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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編その2】
[8] -25 -50 

1: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:00:58 ID:/WYEXwH6vk
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10

1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10

2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10

3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)

あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)

>>2から本編になります!


860: ◆WEmWDvOgzo:2016/10/15(土) 22:04:06 ID:6FAwtITC1A
ラム「どうする?こうなったら聞かないよ」

宣教師「…仕方ありませんね」

カロル「……」

宣教師「非情に徹してでも守る意思を貫いてきたヒメくんの決意や、この戦いに平和を願った人々の心を思えば…正直、賛同しかねますが」

カロル「!」ズキッ

宣教師「キミはそういう風に割りきれない子だということもよく分かってます」

カロル「ホントにごめんなさい。いつもワガママばっかり…」

宣教師「いいんですよ。私自身、このやり方が真の解決に結び付くかは分かりませんでしたから」

カロル「どうなんだろ…。ホントはヒメくんの言う通りにするのがいいのかも」

宣教師「…でしたら、そうしてみますか?」

カロル「……」

宣教師「自分が正しいと思うのなら自信を持ちなさい。でなければ私達もキミを信じてあげられませんよ」

カロル「ボクは…やっぱり違うと思う」

宣教師「それならキミのやり方にお任せします。私達も信じますから」ニコッ

カロル「はい…!」コクッ
861: ◆WEmWDvOgzo:2016/10/16(日) 21:40:31 ID:egsNPOvF9c
―――地下迷宮(通路)―――

ラム「あれでいいのかい?」

宣教師「……」

ラム「たしかにカロルくんは嘘がつけないから信用しやすいけど、とても通用する相手とは思えないよ」

宣教師「…どうでしょうか」

ラム「へ?」

宣教師「結局のところ人心が彼女に靡いている限り、捕縛して呼び掛けても火に油を注ぐだけかもしれませんよ」

ラム「で、でもヒメは…」

宣教師「彼に落ち度はありませんが…理屈で納得できる相手でないからこそ私はカロルくんに懸けてみたくなりました」

ラム「……」

宣教師「あの子は物事を深く考えていないようでありながら…実は私達が思うより、ずっと繊細な子です」

宣教師「きっと…なにか思うところがあって説得を試みたのではないでしょうか」

ラム「そうかな…。何も考えてないだけな気がするけど…」

宣教師「どうなるかは分かりませんが信じてみましょう。
彼はいつだって、こうした逆境に立ち向かってきたのですから」

ラム「前から思ってたけどカロルくんに甘くない?」ジトッ

宣教師「ふふ、そうでしょうか?」

ラム「はぁ……ま、僕もあんまり言えないけどさ」プイッ

宣教師「」クスッ
862: ◆WEmWDvOgzo:2016/10/16(日) 21:44:00 ID:5kGwsSNxvs
―――地下迷宮(隠し部屋)―――

ファルージャ「ンッ…」ゴクゴク

ファルージャ「フゥ〜…香に浸れず美酒にも酔えず……」

ファルージャ「よもや肉体に求められる快楽は貪り尽くしてしもうたか…」

ファルージャ「また新たな趣向を探さねば時をもて余すばかりよなぁ…」カランッ

ファルージャ「……」

ファルージャ「して、一人残ってまで妾に何を話すつもりじゃ?」

カロル「……」

ファルージャ「再び飼われたいと申すのではあれば一向に構わぬぞ?とくと可愛がってやろう?」ニィィッ

カロル「…どうしてあんなウソついたの」

ファルージャ「ウソ…とな?」ピクッ

カロル「それ、ただの香水だよね」

ファルージャ「……」

カロル「パカラーロさんがそんなの渡すはずないもの」

ファルージャ「ハァン…なにを根拠に」

カロル「それを使ったらファルージャさんも苦しい思いをするよ。
大好きな人を守りたいのに…そんな方法は選ばないんじゃないかな」

ファルージャ「そなたにあやつの何が分かるというのかえ…?」

カロル「知ってるよ」

ファルージャ「……?」

カロル「パカラーロさんも、この城の人間たちも…みんなファルージャさんが大好きだって」

ファルージャ「フゥン…」
863: ◆WEmWDvOgzo:2016/10/16(日) 21:50:32 ID:5kGwsSNxvs
ファルージャ「フフン!よくぞ見抜いた。誉めて遣わそう」クスクス

