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神娘「人間など嫌いだ」
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1: 亀更新かもです ◆WjgYlacz.c:2015/12/10(木) 10:06:43 ID:I.XMW0eHSk



ーむか〜しむかし、とある場所で





201: ◆WjgYlacz.c:2016/6/12(日) 21:51:34 ID:LZ7UQdthyE
男「……」

神娘「……」



リーンリーン…



男「……」



リーンリー…ン



男「…神様」

神娘「……」

男「お困りになるかもしれませんが」

男「その、やはり修行は私の村で行うというのは…」

神娘「……」グラッ

コテン

男「!」ビクッ

男「どうされました?寄りかかって…」

神娘「…zzz」スースー

男「…寝てらっしゃいましたか」
202: ◆WjgYlacz.c:2016/6/12(日) 21:52:54 ID:LZ7UQdthyE
神娘「zzz」


男「…お疲れのご様子でしたからね」


男「……」


男「神様がお決めになったことだ。私が異を唱えられるはずもない」


男「……」


リーンリーン…





…パカラッパカラッ

山神「…ふ〜っ、到着。すっかり遅くなってしまったわ」ザッ

山神「ごめんなさいね。何もなかったかしら…」

山神「…あら?」


神娘「zzz」

男「zzz」


山神「……」

山神「…うふふ。仲良しだこと」ニヤニヤ
203: ◆WjgYlacz.c:2016/6/21(火) 23:36:44 ID:10DpqrJMlU
ーしばらくのち


神娘「……んっ」パチッ

神娘「…いかん、眠ってしまっていたか」

神娘「このような吹き曝しで…ん?」チラッ

男「zzz」

神娘「っ!?」ビクッ

神娘(近っ!)

神娘(しまったな。こやつに寄りかかって眠ってしまったか…)

男「zzz」

神娘(こやつもこのまま寝たのか)

神娘(ここで私が動いたら、こやつの体は倒れそうだ)

神娘(疲れていたのだろうし…止むを得ん。もう少し寝かせておくか)

神娘「……」

神娘「……」チラッ

男「zzz」

神娘「……」

神娘(こやつの顔をこれほど近くで見るのは初めてだな)

神娘(おぶさっていた時も、見ていたのは背中と頭の後ろだけだし…)

神娘(…ま、まあまあ悪くない顔立ちだな、うん)
204: ◆WjgYlacz.c:2016/6/21(火) 23:37:06 ID:10DpqrJMlU
男「zzz」

神娘「……」チラチラッ

神娘(…手が泥だらけ、傷だらけだな)

神娘(あの村で畑仕事をしていた男たちと同じ…)

神娘「…」スッ

神娘(普段は仕事に精を出しているというのも、嘘ではなさそうだ)

神娘(…この手こそ、こやつら人間の生きている証だな。うん)

サスサス

男「ううん…」

神娘「!」ビクッ

男「…ん…」

男「zzz…」

神娘「…ふぅ」

神娘(危ない。手をさすっていたなどと知られたら何を言われるか…)

神娘(しかし本当によく寝ておるな、こやつは)
205: ◆WjgYlacz.c:2016/6/21(火) 23:37:40 ID:10DpqrJMlU
リーンリーン…

神娘「…」

男「zzz…」

神娘(こやつも明日になれば自分の村へと帰るのか…)

神娘(私も村娘の村で、再び修行を行う)

神娘(全てが元通り…ただそれだけ)

神娘(それだけなのだが…)

男「zzz…」

神娘(…)

神娘「…うぅむ、分からん」ワシャワシャ

山神「何が分からないのかしら?」バササッ

神娘「わっ!?」ビクッ

山神「ちょっと。大声出したら男さんが起きちゃうわよ」カアーッ

神娘「その毎度突然声をかけるのはどうにかならんのか?」

山神「ふふ、以後気を付けるわ」

神娘(確実に気を付ける気は無さそうだ)
206: ◆WjgYlacz.c:2016/6/21(火) 23:38:06 ID:10DpqrJMlU
神娘「しかしいつの間に帰っていたのだ」

