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神娘「人間など嫌いだ」
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1: 亀更新かもです ◆WjgYlacz.c:2015/12/10(木) 10:06:43 ID:I.XMW0eHSk



ーむか〜しむかし、とある場所で





47: ◆WjgYlacz.c:2016/2/14(日) 23:25:39 ID:ebUsa8u8JU
男「神様、後生ですから」

神娘「まったく、何を考えておるのだ」

神娘「いいか。今は少しでも力を使うのは抑えなければならない」

神娘「それにこれは神の力。お前たち人間にそう容易く見せるわけには…」

男「…」キラキラ

神娘「…」

男「…」キラキラ

神娘「…」

男「…」キラキラ

神娘「…」スッ

ビュオッ

男「うわ〜っ」ゴロン

神娘「身をもって味わったか」

男「…ふう、なるほど。体が押されるほどの風を感じました」

神娘「今はこの程度だが、本当なら大岩でも吹き飛ばせるほどの風圧が出せる」

男「なんと」

神娘「これで満足であろう」

男「はは〜っ、御見それしました」

神娘「ん、そうかそうか。もっと畏れるがいいぞ」エッヘン

男「やはり小さい…」ボソッ

神娘「一応言っておくがタグでそればっかり取り上げられた事、少し根に持っているからな」
48: ◆WjgYlacz.c:2016/2/19(金) 16:27:36 ID:qQSuhjvDgM
神娘「……」メイソウチュウ

ザッ

神娘「…む?」

ザッザッ

神娘「足音…またあいつか」

コソコソ

神娘「そこにいるのは分かっているぞ。出てこい」

「………」

神娘「おいって」

「……」

ヒョコッ

仔犬「クゥーン」

神娘「」
49: ◆WjgYlacz.c:2016/2/19(金) 16:28:15 ID:qQSuhjvDgM
男「神様、失礼しま…」

ワアッ、ヤメロトイッテオロウ!

男「!」

タタッ

男「神様!いったい何が…」ザッ

神娘「わはは、くすぐったいだろうが!」

仔犬「キャンキャン!」ペロペロ

神娘「これ、待たんか〜」ゴロゴロ

仔犬「ワンッ!」

神娘「はは、まったくこやつ…め…」ハッ

男「……」

神娘「……」

仔犬「?」

神娘「…こほん、なんだ、来ておったのか」

男「あの、神様…」

神娘「な、何も言うでないっ!」アセッ
50: ◆WjgYlacz.c:2016/2/19(金) 16:28:39 ID:qQSuhjvDgM
男「なるほど、迷い込んだのですか」

神娘「親からはぐれてしまったらしい」

男「どうして分かるのですか?」

神娘「こやつが言っておる」

仔犬「アンアンッ!」

男「…さすが神様」

神娘「どうにか親元へ連れて行ってやりたいが…」

男「難しいでしょうかね」

神娘「まだ迂闊に動けぬ身である事が悔やまれる」

仔犬「クゥ〜ン…」

神娘「ん?腹が減ったのか」

仔犬「ワゥン…」

神娘「おいお前、今日も何か持ってきているのだろう?出すがいい」

男「生憎ですが今日は手ぶらでして…」

神娘「なんで今日に限ってそうなのだ」

男「すいません」

神娘「もういい。お前を焼いて食料になってもらおう」スッ

仔犬「ワンッ!」

男「何か狩ってきますからやめてください」
51: ◆WjgYlacz.c:2016/2/19(金) 16:29:03 ID:qQSuhjvDgM
仔犬「ワンワンッ」バクバク

神娘「よく素手で野兎を獲ってこれたな」

男「生きるための術です」

神娘「そこは素直に驚くべき所だな。…美味いか?」

仔犬「アンッ!」

神娘「そうかそうか。わははっ」

男「…神様もそんな表情をされるのですね」

神娘「むっ」

男「動物はお好きなのですか」

神娘「悪いか」

男「いえ、全然」

神娘「ふん」

男「ただ、少し悔しゅうございます」

神娘「なんだと?」

男「…人間も動物なのですが」

神娘「なんだ、私に好かれたいのか」

男「嫌いだと言われて良い気はしないでしょう?」

神娘「…ん、そうかもな」

仔犬「ワウッ?」バクバクッ
52: ◆WjgYlacz.c:2016/2/19(金) 16:29:58 ID:qQSuhjvDgM
神娘「確かに私からすればこの地に生きるものとして同じ括りだ」

