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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編その2】
[8] -25 -50 

1: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:00:58 ID:/WYEXwH6vk
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10

1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10

2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10

3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)

あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)

>>2から本編になります!


241: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 21:52:35 ID:7fMdibXDzA
〜〜〜夜〜〜〜

―――南西部(平野の丘)―――

ガガガッ ガガガッ

南兵1「来ました…!」ジッ

騎士長「やはり一直線に本陣を目指してきたな…!ローレン陛下の読み通りだ!」

騎士長「弓隊、射撃開始!!」

ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュン

ドスッドスッ ドスッドスッ

ワァァアアアアアアアア!!!

ガガガガガガッ

南兵1「ジルレイの騎馬隊が守備隊を蹴散らして坂道を上がってきます!?」

騎士長「予定通りだな…?」ニヤリ

騎士長「中腹まで上がってきたところで合図を出せ!?」

南兵1「ははぁっ!!」
242: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 21:54:44 ID:2uHj0k8hi.
ガガガガガガッ

陸曹(ジルレイ)「!? 全隊、止まれ!?」

ピタッ ピタッ ピタッ ピタッ

ジルレイ「………」

ヒュールルルル

ジルレイ「誰も…いない?丘の本陣を捨てたのか…!?」

西兵10「我々の位置とは逆方向から丘を下って退却したようですな」

ジルレイ「下の守備も妙に手薄だとは思ったが…小賢しい!南国王は逃げ腰の腑抜け野郎か!?」

西兵10「追いますか?」

ジルレイ「森林地帯に入られたんじゃやりにくいが…それしかないな!2万の兵を置いてくから、この丘を占拠しとけ!」

西兵10「はっ!」

ジルレイ「行くぞぉ!!俺様の隊でドカンと手柄を頂くんだぁ!?」パシンッ

ガガガガガガッ
243: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 21:56:43 ID:7fMdibXDzA
〜〜〜朝〜〜〜

―――南西部(山中)―――

パカラッパカラッ パカラッパカラッ

騎士長「ローレン陛下…!ただいま到着しました…!」パカラッパカラッ

ローレン「うむ。追手は?」

騎士長「来ておりません!山中で完全に我々を見失っています…!」

ローレン「そうか…」

騎士長「それにしてもまさか…こんな作戦は前代未聞だ」

ローレン「ほう…それはいい。前例が無いのなら敵も予測しにくいだろう」

騎士長「普通なら総指揮が本陣を捨てて敵将を討ちに行くなど誰も考えますまい?」

ローレン「…最初の首はアレだ?」ビッ

騎士長「敵左軍中将バグダッドですな…!しかしここから届きますか!?」

ローレン「…出来れば、もっと奥まで踏み込みたかったが山中を抜ければ遮蔽物のない荒原地帯だ。これ以上の接近は無理だろうな」

騎士長「では…?」

ローレン「強行突破だ」

騎士長「」ゴクリ

ローレン「心配するな。こちらの右軍に気を取られてバグダッドの本陣は兵が少ない」

騎士長「い、行きますか!」

ローレン「あぁ、突撃だ」パシンッ

騎士長「はっ…!全軍、続けぇ!!」パシンッ

ドドドドドッ
244: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 21:58:36 ID:7fMdibXDzA
―――西国左軍(野営地)―――

ドドドドドドドッ

ゴシャアッ バキィンッ ガッ ガガッ

ザシュッ ズバッ ドシュッ

ワァーワァーギャーギャー

ローレン「ふんっ…!」ブンッ シュバッ

西兵11「ぐぎゃっ!」ズバッ

西兵12「ぎえっ!?」バシュッ

バタバタッ

ザッザッ ザッザッ

ゾロゾロ ゾロゾロ

騎士長「お、奥まで入れましたが…予測より遥かに早く敵兵が集まってきましたな!」ギンッ

ローレン「対応が速いのは認めてやるが、ほとんどが歩兵だ!騎馬の突進で蹴散らしながら進むぞ!」

騎士長「ははっ!!」パシンッ

ガガガガガガッ

ゴシャアッ ボキュッ ゴリィッ メキィッ
245: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:01:45 ID:7fMdibXDzA
西兵13「バグダッド中将!!敵がこちらまで迫っております!一度、下がりますか?」

