http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10
1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10
2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10
3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)
あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)
>>2から本編になります!
221: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:09:20 ID:kFMVoMRQpc
―――西国北東部(断崖地)―――
ドッドッ ドッドッ
西兵3「いたか!?」
西兵4「向こうの報告は!?」
西兵5「ダメだ!見当たらん!!」
西兵1「軍曹!!」
タビラ「わぁーってるよ!いないんだろぉ?」
西兵1「はっ!奴らのいた地点にはおよそ1000騎ほどの馬が取り残されています!」
タビラ「目立つ馬を捨てて身一つで潜伏したか…。なかなかお利口さんじゃねーの?」
西兵1「奴らは一体どこに…!」
西兵2「もしや…味方を待たずに本土へ進んだか!?」
タビラ「だとしたら無謀通り越して単なるバカだ。ほっといても問題ねぇ、が…それはありえないなぁ?」
西兵2「え…?」
タビラ「砂地に不向きったって、さすがに馬の方が速やかに動くし移動の体力的にも助かるだろ?
それを捨ててまで歩いて本土へ向かうか?1000やそこらの兵力で?」
西兵2「…た、たしかに」
タビラ「まだ隅々まで探した訳じゃねーし、こう暗くちゃやりづれーよ?後はお前らでやれ?」
西兵1「はっ!」
タビラ「どうせ夜が明けりゃ東国軍は総崩れだ?お前らもぼちぼちしたら戻っていーぞ?」
西兵1「そ、それもそうか」
西兵2「馬はどうします?」
タビラ「食用に確保しとけ?馬肉は精がつくからな?」
西兵2「ははっ!」
タビラ「じゃ、俺は一足先に上に戻って可愛子ちゃん達と肉弾戦してくっかな」パシンッ
ドッドッ ドッドッ
222: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:10:02 ID:kFMVoMRQpc
―――断崖上の高地―――
タビラ「おーう、かえっ……た…ぞ?」ピタッ
ボォォォォオオオ
ヒュールルルル
トライド「遅かったな。西国の蛮人共!」
兵士長1「わはは!先回りさせてもらったぞ!今度はこちらが反撃する番だ!」
タビラ「」ポカーン
トライド「貴様が隊長か?」
タビラ「どうなってんだ…?お前ら、一体どうやって…?」
トライド「偵察隊と合流した後、貴様らの追撃を察知し、馬を置いて夜まで潜伏していた」
タビラ「ど、どうして、ここに…?」
トライド「足跡を辿って崖上に通じる道を発見し、闇に乗じて攻め落としたまでだ!」
タビラ「……!」
トライド「そちらの本隊が呑気に我々を探索している間になぁ!」
タビラ「…女は!?」
トライド「は…?」
タビラ「そこにストックしといた女達はどうしたか聞いてんだよ!?」ガァーッ
トライド「……」
兵士長1「……」
タビラ「まさか殺したんじゃねぇだろうなぁ…!?」
兵士長1「い、慰安婦や非戦闘要員は捕虜として捕らえてあるが傷付けてはいないぞ!我々は貴様らとは違うからな!」
タビラ「ほっ…そうか、そうかぁ…」
トライド「よほど大切な存在なんだな?」
タビラ「あぁ、大切な穴さ?」
トライド「あ、あな…?」チンプンカンプン
223: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:13:24 ID:kFMVoMRQpc
タビラ「にしたって俺が出し抜かれちゃうなんてなぁ…。君たちド素人にしちゃ頑張ったもんだ?」
兵士長1「ナメるなよ…!我々は何年もこの日を待ち望んでいたんだぞ!」
トライド「貴様らに奪われた子供らの命…遺族の怒り…陛下の悲しみ…それら全てが執念となって、この日に集ったんだ!!」
タビラ「…」ゴソゴソ
トライド「貴様らの思う以上に我々の復讐心は強い…!この激情は西国人の血でしか洗い流せん!!」
兵士長1「覚悟し……」
タビラ「」ピピーッ!
