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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編その2】
[8] -25 -50 

1:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:00:58 ID:/WYEXwH6vk
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10

1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10

2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10

3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)

あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)

>>2から本編になります!


51:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/10(月) 02:34:50 ID:ghswXoejkk
飴細工屋「言ってごらんよ?お友達も心配してるよ?」

カロル「お祭りはみんなで楽しむもの…だよね」

飴細工屋「? あぁ、もちろんさ?」

カロル「あそこでボクが謝らなかったら、あの女の子とお父さんがお祭り楽しめなくなっちゃうかなって…」

飴細工屋「それ…本気で言ってんのかい?」

カロル「……?」

飴細工屋「(あ、呆れたお人好しだねぇ…)」ヒクヒク

ルーボイ「バカなヤツ!」ニカッ

ラム「…君って学習しないよね、ホント?」クスッ

カロル「ごめん…」ショボン

飴細工屋「…ま、いいさ。最後まで楽しんでおいきよ?」ニコッ

カロル「でも…」

飴細工屋「町の連中には後でうまく言っとくよ?祭り囃子が聴こえる内は帰るなんてもってのほかだ?」

カロル「……!」パァァ

ラム「次はどれ行こうか?」ニコッ

ルーボイ「どうせ俺、金ねーし暇潰しに付き合ってやるよ!」

カロル「うん!いっぱい遊ぼ?」ニコニコ
52:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 08:46:45 ID:rjm0FZnxdY
ポポンポポン! ポポンポポン!

ワァーワァーキャーキャー!

チャンチャカチャンチャン

ミシング「こうやって全員で踊ってると余所者なのに町の一員になれた気がしますよねー!」ランラン

母「そうですわね?皆さんも普段と打って変わってご機嫌?ホビットが交じっても気にしてないようですし?」ランラン

ミシング「ここも布教の訂正はしてあるんですけど、あんまりうまくいかないんですよねー」ランラン

母「そうなんですか…。あまりホビットは歓迎されてませんものね?」ランラン

ミシング「でもあの子たちを遊ばせておくと流れが変わるんじゃないかにゃー?」ランラン

母「? どういうことです?」

ミシング「意外とね。こういう催し事って貴重なんですよー?
普段は顔も合わせない区画の人達とか町の有力者が一同に期すから、ここで交流を深めておくと先々の暮らしにも大きく影響しちゃうんです?」

母「まぁ…?そんな大事な意味があってみんなを?」

ミシング「…みんななら町の人達の誤解を解くにはうってつけかと思って?」ニヤッ

母「お、おほほ…?い、いろいろと考えてらっしゃるんですのね?」

ミシング「そりゃそうですよ。孤児院なんて少ない人数でも維持費がバカにならないですし町の財政に大きく関わりますから領主や町人から疎まれるんですもん?」

母「……」

ミシング「自分たちの居場所を住み良くするには積極的に交流してってくのが一番!塞ぎ込んでると変な噂しか立たないですしね?」

母「あなたも宣教師様もお若いのにとても立派ですわねぇ…」

ミシング「そうですか?」

母「あたしはなるべく人目を避けよう、避けようとして他との関わりを絶ってきてましたから…それが良くなかったのかも」

ミシング「なーに言ってんですか!」ポンッ

母「は、はい?」

ミシング「誰にも頼らず頑張ってきたお母さんの方が立派ですよ!
あたしは人に頼って楽したいだけのちゃらんぽらん女ですもん?」

母「…あなたも十分、一人で頑張ってらっしゃるじゃない?」

ミシング「そうかにゃ?まぁ独り身彼氏募集中ではあるんだけども!」

母「」クスッ
53:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 08:48:50 ID:Sx9bep0/Fk
カロル「みんなで踊るのって楽しいね?」ランラン

