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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編その3】
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1: ◆WEmWDvOgzo:2017/4/29(土) 21:15:11 ID:.RxhzfPc96
あらすじ

永遠の命。その鍵となる救い主、カロル。
欲望に目覚めた西の国。狂気は果てしなく蠢く

遂に勃発してしまった戦争
強大な西の国に立ち向かうべく王国、東国、南国は6ヶ国同盟から成る平和協定を破り、3国連合軍を結成する

南国は多大な犠牲を払い、国王ローレンの命と引き換えに西帝国軍の主力を削った
東国は張り巡らされた罠を果敢に打破するも圧倒的な力の前に粉砕される

敵地にて孤軍となった王国軍
総指揮官フィクサーの戦略采配が功を奏し、帝都本拠地の制圧を完了した

一方で吉報を待ち、国内に留まる王国の国王ヒメ
迫り来る侵略の魔の手を退ける為、東国のホビット族と手を結ぶ
彼らによって明かされた最後の真実
アピシナの大樹の成り立ち

かつて癒しの力は破滅を導いた
人もホビットも共通する願い
永遠の命が野心をくすぐる

穢れなき無垢な愛情は火種となって注がれ、混沌とした世界を象徴するように大樹を巡る争いは止まなかった

忘れ去られた無残な過去
300年もの月日を経てなお繰り返される歴史
誰も止めることは叶わない

友情を取るか、安寧を取るか
時を追う毎に取捨選択を強いられる
捨てていいものなど一つもないのに


2: ◆WEmWDvOgzo:2017/4/29(土) 21:17:06 ID:ItyqIbwMvc
かくして戦争に勝利した連合軍
しかし争いは終わらない
王国軍総指揮フィクサーの反逆
逆境を乗り越えた先に待つのは更なる窮地であった

西国に君臨する至上最悪の女帝ファルージャ
肉欲を愛と呼び、打算を恋とする魔性の持ち主
彼女の魅力は人々をことごとく誘惑し、自らの配下に取り込んだ

ファルージャは救い主を拉致し、大樹へと到達する
不朽の美を我が物に。
目的を遂げた彼女は大樹を焼き払った


友を奪還する
想いを一つに仲間たちは最後の戦いに赴く

抑圧と貧困に耐えかねた西国のレジスタンス組織イアマン
フィクサーに背き、王国軍を追われた元軍長ドレッド
彼らの協力を得て再び戦いは加速する

激しい戦いの末、国王とその仲間は国賊フィクサー、女帝ファルージャ打倒を果たした
友も無事に取り戻し、全ては決着した

1つの争いが終わり、世界に変革が訪れる
時代はまだ始まったばかりだ………


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1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)

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2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)

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3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1438354858/l10

4スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編その2】)
3: ◆WEmWDvOgzo:2017/4/29(土) 21:20:32 ID:ItyqIbwMvc
―――西国領内(山岳地帯)―――

ドドドッ ドドドッ

ウォォォオオオオオオ!!!!!

団長「ぬぅ…!わらわらと群がりおって!蹴散らすぞ!」ガガッ

護衛's「団長に続けぇっ!!」ガガガッ

ザシュッ ドバッ ズブッ ブシャッ
4: ◆WEmWDvOgzo:2017/4/29(土) 21:21:14 ID:ItyqIbwMvc
ワァーワァーギャーギャー