トライド「!?」
タビラ「俺の隊は笛の音に呼応するよう教育してある。ここまで登って来るのも時間の問題だ?」
トライド「なに…!?」
タビラ「復讐だ、なんだ、おたくの事情はよく知らんけど…文句があんならかかってこいよ?」
トライド「……!」ビキッ
兵士長1「卑劣な真似ばかりしておきながら…なんだ、その言い種はぁ!?」ズイッ
タビラ「んな安っぽい劇みたいなやりとりはいらねーんだって?君たち、分かってる〜?」
兵士長1「あぁ…!?」ギロッ
タビラ「俺たちは戦争やってんだぜ?」ニヘラッ
トライド「」ピクッ
タビラ「分かったら、とっとと得物を構えなぁ?とことん戦争しようぜぇ!」ニヤニヤ
兵士長1「ば、バカな!貴様一人に何が出来る!?」
ドッドッ ドッドッ
トライド「」ハッ
タビラ「ほれほれほれぇ!はえーとこ指示を出してやんないと部下たちが登ってきちゃうぞぉ!?」
トライド「迎撃準備だ!重歩兵、600で守備陣を固め、崖道を封鎖しろ!?
弓兵は援護射撃だ!登ってくる敵兵にありったけの矢を見舞ってやれ!!
残りの歩兵達は敵が設置した罠や落石を最大限、活用して敵兵力を削るんだ!?」バッバッ
オオォォオォオオオオ!!!
224: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:16:24 ID:kFMVoMRQpc
タビラ「死になぁ!!」ザウッ
ガキィィンッ!
トライド「ぐっ…!」ギギギッ
タビラ「へぇっ…!?」ギギギッ
トライド「ずぁっ!!」ガインッ
タビラ「おっと…!」ズザザッ
兵士長1「弓、引けぃ!!トライド軍長をお守りしろ!!」バッ
東弓隊「」キリリッ
タビラ「臆病者の東国民にゃ一騎討ちする気概もないか!?」
トライド「なんだと!?」
タビラ「俺を卑怯者呼ばわりするなら男らしく戦ってみろよぉ!?」
トライド「…誰も手を出すな!俺が仕留める!?」ジャキッ
タビラ「そうこなくっちゃなぁ…」ジャキッ
兵士長1「何を言ってるんですか!れ、冷静になってください!」
トライド「指揮はお前に任せたぞ!」ダッ
タビラ「ヘイヘイ!」ブンッ
ガッ ガキンッ ギギギッ ギィンッ
兵士長1「何をしてるんだ!敵の指揮官が無防備にも孤立しているんだぞ…!
起死回生の一手とも言える夜襲で得た地の利を手放さぬ為にも早々に討たなければ…!?」
東兵3「兵士長!敵部隊と重歩兵が交戦しておりますが騎馬の突進力に押されています!」
東兵4「弓兵の援護のみではもちません!指示をください!!」
兵士長1「くっ…向こうの岩山に弓兵を移せ!真横から馬を狙い射ち、崖から転がしてやれ!」
東兵5「下に続々と敵が集まっておりますが!」
兵士長1「ならば軍長の指示通り敵の準備していた罠を使え!?
岩が無くなったら松明でも、その辺にある石でもいいから下にガンガン投げ付けろ!?」
東兵's「ははーっ!」
兵士長1「くそっ…!潜伏する為に馬を捨てたのが仇となったか…!」
225: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:19:15 ID:kFMVoMRQpc
ガッ キンッ ガガッ
ガィンッ!