中将(バグダッド)「あれはどこの部隊だ…?」トントン

西兵13「分かりません!突然、向こうの山岳方面から出現し、襲撃されました!?」

バグダッド「規模は?」

西兵13「2万5000…いや、3万ほどかと!」

バグダッド「…右軍の侵攻経路を塞いでる守備陣に召集をかけろ。奇策頼りの素人集団を磨り潰すとな?」

西兵15「ははっ!知らせて参ります!」ダッ
246: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:03:12 ID:2uHj0k8hi.
バシュッ ドバッ ザンッ プシャアアアアアアアアア

ワラワラ ワラワラ

南兵1「ちくしょっ…倒しても倒してもワラワラ群がってきやがって…!」ギャリンッ

ローレン「踏ん張れ!敵陣まで後僅かな距離だ!?」ブンッ ガシュッ

南兵2「ローレン陛下!守備陣から敵の騎馬隊が押し寄せてきました!囲まれています!」

騎士長「まずいな…!敵の増援に割って入られ、隊を分断された…!
乱戦の中、兵力を割かれるのは非常に厳しい…!?」

ローレン「……!構うな!このまま突っ切るぞ!」ザウッ

騎士長「ははぁっ!!者共!!ローレン陛下に続けぇ!!」

バシュッ ズドッ

ドドドドドドドッ

ローレン「(バグダッドめ…!大国の守備を担う軍師だけあって隙はない、か…)」パカラッパカラッ

騎士長「邪魔だぁあああ!!」シュバッ

西兵14「ぐぼぉぉ!?」ドシュッ

ローレン「(だが…一度、後手に回った代償は高く付くぞ…!一気に間合いを詰め、その首をもらう!!)」

ズガガガガガガガッ
247: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:04:39 ID:2uHj0k8hi.
ワァーワァーギャーギャー

ガガガッ ドゴォォオッ!

西兵15「て、敵の勢いが一向に収まりません!?」

西兵16「中将!!やはりここは一度、陣を下げて距離を取りましょう!?」

バグダッド「…主戦場の方はどうなってる?」トントン

西兵17「兵をこちらに寄せた分、苦戦していますが戦況は依然として変わりなく!敵の攻撃を防いでおります!」

バグダッド「(……連携してる訳じゃなさそうだな。いや、奇襲を悟らせぬ為に敢えて伏せていたのか)」ピタッ

西兵18「も、もうそこまで迫ってます!!」

バグダッド「重装歩兵隊、10列に並び、防御体勢に入れ。弓隊は広く構えて敵襲に備えろ」

西兵19「ははぁっ!!」

ザザザッ バラバラ

西兵18「中将…!どうか安全な場所までお下がりください!?」

バグダッド「…運任せの特攻で戦局を塗り替えられるほど俺の守備は容易くない」

西兵18「で、ですが万が一という事も…!」

バグダッド「来れるものなら来てみろ?俺に奇策は効かん?」

西兵18「……!」
248: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:09:17 ID:2uHj0k8hi.
ドドドドドドドッ

騎士長「っ……包囲を抜けたぞぉ!!突っ切れぇ!?」ガガガッ

南兵1「お、お待ちください!目の前に巨大な柵が!?」パカラッパカラッ

騎士長「…我が南国の誇る騎馬隊は柔い木の柵ごときに止まりはせん!!私に続けぇっ!?」パシンッ

ヒヒーン!