ルーボイ「そうかぁ?なんか恥ずいけどな?」ランラン

ラム「恥ずかしがる方が浮くよ?」ランラン

ナラ「たのしまなきゃ?」ランラン

孤児1「あはははは!」ランラン

孤児2「わーい!」ランラン

カロル「ねぇ、それなぁに?」ランラン

孤児1「えへへー!勇者クライスの缶バッチ!かっこいいでしょ!」

カロル「うん!かっこいい!」

孤児2「カロル兄ちゃん!きな粉餅食べる?」

カロル「いいの?」

孤児2「いいよー!」

カロル「じゃあお返しにチョコバナナ買ってくるよ!」

孤児2「ホントに?ありがとー!」パァァ

カロル「待っててね!」タタタッ

母「すっかり仲直りしてますわね?」ランラン

ミシング「子供ってすぐ忘れちゃいますからねー。叱り付けるより時間を置いた方がいい時もあるんですよ?」

母「ふふふ…よかった?」

ランラン ランラン
54:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 08:49:50 ID:rjm0FZnxdY
―――西の国(宮殿)―――

ペロペロ ビチャビチャ

ファルージャ「クスス…皿に注がれた湯がそんなに美味かえ?」ニヤニヤ

下僕1「はっ…はっ…じょ、女王陛下の味が…します…」ズズッ

ガチャッ

将軍「こちらにおいででありましたか!」

ファルージャ「はんっ…そなたか?」ジッ

将軍「(目が合ったぁァァアアア!!!)」ドキドキドキンッ

ファルージャ「なんぞあったか?」

将軍「む?あ、足元にうつ伏せているボロキレは?」

ファルージャ「妾の愛犬じゃ」サラッ

下僕1「ふ…ぐへへ…陛下のお味……極上のスープ…!」ペロペロ

将軍「愛犬…!?」ギヌロォォォ

ファルージャ「……?あぁ、両腕が無いのが気になるかえ?」

側近2「私から説明しましょう。実はこの男、奴隷の身でありながら女王陛下の入浴時を狙って衣類を盗み…それだけに留まらず、入浴後の残り湯を密かに啜っていたのです」

ファルージャ「そうさせてしまった妾にも非はある。美を持ちすぎるのも考え物さな?」

下僕1「ふ、ふへへ…」ビチャビチャ

ファルージャ「別れた腕が恋しいか?」

下僕1「ちっとも…女王様に飼ってもらえるなんて…夢心地です…ふへへ」ニタニタ

側近2「という訳です」

将軍「……」スタスタ

ファルージャ「……?」
55:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 08:52:51 ID:Sx9bep0/Fk
将軍「ヅアアァ!!!」ヒュッ

下僕1「ぼぎゅっ!!!」ゴキィッ

将軍「フンッ!!奴隷の分際でっ!!女王の浸かった残り湯をいただくだとぉ!?」ズシッズシッ

グシャッグシャッ

将軍「ハァッ…ハァッ…陛下の残り湯は我輩が飲み干す!!」ドドンッ!

ファルージャ「…何をしておる?妾がいつ踏み潰せと命じた?」ジッ

将軍「」ハッ

ファルージャ「返り血がかかったでないか?」

将軍「あ、あ、いや…」アタフタ

ファルージャ「汚れた脚を綺麗にせよ」スラリ

将軍「た、只今拭き物を……」アセアセ

ファルージャ「馬鹿を申せ?早うせねば血が落ちなくなるであろうが?」

将軍「(うっ…ふぁ、ふぁふぁファルージャ様のおみ足が間近に……ヌホオオオオオオ)」ハァハァ

ファルージャ「舌を出せ。一滴も残さぬよう、そなたが血を舐め取るのじゃ?」

将軍「なっ……」

側近2「(ま、まずい!いくら陛下と言えど数々の武勇を誇り、列国に"西の殺戮魔"とまで言わしめたカカドゥーラ将軍に脚を舐めろなど…!?)」

将軍「な、な、な…なんという…!」ワナワナ

側近2「いけません!将軍!抑えて……」アセアセ

将軍「なんというご褒美だ!!」ヌオオオオオ!

