ーむか〜しむかし、とある場所で
254: ◆WjgYlacz.c:2016/7/30(土) 18:27:08 ID:TXb2tRm0vc
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255: ◆WjgYlacz.c:2016/7/30(土) 18:27:39 ID:TXb2tRm0vc
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256: ◆WjgYlacz.c:2016/7/30(土) 18:28:09 ID:TXb2tRm0vc
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257: ◆WjgYlacz.c:2016/7/30(土) 18:28:38 ID:TXb2tRm0vc
神娘「……」
ザアアアアッ…
神娘「……」
ヒュッ
神娘「!」ピクッ
神娘「はっ!」ピョンッ
トスッ!
神娘「…ふぅ、今度は矢か」スタッ
ヒュヒュヒュンッ!
神娘「やっ!とっ!」ヒョイヒョイッ
トストストスッ!
神娘「…よし」ニヤッ
神娘「もう気配の察知はかなりこなれてきたぞ」ポンポン
バサバサッ
山神「…ふふ、そうね。良い調子じゃないかしら」カアーッ
神娘「しかし神力でできた弓矢とは…まるで殺しにかかってないか?」
山神「このくらいの方が緊張感出るじゃない」
山神「当たらなければどうという事はないわよ」
神娘「間違っていないがなんだかな…」
258: ◆WjgYlacz.c:2016/7/30(土) 18:29:04 ID:TXb2tRm0vc
村娘「山神様!神娘様〜!」タタッ
山神「巫女」
村娘「あっ、いたいた!少し休憩しませんか?」
山神「まあそうね。朝から動き通しだし」
神娘「では社に戻ろう」
・・・・・・・
村娘「はい、どうぞ」コトッ
神娘「すまんな。喉が渇いていた」
山神「ふぅ〜、近頃めっきり涼しくなったわね」
村娘「もう秋になりましたから」
神娘「木々が紅葉を迎える。良い季節だな」
村娘「神娘様がここに来て、もう三月くらい経つでしょうか」
神娘「おお、それほどになるか」
山神「時が経つのは早いわね」
神娘「お前はもうここの仕事に慣れたか」
村娘「はい。とは言っても、巫女様らしい事なんて何もしてないですけど…」
山神「祭事の時期になったら死ぬほど忙しくなるわよ。安心なさい」
村娘「死ぬほど…ですか」アセッ
259: ◆WjgYlacz.c:2016/7/30(土) 18:29:31 ID:TXb2tRm0vc
村娘「神娘様はどうですか?修行の方は」
神娘「うむ、順調だぞ」
山神「冬までには村に降りて修行できそうね」
村娘「本当ですか!」パアッ
神娘「早くそっちに行きたいものだ」
山神「そうね。早く修行を一段落させて…」
村娘「男さんに会いに行かなくちゃいけないですもんね」
神娘「そういう意味ではないわ!」アセッ
神娘「こ、ここにいつまでも世話になっているわけにはいかんからな」
山神「そうね〜」ニヤニヤ
村娘「そうですね〜」ニヤニヤ
神娘「信じておらんだろ」
山神「でも男さんとそんな約束をしたなんてね」
村娘「てっきりあれでお別れするかと思ってました」
神娘「…心の声とやらに従ったら…ああなっただけだ」
山神「へぇ〜」
村娘「ほぉ〜」
神娘「いちいちうっとおしい奴らだな…」
260: ◆WjgYlacz.c:2016/7/30(土) 18:30:03 ID:TXb2tRm0vc
山神「でも…頑張ってるかしらね、男さん」
神娘「…そうだな。何をしているのやら」
村娘「きっと頑張ってますよ。張り切って帰りましたもん」
神娘「……」
山神「にやけてるわよ、神娘」
神娘「っ!や、やかましい」
神娘「そろそろ再開するぞ!山神殿」
山神「はいはい。次は瞑想でもしましょうかしらね」
神娘「…あれか。退屈だ」フウ
山神「駄目よ。基礎の基礎は疎かにしては」
神娘「うむ…分かっておる」
神娘「では…」
モヤッ
神娘「ん…?」
村娘「どうかしました?神娘様」
神娘「……いや、何でもない」
ドクン ドクン…
神娘「…??」
261: ◆WjgYlacz.c:2016/7/30(土) 18:30:35 ID:TXb2tRm0vc
神娘「……」メイソウ
山神「……」
神娘「……」
山神「……」
神娘「……」ソワソワ
山神「…神娘、集中が切れてるわよ」
神娘「あ、ああ…すまない」
神娘(…なんだ?この感じは…)
『ガラッ…』
神娘(ん…?)