南兵1「騎士長!?」

ローレン「待て…!一人で先走るな!?」

騎士長「うおおおおおおりゃああああああ!!!!」ガガガッ

西兵20「バカが一匹、突進してきたぞ!」ニヤニヤ

西兵21「柵の隙間から長槍を突き立てろ!無謀な特攻の犠牲者第1号だ!!」

ビュッ ビュッ ビュッ ビュッ

ドッカァァァン

西兵20「ぐおっ!?」ズシャッ

西兵21「な、なんて突進力だ…!だが、あの騎士はメッタ刺しに……」

騎馬1「」ピクッピクッ

西兵21「!? う、馬だけ…!?」ハッ

騎士長「邪魔な柵は取っ払ってやった…!我が愛馬と引き換えになぁ!!」ザッ バッ

ヒュンッ ビュバッ ブォンッ

ドバッ ザクッ ブシャッ バタバタッ バタバタッ

西兵21「き、貴様…いつの間に…!?たった一人で何をする気だ!?」

騎士長「道は開きましたぞぉおおおおお!!!」ザウッ

西兵21「この阿呆を突き殺せぇ!?」

ボガガァンッ!

西兵21「」ビクッ

ローレン「もう遅い…!」ブォンッ

西兵21「ぐはぁっ!?」ズバッ
249: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:12:01 ID:7fMdibXDzA
ドドドドドドドッ

西兵22「と、突入されたぞ!食い止め…ぎゃっ!?」グシャッ

南兵1「騎士長!私の背にお乗りください!」バッ

騎士長「すまんな!」ザッ

ローレン「ここで決めるぞ!!」ガガガッ

ゴガガガガガガァァン

西兵17「柵の前に整列させた重装歩兵隊、一点から突き破られています!!」

西兵18「敵部隊を率いる男が相当の手練れであると見られます!我が隊の陣形を真っ向から崩されました!?」

バグダッド「……号令をかけろ」トントン

西兵18「弓隊、一斉に放てぇ!?」

ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュンッ

ズドッズドッ ズドッズドッ

ドッ ドガガガガッ ゴロゴロ

南兵3「ぐきゃあっ!!」ベシャッ

騎士長「盾を構えて進めぇ!!ローレン様をお守りするのだぁ!?」ドッドッ

ビュッ ビュッ ビュッ ビュッ

ドスドスドスドス

ヒヒーン! ゴッシャアアン!

南兵1「くそっ!歩兵共め!馬を突いてきやがって、ちょこざいな!?」ガキンッ

南兵4「ぐあっ…」ドスッ

ゴロンッ ドシャッ

ローレン「怯むな!!ここが正念場だ!!全速力で突破するぞ!?」ブォンッ ビュバッ

ザシュッ ドシャッ

オォオオオオォオオオオォオオオ!!!
250: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:14:46 ID:2uHj0k8hi.
ウワァァァァアアアアアア!!!

ガガァンッ ゴシャアァァッ

バグダッド「……」トントン

西兵18「殺れ!殺れ!殺れぇ!?絶対、ここに辿り着かせるなぁ!?」アセアセ

バグダッド「(全滅するどころか…まったく勢いが衰える気配さえないか。
我ながら完璧な守備陣であると自負していたのだが…)」トントン

バグダッド「(…大昔の南国騎馬隊と言えば列国を震わせた驚異と名高いが、時を経て錆び付いた力がなぜ今になって発揮される?)」トントン

バグダッド「(そもそもこの戦場全体を見渡せど明らかに普通ではない…。
なぜ敗北必至の戦を請け負った南国軍が士気を高められるのか?)」トントン

バグダッド「(友軍の援護を期待して持ちこたえているのだと考えていたが…だとすれば、この奇襲の意図は?)」トントン

バグダッド「(自軍の本陣を奪わせてまで戦力をこちらに集結させたのはなぜか?
焦りから判断を誤ったか、単なる阿呆の仕業か…?)」トントン

バグダッド「(いずれにしろ…この隊には何かありそうだ?)」ピタッ

西兵18「あ、あぁぁああ!!重装歩兵隊を抜けました!弓隊に迫って………」アセアセ

ドガガガガッ ザシュッ ズバッ ゴガァァンッ

西兵18「ゆ、弓隊、猛攻を受け…も、目前に…うわぁあああ!!」ヒィィィイイイ

バグダッド「おたつくな、馬鹿者」トントン

西兵18「む、迎え撃てぇ!!」ジャキッ

ザザザッ
251: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:20:19 ID:7fMdibXDzA
ガガガッ バサッ ブォンッ