山神「とっくよ。人間一人送るのにそんなにかからないわ」

神娘「まあ馬の姿で駆けていけば当然か」

山神「ねえ、それより何が分からないの?」

神娘「…う、うぅむ」

神娘「そのだな…明日にも修行を再開しようかと思っている」

山神「え?そう。それは何よりね」

神娘「村娘に話し、あやつが今いる村でまたやり直すつもりだ」

山神「あの子の村で…」

神娘「そうだ。全て順調な筈だろう?」

神娘「だが…何故か心が晴れぬのだ」

山神「……」

神娘「もう今日の一件で迷いはなくなったし、ここにおれば神力もすぐに戻る」

神娘「障害となるものはもう何もない。しかし…何かがこの胸につっかえておるのだ」

神娘「なぁ山神殿、これは何だと思う?私は何か間違っているのか?」

山神「……」

山神「間違ってないわよ。修行神としての順当な道ね」

神娘「…うむ」

山神「でも」

神娘「?」
207: ◆WjgYlacz.c:2016/6/21(火) 23:39:28 ID:10DpqrJMlU
山神「その胸のつっかえは…あなたの正直な心を映しているの」

神娘「……」

山神「修行神としてではなく、あなた自身としての心ね」

神娘「私自身…?」

山神「そう。あなたの心が何か言っているんじゃない?」

神娘「…何を言っているのだというのだ?」

山神「私に分かるわけないじゃない」

神娘「…むぅ」

山神「あなたの心はあなたにしか語り掛けないわ」

山神「それを無視するのも耳を傾けるのもあなたの自由だけどね」

神娘「難しいな」

山神「そうでもないわよ」

神娘「何故そう言い切れる」

山神「うふふ。答えは意外と近くにあるかもしれないし?」

神娘「…何だそれ」
208: ◆WjgYlacz.c:2016/6/21(火) 23:39:57 ID:10DpqrJMlU
男「う…ん・・・っ」ノビッ

山神「あら、お目覚めね男さん」

男「ああ、山神様。お戻りでしたか」

山神「無事に巫女も村へ送ってきたわ」

男「ありがとうございます。すみません、ついうとうとと…」ゴシゴシ

神娘「うとうとどころかよく眠っていたぞ」

男「そうでしたか?」

山神「ええ。神娘とぴったりくっ付いてよく眠ってたわ」ニヤ

神娘「余計なことを言うな」

男「何と。それは大変な失礼を致しました」

神娘「う、うむ…別によい」

神娘(正直少し驚いたが)

男「……」ペタペタ

神娘「…どうした、体など調べて」

男「いえ、私が眠っている間に何かされていないかと…」

神娘「三秒以内に謝らなければ吹き飛ばす」

男「冗談ですって」
209: ◆WjgYlacz.c:2016/6/21(火) 23:40:21 ID:10DpqrJMlU
山神「男さんはこれからどうするのかしら?」

男「明日の朝にはここを発ちます」

山神「そう…寂しくなるわね」

男「できればもう少し残りたかったのですが…畑を放ってもおけませんし」

山神「そうね。男さんには男さんの暮らしがあるのだから」

男「それに寂しくなりませんよ。神娘様はここに残るそうですし」

神娘「……うむ」

ズキッ

神娘(ん…?)

山神「ふふ、また騒がしくなるわぁ」

神娘「騒がしくて悪かったな」

山神「…ちゃんと神としての務めは果たさなくちゃね」

神娘「無論だ」

山神「みっちりと鍛えてあげないと」ニヤリ

神娘「…不安だ」

男「鍛えてさしあげてください」ペコリ

神娘「お前は何様なのだ」
210: ◆WjgYlacz.c:2016/6/21(火) 23:40:51 ID:10DpqrJMlU
山神「朝に発つのなら、もう休んだ方がいいんじゃないかしら?」

男「そうですね。そうさせていただきます」

山神「奥の部屋、使っていいわよ」

男「ありがとうございます」

神娘「…」

男「神様、山神様、それではお先に失礼します」

神娘「…ああ、おやすみ」

山神「おやすみなさい」

ザッザッ



神娘「…」

山神「さて、と。私もそろそろ…」

神娘「なあ山神殿」

山神「なに?」

神娘「胸が痛んだ」

山神「えっ?」

神娘「先ほど、また胸が痛んだ。こう…疼くように」

山神「……」
211: ◆WjgYlacz.c:2016/6/21(火) 23:41:44 ID:10DpqrJMlU
神娘「だが分からん。私の心がいったい何を訴えているのか…」

山神「その時に何を話していたのか分かる?」

神娘「え〜っとだな」

神娘「あれだ、男が村に戻り、私がここに残るという話だ」

山神「……」

神娘「分からんな。別におかしな事など何一つない話だが…」

山神(もう答え一歩手前じゃない!)

