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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編その2】
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1: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:00:58 ID:/WYEXwH6vk
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10

1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10

2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10

3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)

あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)

>>2から本編になります!


660: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:15:27 ID:ZdCmVadIqU
―――宮殿(客室)―――

副官「ヒメが逃げ出したぁ!?」

王国兵34「は、はい!様子見に部屋を覗いたところ窓が開け放たれておりました!」

王国兵35「隣のベランダに飛び移るか、なんらかの方法で庭園に降りたものと思われます!」

副官「室内はよく見たのか!?」

王国兵34「は…そ、それは…その……」マゴマゴ

王国兵35「なにぶん…急な出来事だったもので…!」アセアセ

副官「このっ…バカ共が!?」シュバッ

王国兵34「ぐえっ!?」ズバッ

王国兵35「ひぃっ!?」ビクッ

副官「はぁっはぁっ…」フーッフーッ

王国兵35「も、申し訳ございません!どうか命ばかりは!」ガバッ

副官「やかましい!?」ブンッ

王国兵35「ぐふっ!?」ズンッ

副官「こんな幼稚な小細工に引っ掛かったなど絶対に報告出来ん…!
ただでさえ死人扱いされ、軍の直属部隊から外されかけてるんだ…!」ブツブツ

副官「おのれぇ…二度もおめおめと失態を演じてたまるか!今度こそ殺されてしまう…!」ギリッ

副官「…総指揮への報告は止めておくか。なんとしてもヒメを取り押さえねば…!」ワナワナ
661: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:16:45 ID:LdYq8qibu2
―――帝都(外壁前)―――

クンバヤ「さぁて…一世一代の大勝負ときた。ウズウズするなぁ!」ワクワク

団長「作戦は確実なんだろうな!?」

クンバヤ「あぁ?何度も言わせんなよ。大丈夫だって?それよりも……」チラッ

宣教師「なにか?」キョトン

クンバヤ「女が付いてこれるような戦いじゃねぇぞ?クーペと一緒に留守番してな?」

宣教師「イヤです」キッパリ

クンバヤ「……」

賊徒1「まぁまぁいいじゃねぇか!女がいた方が華やかでよ?」ヘラヘラ

賊徒2「俺、頑張っちゃうからねぇ〜?宣教師ちゃーん!」スッ

宣教師「触らないでください」ペシッ

賊徒2「って〜!たく!釣れねぇんだから?」ヒリヒリ

宣教師「あなた達…この数日間で何回、夜這いをかけてきたと思ってるんです!?
いい加減にしないと、また団長さんに懲らしめてもらいますよ!?」

団長「ふむ…か弱き女を手籠めにしようとは男の風上にもおけん」コキッコキッ

賊徒's「」ブルルッ

クンバヤ「けっ!お高く止まった王国人は貞操観念もかてーんだな?」

宣教師「国民性に関わらず嫌がる相手を強引に組み敷いていい道理などありませんよ!」

クンバヤ「ま、冗談はさておき……開くぜ」ビッ

ガララララッ

宣教師「」ハッ

団長「む…!」ジッ

護衛's「おぉ…!」ドキドキ

賊徒's「ぐしし!」ヘラヘラ
662: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:18:05 ID:LdYq8qibu2
レジスタンス11「よく来たな。イアマンの同志達よ!」スッ

クンバヤ「おうともよ!よくやってくれたな!」ゴツン

レジスタンス11「あぁ、危なかったぜ。検閲を受けさせられた時は心臓がバクバクしたが丸腰で来て正解だった!」ゴツン

団長「? なぜ拳を叩き合わせるのだ?」

クンバヤ「これが俺達の流儀でな。挨拶は拳で交わすのさ」

レジスタンス11「あ?こいつらは?」ジロッ

クンバヤ「ちょいと予定が変わってな。ま、仲間だから心配すんな」

団長「よろしく頼む」スッ

レジスタンス11「……」

団長「む?」

クンバヤ「ハハハ……いきなり異国人が現れちゃ緊張もすらぁ?ここは一つ俺の顔を立ててくれよ?」ポンッ

レジスタンス11「信用できんのか…?」ジロジロ

クンバヤ「できなきゃ連れてこねーよ」

宣教師「……」

団長「……」

レジスタンス11「ふん…」
663: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:19:30 ID:ZdCmVadIqU
クンバヤ「で、塩梅はよ?」

