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歪世界トレイン
[8] -25 -50 

1:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/4/30(日) 20:25:16 ID:4iSJ1d7xp2

乗客Yx1

戸野 千織(トノ チオリ)

目が覚めたらそこは、走る列車の中だった



184:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/7/12(水) 21:16:46 ID:wxYS1bSIHQ
>>183
×お嬢ちゃん
〇千織ちゃん
185:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/7/12(水) 21:17:26 ID:wxYS1bSIHQ

千織「え、歓迎会?」

兎男「うん。列車はこのタツノコ駅で今日は終点だろ?近くにおいしいお店があるんだ」

千織「そ、そうなんですか」

千織(どうしよう…嬉しいけど、さすがに無理だよね…)

しかし、笑顔いっぱいの兎男を見ていると、とても断りづらい

千織「しゃ、車掌さんに相談してきてもいいですか?」

兎男「え?なんで?君は仕事が終われば自由だろ?」

千織(い、言えない… 車掌さんに買われてるだなんて)

千織「ざ、残業があるかもしれないので…」

兎男「そうなの?じゃあ、少しここで待ってるよ」

186:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/7/12(水) 21:19:08 ID:wxYS1bSIHQ

車掌「――歓迎会?」

千織「は、はい… 皆さんすごく優しいので、断りづらくて。どうすればいいでしょう」

車掌「町に出るのは危険だな。私のそばを離れれば、わずかに残る人間の臭いでバレる可能性もある」

千織「で、ですよね」

車掌「君は行きたいのか?」

千織「い、いえ!夜ですし、何かあったら怖いので… 」

車掌「仕方ないな。私から言ってやる」

千織「すみません」

187:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/7/12(水) 21:22:06 ID:wxYS1bSIHQ

兎男「……納得いきませんね」

車掌「何がでしょう」

兎男「新人を業務終了後も拘束するなんて。ここはブラックじゃないと思っていましたが」

車掌「彼女には住み込みで働いてもらっているので。これから列車の清掃業務をさせます」

兎男「な…さすがにかわいそうですよ、こんな女の子を」

車掌「ご心配なく。彼女も了承済みです」


188:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/7/12(水) 21:24:15 ID:wxYS1bSIHQ

兎男「千織ちゃん、本当なの?」

千織「は、はい…」

兎男「…」

兎男「…そう。じゃあ、今日はひとまずやめとくよ」

兎男「またね、千織ちゃん」

千織「はい。すみません、ありがとうございました」 ペコリ


189:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/7/12(水) 21:27:32 ID:wxYS1bSIHQ

帰路につきながら、兎男は考える

兎男「なんかおかしい…納得できないぞ」

兎男「普段から業務は滞りなくあの車掌ひとりでやってるんだから、住み込みの働き人なんていらないはずだ」

兎男「女の子を深夜までこきつかうなんて…信じられない…」

兎男「…はっ!もしかして」

兎男「千織ちゃんは可愛いから、無理やり拘束されてるんじゃないか?」

兎男「抵抗しても力じゃかなわないだろうし、あの車掌の言いなりにされて、酷いことを…」

兎男「そうだ、きっとそうに違いない!」

兎男「んああああっ!!ゆるせんんんん!!!!!」

190:🎏 名無しさん@読者の声:2017/7/26(水) 23:19:21 ID:.JIA1ip43s
支援
お帰りなさい!
191:🎏 名無しさん@読者の声:2017/8/30(水) 09:41:42 ID:UtKpo4NOEg
>>190
ありがとうございます!
お待たせしました!
192:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/8/30(水) 09:44:34 ID:UtKpo4NOEg

車掌「――明日からは、あの兎男とは業務時間をずらしてもらう」

千織「え、何でですか!?」

車掌「前々から見ているに、考え方が若くて甘い。他の兎男よりも危ないところがある」

千織「でも、せっかく歓迎会に誘ってくれたいい人なのに…」

車掌「…」 ハァ

車掌「千織、あの男に何か言ったな?」

193:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/8/30(水) 09:46:34 ID:UtKpo4NOEg

