あらすじ
永遠の命。その鍵となる救い主、カロル。
欲望に目覚めた西の国。狂気は果てしなく蠢く
遂に勃発してしまった戦争
強大な西の国に立ち向かうべく王国、東国、南国は6ヶ国同盟から成る平和協定を破り、3国連合軍を結成する
南国は多大な犠牲を払い、国王ローレンの命と引き換えに西帝国軍の主力を削った
東国は張り巡らされた罠を果敢に打破するも圧倒的な力の前に粉砕される
敵地にて孤軍となった王国軍
総指揮官フィクサーの戦略采配が功を奏し、帝都本拠地の制圧を完了した
一方で吉報を待ち、国内に留まる王国の国王ヒメ
迫り来る侵略の魔の手を退ける為、東国のホビット族と手を結ぶ
彼らによって明かされた最後の真実
アピシナの大樹の成り立ち
かつて癒しの力は破滅を導いた
人もホビットも共通する願い
永遠の命が野心をくすぐる
穢れなき無垢な愛情は火種となって注がれ、混沌とした世界を象徴するように大樹を巡る争いは止まなかった
忘れ去られた無残な過去
300年もの月日を経てなお繰り返される歴史
誰も止めることは叶わない
友情を取るか、安寧を取るか
時を追う毎に取捨選択を強いられる
捨てていいものなど一つもないのに
22: ◆WEmWDvOgzo:2017/4/30(日) 08:15:10 ID:WB3T0gfyVY
>>21
ありがとうございます!
ここまで来たらがむしゃらにスパートを切りたいと思います!
書くたびにゴールが遠ざかってるような気もしますがw
23: ◆WEmWDvOgzo:2017/4/30(日) 08:19:47 ID:WB3T0gfyVY
今から投稿する物は本編と一切関係ありません
イベント中&SS板統合直前ということで二日目も参加したいという浅はかな気持ちから生まれた駄文です
箸休め的な意味合いで捉えていただけたら幸いです
こんなカロルはイヤだ
【2スレ目の208での一幕】
母「坊やは宣教師様がお嫁さんだったらどう?」ニコニコ
カロル「宣教師さまが?」キョトン
宣教師「お、お母様!そんな…気が早いで……」アタフタ
カロル「うーん…無理!」
宣教師「え……」
カロル「ぜんぜん好みじゃないもん!」ヘラヘラ
母「そ、そう」
宣教師「(こ、このガキ…)」
【※はっきりフる】
24: ◆WEmWDvOgzo:2017/4/30(日) 08:20:27 ID:BMI.v0bS.A
こんな宣教師はイヤだ
【4スレ目、964の一幕】
ラム「ちょっと!話が違うじゃないか!あいつの一声で暴動が起こってるよ!」アセアセ
ヒメ「そんなバカな…!?」ガクガク
宣教師「えぇ、バカですね。男って本当……はぁっ」イライラ
ラム「どうするんだよ!なにか秘策はないの!?」
ヒメ「冗談じゃない…!こんな……これ以上どうしろって言うんだ!」
宣教師「……この手だけは使いたくなかったのですが」
ラム「え!?」
ヒメ「この危機を脱する手があるのか!?」パァァ
宣教師「魅力には魅力!私が全力で彼らを誘惑します!」カッ
ラム「えぇっ!?」
ヒメ「な、なに言ってんだよ!」
宣教師「私だって女なんです!やってやれないことはありません!」ヌギッ
ヒメ「バカ!よせ!脱ぐな!」アワアワ
ラム「そうだよ!聖職者が色仕掛けなんてしていいわけ!?」アセアセ
宣教師「聖職者を無理やり脱がせるのが好きな男もいます!(※1スレ目の最後らへん参照)」
ヒメ「いやいや聖職者が積極的に脱ぐのは違うんじゃないか!?」
宣教師「そう言っておきながら既に私の虜となっているんでしょう?」
ヒメ「なるかバカ!!」
宣教師「さぁ見なさい兵士の皆さん!!教団の司祭ともあろう者が脱ぎますよー!!」バサッ
ワァーワァー! ジョオウヘイカバンザーイ!
