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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編その2】
[8] -25 -50 

1: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:00:58 ID:/WYEXwH6vk
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10

1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10

2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10

3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)

あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)

>>2から本編になります!


880: ◆WEmWDvOgzo:2016/11/25(金) 22:23:40 ID:AAS5HN/OAk
魔導師「とりあえず強そうなのから死んでもらおうかね…。残りのガキはどうとでもなるし」

フィクサー「フオォ……フオォ……」ハァハァ

団長「ぬぅ…!」ジャキッ

魔導師「さ、行っておいで」

フィクサー「グアァッ!!」ブゥンッ

団長「うっ…!」ギィンッ

フィクサー「フングゥゥ!!」バウンッ

団長「ぐほっ!?」ダァンッ

宣教師「団長さん!?」

ラム「か、片手で吹っ飛ばした…!どんな腕力してるんだよ…!?」
881: ◆WEmWDvOgzo:2016/11/25(金) 22:25:00 ID:AAS5HN/OAk
カロル「(ヒメくんを癒して、すぐ団長さんも…!)」スッ

ヒュッ

カロル「いっ…!」グサッ

魔導師「そうはさせないよ…?」ニィィッ

カロル「……!」キッ

ラム「この…!」ザッ

魔導師「ん……キミか、ちょっと相性が悪いなぁ」

ラム「こいつは僕が倒しておくから君は治癒を急ぐんだ!!」スチャッ

カロル「うん、ありがとう!」

魔導師「んふふ…倒す、ねぇ。見くびられたもんだよ」
882: ◆WEmWDvOgzo:2016/11/25(金) 22:25:56 ID:AAS5HN/OAk
宣教師「」ヒョイッ

カロル「……!」ハラハラ

宣教師「ふぅ…石粒は取り除きましたよ!」

カロル「ありがとう!」ピトッ

フワッ

ヒメ「」スゥゥウ

宣教師「ど、どうですか…?」

カロル「うん…まだ気を失ってるみたい」

カツンカツン

宣教師「は…!?」クルッ

ファルージャ「フフン……」ブンッ

カロル「え…?」

宣教師「危ない!?」ガバッ

バシャアアン!
883: ◆WEmWDvOgzo:2016/11/25(金) 22:27:11 ID:AAS5HN/OAk
ファルージャ「小娘が…分も弁えず邪魔立てしおって……」ジッ

宣教師「」ドクドク

カロル「せん…きょし、さま?」

ファルージャ「まぁよい。割れてはしまったが、そなたを始末するには事足りる」ポタポタ

カロル「(硝子の破片……宣教師さま、いっぱい血が出てる。癒さなきゃ)」スッ

シャッ

カロル「ぃぎっ!?」ザクッ

ファルージャ「クスス……妾の手を汚させた罪、実に重いぞ」グリィッ

カロル「はぁっぐ……ぃああっ……」ブシュッ

ファルージャ「パカラゥロ!フィクサー!」

魔導師&フィクサー「」ピクッ

ファルージャ「思い知らせておやり…?」ニタァァ

魔導師「んふ!」ギラッ

フィクサー「ンォオオ…!」ミキミキィッ
884: ◆WEmWDvOgzo:2016/11/25(金) 22:28:53 ID:AAS5HN/OAk
フィクサー「わだしが…ダイリグの覇しゃとナる…!!」ギンッ

団長「ぐぅ…ふぅぅ…貴様にその資格はないと…言っておるだろうがぁ!?」ダッ

ギャリィィンッ!


ラム「なんであの毒霧みたいな術を使わないんだい?あれなら一度に始末できたのに」

魔導師「女王に障気が届いたら一大事だからねぇ」

ラム「無茶をしたってあいつは死なないだろ。本当の理由は他にあるんじゃないの?」

魔導師「んふふ…小賢しいなぁ」

ラム「それに…手の色が変わってる」チラッ

魔導師「……」

ラム「手を握り合わせて使う魔術と関係あるのかな」

魔導師「あんまりじろじろ見ないでおくれよ。気持ち悪いなぁ…」

ラム「別にいいんだけど…どうせお前は負けるから」ザッ

魔導師「さてさて、さてさて、さてさてと……」ゴソゴソ

ラム「……」

魔導師「これからその身に起こる不幸……受け入れる覚悟はできたかい?」カプッ

ラム「」ダッ

魔導師「ふっ!」ヒュッ

ラム「っ……」グサッ

魔導師「」ニィィッ

ラム「そんなの効かないって……っ!」ガクンッ

魔導師「んふ」ニヤッ
885: ◆WEmWDvOgzo:2016/11/25(金) 22:32:29 ID:AAS5HN/OAk
ラム「く……な、んだ…!?」ググッ