宣教師「またですか…」ジッ

ヒメ「いや、今回は野盗の集団だ。適当に追い払って先を急ぐ」

宣教師「この調子ではクーペさんの待つ廃村に着くのもいつになるか分かりませんね…」

ヒメ「…仕方ないだろ。僕たちがいるのは敵地のど真ん中だ。多少の妨害はやむを得ない」

宣教師「ですが兵の皆さんも連日の戦いで疲弊してますよ…」

ヒメ「クーペたちと合流出来れば医療班も確保できる。それまでの辛抱だ」

宣教師「……」

ヒメ「…カロルにも、ちゃんと言っておけよ。なんとか誤魔化しておいたが疑ってる奴もいる。あいつの力はなるべく知られない方がいい」

宣教師「はい…」

護衛15「陛下!後方から帝国軍の残党が!?」

ヒメ「ちっ…王国軍の兵で対処しろ!」

護衛16「その王国軍の兵なのですが…フィクサーの解放を求めて抗う者たちが出ました」

ヒメ「…恩赦の件を強調して説得に当たれ。反逆に加担する者は極刑に値するともな」

護衛16「ははぁっ!!」

宣教師「…このやりとりも既に二度目ですね」

ヒメ「つい先日まで争っていた敵を従えて行軍するんだ。今さら驚くことでもないだろ」

宣教師「……」

ヒメ「罪を背負って自国に帰る不安や単純な保身、諦めきれない野心…あいつらを突き動かす闇は深い。だからこそ僕らは冷静でいないとな」

宣教師「私達は無事に王国へ帰れるのでしょうか…」

ヒメ「帰るさ。やらなきゃならない事が山ほどあるからな」

宣教師「…そうですね」シュン

ヒメ「それに…反逆者の中には悔い改めようとしてる奴らもいる。恩赦を引き合いに出せば積極的に償おうとするだろう」

宣教師「……」

ヒメ「勝てば終わりじゃない。大事なのはその後だ。おまえにも力を貸してもらうぞ」

宣教師「はい…」
5: ◆WEmWDvOgzo:2017/4/29(土) 21:21:54 ID:ItyqIbwMvc
〜〜〜夜〜〜〜

―――西国領内(廃村)―――

ワラワラ ワラワラ

団長「今夜はこの村で休息を取る!貴様らは襲撃に備え、二時間毎に交代で見張りをしておけ!陛下の信用を得たければ忠を尽くす事だ!」

王国兵's「ははっ!!」

団長「お前達は陛下の身辺警護とフィクサーの監視だ。何があっても目を離してはならんぞ!」

護衛's「承知しました!」

団長「負傷者は合流した医療班に申し付け、手当てを受けろ!王国軍の者も遠慮なく言え!」

王国兵's「わ、我々も…?」

団長「…陛下が申されたことだ。傷付いた体では祖国まで辿り着けんだろう」

王国兵's「……!」

団長「以上だ!総員配置に着け!」

バラバラ バラバラ
6: ◆WEmWDvOgzo:2017/4/29(土) 21:25:33 ID:ItyqIbwMvc
宣教師「お待たせして申し訳ありません。大丈夫でしたか?」

クーペ「えぇ、変わりなく。司祭様達がご無事で何よりです」ニコッ

宣教師「いろいろと立て込んでて時間が掛かってしまいましたが…」

クーペ「ふふ、とんでもないですよ。ところで救い主様は…?」

宣教師「カロルくんでしたら国王の馬車に…」

クーペ「へぇ!国王様と!やっぱり救い主様は大切にされてるんですね!」

宣教師「…はい。二人は親友ですから」

クーペ「本当に良かったです!後は国に帰れば全て円満ですよね!」

宣教師「……」

クーペ「ココットも寂しがってるだろうし帰ったら、とびきり美味しいハンバーグ焼いてあげなきゃ!」

宣教師「円満、ですか…」ポツリ

クーペ「? どうかなさったんですか?」

宣教師「あ、いえ…」
7: ◆WEmWDvOgzo:2017/4/29(土) 21:30:10 ID:ItyqIbwMvc
クーペ「本当に大丈夫ですか?顔色もよくありませんし…」