宣教師「……」スッポンポン
ヒメ「だーれも見向きもしないじゃないか」
ラム「おわったね」
『※このあとめっちゃバッドエンド』
25: ◆WEmWDvOgzo:2017/4/30(日) 08:21:07 ID:BMI.v0bS.A
こんな友達はイヤだ
【1スレ目、193の一幕】
パッチ「それにしても髪切ってるから分からなかったよ」
ルーボイ「そうだよ、昨日はもうちょっと長かったじゃんか?」
カロル「あはは。分かりにくくてごめんね?
でもアレはカツラだから髪を切った訳じゃないんだ」
ルーボイ「なんでカツラなんか被ったんだ?ハゲてないのに」
カロル「は、はは…ホビットだって思われない為に女の子のカッコをしてたの」
ルーボイ「へ?女の子のカッコ?」
パッチ「まさかキミ…男なの?」
カロル「う、うん。実はそうなんだ…」カァァ
パッチ「えぇ!気付かなかったよ!?」
ルーボイ「」ガーン
パッチ「(あ、ショック受けてる)」チラッ
ルーボイ「……」
パッチ「ドンマイ!」ポンッ
ルーボイ「最悪、男でもいいか…」ボソッ
パッチ「!!!」ゾクッ
カロル「?」キョトン
【※種族どころか性別も友情も越してくる】
26: ◆WEmWDvOgzo:2017/4/30(日) 08:22:23 ID:WB3T0gfyVY
こんなお母さまはイヤだ
【1スレ目、672の一幕】
―――大聖堂(地下牢)―――
ダガ「ふぅっ!ふぅっ!」ビクンビクン
母「手足を縛って目隠しをされながらお尻を踏まれる気分はいかが?」グリグリ
ダガ「ぐはぁっ!屈辱的だが…たまらんっ!」ビクンビクン
ジョー「こ、これは…」
神父「なんたる破廉恥な…!」
トト「うわぁ…」
母「来てくださいましたの?」
ダガ「なに!誰かいるのか!?」
母「」グリグリ
ダガ「おうつ!」ドピュッ
母「ふふ…もう出したの?情けない男…」
ダガ「んだとてめぇ!」
母「」グリグリ
ダガ「んはぁっ!?」ビクビク
母「ほら!もっと鳴きなさい!お客様にその不細工なあえぎ声を聞かせるのよ!この豚!あんたなんか豚なのよ!」ペシンペシン
ダガ「ブヒィィィイ!!」ガクガク
ジョー「………」
神父「………」
トト「………」
【※目的を忘れてヒートアップする】
27: ◆WEmWDvOgzo:2017/4/30(日) 08:23:14 ID:WB3T0gfyVY
こんな団長はイヤだ
【2スレ目、965の一幕】
団長「昨日の早朝から巡礼が始まり、日の出まで戦ってきた訳か…。長かったな」
ミシング「あーん!ミシングちゃん、動きっぱなしでもう眠たーい…。おじさまのたくましい腕枕が欲しいなー?なー?」チラチラ
ヒメ「言っとくが、こいつ妻子持ちだからな?」
ミシング「え!?そうだったの!?」
団長「…う…おっほん!」
ミシング「そんなー!あたしってば弄ばれたー!えーん!」
団長「」ポンッ
ミシング「ふえ?」
団長「第七夫人からで良ければ…」
ミシング「だ、ダイナナ……!?」
ヒメ「お、おまえ…」ドンビキ
団長「英雄色を好むと言いましょう?」
ヒメ「女性の気持ちをなんだと思ってるんだ!奥さんや子供に申し訳なくないのか!?」
団長「バレなければいいのでござる」
ヒメ「ござるじゃねーよ、絶対言い付けるからな」
ミシング「あたし…それでもいい!」
ヒメ「えっ」
ミシング「遊びでも好きな人といられるなら…」ポッ
団長「ふっ!また一人、都合のいい女ができた」ニィッ
ヒメ「(た、爛れてる…大人って……)」ズーン
【※武人なのに不倫しまくる】
28: ◆WEmWDvOgzo:2017/4/30(日) 08:25:59 ID:BMI.v0bS.A
こんなヒメはイヤだ
【3スレ目、898の一幕】
ヒメ「衛兵!そいつを地下に戻せ!」
衛兵1「はっ!来い!」グイッ
アントリア「っ…!扱いが乱暴じゃないか…!?」ギシッ
衛兵2「この者はいかがなさいますか?」
アリアス「えっ」ビクッ
ヒメ「そいつも牢に押し込め。もう用済みだ」
衛兵2「ははっ!」
アリアス「は!?証言したら罪を免除してくれる約束じゃないのよ!?」
団長「まことによろしいので…?」コショコショ
ヒメ「約束なんか知るか。罪人だぞ、そいつ」
団長「…承知しました」
衛兵2「神妙にしろ!」ガッ
アリアス「あぁぁ!!ちょっと陛下ぁぁ……」ズルズル
【※約束を守らない】
以上になります!SSフェスティバル二日目!本番はここから!もっと盛り上がりますように!
