乗客Yx1
戸野 千織(トノ チオリ)
目が覚めたらそこは、走る列車の中だった
191: 名無しさん@読者の声:2017/8/30(水) 09:41:42 ID:UtKpo4NOEg
>>190
ありがとうございます!
お待たせしました!
192: ◆e.A1wZTEY.:2017/8/30(水) 09:44:34 ID:UtKpo4NOEg
車掌「――明日からは、あの兎男とは業務時間をずらしてもらう」
千織「え、何でですか!?」
車掌「前々から見ているに、考え方が若くて甘い。他の兎男よりも危ないところがある」
千織「でも、せっかく歓迎会に誘ってくれたいい人なのに…」
車掌「…」 ハァ
車掌「千織、あの男に何か言ったな?」
193: ◆e.A1wZTEY.:2017/8/30(水) 09:46:34 ID:UtKpo4NOEg
千織「え?」
車掌「あいつに好意を寄せられるようなことをだ」
千織「そ、そんな。言ってません、普通にお話しただけです」
車掌「何を言ったか知らないが、君の目線で物事を語らないことだ。この世界に住む者は、人間ではない上、もともとは死者だ。それを忘れるな」
千織「…!」
194: ◆e.A1wZTEY.:2017/8/30(水) 09:49:12 ID:UtKpo4NOEg
――翌日
兎男「…あれ?千織ちゃんは?」
兎男2「ん?なんか別チームの荷物班になったらしいぞ」
兎男「ええぇっ!なんで??」
兎男2「そんなこと俺が知るかよ〜。さぁ、仕事仕事」 バタバタ
兎男「…」
195: ◆e.A1wZTEY.:2017/8/30(水) 09:52:30 ID:UtKpo4NOEg
兎男(別チームって…そんなの、あの車掌が決めたにきまってるじゃないか)
沸々と胸の内に怒りがわいてくる
兎男(俺が昨日文句を言ったから、チームを変えられたんだ。許せない)
兎男(あんな性格の悪い車掌が、千織ちゃんに優しく接してるはずがない)
兎男(きっと虐められてる… 俺が、俺が助けてあげなきゃ!!)
196: ◆e.A1wZTEY.:2017/8/30(水) 10:01:46 ID:UtKpo4NOEg
千織「――ふう!」
キサラギ駅と書かれた駅での荷物の積み下ろしを終え、汗をぬぐう
力仕事にもだいぶ慣れてきた
千織「働くのって悪くないかも」
そう呟き、次の駅に向けて列車に乗り込もうとしたとき――
兎男「ち、千織ちゃん!!」
千織「兎男さん…?」
兎男が走ってきて、千織の手をつかんだ
197: ◆e.A1wZTEY.:2017/8/30(水) 10:04:12 ID:UtKpo4NOEg
千織「ど、どうしたんですか」
兎男「俺が、君を助けてあげる!一緒に逃げよう!!」
千織「え、えぇ!?」
『――まもなく、列車が出発します。まもなく列車が出発します』
アナウンスが入り、列車が音を立て始める
千織「だ、だめです、列車に戻らないと」
兎男「いいから、俺についてきて!!」 バッ
千織「きゃ!?」
兎男は千織を抱き上げると、ホームの外へ走り出した
198: ◆e.A1wZTEY.:2017/11/30(木) 11:22:59 ID:UugzyVWfTQ
車掌「…」 ピク
運転席で、わずかに顔をしかめる
車掌「…ちっ」
千織の気配が列車外へ出たのに気づいた
列車の出発をいったん止め、目を閉じて精力を集中する
車掌「…」
すると、列車の車両から、にょきにょきと巨大な黒い手が出現した
199: ◆e.A1wZTEY.:2017/11/30(木) 11:29:21 ID:UugzyVWfTQ
兎男「――な、なんだありゃあ!?」
千織を抱きかかえながら走る兎男に向かって、黒い手が追いかけてくる
千織「…!!」
兎男「つ、つかまってたまるか!!」
兎男は全力で走り、駅を出て町へ向かう
千織「う、兎男さん、止まってください!」
200: ◆e.A1wZTEY.:2017/11/30(木) 11:31:05 ID:UugzyVWfTQ
千織「これ以上は危ないです、やめてください!」
兎男「やめない!俺は君を助けたいんだ!!」
見ると、黒い手は猛スピードで背後に迫っていた
黒い手が至近距離まで迫り、兎男を掴もうと大きな手をひろげた瞬間――
ザンッッ!!!
