2chまとめサイトモバイル

2chまとめサイトモバイル 掲示板
歪世界トレイン
[8] -25 -50 

1:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/4/30(日) 20:25:16 ID:4iSJ1d7xp2

乗客Yx1

戸野 千織(トノ チオリ)

目が覚めたらそこは、走る列車の中だった



108:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/15(月) 01:03:48 ID:spmolqlGjY

案内されたのは、車掌室だった

車掌「これが私の食事だ」

車掌が目をやった先をみると、茶色い箱があった

中には客から回収したと思われる乗車券が積まれている

千織「食事…?」

車掌「見ていろ」

車掌が手をかざすと、ゆらゆらと乗車券が揺れた

その形態は徐々に変化し、1枚1枚が青白い光になり、合わさっていく

109:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/15(月) 01:07:04 ID:spmolqlGjY

千織「…!?」

車掌はその光の塊を手のひらにのせると、自分の胸にあてがった

そのまま、ずずず、と自分の胸の中へ埋め込んでいく

千織「…」

呆気にとられている間に、光の塊は完全に車掌の体内へ入っていった

車掌「……これで終わり」

千織「い、いったい何が」

車掌「乗客は精力をもっていないので、金をだして精力を購入している。それが乗車券という形で私の元へきている」

車掌「私はその精力を吸収し、消費することで、この列車を動かしている」

千織「…!」

110:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/16(火) 01:18:08 ID:spmolqlGjY

千織「…わ、私のために払ったお金、車掌さんの精力を使ったんですよね?どのくらい使ったんですか…?」

車掌「別に気にしなくていい」

千織「でも!」

車掌「問題になる量ではないと言っている。ブリアンが大げさなだけだ」

千織「…」

千織「…本当に、ごめんなさい」

千織「私の精力、できる限り差し上げたいです。どうすればいいですか?」

111:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/16(火) 01:20:01 ID:spmolqlGjY

車掌「…」ハァ

車掌「君は躊躇もせず働くだの精力を渡すだの言うが、深刻さをわかっていないな」

千織「え…」

車掌「精力は生命力に等しいと、さきほど言ったことを忘れたのか?休めば回復する体力とは違う。自分の寿命を減らす覚悟があるなら考えてやる」

千織「そ、それは…」

そのとき

ぐううぅぅ〜〜

不意に、千織のお腹が鳴った

112:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/16(火) 01:21:21 ID:spmolqlGjY

千織「…」

車掌「…」

千織「ご、ごめんなさい…」 カアアァ

千織(もおぉ〜!何でこんな時に鳴るのよ!ばか!ばか!)

恥ずかしさで顔をおさえる

車掌「…まったく」

車掌「君は緊張感がないな」

千織「す、すみません…」

113:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/16(火) 01:22:30 ID:spmolqlGjY

車掌「…いや。普通に考えれば、君も腹がへって当然か。私の方こそ、自分だけ食事を済ませてしまってすまなかったな」

千織「い、いえ…」

謝られたことに少し驚く

車掌「積み荷に、乗客用の非常食があったはずだから、もってきてやる」

千織「あ、ありがとうございます」

114:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/16(火) 01:25:14 ID:spmolqlGjY

車掌がもってきたのは、「草」だった

千織「…草?」

車掌「ヤエヌクラ草という、この世界で最も簡単に手に入る食材だ」

車掌「この世界には人間がいないからな。君が慣れ親しんだ食料はない」

千織「た、食べても大丈夫でしょうか」

千織「食べたら元の世界へ戻れなくなるとか、ないですか?」

車掌「嫌なら食べなくてもいいが」

千織「た、食べます、食べます」

115:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/16(火) 01:27:11 ID:spmolqlGjY

シャク、と草を口の中へ入れる

千織「…」 シャク

千織「…」 シャクシャク

車掌「別にまずくはないだろう」

千織「無味、ですね…。噛み続けたガムの味です」

車掌「そのうちマシなものを調達するから、我慢してくれ」

千織「と、とんでもないです。餓死するよりずっとましです」

116:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/17(水) 23:50:20 ID:spmolqlGjY

食事を終えると、寝台車両へ案内された

1〜6両目が一般車両、7両目が寝台車両、8両目が貨物車両となっているようだ

車掌「ここの寝台で寝てくれ。最近ここは開放してないし、客がいきなり乗り込んでくることもない」

千織「はい」

千織「車掌さんやブリアンさんはどこで寝てるんですか?」

車掌「私は車掌室で寝ている。ブリアンは適当なところで寝ている」

千織「そ、そうなんですね」

117:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/17(水) 23:56:06 ID:spmolqlGjY

千織「…」 オドオド

車掌「?」

千織「あ、あの。ここが安全だとはわかってるんですけど…私、怖くて。魚人とか、未だに信じられないし…」

千織「ここは車掌室と距離があるので、何かあった時に不安で」 アセアセ

車掌「…」

千織「…」

車掌「…つまり?何が言いたい?」

千織「そ、その… 車掌さんの近くで寝させてもらったら安心だなって…」

118:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/17(水) 23:57:58 ID:spmolqlGjY