側近2「えっ」ピタッ

ファルージャ「早うせい。いつまで妾を待たせる気じゃ?」シラー

将軍「ンッホオオオオアアアアありがたき幸せェェエエエエ!!!!」ムチュッ

ペロペロ ジュルジュル ヌチャヌチャ

ファルージャ「あんっ!これ、そうがっつくでない?」クスッ

将軍「あぁも!あぁ!ももももも!!!」ペチャペチャ

側近2「お、おぉぉ……」マジマジ
56:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 08:54:25 ID:rjm0FZnxdY
ファルージャ「…もうよい。口を離せ」

将軍「ムホ…」プハッ

ファルージャ「…」ヌラァァァ

将軍「い、いかがか?」ドキドキ

ファルージャ「痴れ者」ゲシッ

将軍「ぐはっ!…おぉぉぉイイィィィィ!!!」クンカクンカ

ファルージャ「お前の唾液がへばりついて肌が乾燥しておるわ?側近、拭く物を?」ゲシッゲシッ

側近2「こちらに」スッ

ファルージャ「…」パシッ フキフキ

将軍「よ、よろしければ、その手拭い、我輩に…!」ハァハァ

ファルージャ「己の唾液が染み付いた手拭いが欲しいとな?」パチクリ

将軍「じ、じじ女王のおみ足に触れた手拭いを使わせていただきたいと存じておりまする!!」ハァハァ

ファルージャ「…好きにせい」ポイッ

将軍「うひょおおおお!!!」パサッ

側近2「………」

ファルージャ「側近、死骸を処分なさいな」

側近2「……は、はい。おい!女王陛下のお足元を清めろ!」

西の衛兵's「ははっ!!」
57:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 08:56:09 ID:Sx9bep0/Fk
将軍「女王ん……女王のナマ足付き手拭いぃぃ…」クンカクンカ

ファルージャ「して、そなた何用で参った?」

将軍「はっ…いかぬな!忘れてはならぬ!実は……」ブルンブルン

ファルージャ「実は?」

将軍「お喜びください!!癒しの力の在処が遂に判明しましたぞ!?」

ファルージャ「ほう?それで?」シラー

将軍「そ、それで…とは?」キョトン

ファルージャ「ここに持ってきたのかえ?」

将軍「……!い、いえ!」ハッ

ファルージャ「…あれからもう1年が経ったというに」ボソッ

将軍「で、ですが…その…しかし、それは……」アワアワ

ファルージャ「そなたら三銃士はさも事無げに勇んでみせたが…一向に良い報告を持って参らぬな?」

将軍「」ガーン

ファルージャ「この忌まわしき老いを…一刻も早く捨ててしまいたい。それには永遠の命が必要じゃ?」

将軍「か、返す言葉もございませぬ…!」ブルッ

ファルージャ「…妾を愛しく想うそなたらのこと。何も心配はしておらぬが…妾とて限度という物がある?」

将軍「す、すぐに…すぐに女王陛下の御前に癒しの力を御覧に入れてみせまする!!」ブルブル

ファルージャ「そうさな。期待に応えておくれ?」

将軍「ハハァっ!!」ザッ
58:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 08:57:38 ID:rjm0FZnxdY
―――西の国(将軍の砦)―――

ドッゴォォォン!!!

パラパラ パラパラ

将校1「(いつにも増して荒れておられる…)」

将校2「(せ、石柱を薙刀の一振りで粉々に…!?)」ガクガクブルブル

将軍「貴様らぁァァ…!ノロノロとだらしのない働きをしおってぇ…!?」ビキビキィィィ

参謀「……」

将軍「たるんどるぞ!!あぁん!?」ダァァンッ!