神娘「ま、偶然かもしれん。気にしなくていいぞ」

山神「…はあ」

神娘「な、なんだ。ため息などついて」

山神「べっつにぃ〜」

神娘「なんだというのだその言い方は…」

山神「じゃ、私そこら辺の止まり木で寝てるわ」バサッ

山神「あなたも早く寝なさい。おやすみ〜」

神娘「おい、待っ…」

バサバサッ

山神(…わざとかと思えるほどの鈍感さね)

山神(というより、無意識に気付かないようにしているのかしら…)
212: ◆WjgYlacz.c:2016/6/21(火) 23:42:13 ID:10DpqrJMlU
神娘「…行ってしまった」


神娘(早く寝ろと言われても…)


神娘(また色々考えて眠れんぞ、こりゃ)


神娘(……)


神娘(私自身の心、か…)


神娘(そんなもの、今まで考えた事もなかった)


神娘(いったい何を訴えておるのだ)


神娘(お〜い…)


神娘(……)


神娘(…阿呆らし)


神娘(……)


神娘(…)
213: 名無しさん@読者の声:2016/6/23(木) 12:45:27 ID:nqDj.UzvhI
なんかキュンとくる…!

支援!
214: ◆WjgYlacz.c:2016/7/4(月) 15:31:05 ID:VlcCTJNCdM
チュンチュン…

神娘「…」コックリコックリ

ザッザッ

神娘「…ん、誰だ?」パチッ

「あっ、神娘様」

神娘「おお、村娘」

村娘「おはようございます!」

神娘「どうした、馬鹿に早いな」

村娘「ここで巫女をやる許しを両親から得たので、色々準備をと思って…」

神娘「そりゃ良かったな。山神殿も喜ぶだろう」フワワ

村娘「どうしてこんな所で休んでいたんですか?」

神娘「ああ、思案していたらそのままうとうとしてしまった」

村娘「また何か考え事ですか?」

神娘「丁度良い。お前にも関係ある事だ」

神娘「お前のいる村で修行を再開したいと思っておるのだ」

村娘「ほ、本当ですか!?」パアッ

神娘「よいだろうか?」

村娘「もちろん!とっても嬉しいです!」

神娘「うむ、そうか」
215: ◆WjgYlacz.c:2016/7/4(月) 15:32:06 ID:VlcCTJNCdM
神娘「そこで、お前に村の者たちとの仲立ちを頼みたいのだ」

村娘「わ、私に?」

神娘「そうだ。なに、そう身構える事ではない」

神娘「私を知る者がいた方が村人も安心するだろう」

村娘「確かにそうですね…。分かりました、やります」

神娘「すまんな。まあ神力がしっかり戻ってからの話だ」

村娘「それにしても神娘様がまた戻ってくるなんて」

神娘「私もこうなるとは思いもよらなかったよ」

村娘「あれ?でもそうなると…」

神娘「?」

村娘「男さんはどうなさるんですか?」

神娘「あやつは今日にも自分の村へと帰るぞ」

村娘「えっ」

神娘「当然だろう」

村娘「で、でも神娘様はそれでいいんですか?」

神娘「何がだ」

村娘「男さんとここでお別れするという事になりますよ?」
216: ◆WjgYlacz.c:2016/7/4(月) 15:32:41 ID:VlcCTJNCdM
神娘「それは仕方ない。私の修行にはあやつは何の関係もないのだから」

村娘「でも…」

神娘「あやつはあやつの、私は私の居場所で生きるだけのこと」

神娘「いったい何の不満があるというのだ?」

村娘「い、いえ…え〜っと…」

神娘「あっ、まさかお前…」

村娘「えっ?」

神娘「あやつに惚れたから行ってほしくない…とか?」

村娘「ち、違いますっ!」アセッ

神娘「生憎、縁結びの神の知り合いはいないのだが…」

村娘「違いますって。昨日会ったばかりなのにそんな筈ないですよ!」

神娘「そうか」

村娘「むしろ…」

神娘「ん?」

村娘「むしろ、神娘様の方が男さんのこと…」

バサバサッ

山神「カアーッ」バササッ

神娘「おはよう、山神殿」

山神「おはよう、神娘。巫女」

村娘「お、おはようございます!」
217: ◆WjgYlacz.c:2016/7/4(月) 15:33:26 ID:VlcCTJNCdM
山神「ごめんなさい。話の最中だったかしら?」