魔導師「痺れ薬を塗ってあるのさ。徐々に再生するだけで効くには効くんだろう?」

ラム「こんなの…時間稼ぎにしか……」キッ

魔導師「まぁまぁまぁ…ねぇ?」トポッ

ラム「その瓶…なに…?」ゾクッ

バシャッ

ラム「ぎっァアアアアアア!!!」ジュウウウ

魔導師「濃い目にブレンドした特製の酸だよぉ…」ニタニタ

ラム「あっい…あづ……ぃぎゃああああ!!!」ジタバタ

魔導師「一度のまぐれで気を弛めるからそういう目に遭うのさ」

ラム「はっひひ…ヒヤァ!ぃぐっ!!」ペシペシ

魔導師「無駄無駄。液体をはたいたって更に塗り込むだけさね」トポッ

ラム「ぎっ…!?」ギョギョッ

魔導師「再生する間もないくらい溶かし尽くしてあげようじゃないの…?」ヒュンッ

バシャッ

ウギャアアアアアアアア!!!

魔導師「跡形もなくなれば再生もなにもないだろう?んっふふふ」ニタニタ
886: ◆WEmWDvOgzo:2016/11/25(金) 22:34:48 ID:AAS5HN/OAk
ファルージャ「ふむ、よい働きをしてくれるわ…。さすが妾の見込んだ下僕達じゃ」チラッ

ファルージャ「はてさて……そなたとその仲間は命を繋げたものか、のう?」グリィッ

カロル「ぶぁあっ!!」ブシュッ

ファルージャ「クスス……そなたらは三つの禁を犯した」

カロル「ー……」ゼェゼェ

ファルージャ「一つは妾を罵り、否定してみせた無礼」ズボッ

カロル「がっ…あぁあああ!!!」ブシャァァッ

ファルージャ「一つは妾の誘いを幾度となく無下にした傲岸不遜な振る舞い」ブンッ バキンッ

カロル「ぎゃっ…!」ドサッ

ファルージャ「最後の一つは……悪戯に妾の気分を害した重罪よ」ズシッ

カロル「べふぅっ…」ミシッ

ファルージャ「不愉快じゃ、どれを取っても」ジロッ

カロル「ぇ…ふぅ……は、あ」コヒューコヒュー

ファルージャ「が、妾は情け深い」クスッ

ファルージャ「死ぬる前にそれらの罪を償う機会を恵んでやろう…」スラリ

カロル「……?」ウツラウツラ

ファルージャ「足を舐めよ」ズイッ

カロル「……」ピクピク

ファルージャ「クスス……これではまるで褒美よな。じゃが遠慮せずともよい」

ファルージャ「美味を堪能し、快楽に溺れて逝け。それがそなたにくれてやる何よりの手向けじゃ」グッ

カロル「うぅ……」ベシャッ
887: ◆WEmWDvOgzo:2016/11/25(金) 22:37:45 ID:AAS5HN/OAk
カロル「(なにがなんだかわからないよ……)」ボーッ

