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神娘「人間など嫌いだ」
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1:🎏 亀更新かもです ◆WjgYlacz.c:2015/12/10(木) 10:06:43 ID:I.XMW0eHSk



ーむか〜しむかし、とある場所で





468:🎏 ◆WjgYlacz.c:2017/5/5(金) 14:40:18 ID:Zlu.wp1NEw
巫女「手伝ってくださるんですか?」

山賊「ああ。あんたら見てたらじっとしてらんなくなっちまった」

村長娘「へへっ」

「ま、待てよ!」ザッ

巫女「!」

山賊「俺だって可愛い嫁さんもらうまでは死ねねえ!」

山賊「俺もずっと富士の山を登りてえって思ってたんだ!」

山賊「俺は京の都で芸者さんと遊んでみてえ!」

「俺も俺も!」

「俺だってな…」

ワイワイ

巫女「皆さん…」

山賊「俺たちも掘るぜ。悪かったな、任せちまっててよ」

山賊たち「おっしゃ、やるぞ〜!」

ザクッ!ザクッ!ザクッ!

下っ端「……」ポカーン
469:🎏 ◆WjgYlacz.c:2017/5/5(金) 14:40:49 ID:Zlu.wp1NEw
下っ端(なんだってんだ…)

山賊たち「うおおーっ!」ザクッ!

下っ端(急に皆して…無駄な事しやがって…)

巫女「ていっ!」ザッ!

下っ端「……」

『あんた達にはないのかい?死ぬ気で生きたいと思う何かが…』

下っ端「……」

村長娘「はっ!」ザッ!

下っ端「……畜生…」ギリッ

ザッ

村長娘「はぁ…硬い岩だねぇこりゃ」

巫女「娘さん、少し休んでくださいよ」

村長娘「何言ってんだい。あたしは全然大丈夫だよ」

村長娘「それっ…おっとっと」フラッ

巫女「娘さん!」

ガシッ

村長娘「…へ?」

下っ端「…」

村長娘「あんた…」
470:🎏 ◆WjgYlacz.c:2017/5/5(金) 14:41:19 ID:Zlu.wp1NEw
下っ端「ふらついてんじゃねえか。女のくせに無理しやがって」

村長娘「な、なんだい。あたしはまだ…」

下っ端「いいから、黙ってそこで休んでろ」

村長娘「ちょっ…」

下っ端「はっ!」ブンッ

ガッ!ザッ!

村長娘「…」

下っ端「…羨ましいよ」ザッザッ

村長娘「え?」

下っ端「俺にはねえ。この先やりたい事も、欲しい物も、行きたい所も…何もねえ」

下っ端「今までずっと、そんなこと考えずに生きてきた」

村長娘「…」

下っ端「でもよ、悔しいけど…お前の話を聞いて思った」

下っ端「こんな死にそうな状況でも…何にも思い浮かばねえ自分が嫌だ」

下っ端「俺は欲しい。お前が言う、死んでも生きたいと思う何かが…!」

村長娘「…」

下っ端「俺はここを出て…それを探す!変わるために、俺はここを出るんだ!」ガッ!

下っ端「…いってて」ジンジン

村長娘「ぷっ」

下っ端「な、なんだ!笑うな!」
471:🎏 ◆WjgYlacz.c:2017/5/5(金) 14:41:52 ID:Zlu.wp1NEw
村長娘「格好付けた割に締まらないね」

下っ端「うるせえってんだ」

村長娘「でもなんだか…それも楽しそう」

下っ端「…あ?」

村長娘「いいさ。あたしも手伝う。あんたがそれを探すのを」

下っ端「…」

村長娘「まあ、まずはここから出れないと始まらないけどさ」

下っ端「おう」

村長娘「それじゃ、休んでる暇ないね」

下っ端「いや、だからてめえは休んでろって…」

村長娘「漁師の娘を舐めるんじゃないよ!」バシッ

下っ端「いでっ!」

村長娘「さあ、ぼけっとしてないで掘った掘った!」ザッ!

下っ端「へっ、言われんでもやってやらあ!」ザクッ!
472:🎏 ◆WjgYlacz.c:2017/6/14(水) 09:03:02 ID:.Fu.qeb/.Y
下っ端「おりゃああ!」ザッ!

村長娘「はぁーっ!」ザクッ!

山賊たち「せいやっ!」ザッ!

巫女「えーい!」ガッ!

ザクッザクッザクッ!!