西兵17「ぎあああ…ぶっ!!」ザシュッ

西兵19「ぐえっ!?」ドバッ

バタバタッ ドシャッ ズシャッ

ゾロゾロ ゾロゾロ

南兵's「」ゼェゼェ

ローレン「貴様がバグダッドか…?」ジャキッ

バグダッド「……いかにもそうだが貴様は何者だ?」

騎士長「控えろ!下郎が!?このお方は我らが国王、ローレン陛下であらせられるぞ!?」

バグダッド「国王…!?」ピクッ

ローレン「……」

バグダッド「がっははは…なるほどな。ジルレイの部隊に本陣を奪われ、おめおめと逃げ回ったが…敗北を悟り、やけくそに走ったか」

ローレン「…これまでだな」ズイッ

ビュオンッ ズドォッ!

騎馬2「ぶるるっ…!!」ガガガッ

ローレン「なっ…!?」ガクンッ

騎士長「ローレン陛下ぁぁ!?」ビクッ

ヒヒーン! バタァァン!

ローレン「…馬を刺されただけだ!?」スタッ

バグダッド「決死の特攻がたまたま功を奏し、浮かれてしまうのも仕方ないが…」ジャキッ

ローレン「(槍術を扱うようだな…。それもかなり使う…!)」ジリッ

バグダッド「思いつきで動いた事を後悔させてやろう?」ニヤリ
252: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:25:31 ID:7fMdibXDzA
バグダッド「」ジリッ

ローレン「」グッ

バグダッド「ふん…たとえお前が奇跡的に我が首を地に落とそうと、ここ左軍の戦局を揺らがせる程度…それもさざ波の如くだ?
既に左軍の戦況を読み取った中央の指揮官が対応しておられる事だろうさ?」

騎士長「ま、負け惜しみを抜かすな!?」

バグダッド「無謀なる国王よ…。お前の首は南国軍の首そのものだ。分かっているのか?」

ローレン「時間稼ぎに付き合う気はない!」ビュンッ

バグダッド「くっ…時間稼ぎだと…思い上がるなよ?」ガキンッ

ローレン「騎士長!!背後の隊は任せたぞ!?」ギギギッ

騎士長「はっ!我が命に賭けましても寄せ付けませぬ!!行くぞ!?」ダッ

南兵's「は、ははぁっ…!!」パカラッパカラッ

バグダッド「馬鹿者が…!敵陣の真っ只中に孤立した小隊など物の数分で磨り潰されるぞ!?」ギギギッ

ローレン「貴様などに言われずとも…俺の首は誰にも渡さん…!」ギギギッ

バグダッド「ぬぅっ…らぁっ!!」ギィィンッ

ローレン「」ザッ

バグダッド「…ここに辿り着いた強運は認めてやるが運任せでなんとかなる程、甘くはないぞ!?」ビュンッ

ローレン「(鋭いっ…!?)」サッ

バグダッド「うらぁああああ!!!」ババババババッ

ローレン「(っ…重い装備をしていながら一撃一撃が速い!いなすのが精一杯だ…!)」ギンッ サッ ガインッ
253: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:28:21 ID:7fMdibXDzA
バグダッド「がはははは!!守備重視の兵法家ならば楽に討ち取れるとでも!?笑わせるな、未熟者が!?」ビュンッ

バキィィッ!

ローレン「ぐぅあっ…!?」ミシィィッ

バグダッド「死ね!阿呆が!?」ビュオンッ

ズンッ!

ローレン「がっ…はぁぁあ…!」ブバッ

バグダッド「勝負あったな…!?」ニヤリ

ローレン「ん…ぐくく…!?」ガシッ

バグダッド「あ?あ…ぬ、抜けんっ…!?」グググッ

ローレン「つか…まえたぞ…!」ギュゥウウ

バグダッド「は、離せ!死に損ないがぁ!?」グッグッ

ローレン「この程度の死地になら何度も立ち会ってきたさ…!」ググッ

バグダッド「……!?」

ローレン「ふんっ!!」シュッ

ドスッ!

