2chまとめサイトモバイル

2chまとめサイトモバイル 掲示板
カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編その2】
[8] -25 -50 

1: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:00:58 ID:/WYEXwH6vk
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10

1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10

2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10

3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)

あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)

>>2から本編になります!


680: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:01:36 ID:cv36kIUfMA
団長「ずりゃあっ!!」ブォンッ

王国兵44「んがばっ!!」ドシャッ

護衛2「う……ぐはっ」バタッ

王国兵47「ざ、ざまぁねぇな!」ハァッハァッ

王国兵48「怯むなぁ!!勝つのは俺たちだぁ!!」バッ

オォォォオオオオオ!!!

護衛3「くそっ…!裏切り者の逆賊共がぁあああ!!」ダッ

ワァーワァーギャーギャー!!

団長「ちぃっ…!予想外に城内の守備が堅いな…!」ギリッ

賊徒2「ぶっ!!」ベシャッ

団長「む…?」ジロッ

ドドドドドッ

賊徒3「やべぇ…!別経路からも来やがった!挟み撃ちにする気だ…!?」

王国兵48「俺たちの勝ちだな!?」ザッ

団長「くっ…おのれぇ…!!」ワナワナ

「お待ちなさい!!」バッ
681: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:04:30 ID:cv36kIUfMA
団長「お、おい!何をやっとる!下がれ!?」アセアセ

王国兵48「女…?」

宣教師「…!」キッ

団長「……!?」

宣教師「皆、争いを止めて聞きなさい!!私は教団の司祭です!!」カッ

ザワッ

王国兵48「し、司祭…だと」ボーゼン

宣教師「更なる争いを生むと分かっていながら、なぜそうまでして戦うのですか!?」

宣教師「あなた方が守ろうとしている物はなんですか!?」

宣教師「ここにある大勢の命を散らしてまで得るべき物とは…なんなんですかっ!!!」

王国兵's「っ…」タジッ

宣教師「答えなさい!!それさえも考えないまま闇雲に戦うなど愚か者のする事です!!」

王国兵48「か、構うなぁ!!続けるぞ!?」

王国兵's「」ジャキッ

護衛's「くっ!」ジャキッ

団長「もうよかろう!ワシらの背に隠れておけ!」

宣教師「っ…ならば私を殺しなさい!!」

王国兵48「は…!?」
682: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:06:17 ID:cv36kIUfMA
宣教師「さぁ!?」ザッ

団長「いい加減にせんか!」ガシッ

宣教師「離してください!」バッ

団長「なっ…?」

宣教師「どうしたのですか?私を殺して争いを続けてみせなさい!?」


王国兵47「な、なに言ってんだ、あの女は…?」

王国兵49「し、司祭様って本当なのか?」

王国兵50「小汚ない格好をしているが…あの金髪はまさしくそうだ!」

王国兵51「だ、だとしたら、なんでここにいる!?」

王国兵50「わ、分からん!だがあれは司祭様だ!俺も何度か城下の催しで見た事があるから間違いない!」

王国兵48「……掛かるぞ!!」

王国兵's「!!?」ピクッ

王国兵48「あいつが誰であろうと関係ない!!俺たちは負けられないんだ!?」

王国兵's「」オロオロ

王国兵48「行くぞぉ!!」ザッ
683: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:08:31 ID:cv36kIUfMA
宣教師「……」ジーッ

