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歪世界トレイン
[8] -25 -50 

1:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/4/30(日) 20:25:16 ID:4iSJ1d7xp2

乗客Yx1

戸野 千織(トノ チオリ)

目が覚めたらそこは、走る列車の中だった



236:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/3/1(木) 12:21:39 ID:vGGqM0uMLc

ブリアンは屋根裏から中の様子をうかがった

薄暗く、ほこりっぽい

誰かが住んでいる気配はあまり感じない

ブリアン「・・・なんだか不気味で嫌だなあ」

赤い絨毯がひかれた廊下に飛び降り、歩いていく

1つ1つの部屋を軽くのぞいてみるが、どれも使われていない

237:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/3/1(木) 12:23:03 ID:vGGqM0uMLc

ブリアン「・・・」

ブリアン「・・・人間どころか、兎すら住んでなさそうだけど」

ブリアン「こりゃガセネタかな」

『ガセじゃないわ』

ブリアン「!?」 バッ

気配は感じなかった

しかし、振り向くと背後に髪の長い女が立っていた

238:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/3/1(木) 12:24:27 ID:vGGqM0uMLc

ブリアン「だっ・・・誰だ!」

毛を逆立てて威嚇する

少女「・・・」

少女「・・・私を、助けにきてくれたのよね・・・?」

ブリアン「は・・・?」

少女「人間を探しているんでしょう」

ブリアン「・・・あ、あぁ」

ブリアン「でも、あいにく君じゃなかったみたい。男の子なんだ、探してるのは」

239:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/3/1(木) 12:26:13 ID:vGGqM0uMLc

ブリアン「だいたい君、人間じゃないよね?臭いも気配も感じないよ」

少女「・・・ひどいわ」

ブリアン「え」

少女「・・・化け物ばかりのこの世界でずっとここに閉じ込められて・・・必死に生きてきたのに・・・」

少女「私が人間じゃないだなんて・・・ひどい・・・許せない・・・」

ぶるぶると震える女を見て、背筋が寒くなった

240:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/3/1(木) 12:27:40 ID:vGGqM0uMLc

ブリアン「よ、よくわかんないけど、僕は関係ないから。勝手に入って悪かったね、もう帰る、んぐっ!?」

すごい速さで体を捕まえられた

気配を感じないため反応できなかった

少女「ひとりで寂しかったの・・・」

少女「私のお友達になって、ね?猫ちゃん」


241:🎏 名無しさん@読者の声:2018/3/3(土) 11:35:49 ID:JaP15NqWpE
更新きてる(>∀<)/
242:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/4/17(火) 20:38:45 ID:18YnfYyzqU
>>241
お待たせしました!
新社会人になったので慌ただしくてorz
243:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/4/17(火) 20:40:51 ID:18YnfYyzqU

――一晩があけた

掃除に疲れた千織は、貸してもらったベッドで眠りに落ちていた

千織「・・・」 スヤスヤ

兎男「ふふふ、可愛いなあ」

寝顔を眺めてにやにやする

兎兄貴「のんきなこと言ってる場合じゃねえぞ。武器の手入れくらいしとけ」

兎男「ぶ、武器?」

兎兄貴「本気でその子守ろうってんなら必要だろう。いつまでも気の優しい男じゃだめだぞ」

兎男「そ、そうだよね。頑張らなきゃ・・・!」

244:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/4/17(火) 20:44:54 ID:18YnfYyzqU

車掌が乗った列車は、昨晩一度終点に到着後、再びこのキサラギ駅に向かって走っていた

車掌「・・・あと2時間で到着といったところか」

到着後は、長時間列車を駅に停めることになる

以前のように列車を線路外へ強引に走らせることは可能だが、さすがに町中へ突入させるのは無理だ

本来許されることではないが、故障などと理由をつけて停めるしかない

列車業務を無駄なく遂行したい車掌にとってはストレスが大きかった

車掌「・・・さっさと取り返して戻らないと」

車掌「ブリアンができる奴なら、千織の居場所を特定して、駅で待っていてくれるはずだが」

245:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/4/17(火) 20:47:15 ID:18YnfYyzqU

ブリアンは、屋敷の薄暗い部屋で、柱にひもで括りつけられていた

意識はあるが、一晩この状態で放置されたため、暴れる元気もなくなっていた

ブリアン「くっそぉ・・・」

ブリアン「何なんだあの女・・・僕が何をしたっていうのさ」

力ない声でつぶやく

ブリアン(・・・そういえば)