カロル「やっぱり…」

ファルージャ「たしかにこれは単なる香水よ。開けてもこの通り害はない」パカッ

ファルージャ「が、それを見抜いておったなら、なぜ口にせなんだ?妾を捕らえる好機であったろうに?」

カロル「それは…」

ファルージャ「クスス…さては今頃になって我が魅力に堕ちたのかえ」

カロル「ボクはまだ…なんで争わなきゃいけなかったのか、よく分かってないから」

ファルージャ「……?」

カロル「敵だからとか考え方が違うとか…そういう理由で納得したくないんだ」

カロル「なんにも知らない人のことを悪いって決めつけたくない…」キュッ

ファルージャ「ほう…」

カロル「だから話してみようって思ったんだ…。ちゃんと向き合ってみたくて…」

ファルージャ「フゥン…さようであったか」ガッ キュポッ

ファルージャ「ゥゥン……」グビグビ

ファルージャ「フゥ〜…良い気分じゃ」ボー

カロル「お酒は体によくないってお母さまが言ってたよ…」

ファルージャ「どうせ永遠に生き永らえる身よ。娯楽がなくてなんとする?」ニヤッ

カロル「……」

ファルージャ「さすれば…」ポイッ

バリンッ

カロル「」ビクッ

ファルージャ「存分に語らおうではないか、心いくまで?」クスッ

カロル「っ…」ゴクッ
864: 名無しさん@読者の声:2016/11/16(水) 22:56:06 ID:2f74OR/8Q6
保守
865: 長引かせてすみません!m(__)m ◆WEmWDvOgzo:2016/11/24(木) 22:42:15 ID:2f6ATVrpfk
ファルージャ「くちゃっ……くち……」モグモグ