バグダッド「ご…がふっ……」ブバッ

ローレン「敗北寸前、ギリギリの境地を幾度となく越えてきた…」

バグダッド「」ズダァァンッ

ローレン「強大な力に溺れ、弱者を弄んできた貴様らとは育ちが違うんだよ…っ!?」ブシュッ
254: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:31:07 ID:7fMdibXDzA
ローレン「っ…はぁ…敵将、討ち取ったりぃぃいいい!!」バッ

オォオオオオォオオオオォオオオ!!!

騎士長「よ、よくぞ…!」

ザワザワ ザワザワ

西兵23「そ、そんなバカな…バグダッド中将が…!?」ワナワナ

騎士長「よぉし!!この勢いで残軍を切り伏せろぉぉおお!?」

ウオオオオオォオオオオォオオオ!!!

南兵's「」ドドドッ

ローレン「ぐっ…はぁ…!」ズキズキ

南兵1「陛下!?大丈夫ですか!?」ガガッ

騎士長「ち、血止めを…!」ヒョイッ スタッ タタタッ

ローレン「心配は要らん…。掠り傷だ…!」ボタボタ

騎士長「な、なるほど、確かにそこまで深くはなさそうだ…。防具に救われましたな…!」ビリィィッ

南兵1「で、でも脇の部分が砕かれてますよ…!?」

ローレン「あぁ、強かに打ち付けられたからな…。あばら骨もっ……」ズキンッ

騎士長「とにかく今は応急処置を…!」シュルシュル

ローレン「すまんな…」
255: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:33:52 ID:7fMdibXDzA
ガキンッ キンッ ズバッ ドシュッ バタバタッ

騎士長「な、なんとか動揺を狙って敵を押さえてますが、このままではまずいですぞ!
分断された兵達を呼び戻し、陣形を立て直しましょう!?」

ローレン「いや…この本陣はもう用済みだ。火を放って脱出するぞ」

騎士長「は!?」

ローレン「バグダッドの本陣が落ちたと知れば敵左軍の足取りはおぼつかなくなるだろう。
右軍の戦況を逆転させるとしたら…今をおいて他にない!」

騎士長「しょ、承知しました!ですが傷を負われたまま立て続けに戦うのは危険です!陛下は一度、山中に身を隠して……」

ローレン「山中はもう使えん…」

騎士長「なっ…」

ローレン「ここの騒動は瞬く間に伝わる。俺達を追って山中に入ったジルレイの隊にも報告が行くだろう。
活路を求めるなら敵左軍を排除し、右軍に陣を敷くべきだ…」

騎士長「……!」

ローレン「もう一踏ん張りだ…頼む?」

騎士長「御意…!」グッ
256: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:36:25 ID:7fMdibXDzA
―――西の国・本土(帝都)―――