神娘「だが、やはり人間は動物とは違う」

男「…」

神娘「動物は見返りを求めぬからな」

男「…なるほど」

仔犬「クゥン…」

神娘「ん?腹いっぱいになったら眠くなったか」

仔犬「ワゥン…」

神娘「よしよし、我が膝元でしばし眠るがよいぞ」

仔犬「…」zzz

神娘「…さて、あまり話すとこやつが起きる。お前も帰れ」

男「そうしましょう」スクッ

神娘「…おい」

男「はい?」

神娘「ありがとう」

男「えっ」

神娘「と、さっきこやつがお前に言っていた」

仔犬「…」zzz

男「…どういたしまして」
53: 名無しさん@読者の声:2016/2/20(土) 19:16:20 ID:3U3Hhll63g
仔犬にはデレちゃう神様かわいい
支援
54: 支援ありがとうございます ◆WjgYlacz.c:2016/2/28(日) 23:46:07 ID:hUs1BKM8Q.
男「神様どうも〜」

神娘「なんだろう、挨拶が軽くなってきたな」

男「気のせいでしょう」

神娘「気のせいなものか」

男「ところで神様、あの仔犬はどちらに?」

神娘「ん?もう出ていったぞ」

男「なんと。それで良かったのですか?」

神娘「良いも悪いもないだろう。ここにいた所で何もない」

神娘「私はこんな身であるから、あやつにしてやれる事もないしな」

男「食べ物なら私が持ってきますのに」

神娘「お前がそうやって来る口実になるのも嫌だ」

男「ぐぬぬ」
55: ◆WjgYlacz.c:2016/2/28(日) 23:46:55 ID:hUs1BKM8Q.
神娘「あやつにはあやつのいるべき場所がある」

神娘「そこへ自分から帰るよう諭したまで」

男「ほうほう」

神娘「そしたらあやつ、振り返りもせず出て行きおった」

神娘「愛嬌のあるやつであったが…これで良かったのだ、うん」

男「と言いつつ寂しげな目をしておられる神様でした」

神娘「そ、そんな事ないぞ。私は神として…」

男「まあ私がおります故、ご安心ください」

神娘「安心できぬわ。お前もいるべき場所に帰れ」

男「まあまあ。その内帰りますからそんなに焦らず」

神娘「…お前にあの犬の聞き分けの良さを少し分けてやりたい」
56: ◆WjgYlacz.c:2016/2/28(日) 23:47:32 ID:hUs1BKM8Q.
男「しかし困りました」

神娘「どうした」

男「あの仔犬にこれを持ってきたのですが」ヒラッ

神娘「なんだこれは。藁を編んだものか?」

男「寝る時にでも敷いて使ってもらおうかと」

神娘「この季節にいるか?」

男「洞窟は冷たいですから」

神娘「まあ、地べただしな」

男「しかし、いないとなれば無駄手間でした。せっかく夜なべをしたのに」

神娘「なんだ、これお前が作ったのか?」

男「はい」

神娘「器用な奴」

男「神様に褒めていただけるとは」

神娘「ふん、少し驚いたまでのこと」

男「またまた、素直でいらっしゃらない」

神娘「こんな事で鼻を高くする方がどうかしている」

男「…確かに、これは失礼を致しました」

神娘「む?」
57: ◆WjgYlacz.c:2016/2/28(日) 23:48:03 ID:hUs1BKM8Q.
男「考えてみれば、神様にかかればこんなもの手間ではありますまい」

神娘「ん…お、おう。当然だ。私を誰だと思っている」

男「さすがは神様。それでは、お願いいたします」パササッ

神娘「なんだこれは」

男「藁でございます」

神娘「見れば分かる。何故ここに置くのだと聞いているのだ」

男「私どもの村はまだ仕事に不慣れな者が多くて…」

神娘「…まさか、私に手ほどきせよなどと言うのではないだろうな?」

男「神様、よろしくお願い致します」ペコッ

男「神様が手本を見せてくだされば、村の者たちの技術も向上致しましょう」

神娘「私がそんな事をする義理はないぞ」

男「そこをなんとか、どうかこの通りです」

神娘「というよりお前が手ほどきすれば良かろう。作れるのだから」

男「私は畑仕事で手一杯でして…」

神娘「ここに来る暇があるならやってこい!」
58: ◆WjgYlacz.c:2016/2/28(日) 23:48:43 ID:hUs1BKM8Q.
男「神様、お願い致します」

神娘「断る」プイッ

男「……」

神娘「……」

男「…まさか、神様」

神娘「…」ピクッ

男「できない、などと言うことは…」

神娘「っ!」

神娘「なっ、なっ、何を言うかっ!」アセッ

神娘「わ、私は神だぞ!そんな人間ごときのやる作業など、できぬはずがなかろう!」アセアセッ

男「本当ですか?何やら慌てているようにお見受けしますが」

神娘「そ、そんなことはにゃい!」ガチン

男「にゃい?」

神娘「うぅ…舌噛んだ…」ヒリヒリ

男「やはり慌てているではありませんか」

神娘「うぬぬ…いいだろう、そんな疑惑を持たれたままでは目覚めが悪い」

神娘「お前がそこまで言うならやってやろう!」ビシッ

男「えっ、本当ですか」

神娘「明日取りに来るがいいぞ」

男「ははーっ、さすが神様。楽しみにしております」

神娘「見ていろ」フンッ
59: ◆WjgYlacz.c:2016/2/28(日) 23:50:05 ID:hUs1BKM8Q.
「ふん…こんなもの簡単に…」





「……」





「……む?」





「あ、あれっ?」





「…なんだこれは、どうすればいいのだ?」





「……くっ…」





「……」





「……………」
60: 名無しさん@読者の声:2016/2/29(月) 12:01:47 ID:N4jwCkModw
男の反応が楽しみだ(ニヤニヤ
61: 名無しさん@読者の声:2016/3/5(土) 01:03:34 ID:C0bns94KII
男「神様〜こんにちは〜」