ファルージャ「そなたも食すかえ?我が国原産のクリームチーズじゃぞ?」クスッ

カロル「いらない…」

ファルージャ「この部屋には妾の好物のみが取り揃えられておる。いくらでもある故つまんでも構わぬのだぞ」クスクス

カロル「いい…」

ファルージャ「フゥン……ではそろそろ話とやらを聞こうではないか。なんなりと申すがよ……」

パラパラ パラパラ

ファルージャ「ン……なにやら上が騒がしいのう。埃が舞いよるわ」

カロル「戦ってる人間たちの足音が地下に響いてるんじゃないかな…」

ファルージャ「フゥン……よう飽きもせずやるものよ」

カロル「……」

ファルージャ「なにをそう熱くなっておるのやら…これだから男というのは」

カロル「…必死にもなるよ」

ファルージャ「ハ…?」

カロル「勝たなきゃいけないって、そう信じてるんだもの」

ファルージャ「なにゆえじゃ…?」

カロル「……」

ファルージャ「ハッ…問われ押し黙るそなたになぜ彼奴らの胸の内を語れるのか」

カロル「…戦う理由があるからだよ」

ファルージャ「戦う理由…とな?」

カロル「一人一人違うからボクには分からない…。でも戦わなきゃいけない理由があるんだ」

ファルージャ「ずいぶんと大雑把じゃのう」

カロル「ファルージャさんはどうしたいの…?」

ファルージャ「ンゥ…」

カロル「理由なんてないのに戦いを続けて…ホントはなにがしたかったの?」

ファルージャ「……」
866: ◆WEmWDvOgzo:2016/11/24(木) 22:45:24 ID:Ou70Vp7aU.
ファルージャ「はて……」

カロル「」ジーッ

ファルージャ「クスス……あまり見つめるな。妾とて返答に困ろうが」

カロル「止めてあげてよ」

ファルージャ「……」

カロル「ファルージャさんが止めれば、みんながやめる理由になるんだよ」

ファルージャ「そうねぇ、どうしたものか…」クスクス

カロル「ここでじっとしてるならそうしてよ…。みんなを意味なく死なせないで」

ファルージャ「そなたは勘違いをしておる」

カロル「へ…?」

ファルージャ「いくら情熱的な戯言をほざこうと我が胸を打つことはなかろうよ」

カロル「どうして…ファルージャさんは戦わなくてもいいんでしょ?」

ファルージャ「うむ、どちらでもよい」

カロル「なら…」

ファルージャ「心底どうでもよいのじゃ」

カロル「え…?」
867: ◆WEmWDvOgzo:2016/11/24(木) 22:46:58 ID:Ou70Vp7aU.
カロル「どういうことなの…?」

ファルージャ「フフ……それはこちらの言い分よ」

カロル「……?」

ファルージャ「なぜそなたらの身勝手な振る舞いを妾に結びつけようとするのか」

カロル「みがって…?」

ファルージャ「戦うもやめるも好きにせよ。止めはせぬ」

カロル「なにを…言ってるの?」

ファルージャ「まったく押し付けがましいわ」フンッ

カロル「……」

ファルージャ「話というのはそれだけか?」

カロル「なにもしてないって言うの…?」

ファルージャ「ハァ…?」

カロル「ボクはお母さまやみんなと離れたくなかった……」

カロル「大好きな人たちが戦わなくちゃいけなかったのも悲しかった……」

カロル「それでも……ファルージャさんを信じて、ここにいるんだよ?」

ファルージャ「クスス……」

カロル「……?」ブルッ

ファルージャ「美しく高貴なる帝のそばに置かれ、感謝すらせず不平不満を漏らすとは……」

カロル「……」ブルブル

ファルージャ「それ以上の誉れを求めようというのが……つくづく浅ましいのよ」

カロル「……!」
868: ◆WEmWDvOgzo:2016/11/24(木) 22:48:50 ID:Ou70Vp7aU.
カロル「そんなのおかしいよ…!」

ファルージャ「ほう、まだ食い下がるか?」

カロル「みんながみんなファルージャさんの為にいるんじゃないんだよ…!?」

ファルージャ「なれば意識を改めるがよかろう」

カロル「……!?」

ファルージャ「広大なる西の大地に立つ全ての命は帝たる妾にひれ伏し、身命を賭して尽くそうと願うが必然」

ファルージャ「代々の皇帝もなんちゃらとかいう神話になぞらえ、民にそうさせてきた」

ファルージャ「それより他になにを望むと?」ジロッ

カロル「ファルージャさんも…その内の一人だったんでしょ?」

ファルージャ「」ピクッ

カロル「なのにどうして分からないの…?奪われて傷付けられる気持ちを……どうして繰り返そうとするの!?」

ファルージャ「…ほんにそなたはむず痒く苛立たしい物言いをしてくれるものさな」

カロル「……?」

ファルージャ「確かに妾は下賤な貧民の出よ。別にその過去を恥じてもおらぬ」

ファルージャ「じゃが……なにも知らぬホビットの童ごときに説教を受ける謂れはない」

ファルージャ「ただひたすら耳障りじゃ…」

カロル「ぼ、ボクは…」

ファルージャ「一つ良いことを教えてやろう」

カロル「へ?」

ファルージャ「貧民、隷属、物乞い、盗人、罪人、カタワ……下には下がいくらでもあるものじゃが」

ファルージャ「それら全てを踏まえても……何より劣るのがホビットという下等種であろうな?」

カロル「っ……!」
869: ◆WEmWDvOgzo:2016/11/24(木) 22:50:32 ID:2f6ATVrpfk
ファルージャ「そなたの口から出る言葉はどれも賤しい種族の妬み嫉みからくる……実に見苦しい妄言よ」

カロル「!」ドクンッ

ファルージャ「妾は貧民ではあったが人の子……ゆえに多少の強引を押してでも帝の座に収まれた」

ファルージャ「しかしホビットのそなたにはそれも叶うまい?」

カロル「……」グッ

ファルージャ「寛大な妾なればこそ、そなたの価値を買ってやったまでのこと」

ファルージャ「とはいえ所詮はホビット……あまり思い上がるな」

カロル「思い上がってなんか……」

ファルージャ「妾に意見を申し入れたくばマシな身分を持て」

ファルージャ「さすれば少しは耳を傾けてやってもよいぞ…?」ニヤァァ

カロル「…」
870: ◆WEmWDvOgzo:2016/11/24(木) 23:03:15 ID:Ou70Vp7aU.
ファルージャ「語るに落ちるとはまさにこのこと。まことに願いを聞き入れてもらいたくば、まず頭を垂れるが筋というものよ」