王国兵48「……!どけっ!?本当に殺すぞ!?」ジャキッ

宣教師「やれるものなら、どうぞ!私は一歩も退きませんから!」ズイッ

王国兵48「ぐ…うぅっ!女の分際で出しゃばるな!!おとなしくしていれば生かしてやっても……」

宣教師「黙りなさい!!」

王国兵48「う……」ビリビリ

宣教師「殺すのか殺さないのか、はっきりしなさい」

王国兵48「な…ん、だとぉ…!?」ビキッビキッ

宣教師「この戦いを正しいと信じる、あなた方の覚悟に問いかけています」

王国兵48「……!?」

宣教師「あなたが正しいのなら、あなたに背く私は間違いを信じている事になる。間違っている者を裁く事にためらいなどいらないでしょう?」

王国兵48「そ、そんな単純な理屈じゃねぇんだ!もうどうにもならないんだよ!?」

宣教師「どうにもならない事など一つとしてありませんよ」

王国兵48「うるせぇ!?今さら遅いんだ!!」

宣教師「そうやって諦めて流されるから同じ事が繰り返されるのではないのですか!?」

王国兵48「じゃあどうすりゃいい!?信じた物がことごとく灰になるような虚しさを味わってもまだ…何かを信じなきゃならないのか!?」

王国兵48「俺たちは国王を信じてた!だが国王は俺たちをチェスの駒のように戦場に送り出して…その背景にあったのはホビットの取り合いだったと言うじゃないか!?」

宣教師「……」

王国兵48「救い主だかなんだか知らないが…民をないがしろにしてまで庇ってきたのがホビットだと!?バカにするのも大概にしろ!!」
684: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:12:33 ID:CoIvnYpYEw
宣教師「それはこっちのセリフです」

王国兵48「なに!?」

宣教師「民をないがしろにしてまで…?ホビットは民ではないと言うのですか?」

王国兵48「そ、それは…!」

宣教師「そこから抜け出せていないのであれば信じる物を見失ったとしてもおかしくはありませんね」

王国兵48「…そうさ。本当のところは誰もホビットなんか認めちゃいない」

宣教師「それはなぜ…?」

王国兵48「ホビットとの和平なんざ国が決めたことだ。俺たちがそう望んだんじゃない!」

宣教師「……」

王国兵48「俺たちの暮らしが豊かになっていくなら、まだしも…あんな奴らがいたとこで食い扶持が増えて民はますます凌ぎを削り合うだけだ!」

王国兵48「大陸総支配にしてもそうだ!牽制しながら水面下で奪い合う、この世界には必要で…いずれやらなきゃならない事なんだ!」

王国兵48「どんな形にしろ平和を目指して戦う以上、意義はある!お前たちこそ我々の邪魔をするな!?」

宣教師「今ある平和を壊して新たな平和を望むと?」

王国兵48「そうだとも…!これが最後の忠告だ!どけぇっ!!」

宣教師「……」

王国兵48「……!」
685: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:21:05 ID:cv36kIUfMA
宣教師「創造と破壊は表裏一体…確かにそれも一種のサダメなのかもしれませんね」

王国兵48「やっと分かったか…」

宣教師「ですが…その悪循環こそが進歩を妨げる最大の要因」ジッ

王国兵48「…まだ馬鹿げたことを」

宣教師「積み木遊びをしたことはありますか?」

王国兵48「ガキの頃にやったきりだが…それがどうした?」

宣教師「いくつもの型からなる積み木細工をより高く精巧に積み上げる満足感はたまらなく誇らしいものですよね」

王国兵48「なんの話だ…?」イラァッ

宣教師「裏腹に…丹念に組み上げた積み木を自らの手でバラバラに崩す瞬間もまた恐ろしい充足感を得られます」

王国兵48「……?」

宣教師「私達は生み出す喜びと破滅への憧れを同時に秘めた種族…それゆえに何度、平和を掴もうとも長続きする事がない」

王国兵48「哲学…ってやつか。俺には当たり前のことを難しく話してるようにしか見えんね」

宣教師「…私達、人間とホビットの違いはそこにあります」

王国兵48「は?」

宣教師「変化を望む人間と変化を拒むホビット。どちらも正しく、どちらも間違っている」

王国兵48「…あんた、さっきから何言ってんだ?」

宣教師「この両極端な属性がすんなり交わるとは思えません。
それでも『出来ないからやらない』では済ませられないのです」

王国兵48「……」
686: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:22:37 ID:cv36kIUfMA
宣教師「つまるところ、あなた方のしている事は単なる責任放棄です。
大陸総支配などど浮わついた理想を口にしても…その先の破滅は目に見えてます!」