タビラ「……!」ビリビリ
トライド「……!」ビリビリ
タビラ「くっ……ぎゃはははは!!」
トライド「…なんだ?何がそんなに可笑しい?」
タビラ「別にぃ…?」ニヤニヤ
トライド「……?」
タビラ「その戦力じゃ俺を倒しても登ってくる部下たちに押し切られて全滅かもなぁ?分かってる〜?」
トライド「…分かってるとも」
タビラ「ほんとかぁ…?」ニヤニヤ
トライド「だが…ここで倒れても後を任せられる方が控えている!」
タビラ「捨て石でいいのかぁ…?」ニヤニヤ
トライド「あぁ、構わない」
タビラ「バカな奴だねぇ…。生き残ってなんぼだろ、戦争ってのは?」
トライド「それなら貴様はなぜ戦うんだ?」
タビラ「俺かい?そりゃもちろん…でっかい報酬目当てさぁ?」ニヘラッ
トライド「報酬…?」
タビラ「それがなきゃやってらんねーよ。何が悲しくて危険を犯すんだ?」
トライド「我々の目的は子供らを奪い、陛下を殺した貴様らへの報復だ…!」
タビラ「あくまでお国の為か。くっだらないなぁ〜…」
トライド「それ以上のものがあるとでも言うのか…!?」
タビラ「あるさ?」
トライド「!?」
タビラ「俺はこの戦いで手柄上げて女王を抱くんだ!!」
トライド「……ん?」
226: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:23:27 ID:kFMVoMRQpc
タビラ「あのボインボインを揉みしだいてぇ…くびれた細い腰を撫で回してぇ…豊潤で艶っぽい唇をこれでもかと貪ってぇ…とにかくムチャクチャにしてやりてぇ…!!」ハァハァ
トライド「……」アゼン
タビラ「その為なら、なんだってするさぁ…!じゃなきゃ俺たちには一生、順番が回ってこないからなぁ…!?」ハァハァ
トライド「…正気か?」
タビラ「俺は飯より睡眠より女が好きでなぁ…!いつだって俺の頭にゃ女の事しかないのさ…!」
トライド「そんな理由で武器を持ち、兵を率いて自国民をなぶり殺すのか…!
他国の領地に侵入し、幼子を拐かすのも…お優しい王を暗殺したのも…そうさせたのは己の欲望からか!?」
タビラ「ぎゃっはっは!何を熱くなってんだか知らないが…あの女王は絶品だぞぉ?
これまで何十もの女を抱いてきた俺がよぉ…一目で勃〇しちまったくらいだぁ!?」ゲラゲラ
トライド「……!」ブチィッ
タビラ「あぁ…?」
トライド「はぁぁぁああ!!」ビュバッ
タビラ「くぉっ…」ガッ
トライド「るぁあああ!!」キィンッ
タビラ「っ…!?」ドサッ
トライド「色欲魔め…!恥を知れ!?」ジャキッ
タビラ「ってて…いてぇじゃんよ」スリスリ
トライド「あぁ…!?」
タビラ「ほんとに戦争ってのをなんにも分かってないんだなぁ…?」パッパッ
トライド「どういう事だ…!?」
227: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:28:43 ID:87duYR6vE.
タビラ「この国じゃよぉ…なんだって奪い合いだ…?」
タビラ「飯を食うにも寝床を確保するにも持ってる奴から奪わなきゃならねぇ…。
それが出来ない奴は労働施設に売り飛ばされるか、徴兵に駆り出されるか…のたれ死ぬかだ?」
タビラ「その点、女はいいよなぁ…?よっぽどブスでもない限り持ってる奴に引っ付きゃ最低限の生活にありつけるんだからさぁ…?」
タビラ「だが女っつーのはそれでいいんだ…。そうでなきゃいけない…。
持ってる男に女は群がる…。だから男は気合い入れて、とことん奪ってやろうって腹ぁ決められんだ…」
トライド「くだらん!!幼稚な思考だ!?」
タビラ「分かってないねぇ、君たちぃ〜?」ニヤリ
トライド「なにぃ!?」
タビラ「西の国は広い国土と豊富な資源、んでもって輝く宝石が有り余る大国だ?