レジスタンス11「見張り連中にゃ酒を振る舞うと嘯いて一服盛っといた。今頃は物見櫓でグースカ寝てるだろうぜ」

クンバヤ「集められた民衆は?」

レジスタンス11「手筈通りだ。さすがに全員分の薬は用意出来ねぇから飲み水に仕込んで眠らせといた」

クンバヤ「じゃあちょっとやそっと暴れてみたって起きやしねぇな?」

レジスタンス11「少なくとも明日の昼頃まではおねんねしてるさ」

クンバヤ「都に敷かれた戦力はどうなってる?」

レジスタンス11「あぁ、それは……」ペラペラ

クンバヤ「ふんふん、まぁなんとかなんだろ」
664: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:21:27 ID:ZdCmVadIqU
宣教師「事前にお仲間を潜り込ませていたんですね?」ヒソヒソ

団長「うむ…。華燭の典を催す為に集められた群衆に混じり、帝都に忍ばせておいたそうだ」

宣教師「その方々が内側から離れの門を開けて私達を引き入れると…」

団長「そうだ。そしてここからは……二手に別れる」

宣教師「……」チラッ

護衛's「」ゴクリ

団長「そもそもこれは我々、王国の問題だ。気を引き締めてかかれ?」

護衛's「はっ…!」ググッ

団長「今夜で全てを終わらせるぞ…!」

宣教師「……!」ギュッ
665: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:22:59 ID:ZdCmVadIqU
―――宮殿(通路)―――

ダダダダダッ

「探せ探せ!草の根掻き分けてでも見つけ出せ!!」

「ヒメを捕らえたら褒美が出るぞ!」

「うらぁ!!どこだぁ!?」

「生け捕りだぁ!!間違っても殺すなよぉ!?」

「中だけじゃなく庭や広場も隈無く調べろ!!」

ワァーワァーギャーギャー

副官「ちぃっ!まだ見つからんのか?」イライラ

王国兵39「お、オドアイル様!大変です!」

副官「はぁ?なんだ、今はそれどころじゃ……」

王国兵39「て、帝都が攻め込まれております!!」

副官「な、なにぃ!?」ギョギョッ

王国兵39「い、いかがなさいましょう…?帝都に兵を送り……」

副官「ならんっ!!」ドガッ

王国兵39「ウゲェッ!?」ドタッ

副官「すぐに帝都の駐屯所へ連絡しろ!?熟練者のゲリュラ大佐ならば小蝿の奇襲ごとき物の数分で払い落とせるはずだ!!」

王国兵39「ば、ばび…!」ダラダラ

副官「くぅ〜そぉ〜……ガァァァアアアア!!!」ワシャワシャ
666: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:24:19 ID:ZdCmVadIqU
―――帝都(居住地)―――

ダダダダダッ

ワァーワァーギャーギャー!

ガキンッ ギギンッ ズガッ ギャリィィンッ

王国兵40「どはっ!?」ズブッ

賊徒's「ウヒャヒャヒャヒャ!!」ドドドッ

クンバヤ「聞いてた通りだな。指示がなけりゃからっきしだ、こんな奴ら?」ビュンッ

王国兵41「く、くそっ!貴様らどこからぶげぇっ!?」ズバッ

クンバヤ「こちとらいっぺん攻め入ってんだ。地理は頭にしっかりとあらぁ?」

王国兵42「ぬぅ…!鼠賊共めがぁ…!」ジャキッ

クンバヤ「たとえば…警備が手薄な侵入経路も伝達が遅れやすい守備領域も宮殿までの道筋も余さず把握済みさ?」ニヤリ

王国兵42「…こ、このような奇襲で浮かれるな!すぐさま騒動が宮殿にまで知れ渡り、全兵総動員で駆逐しに来るぞ!そうなれば貴様らごとき……」

賊徒1「ごちゃごちゃうるせーんだよ!?」ブンッ

王国兵42「ごはぁ!?」バキッ

クンバヤ「野郎どもっ!!俺達の国を取り戻すぞぉ!!」バッ

オォォォオオオオオ!!!
667: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:25:37 ID:ZdCmVadIqU
―――帝都(駐屯所)―――