王国兵48「あぁ!?」

宣教師「国の文句を言う前に自分たちが変わりなさい!ヒメく…国王は何度もその挫折を乗り越えてあなた方を含めた全国民を守ろうとしていたんですよ!!」

王国兵48「…あーそうか。よーく分かったよ」

宣教師「……」

王国兵48「実のところ…浅はかだったのは否めない」ジリッ

団長「……!」ジロッ

王国兵48「女を斬るのに気が引けて説得を試みたが…そういうことじゃないんだよな」グッ

宣教師「……」

王国兵48「いずれにしたって分かり合えないモン同士……何を語っても虚しいだけだぁ!!」バッ

団長「さ、させるかぁぁ!!」ダッ

ズバッ プシャアアアアアア
687: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:24:23 ID:cv36kIUfMA
宣教師「……!?」

王国兵48「うっ…が…!」バタッ

王国兵50「すまん…」ブシュッ

宣教師「な、なぜ…?」

王国兵50「…いくら俺たちが庶民と言ったってあんたの事ぐらいは知ってる」

宣教師「……?」

王国兵50「俺の妻が病に掛かって寝込んだ時に娘が教会に助けを求めようと駆け込んだ事がある」

宣教師「……」

王国兵50「そん時にたまたま来ていたあんたが立場を顧みず妻を手厚く治療してくれたと娘が喜んで話してた」

宣教師「あの時の母子の…」

王国兵50「軍の宿舎に閉じ籠る俺たち兵士はなかなか家族の元に帰ってやれない。
だからなんだが…無償で何かと援助してくれる教団にはかなり助けられてる」

王国兵51「俺んとこもだ…。ヨボヨボのお袋を故郷に残して出ていっちまったから不安だったが…。
教団に相談したら僅かな寄付金と引き換えに世話役を付けてもらえた。おかげでお袋は今も元気だ」

王国兵52「…大恩ある司祭様を手に掛けるなんて、とてもじゃないが出来ない」

王国兵53「俺も…そこまで落ちぶれたくはないな」

宣教師「皆さん…」

王国兵48「げぐぐ…ぞぉっ……じにたぐ…ない…じにたぐ…ないぃ……」ズリッズリッ

宣教師「」ズキンッ

王国兵48「な…にが…し、さいだ…ひとご、ろし……ぐふっ」フッ

宣教師「………」ギュッ
688: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:26:32 ID:cv36kIUfMA
王国兵's「……」

宣教師「で、では…もう」

副官「なにをやってるんだ!?」

宣教師「」ビクッ

団長「や、奴は…貧民街で出くわした!?」

副官「いつまでも捜索を再開しないと思って来てみれば…戦いもせずにノロノロと!?」

宣教師「もう彼らは戦いませんよ!」

副官「なに!?」

宣教師「そうですよね!皆さ……」

王国兵50「オドアイル副官!!」

副官「……?」

王国兵50「これにおわすのは教団の司祭様にござる!」

副官「…だからどうした?」

王国兵50「どうか司祭様の命だけは保証してくださらぬか!?」

宣教師「え?」

副官「血迷ったか?情にほだされたか知らんが私情を持ち込むな、アホ共が!?」

王国兵's「……」

副官「そんな女…わざわざ生かしてやる価値などあるものか!
つべこべ言わずにさっさとそいつらを殲滅してヒメの行方を追うんだよ!!分かったか!?」

王国兵's「」ジロッ

副官「うっ…なんだ、その反抗的な態度は?」タジッ

王国兵50「副官殿!今一度お尋ね申す!!」ザッ

副官「き、貴様ら…兵の分際で…!」ギリッ

王国兵50「これなる要望はここに集いし全兵の総意にござる!!今一度ご検討願いたい!!」

副官「(うんぬぅぅぅ…!!ひ、非常に腹立たしいが…ここで統制力を弱める愚は避けたい…!)」ワナワナ
689: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:28:54 ID:cv36kIUfMA
副官「や、や、いいだろう?確かに彼女は失うには惜しい存在だ?副官の権限において保護を許可する!」ヒクッヒクッ