カロル「(ボクはなんで……ここにいるんだろう)」グワングワン

カロル「(差別がなくなって…仲直りして……お母さまとみんな……しあわせ、だったのに)」

カロル「(宣教師さまが起きない…ヒメくんも団長さん、ケガしてた)」

カロル「(ラムくん、どこ…?ルーボイくんは…なにしてるんだろう……)」

カロル「(ナラ、元気かな…ミシングさんも二人もお母さまと待ってくれてるかな……)」

カロル「(パッチくんに…また、会いたいなぁ)」

カロル「(どうして…どうしてボクは大切なともだちと…一緒にいられない、の)」

カロル「(もう…ひとりぼっちはいやだ……)」フッ

888: 投下終了 ◆WEmWDvOgzo:2016/11/25(金) 22:39:35 ID:AAS5HN/OAk
ファルージャ「フン……事切れたか」スッ

ファルージャ「あっけないものじゃ」

ドシャッ

団長「」ダラァァン

ラム「」グチャッ

ファルージャ「……」チラッ

魔導師「んふふ…終わったよ、女王」

フィクサー「ザイギョウのヂガラ…!!わだしごそザイギョウ…!!」フシューフシュー

ファルージャ「フフン……」

魔導師「安心しておくれ。残りの敵もまとめて片付けてあげるから」ニィィッ

フィクサー「グフ…ヴハハハハハ!!!」ゲラゲラ

ファルージャ「そなたらに問う」

魔導師「?」

ファルージャ「この世で最も美しいのは誰じゃ?」

魔導師「…聞くまでもないよ」ニィィッ

フィクサー「ぎみごそが…ウヅクシイ」フシューフシュー

ファルージャ「…誉めて遣わす」ニタァァァ

魔導師「はっ…」ザッ

フィクサー「ハハァッ!!」ザッ

ファルージャ「フン……素直に我が美を崇めておればよかったものを」チラッ

宣教師「」ドクドク

ファルージャ「口ほどにもなく……」

カロル「」ダラァァン

ファルージャ「憐れむ価値さえない……」

ファルージャ「馬鹿は死ななければ治らぬ、か」クスッ
889: ◆WEmWDvOgzo:2016/12/9(金) 22:44:03 ID:Rbp1gb8IvI
―――王国・辺境地(ミラルドの町)―――

ルーボイ「はぁ〜…今日もつまんなかったなぁ。学習院なんか行きたくねーっつの」スタスタ

ナラ「せっかくミシングさんたちがかよわせてくれてるのに、もんくいっちゃダメだよ」

ルーボイ「そんなことしてる場合かよ…」ケッ

ナラ「……」

ルーボイ「あいつらが帰ってこねーのに……宣教師さまだって何してっか分かんねーし」

ナラ「まつしかないよ…」

ルーボイ「もうどんだけ経ってんだよ。ナラは心配じゃねーのかよ?」

ナラ「しんぱいだよ。しんぱいだけど…」

ルーボイ「いつまで待てばいいんだよ」

ナラ「わたしにきかれたって…」

ルーボイ「…俺はもう待ちたくねぇ」

ナラ「じゃあどうするの?わたしたちになにができるの?」

ルーボイ「なんにもできねーよ…」

ナラ「…ならやめてよ。そういうの」

ルーボイ「けっ…」
890: ◆WEmWDvOgzo:2016/12/9(金) 22:46:35 ID:Rbp1gb8IvI
ルーボイ「昔、俺の親友がいなくなった時もよ」