神娘「ん、大丈夫だ。もう本題は済んでいる」

村娘「……」

山神「巫女、どうやら許しは得たようね」

村娘「はい。両親に山神様の名を出したら驚かれましたけど…」

山神「良かったわ。それじゃ、中へ一緒に来てちょうだい」

村娘「分かりました」

山神「あ、神娘」

神娘「ん?」

山神「男さん、昼頃に出るそうよ」

神娘「そうか」

山神「少しは動けるようになったんだし、準備くらい手伝ってあげなさい」

神娘「…まあ、そのくらいならな」

山神「鳥居の外にいたわ」

神娘「分かった」ピョンッ

スタスタ…

山神「…」

村娘「…あの、山神様」

山神「何かしら?」
218: ◆WjgYlacz.c:2016/7/4(月) 15:34:01 ID:VlcCTJNCdM
村娘「どうにかならないんでしょうか?その…神娘様と男さんの事」

山神「……」

村娘「神娘様が私の村に来てくださるのは本当に嬉しいです。でも…」

村娘「あのお二人が信頼し合っている姿を昨日から目の当たりにして…」

村娘「離れ離れになってしまうのが何だか悲しくて…」

山神「そうね…気持ちは分かるわ」

山神「でも残念だけど、どうにもならないの」

村娘「…」

山神「修行するには決まりがあってね」

山神「神娘はこの生まれた地で修行しなくてはならないわ」

村娘「そうなのですか?」

山神「ええ。これは本神になる上では絶対のもの」

山神「あの子がそれを目指している以上…この地を離れられない」

村娘「仕方のない事なんですね…」

山神「そうよ」

村娘「神様にも決まりなんてあるんですか」

山神「あなた達とそう変わらないわ。神なんて面倒なものよ」

村娘「……」
219: ◆WjgYlacz.c:2016/7/4(月) 15:34:46 ID:VlcCTJNCdM
村娘「神娘様は、ご自分の気持ちには気付いていないのでしょうか?」

山神「恐らくね」

村娘「誰でも見ればすぐ分かりそうなものですが…」

山神「あの子、今まで全くそういう経験なかったし」

山神「それに本神になるためにひた向き過ぎて、自分の望みは後回しにしてきたから」

村娘「…真面目だったんですね」

山神「自分の心と上手く付き合えていないのよ」

村娘「心と…ですか?」

山神「神は人間の違って膨大な力を持っているわ」

山神「でも、中途半端に持ってしまった心の扱いは…人間より下手なのよね」

村娘「難しいです」

山神「分からなくてもいいわ。こちらの話だし」

山神「それに、その気持ちに気付いてしまったところで…」

村娘「…余計に辛い思いをしてしまいそうですね」

山神「ええ」

村娘「でも、やっぱりこのままじゃ…!」

山神「気付くのが悪い事とは言っていないわ」

山神「それでも私たちが教えるのは駄目。これも修行の内なんだから」

山神「なるがままに任せましょう」

村娘「…はい」
220: ◆WjgYlacz.c:2016/7/7(木) 13:08:27 ID:jnZwHXEDjk
男「…よいしょっと」

ドサッ

牛「モーッ」

男「待たせてすまない。もうすぐだからさ」

男「さてと、あとは…」

「これか?」スッ

男「あ、どうも…って神様でしたか。おはようございます」

神娘「おう。ほれ、早く受け取れ」

男「はい。よっと!」ドサッ

男「ふう…ありがとうございます」

神娘「もう積み込みはほとんど終わってしまったか」

男「ええ、元々少ない荷物でしたし」

男「帰りは山神様が…ええと、何でしたっけ?」

神娘「転移だろう。要は一瞬でお前の村に帰れる」

男「それです。お陰で帰り道を気にせずに済みました」

神娘「よかったな」

男「行きもそうだと楽だったのですが」

神娘「私にはできん。高等な神力だし、未熟な者が発動すれば体が四散する」

男「なにそれ怖い」
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