王国兵50「ありがたく!!」ザッ

宣教師「あ、あの…それって…?」オロオロ

王国兵50「これで心置きなく戦えますな」

宣教師「え?たたか……」

団長「ぬんっ!!」ザウッ

王国兵50「ぐばぶっ!!」ガシュッ

宣教師「団長さん!なにを!?」アセアセ

団長「下がっていろ!!」ブォンッ

王国兵51「げぉっ!!」ズガッ

宣教師「な、なんで…どうしたんですか!?もう…戦わなくたっていいじゃないですか!?」ウルッ

団長「無駄だ!!」

宣教師「」ピタッ

団長「訴えかけて止められるのなら陛下もそうしていた!!」

宣教師「……!?」

団長「たとえここで改心したとして…反逆に荷担した兵は皆、極刑は免れん!!」

宣教師「そ、そんな…」

団長「これだけの事態を招いた罪人が裁かれなければ司法は機能しなくなる!!
咎のない空間でまともにいられる者などおらん!誰もが簡単に許されていい国など存在しないのだ!!」

宣教師「……!」

団長「たとえ陛下が許されたとしても…こいつらを許せない者たちが新たな反乱分子となって膨れ上がるだろう。
自らが犯した罪の意識と他者に向けられる憎悪を背負って生きる道など選べる筈もない!」

宣教師「それは…そうかも、しれませんけど」
690: 投下終了 ◆WEmWDvOgzo:2016/4/17(日) 22:31:40 ID:CoIvnYpYEw
団長「切り伏せろぉぉ!!」ダッ

護衛's&賊徒's「りゃあああああ!!!」ダダダッ

副官「たかだか200にも満たない少数部隊だ!蹂躙してしまえ!!」

王国兵's「ぜぁぁああああ!!」ダダダッ

ガガンッ ギキンッ ズバッ ザシュッ ドバッ

宣教師「(許し合えないなら…この争いの果てに何が残ると言うのだろう?)」ツツー

宣教師「(私達は…どこを目指して戦っているの…?)」ポロッ

宣教師「」グシッ

宣教師「(…かつてアピシナもここで挫けてしまった。痛いほど…分かる)」

宣教師「(でも私は諦めない…諦めてたまるもんですか!)」キッ

宣教師「(せめて…この争いを目に焼き付けましょう…。いずれまた起きるであろう時に備えて…!)」ジーッ

宣教師「(この世界から争いをなくす為にも…私が真実を伝える宣教師となるっ…!)」ポロポロ
691: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/20(水) 21:39:25 ID:KyQ3C7cIb6
―――帝都(駐屯所)―――

ドゴォッ

クンバヤ「いっでぇ!」ズサァァァ

大佐「雑魚が!口ほどにもないわ!?」ニヤリ

クンバヤ「オッサン強いねぇ〜。びっくらこいたよ」ムクリ

大佐「今さらだな…」ジリッ

クンバヤ「…こりゃ確かに素人の俺じゃ勝負にならないわ」パッパッ

大佐「悟ったところで命乞いは聞かんぞっ!!」バウンッ

クンバヤ「うおっ!!」ゴロンッ

大佐「ちぃっ!往生際が…わるっ……!?」ガクッ

クンバヤ「ククッ!」ニヤリ

大佐「な、なんだ…!目が…霞んで…身体が支え…きれん!?」ブルブル

クンバヤ「効いてきたみたいだな?」ニヤニヤ

大佐「貴様の…仕業かぁ!?」プルプル

クンバヤ「真っ向勝負じゃやられることは分かってた。だから…仲間を通じて軍の中枢が集う駐屯所の飲み水に毒を混ぜといたんだよ」

大佐「ひ、ひきょ…ものめぇぇぇ!!!」グワッ

クンバヤ「なけなしの材料で作ったお手製の毒なんで効くまで時間が掛かったが…新参に腕のいい薬師がいてね。威力は抜群だとよ?」ニヤニヤ
692: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/20(水) 21:40:14 ID:ZIBx4oG0hk
大佐「あっぐ…つぅぅ!!」バタッ

