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歪世界トレイン
[8] -25 -50 

1:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/4/30(日) 20:25:16 ID:4iSJ1d7xp2

乗客Yx1

戸野 千織(トノ チオリ)

目が覚めたらそこは、走る列車の中だった



170:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/31(水) 02:42:32 ID:spmolqlGjY

部下「そ、それが」

隊長「ん?」

部下「監視昆虫が追跡する前に、踏みつぶされてしまったようです」

隊長「…ぶっ」

隊長「ぶはははは!!」

隊長「面白い。誰だか知らないが、俺に喧嘩を売りやがったな」

部下「ど、どうされますか?」

隊長「決まっているだろう。異界警察のメンツにかけて探し出して、死刑にしてやる」

部下(い、言えない… 監視昆虫が追跡できなかったのは、ただの誤作動だったなんて)

171:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/6/5(月) 20:42:56 ID:qmYFUaaIGI
多忙のため少しお休みします
172:🎏 名無しさん@読者の声:2017/6/7(水) 17:19:10 ID:TLNgewpArk
いつも更新お疲れ様です
(´・ω・)っ旦~

読み返して待ってるので落ち着くまで頑張ってください
つCCC
173:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/6/12(月) 11:58:26 ID:qmYFUaaIGI
>>172
ありがとうございます;;めっちゃ嬉しいです( ;∀;)
14日or15日に更新再開予定です!
174:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/6/16(金) 23:42:31 ID:qmYFUaaIGI

歪世界に来てから4日目の朝

今日は寝坊することなく、早朝5時に起きた

車掌「――君にはとりあえず、各駅で荷物の積み下ろしをやってもらう」

千織「はい」

車掌「基本的にどの駅でも、兎男がその業務に携わっている。君はその補助程度でいい」

千織「兎男… 兎男さんは、どういう人たちですか?」

車掌「気性は穏やかだ。人間とわからなければ手出しをしてくることもないし、仕事はマメに教えてくれるだろう」

千織「本当ですか!」 パアア

175:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/6/16(金) 23:46:03 ID:qmYFUaaIGI

車掌「何か質問は?」

千織「え、えーと… 私、自分の筋力にはあまり自信ないんですけど。荷物って結構重いですか?」

車掌「物によるな。重そうなものは無理しなくていい。兎男は協力的だから手伝ってくれるだろうし」

千織「優しい人たちなんですね…」 ジーン


――というわけで、千織は兎男たちに混ざって荷物の積み下ろし業務にあたった

まず、駅に停車すると、貨物車両から該当の荷物を下ろす

そして、新たに載せる荷物を乗客から受け取り、貨物車両へ運び入れる

この繰り返しだった

176:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/6/16(金) 23:48:47 ID:qmYFUaaIGI

千織「…」ゼェゼェ

やはり、女の千織にとってこの肉体労働は楽ではない

一駅働いただけで汗だくになってしまう

老兎男「――お嬢ちゃん、がんばるねぇ」

千織「えっ、あっ、はい!」

老兎男「新人なのにえらいねぇ。あの車掌さんにしごかれてるのかい?」

千織「い、いや、そういうわけでは!私が体力がないだけなんです」

老兎男「ほっほっほ。初日から頑張ると、明日から筋肉痛で動けなくなっちまうから、無理しないようにね」

千織「は、はい…!」

千織(ほんとに優しい…) ジーン

177:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/7/10(月) 11:14:57 ID:wxYS1bSIHQ

車掌「千織」

昼になると、車掌が貨物車両で休む千織のもとへやってきた

千織「はい」

車掌「昼飯だ」

ぽん、とお弁当を手渡される

千織「え…!?」

千織「お、お弁当!?お弁当があるんですか!?」

車掌「駅売り弁当というやつだ。今停車しているヒナコ駅で買ってきた」

千織「駅売り弁当…」

178:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/7/10(月) 11:17:54 ID:wxYS1bSIHQ

パカ、と開くと、色とりどりの具材が目に入った

千織「お、おぉー」

感動する

しかし、それぞれの具材はなじみのある見た目ではなく、何なのかわからない

千織「…わ、私が食べられるものなんですよね?」

車掌「さきほど私も少し食べてみたが、問題ないと思う」

千織「車掌さんって、ふだん精力が食事なんですよね…?参考になるんでしょうか」

車掌「いらなければ食べなくていい」 ツーン

千織「た、食べます!食べます!ありがとうございます」

179:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/7/10(月) 11:21:45 ID:wxYS1bSIHQ

午後も変わらず、荷物の積み下ろし業務に携わった

千織「兎男さん、手伝います!」

兎男「おや、初めて見る顔だね?」

千織「今日から列車で働いてます、千織といいます。よろしくお願いします!」

兎男「そうなのか〜こちらこそよろしく」

兎男と一緒に、よいしょと声をかけて荷物をもつ

千織「う〜重い」

兎男「大丈夫かい?なんなら俺ひとりでも…」

千織「大丈夫です!へっちゃらです!」 ニコニコ

兎男「…」

兎男(よく見ると、か、かわいい顔してるなぁ〜…) ドキドキ

180:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/7/10(月) 11:27:09 ID:wxYS1bSIHQ