行き渡らせれば貧困なんかあっちゅう間に解決する?だがそうしないのは……」バッ
トライド「!?」ピクッ
タビラ「持ってる奴らにゃ何の得にもならねぇからさぁ!?」ブンッ
トライド「うおっ!?」ギンッ
タビラ「そりゃそうだなぁ!?貧しさを知れば知るほど富のありがたさがウンと分かる!!」ビュンッ
トライド「おっ…!?」ズドッ
タビラ「欲しけりゃ奪え…。奪われたら倍、奪い返せ…。泣き言なんか聞きたくもないねぇ!!」グンッ
トライド「おっ…ごぇ…!?」ズボッ
タビラ「貧乏人が食ってくには軍に入るしかないんだよ…。んで軍人がのし上がるには戦争しかないのさぁ?」ピシュッピシュッ
トライド「ぼはぁっ!!」ゴフッ
タビラ「お前らだけじゃねぇ…。全世界から奪ってやる…!
奪い尽くして…たっぷり膨らんだモンをまた奪い合うのさぁ!?ひっ…ひひ!ヒャアハハハハ!!!」ゲラゲラ
トライド「く…そっ……きさ、まぁ…!」ググッ
ヒュンッ
タビラ「ハハハばぁぁっ!!」ドスッ
トライド「!?」
タビラ「はっ…はっ…はは……」フラッ ヨロヨロ トットトト
タビラ「」バタッ
228: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:31:16 ID:kFMVoMRQpc
兵士長1「トライド軍長!ご無事ですか!?」タタタッ
トライド「っ…な、ぜ?」ゼェゼェ
兵士長1「一騎討ちを汚した罰は後でいくらでも受けます!?」ガバッ
トライド「うっ…ぐ!」ズキンッ
兵士長1「こ、これは…脇腹を見事に貫通しておりますな…!」
トライド「……敵は…!?」ボタボタ
兵士長1「今はなんとか凌いでおります…。とにかくお身体を休め、後方の医療班の手当てを受けましょう!!」
トライド「いい…!」
兵士長1「は…!?」
トライド「もう…ごほっ!たす…からん」ゴホゴホ
兵士長1「な、何を弱気になっているのですか…!?」
トライド「…のろ、しを……」
兵士長1「喋らなくていい!安静に……」
トライド「狼煙を上げろぉ!!」
兵士長1「」ビクッ
229: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:34:39 ID:87duYR6vE.
トライド「今なら…ここに引き付けている今なら…本隊は断崖地を突破できる…!」
兵士長1「……!」
トライド「我々は…敵を一時でも長く…ここに留めるんだ…!」ゼェゼェ
兵士長1「……」
トライド「共に…死んでくれるか…?」ジッ
兵士長1「分かりました。用意します」コクッ
トライド「…すまんな…。頼り…ない、指揮官で…?」
兵士長1「…いえ、必ず良い報せを持って、そちらに参ります!」
トライド「たの…しみ、だ」フッ
兵士長1「後は我々にお任せください…」グッ
東兵6「兵士長!敵に押し込まれております!!」タタタッ
兵士長1「…歩兵を出して守備陣を分厚く固めろ!それから狼煙を上げて本隊に交戦を知らせるんだ!」
東兵6「ははっ!!」
兵士長1「ただではやられないぞ…!蛮人共め…!?」ギリッ
兵士長1「踏ん張れぇ!!東国人の意地を西の蛮人共に見せつけてやるんだぁ!!」
オォォォオオォオオオ!!!
230: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:35:37 ID:87duYR6vE.
〜〜〜夜明け前〜〜〜
東国軍長2「宰相閣下、出撃準備が整いました」
宰相「うむ、私はいつでも大丈夫だ…」
東国軍長3「ふん…背後の敵陣から早速、突撃の狼煙が上がりましたな」
宰相「すまん…」
東国軍長3「何をおっしゃる?東の国に殉じて死ねるのなら本望ですとも?」
東国軍長2「頼んだぞ…!」
東国軍長3「おう、任せ……ん…?」ピクッ
東国軍長2「どうした?」
東国軍長3「おい…向こうからも狼煙が上がってるぞ?」
宰相「なに…!?」
東国軍長2「…断崖地から我が軍の狼煙が?」
宰相「ま、まさかトライド軍長の部隊が生きていたのか!?」
東国軍長3「もしそうだとしたら、この機をむざむざ逃す手はないな…!」
東国軍長2「だ、だが罠かもしれんぞ!?」
宰相「いや、最初から罠に飛び込む気構えで臨んでいたんだ。やる事は何も変わらん」
東国軍長3「これで心置きなく逝けるというものよ…!」
東国軍長2「っ…!?」
東国軍長3「宰相閣下!御武運をお祈りしておりますぞ!」クルッ
宰相「うむ!勝利を約束する!!」
東国軍長3「…行くぞ!!我と共に死ぬ覚悟あらば全身全霊を持ってして突撃せよ!!」パシンッ
ヒヒーン!
