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歪世界トレイン
[8] -25 -50 

1:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/4/30(日) 20:25:16 ID:4iSJ1d7xp2

乗客Yx1

戸野 千織(トノ チオリ)

目が覚めたらそこは、走る列車の中だった



221:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/2/17(土) 17:16:42 ID:UugzyVWfTQ

キサラギ駅

きさらぎ駅


222:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/2/17(土) 17:19:03 ID:UugzyVWfTQ

――少女は、昔、この駅に迷い込みました

何も知らない少女は、異界の者に捕らえられ

奴隷にされました

恐怖と苦痛に耐えきれなくなくなった少女は、

この地に来て7日目の朝

自ら命を絶ちました


223:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/2/17(土) 17:21:09 ID:UugzyVWfTQ

少女「…いつ、」

少女「…私は、」

少女「…助けてもらえるの…?」

ぽつぽつと呟きながら、大きな屋敷の廊下を歩く

傷んだ髪は腰まで伸び、顔から上半身を覆っている


224:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/2/17(土) 17:22:43 ID:UugzyVWfTQ

少女「…」

うつろな目で、窓の外を眺めた

少女「…?」

町中で、兎男たちと行動する千織の姿が目に入る

少女「…あのひとは、」

少女「人間…?」


225:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/2/17(土) 17:26:45 ID:UugzyVWfTQ

兎兄貴「――で?お前、この子を助けたはいいけど、これからどうすんだよ」

兎兄貴「この町にいることはバレてるだろうし、車掌がここに来るのも時間の問題だぞ」

兎男「に、逃げてみせるよ。たとえこの町を出ていくことになっても」

兎兄貴「…」

兎兄貴「…千織と言ったな。お前、あの車掌とどういう関係だ?」

千織「え」

226:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/2/17(土) 17:27:56 ID:UugzyVWfTQ

兎兄貴「俺たちのイメージだと、車掌は列車業務以外には無関心な男だ。だが、さきほどお前を追ってきたところをみると、そうでもないようだと思ってな」

千織「…それは…」

兎男「あいつは、千織ちゃんが可愛いから傍において拘束したいんだよ!そうに決まってる」

兎兄貴「そうなのか?」

ちら、と千織をみる

227:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/2/17(土) 17:29:28 ID:UugzyVWfTQ

千織「…それは… わ、わからないです」

兎兄貴「わからない?」

千織「え、えーと・・・」

どう答えればいいのだろう

正直に言えば人間だとバレてしまうし、かといって嘘をついて車掌を悪者にするのも気が引ける

兎男「兄貴!千織ちゃん困ってるだろ。きっとあいつに脅されてて、誰にも言うなって言われてるんだよ」

兎兄貴「ふむ…まぁそのうち話す気になったら、聞かせてもらおう」

228:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/2/17(土) 17:31:32 ID:UugzyVWfTQ

兎兄貴「とりあえず、身を隠す必要があるなら俺の家にこい」

兎男「兄貴の家に?」

兎兄貴「お前の家は真っ先に怪しまれる。俺の家は町の最北だし、外塀もあるし、いざとなったら地下もあるから見つかりにくいはずだ」

兎男「さすが兄貴!頼りになる!」

千織(そ、そんな…見つかりやすいほうがいいのに・・・)

兎男「千織ちゃん、大丈夫だよ。俺がずっと傍にいるからね」

229:🎏 名無しさん@読者の声:2018/2/24(土) 11:37:03 ID:W4ttS0IcFo
わくわく ノC
230:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/2/25(日) 22:04:47 ID:OFS60Ero8I
>>229
支援ありがとうございます!!
少し気を抜くとすぐ1週間間が空いてしまいますね・・・(;^ω^)
明日更新予定です
231:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/2/26(月) 12:29:12 ID:UugzyVWfTQ

兎兄貴の家へ向かって、町中を歩く

その途中、ひときわ大きなレンガ造りの建物の前を通った

千織「…ここ、大きな家ですね」

兎男「うん。町で一番お金持ちな、兎女の家だよ」

千織「さっき、お金持ちの人が人間を所有してると言ってましたけど、もしかして…」

兎男「そうだね。ここに人間みたいなのが住んでるって話だよ」

千織「…!」

232:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/2/26(月) 12:30:18 ID:UugzyVWfTQ