『ガラガラガラ…ッ!』
『ドザザザザアアアッ!!!』
神娘「う、うわっ!?」バッ
山神「えっ?」
神娘「な、何だ!?今の音は!?」
山神「どうしたの神娘。音なんか何もしてないわよ?」
神娘「なんだと…?」
262: ◆WjgYlacz.c:2016/7/30(土) 18:31:00 ID:TXb2tRm0vc
神娘「今、確かにしたではないか」
神娘「何かが崩れるような…大きな音が」
山神「落ち着いて。何もないったら」
神娘「ど、どういう事だ…?」
神娘(空耳?いや、そんなはずはない…)
山神「顔色が悪いわよ…どうかしたかしら?」
神娘「……」
神娘「…山神殿」
山神「なに?」
神娘「何やら不吉な予感がする」
山神「…どういうこと?」
神娘「とても大きな不安が湧き上がってくるような…」
神娘「今まで感じた事がない胸騒ぎがするのだ」
山神「胸騒ぎ…?」
神娘「ああ。これは何なのだ…」
山神「気のせいではないのね?」
神娘「うむ。断じて気のせいではない」
263: ◆WjgYlacz.c:2016/7/30(土) 18:31:40 ID:TXb2tRm0vc
神娘「つい先ほどからなのだが…」
山神「いったい何かしら…私は何も感じないけど」
神娘「という事は、今この場所に関係ない事なのか?」
山神「そうかもね。この辺りに異変があれば私が真っ先に気付くわ」
神娘「……」
山神「…神娘」
神娘「ん?」
山神「例の鈴を出してみて」
神娘「鈴?これか」スッ
ズウン…
神娘「!?」ゾクッ
山神「どうかしたの!?」
神娘「…この鈴だ」チャリッ
山神「…」
神娘「触れただけで分かる。この鈴からその不安が湧き出ておる」
山神「やっぱりね。貸してみて」チャリッ
山神「……」
神娘「…どうだろうか」
264: ◆WjgYlacz.c:2016/7/30(土) 18:32:15 ID:TXb2tRm0vc
山神「…今はこの鈴の片割れを男さんが持っているんだったわね?」
神娘「う、うむ」
山神「確かに…あまり良くない気が出ているわ」
神娘「やはりか。まさか、あやつの身に何かが…?」
山神「元々一つだった鈴が離れても神力で繋がっている可能性はあるわ」
山神「もう片方を通して、何かを伝えているのかも…」
神娘「な、何だと思う?例えば病気だとか、怪我だとか…」
神娘「そ、そうだ、大した事あるまい。なぁそうだろう?」
山神「…神娘」
神娘「……」
山神「認めたくない気持ちは分かるわ」
山神「でも、この鈴から感じ取れる気は…あなたも分かるはず」
神娘「う…む…」
山神「……」
神娘「…死だ」
山神「…」
神娘「死の気配が…その鈴からする」
265: ◆WjgYlacz.c:2016/7/30(土) 18:32:46 ID:TXb2tRm0vc
神娘「あやつは今…死を感じるほどの目に遭っている…」
神娘「先ほど聞こえた音も…ただ事ではない」
山神「……」
神娘「や、山神殿!どうすればいい!?」
山神「落ち着いて神娘」
山神「この鈴の正体が掴めない以上、さっき私が言った事も仮説に過ぎないわ」
神娘「うむ…」
山神「もう少し様子を見て…」
神娘「それでは遅いかもしれないだろう!」
山神「!」
神娘「もし、山神殿が言った事が本当だったら…あやつは…」
山神「…」
神娘「…と、とにかく!私が様子を見に行ってくる!」
山神「神娘、それは…」
神娘「行かせてほしい」
山神「神娘…」
神娘「山神殿は無闇にここを離れられないだろう。村娘では時間がかかり過ぎてしまう」
神娘「私が行くしかない。今の私なら向こうまで数刻で行ける」
神娘「頼む。山神殿…!」
山神「……」
266: ◆WjgYlacz.c:2016/7/30(土) 18:33:26 ID:TXb2tRm0vc
山神「…分かったわ」
神娘「!」
山神「このままじゃあなたも修行どころではなさそうだしね」
山神「いいわ。様子を見に行ってきてちょうだい」
神娘「ありがとう」
山神「ただし」
神娘「む?」
山神「あなたの神力は回復してきたとはいえ…まだ完全ではないわ」
山神「過剰に力を使う事による消滅の危険はまだ残っているわよ」
神娘「…」
山神「いい?何が起こっていても…決して無茶をしては駄目よ」
神娘「…分かっておる」
山神「そう…じゃあ、行ってきなさい」
神娘「ああ」
神娘「…そうだ、村娘には…」
山神「上手く伝えておくわ。あまり心配かけたくないでしょう?」
神娘「頼む。では、行ってくるぞ」
タタンッ!