「……」シーン

男「神様、できましたでしょうか?」

神娘「…」スースー

男「…お休みでしたか」

男「ん?」ヒョイッ



男「これは」クスッ
62: 名無しさん@読者の声:2016/3/5(土) 01:04:07 ID:C0bns94KII
神娘「…んっ」ノビッ

神娘「いかん、ついうとうとと…ん?」

男「あ、神様。お目覚めでございましたか」

神娘「なんだ、もう来ていたのか」

男「すでに日は高く上がっております」

神娘「なにっ」

男「ところで神様、例の物ですが」

神娘「あ〜…えと、そのだな…」アセッ

神娘「…あ、あまりにも会心の出来栄え故、人間に見せるには勿体ない」

神娘「お前たちの手本にもならぬ程だ。よって諦めるがよい」

男「なるほど、確かに素晴らしい出来の草鞋にございます」パタパタ

神娘「ん、そ、そうか?わはは、やはり神たる者は…」

神娘「って何故お前がそれを持っている!?」

男「ああ、すみません。先ほど神様が微睡んでいらっしゃった隙につい…」

男「しかし斬新な草鞋でございます。左右の大きさが全く違」

神娘「皆まで言うな!」
63: 酉忘れてました ◆WjgYlacz.c:2016/3/5(土) 01:05:12 ID:C0bns94KII
神娘「馬鹿にしおって…返せっ!」

男「馬鹿になどしておりませんよ。素晴らしい出来だと言いました」

神娘「…む?」

男「確かに形こそ歪でございますが」

神娘「うるさいぞ」

男「しかしながら、この編み込み一つ一つがとても丁寧で美しい」

神娘「…」

男「まるで、神様の御心を映しているかのようです」

神娘「私の…心?」

男「心にございます」

神娘「……」

男「ものづくりには真心が必要です。それが無ければいくら見栄えが良いものでも、塵芥と同じ」

神娘「…ん」

男「この草鞋にも神様の心が宿っております」

男「この上なく良きものでございますよ」

神娘「…ふ、ふんっ。人間が知ったような事を」

男「まあ実用性には欠けるのですがね」

神娘「一言多いわ!」
64: ◆WjgYlacz.c:2016/3/5(土) 01:05:58 ID:C0bns94KII
神娘「偉そうなことばかり言いおって」

男「そうですね。失礼致しました」

男「しかし、これは確かに私が受け取るには勿体ありません。お返し致しま…」スッ

神娘「…やる」

男「えっ?」

神娘「それはお前にやる」

男「いえ、しかし…」

神娘「手本にするのだろう?持って帰れ」

男「よろしいのですか?」

神娘「生憎だが私には不要だ。それに…」

男「…それに?」

神娘「…お前たちの役に少しでも立つなら、その草鞋も本望であろう」

男「神様…」

神娘「んっ…もう一眠りする。お前も帰れ」

男「ははーっ、ありがとうございます」
65: ◆WjgYlacz.c:2016/3/5(土) 01:06:31 ID:C0bns94KII




神娘(……)

神娘(またらしくないことを言ってしまった)

神娘(あれではまるで、私があやつらの役に立ちたいと願っているようではないか)

神娘(…人間に利用されるのはごめんだ)

神娘(私はもう以前のお人好しとは違う)

神娘(今回は魔が差しただけ。そうだ、それだけだ)

神娘(……)



神娘(なんだか疲れたな。休むとしよう)
66: ◆WjgYlacz.c:2016/3/14(月) 22:22:35 ID:jYsrRUwwzs
男「神様、少しお尋ねしたいことが」

神娘「断る」

男「これの事なのですが」スッ

神娘「おい、聞け」

男「いいではないですか。暇でしょう?」

神娘「好きで暇しているのではないのだがな」

男「少し見ていただけませんか」

神娘「…言っても無駄か。なんだこれ、茸か」

男「これが食べられるものかお教えいただきたいのです」

神娘「食べてみればいいだろう」

男「毒があったら大変でしょう」

神娘「お前が人柱になって試すことも大事だろう」

男「そんな殺生な」

神娘「生物とはそうやって進歩するものだ」

男「とりつく島もない」
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sage:


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