくなければ、私の命令を聞けと」

コクコクと少女がうなづく

車掌「この屋敷に隠れている兎女の場所へ案内しろ。あとは何とかしてやる」

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