ドドドドドドドッ
宰相「我々も行くぞ!!」
東国軍長2「はっ!何がなんでも断崖地を突破し、本土へ入るぞ!宰相閣下に続けぇっ!!」パシンッ
オオォォオォオオオオ!!!
231: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:36:46 ID:87duYR6vE.
〜〜〜昼〜〜〜
―――西の国・東側防衛拠点―――
王国兵隊長「兵は出払ってがら空きだ!門をこじ開けてやれ!!」
ガガッ ガガッ
バリーンッ ガシャッ ガラガラ ドゴォッ
バッカァァン
パカラッパカラッ パカラッパカラッ
ドドドドドドドッ
ヒィィィィイイイイイ!!!
王国兵隊長「よぅし!!住民共を殺して回れ!?」
ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュッ
ドスドス ドスドス
ギャアアアアアアアアアア!!!
王国兵隊長「家屋に火を放てぇ!?西国民の財産は一つ残らず焼き尽くすんだぁ!!」
バッ ボォオオオオオ
ワァーワァーギャーギャー
ダダダダダダダッ
ザシュッ ドバッ ズブッ ゴシャッ
ギャアアアアアアアアアア
232: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:40:13 ID:kFMVoMRQpc
―――西の国・北側防衛拠点―――
王国兵1「報告致します!東側防衛拠点、陥落とのこと!!」ザッ
副官「よしよしよし、うん。じゃあ報告がてら勝利の狼煙をね、上げてきちゃってちょうだいよ」
王国兵1「はっ!!」ダッ
副官「さ、て、と…こうして砦も落としたし君らの処遇を決めようか?」
西の捕虜's「」ブルブル
副官「や、まぁそんなね、怯えなくともさ?国王様から略奪や殺戮は許さないとのお達しだからね?」カッカッ
西の捕虜's「」ホッ
副官「や、でもね…。もしも君らがこちらの寛大な処置に感謝して財貨や兵糧を譲ってくれたりなんかしたら…多少の厚遇もやぶさかではないかもなぁ〜?」カッカッ
西の捕虜's「」ビクッ
副官「まぁしかし誇り高き西国民であるからには敵に大事な大事な財産を差し出すくらいなら死を選んだとしても…うん、不思議じゃない?」ピタッ
副官「例えば…我々の目を盗んでバルコニーから飛び降りてみたり…隠し持っていた武器で自害してみたり?」ニヤリ
王国兵's「」ジャキッ
ヒィィィィイイイイイ!!!