巫女(すごい…皆で一丸となって…)

巫女(これなら…これならいけるかも!)

ピシッ…

巫女「…?」

ビシビシッ…!

巫女「っ!」

巫女「天井が!」

村長娘「えっ!?」

山賊「おいおい、まずいぞ!?」

下っ端「ここも崩れるってのか!?」

村長娘「い、急がないと!」
473:🎏 ◆WjgYlacz.c:2017/6/14(水) 09:03:42 ID:.Fu.qeb/.Y
山賊「うおおおーっ!!」ザッザッザッ!

巫女(せっかく…もう少しなのに…!)

ガラッ…

下っ端「うわっ!」

山賊「だ、駄目だ!間に合わねえっ!」

村長娘「くそっ、なんてこったい!」

巫女「…っ!」

タタッ

村長娘「み、巫女様!?」

巫女「…」ゴソッ

バッ

村長娘「あれは…さっきの羽根…」

巫女「……っ」ググッ

巫女(お願い…お願いします…!)

巫女(皆を助けて…!)

巫女(山神様…!皆をどうか…!)

村長娘「巫女様っ!」

巫女「っ…!」ギュッ

カッ!!
474:🎏 ◆WjgYlacz.c:2017/6/14(水) 09:04:22 ID:.Fu.qeb/.Y
巫女「えっ!?」

カアアアッ!

村長娘「うわっ!?」

山賊「なんだ!?眩しい!!」

巫女(は、羽根が…また光ってる…!)

巫女(でもさっきと何か違う。これはいったい…)

「……………て」

巫女「?」

巫女(誰かの声が聞こえる…山神様?)

「もっと……く…げて…」

巫女(山神様じゃ…ない。それなら誰?)

「もっと高く…羽根を掲げて」

巫女(もっと高く…?こう?)

「…そう。それでいいよ」

巫女(誰なの?)

「……山神様を…よろしくね」

巫女「えっ?」
475:🎏 ◆WjgYlacz.c:2017/6/14(水) 09:04:57 ID:.Fu.qeb/.Y
巫女「だ、誰なの!?」

「………」

巫女(聞こえなくなっちゃった…)

ブルブルッ…!

巫女「わっ!」

巫女(羽根が…震えだしてる…!)

巫女(離しちゃ駄目…!絶対に!)

村長娘「だ、大丈夫かい巫女様!?」

巫女「わ、私は大丈夫です!それより、皆さん近付かないでください!」

村長娘「巫女様…」

巫女(感じる…手の先に熱が篭って…)

巫女(力が…集まってる!)

ググッ…

巫女「い、いっけぇぇぇっ!!」バッ!

カッ!!

ドゴオオオンッッ!!

村長娘「わあっ!」

山賊たち「うおああっ!?」
476:🎏 ◆WjgYlacz.c:2017/6/14(水) 09:05:27 ID:.Fu.qeb/.Y



・・・・・・・・・・



477:🎏 ◆WjgYlacz.c:2017/6/14(水) 09:06:05 ID:.Fu.qeb/.Y
オオオ…

パラッ…

村長娘「…あてて…」

村長娘「なんだい、何かが乗って…」

下っ端「ふう。どうやら無事みてぇだな…」

村長娘「!?」

パンッ!

下っ端「おあっ!?いでぇぇっ!」

村長娘「なっ、ど、どこ触ってんだい!」

下っ端「な、なんだよ…とっさに庇ってやったってのによ…」ヒリヒリ

村長娘「え?あ、うん…そりゃ…どうも」

下っ端「ったく…それよか、何だったんだ?さっきの」

村長娘「はっ!み、巫女様は!?」ガバッ!

巫女「」グッタリ

村長娘「み、巫女様っ!!」タタッ
478:🎏 ◆WjgYlacz.c:2017/6/14(水) 09:06:36 ID:.Fu.qeb/.Y
村長娘「巫女様!しっかりしておくれよ!」ガシッ

巫女「」

村長娘「巫女様〜っ!!」ユサユサユサッ

巫女「ちょ…む、娘さん…やめ…」ユサブラレ

巫女「き、気持ち悪くなっちゃう…」ウプッ

村長娘「あっ、ご、ごめんよ」

巫女「皆さん、無事でしたか…」

村長娘「ああ。大丈夫だよ」

下っ端「しっかし、あんたすげえな」

下っ端「なんなんだ?また不思議な術を使ったのか?」

巫女「…まあ、そういう事です」

山賊「しかし驚いたな」

山賊「ああ。天井を吹っ飛ばしちまうとは。空が見えるぜ」

山賊「…あんた、すまなかったな。あてになんねえとか言っちまって」

山賊「そうだ。あんたは命の恩人だ」

巫女「…いえ。気にしないでくださ…」

ズゴゴゴゴ…

一同「!?」
479:🎏 ◆WjgYlacz.c:2017/6/14(水) 09:07:06 ID:.Fu.qeb/.Y
下っ端「こ、今度はなんだ!?」

村長娘「また地震かい!?」

巫女「は、早くここから離れましょう!」

ボコッ!