宣教師「お構い無く。慣れない旅で疲れが出ただけですよ」

クーペ「…そうでしたか。あれだけの事があった直後ですもんね」

宣教師「…そういえば国王も感謝してましたよ。帝都の鎮圧に成功したのはひとえにクーペさんのおかげだと」

クーペ「そ、そんな?わたしはただ薬を調合しただけでなにも…」

宣教師「いえいえ、その薬が無ければ宮殿はおろか帝都にも入れなかったのですから」

クーペ「…でも」

宣教師「?」

クーペ「わたしの薬がたくさんの人の命を奪ってしまったんですよね…。敵だったとはいえ、医術をそういう手段に…」

宣教師「クーペさん…」

クーペ「もちろん仕方なかったんだと分かってます…分かってますけど…薬師の名を汚してしまったようで」シュン

宣教師「悔いを残したのは皆さんも同じですよ。この戦いに関わった全ての人が等しく苦悩を抱えているでしょう」

クーペ「そうですよね…。わたしだけではないですよね、やっぱり…」

宣教師「…この過ちはきっと良い方向に繋がりますよ。いや、繋げましょう」

宣教師「その一心で戦ってきたんですから…」

クーペ「はい…頑張りましょう」ニコッ

医療班1「クーペさん!ちょっと来てもらっていいですか!」

クーペ「あ、はーい!では司祭様、失礼します!」クルッ

宣教師「」ペコッ
8: ◆WEmWDvOgzo:2017/4/29(土) 21:32:27 ID:ItyqIbwMvc
宣教師「……」スタスタ

団長「む?」

宣教師「お一人ですか?」

団長「うむ。こればかりは譲れん役目だ」

宣教師「私も加えていただいても?」

団長「あぁ、構わんよ。馬車の警護など退屈だろうがな」

宣教師「中のヒメくんに聞かれたら怒られますよ?」クスッ

団長「う……し、失言だ。忘れてくれ」

宣教師「ふふ…どうしましょう?」

団長「ええい!要求はなんだ!?」

宣教師「では話し相手になっていただけますか?」

団長「…ふん、お安いご用だ」ニッ
9: ◆WEmWDvOgzo:2017/4/29(土) 21:44:30 ID:ItyqIbwMvc
宣教師「この村にいると…あの二人を思い出しますね」

団長「ドレッドとクンバヤか」

宣教師「えぇ」

団長「どちらも立派な最期だった。悔いはあるまい」

宣教師「そうでしょうか…」

団長「……」ジッ

宣教師「なにかを夢見て戦った人たちが望んだ未来を生きられないのは…本当に良いことだと言えるのでしょうか」

団長「ふぅむ……」

宣教師「……」

団長「……そうしてでも誰かに夢を繋ぎたかったのだろう。自分の生きた証を残したかったのだ」

宣教師「そうですよね。男の人って…」

団長「かくいうワシも…どこかでそう在りたいと思っている」

宣教師「…団長さんも夢追い人だったんですね。現実主義なのだとばかり」

団長「ふっ。男とはそうした生き物だ」

宣教師「なるほど…」クスッ
10: ◆WEmWDvOgzo:2017/4/29(土) 21:45:54 ID:ItyqIbwMvc
宣教師「とりあえず一段落…ですかね」

団長「いや、まだまだ国境を越えるまでは安心出来ん」

宣教師「算段はあるんですか?」

団長「…ない。が、なんとかしてみせる」

宣教師「ヒメくんはなんと?」

団長「限られた情報の中で最善の帰路を講じておられる」

宣教師「10日もかけて山越えしたのもヒメくんの考えで?」

団長「そうだ。身を潜められる上に突然、大勢の敵に囲まれる心配もなかろう?」

宣教師「…よく考えてますね。あんなに小さかった子が…たった数年でこんなにも」

団長「ワシは信じておったがな。陛下ならば必ずや賢く勇敢な国王となられる事を」

宣教師「まったく驚かされます…。いつの間にか私など彼に頼りきりで…」

団長「…ワシもだ。今となっては役人達を始め、全国民が陛下の身に寄りかかっている」

宣教師「…正直あそこまで立派になるとは思ってもみませんでした」

団長「先代であるお父君への想いもあるのだろう。あのお方も若い頃は立派だった。時代に恵まれなかっただけでな」

宣教師「…残酷ですね。なにを願っても環境に閉ざされるなんて」

団長「うむ。だが陛下は変えようとしておられる。残酷な現実をな」

宣教師「ヒメくんは本当に大変なのはこれからだと言ってましたが…どうなると言うのですか?」

団長「…どうなる、か。はたしてどうなるやら。戦争というものを経験したのは今回が初なんでな。ワシにはなんとも言えん」

宣教師「そうですか…。そうですよね」
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