乗客Yx1
戸野 千織(トノ チオリ)
目が覚めたらそこは、走る列車の中だった
182: ◆e.A1wZTEY.:2017/7/10(月) 11:37:20 ID:wxYS1bSIHQ
兎男「そうかな?」
千織「そうですよ。チャレンジしてみて、自分ができることをやりきって…それでもダメだったら、列車のお仕事をすればいいんじゃないんですかね。自分の人生ですから」
兎男「そんなことを言ってくれたのは、千織ちゃんが初めてだよ」
千織「そうなんですか?」
兎男「うん。俺…みんなから変わってるって言われるんだ。だから自信なくしちゃって」
千織「変じゃないですよ!私は応援してます」
兎男「あ、ありがとう… 千織ちゃんのおかげで、何か元気が出てきたよ」
183: ◆e.A1wZTEY.:2017/7/12(水) 21:14:10 ID:wxYS1bSIHQ
日が暮れ、そろそろ仕事が終わるだろうかという頃――
兎男「千織ちゃん、千織ちゃん」
千織「はい」
兎男「初めての仕事、1日よくがんばったね」
千織「いえいえ。兎男さんたちが優しく教えて下さったおかげです」
兎男「千織ちゃんはニコニコ可愛いから、俺たちの癒しだって、みんな言ってるよ」
兎男「ところで、みんなと話して、お嬢ちゃんの歓迎会をやろうって話になったんだ。どう?」
184: ◆e.A1wZTEY.:2017/7/12(水) 21:16:46 ID:wxYS1bSIHQ
>>183
×お嬢ちゃん
〇千織ちゃん
185: ◆e.A1wZTEY.:2017/7/12(水) 21:17:26 ID:wxYS1bSIHQ
千織「え、歓迎会?」
兎男「うん。列車はこのタツノコ駅で今日は終点だろ?近くにおいしいお店があるんだ」
千織「そ、そうなんですか」
千織(どうしよう…嬉しいけど、さすがに無理だよね…)
しかし、笑顔いっぱいの兎男を見ていると、とても断りづらい
千織「しゃ、車掌さんに相談してきてもいいですか?」
兎男「え?なんで?君は仕事が終われば自由だろ?」
千織(い、言えない… 車掌さんに買われてるだなんて)
千織「ざ、残業があるかもしれないので…」
兎男「そうなの?じゃあ、少しここで待ってるよ」
186: ◆e.A1wZTEY.:2017/7/12(水) 21:19:08 ID:wxYS1bSIHQ
車掌「――歓迎会?」
千織「は、はい… 皆さんすごく優しいので、断りづらくて。どうすればいいでしょう」
車掌「町に出るのは危険だな。私のそばを離れれば、わずかに残る人間の臭いでバレる可能性もある」
千織「で、ですよね」
車掌「君は行きたいのか?」
千織「い、いえ!夜ですし、何かあったら怖いので… 」
車掌「仕方ないな。私から言ってやる」
千織「すみません」
187: ◆e.A1wZTEY.:2017/7/12(水) 21:22:06 ID:wxYS1bSIHQ
兎男「……納得いきませんね」
車掌「何がでしょう」
兎男「新人を業務終了後も拘束するなんて。ここはブラックじゃないと思っていましたが」
車掌「彼女には住み込みで働いてもらっているので。これから列車の清掃業務をさせます」
兎男「な…さすがにかわいそうですよ、こんな女の子を」
車掌「ご心配なく。彼女も了承済みです」
188: ◆e.A1wZTEY.:2017/7/12(水) 21:24:15 ID:wxYS1bSIHQ
兎男「千織ちゃん、本当なの?」
千織「は、はい…」
兎男「…」
兎男「…そう。じゃあ、今日はひとまずやめとくよ」
兎男「またね、千織ちゃん」
千織「はい。すみません、ありがとうございました」 ペコリ
189: ◆e.A1wZTEY.:2017/7/12(水) 21:27:32 ID:wxYS1bSIHQ
帰路につきながら、兎男は考える
兎男「なんかおかしい…納得できないぞ」
兎男「普段から業務は滞りなくあの車掌ひとりでやってるんだから、住み込みの働き人なんていらないはずだ」
兎男「女の子を深夜までこきつかうなんて…信じられない…」
兎男「…はっ!もしかして」
兎男「千織ちゃんは可愛いから、無理やり拘束されてるんじゃないか?」
兎男「抵抗しても力じゃかなわないだろうし、あの車掌の言いなりにされて、酷いことを…」
兎男「そうだ、きっとそうに違いない!」
兎男「んああああっ!!ゆるせんんんん!!!!!」
190: 名無しさん@読者の声:2017/7/26(水) 23:19:21 ID:.JIA1ip43s
支援
お帰りなさい!
191: 名無しさん@読者の声:2017/8/30(水) 09:41:42 ID:UtKpo4NOEg
>>190
ありがとうございます!