大佐「火急を要する事態だ!総員、装備を整え、迎撃に向かえ!?」

王国兵's「おぉう!!」

王国兵?「急報!!急報!!ただちに宮殿の警備を増員せよとのお達し!」

大佐「な、なにぃ!?帝都に万を越す大軍が雪崩れ込んできたんだぞ!俺たちとて余裕はないんだ!?」

???「しからば我々にお任せあれ」

大佐「んあぁ!?なんだぁ…!?」

???「後方支援に回され、これまで燻ってきた補給班の者です」

大佐「ほ、補給班…?雑魚が進言とは大した度胸だなぁ!?」

???「このままでは我々は手柄なく戦いを終えることになります。これが最後の機会なのです…!」

大佐「雑兵にも満たない弱小戦力で何ができる?戦に関わってこなかったんだろうが?」

???「だからこそ混濁した市街戦に紛れるよりも守備隊系の整った城内に配置してもらった方が我々もやりやすい」

王国兵43「……お前、妙に詳しいな?」

???「一つでも手柄を得るべく息を潜め、虎視眈々と総指揮の戦略采配を研究してまいりましたので」

大佐「…兜を外してみろ」

???「は…?」

大佐「その訛りない饒舌さと言い、圧力を感じさせる佇まい…何より勘の鋭さが気になる?」

???「………」

大佐「俺は長年、フィクサー様の下で働いてきたが…ここまで察しよく的確な戦況把握が出来る奴は初めて見た?」

???「お褒めに預かり、光栄です」

大佐「しかも一介の民間兵が…だ?」ジロジロ

???「……」
668: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:28:40 ID:ZdCmVadIqU
大佐「囲め!」バッ

王国兵's「」ザザザッ

???「………」

大佐「貴様…何者だ?」ジロッ

???「見抜かれたか…やはり一筋縄ではいかんな。敵ながら天晴れだ!」スッ ポイッ

カランカラン

王国兵?「あっ…!?」

大佐「……!?」ハッ

団長「小細工はよそう。指揮官の首が目の前にある…成果は十分だ」スラッ

大佐「…ルフィアス!!」ギッ

団長「ほう?軍部の者がワシを見知っておったか?」

大佐「貴様は我ら軍部にとって目の上のコブだ…!」

団長「……?」

大佐「お前の成した数々の偉業が…我らを霞ませ、最大的守護者である国軍の必要性を忘れさせた!?」

大佐「6ヶ国協定などという束縛の憂き目に遭い、戦いを禁じられ、我ら軍人は税収悪化の根源だと嘲られてきたのだ!?」

大佐「許さん…!軍人を蔑ろにした国王も…我々を葬った歴史も…すべての借りは戦で返す!!」

大佐「フィクサー様は我々、軍人の夢を思い起こさせた偉大なるお方!!」

大佐「平穏など切り払い、フィクサー様と新たな時代を造り上げる!!何人たりとも邪魔はさせん!!」カッ

団長「…愚かな!独りよがりな貴様らに平和を信じる民の心は分かるまい!?」

大佐「かかれ!?」

バババババッ

団長「…ここを落とせば帝都戦は決着する!!持てる力を余さずぶつけてやれぃ!!」ジャキッ

護衛's「オォォォオオ!!!!」ジャキッ
669: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:30:45 ID:LdYq8qibu2
―――宮殿(後宮)―――

