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歪世界トレイン
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1: ◆e.A1wZTEY.:2017/4/30(日) 20:25:16 ID:4iSJ1d7xp2

乗客Yx1

戸野 千織(トノ チオリ)

目が覚めたらそこは、走る列車の中だった



298: ◆e.A1wZTEY.:2018/6/4(月) 19:13:43 ID:DapDYfJjKw
>>297
うおおおこちらこそお読みいただきありがとうございます・・・!(^○^)
感謝感激雨あられ;;活力になります
299: ◆e.A1wZTEY.:2018/6/4(月) 19:15:28 ID:DapDYfJjKw

車掌「何のためにお前に千織の後をつかせたと思ってるんだ?お前が情報よこさないから自力でここまで来たんだぞ」

ブリアン「捕まってたんだからしょうがないでしょ・・・でも、何となくこいつの正体がわかったよ」

千織「!」

車掌「ほう」

ブリアン「今目の前にいるこの少女は、他人に乗り移ることができる。つまり、今実体をもっていない」

ブリアン「だがこいつはしつこく自分のことを人間だと主張してる。これらのことを辻褄合わせるためには・・・」

千織「人間だったけど、死んでしまった・・・?」

300: ◆e.A1wZTEY.:2018/6/4(月) 19:16:52 ID:DapDYfJjKw

千織「じゃあ幽霊ってことですか!?」

車掌「違う」

車掌「生きている者がこの世界で死んでも、何も残りはしない。あるのは“無”だけだ」

千織「??」

千織「わ、訳がわかりません・・・」

ブリアン「たぶん、この女はまだ生きてる。けど、魂だけ身体から抜き取られて操られてるんだ」

千織「!」

車掌「・・・なるほど」

301: ◆e.A1wZTEY.:2018/6/4(月) 19:19:16 ID:DapDYfJjKw

車掌「この屋敷の主・・・兎女といったか。それが、裏にいるようだな」

少女「ばれちゃった?」

俯いて黙っていた少女が不意に顔を上げ、不気味に笑った

少女「この子、人間界に迷い込んできたのを大金はたいて捕まえたの」

少女「でも、1週間くらいで自分から死のうとしちゃって。ほんと困ったわ」

車掌「・・・喋っているのは兎女か」

少女「ぎりぎり命は助けたけど、身体の方が使えなくなっちゃってねえ。でもだからって捨てるのはもったいないし、生霊化させて使うことにしたの」

302: ◆e.A1wZTEY.:2018/6/4(月) 19:21:25 ID:DapDYfJjKw

千織「い、いきりょう・・・」

少女はゆっくりと千織へ視線を向けた

少女「わかるわよね、人間の生きた魂はこの世界で本当に貴重なの。だからあなたとも会えてとっても嬉しいわ」

少女「あなた、私が買ってあげる。そろそろ生きた人間の肉体がほしいわ」

千織「こっ・・・この女の子の身体はどこにいったんですか!?まだ生きているなら・・・!」

少女「そんなこと言う必要ある?」

303: ◆e.A1wZTEY.:2018/6/4(月) 19:23:28 ID:DapDYfJjKw

今度は、車掌へと目を向けた

少女「交渉しましょう。あなたの言い値を払うわ。だから、この人間をちょうだい」

車掌「・・・」

少女「本当にいくらでもいいわよ?私、お金には不自由してないの」

車掌「・・・あいにく、私も金には不自由していない」

少女「あら・・・」

少女「それもそうよね、人間を所有しているくらいだものね」

少女「それならあなたは何が欲しいのかしら?」

304: 名無しさん@読者の声:2018/6/7(木) 18:17:03 ID:qglqJZU.8Y
がんばってください C
305: ◆e.A1wZTEY.:2018/6/8(金) 20:39:09 ID:DapDYfJjKw
>>304
支援ありがとうございます!
がんばりますぞい(*^▽^*)
306: ◆e.A1wZTEY.:2018/6/8(金) 20:44:51 ID:DapDYfJjKw