副官「賢い人は頭を床に付けなさい」
ガンッガンッ ガンッガンッ ガンッガンッ
副官「そんな勢いよく打ち付けんでも…?怪我するよ?」
西の捕虜1「お許しを…!命ばかりは…!」ズリズリ
西の捕虜2「私達は関係ないです!国に強制されて奴隷のように働かされているだけなんです!」ズリズリ
西の捕虜3「お願いします!助けて!殺さないで!」ズリズリ
西の捕虜4「なんでも差し上げますからぁ…!」ズリズリ
副官「うんうん、いいですよ。じゃあ誰か一人、内部に詳しい人を解放してあげなさい?」
西の捕虜1「わ、私が案内します!」
王国兵2「よし!妙なマネはするなよ?」スパッ
西の捕虜1「はい…!」シュルリ
233: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:41:43 ID:kFMVoMRQpc
〜〜〜夜〜〜〜
―――王都(王宮)―――
伝者4「報告!!オドアイル副官が1万の隊を二つに分け、主力の出払った東、北側両拠点を陥落せしめたとの事です!!」
政務官「なっ…本当なのか!?」
伝者3「それにより断崖地で東国、第3軍・1万と交戦していた防衛拠点の主力が踵を返していったそうです!!」
ヒメ「…宰相殿の軍は無事に断崖地を通過出来たのか?」
伝者3「はっ!トライド軍長率いる第1軍の生き残りが僅かな隙を狙って敵本陣を奪い、東国軍の断崖地突破を助けたそうです!」
政務官「よし!これで戦況は我らへと大いに傾いた…!」グッ
ヒメ「東国軍の被害は?」
伝者3「戦死したトライド軍長を含め、第1軍は全滅。
背後から迫ってきた軍と交戦していた第3軍もほぼ同様の被害に遭っておりますので全体でおよそ3万ほどかと!」
ヒメ「……」
政務官「? お喜びになられないのですか…?」
ヒメ「気に入らない…」
政務官「は?」
ヒメ「副官の動きが迅速すぎる」
政務官「それが何か…?」
ヒメ「こうなる事を見越して…というより東国軍を囮に使ったようにしか見えない戦局だ」
政務官「……」
234: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:45:05 ID:87duYR6vE.
政務官「偶然では…?」
ヒメ「偶然?じゃあおまえはそれぞれ3万の兵が配置されてる砦に5000ずつで攻撃を仕掛けたりするのか?」
政務官「……!」
ヒメ「フィクサーは東国軍が壊滅寸前まで追い込まれると読んでいて、敢えて黙ってたんだ」
政務官「…そうでしょうか?」
ヒメ「事前に宰相殿に伝えておけば同じ状況でも犠牲は押さえられた筈だ…!」
政務官「やむを得ず…という場合も?」
ヒメ「理由があっても…平気で味方を殺せる男を信用していいのか!」
政務官「……」
ヒメ「どうなんだ!」
政務官「…陛下には申し訳ないが私は納得しております」
ヒメ「!?」
政務官「必要とあらば利用出来るものは利用するべきです」
ヒメ「本気で言ってるのか!?」
政務官「むしろ…犠牲を少なくしようと考えるのは虫が良すぎます」
ヒメ「…だとしても宰相殿には知らせるべきだったんじゃないか!?」
政務官「それを分かった上で宰相殿が同様の作戦を選んだと思いますか?」
ヒメ「っ…!」
政務官「東国軍の動きが変わればフィクサー総指揮の思い描く戦略とは異なってしまう…となれば当然、地力で劣る連合軍全体の盤面が窮地に落とされます」
ヒメ「そう…だけど!」ググッ
政務官「…犠牲の数よりも一つの勝利に拘るのは軍を仕切る者として全うな判断です」
ヒメ「……!」
235: 投下終了 ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:45:54 ID:87duYR6vE.
政務官「どうか受け入れてください。戦争とはそういうものであると?」
ヒメ「分かってるよ!分かってるけど…!」
政務官「…割り切れていないのは負い目に感じているからですか?」
ヒメ「え…?」
政務官「ご友人に秘密にしたまま戦争に踏み切った事を?」
ヒメ「あ、あいつは関係ないだろ…!」
政務官「彼には何も知らせず辺境地で今までと変わらない生活を送らせていますが…現状を知ったらなんと言われるかとお考えか…?」
ヒメ「……」
政務官「私個人と致しましてはすぐにでも王都へ避難させるのがよろしいかと」
ヒメ「…あいつはやっと普通の幸せに落ち着いたんだ。それを壊してやりたくない」
政務官「ならばなおのことフィクサー総指揮の判断は最良であったと言えましょう」
ヒメ「……」
政務官「何事も起きない内に終わらせるには素早い判断と巧妙な策を要します。そして同時に多大な犠牲も伴うでしょうな…」
ヒメ「……」
政務官「全てを理解した上で決定を下された筈…今になって躊躇されましても、もう遅いのですよ。陛下?」
ヒメ「…外の空気を吸ってくる」スクッ
政務官「はっ…」
スタスタ スタスタ………
政務官「……」
236: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:54:10 ID:kFMVoMRQpc
オーキド博士のポケモン講座という番組(スレ)で、とても素敵なCMを書いてもらえました!