「!!」
巨大な刃物で、黒い手が切断された
201: ◆e.A1wZTEY.:2017/11/30(木) 11:33:37 ID:UugzyVWfTQ
車掌「っ!」
自らの手をおさえ、顔をゆがめる
ブリアン「――ちょっと車掌!?何してんのさ!!」
ブリアンが運転室に飛び込んできた
ブリアン「列車は出発しないし、精力の手が列車から出てるし、いったい何が――」
車掌「ブリアン」
ブリアン「え?」
車掌「千織が連れ去られた。いますぐ列車から降りて、千織を追え」
202: ◆e.A1wZTEY.:2017/11/30(木) 11:35:46 ID:UugzyVWfTQ
ブリアン「ええぇえ!?」
車掌「これ以上は手が伸ばせないし、列車業務にも支障が出る」
ブリアン「ま、まじかよぉ」
車掌「早く」
ブリアン「わ、わかったよ。じゃあ、明日折り返してこの駅に戻ってきてよ!」
そういうと、ブリアンは列車の外へ飛び出した
203: 名無しさん@読者の声:2018/2/13(火) 11:06:13 ID:tNKE7DItDk
支援
204: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/13(火) 18:15:38 ID:UugzyVWfTQ
>>203
支援ありがとうございます・・・!!
更新滞ってるのに見て下さって本当に嬉しいです、更新します
205: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/13(火) 18:17:10 ID:UugzyVWfTQ
千織「…」
切断された黒い手をみて、唖然とする
黒い手は地面に落ちたまま動かない
千織「しゃ、車掌さん…」
兎男「ふぃ〜!助かったぁ!!」
兎男「感謝するよ、兄貴」
兎男が見た先には、さらに一回り大きい体の兎男がいた
手には大きな刀のようなものをもっている
206: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/13(火) 18:19:52 ID:UugzyVWfTQ
兎兄貴「まったく、久しぶりに帰ってきたと思ったら、なんの騒ぎだ」
兎男「この子を助けてあげたくってさ」
兎男「千織ちゃん、安心して。ここはキサラギ町っていって、俺の故郷なんだ」
千織「え。えっと…」
兎男「兄貴、この子は列車で囚われてたんだ。かわいそうだろ」
兎兄貴「ほぉーん。列車って…あの無口な車掌がいる列車だろ?」
兎兄貴「てかお前、そんな大層なことして、明日からどこで働くつもりだよ」
207: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/13(火) 18:22:21 ID:UugzyVWfTQ
兎男「そ、そんなこと二の次だよ!とにかくこの子を助けたかったんだ」
千織(ど、どうしよう…)
どうやら完全に、誤解されているらしい
はっきり違いますと伝えて、一刻も早く車掌の元へ戻らなければ
千織「あ、あの」
兎兄貴「つーかこの子、人間みたいだなぁ?」
千織「!」 ビクッ
208: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/13(火) 18:25:16 ID:UugzyVWfTQ
兎男「そんなわけないじゃないか!見た目はちょっと俺たちと違うけど」
兎兄貴「そうそう。見た目がさぁ、似てないか?この町にいる人間に」
兎男「ま、まぁ確かに…でも、人間の臭いはしないよ?」
千織「…」
千織「…え?」
209: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/13(火) 18:28:14 ID:UugzyVWfTQ
聞き間違いでなければ、この町に人間がいると、聞こえた
千織「あっ、あのっ」
兎兄貴「ん?」
千織「いま、人間って…」
兎兄貴「あぁ」
兎兄貴「この町に1人、奴隷として買われた人間がいるのさ。珍しいもんさ」
千織「…!!」
210: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/13(火) 18:30:25 ID:UugzyVWfTQ
千織(沖くんだ…!沖くんだ、きっと!!)
千織「あの、その人に会わせてください!お願いします!!」
兎兄貴「あぁん?」
兎男「何で?千織ちゃん食べたいの?」
千織「た、食べたいわけでは…。ほ、ほら、希少価値が高いと聞くので、見てみたいんです」
兎男「まぁ、気持ちはわかるけど…」
兎兄貴「人間を買ったのは、この町でいちばんの大金持ちだ。俺たちが人間に近づけば、盗人と勘違いされちうまうぜ」
千織「そんな…」
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