おとなしい雰囲気の兎男とは、千織も安心して会話することができた

千織「兎男さんは、ずっとこのお仕事をされているんですか?」

兎男「いや、俺が働き始めたのはつい最近だよ」

兎男「恥ずかしい話、家で引きこもってる時期が長くてね。最近になってやっと働こうっていう気になったんだよ」

千織「そうなんですね」

兎男「やりたいことがなくて毎日だらだらしてたんだけど、さすがに働かないとね、生活できないし」

181:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/7/10(月) 11:30:24 ID:wxYS1bSIHQ

千織「そう考えて実行できるのが偉いと思います。やりたいことは、働いてお金をためながら、見つけるでもいいんじゃないですかね?」

兎男「そうだよね、俺もそう思ったんだ。実は俺、ミュージシャンになりたいなって、ちょっと考え始めてるんだ。音楽が好きだから」

千織「へぇ!とっても素敵です」

兎男「でも、仲間には無理だって言われてる。見た目も冴えないし、気が弱いから」

兎男「兎男一族は、みんな駅や列車に派遣されて働いているしね」

千織「大切なのは兎男さんの気持ちだと思いますよ。夢があるから毎日を頑張れると思いますし」

182:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/7/10(月) 11:37:20 ID:wxYS1bSIHQ

兎男「そうかな?」

千織「そうですよ。チャレンジしてみて、自分ができることをやりきって…それでもダメだったら、列車のお仕事をすればいいんじゃないんですかね。自分の人生ですから」

兎男「そんなことを言ってくれたのは、千織ちゃんが初めてだよ」

千織「そうなんですか?」

兎男「うん。俺…みんなから変わってるって言われるんだ。だから自信なくしちゃって」

千織「変じゃないですよ!私は応援してます」

兎男「あ、ありがとう… 千織ちゃんのおかげで、何か元気が出てきたよ」

183:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/7/12(水) 21:14:10 ID:wxYS1bSIHQ

日が暮れ、そろそろ仕事が終わるだろうかという頃――


兎男「千織ちゃん、千織ちゃん」

千織「はい」

兎男「初めての仕事、1日よくがんばったね」

千織「いえいえ。兎男さんたちが優しく教えて下さったおかげです」

兎男「千織ちゃんはニコニコ可愛いから、俺たちの癒しだって、みんな言ってるよ」

兎男「ところで、みんなと話して、お嬢ちゃんの歓迎会をやろうって話になったんだ。どう?」

184:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/7/12(水) 21:16:46 ID:wxYS1bSIHQ
>>183
×お嬢ちゃん
〇千織ちゃん
185:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/7/12(水) 21:17:26 ID:wxYS1bSIHQ

千織「え、歓迎会?」

兎男「うん。列車はこのタツノコ駅で今日は終点だろ?近くにおいしいお店があるんだ」

千織「そ、そうなんですか」

千織(どうしよう…嬉しいけど、さすがに無理だよね…)

しかし、笑顔いっぱいの兎男を見ていると、とても断りづらい

千織「しゃ、車掌さんに相談してきてもいいですか?」

兎男「え?なんで?君は仕事が終われば自由だろ?」

千織(い、言えない… 車掌さんに買われてるだなんて)

千織「ざ、残業があるかもしれないので…」

兎男「そうなの?じゃあ、少しここで待ってるよ」

186:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/7/12(水) 21:19:08 ID:wxYS1bSIHQ

車掌「――歓迎会?」

千織「は、はい… 皆さんすごく優しいので、断りづらくて。どうすればいいでしょう」

車掌「町に出るのは危険だな。私のそばを離れれば、わずかに残る人間の臭いでバレる可能性もある」

千織「で、ですよね」

車掌「君は行きたいのか?」

千織「い、いえ!夜ですし、何かあったら怖いので… 」

車掌「仕方ないな。私から言ってやる」

千織「すみません」

187:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/7/12(水) 21:22:06 ID:wxYS1bSIHQ

兎男「……納得いきませんね」

車掌「何がでしょう」

兎男「新人を業務終了後も拘束するなんて。ここはブラックじゃないと思っていましたが」

車掌「彼女には住み込みで働いてもらっているので。これから列車の清掃業務をさせます」

兎男「な…さすがにかわいそうですよ、こんな女の子を」

車掌「ご心配なく。彼女も了承済みです」


188:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/7/12(水) 21:24:15 ID:wxYS1bSIHQ

兎男「千織ちゃん、本当なの?」

千織「は、はい…」

兎男「…」

兎男「…そう。じゃあ、今日はひとまずやめとくよ」

兎男「またね、千織ちゃん」

千織「はい。すみません、ありがとうございました」 ペコリ


189:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/7/12(水) 21:27:32 ID:wxYS1bSIHQ

帰路につきながら、兎男は考える

兎男「なんかおかしい…納得できないぞ」

兎男「普段から業務は滞りなくあの車掌ひとりでやってるんだから、住み込みの働き人なんていらないはずだ」

兎男「女の子を深夜までこきつかうなんて…信じられない…」

兎男「…はっ!もしかして」

兎男「千織ちゃんは可愛いから、無理やり拘束されてるんじゃないか?」

兎男「抵抗しても力じゃかなわないだろうし、あの車掌の言いなりにされて、酷いことを…」

兎男「そうだ、きっとそうに違いない!」

兎男「んああああっ!!ゆるせんんんん!!!!!」

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