巫女「えっ?」

ドゴオオン!!

もぐら「巫女っ!」

山賊「な、なんだ!?」

下っ端「で、でっかいもぐらだとぉ!?」

巫女「えっ、もしかして…!」

もぐら「ああ、良かった…」

ポンッ!

従者「巫女…無事だったのね…!」

村長娘「じゅ、従者さん!?」

山賊「おい!今もぐらが人にならなかったか!?」

巫女「や、山神様ぁっ!!」タタッ

山神「来るのが遅くなったわね。でも、よくやってくれたわ」

村長娘「か…」

山賊たち「か…」

一同「神様ぁ!?」
480:🎏 ◆WjgYlacz.c:2017/6/14(水) 09:07:40 ID:.Fu.qeb/.Y
巫女「あっ、いけない…」

従者「どちらにしても遅いわよ。別にいいわ」

山神「皆さん、私は山神といいます。ここから少し離れた地の土地神をしているわ」

山賊「か、神様…本物なのか…」

下っ端「初めて見た…」

村長娘「え?じゃ、じゃあ最初から従者さんが神様だったのかい?」

巫女「実はそうなんです」

村長娘「な、なんだい…それならそうと教えてくれても良かったじゃないか」

山神「ふふ、ごめんなさいね」

巫女「山神様、何があったんですか?」

山神「話すと長くなるわ。とにかくいったんここを出ましょう」

巫女「はい」

下っ端「で、でも神様、ここを登るのはかなり…」

山神「…」スッ

ヒュンッ!

下っ端「大変……あれっ?」

山賊「うおっ、いつの間に地上に出てる!」

山神「何か言ったかしら?」

下っ端「な、なんでもねえです…へぇ」
481:🎏 ◆WjgYlacz.c:2017/6/14(水) 09:08:10 ID:.Fu.qeb/.Y
ザッ

巫女「?」

村長娘「ん?あいつは…」

親分「…」

下っ端「お、親分!?」

山賊「無事だったんですかい!?」

親分「お前らも無事だったのか」

下っ端「親分!良かった!」タッ

山神「待ちなさい」グイッ

下っ端「うわ!」ドテッ

下っ端「な、何を…」

親分「全員ほぼ無傷で出てくるとはなあ」

親分「めでたしめでたしってか。まったく…」

親分「…つまんねえな」ギロッ

下っ端「っ!」ゾクッ

山賊たち「お、親分…?」
482:🎏 ◆WjgYlacz.c:2017/6/14(水) 09:08:40 ID:.Fu.qeb/.Y
山神「あれも神よ。この地の土地神」

巫女「えっ!?そうなんですか!?」

下っ端「お、親分が…神様?」

山神「土神。あなたの余興に付き合うのもおしまいよ」

土神「はっ、勝手に終わらすんじゃねえ」

土神「こうなりゃてめえもそいつらもぶっ殺さねえと、腹の虫が収まらねえな」

山神「…どこまでも低俗な神ね」

土神「なんとでも言え」

土神「ここは俺の地だ。俺のやりたいようにやらせてもらう」

山神「あなたのような無益な殺生をする神に、この地は任せられないわ」

山神「人間の懸命に生きようとする姿を踏みにじる、あなたなんかに」

土神「はっ!ならどうする?俺を神から引きずり降ろすってか?」

山神「…」

土神「がはは!やれるならやってみろ!てめえのような土地神にそんなことが…」

山神「そうさせてもらおうかしらね」

土神「…は?」

山神「…」スッ

バシュッ!

土神「何いっ!?」

ドンッ!
483:🎏 ◆WjgYlacz.c:2017/6/14(水) 09:09:15 ID:.Fu.qeb/.Y
土神「うおああっ!!」シュウウ…

山神「…今までご苦労様、土神」

土神「て、てめえ…やっぱりただの土地神じゃあ…」ウウウ…

巫女「お、親分さんが…」

下っ端「小さくなってく…だと?」

土神「ああぁぁぁ…っ!」ウウウ…

巫女「や、山神様…何をしたんですか?」

山神「神降ろしよ。神としての能力を剥奪するの」

巫女「えっ、じゃあ…」

山神「もう土神は神ではなくなったわ」

ポンッ!