29: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/1(月) 23:21:09 ID:eI.uCZwLb.
〜〜〜1ヶ月後〜〜〜
―――王都(城下町)―――
門衛1「開門!開門せよ!」
門衛2「道を開けろ!!」
ザワッ
町民1「な、なんだなんだ…?やけに物々しいな?」
町民2「またどっかの国から使者でも来たのか?」
ギィィィィイイイイ………
ザッザッザッザッ
町民3「え…!?」
町民4「そ、そんなバカな!?」
町民5「あれはうちの国の旗印……じゃあ、あの兵士の集団は…!?」
町民6「王国軍は西の国に寝返ったんじゃなかったのか!?」
町民7「み、見ろ!馬車の中から誰か出てくるぞ!?」
ヒメ「ふぅ。たった数ヶ月でも離れてみると…ここの空気がいかに清潔だったかが分かるな」ストッ
宣教師「えぇ、ですがあの国で学んだ現実は私たちの糧になることでしょう」ストッ
ザワッ
町民5「こ、国王様!?」
町民8「司祭様もいるぞ!?」
町民3「ど、どうなってるんだ…!城にいらっしゃったんじゃなかったのか…?」
ヒソヒソ ヒソヒソ
ヒメ「民衆に説明を」
団長「はっ!」ザッ
30: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/1(月) 23:21:50 ID:eI.uCZwLb.
ザワザワ ザワザワ
団長「聞け!愛すべき王国の民よ!」
町民's「」オロオロ
団長「突然の事で驚かせただろうが、こちらにおわすのは正真正銘、我らが国王ヒメ様である!!」
町民's「……?」オロオロ
団長「既に聞かされているだろうが我が国は総指揮官フィクサーの裏切りに遭い、西の国と再びまみえる事となった!」
町民8「ヒッ…!?」サァァ
町民9「と、とうとう国王様が兵を徴収しに…!」ブルッ
町民10「司祭様もいるって事は教団も……やっぱり戦争は起こるのか…!?」ビクビク
団長「だがそれも、もはや過去の話だ!」
町民's「!?」
団長「国王陛下が自ら兵を率い、帝都に巣食う敵軍もろとも国賊フィクサーを成敗なされた!!」
町民's「え!?」ギョギョッ
団長「今日まで諸君らに不安を与えてしまい、まこと申し訳なく思う!しかしその不安も今この時、一点の曇り無く晴れるだろう!」
町民's「」ドキドキ
団長「此度の反逆は我々、国王直属軍の手により鎮圧!!西の国との戦も我が国の全面勝利で決した!!全ては国王陛下のお導きなり!!!」
町民's「〜〜〜!!!」プルプル
ヒメ「隠していて悪かったな。今日からは安心して、また日々を過ごしてくれ」ニコッ
ウオォォオオオオオ!!! ワァァァアアアアアアア!!!