ヒメ「(さすがに女王に所有権が残された城だけあって…ウチの兵が出入りしてる様子はないな)」スタスタ

西兵108「ぐぉらぁ!!ぎさまぁ!?だぁれに断って入ってぎやがっだ!?」ノソノソ

ヒメ「!」ササッ

王国兵43「い、いや、実はこちらの不手際で後宮に侵入者を入れてしまったかもしれぬのだ。悪いが捜索を……」

西兵108「ダメだ!!ごこに入っでいいなぁ女王の許したヤツだけだ!?」

王国兵43「そ、そこをなんとか…」

西兵108「ネズミはごっちで片付ける!!失せろ!?」

王国兵43「し、しかし…」

王国兵44「お、お前ら敗戦国の分際で俺達に指図すんのか!?」

西兵108「あ゙ぁ゙!?」ギロッ

王国兵44「ひっ!?」

西兵108「勘違いずんな!!俺たちゃでめぇらに手ぇ貸じてやっだだけだ!?」

王国兵43「わ、分かった…。兵も引き下げる…だが国王を見つけたら我らに報せを……」

西兵108「じゃかあしい!?ネズミは殺す!!それだけだ!?」

王国兵43「うっ…」

西兵108「消えろっでんだぁよ!!!」ガァーッ

王国兵's「ヒィー!!!」ピュー

西兵108「けっ…クソが?」ペッ

ヒメ「(警備が強化される前に辿り着かないとな…)」
670: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:33:37 ID:LdYq8qibu2
―――女王の寝室―――

フィクサー「…華燭の典には北国と他2国の重鎮が列席される予定だ。これで正式に我々の新国家を認められるだろう」

ファルージャ「手際のよいこと?」

フィクサー「彼らもわたし達を心から祝福してくれているんだ。喜ばしいとは思わないか?」

ファルージャ「腹の探り合いは嫌いじゃ」

フィクサー「ほう?君ほどの洞察眼の持ち主が?」

ファルージャ「読めてしまうからイヤなのよ。意地汚い腹の虫が聴こえてくるようで耳障りさな」

フィクサー「なるほど…」

ファルージャ「いっそなにもかも偽りにほだされていられたら…かような幸福はあるまいにのう?」

フィクサー「偽り、か…。ふっ…わたしは君を本気で愛しているがね」

ファルージャ「それは…妾が女王でなかったとしてもかえ?」

フィクサー「……」

ファルージャ「クスス…戯れ言よ?」

フィクサー「運命の日を楽しみにしているよ」チュッ

ファルージャ「ンッ…妾も同じ気持ち?」クスッ

フィクサー「では…また明晩に」スタスタ

ファルージャ「楽しみにしておるぞ?」ニコニコ

ガチャッ バタンッ

ファルージャ「フゥ〜……つまらぬわ?」ポスッ
671: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:34:59 ID:LdYq8qibu2
―――帝都(駐屯所)―――

ズバッ ザシュッ ガキンッ ドバァッ

護衛2「ぐあっ…」ドサッ

護衛3「団長!追い詰められました!このままでは全滅します!?」キンッ

団長「諦めるなぁ!!死力を尽くして立ち向かえ!!」ブォンッ

王国兵45「ぎあ!?」ズバッ

大佐「これ以上、足止めを喰わされるな!!帝都市街の戦況を立て直す為にも速やかに始末せよ!?」

ドガガガガガガガッ

大佐「」ピクッ

王国兵46「う、うおっ!なんぶはぁっ!?」ザシュッ

クンバヤ「まぁ〜だ手こずってんのかい!?オッサン!!」ダダダッ

賊徒's「ヘヒャハハハハ!!」ドドドッ

大佐「す、すでにここまで侵攻されていたのか…!?」イラァッ

団長「くっ…遅れを取るな!!奴らより先に敵を殲滅するのだ!?」

護衛's「ははぁっ!!」ドドドッ

大佐「ぬ…ぐ…くぅ…!」ギリィッ
672: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:37:28 ID:ZdCmVadIqU
大佐「どぉあああああ!!!」バウンッ