ファルージャ「無知なホビット風情が……無謀にも帝を説き伏せようというのがそもそもの間違いなのじゃ」

カロル「……!」グッ

ファルージャ「されど慈悲に満ち、心身共に美しき妾はなおも寛容に尽くそうぞ」ニヤッ

ファルージャ「今一度、傅くと誓うのであれば、そなたを再び我が従属に加えてやってもよい」

カロル「……」

ファルージャ「そなたはホビットに生まれた不幸を授かりながらも癒しの力という素晴らしい才を賜っておる」

ファルージャ「…妾と同様に多大な価値を持ちながら認められなかった類いなのであろうよ」

ファルージャ「しからば同じ痛みを分ける者として、そなたを救い上げてやらぬでも……」

カロル「ホビットとか価値とか……」

ファルージャ「ン……」

カロル「もう聞き飽きたよ、そういうの」

ファルージャ「聞き飽きたとは…?」

カロル「そんな話の方が全然どうでもいーよ」

ファルージャ「……妾の誘いを一蹴するか。ほとほと呆れた童よな」

カロル「ボクはもうそこで悩んでないもの」

ファルージャ「……?」
871: ◆WEmWDvOgzo:2016/11/24(木) 23:07:32 ID:2f6ATVrpfk
カロル「お父さまは人間で…お母さまはホビット。もしかしたらボクは人間に生まれることもあったかもしれないんだね」

カロル「でもボクはお母さまの血を引いてホビットに生まれてよかったって思ってる」

カロル「お母さまがいなかったらボクはボクじゃないし、ホビットじゃなかったら知れなかったこともたくさんあったもの」

カロル「だから偉くなりたいとか、そういうのは考えてないよ」

カロル「差別なんて気にしなくていいって言ってくれるともだちが…ボクにはいるから」

ファルージャ「あの小娘らのことかえ…?」

カロル「うん、そうだよ」ニコッ

ファルージャ「あの程度の者らに妾の魅力が劣ると申すか…」

カロル「ファルージャさんにはいないの?」

ファルージャ「……?」

カロル「一緒にいるだけで楽しい気分になれるともだち…」

ファルージャ「稚拙な……この美を愛し、永遠の忠誠を誓う果報者であれば大勢おるわ」

カロル「その人たちはファルージャさんの大切な人?」

ファルージャ「…はて、な」

カロル「……?」

ファルージャ「愛してやることもある。気が向けばの話じゃが?」クスッ

カロル「そう……やっぱり」

ファルージャ「やはりとは?」

カロル「お話してみてファルージャさんのこと分かった気がする。ちょびっとだけ」

ファルージャ「ふむ、なんと?」

カロル「ファルージャさんもひとりぼっちなんだね」

ファルージャ「……ハァ?」
872: ◆WEmWDvOgzo:2016/11/24(木) 23:10:48 ID:2f6ATVrpfk
ファルージャ「妾が孤独…?」

カロル「うん」

ファルージャ「そなたを靡かせぬまでも……多くの男に愛され、守られる妾がなぜ孤独と言える?」

カロル「ファルージャさんが寂しそうだから」

ファルージャ「寂しい…?フフ…どこを見て、そう思うのじゃ?」

カロル「だってファルージャさんは誰にも本心を見せてないじゃない」

ファルージャ「なんじゃと……」

カロル「そうやって割りきらないと人を信じられないの?」

ファルージャ「」イラッ

カロル「キレイだから慕われてるって思い込んで自分の気持ちを隠してる…」

ファルージャ「抜かせっ…」

カロル「……」

ファルージャ「己の才能を誇って何が悪い…。事実、妾は美のみで全てを手に入れた」

ファルージャ「帝の寵愛も皇族の冠も配下の忠誠も……全てはこの美で勝ち取ったものじゃ」

カロル「それでも満足できないんでしょ?」

ファルージャ「ッ……」ギリッ

カロル「受け入れてもらえないのが怖いから心を開けないでいるんだよね」

ファルージャ「図に乗るでない…!」

カロル「ホントは誰にも愛されてないのかもって……」

ファルージャ「煩いっ!!」

カロル「っ…」ビクッ
873: ◆WEmWDvOgzo:2016/11/24(木) 23:15:05 ID:Ou70Vp7aU.
ファルージャ「薄気味悪い眼をしおって…!」キッ