宣教師「私まで顔を出す必要があったのですか?」
ヒメ「まぁそう言うなよ。僕らは一応、王国と教団の象徴だ。こうして威光を高める機会も必要なのさ」
宣教師「そういうものなのでしょうか…」ウーン
町民's「バンザーイ!!!国王陛下バンザーイ!!!」
31: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/1(月) 23:22:37 ID:W5Vcpfi1ZU
―――王宮―――
ヒメ「……」スタスタ
政務官「一同、出迎えよ!陛下の帰還である!!」
高官's&衛兵's「ハハーッ!!!」ザザッ
団長「」ザザッ
ネバル「お帰りなさいです!陛下ー!」フリフリ
ゴチンッ!
ネバル「」プシュー
政務官「なにを呑気に手を振っているんだ?皆に習って控えろ!」ピキッピキッ
ネバル「うぅ…お出迎えするって言うですもん」ヨロッ
ヒメ「ははは!相変わらずだな、おまえは?」クスクス
ネバル「へ、陛下!陛下もお変わりなくです!」パァァ
ヒメ「そうか?かなり泥臭くなったけどな?」クンクン
ネバル「オイラも畑耕してた頃はまいんち泥んこでしただよ!」
ヒメ「畑仕事と一緒にするなよ…。苦労して戦ってきたんだから」ヒクヒク
ネバル「なにを言うですか!畑仕事も立派な戦いです!年中せっせと手入れするのも大変な苦労ですだよ!?」
ヒメ「わ、分かった、分かった。悪かったよ」アセアセ
ネバル「分かればいいです!えへん!」ドヤッ
ゴチンッ!
ネバル「」プシュー
政務官「分かっていないのは貴様だ!控えろと言っているだろ!?」ギロッ
ネバル「はひぃ〜……パワハラですぅ…」シクシク
32: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/1(月) 23:26:36 ID:eI.uCZwLb.
政務官「まずはご無事で何よりに御座います…。役人一同、この日を待ちわびておりました」ペコッ
ヒメ「おまえが手を回していてくれたおかげだよ。援軍が到着していなければ今頃は西国の土に埋まっていたかもな」クスッ
政務官「当然の配慮です」
ヒメ「助かった。礼を言うぞ」
政務官「もったいなきお言葉…」
ヒメ「ハリアンス家からは何か求められたのか?」
政務官「要求はございませんが、こちらから勲章を授与し、関係の改善を図ろうと考えております」
ヒメ「そうか。じゃあ感謝状をしたためておこう。文はおまえに任せる」
政務官「承知しました」
ヒメ「見事な手際だった。おまえを推挙した僕の判断は間違ってなかったようだな」クスッ
政務官「……」ワナワナ
ヒメ「政務官…?」
政務官「よくぞ…ご無事で戻られました」グッ
ヒメ「な、なんだ?わざわざ改まって…?」
政務官「私は信じておりました…。家臣として心より賛美を述べさせていただきます」ペコッ
ヒメ「…あぁ、ありがとう」ニコッ
政務官「し、失礼…!」プイッ
ネバル「あー!リルラ様、ひょっとして泣いてるですかー!?」
団長「ほほう?鬼の目にも…というやつか」ニヤッ
政務官「や、やかましい!泣いてなどいない!」ガァーッ
ヒメ「はは…まったく帰って早々、騒がしいな」ニコニコ
33: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/1(月) 23:28:11 ID:eI.uCZwLb.
ヒメ「皆、僕が不在にしている間、きっちり役目を果たしてくれたみたいだな。本当にご苦労だった」
ハハーッ!!!