お待たせしました!
192: ◆e.A1wZTEY.:2017/8/30(水) 09:44:34 ID:UtKpo4NOEg
車掌「――明日からは、あの兎男とは業務時間をずらしてもらう」
千織「え、何でですか!?」
車掌「前々から見ているに、考え方が若くて甘い。他の兎男よりも危ないところがある」
千織「でも、せっかく歓迎会に誘ってくれたいい人なのに…」
車掌「…」 ハァ
車掌「千織、あの男に何か言ったな?」
193: ◆e.A1wZTEY.:2017/8/30(水) 09:46:34 ID:UtKpo4NOEg
千織「え?」
車掌「あいつに好意を寄せられるようなことをだ」
千織「そ、そんな。言ってません、普通にお話しただけです」
車掌「何を言ったか知らないが、君の目線で物事を語らないことだ。この世界に住む者は、人間ではない上、もともとは死者だ。それを忘れるな」
千織「…!」
194: ◆e.A1wZTEY.:2017/8/30(水) 09:49:12 ID:UtKpo4NOEg
――翌日
兎男「…あれ?千織ちゃんは?」
兎男2「ん?なんか別チームの荷物班になったらしいぞ」
兎男「ええぇっ!なんで??」
兎男2「そんなこと俺が知るかよ〜。さぁ、仕事仕事」 バタバタ
兎男「…」
195: ◆e.A1wZTEY.:2017/8/30(水) 09:52:30 ID:UtKpo4NOEg
兎男(別チームって…そんなの、あの車掌が決めたにきまってるじゃないか)
沸々と胸の内に怒りがわいてくる
兎男(俺が昨日文句を言ったから、チームを変えられたんだ。許せない)
兎男(あんな性格の悪い車掌が、千織ちゃんに優しく接してるはずがない)
兎男(きっと虐められてる… 俺が、俺が助けてあげなきゃ!!)
196: ◆e.A1wZTEY.:2017/8/30(水) 10:01:46 ID:UtKpo4NOEg
千織「――ふう!」
キサラギ駅と書かれた駅での荷物の積み下ろしを終え、汗をぬぐう
力仕事にもだいぶ慣れてきた
千織「働くのって悪くないかも」
そう呟き、次の駅に向けて列車に乗り込もうとしたとき――
兎男「ち、千織ちゃん!!」
千織「兎男さん…?」
兎男が走ってきて、千織の手をつかんだ
197: ◆e.A1wZTEY.:2017/8/30(水) 10:04:12 ID:UtKpo4NOEg
千織「ど、どうしたんですか」
兎男「俺が、君を助けてあげる!一緒に逃げよう!!」
千織「え、えぇ!?」
『――まもなく、列車が出発します。まもなく列車が出発します』
アナウンスが入り、列車が音を立て始める
千織「だ、だめです、列車に戻らないと」
兎男「いいから、俺についてきて!!」 バッ
千織「きゃ!?」
兎男は千織を抱き上げると、ホームの外へ走り出した
198: ◆e.A1wZTEY.:2017/11/30(木) 11:22:59 ID:UugzyVWfTQ
車掌「…」 ピク
運転席で、わずかに顔をしかめる
車掌「…ちっ」
千織の気配が列車外へ出たのに気づいた
列車の出発をいったん止め、目を閉じて精力を集中する
車掌「…」
すると、列車の車両から、にょきにょきと巨大な黒い手が出現した
199: ◆e.A1wZTEY.:2017/11/30(木) 11:29:21 ID:UugzyVWfTQ
兎男「――な、なんだありゃあ!?」
千織を抱きかかえながら走る兎男に向かって、黒い手が追いかけてくる
千織「…!!」
兎男「つ、つかまってたまるか!!」
兎男は全力で走り、駅を出て町へ向かう
千織「う、兎男さん、止まってください!」
200: ◆e.A1wZTEY.:2017/11/30(木) 11:31:05 ID:UugzyVWfTQ
千織「これ以上は危ないです、やめてください!」
兎男「やめない!俺は君を助けたいんだ!!」
見ると、黒い手は猛スピードで背後に迫っていた
黒い手が至近距離まで迫り、兎男を掴もうと大きな手をひろげた瞬間――
ザンッッ!!!
「!!」
巨大な刃物で、黒い手が切断された
201: ◆e.A1wZTEY.:2017/11/30(木) 11:33:37 ID:UugzyVWfTQ
車掌「っ!」
自らの手をおさえ、顔をゆがめる
ブリアン「――ちょっと車掌!?何してんのさ!!」
ブリアンが運転室に飛び込んできた
ブリアン「列車は出発しないし、精力の手が列車から出てるし、いったい何が――」
車掌「ブリアン」
ブリアン「え?」
車掌「千織が連れ去られた。いますぐ列車から降りて、千織を追え」
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