乗客Yx1
戸野 千織(トノ チオリ)
目が覚めたらそこは、走る列車の中だった
206: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/13(火) 18:19:52 ID:UugzyVWfTQ
兎兄貴「まったく、久しぶりに帰ってきたと思ったら、なんの騒ぎだ」
兎男「この子を助けてあげたくってさ」
兎男「千織ちゃん、安心して。ここはキサラギ町っていって、俺の故郷なんだ」
千織「え。えっと…」
兎男「兄貴、この子は列車で囚われてたんだ。かわいそうだろ」
兎兄貴「ほぉーん。列車って…あの無口な車掌がいる列車だろ?」
兎兄貴「てかお前、そんな大層なことして、明日からどこで働くつもりだよ」
207: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/13(火) 18:22:21 ID:UugzyVWfTQ
兎男「そ、そんなこと二の次だよ!とにかくこの子を助けたかったんだ」
千織(ど、どうしよう…)
どうやら完全に、誤解されているらしい
はっきり違いますと伝えて、一刻も早く車掌の元へ戻らなければ
千織「あ、あの」
兎兄貴「つーかこの子、人間みたいだなぁ?」
千織「!」 ビクッ
208: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/13(火) 18:25:16 ID:UugzyVWfTQ
兎男「そんなわけないじゃないか!見た目はちょっと俺たちと違うけど」
兎兄貴「そうそう。見た目がさぁ、似てないか?この町にいる人間に」
兎男「ま、まぁ確かに…でも、人間の臭いはしないよ?」
千織「…」
千織「…え?」
209: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/13(火) 18:28:14 ID:UugzyVWfTQ
聞き間違いでなければ、この町に人間がいると、聞こえた
千織「あっ、あのっ」
兎兄貴「ん?」
千織「いま、人間って…」
兎兄貴「あぁ」
兎兄貴「この町に1人、奴隷として買われた人間がいるのさ。珍しいもんさ」
千織「…!!」
210: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/13(火) 18:30:25 ID:UugzyVWfTQ
千織(沖くんだ…!沖くんだ、きっと!!)
千織「あの、その人に会わせてください!お願いします!!」
兎兄貴「あぁん?」
兎男「何で?千織ちゃん食べたいの?」
千織「た、食べたいわけでは…。ほ、ほら、希少価値が高いと聞くので、見てみたいんです」
兎男「まぁ、気持ちはわかるけど…」
兎兄貴「人間を買ったのは、この町でいちばんの大金持ちだ。俺たちが人間に近づけば、盗人と勘違いされちうまうぜ」
千織「そんな…」
211: 名無しさん@読者の声:2018/2/14(水) 10:13:27 ID:b.B/sZevxI
待ってました! ありがとう(>∀<)
212: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/14(水) 21:56:23 ID:UugzyVWfTQ
>>211
こちらこそお待ちいただきありがとうございます!(>∀<)
(関係ないですが、本日2月14日は、千織が初めて歪世界トレインに乗った日です)
213: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/14(水) 21:57:45 ID:UugzyVWfTQ
必死に考えをめぐらせる
千織(ど、どうしよう。この町で情報を得られたのは大きいけど、車掌さんと離れ離れになってしまった)
千織(車掌さんは列車業務があるから、すぐにはここに来れないはず)
千織(…そ、そもそも、助けに来てくれるのかもわからないけど)
千織(車掌さんが来てくれることを信じて、この町でできる限りのことをしよう)
兎男「千織ちゃん」
千織「は、はいっ」
214: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/14(水) 21:58:54 ID:UugzyVWfTQ
兎男「いきなり連れ出したりしてごめんね。でも、俺はどうしても君を助けたかったんだ」
兎男「これからは俺が、千織ちゃんのことを守るから安心してよ」
千織「え、えと、その…」
相変わらず、よくわからない誤解をしている
千織「な、何か勘違いされていませんか?私は別に、助けてもらうような状況では――」
言おうとして、はっと口をつぐむ
215: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/14(水) 21:59:59 ID:UugzyVWfTQ
千織(…そうだ。しばらく車掌さんと離れてこの町にいる以上、味方になってくれる人が必要だ)
千織(このまま、兎男さんたちのそばにいたほうが安全かもしれない)
千織「…あ、ありがとうございます。とても頼もしいです」
兎男「そ、そうかい?へへへ」
兎兄貴「なんでい、にやけるねぇ〜」
216: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/14(水) 22:01:47 ID:UugzyVWfTQ
その様子を、ブリアンが少し離れたところから眺める
ブリアン(この町に人間がいる…?)