ヒメ「早速だが報告を聞かせてくれ。何か変わりはあったか?」
シーン
ヒメ「? どうした?」キョトン
政務官「…今日のところはひとまずお休みなされてはいかがでしょうか。長期に渡る戦を終えられ、疲れが残っておられるかと」
ヒメ「…何があったんだ」ジロッ
政務官「……」
ヒメ「答えろ。命令だ」
政務官「…北の国より書状が届いております」
ヒメ「内容は?」
政務官「三国連合の解散及び平和協定を破棄した国々に対する賠償要求に御座います」
ヒメ「対応は済ませてあるのか?」
政務官「いえ…見合わせております」
ヒメ「連盟国はどう対処したんだ?」
政務官「南の国は下ったとの報せが…」
ヒメ「…東の国は?」
政務官「……」
ヒメ「はっきりしろ。東の国はどうしたんだ」
政務官「軍備を…整えておられます」
ヒメ「!?」
団長「た、戦うと言うのか!?」
政務官「そう知らされている…」
ヒメ「ミリア王妃がそんな決断を…?なぜだ…?」
政務官「ホビット族への領地壌土。この約束を果たす為であるとか」
ヒメ「……!」
34: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/1(月) 23:31:18 ID:eI.uCZwLb.
団長「か、勝ち目はあるのか!東の国にはもはや戦い抜く力など残っておらんだろう!?」
政務官「…おそらくはホビット族が要となるだろうな」
団長「無理だ!たしかに彼らとは一時共闘し、城塞防衛戦を乗り切ったが…とても正面から軍を崩せるとは思えん!」
政務官「同感だ。だが私はあちらに関与出来る立場にない」
団長「な、なにを考えておるんだ…!自ら滅びようとしているのか…!?」
ネバル「あ、あの!」
政務官「なんだ?」
ネバル「た、助けない…ですか?」
団長「むぅ…」
政務官「……」
ネバル「み、ミリア様はブルードル陛下や宰相様を失って自棄になってるです!きっとそうです!王国が助けないと!」
政務官「…それは出来ない」
ネバル「ど、どうしてです!?」
政務官「我々が同盟間を無闇にこじらせ、禁を犯したのは事実。北の国の主張はもっともだ」
団長「うむ…」
ネバル「そ、そんな!」
35: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/1(月) 23:34:28 ID:eI.uCZwLb.
ネバル「助け合わないですか!?一緒に戦ったですよ!?」
政務官「…無論そうしたい。だが我々が戦犯であるのは明白だ」
団長「動き出しておるのは一国ではあるまい?」
政務官「察していたか…。そうだ。北の国の他に二つの国がこの件に乗り出している」
ネバル「む、向こうも三国連合をしたってことですだか…!?」
政務官「…正当だ。それだけに強引が目立つがな」
ネバル「そんなの…ズルいです!自分たちばっかりいい思いしようとして…何が正当ですか!?」
団長「平和を誓い、共に手を取り合った。かつての同盟が二つに割れた、か」
政務官「こうなる事は見越していた」
ネバル「どういうことです!?分かってたなら対策もあるですよね!?」
政務官「……」
ネバル「リルラ様!ねぇ!どうなんですだか!?」
政務官「東国、南国、それぞれの代表を失い、示し合わせていた流れが反故になる誤算があった」
ネバル「……!」
政務官「しかしまだ望みはあったのだ…。フィクサーの反逆さえなければな」
ネバル「!!!」ハッ
36: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/1(月) 23:35:53 ID:eI.uCZwLb.
ネバル「王国が…悪いですか?自分たちが…台無しにしてしまったですか?」ブルッ
政務官「…軍が機能していれば交渉の時間も大いに稼げた。東、南、両国の負担も減らしてやれただろう」
団長「国賊の名を着た王国軍に民も我々も信を置けん。一度解体し、再構築せねばならん」
ネバル「でも…でも!そんなことしてたら!」
政務官「…東の国は滅びるだろうな」
ネバル「なら…やっぱり…!」
団長「うぅむ……」
政務官「我々にも余裕はない。北の国と交渉し、同盟国との友好を再度取り成さねばならない」
団長「自国の安寧を維持し、移住を強いた民の土地を復興させてやるのも重要だ」
ネバル「見捨てるですか…?」
政務官「…冷静になり、改めて協議する必要があると文を寄越した。返事は来ていないが」
ネバル「ミリア様……死ぬ気でいるですね。お優しい方だから…オイラ達を気遣って関わらせないようにしてるです」
団長「ずいぶん思い入れがあるようだな」
ネバル「当たり前です…!オイラは陛下と二回、東の国に行ったです!ブルードル陛下ともミリア王妃とも…お酒を飲んで楽しく話したです!」ウルッ
団長「それは…残念だったな」
ネバル「残念だったな…!?残念で済ましていいですか!?これじゃ王国も北の国と変わらないですよ!?」
団長「…すまん」
ネバル「なんだったですか…。今まで……なんで戦ってきたですか」
ヒメ「……」
37: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/1(月) 23:39:40 ID:eI.uCZwLb.