賊徒1「ぐぎゃあ!?」バシュッ

大佐「笑止!笑止!笑止なりぃ!!軍人相手に素人の出る幕なぞないわぁ!?」ジャキッ

団長「ふん…とうとう大将のお出ましか」ジロッ

クンバヤ「はぁ〜…イビツな鎌だな?」

大佐「斧も知らぬとはふざけた輩だ…!この俺がやるまでもないが…早々に屠ってくれよう!!」ビキッビキッ

クンバヤ「ここは俺に任せなよ」ザッ

団長「む?」

クンバヤ「どうせ坊っちゃんがかき回してくれてっから増援は来ねぇし心配いらねーさ。
それよりも早いとこ助けに行ってやんねーと城内が厳しいだろ?」

団長「うむ…ヒメ様を危険にさらす訳にはいかんな。ならば頼めるか?」

クンバヤ「あんまり多くても邪魔くせーだろうから腕利きを100人ばかし貸してやらぁ?」

団長「ありがたい!では行かせてもらうぞ!」ダッ

大佐「待てぃ!ルフィアスぅぅ!?」バッ

クンバヤ「どこ見てんだ、オラァ!?」ヒュッ

大佐「っ…!?」ガァンッ

クンバヤ「雑魚に構ってられねーんだよ。脇役は脇役らしく……」

大佐「」バウンッ

クンバヤ「ぐっ……ぬお!?」ガギッ

ズサァァァ

大佐「…軍人をナメるなよ」ギロッ

クンバヤ「や、やるじゃないの…?」ヒクッヒクッ
673: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:38:48 ID:ZdCmVadIqU
―――後宮(回廊)―――

フィクサー「」スタスタ

バッ

フィクサー「ん…?」

ヒメ「伴も連れずに密会か…。婚前交渉を重ねる、ふしだらな男だったなんてガッカリだ」ジッ

フィクサー「陛下……このような場所で何をなされておられる?女王に夜這いでも掛けようと?」

ヒメ「おまえと一緒にするな」

フィクサー「…お戻りあそばせ。今なら見なかったことに……」

ヒメ「秘密を知られたのはおまえだろ?他国の女王と淫らに通じた現場を…」

フィクサー「なんのことやら……わたしはただ後宮の夜景を眺めに散歩していたまで?」

ヒメ「……」

フィクサー「お気は済みましたか?では部屋に……」

ヒメ「おまえ程の男が気付いていないのか?」

フィクサー「は…?」

ヒメ「耳を澄ましてみろ」

フィクサー「……」
674: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:41:28 ID:LdYq8qibu2
フィクサー「……なにも聴こえませぬが」

ヒメ「女に狂って自分の置かれた状況さえ読めなくなったみたいだな?」

フィクサー「? 先ほどからおっしゃられている意味が……」

ヒメ「おまえの野望を断ちに来た」スラッ

フィクサー「……気は確かか?」

ヒメ「ファルージャとの婚姻を認めさせれば…もうおまえを止める術はなくなる」ジャキッ

フィクサー「忠告しておきますが…わたしどもは貴方と敵対する立場にはござらん」

ヒメ「心に秘めているのなら同じことだろ…」

フィクサー「…様々な試練が続き、不安定に陥ってしまわれるのは察しましょう。しかし貴方は間違った結論を出されている」

ヒメ「……」

フィクサー「焦ってはなりません。逸る気持ちを抑え、先行きに目を向けませぬと?」

ヒメ「そんな時間はないぞ」

フィクサー「は?」

ヒメ「…僕もおまえも」

フィクサー「……」
675: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:43:07 ID:LdYq8qibu2
フィクサー「どうやら話を聞いてもらえそうにないようだ…」

ヒメ「抜け、フィクサー」ジリッ

フィクサー「不意討ち紛いな真似をしておきながら……あくまで正々堂々にこだわりますか?」

ヒメ「抜けぇっ!!」バッ

フィクサー「!」シュバッ

ガキィィンッ!

フィクサー「今ならば…まだ戻れますぞ…?」ギギギッ

ヒメ「最後の最後で失態を演じたな…!」ギギギッ

フィクサー「……!?」ギンッ

ヒメ「僕を……侮るなぁっ!!」ビュンッビュンッ

フィクサー「っ……」ガィンッキキンッ

ヒメ「…民を支配するのが国の在り方?笑わせるなっ!!」

フィクサー「……」イラァッ

ヒメ「僕がおまえを御せなかったように…おまえが僕を御せる道理はないっ!?」

フィクサー「……」ジャキッ

ヒメ「人の心を簡単に考えるなっ!?おまえなんかの煽動に…民の心は動かない!!」キッ

フィクサー「ふん…しばし眠っていただこうか!」グッ
676: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:44:34 ID:LdYq8qibu2
―――宮殿(通路)―――