カロル「……?」

ファルージャ「お前のようなホビットが見透かしたように……不愉快極まりないわ…!」ワナワナ

カロル「…ホビット、だからだよ」キュッ

ファルージャ「……!?」

カロル「分かるんだ。ボクも……そうやって疑ってたから」

ファルージャ「……どういう意味じゃ」

カロル「…たまに不安になるの。ホビットのボクと一緒にいて迷惑じゃないかなとか…ホントは嫌われてるんじゃないかって」

カロル「そんな風に考えるのはみんなを信じてないことになるからいけないって分かってるんだけど、どうしても考えちゃうんだ…」

カロル「そのたびにツラくなる…。ともだちになってくれたみんなを裏切ってるみたいで」

ファルージャ「そなたと妾のどこが通ずるというのじゃ…?」

カロル「…自信がないところ」

ファルージャ「自信が…ない?」

カロル「ホビットだから、キレイだから…そういうのを気にして自分の気持ちを打ち明けないでいるもん…」

ファルージャ「……!?」イラッ
874: ◆WEmWDvOgzo:2016/11/24(木) 23:18:34 ID:2f6ATVrpfk
カロル「ホビットでも気にしない人はたくさんいるのに一人で勝手に悩んでた…」

カロル「だから、そうじゃないんだって気付いた時にすごく安心したんだ」

カロル「自信を持って、ともだちだと思えるようになったから…」ニコッ

ファルージャ「……」

カロル「ファルージャさんも無理しないで…ちゃんと向き合うところから始めてみたら?」

カロル「きっとキレイだけじゃないファルージャさんを好きになってくれる人、見つかるよ」

ファルージャ「戯けが…」

カロル「?」

ファルージャ「くだらぬ話で妾を籠絡せしめようと企むか。哀れな奸知よなぁ…」

カロル「…ボクはファルージャさんがどういう人間なのか知りたかっただけだよ?」

ファルージャ「そなたごときに計れる器と侮るな…」

カロル「なんで怒るの…?」

ファルージャ「そなたが無闇に愚弄するからよ…」

カロル「……」
875: ◆WEmWDvOgzo:2016/11/24(木) 23:21:10 ID:2f6ATVrpfk
ファルージャ「妾は西の大地を統べる唯一無二の女帝なり…。下賤の者に御託を並べられるなど心外でならぬわ…」

カロル「…偉さを気にしたりキレイなのを自慢するのは認められたいから?」

ファルージャ「もうよい、下がれ…。そなたとの対話は無意味に神経を逆撫でされるばかりじゃ」

カロル「自分の価値を認めてもらえなかったのが苦しかったの…?」

ファルージャ「下がれと……言うておろうが!?」ガッ ブンッ

カロル「っ!?」ピッ

バリンッ

ファルージャ「二度はない…。下がれ!!」カッ

カロル「……」ツツー

ファルージャ「十分であろう…!これほどまでの恥辱を与えたのじゃ……」フーッフーッ

カロル「言ったでしょ。ボクはファルージャさんを知りたいだけで傷付けたい訳じゃないよ」

ファルージャ「黙れ下等種がっ!?」キッ

カロル「…どうしてそこまで自分を否定するの?」

ファルージャ「いつ己を否定した!?妾こそ美しく……」

カロル「ボクの言葉を否定するのはホントの自分を知りたくないからでしょう?」

ファルージャ「消え失せろっ!!二度と顔を見せるな!!」

カロル「イヤだ」

ファルージャ「!?」

カロル「ファルージャさんがホントの気持ちを教えてくれるまで、ここにいるよ」

ファルージャ「クッ……」
876: 投下終了 ◆WEmWDvOgzo:2016/11/24(木) 23:24:48 ID:Ou70Vp7aU.
ファルージャ「なぜじゃ!そなたの目的は戦争の終結であろうが!なにゆえ妾に執着する!?」