267: ◆WjgYlacz.c:2016/8/5(金) 21:47:58 ID:YZA5Eqdiic
・・・・・・・・・・
268: ◆WjgYlacz.c:2016/8/5(金) 21:49:30 ID:YZA5Eqdiic
タタタタッ
神娘「おっと…!」バシャッ
神娘(水たまりが多い。おまけに、やけに道がぬかるんでいるな…雨でも降ったのか?)
神娘(くそっ、走りづらい)
ドクンッ
神娘「!」タタタ
ドクンドクンッ
神娘「…っ」タタタ
ドックンドックンドックン
神娘(…どんどん死の気配が強くなっていく)
神娘(押し潰されそうだ…!)
神娘(もっと急げ!もっと…!)スタタンッ!
ビュオオオオッ
269: ◆WjgYlacz.c:2016/8/5(金) 21:50:03 ID:YZA5Eqdiic
・・・・・・・・・・
270: ◆WjgYlacz.c:2016/8/5(金) 21:50:37 ID:YZA5Eqdiic
ザザッ!
神娘「…はぁ、はぁ」
神娘(さすがに…少し疲れたな)
神娘(だが着いた。確かにここのはず…!)
神娘(とにかく、あやつを探しに…)ザッ
フラッ
神娘「おっと…」クラッ
神娘(いかんな。少し消耗が…)
…オイ!モットオウエンヲヨベ!
クソッ!ヨリニヨッテコノジキニ…
ザワザワザワ…
神娘「…?」
神娘(騒がしいな…何があったんだ?)
モウスグデシュウカクノジキダッタノニ…
マサカ、ガケガクズレルトハナア…
神娘「!?」
神娘「崖が崩れただと…!?」
『ガラガラガラ…ッ!』
『ドザザザザアアアッ!!!』
神娘「まさかあの音は…!」
神娘「くっ!」タタッ
271: ◆WjgYlacz.c:2016/8/5(金) 21:51:04 ID:YZA5Eqdiic
ガヤガヤガヤガヤ…
オーイ!コッチヲドカシテクレ!
イヤアヒデエヒデエ…
神娘「……」
神娘(これは…確かにひどい有様だ)
百姓一「ん?おめえ、見慣れない顔だなあ」
神娘「!」
神娘「これはいったい何があったのだ?」
百姓一「ああ、ここ数日すげえ雨が降っただろ」
百姓一「地面が緩くなってたんだろうな。さっき裏山の崖が崩れたんだ」
神娘「…」
百姓一「それよりおめえ余所もんだろ?あんまり首を突っ込まない方が…」
神娘「心配無用だ」タタッ
百姓一「あっ、ちょっ…行っちまったよ」
神娘「……」キョロキョロ
神娘(あやつは…あやつはいないのか…?)
神娘(まさか…な)
272: ◆WjgYlacz.c:2016/8/5(金) 21:51:34 ID:YZA5Eqdiic
ヒソヒソ…
…カワイソウニネエ
オトコサンノイエデショ?アソコ…
神娘「!?」ピクッ
神娘「い、今なんと言った!?」バッ
農婦一「えっ?」
農婦二「な、なによこの子…」
神娘「男の家だと言ったか!?」
農婦一「ええ…あの崖崩れの下敷きになっている場所がね…」
農婦二「本人も巻き込まれてるって話だし…」
神娘「なっ…なっ…」
農婦一「あの様子だとまず生きてはいないでしょうねぇ」
農婦二「まだ若かったのに残念…あら?」
神娘「…」ダッ!
農婦二「…ねぇ、あの子見た事ある?」
農婦一「いいえ。ないわね…」
神娘「…っ」ギリッ
神娘(嘘だ!嘘だ!嘘だ…!)
273: ◆WjgYlacz.c:2016/8/5(金) 21:52:07 ID:YZA5Eqdiic
ガラッ
百姓二「ふう…もう手が付けらんねぇ」ザクッザクッ
百姓三「生きてはいないだろうな、これじゃあ…」ハアハア
ドケッ!ドクノダ!
百姓二「ん?なんだあ?」
ザワザワ…
百姓一「お、おい!そっち行くなって!」
神娘「うるさい!手を離せ!」バッ
百姓一「おわっ!」ドテッ
百姓一「な、なんだ?力つええ…」イテテ
神娘「……」ザッザッ
百姓二「誰だ…?見覚えがねえ格好してんな」
百姓三「おい!これ以上近付かない方が…」
神娘「…どけ」ギロッ
百姓二・三「っ!」ビクッ
神娘「どけと言っているのだ!!」
百姓二・三「ひ、ひぃぃ〜っ」ササッ
神娘「…」ズカズカ
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