副官「ヒメはまだ見つからないのかぁっ!?」ダンッ

王国兵43「も、申し訳ございません!鋭意捜索中です!!」

副官「鋭意だろうが一生懸命だろうが見つけ出さなきゃ意味がないんだよっ!!」ブンッ

ガシャンッ

王国兵43「うわっ!?」ビクッ

副官「…さっさとしろぉ!?」

王国兵44「あ、あの!オドアイル様!!」

副官「はぁ!?」

王国兵44「せ、正門が突破されましたぁ!!」

副官「なにぃっ!?」

王国兵44「城内に侵入してくるのも時間の問題ですよ!?」

副官「あぁわてるなあぁぁああ!!!」ジダンダ

王国兵47「(オドアイル副官が一番慌ててる…)」
677: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:46:52 ID:ZdCmVadIqU
副官「…ゲフンゲフン!!」ゴホゴホ

王国兵48「いかがされますか…」

副官「…フィクサー総指揮の影に隠れてはいるが私も超一流の指揮官ですからね。何も案ずることはない!」

王国兵48「……」

副官「戦力を2階に集結させなさい。各階段を封鎖し、徹底的に迎え撃つんだ」

王国兵48「ははっ!!」

王国兵44「そ、装備は!?」

副官「弓が確実だな…」

王国兵43「ゆ、弓は城外の武器庫に……」

副官「…くそっ!被害は増えるが白兵戦を仕掛けるしかないか。数は!?」

王国兵44「150ほどです!!」

副官「…150?なんだ、余裕じゃないか?」

王国兵48「では…」

副官「あぁ、存分にやっちゃいなさい。ひとまず捜索は打ち切る」

王国兵's「はっ!!」
678: ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:48:41 ID:LdYq8qibu2
―――宮殿2階(大階段)―――

団長「ぬりゃあっ!!」ブォンッブォンッ

王国兵's「っ〜〜!!」ドババババッ

護衛's「がぁぁあああ!!!」ドドドッ

賊徒's「ウハハハハハ!!!」ドドドッ

王国兵43「こ、こいつら…!」タジッ

王国兵44「か、数じゃ圧倒してる筈なのに…なぜ止められないんだぁ!?」ギンッ

王国兵47「先頭の奴が仕切ってるんだ…!あいつさえ殺れば…!」

王国兵48「…無理だな」ボソッ

王国兵47「あ…?」

王国兵48「気迫が違う…」

王国兵47「な、なんだと!?」
679: 投下終了 ◆WEmWDvOgzo:2016/4/13(水) 21:49:39 ID:ZdCmVadIqU
王国兵48「俺は副官と侵略を進めていた時、実際に国王と対面した」

王国兵47「ひ、ヒメがどうしたってんだ!」

王国兵48「分からないのか?このタイミングの良さ…偶然じゃない。すべては国王の差し金だろうさ!」

王国兵47「あ、あのガキが仕組んだってのか?」

王国兵48「先頭の男は国王の懐刀、ダパーシ・ルフィアス団長だ」

王国兵47「あ、あれが…王国最強の…!?」

王国兵48「…ヒメは子供だが立派な国王だ」

王国兵47「なっ…おまえ…!」

王国兵48「…だが俺たちは深く考えずに疑ってしまった。
口車に流されて…なあなあなまま良いとこに乗り換えたツケが回ったんだ」

王国兵47「……!」

王国兵48「それでもやるしかない。乗り換えた事を悔やむより、自分たちの選択は正しかったんだと証明するしかないんだ!」グッ

王国兵47「……」

王国兵48「ここで負ければ俺たちが犯した過ちの代償が…国に残した家族にまで降りかかる!!」

王国兵48「負けられないんだ!!俺たちだって…!」

王国兵47「っ…」ゴクリ

王国兵48「なあなあはもうやめだ!他人任せ?くそ食らえっ!!」

王国兵48「ヒメの言葉を借りるのは癪だが、そんな事も言ってられない!!」

王国兵48「自分たちで未来を切り開くんだ!!」

王国兵47「目が覚めたぜ…!」

王国兵48「いくぞぉぉ!!」ダッ

王国兵47「うおおおおお!!」ダッ

ガガンッ キキンッ ズカァァン ギャリンッ
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名前:
sage:


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