参謀「閣下個人とされましてはどういった戦局をお望みでございましょうか?」

将軍「貴様は我輩の参謀でありながら、そんな事も分からぬのか?」ギロッ

参謀「まさか?僕は貴方様の忠実なしもべにございます。
全身に流れる血の一滴に至るまで捧げる覚悟……閣下のお心は口になさらずとも把握させていただいておりますよ?」ニコッ

将軍「ほう!?では我輩の心を読み当ててみせるがいい!?」

参謀「ご安心あれ、我らが偉大なる英傑、カカドゥーラ将軍閣下?」

将軍「んぬぅ…!?」

参謀「既に幾重にも及ぶ計を案じておりまする?」

将軍「しからば何故もたついておるか!?」ダンッ

参謀「そう焦らずとも?」

将軍「これが焦らずにいられるかぁ!?女王陛下たっての願いを聞き入れて1年以上の時が経っているのだぞ!?」ガァーッ

参謀「(またあの"妾"か…)」
59:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 08:59:43 ID:Sx9bep0/Fk
将軍「よもや我慢ならぬ!!我輩が全軍を率い、王国を叩き潰してくれるわぁ!?」

参謀「つまり敵の狙いに沿って動くと?」

将軍「!?」

参謀「これまで打ってきた布石が台無しになってしまいますが…それでもよろしいと?」

将軍「……!?」

参謀「もちろん知謀に優れた将軍閣下のことです。ただただ焦ってがむしゃらに軍を動かそうという訳ではないのでしょうが…」

将軍「と、とと、当然である!!」アセアセ

参謀「…引き続き僕にお任せいただけるのであれば必ずや手柄をお約束しましょう」

将軍「なに!?」

参謀「まず今、攻め入るのは得策とは言えません。敵もそれは感じておりましょう」

将軍「壁となる同盟は切り崩したのであろうが!?」

参謀「不信を煽り、少々の信頼を寄せただけです。段階的にはまだ初めの……」

将軍「初めだとぉ!?まだ進んでおらんのかぁ!?」

参謀「シャルウィン様がなかなか採掘場を明け渡してくださらないもので些か交渉に手間取っておりまする」

将軍「あんのオカマァァ…!?何を考えておるかぁ…!?」ギリッ

参謀「明け渡す前に採り尽くして鉱山を空にしたいのだとか?そんな時間はないとお伝えしたのですがね?」

将軍「…挙兵せよ!ぶっ殺す!!」ダンッ

参謀「まぁ捨て置きましょう。あの方には別の所で役立ってもらいますから?」

将軍「あんなオカマ商人ごときに三銃士の称号を授けること自体が間違いだったのだぁああ!!」

参謀「(あ、もう聞いてないな…)」
60:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:03:41 ID:Sx9bep0/Fk
将軍「パカラゥロにしてもそうだ!?なぜ奴のような醜い化け物が我輩に並んで三銃士と称されるか!?そうであろうが!?」

参謀「えぇ、まったくおっしゃる通り」

将軍「そもそも奴らが王国潜入時に功を奏しておれば速やかに事が運んだのだ…!恥さらし共めが…!?」ギリッ

参謀「それについてはまた追々ゆっくりと?とりあえず説明させていただいてよろしいですか?」

将軍「あぁ!?なんの説明だ!?」

参謀「ですから今は攻め時ではないと…」イラッ

将軍「貴様ァァアアア!!今、眉をしかめたなぁ!?我輩にイラついておるのか!?おぉう!?」

参謀「いえいえ、滅相も…」

将軍「言いたい事があるなら言え!?」

参謀「いい加減になさいませ」

将軍「今…なんつったぁあぁああ…!?」ビキッビキッ

参謀「女王陛下に喜んでいただきたくはないのですか!?」

将軍「」ハッ

参謀「一刻も早く閣下の手で功を成し、女王のお望みを叶えて差し上げなければ!違いますか!?」

将軍「く、口答えしおったなぁ…!?」

参謀「なぜ分かってくださらないのですか!僕は…僕は閣下に……」

将軍「?」

参謀「女王陛下と添い遂げていただきたい一心で申しているのです!」ドンッ

将軍「そ、添い遂げ…る?陛下が…我輩のよ、よよ、よ、嫁にか!?」ブルブル

参謀「はい!陛下は永遠の命を捧げた配下に一つだけ望みを叶えると明言されました!
ということは今回の作戦で閣下が手柄を挙げ、女王に求婚されますれば必ずや陛下は閣下を夫とし、毎晩毎晩飽きるまで夜を共にさせてくださるはず!!」