くんくんと鼻を動かす
ブリアン(別に臭いはしないけどな…ほんとにいるのか?)
ブリアン(でも、千織と同じように臭いをカモフラージュさせてる可能性もあるっちゃあるな)
ブリアン(…少し観察してみるか)
217: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/14(水) 22:03:26 ID:UugzyVWfTQ
――――――
車掌「…」 ゴホッゴホッ
列車を動かしながら、咳をする
短時間で多く精力を消費したせいか、体調が芳しくない
車掌「…まったく」
千織がここに来てから、精力を得るどころか消費してばかりだ
218: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/14(水) 22:05:17 ID:UugzyVWfTQ
あんな小娘1人、歪世界に放置しても何も困りはしないのに
なぜ、精力の手で追いかけ、ブリアンまで置いてきてしまったのか
自分のとっさの判断だが、理解ができない
車掌「……」
とにかく、自分が指示した以上、今日の列車業務を終え次第、キサラギ駅に戻らなければならない
大きくため息をつくと、車掌は列車の速度を上げた
219: 名無しさん@読者の声:2018/2/15(木) 19:11:38 ID:SMl5NMYR0U
この世界観好き
ノC
220: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/16(金) 16:39:31 ID:UugzyVWfTQ
>>219
支援ありがとうございます〜〜( ;∀;)
世界観好きと言って頂けて嬉しいです
ふと、結構話がわかりづらくなってきた気もするので、簡易的なまとめを作ってみようと思いました
>>218までのあらすじになりますので、既に記述済みの内容です
更新が遅いせいで前の内容あまり覚えてないけど読み返すのは面倒だなぁ〜という方がもしいらっしゃれば見て頂ければと思います→http://akb.akiba.coocan.jp/file/uploader.cgi?mode=downld&no=493
221: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/17(土) 17:16:42 ID:UugzyVWfTQ
キサラギ駅
きさらぎ駅
222: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/17(土) 17:19:03 ID:UugzyVWfTQ
――少女は、昔、この駅に迷い込みました
何も知らない少女は、異界の者に捕らえられ
奴隷にされました
恐怖と苦痛に耐えきれなくなくなった少女は、
この地に来て7日目の朝
自ら命を絶ちました
223: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/17(土) 17:21:09 ID:UugzyVWfTQ
少女「…いつ、」
少女「…私は、」
少女「…助けてもらえるの…?」
ぽつぽつと呟きながら、大きな屋敷の廊下を歩く
傷んだ髪は腰まで伸び、顔から上半身を覆っている
224: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/17(土) 17:22:43 ID:UugzyVWfTQ
少女「…」
うつろな目で、窓の外を眺めた
少女「…?」
町中で、兎男たちと行動する千織の姿が目に入る
少女「…あのひとは、」
少女「人間…?」
225: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/17(土) 17:26:45 ID:UugzyVWfTQ
兎兄貴「――で?お前、この子を助けたはいいけど、これからどうすんだよ」
兎兄貴「この町にいることはバレてるだろうし、車掌がここに来るのも時間の問題だぞ」
兎男「に、逃げてみせるよ。たとえこの町を出ていくことになっても」
兎兄貴「…」
兎兄貴「…千織と言ったな。お前、あの車掌とどういう関係だ?」
千織「え」
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