ーむか〜しむかし、とある場所で
268: ◆WjgYlacz.c:2016/8/5(金) 21:49:30 ID:YZA5Eqdiic
タタタタッ
神娘「おっと…!」バシャッ
神娘(水たまりが多い。おまけに、やけに道がぬかるんでいるな…雨でも降ったのか?)
神娘(くそっ、走りづらい)
ドクンッ
神娘「!」タタタ
ドクンドクンッ
神娘「…っ」タタタ
ドックンドックンドックン
神娘(…どんどん死の気配が強くなっていく)
神娘(押し潰されそうだ…!)
神娘(もっと急げ!もっと…!)スタタンッ!
ビュオオオオッ
269: ◆WjgYlacz.c:2016/8/5(金) 21:50:03 ID:YZA5Eqdiic
・・・・・・・・・・
270: ◆WjgYlacz.c:2016/8/5(金) 21:50:37 ID:YZA5Eqdiic
ザザッ!
神娘「…はぁ、はぁ」
神娘(さすがに…少し疲れたな)
神娘(だが着いた。確かにここのはず…!)
神娘(とにかく、あやつを探しに…)ザッ
フラッ
神娘「おっと…」クラッ
神娘(いかんな。少し消耗が…)
…オイ!モットオウエンヲヨベ!
クソッ!ヨリニヨッテコノジキニ…
ザワザワザワ…
神娘「…?」
神娘(騒がしいな…何があったんだ?)
モウスグデシュウカクノジキダッタノニ…
マサカ、ガケガクズレルトハナア…
神娘「!?」
神娘「崖が崩れただと…!?」
『ガラガラガラ…ッ!』
『ドザザザザアアアッ!!!』
神娘「まさかあの音は…!」
神娘「くっ!」タタッ
271: ◆WjgYlacz.c:2016/8/5(金) 21:51:04 ID:YZA5Eqdiic
ガヤガヤガヤガヤ…
オーイ!コッチヲドカシテクレ!
イヤアヒデエヒデエ…
神娘「……」
神娘(これは…確かにひどい有様だ)
百姓一「ん?おめえ、見慣れない顔だなあ」
神娘「!」
神娘「これはいったい何があったのだ?」
百姓一「ああ、ここ数日すげえ雨が降っただろ」
百姓一「地面が緩くなってたんだろうな。さっき裏山の崖が崩れたんだ」
神娘「…」
百姓一「それよりおめえ余所もんだろ?あんまり首を突っ込まない方が…」
神娘「心配無用だ」タタッ
百姓一「あっ、ちょっ…行っちまったよ」
神娘「……」キョロキョロ
神娘(あやつは…あやつはいないのか…?)
神娘(まさか…な)
272: ◆WjgYlacz.c:2016/8/5(金) 21:51:34 ID:YZA5Eqdiic
ヒソヒソ…
…カワイソウニネエ
オトコサンノイエデショ?アソコ…
神娘「!?」ピクッ
神娘「い、今なんと言った!?」バッ
農婦一「えっ?」
農婦二「な、なによこの子…」
神娘「男の家だと言ったか!?」
農婦一「ええ…あの崖崩れの下敷きになっている場所がね…」
農婦二「本人も巻き込まれてるって話だし…」
神娘「なっ…なっ…」
農婦一「あの様子だとまず生きてはいないでしょうねぇ」
農婦二「まだ若かったのに残念…あら?」
神娘「…」ダッ!
農婦二「…ねぇ、あの子見た事ある?」
農婦一「いいえ。ないわね…」
神娘「…っ」ギリッ
神娘(嘘だ!嘘だ!嘘だ…!)
273: ◆WjgYlacz.c:2016/8/5(金) 21:52:07 ID:YZA5Eqdiic
ガラッ
百姓二「ふう…もう手が付けらんねぇ」ザクッザクッ
百姓三「生きてはいないだろうな、これじゃあ…」ハアハア
ドケッ!ドクノダ!
百姓二「ん?なんだあ?」
ザワザワ…
百姓一「お、おい!そっち行くなって!」
神娘「うるさい!手を離せ!」バッ
百姓一「おわっ!」ドテッ
百姓一「な、なんだ?力つええ…」イテテ
神娘「……」ザッザッ
百姓二「誰だ…?見覚えがねえ格好してんな」
百姓三「おい!これ以上近付かない方が…」
神娘「…どけ」ギロッ
百姓二・三「っ!」ビクッ
神娘「どけと言っているのだ!!」
百姓二・三「ひ、ひぃぃ〜っ」ササッ
神娘「…」ズカズカ
274: ◆WjgYlacz.c:2016/8/5(金) 21:53:28 ID:YZA5Eqdiic
百姓二「おい、なんだあいつは?」ヒソヒソ
百姓一「わ、分からねえ。やっぱりこの村のもんじゃねえだろ?」ヒソヒソ
百姓三「でもさっきの気迫…只者じゃないぞ…」
ヒソヒソ…ヒソヒソ…
神娘「……」
神娘「…なぁ。本当にあやつはこの下におるのか…?」
百姓一「へ?あ、ああ…間違いねえ」
神娘「そう、か…」
神娘「……」
275: ◆WjgYlacz.c:2016/8/5(金) 21:54:54 ID:YZA5Eqdiic
『当然、お待ちしております』
神娘「……っ」
『その日までに、神様が驚かれるような立派な村にしますよ』
神娘「……」ポロッ
『神様、またお会いしましょう』
神娘「……」ポロポロッ
神娘「……この…っ」ギリリッ
神娘「…この大馬鹿者がああぁぁっっ!!!」
276: ◆WjgYlacz.c:2016/8/5(金) 21:56:41 ID:YZA5Eqdiic
村人たち「!」ビクッ
神娘「お前は…待っているのではなかったのか…っ!!」