将軍「言葉を慎まんか、貴様ァァアアア!!」

参謀「……!も、申し訳ございません!出過ぎたマネを……」

将軍「我輩が陛下に飽きるなどありえるかぁああ!!その気になれば100年でも1000年でも抱き続けられるわぁ!!?」ゴゴゴゴゴ

参謀「(そっちですか…?)」
61:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:07:34 ID:Sx9bep0/Fk
将軍「しかし貴様の言う事も一理ある?
我輩ごときが陛下と添い遂げるなど願ったり叶ったり…。
ではなくおこがましく思うが実際、我輩以外に女王の伴侶に見合う男はおらぬゆえな?」ウヘヘヘ

参謀「…では僕の説明を聞いてくださいますか?」

将軍「ムフフ…聞いてやろう?」

参謀「(まったくこの方は与し易いと評するべきか、めんどくさい……)」

参謀「まず攻め入るにも大義がございません」

将軍「大義…?なんだそれは?」

参謀「簡潔に申しますれば理由付けにございます」

将軍「必要なかろう?」

参謀「は?」

将軍「終わりなき争いにおいては大義などなんの意味も成さんかったわ?」

参謀「…しかし戦争となるからには何かしらのきっかけがあったはずでは?」

将軍「女王の望みである…それで十分ではないか?」

参謀「……」

将軍「癒しの力があると思わしき地点は特定した!ならば迷わず侵略あるのみよ!!ヌハハハハハ!!!」

参謀「その情報はおそらく誘いですよ」

将軍「なに?」ピタッ
62:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:15:21 ID:rjm0FZnxdY
参謀「地図を開け?」

将校1「はっ!」バサッ

参謀「指し示すは王国と我が国を繋ぐ境、海に面した南西の領地、貿易はここで執り行われ、例の情報もこちらから流れてきました」

将軍「で?それがどうした?」

参謀「かくしてこちらは癒しの力を匿っているとされる王国・東の辺境地、この東の領地は山々や森林に囲まれ、更に東国との隣接地点になっておりまする」

将軍「だから…それがどうした?」ピキッ

参謀「以前に東国は我が国との貿易を断り、王国と接触を果たしておりまする」

将軍「いい加減にせぬか…!」ピキッピキッ

参謀「ここを攻め入るには東国領を通らねばなりません。
その上、馬の足には向かない山岳地帯、実戦経験を重ねた屈強な我が軍と言えども、まともに機能しません」

参謀「となりますれば東国は"領地侵犯"を大義に…王国は"不当な侵略行為"を大義にこれを迎え撃つでしょう。
そして東国が加わるということは盟が生きている証拠、助勢とまではならずとも同盟下にある他の4国は静観に徹し、戦況によっては卑しい動きを見せる国も出てくるかと」

参謀「例えば手薄な本国側を突き、鉱石財源を狙う国…はたまた両国に加勢し、権利を主張しようとする国……」

参謀「そうした危険を踏まえ、あらゆる策を講じ、練り上げ、僕の割り出した勝率は……0です!」

将軍「がぁぁ!!!」シュバッ

ピタッ

参謀「……」

将校's「」ゴクリ
63:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:17:05 ID:rjm0FZnxdY
将軍「我が軍は最強だ!その程度で勝敗が揺らぐか!?」ギロッ

参謀「勝てませんよ」

将軍「言い残す事はあるか?」

参謀「僕の構想は閣下とも…女王とも別にあります」タラァァ

将軍「……?」

参謀「永遠の命のみならず王国そのものを奪い尽くすつもりです…。
そして王国を足掛かりに東・北・南・各国を攻め落とし、この大陸の頂点に君臨する!!」ギンッ

将軍「なん…だ…とォォオオ!!?」ブォンッ

ドガァァァン!!