クンバヤ「わりーな。俺らはお高く止まった軍人様じゃねぇんだ?」

クンバヤ「カビや泥のこびりついた生の芋をきたねぇ手でひっ掴んで必死に頬張って生き抜いてきたドブネズミにゃ……」グッ

大佐「……!?」ブルッ

クンバヤ「誇りなんて安い感情は持ち合わせちゃいねーんだよ…っと!!」ブンッ

ザクッ

大佐「がふぅっ…!!」ブバッ

クンバヤ「…西の野蛮人をナメんじゃねーや!ぺっ!」ズボッ

ドサァァッ

クンバヤ「いよいしょっと…いい装備してんじゃねぇか。やっば上級職は違うねぇ」ムンズッ

賊徒's「しゃあっ!!こっちもあらかた終わったぜぇ!?」

クンバヤ「おうテメェらぁ!!奪うモン奪ったら一気に城攻めだぁ!!気合い入れろよぉぉ!!?」

オォォォオオォォォオオオオオ!!!!!
693: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/20(水) 21:42:09 ID:ZIBx4oG0hk
―――後宮(回廊)―――

ガンッ キンッ ギャリィィンッ

ヒメ「せやっ!!」ビュンッ

フィクサー「ぬっ!」ガィンッ

ヒメ「ハァァッ!!」ビュバッ

フィクサー「」サッ

ヒメ「なぜ仕掛けてこない!?」シュタッ

フィクサー「…その必要はない、とでも申しましょうか」

ヒメ「なんだと…!?」

フィクサー「付け加えるなら、その首にはまだ幾らかの価値がある?切り落としてしまうのは実に惜しい?」ニヤリ

ヒメ「ナメるなと…言うんだぁ!?」ブンッ

フィクサー「ふんっ……」ザウッ ビュバッ

ガッキィィィン

剣「」カランカラン

ヒメ「……!?」ビリビリ

フィクサー「」シャッ

ヒメ「わっ!?」ゴロッ

フィクサー「そちらこそ…見くびるなよ、小僧が?」ピタッ

ヒメ「うっ…!」ゾクッ

フィクサー「お遊戯に付き合ってやるのもここまでだ?」ツンッツンッ

ヒメ「こ、この…!」ギリッ
694: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/20(水) 21:43:50 ID:KyQ3C7cIb6
フィクサー「ふっ…カカドゥーラを討ち取った事で慢心なされたか?」ニヤリ

ヒメ「殺すなら殺せっ!?」ブルブル

フィクサー「上擦った震え声で言われても説得力に欠けるがな…?」ニヤニヤ

ヒメ「だま…れ!」キッ

フィクサー「素直にわたしの傀儡となれ。さすれば栄えある未来を約束しよう」

ヒメ「おまえになんか従うものか…!」

フィクサー「強情な…?これだから王族というのは…?」

ヒメ「……!」

フィクサー「自尊心ばかり拗らせた救いようのない阿呆だ…」フンッ

ヒメ「悪かったな…!不器用な生き方しか出来なくて…!?」

フィクサー「なればこそ治世も立ち行きならず、政も遅らせ、ひいては国家形成に支障をきたす…。百害あって一理なしとはまさにこの事?」

ヒメ「逆賊に蔑まれる謂れはない…!」

フィクサー「…逆賊、か?大いに結構?」

ヒメ「はぁ…!?」

フィクサー「歴史は常に勝者の栄華に彩られるものだ。アーディス・フィクサーの名は逆賊に始まり、果ては英雄へと昇華する?」

ヒメ「まだおまえが勝つと決まった訳じゃないぞ!」

フィクサー「生まれてこの方、勝負事に負けた経験はない」

ヒメ「大した自信だな…」

フィクサー「わたしの二つ名は預言者……すべてのあらましはこの目に見据えている」

ヒメ「……」

フィクサー「ふっ…殺しはしない。ただ…ほんの少し痛いだけだ?」グッ

ヒメ「っ…!」キュッ

「なにをしておる?」

フィクサー「」ピタッ

ヒメ「……!?」
695: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/20(水) 21:46:56 ID:ZIBx4oG0hk
フィクサー「…寝室で休まれていたのでは?」