車掌は少し考える素振りを見せたが、小さく首を振った

車掌「君は甘えすぎだ。自分の身は自分で守ることも覚えろ」

千織「は、はい…」 ガーン

車掌「明朝6時に列車を動かす。5時には起きるように」

そういうと、車掌は寝台車両から出ていった

千織「…」

千織「…悪い人じゃ、ないんだけど」

気軽に話せるようになるには、まだ時間がかかりそうだ

119:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/18(木) 00:00:09 ID:spmolqlGjY

補足:列車編成

・最前部:運転席
・1〜4両目:一般車両
・中間部:車掌室
・5〜6両目:一般車両
・7両目:寝台車両
・8両目:貨物車両
・最後部:運転席

120:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/18(木) 20:56:06 ID:spmolqlGjY

―――魚人宅

恭太「へっくしゅん!」

柱に縛り付けられたまま、くしゃみをする

恭太(俺…死ぬのかな…)

寒さと空腹で、心身ともに限界だった

恭太(ちおちゃん…ちおちゃんは、食べられちゃったのかな)

恭太(俺、無力だ…好きな女の子ひとり、守れないなんて)

恭太(何でこんなことに…俺たちが何をしたっていうんだ…)

夢であってほしい

そう願いながら、恭太は眠りについた

121:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/18(木) 20:57:25 ID:spmolqlGjY

魚人母「――な、な、何だってんだい、あんたたち!」

銃をつきつけられた魚人母が、後ずさりする

???「…」

???「隊長、家の中をチェックしましたが、人間とこの魚人以外いないようです」

???「そうか。仕事が少なくて助かるな」

???「人間はかなり衰弱しているようです。急いだほうがよろしいかと」

???「あぁ」

魚人母「…!? あんたら、あの人間を連れていくつもりなのかい!」

魚人母「そうはいかないよ、あれはウチの獲物だ!!」

122:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/18(木) 21:01:04 ID:spmolqlGjY

???「静かにしろ」

バンッ、バンッ

魚人母「ぎえぇっ」 バタッ

容赦なく発砲され、魚人母は倒れこんだ

魚人母「よ、よくも…よくもおお…!」

???「歪世界に迷い込んだ人間を捕らえ、奴隷にしたり食したりすることは異界法違反だ。たとえそれが未遂でもな」

魚人母「なん、だと」

???「貴様は刑罰に処する」

バンッ

123:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/18(木) 21:03:59 ID:spmolqlGjY

男たちが恭太の前に立つ

???「――隊長。こちらがその人間です」

???「ふむ。意識を失っているな。身元を確認できるものは?」

???「人間のものとみられる学生?手帳を見つけました。沖恭太、東京都荒川区○○在住…」

???「よし、送り届けるぞ」

???「記憶の処理はどうなさいますか?」

???「消してやろう。恐怖でいっぱいだっただろうからな」

恭太(・・・・・・ん・・・?)

人の存在に気づき、意識を戻し始めた

124:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/18(木) 21:05:47 ID:spmolqlGjY

恭太(だれか、いる…?魚人か…?)

???「おや、目を覚ましたようですよ」

???「沖恭太くん。もう大丈夫だ」

恭太「大丈夫…?」

???「君の身柄は、我々異界警察が保護した。安心したまえ」

恭太「警察…!?」

はっと目を開ける

125:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/18(木) 21:13:32 ID:spmolqlGjY

???「おっと。もう少し寝ていたまえ。ちゃんと送り届けるから、大丈夫だよ」

男が恭太の目を手で覆った

恭太「っ…ちおちゃんを、ちおちゃんを助けてくれ!頼む!」

???「ちおちゃん…?」

???「まだ歪世界に人間がいるのか?」

???「調べてみます」

???「―――…いえ。この世界に、他に人間の気配はありません」

126:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/18(木) 21:14:39 ID:spmolqlGjY

???「ニオイ探知はどうだ?」

???「反応していません」

???「…ふむ。どういうことだろう?」

???「その少年も、恐怖で記憶が混乱しているのでしょう」

恭太(ちおちゃんがいない…!?そんな、馬鹿な)

恭太(まさか、食べられちゃったのか…!?)

恭太「あああああっ!!」

127:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/18(木) 21:15:49 ID:spmolqlGjY

恭太「ちおちゃん、ちおちゃん…!!!」

後悔のあまり、叫びをあげる

???「落ち着いて。隊長、記憶の削除を行ってよろしいですか」

???「あぁ」

恭太「ちおちゃん…!!」

その言葉を最後に、恭太は意識を失った

244.81 KBytes

名前:
sage:


[1] 1- [2] [3]最10

[4]最25 [5]最50 [6]最75

[*]前20 [0]戻る [#]次20

うpろだ
スレ機能】【顔文字