将校's「……!?」ビリビリ

参謀「(机と地図が……)」アーア

将軍「貴様ァァアアア……!!」グオッ

将校1「(ぴ、ピクスィ参謀が閣下の怒りを買ってしまった…!)」

将校2「(ひ、避難せねば我らまで巻き添えをくらう…!)」
64:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:18:36 ID:Sx9bep0/Fk
将軍「お前という奴は……お前という奴はァァアアア!!!」バッ

将校1「ひぃっ!!」ダッ

将校2「に、逃げ……」

将軍「なんと果報者なのだぁぁァァアアア!!」ダキッ ギュウウウウウ

参謀「ぐっ!うぎっ!?」ゴキゴキ

将校1「は?」

将校2「ん!?」

将軍「我輩を女王と結びつけ、更には全世界を差し出そうとは…やはりお前は果報者ヨォオオオ!!ヌハハハハハ!!」パッ

参謀「おぐっ!うぶっ……ぜぇ…ぜぇ…ありがたき…しあわせ」ゲッソリ

将軍「…で?どの程度掛かりそうだ?」

参謀「3年は……」

将軍「そうか。半年か」

将校's「」ギョギョッ

参謀「1年……」

将軍「さすが我輩の認めた切れ者よ?1ヶ月ときたか?」ニヤリ

参謀「…かしこまりました。半年でなんとか手を打ちましょう」

将校1「(さ、3年越しになる作戦を……半年でだと!?)」

将校2「(む、無茶苦茶にも程がある…!)」

将軍「ヌハハハハハ!!なんとめでたいことか!今宵は酒がうまそうだ!!のう?」

参謀「…各隊の補給、運搬班に酒肴の用意を?」

将校1「わ、分かった…!」

将軍「ピクスィよ?後で我輩の寝屋に来い?久々に可愛がってやろう?」ニタァァァ

参謀「ありがたい申し出ではございますが半年後に向けて作戦を組み直さねばなりませんので宴席も空けたいと……」

将軍「二度言わすな?」ビキッビキッ

参謀「……かしこまりました」ペコッ

将校's「……え?」ピクッ
65:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:21:43 ID:Sx9bep0/Fk
〜〜〜夜〜〜〜

将軍「遠慮はいらんぞ!今日は大いに飲むがいい!?」

ギャハハハハハ!!

ドンチャン ドンチャン

将校1「…参謀と将軍はどういう関係なんだ?」グビッ

将校2「分からん…。色仲であるのは間違いなさそうだが…」グビッ

将校1「ファルージャ様一筋ではなかったのか?」

将校2「それとこれとは別なのだろうよ?そばに愛人を囲う将など腐るほどいる?」

将校1「し、しかし相手は男だぞ…!?」

将校2「そう珍しい話でもない。まさか閣下が衆道を嗜まれるとは思わなかったがな」

将校1「……!」

将校2「まぁ確かにあの参謀は指揮官の割に年若い。顔の造りも…まぁまぁまぁ」

将校1「何を言ってるんだ!あんな優男の分際で屈強な兵の上に立ち、挙げ句、閣下に擦り寄るなど気色の悪い!!」

将校2「閣下に聞かれたら殺されるぞ?」

将校1「うっ……いったいなぜ閣下は…血迷っておられるのか?」

将校2「…俺もよく知らんがピクスィが参謀として軍に所属したのは14の事だそうだ」

将校1「14!?俺が小隊を任されるようになった歳でさえ奴の倍だぞ!?」

将校2「前皇帝時代から将軍に仕えていたらしいが誰も奴の詳細は知らない…。謎の多い男だよ」グビッ
66:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:23:17 ID:rjm0FZnxdY
軍曹「ギャハハハハ!!分かってねぇなぁ、君たちぃ!?酒の肴は女と決まってんじゃないのよぉ!?」モミモミ