西兵長「物見の報告では東国軍はまっすぐこちらに向かっておるとのこと!!
砦を押さえた王国軍の部隊は主要施設を焼き払い、その場を後にしたそうだぞ!?」ダンッ

参謀「(うるさい…。いちいち…)」ウンザリ

西兵長「カカドゥーラ将軍の不在時にこの失態!!
閣下が戻られたら、なんと言われるか!?」

参謀「(あぁめんどくさい…。事ある毎に閣下、閣下と……)」

西兵長「黙っておられるが最高司令官殿にこそ責任があるぞ!?」

参謀「(女々しい妬み嫉みから来る揚げ足取り…あわよくば立ち位置を奪おうと付け狙う小心者の空威張りに付き合えるものか)」シラー

西兵長「聞いておるのか!?」ダンッ

参謀「北東部の防衛戦術は看破されてましたか…。
なかなか広く戦場を見渡せる軍師家がいるようですね」クルッ

西兵長「!?」

参謀「それぞれ個別に攻めてくるものと考え、別動隊の動きを見切れなかった僕の責任です」

西兵長「そ、そうだ!お前が悪い!なんとかしろ!?」

参謀「即席の連合軍に連動した策を用いるだけの洞察と知力を持った相手がいるなんて思いませんでね…?」

西兵長「言い訳するな!閣下が戻られたら真っ先に報告してやるぞ!」

参謀「おそらく王国軍は別動隊を国境防衛地の背後に寄せ、奇襲を仕掛けて門を開け放とうと企んでおいでかと?」

西兵長「あ、あぁそうだ!そういうことだ!」コクコク

参謀「ですよね。まぁ、あの砦がそう易々と落ちるとは思えませんが…何かしら手を打たなければ?」

西兵長「そ、そうだ!」
257: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:38:10 ID:7fMdibXDzA
参謀「何か良い手はあります?」

西兵長「は?あ、う、うぅん……ま、まぁ手なんかいくらでもあるが最高司令官はお前だ!甘えるな!」

参謀「うーん…そうですねぇ。では兵長殿に指揮を託しましょうか?」

西兵長「は!?な、なんで俺が…!?」

参謀「帝都に置かれた兵を半数、貴方に預けますので国境防衛地に援軍として向かってください」

西兵長「……!?」

参謀「道中で拠点を失った北東の敗残兵を集めれば6万の兵力が見込めますよ」

西兵長「ろ、ろ、6万…?この俺が…?」

参謀「大隊を指揮する才覚を示されれば大々的に貴方を支持する声も上がるでしょう。将軍閣下の右腕となれるやもしれませぬよ?」

西兵長「お、俺…が…右腕…!」

参謀「やりますか?やりませんか?」

西兵長「よ、よし!引き受けた!早速、準備をしてこよう!」スタスタ

参謀「自滅しろ…古参気取りが…」ボソッ

西兵長「は?」クルッ

参謀「ご武運をお祈りしています?」ニコリ

西兵長「はっはっは!任せておけ!」スタスタ
258: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:43:04 ID:7fMdibXDzA
参謀「さぁて、帝都の兵力も減らしましたし…」バサッ

参謀「…そろそろ、ですかね」ジーッ

ガチャッ

参謀「……」チラッ

軍師「おや…最高司令官殿、お一人でたそがれてらしたか」スタスタ

参謀「師匠殿こそ軍師が戦場を空けてよろしいのですか?」

軍師「老骨の出る幕などありませぬよ…?」

参謀「何をおっしゃいますか?師匠殿を越えられる軍師は未だ輩出されていませんよ?まだまだ頑張っていただかないと?」

軍師「困りますな。過度な期待は?」

参謀「ま、白々しい世間話もほどほどに…どうです?計画は進んでますか?」

軍師「いつでも取り掛かれますとも」

参謀「…そうですか」ニヤリ

軍師「各戦場の様子が予想に反して劣勢に追いやられているのが気になりますが…」

参謀「南国軍を取り込めなかった誤算もありますし…王国軍の出方も意外でしたからね。
ですが、あの砦は数日で落とせる代物ではありませんし援軍も送り出しましたから問題ないでしょう」

軍師「かしこまりました…。では始めてよろしいのですな?」

参謀「采配は師匠殿にお委ねします。信頼できるのは貴方だけですから…」

軍師「光栄にございまする……」

参謀「ふふ。確実にお願いしますよ…?あの"妾"の纏う魔性は油断ならないですからね…?」

軍師「存じ上げておりまする。必ずや朗報を手土産に持参いたしましょうぞ…」

参謀「…師匠殿」

軍師「はい…?」

参謀「願わくは先々も……僕と一緒に覇道を歩んでくださいますか?」

軍師「……!喜んでお供致します…!」ペコッ

参謀「ご武運をお祈りします」クスッ

軍師「はっ…」ザッ
259: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/18(日) 22:07:37 ID:G41uxMId7g
―――西の国(国境防衛拠点)―――