ヒメ「え?」チラッ

ファルージャ「妾の宮にてかような振る舞い……無礼と心得よ?」ヒタヒタ

フィクサー「…申し訳ございません」ペコッ

ヒメ「」ボーッ

ファルージャ「それなる童は?」

フィクサー「我らが国王陛下にござる」

ファルージャ「ほう?そなたが王国の…」ジッ

ヒメ「」ハッ

ファルージャ「クスス…なかなか良い面構えではないか」クスッ

ヒメ「(な、なんだ…この感覚は?まるで時間が止まってたような……)」ボーッ

ファルージャ「妾こそ西の国を統べる唯一無二の帝なり?」スッ

ヒメ「え…?」キョトン

ファルージャ「そうら…妾の手を握ってごらんな?」クスクス

ヒメ「っ……」ゴクリ

ファルージャ「ン?」

ヒメ「し、つれい……」パシッ

ファルージャ「よきにはからえ?」ギュッ

ヒメ「!!!」ドキンッ

ファルージャ「フフ…指を絡めてみせただけでその有り様……耳まで真っ赤じゃぞ?」ツンッ

ヒメ「ひっ!?」バッ

ファルージャ「ン…もうよいのかえ?妾の手に触れられる機会などそうそう無いと言うに?」パッ

ヒメ「(な、んなんだ…知らない…こんなの……)」ゾクゾク

ファルージャ「」ニヤニヤ
696: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/20(水) 21:50:21 ID:ZIBx4oG0hk
ヒメ「(無理やり体ごと吸い込まれるような危うさ…本能から支配されていく凄まじい欲求の波……)」ドキドキ

ヒメ「(魔性の通り名なんて、どうせ大袈裟に誇張されただけで先入観を持って見るから目を奪われるんだと…そう思ってた)」

ヒメ「(けどこいつから漂う何かは…そんな単純なものじゃない!)」

ヒメ「(今、まさに生死を分かつ戦いの最中で…不覚にも見惚れてしまった…!)」プルプル

ヒメ「(…くそっ!惑わされるな……)」ワナワナ

西兵's「女王!!」ザザザッ

ヒメ「」ハッ

フィクサー「ふん…」

西兵108「でめぇら女王に何しやがる!?」ズイッ

ファルージャ「よいよい。コレらは客人よ」

西兵108「さ、さいでっか!」デレー

ファルージャ「付いて参れ、国王よ。ささやかながら妾が自らもてなしてやろう」

フィクサー「女王殿…」

ファルージャ「ン?」

フィクサー「ご冗談もほどほどに…?」

ファルージャ「妬いておるのかえ?」クスッ

フィクサー「何をおっしゃいますやら…わたしはただ国家間で不義があってはならぬと配慮し……」

ファルージャ「ふあぁ…しかし先ほどから城内が慌ただしゅうて眠れぬわ。はよう静まらぬものか?」チラッ

フィクサー「は…?」

ファルージャ「国王の安全は妾が責任を持って保証しよう。そなたはやかましい騒音を早急に鎮めてまいれ?」

フィクサー「」ジロッ

ヒメ「」プイッ

フィクサー「…なるほど、では致し方ありますまい…?」

ファルージャ「さ、おいでなさいな」ヒタヒタ

ヒメ「(気を引き締めないと…この女に取り込まれかねない。集中を保て…!)」グッ

スタスタ スタスタ………
697: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/20(水) 21:52:36 ID:KyQ3C7cIb6
―――後宮(地下の隠し部屋)―――