西の女1「イヤァーン!!タビラ様のエッチぃ?」

西の女2「あーん感じちゃーう?」

将校1「…ちっ!女タラシが?」

将校2「あれに聞いてみるか?軍の中じゃ古株だしよ?」

将校1「宮女喰いで悪名高いタビラにか!冗談じゃねぇ!?」

将校2「参謀殿の疑惑を晴らしたくないのか?色事で上官職に就いてるとしたら蹴落とすにゃいい口実になるぞ?」

将校1「しかたねぇな…。ピクスィのような陰間の優男に仕切られて動いてるかと思やぁヘドが出る!徹底して暴いてやろうぜ!?」

将校2「よしきた…軍曹殿!こちらで一緒に飲まぬか!?」

軍曹「あん?男となんか飲んでられるかい?隅で牛の小便でも飲んでろ?」

将校1「」ブチィッ

将校2「こらえろ、こらえろ」サスサス

軍曹「お前らモーホーかぁ?綺麗所が並ばねぇたぁ寂しいなぁ?」

将校2「」ブチィッ

将校1「お前がこらえろと宥めたんだぞ…?」サスサス
67:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:27:13 ID:rjm0FZnxdY
軍曹「将軍と参謀の仲ぁ?」

将校1「あぁ、先ほどただならぬやり取りを聞いてな?」

軍曹「そうかぁ?成り上がりのお前らは知らねぇかぁ?叩き上げの俺らは昔から周知のなんとやらだがなぁ?」ヘラヘラ

将校1「」イラァッ

将校2「やはりそういう関係なのか…?」

軍曹「つってもねぇ…そんなんじゃねぇぜ?あいつは俺らん中でも生粋の叩き上げさぁ?
並み居る軍師をはね除けて最年少であの地位に登り詰めた天才ってやつだな!」ヘラヘラ

将校1「…色事で将軍に取り入ったんじゃないのか?」

軍曹「君たちぃ?カカドゥーラ様を分かってねぇなぁ?」ヘラヘラ

将校2「どういうことだ?」

軍曹「あの方はよぉ?何かにつけて弱い者いじめをしたがる?
抵抗の少ない赤子や女、老人を痛め付けるのがだぁぁ〜い好きだぁ?」ヘラヘラ

将校2「」ゾクッ

軍曹「西の国が野蛮だとされるのは…もっぱら閣下の行いの悪さにある?
殺しを楽しむのに飽きた猛将の下品な遊び心が西の武勇を貶めてる訳さぁ?」ヘラヘラ

軍曹「だがしかし…その他の追随を許さない蛮行があらゆる意味で名を広めた?
大魔導師パカラゥロ、宝石商シャルウィンと並び称されるものの…格で言えば圧倒的に殺戮将カカドゥーラが上回る?」

軍曹「西の国に対する各国の畏怖は…ある意味カカドゥーラ様への畏怖なんだよぉ?分かる?」ヘラヘラ

将校1「」ゴクリ

将校2「…カカドゥーラ様が参謀への見方を甘くしている可能性は?」

軍曹「万に一つもありえねぇ?だが一つあるとすりゃ…奴の出生の秘密だ!」

将校1「出生の…」

将校2「秘密…?」
68:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:29:32 ID:rjm0FZnxdY
軍曹「奴に関する経緯は閣下以外、誰も知らねぇ?
だが奴は4歳から高名な軍師に引き取られ、9歳で初陣を飾り、兵500を率いて2000の無国籍軍を打ち破った化け物だ?」

将校1「(4倍の数を…9歳のガキが!?)」

軍曹「当然っちゃ当然の出世だが…異例っちゃ異例の出世だ?当時は皆、頭を悩まされたぜぇ?」

将校2「…そ、それは凄いがなぜ9歳のガキが指揮官の任で初陣を?」

軍曹「おうよ、そこが奴の謎を深めてる?」

将校1「…奴の謎とはなんなんだ!?」

軍曹「…閣下は弱者を理由に守られる存在ってのが許せねぇんだとよぉ…?
弱い奴は弱い奴らしく苦痛の末にへし折れて無様にのたれ死にやがれってのがあの方の持論だぁ?」ヘラヘラ