クネクネ…

山賊「…お、親分が」

下っ端「蚯蚓(みみず)になっちまった…」

山神「土地神は元々は何かしらの生き物なの。その元の姿に戻っただけのことよ」

蚯蚓「」ウゾウゾ

村長娘「なんだか儚いねぇ…」

山神「神も人間も、元を辿れば同じ生き物…っていうことよ」

巫女「これで終わりですかね。山神様…」

山神「ええ……うっ」ピキッ

巫女「山神様…?」
484:🎏 ◆WjgYlacz.c:2017/6/14(水) 10:15:57 ID:.Fu.qeb/.Y
山神「…うぅ…」ズズズ…

巫女「山神様!?どうしたんですか!?」

山神「…ぐ…ぅ…」ズズズ…

山賊「おいおい何だよ!?次から次へと!」

村長娘「巫女様!神様はどうしちまったんだい!?」

巫女「わ、分からないです!」

巫女(山神様…なんだか怖い…)

山神「う…ぁ……ぁぁ……」ググッ

巫女「山神様っ!!」

ヒュッ

「離れるのじゃ!」ザバッ!

巫女「えっ?」

バシャッ!

巫女「きゃあっ!」

山神「」ビシャビシャ

山神「…うっ……はぁ、はぁ…」
485:🎏 ◆WjgYlacz.c:2017/6/14(水) 10:16:46 ID:.Fu.qeb/.Y
老人「…ふう、間に合ったかの」

山賊「だ、誰だこの爺さん?」

巫女「あ、あなたは…?」

老人「おう、この姿では初めてか。海亀のままだと陸では不便での」

巫女「海亀…まさか海神様!?」

村長娘「こ、この人も神様かい?」

下っ端「今日は何だってんだ…」

海神「ふむ、山神。しっかりせい」

山神「…海神様」

海神「馬鹿者が。神降ろしなど高等神力を使いおって」

海神「儂が気配を察して駆け付けねばどうなっていたと思っておる」

山神「申し訳…ありません」

海神「人間を守る為とはいえ…また繰り返す気か。あの者も浮かばれんぞ」

山神「……」

巫女「あの、海神様…繰り返すって…?」

海神「お前には関係のない事じゃ」

巫女「…」

巫女(相変わらず、蚊帳の外かぁ…)
486:🎏 ◆WjgYlacz.c:2017/6/14(水) 10:18:24 ID:.Fu.qeb/.Y
山神「…海神様」

海神「む?」

山神「土神がいなくなって…この地は不安定になります。どうか…」

海神「安心せい。次の土地神が降るまで、儂がこの地を見よう」

山神「ありがとうございます」

海神「くれぐれも気を付ける事じゃ。お前の内なるものはまだ健在じゃぞ」

山神「…はい」

ヒュッ

山賊「うおっ、消えた…」

下っ端「何だったんだ…?」

巫女「山神様、大丈夫ですか?」

山神「ふふっ、大丈夫よ。心配かけたわね」

巫女(良かった…いつもの山神様だ)

山賊「それにしても…疲れたぜ」

山賊「いっぺんに色々と起こりすぎだな」

下っ端「まさか親分が神様だったなんて…」

山神「…山賊たち」

山賊たち「!」ビクッ
487:🎏 ◆WjgYlacz.c:2017/6/14(水) 10:18:50 ID:.Fu.qeb/.Y
山賊「へ、へい…」

山神「いくら土神に誑かされたとはいえ…あなた達のしてきた事の罪は重いわ」

山賊たち「…」

山神「近隣の村々を襲い、傷付いた人たちもたくさんいるでしょう」

下っ端「うっ…」

山神「土神が不在の今、私が沙汰を下します」

山賊たち「…ううっ…」

巫女「…」

巫女「あの、山g…」

村長娘「待っておくれよ!山神様!」

山神様「?」

山賊たち「?」

村長娘「こいつら、確かに悪い事してきたけどさ!」

村長娘「それでもこれからは真っ当に生きようってさっき話してんだよ!」

村長娘「お願いだよ山神様!許してやっておくれ!」

下っ端「お前…」

山神「…」
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sage:


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