神娘「何故死んだ!私に顔も見せずに…っ!」ポロポロ
神娘「私との約束を…破るとは…!」
神娘「この不届き者!地上一の馬鹿者がぁぁっ!」
神娘「うぅぅ……うああぁぁぁぁ……っ!」ガクッ
「なんだ?」ザワ…
「どうしたって言うんだ…?」ザワザワ…
ザワザワザワ…
神娘「…せっかく…もう少しだったのに…っ」ヒック
神娘「もう少しで…また会えたはずだったのに…っ」エグッ
神娘「うっ…うっ…」
神娘「うぅ…」ポロポロ
277: ◆WjgYlacz.c:2016/8/11(木) 20:33:57 ID:ErEHuXWIKY
…………ッ
278: ◆WjgYlacz.c:2016/8/11(木) 20:34:34 ID:ErEHuXWIKY
神娘「…?」
神娘(…なんだ?何かが聞こえる…)
279: ◆WjgYlacz.c:2016/8/11(木) 20:35:22 ID:ErEHuXWIKY
………ンッ
280: ◆WjgYlacz.c:2016/8/11(木) 20:35:52 ID:ErEHuXWIKY
神娘「……」
281: ◆WjgYlacz.c:2016/8/11(木) 20:36:26 ID:ErEHuXWIKY
………ドクンッ
282: ◆WjgYlacz.c:2016/8/11(木) 20:38:47 ID:ErEHuXWIKY
神娘「!」ガバッ
…ドクンッ……ドクンッ……
神娘(こ、これは…)
百姓一「お、おい。何だか知らねえがもうどいてくれよ」
神娘「…聞こえる」
百姓一「ん?」
神娘「あやつの…命の鼓動が聞こえる…」
百姓二「な、何言ってんだあ?んなもん聞こえねえよ」
神娘「!」ハッ!
神娘「この鈴か…?」チリッ
ドクン…ドクン…
神娘(やはり…!)
神娘(あやつが持っている片割れを通し…心臓の音を伝えているのか!)
神娘「あやつは…男はまだ生きておるぞ!」
百姓一「へっ?そんな馬鹿な…」
神娘「いいから掘るのだ!まだ間に合う!」ユサユサ
百姓一「お、おおお…ゆ、揺するんじゃねえって」ガクガク
神娘「あっ…す、すまん」パッ
百姓三「それに掘ると言ってもねえ…」
百姓二「もうおら達じゃ手が付けらんねえよ…」
神娘「そんな事を言うな!諦めては…」ハッ
283: ◆WjgYlacz.c:2016/8/11(木) 20:39:46 ID:ErEHuXWIKY
百姓たち「…」ボロッ
神娘(…皆、よく見れば手も足も泥と傷だらけ)
神娘(この土砂を取り除こうと…)
神娘(……)
神娘「…分かった」
百姓たち「?」
神娘「お前たちは…男を救い出そうと必死に頑張ったのだろう」
神娘「だが、お前たちの腕はこの村の支えに必要な腕」
神娘「これ以上、無闇に傷を付ける必要はあるまい」
百姓一「…」
神娘「人に為せぬ事を為すのが神たる所以」
神娘「あとは私に任せよ」ザッ
百姓二「お、おい!何をする気だあ!?」
百姓一「…なあ、今…神って言ったか?」
百姓二「えっ?」
神娘「……」
神娘「すぅ〜っ…」
パンッ
神娘「…皆、離れておれ」
百姓たち「!」
「み、みんな!言われた通りにしろ!」
「何が起こるか分からんぞぉ!」
ワー!ワー!
神娘「…」ググッ…
ヒュオオオ…
284: ◆WjgYlacz.c:2016/8/11(木) 20:40:12 ID:ErEHuXWIKY
『いい?何が起こっていても…決して無茶をしては駄目よ』
神娘「……」オオオ…
神娘(すまん、山神殿。言い付けを破る)
神娘(ここでこうせねば…私は悔やんでも悔やみきれない)
ビュオオオ…!
百姓一「ま、まるで風が集まってるみてえだ…」
農婦一「ちょっとお前さん!あの子はいったい何なの?」タタッ
百姓一「わ、分かんねえ…」
百姓一「…でも、多分あいつは……いや、あの方は…」
ゴオオオオッ…!
神娘「…くぅ…っ!」ビキビキッ
神娘(これは…っ、体が耐えられるか分からん…!)
神娘(だが…!今の私の全力をぶつけねば…!)
神娘(…そういえばいつか言ったな、男)
神娘(私が本気を出せば大岩でも吹き飛ばせると…!)
神娘(わはは、嘘であった。本気を出せば…それどころではない!)
神娘「おおおおおっ!!」ググッ
神娘「死の気配ごと!吹き飛ばしてくれるわああっ!!!」
バッ
285: ◆WjgYlacz.c:2016/8/11(木) 20:40:39 ID:ErEHuXWIKY
ドッゴオオオオオオオオン!!!!
286: ◆WjgYlacz.c:2016/8/11(木) 20:41:08 ID:ErEHuXWIKY
山神「!」ピクッ
村娘「どうかしました?山神様…」
山神「……」
山神(何かしら…この大きな気の流れ…)
村娘「山神様…?」
山神「……いいえ、なんでもないわ」
287: 名無しさん@読者の声:2016/8/14(日) 15:09:10 ID:DO3x0BwZKI
こんな別れはあんまりだ!
男が無事でありますように…!
支援!
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