将校1「ん?」

軍曹「何か裏があんだよぉ?奴は?」

将校2「つ、つまり参謀殿はただの愛人ではなく…!」

軍曹「あぁ、なんらかの秘密を抱えた"慰み者"である可能性が高い!」ニタリ

将校1「…!?」

軍曹「ボインでやらけぇ女の肉は最高さぁ?男色趣向なんざ俺には一生、わからねぇ趣味だな?」

西の女1「ねー?話終わったぁ?」ヒシッ

西の女2「あたし達も相手してよぉ?」ヒシッ

軍曹「いいねぇ〜?とことんイクとこまでイこうぜぇ〜?」モミッ

将校1「(いったい参謀殿は……)」

将校2「(何者だ…?)」
69:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:33:54 ID:rjm0FZnxdY
―――将軍の砦(回廊)―――

カツンカツン カツンカツン

将軍「…よい酒であったわ」フラッ

参謀「大丈夫ですか?過度の飲酒はお身体に障りまする。どうか部屋でお休みに……」

ガシッ グワッ

参謀「っ!?」ムグッ

将軍「…誤魔化せるとでも思うたか?」グッ

参謀「っ……!っ…!?」

将軍「眠り薬など仕込みおって…小癪な!我輩には通用せんぞ?」ググッ

参謀「お…はな…しくだ、さい!」プルプル

将軍「解毒薬を出せ?」パッ

参謀「げほっ!ごほっ!」

将軍「さっさと出せ…?」ギロッ

参謀「は、はい…」ゴソゴソ スッ

将軍「ふん…」グビッ

参謀「(くそっ…!)」ギリッ

将軍「さぁて…ヤるか。今夜は寝れぬものと思えよ?」

参謀「…先日、領内から拐った女達ではいけないのですか?」

将軍「貴様がいいのだ?我輩が手塩に掛けて育ててやった…みじめで虚しい皇女殿?」クイッ

参謀「…その呼び方はおやめくださいませ」プイッ

将軍「くっ…ぐふふ!」ニヤニヤ

参謀「(あの"妾"にしろ…こいつにしろ…性の匂いがする者にロクなのはいない…!)」ギリッ
70:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:42:52 ID:Sx9bep0/Fk
〜〜〜回想(参謀)〜〜〜

ダダダッ バババッ

西の宮女「はぁ…!はぁ…!」

赤ん坊「ウアアアン!!」

ザッ

西の宮女「」ハッ

将軍「見つけたぞ?」ニヤリ

西の宮女「ど、どうか…お見逃しくださいまし…!?」

将軍「ならんな?皇帝陛下の下に連れ帰らせてもらう?」ザッザッ

西の宮女「…この子は女に生まれた身!王位争いとは無縁なのです!どうか!」

将軍「ならなぜ堕胎しなかった?」

西の宮女「慈悲を…!もう…こんな場所で生きていくのは疲れたのです!この子と二人、安らかに……」

将軍「安らかに眠りたいと?」

西の宮女「……!?」ギュッ

ズバシャッ! ポトッ

赤ん坊「ぎゃあああああ!!」ベーベー

将軍「ムフフ…陛下の隠し子、というより隠された子か?
お前の母が犯した罪は大きい。皇族に生まれながら…日陰の奴隷として一生を過ごす事になるだろう?」

将軍「が、しかし…宮女共の堪え性の無さもまた異常だ。
今月も5人の皇子が他界したしな。そう思えばお前はまだ運がいい?」

将軍「…何はなくとも血族であるのは確かだ。皇帝陛下の先々を考慮し、我輩が内密に飼っておいてやろう?」ニタァァァ

将軍「…しかしこの宮女、なかなかの美人であったな。我ながら惜しいことをしたか」チッ

…………………
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