カロル「きちんと終わらせたいからだよ」

ファルージャ「……!?」

カロル「無理やり参ったって言わせても納得しない人間たちがたくさんいるはずだもの」

カロル「ファルージャさんが自分で止めようとしなくちゃ意味がないんだ」

ファルージャ「…そなたに妾の意思を決定付ける力があるとでも?」

カロル「そんなのないよ」

ファルージャ「なれば……」

カロル「だからファルージャさんの気持ちをもっと分かりたいの。知らないままじゃ説得なんて出来っこないもんね?」ニコッ

ファルージャ「忌々しい…!」

カンカンカンッ

カロル「え…?」クルッ

宣教師「はぁっカロルくん!すぐに来てください!」アセアセ

カロル「宣教師さま…どうしたの?」

宣教師「ヒメくんと!団長さんが…!」

カロル「!」ピクッ

ファルージャ「……!?」
877: ◆WEmWDvOgzo:2016/11/25(金) 22:17:23 ID:n4xBg0Pe5M
―――地下迷宮(通路)―――

ラム「む、無理しないで座りなよ!すごい血だ…!」アセアセ

団長「うぐぅ…わ、ワシはいい!ヒメ様を……」ゼェゼェ

カンカンカンッ

宣教師「つ、連れてきました!」タタタッ

カロル「二人とも平気!?」タタタッ

団長「おぉ…!ヒメ様だ!ヒメ様を頼む!」スッ

ヒメ「」グッタリ

ラム「うわっ!な、なにされたの…!?」ゾォッ

宣教師「か、顔中に石粒が刺さって……鼻も歪んだ形に…!?」

カロル「ま、任せて!」ピトッ

団長「ふぅ……たすか」ズンッ

ラム「え?」

団長「〜〜〜!?」ガクッ

宣教師「団長さん!?」

カロル「ど、どうし……」ハッ

カツンカツン

「おやおや、そんなところにいたのかい」ザッ

宣教師「あ……!」
878: ◆WEmWDvOgzo:2016/11/25(金) 22:19:27 ID:AAS5HN/OAk
魔導師「困るなぁ。そこにいられたら……」

カロル「パカラーロさん!?」

魔導師「女王が安らげないだろう…?」ギラッ

カロル「……!」

ラム「あいつ、また…!」ギリッ

団長「ご……ぅはぁっ!!」ゴボッ

宣教師「だ、大丈夫ですか!?」ガシッ

魔導師「そうそう、それは象にも効く即効性の毒矢だよ。ま、ありがちなね」クルクルッ

ラム「(吹き矢…!あれで背中を打ったのか!)」

団長「お、のれぇ…!?」ググッ

魔導師「へぇ、立てるんだねぇ」

団長「悪あがきをしおって…捻り潰してくれるわ…!」ヨロッ

カロル「う、動いたらダメだよ!癒すから……」

団長「構わんでいい…!陛下の傷を癒して差し上げろ!」フラッ

カロル「で、でも…!」

団長「奴の標的は陛下とお前だっ!!ワシが食い止める間に陛下を癒し、安全を確保しろ!!」

カロル「っ……」ゴクリ
879: ◆WEmWDvOgzo:2016/11/25(金) 22:22:21 ID:n4xBg0Pe5M
魔導師「悪いけどキミらの安全なんて保証してやらないよ」クイッ

フィクサー「」ズシッ

団長「なっ…!?」

宣教師「あ、あの人は総指揮の…!」

魔導師「んふふ、こいつはちょっと頼もしいよ…?」

フィクサー「グギギギ…!!!」ビキビキィッ

団長「バカな!奴は確かにこの手で…!?」

宣教師「全身の血管が浮いて焦点も定まっていません…!なにかされたのでは……」

団長「なんだとぉ…!?」

魔導師「ご名答……ドーピングってやつさ」カラカラッ

ラム「ほら!だからあんなヤツほっとけって言ったじゃないか!」

カロル「あ…う……」シュン

魔導師「女王に逆らう不逞の輩は全員ここでおしまいさね」ニヤッ
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sage:


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