ブリアン(この屋敷の主・・・兎女だったか?そいつはどこにいるんだ)

246:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/4/17(火) 20:49:07 ID:18YnfYyzqU

掃除が行き届いていない部屋や廊下の様子をみる限り、生活感は感じられない

ブリアン(仮にあの女が本当に人間だったとして・・・人の臭いはいくらでもカモフラージュできるから、臭わなくても不思議じゃない。でも、気配を感じないのはなぜなんだ・・・?この世界の者でも、気配はあるはず)

ブリアン「あーもう!訳わかんね!あれか!?人間界でいう幽霊!?幽霊なのか!?!?」

少女「私は人間よ」

ブリアン「うわっ!」

いきなり目の前に現れた女にぎょっとする

247:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/4/17(火) 20:52:33 ID:18YnfYyzqU

少女「・・・そろそろおとなしくなった?」

ブリアン「おかげさまで。お腹ペコペコで力が出ないよ」

少女「あら・・・かわいそうに。抵抗しないと約束するなら、ご主人様から何かもらってきてあげる」

ブリアン「ご主人様って・・・兎女のこと?」

少女「ええ」

ブリアン「この屋敷にいるの?あんたはやっぱり買われたの?」

少女「・・・」

248:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/4/17(火) 20:54:17 ID:18YnfYyzqU

少女「・・・それは、」

少女「・・・喋ることを許されていない・・・ようです」

ブリアン「は・・・?」

少女「・・・」

先ほどと少し様子が変わり、うつむいてあまり口が動かなくなった

ブリアン(なんだこいつ・・・)

怪しい雰囲気に、思案する

249:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/4/17(火) 20:56:32 ID:18YnfYyzqU

ブリアン「・・・じゃあさ、あんたにとっても兎女にとってもメリットになりそうなこと教えてあげるって言ったら、この縄ほどいてくれる?」

少女「…それはできないわ」

ブリアン「君たちが好きそうな、人間に関する情報だよ」

少女「・・・昨日、町中で見かけたわ。でも、私、どうしてか、外に出られないの・・・」

少女「いますぐ、会いに行きたいのに…」

ブリアン「・・・それなら」

試しに、言ってみることにした

ブリアン「僕の体を使えばいいんじゃない?」

250:🎏 名無しさん@読者の声:2018/4/18(水) 17:17:50 ID:.9ImDJRFHc
新社会人おめでとうございまする(*´∀`*)
251:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/4/18(水) 20:45:57 ID:18YnfYyzqU
>>250
ありがとうございます〜!!(´∀`*)
明日更新しまする!
252:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/4/19(木) 22:11:36 ID:18YnfYyzqU

――昼になった頃

列車はキラサギ駅に到着した

車掌は降車すると、大きく【故障、修理点検中】と書かれた看板を立てた

車掌「・・・」

駅の周囲を見渡すが、ブリアンの姿は見当たらない

車掌「・・・使えない車掌補佐だな」

ため息をつくと、町にむかって歩き出した

253:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/4/19(木) 22:12:33 ID:18YnfYyzqU

そのころ、兎兄貴の家では

兎兄貴「――ダメだダメだぁっ!腰が引けてるぞ!」 ガキィッ

兎男「ひぃっ」 バタッ

千織を守るための訓練と位置付けて、兎兄貴が兎男に対して剣の稽古をつけていた

兎兄貴「昨日の大きな黒い手を見ただろう!?車掌はおかしな術を使ってくるから、思い切って懐に飛び込む度胸をつけなきゃだめだ!」

兎男「お、おす!」

254:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/4/19(木) 22:13:17 ID:18YnfYyzqU

千織「・・・はは」

苦笑いしながら眺めていると

「にゃ〜〜〜〜ご」

千織「!!」

家の外塀から聞き覚えのある声が聞こえ、目をやった

千織「ブリアンさん!」

塀の上にブリアンが立っていた

255:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/4/19(木) 22:14:17 ID:18YnfYyzqU

千織(助けに来てくれたんだ・・・!!)

兎兄貴「なんだあ・・・?猫・・・?」

兎男「え、猫?どこどこ?」

すると、ブリアンは背を向けてどこかに走り出した

千織「あっ・・・!」バッ

あわてて千織が追いかける

兎兄貴「あっおい!どこ行くんだよ!!」 ダッ

兎男「あ、あれってもしかして車掌の猫じゃない・・・!?千織ちゃん、待って!!」 バッ

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