千織「え?」

車掌「あいつに好意を寄せられるようなことをだ」

千織「そ、そんな。言ってません、普通にお話しただけです」

車掌「何を言ったか知らないが、君の目線で物事を語らないことだ。この世界に住む者は、人間ではない上、もともとは死者だ。それを忘れるな」

千織「…!」

194:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/8/30(水) 09:49:12 ID:UtKpo4NOEg

――翌日

兎男「…あれ?千織ちゃんは?」

兎男2「ん?なんか別チームの荷物班になったらしいぞ」

兎男「ええぇっ!なんで??」

兎男2「そんなこと俺が知るかよ〜。さぁ、仕事仕事」 バタバタ

兎男「…」


195:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/8/30(水) 09:52:30 ID:UtKpo4NOEg

兎男(別チームって…そんなの、あの車掌が決めたにきまってるじゃないか)

沸々と胸の内に怒りがわいてくる

兎男(俺が昨日文句を言ったから、チームを変えられたんだ。許せない)

兎男(あんな性格の悪い車掌が、千織ちゃんに優しく接してるはずがない)

兎男(きっと虐められてる… 俺が、俺が助けてあげなきゃ!!)


196:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/8/30(水) 10:01:46 ID:UtKpo4NOEg

千織「――ふう!」

キサラギ駅と書かれた駅での荷物の積み下ろしを終え、汗をぬぐう

力仕事にもだいぶ慣れてきた

千織「働くのって悪くないかも」

そう呟き、次の駅に向けて列車に乗り込もうとしたとき――

兎男「ち、千織ちゃん!!」

千織「兎男さん…?」

兎男が走ってきて、千織の手をつかんだ

197:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/8/30(水) 10:04:12 ID:UtKpo4NOEg

千織「ど、どうしたんですか」

兎男「俺が、君を助けてあげる!一緒に逃げよう!!」

千織「え、えぇ!?」

『――まもなく、列車が出発します。まもなく列車が出発します』

アナウンスが入り、列車が音を立て始める

千織「だ、だめです、列車に戻らないと」

兎男「いいから、俺についてきて!!」 バッ

千織「きゃ!?」

兎男は千織を抱き上げると、ホームの外へ走り出した

198:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/11/30(木) 11:22:59 ID:UugzyVWfTQ

車掌「…」 ピク

運転席で、わずかに顔をしかめる

車掌「…ちっ」

千織の気配が列車外へ出たのに気づいた

列車の出発をいったん止め、目を閉じて精力を集中する

車掌「…」

すると、列車の車両から、にょきにょきと巨大な黒い手が出現した

199:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/11/30(木) 11:29:21 ID:UugzyVWfTQ

兎男「――な、なんだありゃあ!?」

千織を抱きかかえながら走る兎男に向かって、黒い手が追いかけてくる

千織「…!!」

兎男「つ、つかまってたまるか!!」

兎男は全力で走り、駅を出て町へ向かう

千織「う、兎男さん、止まってください!」


200:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/11/30(木) 11:31:05 ID:UugzyVWfTQ

千織「これ以上は危ないです、やめてください!」

兎男「やめない!俺は君を助けたいんだ!!」

見ると、黒い手は猛スピードで背後に迫っていた

黒い手が至近距離まで迫り、兎男を掴もうと大きな手をひろげた瞬間――

ザンッッ!!!

「!!」

巨大な刃物で、黒い手が切断された

201:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/11/30(木) 11:33:37 ID:UugzyVWfTQ

車掌「っ!」

自らの手をおさえ、顔をゆがめる

ブリアン「――ちょっと車掌!?何してんのさ!!」

ブリアンが運転室に飛び込んできた

ブリアン「列車は出発しないし、精力の手が列車から出てるし、いったい何が――」

車掌「ブリアン」

ブリアン「え?」

車掌「千織が連れ去られた。いますぐ列車から降りて、千織を追え」

202:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/11/30(木) 11:35:46 ID:UugzyVWfTQ

ブリアン「ええぇえ!?」

車掌「これ以上は手が伸ばせないし、列車業務にも支障が出る」

ブリアン「ま、まじかよぉ」

車掌「早く」

ブリアン「わ、わかったよ。じゃあ、明日折り返してこの駅に戻ってきてよ!」

そういうと、ブリアンは列車の外へ飛び出した


203:🎏 名無しさん@読者の声:2018/2/13(火) 11:06:13 ID:tNKE7DItDk
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