車掌「お前に私が欲しいものは用意できない」

少女「・・・そう。せっかく良い取引をもちかけているのに、酷い態度ね」

車掌「取引はしない。代わりに、私はお前が所有する人間に手を出さない、お前も私が所有する人間に手を出さない。それでいいだろう」

千織「ま・・・待ってください!」

千織「車掌さん、私・・・私、この人間の女の子が生きているなら、助けてあげてほしいです・・・!!」

ブリアン「ぶっ」

車掌「・・・」

307: ◆e.A1wZTEY.:2018/6/8(金) 20:46:30 ID:DapDYfJjKw

大きくため息をつく

車掌「・・・いい加減にしろ。お前のそれは一体何回目だ?」

千織「でも、でも・・・!このまま見過ごすことなんてできません・・・!」

ブリアン「千織、自分の状況忘れてない?君、いま兎女に捕まって檻の中なんだよ?」

千織「そ、それは・・・そうですけど」

少女「・・・あなた、面白いわね。それならこうしない?」

少女「お互いの人間を交換するの。私が今使ってるこの少女をあげる。その代わり、その千織とかいう人間を私にちょうだい」

308: ◆e.A1wZTEY.:2018/6/8(金) 20:48:04 ID:DapDYfJjKw

千織「え・・・」

少女「あなた、助けたいって言ったわよね?もしかして自分は何もしないで済むと思ってた?世の中そんなに甘くないわよ」

車掌「いいだろう」

千織「・・・え?」

ブリアン「は?」

車掌の言葉に、耳を疑う


309: ◆e.A1wZTEY.:2018/6/8(金) 20:50:52 ID:DapDYfJjKw

車掌「交換してやる。こちらの人間を渡すから、その生霊になってる娘を渡せ」

千織「しゃ、車掌さ…」

車掌「人間なんて、どれも同じだ。私にこだわりはない」

ブリアン「車掌!何言ってんの!」

少女「・・・その言葉、偽りないわね」

少女「嘘をつかれたら困るから、契約書を書いてもらうわ」

ふわりと1枚の紙とペンが宙に舞い、車掌の前に落ちる

310: ◆e.A1wZTEY.:2018/6/8(金) 20:53:28 ID:DapDYfJjKw

少女「その紙には呪いがかかっているの。契約を破った者は、この世界での死を迎える」

車掌「なるほどな」

何のためらいもなく、車掌はサインする

車掌「――契約完了だ」

次の瞬間、少女がばたりと倒れた

そして―――

ガタン!!

千織「ひいいぃっ!?」

床に巨大な穴が開き、千織が入った檻が落ちていった

311: 名無しさん@読者の声:2018/6/13(水) 15:05:31 ID:jMFJ/QEKJY
再び車掌さんと離れ離れに(>_<)
支援〜。
312: ◆e.A1wZTEY.:2018/6/18(月) 21:19:28 ID:DapDYfJjKw
>>311
支援ありがとうございます〜!!
明日更新しますのでしばしお待ちくださいませ
313: ◆e.A1wZTEY.:2018/6/19(火) 21:54:13 ID:DapDYfJjKw

ブリアン「千織!!」

あっという間に、千織の姿が暗闇に消えた

ブリアン「車掌、どういうつもりなの!」

ブリアン「千織と死にぞこないの人間の娘が同価値なわけないだろう!?」

ブリアン「いったい何を考えて――」

車掌「静かにしろ」

ため息をつく

314: ◆e.A1wZTEY.:2018/6/19(火) 21:55:24 ID:DapDYfJjKw

車掌「経験上、千織はああなると自分の望みを譲らない。私が何を言おうと、ひたすら頭を下げて頼んでくる」

車掌「それは時間の無駄だと思っただけだ」

ブリアン「ああなると・・・?」

車掌「私に頼みごとをするときの態度だ」

ブリアン「・・・」

確かに、自分を買ってくれと頼んだとき、魚人から恭太を助けてくれと頼んだとき、この世界で恭太を探させてくれと頼んだとき、車掌がいくら拒否しても千織は引き下がらなかった

315: ◆e.A1wZTEY.:2018/6/19(火) 21:59:44 ID:DapDYfJjKw

ブリアン「・・・じゃあ、どうせ千織はこの少女を助けろと言って言うことを聞かなくなるから、さっさと助けてやることにしたってわけ?」

ブリアン「それでもいいけど、代わりに千織を差し出すのは納得いかない」

車掌「少しは頭を使え」

車掌「兎女は、千織を手に入れたいと思っている。そして、千織はいま檻の中に捕らわれていて、私たちの手から離れている。仮に何らかの方法で檻から出せても、兎女が操るこの屋敷から無事に脱出できる保証はない。こちらの方が不利な状況だ」

車掌「この不利な状況を打開するために必要なことは何だと思う」

ブリアン「・・・」

考えて、つぶやく

ブリアン「・・・・兎女を・・・見つけ出して、シメる」

車掌「そういうことだ」

316: ◆e.A1wZTEY.:2018/6/19(火) 22:01:16 ID:DapDYfJjKw

車掌は倒れている少女に近づき、身体に触れようとした

――が、手はすうっと身体を透き抜けた

車掌「・・・生霊というのは確からしいな」

車掌「身体はどうなると言っていた?」

ブリアン「し、知らないけど・・・“身体は使えなくなった”って言ってたよね」

車掌「生霊である以上、身体は死んではいないはずだ。おそらくどこかにある」

ブリアン「どこかにあるって・・・」


317: ◆e.A1wZTEY.:2018/6/19(火) 22:03:27 ID:DapDYfJjKw

車掌「おい、起きろ」

少女に呼びかける

車掌「起きろと言っている」

語気を強めると、少女はぴくりと眉を動かした

ブリアン「あ・・・」

少女「・・・わた・・・し」

少女が目を開けるやいなや、車掌は少女の目の前に剣先をつきつけた

少女「! な、なにを・・・」

車掌「・・・“それ以上死にたくなければ”、私の命令を聞け」

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