ファルージャ「ここであれば見つかる心配はない。暫し寛がれよ?」ポスッ

ヒメ「…どういうつもりだ」

ファルージャ「?」

ヒメ「なぜ敵である僕を助けた?」

ファルージャ「はて…敵とな?」

ヒメ「ぼ、僕は敵対国の王でおまえらを打倒するべく……」

ファルージャ「」ドロォォン チュピッ

ヒメ「」ドキッ

ファルージャ「ンゥ〜…甘美なる舌触り?そなたも舐めてみるか?」ペロッ

ヒメ「く、クリーム…?」ドキドキ

ファルージャ「ローヤルゼリーよ。濃厚な甘味と微かな酸味がクセになる珍味さな」チャプッ

ヒメ「…蜂蜜か」

ファルージャ「ほれ?」スッ

ヒメ「!?」ビクッ

ファルージャ「遠慮はいらぬのだぞ?」ニッ

ヒメ「た、他人の指に着いた蜜なんか舐められるか!?」プイッ

ファルージャ「ほう?口移しがよいか?」レロォォ

ヒメ「っ……ふ、ふしだらな発言は慎め!淑やかさの欠片もないな!?」

ファルージャ「クスス…」

ヒメ「も、目的を言え!僕をどうする気だ!?」

ファルージャ「さぁ…?」

ヒメ「なに…!?」

ファルージャ「面白そうなので連れてきたまでよ。暇潰しくらいにはなりそうじゃしな?」

ヒメ「な、なに言ってるんだ、おまえ…?」
698: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/20(水) 21:55:42 ID:KyQ3C7cIb6
ヒメ「事の重大さを分かってるのか…?僕とおまえは戦ってるんだぞ!?」

ファルージャ「そうなのかえ?」

ヒメ「城内の騒動に気付いてたんだろ!分からないとは言わせないぞ!?」

ファルージャ「ハァン…?あれはそなたが?」

ヒメ「そうだよ…!おまえたちを止める最後の手段だ!」

ファルージャ「もうそなたの国に興味はないぞ?欲しい物は手に入れたでな」

ヒメ「だ、騙されるか!フィクサーと組んで軍拡を……」

ファルージャ「アレが勝手にやっていることよ。妾は関わっておらぬ?」

ヒメ「だ、だとしても奴に協力してるなら同じ事だ!」

ファルージャ「協力…?」ジッ

ヒメ「な、なんだよ…?」タジッ

ファルージャ「よしておくれな?なぜ妾から手を差し伸べてやらねばならぬのか?」

ヒメ「は…?」

ファルージャ「フゥ〜…」スラリ

ヒメ「(し、仕草がいちいち目に付くな)」ドキッ

ファルージャ「あやつが妾を欲し、妾はそれに応えてやった…。それだけよ」シラー

ヒメ「どういう意味だ?」

ファルージャ「世界制服でも大陸総支配でもどうでもよいが妾に尽くそうというのなら殊勝なこと。拒む理由はあるまい?」

ヒメ「…その為に他の国々がどうなるのか考えないのか」

ファルージャ「なぜそのような考えに至る?」

ヒメ「……」

ファルージャ「己に利あらば、それでよかろうな。見知らぬ誰ぞの為に頭を悩ませるような無駄はせぬ?」

ヒメ「……今、はっきり分かった」ボソッ

ファルージャ「……?」

ヒメ「やはりおまえは僕たちの敵だ!」キッ

ファルージャ「フフッ…さようか」サラッ
699: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/20(水) 22:00:42 ID:KyQ3C7cIb6
ヒメ「カロルとラムはどこにやった?」ジロッ

ファルージャ「はて…聞かぬ名じゃな」

ヒメ「シラを切っても無駄だ!おまえが拐ったことは分かってる!」

ファルージャ「あ〜…アレらか」

ヒメ「二人をどうする気だ!?」

ファルージャ「それを聞いてなんとする?」

ヒメ「あいつらを取り戻して王国に帰る!」

ファルージャ「」ニタァァァ

ヒメ「」ビクッ

ファルージャ「そうまで望むのなら会わせてやってもよいぞ?」

ヒメ「ホントか…!?」

ファルージャ「そろそろ…あやつも限界であろうさ」ニヤニヤ

ヒメ「……?」

ファルージャ「クスス!さ、参ろうぞ?」スクッ

ヒメ「あ、あぁ……」スクッ
973.18 KBytes

名前:
sage:


[1] 1- [2] [3]最10

[4]最25 [5]最50 [6]最75

[*]前20 [0]戻る [#]次20

うpろだ
スレ機能】【顔文字