ナラ「……?」

ルーボイ「こうやってヤキモキしてばっかだった」

ナラ「……」

ルーボイ「大きくなっても変わんねぇな。ダチの一人も助けてやれねぇ」

ナラ「かえってこないっておもうなら、まっててもしょうがないよ」

ルーボイ「はぁ…!?べ、別にそういうことじゃねーし!」

ナラ「ならまとうよ…かえってくるって、しんじて」ニコッ

ルーボイ「っ…分かってるっつの!ちょっと言ってみただけだろ!」

ナラ「そう…」ニコニコ

ルーボイ「はぁ…ま、そうだな!俺がくよくよしてたらダメだよな」

ナラ「うん…」ニコニコ

ルーボイ「…あいつら帰ってきたらビックリさせてやっか!俺のが勉強出来んぞってな!」ニカッ

ナラ「そうだよ。ビックリさせよ?」ニコニコ

ルーボイ「おう!そうと決まったら復習だ!早く行こうぜ!」ダッ

ナラ「もう!せっかちなんだから」ダッ

タタタタッ………
891: ◆WEmWDvOgzo:2016/12/9(金) 22:48:28 ID:Rbp1gb8IvI
―――ミラルドの町(孤児院)―――

孤児1「ねーママ!ぼくの宝物あげるね」スッ

母「まぁドングリ?宝物なのにもらっていいの?」ニコッ

孤児1「うんー!」ニパッ

母「ありがとう。大切にするわね!」ナデナデ

孤児1「えへへー」テレテレ

母「うふふ……」ニコニコ

パキッ

母「あら……」ハッ

孤児1「どーしたの?」

母「ううん、なんでもないのよ」ニコニコ

孤児1「ふーん、あそんでこよーっと」タタタッ

母「いってらっしゃい」ニコニコ

ガチャッ バタンッ

母「……」ジッ

母「(ひとりでに殻が割れた……)」コロッ

母「(……)」ギュッ

母「…大丈夫。なにも心配してないわ」

母「(あの子はいつでも笑顔で戻ってきてくれた。あたしを悲しませないでくれた…だから大丈夫)」

母「そろそろ暖炉が恋しい季節ね…。薪を買ってこなくちゃ」スクッ
892: ◆WEmWDvOgzo:2016/12/9(金) 22:50:02 ID:gTRPXbGnWE
―――大聖堂―――

司教「司祭様はまだ戻られんのか…」

教徒「しばらくの間、活動を離れると言い残してから未だ姿を見せないままですね…」

修道女「司祭様、どうしちゃったんだろう…」

司教「またも戦争の兆しが浮き上がり、国内もばたついているというのに…」

教徒「教団の方でも民衆に冷静を保つよう働きかけてますが、なかなか収まりませんもんね」

修道女「ここにも戦争反対を訴える人たちが連日やってきてごった返すし…」

司教「うーむ、一刻も早く司祭様に戻っていたたかねば……」

ミシング「どーもー!遅くなってすみませーん!もうすんごい賑わいで!」スタスタ

司教「おぉ、ミシング殿!ようこそおいでくださった!」

ミシング「もー司教のおじさんったら!そんな堅苦しくしなくても呼び捨てでいいのに?」

司教「いやいや、そうもいきませぬよ。ミシング殿は司祭様と共に国の窮地を救われた功労者の一人ですからな」

ミシング「だーかーら!あたしはなんにもしてませんってば!ただあそこにいただけです!」
893: ◆WEmWDvOgzo:2016/12/9(金) 22:51:31 ID:gTRPXbGnWE
教徒「お久しぶりです!」

ミシング「およ?教徒くんじゃん!おっきくなったねー」

教徒「ミシングさんもお元気そうで?」

ミシング「にしし!それだけが取り柄だもんねー!」

教徒「ははは、またまた」

ミシング「あ、そっちのお嬢さんは?」

修道女「は、はじめまして!私は修道女です!以後お見知りおきください!」ペコッ

ミシング「あはは!緊張しすぎ。あたしなんか偉くもないんだから気楽にしていいんだよ?」ポンポン

修道女「す、すみません。司祭様のご友人と伺っていたので」

ミシング「ま、付き合いはそこそこ長いかも。よく叱られちゃうけどね」テヘペロ

修道女「ふふ…」クスッ

教徒「お、おい!笑ったら失礼だろ」アセアセ

修道女「あ、ごめんなさい!」ハッ

ミシング「いーのいーの!人生笑ってなんぼ!せっかく生きてるのに楽しまなきゃ損じゃん?」

教徒「み、ミシングさんがそうおっしゃるなら…」

修道女「なんだか思ってたより、ずっと親しみやすい人だね」コショコショ

教徒「だからそーゆーこと言うなって…」コショコショ

ミシング「」ジーッ

修道女&教徒「?」キョトン

ミシング「なんか耳打ちしあってるけど…もしかして二人はそういう感じなのかにゃ?」ニヤッ

修道女「えぇっ!?」ボンッ

教徒「ち、違いますよ!」アセアセ
894: ◆WEmWDvOgzo:2016/12/9(金) 22:53:39 ID:Rbp1gb8IvI
ミシング「ひゅー!見せつけちゃってぇこのこのぅ!」ニヤニヤ