ネバル「陛下は…なんで何も言わないですか?」ジッ
ヒメ「……」
ネバル「陛下も見捨てるですか?ブルードル陛下をあんなに慕っていたですよね!?」
政務官「…私情を口にするな。全ては王国の為だ」
ネバル「自分たちだけですか!?東の国もおんなじように人が暮らしてるですよ!?」
政務官「黙れ!!」
ネバル「」ビクッ
政務官「たかだか2、3年程度の経験で偉そうに語るな!どうにもならない事をごちゃごちゃと喋ってる暇があれば次を見据えて思考しろ!!」
ネバル「なっ…」
政務官「我々は王国の役人だ!王国の為に仕え、王国に住まう民を生かすのが我々の使命だ!!」
ネバル「う…っ……」
政務官「貴様のごとき素人に毛が生えたような木っ端役人が出る幕などない!」
ネバル「っ〜〜!!」キッ
政務官「なんだ、その目はぁ!?」
ネバル「……!!」ギュウウ
38: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/1(月) 23:41:23 ID:eI.uCZwLb.
ネバル「そ、その言いぐさはあんまりです!!」
政務官「……」
ネバル「オイラだって…一生懸命やってるです!王国の為に考えてるです!!」
政務官「ならば分を弁えろ!貴様が本来当たるべき管轄は民間への支援だ!国外情勢への意見など差し出がましいものと知れ!!」
ネバル「管轄はそれぞれでも意見はしていい筈です!口出ししちゃいけないなんて誰が決めたです!?」
政務官「ほう!では意見とやらを聞かせてもらおう!東の国と自国の安全を同時に保証する手立てがどこにある!?」
ネバル「そ、それは…全員で話し合って……」
政務官「話し合う余地などない!そんな方法はどこにもないのだからな!」
ネバル「だ、だけど…」
政務官「だけどではない!何も考えられない無能が口答えをするな!!」
ネバル「む、のう…」ガーン
ヒメ「やめろ!!」
政務官&ネバル「……!?」
ヒメ「二人ともそこまでにしておけ」
政務官「はっ…」
ネバル「……」シュン
ヒメ「…後日、改めて話し合おう。僕も少し休むことにする」
政務官「かしこまりました」
ヒメ「出迎えご苦労だった。皆は引き続き、公務に戻ってくれ」
ハハーッ!!!
39: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/1(月) 23:47:52 ID:eI.uCZwLb.