兎兄貴「ま、兎女がもともと引きこもりのブスだから、なかなか見かけることがないけどな」

千織「そ、そうなんですね…」

この屋敷のなかに、沖くんがいるかもしれない

窓から何か見えないか、必死に目を凝らすが、真っ暗になっていて何も見えない

兎男「気になるのはわかるけど。どーせ人間なんて俺たち庶民に手に入るものじゃないよ」

千織「そ、そうですけど。チラッと見ることとかできないかなって」

兎男「この町に住めば、そのうち見かける機会があるんじゃないかなあ?俺も見たことあるわけだし」

千織「…」

233:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/2/26(月) 12:31:48 ID:UugzyVWfTQ

足を進めると、兎兄貴の家に到着した

木造の小屋を開けると―――

千織「う」

整理整頓のせの字もない、散らかった部屋の光景が広がった

生ごみもそのままでハエがたかり、洗濯物が無造作に放り出されている

兎男「兄貴ぃ!もうちょっとどうにかなんないの」

兎兄貴「しゃーねえだろ!男の一人暮らしなんてこんなもんだ」

234:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/2/26(月) 12:33:14 ID:UugzyVWfTQ

兎男「こんなの千織ちゃんに嫌がられちゃうよ」

千織「はは…」

千織「わ、私…お掃除しましょうか?」

兎兄貴「まじで!?」

千織「お掃除好きなので…」

千織(なるべく拘束されないようにしなきゃ)

兎男「俺も手伝うよ!一緒にやろう」

兎兄貴「お前ら…いい奴らだなぁ…」

235:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/2/26(月) 12:36:26 ID:UugzyVWfTQ

――ブリアンは窓からこっそりと彼らの様子を見つめた

ブリアン「・・・とりあえず千織がすぐに危害を加えられることはなさそうだ」

ブリアン「匿われてる場所は特定したし、人間がいるとかいう屋敷を調べてみようかな・・・?」

ヒョイッと屋根をつたってレンガ造りの屋敷の上に飛び移る

兎男たちは、ここに人間がいると話していた

ブリアン「・・・えーと、侵入できそうな場所は」

入り込めそうな隙間を探すと、壁と屋根のあいだに小さな隙間を見つけた

ブリアン「ちょっときついかなー。ま、でもいけるっしょ」

強引に体をつっこみ、ねじりながら、屋敷内に侵入した

236:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/3/1(木) 12:21:39 ID:vGGqM0uMLc

ブリアンは屋根裏から中の様子をうかがった

薄暗く、ほこりっぽい

誰かが住んでいる気配はあまり感じない

ブリアン「・・・なんだか不気味で嫌だなあ」

赤い絨毯がひかれた廊下に飛び降り、歩いていく

1つ1つの部屋を軽くのぞいてみるが、どれも使われていない

237:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/3/1(木) 12:23:03 ID:vGGqM0uMLc

ブリアン「・・・」

ブリアン「・・・人間どころか、兎すら住んでなさそうだけど」

ブリアン「こりゃガセネタかな」

『ガセじゃないわ』

ブリアン「!?」 バッ

気配は感じなかった

しかし、振り向くと背後に髪の長い女が立っていた

238:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/3/1(木) 12:24:27 ID:vGGqM0uMLc

ブリアン「だっ・・・誰だ!」

毛を逆立てて威嚇する

少女「・・・」

少女「・・・私を、助けにきてくれたのよね・・・?」

ブリアン「は・・・?」

少女「人間を探しているんでしょう」

ブリアン「・・・あ、あぁ」

ブリアン「でも、あいにく君じゃなかったみたい。男の子なんだ、探してるのは」

239:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/3/1(木) 12:26:13 ID:vGGqM0uMLc

ブリアン「だいたい君、人間じゃないよね?臭いも気配も感じないよ」

少女「・・・ひどいわ」

ブリアン「え」

少女「・・・化け物ばかりのこの世界でずっとここに閉じ込められて・・・必死に生きてきたのに・・・」

少女「私が人間じゃないだなんて・・・ひどい・・・許せない・・・」

ぶるぶると震える女を見て、背筋が寒くなった

240:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2018/3/1(木) 12:27:40 ID:vGGqM0uMLc

ブリアン「よ、よくわかんないけど、僕は関係ないから。勝手に入って悪かったね、もう帰る、んぐっ!?」

すごい速さで体を捕まえられた

気配を感じないため反応できなかった

少女「ひとりで寂しかったの・・・」

少女「私のお友達になって、ね?猫ちゃん」


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