教徒「か、からかわないでください!」カァァ

修道女「そうですよ!そういうんじゃないですから!」カァァ

ミシング「怪しいにゃー?」ニヤニヤ

司教「おほん!ミシング殿、よろしいか?」

ミシング「あ、ごめんなさい!なんでしたっけ?」

司教「司祭様の件なのですが…」

ミシング「あーそれでしたら前に話した通りですよ!もう少し待っててください」

司教「せめて詳しい事情だけでもお聞かせ願えないか」

ミシング「んー…そう言われてもあたしもよく知りませんし」

司教「それではこちらが困るのです。司祭様の導きなく不用意に動く訳には…」

ギャーギャー ギャーギャー

ミシング「ほよ?」

教徒「また反対運動か、僕達に頼っても仕方ないのに…」

修道女「再び戦争を決断された国王様は城に籠ってますし、役人の方々は各地を沈静化なされようと尽力してて…私達にできることなんてあるのかな」

司教「ご覧の通りでしてな。我々も頭を悩ませるばかりです…」

ミシング「ほほーん!ちょっといいこと思い付いちゃったかも」ニシシ

司教「は…?」

ミシング「皆さんにも協力してほしいんですけどいいですかー?」

司教「それは構いませぬが…」

教徒「僕達にできることならなんでもします!」

修道女「でもいったい何を?」

ミシング「んーとね、愉快なこと!」

司教&教徒&修道女「???」
895: ◆WEmWDvOgzo:2016/12/12(月) 22:18:19 ID:4a/V8q7lfc
―――王都(議場)―――

政務官「陛下不在の中、諸君の働きは実に懸命であると言えるだろう。
まだまだ改善の余地は多分に見られるがひとまずは良い結果が出せた」

ネバル「いやいやそんな」テレテレ

政務官「お前はまだ畜産業の再生計画を練り直してる最中だろうが!いい加減にまとめ案を提出しろ!何度言わせる気だ!?」

ネバル「ひっ…現地の皆さんとよく話し合って農耕地分配の段取りは固めましたです…!」

政務官「ふん…そちらは概ね好調か。再来年には市場まで持ち込めるんだろうな?」

ネバル「え、いやそれは実際に取り組んで土の質や出来栄えを見ない限りは…」

政務官「見込みはあるのか伺っているんだ。事前調査はしてあるんだろう」

ネバル「も、もちろんです。夏と冬さえ持ち越せば果物類から順々に!」

政務官「よろしい。引き続き農耕促進に励め。気を抜くなよ!」

ネバル「は、はいです…」

ネバル「(なんでオラばっかし怒られるですか…)」ズーン
896: ◆WEmWDvOgzo:2016/12/12(月) 22:20:40 ID:4a/V8q7lfc
政務官「さて、ここで諸君に一つ伝えねばならぬ事がある」

ザワッ

政務官「各地で頻発していた民衆による反対運動だが…非常にまずい状態だ」

シーン

政務官「既に耳には入っているかもしれないが先日、城の警備に当たっていた衛兵が襲撃に遭い、数名が重体に陥った」

ネバル「やっぱり混乱は解けないですか…」

政務官「一部の話ではない。城下の住民は危機的状況に我を失い、城そのものを襲撃しようという声も出ている」

高官1「ダィール子爵、ソメリア卿、ロードホズ軍長が先頭に立って民衆を煽り、反乱者の支持を得ようとする動きが見られます」

高官2「このままでは陛下の帰還を待たずして内乱が勃発する可能性も大いにありうる!」

高官3「もとより貴族はあらゆる制限を課され、現在の体制に不満を抱いている。これを機に……ということは十分考えられますぞ」

高官4「こうしてはいられませんな。我々もすぐさま兵を……」

政務官「逸るな。我々が挙兵など企てればあちらに大義を持たせてしまう。事態が泥沼化するだけだ」

高官1「しかし早々に手を打たねば…!」

政務官「焦ってはいけない。我々までもが取り乱しては誰が城を守れる?」

高官1「それはそうでしょうが……」

政務官「まずは民衆の不安を取り除くのが先決だ。その為には教団の協力が不可欠になるだろう」

高官2「ですが司祭も陛下に伴って不在にしておりますぞ!」

政務官「問題ない。治安維持を任せるに値する適任者が名乗り出てくれた」

高官2「ほう!いったい誰が!?」

政務官「司祭の孤児院を預かるミシング院長だ」

ザワザワ ザワザワ
897: ◆WEmWDvOgzo:2016/12/12(月) 22:24:54 ID:4a/V8q7lfc
政務官「彼女は司祭から全幅の信頼を置かれる優れた指導者だ。
陰ながら教団の活動を支えてきた功労者としても名高い」