―――王宮(客室)―――
カロル「わー!」キラキラ
宣教師「これはまた…広い部屋に通されましたね」マジマジ
ラム「全体的にきらびやかだなぁ…。客室でこれならヒメはもっとすごい部屋に住んでるんじゃ…」
宣教師「い、いやぁ…彼の部屋はもう少し落ち着いていましたよ?」
カロル「あはは!すっごーい!!」ピョンッ ポフッ
ラム「あんなにはしゃいじゃって?よっぽど嬉しいのかな?」
宣教師「彼曰く"初めてのお泊まり"なので胸が昂っているのでしょう」
ラム「民家ならまだしも…お城だからね、ここ」
宣教師「それでも彼にとっては"友達の家"なのですよ」クスッ
ラム「…カロルくんらしいや」クスッ
カロル「ねぇ!見てみて!このベッド!とってもおっきいよ!」ポフン
ラム「うん。5人くらいで寝ても軋まなそう」
カロル「今日は三人で一緒に寝ようよ!いいでしょ?」キラキラ
ラム「だってさ?」
宣教師「もちろん構いませんよ」ニコッ
カロル「やったー!」
40: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/1(月) 23:50:41 ID:W5Vcpfi1ZU
ラム「うわー…横になってみるとますます広いね」フカフカ
宣教師「えぇ、それにとても柔らかで心地いいです…。これが最高級のぬくもりなのでしょうか…」ホワーン
カロル「ラムくん。もっとこっちにおいでよ!」モゾモゾ
ラム「へ?なんでさ?こんなに広いんだし空けた方がいいんじゃない?」
カロル「ぎゅっ!」ダキッ
ラム「わっ!な、なに!?」ビクッ
宣教師「ふふ、仲良しですね?」
カロル「えへへ!旅してた時もね、こうやってお母さまとマルクと三人で添い寝してたの!ちっちゃいベッドだったけど暖かかったよ!」
ラム「べ、別にくっつかなくてもいいと思うんだけど…せっかく大きいベッドで寝てるんだし」ヒクヒク
宣教師「ふむふむ、なるほど、身を寄せ合って暖め合うのですね。
しかし一つのベッドで事足りるとは…体の小さいホビットならではの術という訳ですか」
ラム「どこに感心してるのさ…。あと小さいのはコンプレックスだから、あんまり分析しないでよ…」
宣教師「小さくていいじゃないですか。二人とも可愛らしいですよ?」
ラム「全然嬉しくない…。むしろけなされた気分だよ」ムスッ
カロル「ぼ、ボクだって、いつかおっきくなるよ!夜更かししないもの!」アセアセ
宣教師「どうでしょうねー…。身長なんて意外と望んだようにはならないものですよ?」
ラム「そ、そんな言い方ないじゃん!たしかにもう10才を過ぎたから伸びないけどさ…!」イジイジ
カロル「うぅ…ずっとこのまんまだったら、みんなに笑われちゃう」グスンッ
宣教師「可愛いげがあっていいですよ。私なんて気付けば、こんな大女になってましたし…」ズーン
ラム「……ま、まぁそういう種族だからね。しょうがないよ」
宣教師「人であって巨人ではないのですが…」
カロル「うらやましいなー。ボクも宣教師さまみたいにおっきくてカッコいい人になりたい」
宣教師「私はキミたちが羨ましいですよ。はぁ…」
カロル「? どうしてため息つくの?」
ラム「女の人にもコンプレックスはあるんだよ…。そっとしてあげよ」
カロル「う、うん…?」オロオロ
41: ◆WEmWDvOgzo:2017/5/1(月) 23:53:42 ID:eI.uCZwLb.
カロル「うぅん…むにゃむにゃ」ギュー
ラム「(すっごいしがみついてくる…。でも振りほどいたら可哀想だし…)」
宣教師「ぐっすり眠ってますね?」ニコニコ
ラム「僕は寝れないけどね…」
宣教師「安心しているんですよ。私やキミがそばにいて」
ラム「……」
宣教師「今回の件に関わらず…私たちは元々、繋がる筈のなかった者同士ですからね」
ラム「こうやって同じ布団にくるまるなんて考えられなかったよね」
宣教師「…これが彼の望む世界なのかもしれませんよ」
ラム「……?」
宣教師「分け隔てなく穏やかな一時…。この部屋には今、確かな平穏があります」ニコニコ
ラム「…朝になるまでの短い時間だけどね」チラッ
カロル「んんぅ……えへへ、ふやぁ」スヤスヤ
宣教師「ふふ…安らぎに満ちた寝顔ですね」クスッ
ラム「どんな夢見てるんだろ?」
宣教師「良い夢に違いありませんよ。こんなにあどけない笑顔なんですもの」
ラム「…僕も寝よっかな」
宣教師「それがいいでしょう。もう小窓から星空が見えています」
ラム「……おやすみ」フカッ
宣教師「はい、おやすみなさい」ニコッ
ラム「」スゥゥ
宣教師「良い夢を…」ポンポン
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