ワァーワァーギャーギャー

ドレッド「ぅらあ!!休まず射ち込めぇ!?
敵が一本、矢を放ってきたら、こっちは千本返してやれやぁ!?」

ヒュヒュヒュヒュヒュヒュン ヒュヒュヒュヒュヒュヒュン

ドレッド「投石部隊もガンガンぶち当てろぉ!!壁上の雑魚共を蹴散らせやぁ!?」

ドヒュンッ ボガァンッ パラパラ パラパラ

ドレッド「おらおら、補給、運搬の連中はモタモタすんな!!どんどん矢と岩を追加しろ!!土袋もだ!?」

ガラガラ ゴトンゴトン

ドレッド「浮き足立つな、民間兵共ぉぉ!!どんどん土袋を放って堀を埋めてくんだよぉ!?ビビってんじゃねぇぞぉ!?」

バッ ボシャンッ バッ ボシャンッ

ドレッド「守備隊!垣盾なんか使い捨てろ!?そんなボロじゃ構えても意味ねぇだろ!?」

ワイワイガヤガヤ

ドレッド「ちっ!おぉい!?」

王国兵1「はっ!」ザッ

ドレッド「負傷した連中はいつになったら戻ってくんだ!?人員が足りてねぇだろうがよ!?」ドンッ

王国兵1「うおっつ!?で、ですが…重傷の者も多々おりまして手当てが追い付かず…!?」ヨロッ

ドレッド「クソカスがぁっ!!手足もげようが動ける内は這いつくばってでも戦うんだよぉ!?」

王国兵1「ひっ!た、ただいま…呼び戻して参ります…!」ダッ

ワァーワァーギャーギャー

ドレッド「くっそ!まさかここまで強固な城だとはなぁ…!まいったぜ!
肝心のフィクサーからは何も指示がねぇし、兵の補充もしやがらん…!なに考えてんだ…ボケが!?」ブツブツ

王国兵2「伝令!伝令!フィクサー総指揮より指示が!?」タタタッ

ドレッド「あぁ!?」

王国兵2「夕刻には城門が開かれ、畳まれた橋が下ろされるとのこと!!
全兵に突撃の準備をさせるようにと仰せつかりました!?」

ドレッド「な、なんだ、そりゃ…!?」
260: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/18(日) 22:09:50 ID:8VYUmGqBd.
―――王国軍・野営地―――

ドレッド「ぅおい、ゴラァッ!!」バサッ

フィクサー「どうした?」スッスッ

ドレッド「のんきに地図なんか並べてる場合じゃねぇぞ!どうなってんだ!?」

フィクサー「何がだ?」

ドレッド「夕方には勝手に城門が開くってのはどういう事か説明してもらおうか!?」

フィクサー「なんだ、そんな事か?」

ドレッド「そ、そんな事…!?こ、こっちは何日も必死に攻め続けてんのに攻略の糸口を見つけられずにいるんだぞ!!
それなのにどうやったら、あの頑丈な城を陥落させられると言うんだよ!?」

フィクサー「黙って指示に倣え。このようなやりとりは無駄な時間でしかない」

ドレッド「だ、とぉ…!?こ、この…!?」プルプル

フィクサー「」カリカリ

ドレッド「……!てめぇ、これで城門が開かなかったら、どう落とし前つける気だ!?」

フィクサー「ほう?わたしを信用出来ないか?」

ドレッド「そうじゃないが…ここまでの戦いで実質的に出遅れてんのは俺達の軍だ!
なのにあんたは戦場にも立たず、後ろに陣を敷いて地図になにやら分からん点線打ってるだけじゃねぇか!」

フィクサー「ならばこうしよう?」

ドレッド「?」

フィクサー「わたしがしくじれば軍の指揮権は貴様に譲ってやる。
だが作戦通りに事が運んだなら今後一切、余計な口出しはするな?」

ドレッド「た、大した自信だな?いいのか!俺は一度、決めた事は何があっても破らせんぞ!?」

フィクサー「好きにするといい…。わたしの予言は外れんよ?」ニヤリ

ドレッド「…ちっ!すかしやがって!」バサッ スタスタ

フィクサー「……」カリカリ
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うpろだ
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