高官3「ミシング……聞いたこともございませんな」

ネバル「おいら一回会ったことあるです!すごい陽気で愉快な人だったですよ!」

高官3「おほん!陽気で愉快はさておき…本当に任せられるのでしょうな」

政務官「あぁ、教団内の意見も彼女が司祭代理を務める方向で合致している」

高官3「…かしこまりました。そうまでおっしゃるなら手並みの程を拝見させていただこう」
898: ◆WEmWDvOgzo:2016/12/12(月) 22:26:29 ID:4a/V8q7lfc
ネバル「でもそれだけで治まるですか?」

高官1「ふむ、民衆の理解を求めるのも然り。貴族の方々との接触が必要でしょうな」

高官2「ならば由緒ある血筋に掛け合ってみるのがよろしいかと」

高官3「だがダィール子爵も名家ハリアンス家の血族、ソメリア卿もまた名の知れた大御所です。その手の繋がりとなれば我々では及びますまい」

高官4「と、すれば買収か」

政務官「そのような無駄金にはたく予算はない」

高官4「は…?」

政務官「貴族との交渉はひとまず後回しでいい」

高官1「それはつまり…?」

政務官「民衆の信用を取り戻しさえすればダィール共は丸裸だ。今の内に好き勝手喋らせてやろう」

ネバル「???」

政務官「支持を得ていようと所詮は貴族、真に民の心など理解出来ていない」

政務官「勢い付いている今だからこそ付け入る隙が生まれるだろう」

政務官「それらの失言や過激な暴言を徹底的に記録し、いつでも追及出来るよう手元に置くのだ」

高官1「なるほど!うまくいけば自然に決着させられますな!」

高官2「結局は民衆の心を傾けた方に軍配が上がる訳ですか」

ネバル「おいらがやらしてもらった選挙とそっくりです!」

高官3「もし成功すれば貴族側は失墜し、発言力を失う…。だが敗れれば今後、貴族による政への介入を許してしまう…か」

高官4「そうなれば、またも王族と貴族に別れ、対立は激を増すことになりそうですねぇ」

政務官「それだけに失敗は断じて許されん。心して掛かれ」

高官's「ははぁっ!!」

政務官「(…まずは教団の出方次第だ。ここで一人でも多くの民を王国側に寄せてもらわなければな)」
899: ◆WEmWDvOgzo:2016/12/12(月) 22:28:48 ID:4a/V8q7lfc
―――城下町―――

ワイワイガヤガヤ

修道女「はーい、ただいま混み合っております!列を乱さず順番にお並びくださーい」スッ

教徒「本日限定!青花の刺繍が入った衣服を配布してます!お越しの方は記念にどうぞ!」スッ

ゾロゾロ ゾロゾロ


ミシング「んー!やったね!大盛況!」

司教「ふむ、慰霊碑への参拝とは考えましたな」

ミシング「結局のとこ、みんなの不安はそこですからね。平和的に戦争を否定するには他にないかなーって」

司教「素晴らしい機転かと。おかげで過激思想を巡らせる者も減ったようで」

ミシング「それもですけど…未だに遺族の人たちは色々受け入れられない部分があるだろうから、ちゃんとお別れの日を決めておいた方がいいと思うんです」

司教「…そうですな。たとえ傷は癒えずとも、こうした行事があれば多少は割りきれる」

ミシング「そうしたからって何も変わらないけど気の持ちようですからね」

司教「ですがこれで民衆の不満は軽減し、教団の意向を示せましょう。それだけで大きな意味がある」

ミシング「…戦うか戦わないかで争うなんてバカみたいですもん。平和を望むなら、そういうやり方をしなきゃ」

司教「おっしゃる通り…では私は演説を控えているので」

ミシング「ビシッとお願いしますね!」

司教「私に務まるか不安だが」

ミシング「平気ですって!気持ちを込めて話すだけですから!」

司教「ほほ…なんとかやってみましょう」ニコッ
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