素敵な紹介、本当にありがとうございました!
あんな簡潔に綺麗にまとめられる文才が欲しくてたまりません…!
スポンサー延長していただけるということで、ただただ舞い上がっております!
全然構わないので遠慮なく、むしろお願い致しますw
ここを見ておられるか分かりませんが、あまりコテ付きでお邪魔するのは出しゃばっているようで忍びないので、こちらでお礼させていただきます!
もちろんラジオもいつも楽しく聴かせていただいてます!
これからも毒舌博士と健気なクルミさんの愉快な掛け合いを楽しみにしておりますw
乱文、失礼しました!
237: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 21:42:23 ID:7fMdibXDzA
―――西の国・南西部(平野の丘)―――
ウォオオオオリャアアアアアア!!!
ドドドドドドドッ
ガガッ ガガンッ ガギンッ ズガァァァッ
ローレン「……」
騎士長「中央の被害が甚大だ!!左右の部隊を寄せて敵軍の勢いを食い止めろ!?」
南兵1「ははぁっ!!」ダッ
騎士長「くそっ…!やはり危うい戦況となりましたな!」
ローレン「真っ向からぶつかれば数の差がモロに出る。特に分厚く固まる中央はなおさらだ」
騎士長「だが中央を突破されれば隊型の瓦解を意味する…!
最も削られる場所だと分かっていても兵の補充は欠かせませんぞ!」
ローレン「そう慌てるな。被害は大きいが士気は保たれている」
騎士長「しかし士気のみで戦力差を埋めきれるものではありませんぞ…!」
ローレン「分かっている。だからこそ、ここは慎重に行くべきだ」
騎士長「……!」
ローレン「数で劣る我々は1兵でも多く敵を削らなければならない。
だが現実的に考えれば体力勝負を仕掛けて先に崩れ落ちるのはこちらだ」
騎士長「敵兵力は推定で22万…15万の我が軍で、まともに戦い続ければ勝ち目はない…!」
ローレン「しかし戦力とは必ずしも数で測れるものではない。重要なのは質量だ…」
騎士長「おっしゃる通りですが…その質でさえも敵は我が軍を大きく上回ります」
ローレン「そこを覆し、戦力差を埋める為に俺達が狙うのは指揮官の首だ…」
騎士長「……!」
238: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 21:46:12 ID:7fMdibXDzA
ローレン「調査結果を速やかに報告しろ」
騎士長「はっ!現在、確認出来ている敵将は右軍6万ジルレイ陸曹、左軍6万バグダッド中将、そして中央軍8万を率いる元帥エレファンの3名です!」
ローレン「……」
騎士長「対して我が軍の布陣は右軍4万、左軍4万、中央6万と明らかに劣っております…!」ググッ
ローレン「…各将、個々の特性を分かりやすく説明しろ」
騎士長「事前調査では…ジルレイは攻撃主体の戦術を好む猛将であると」
ローレン「なるほど…敵右軍と交戦中の左軍の動きが活発化しているのは戦意に当てられて血が昇っているからか」
騎士長「はっ…そして左軍を務めるバグダッドは守備重視の戦法を取る極めて慎重な男です」
ローレン「たしかに…こちらの右軍に目立った動きはないな。攻めあぐねているようだ」
騎士長「エレファンはカカドゥーラの配下では最古参の将校で、かつての"終わらない争い"にも出陣していた戦歴があると…」
ローレン「ハッタリはいらん。特性は?」
騎士長「分かりません…」
ローレン「は…?」
騎士長「地形戦術の猛者であるとも攻撃特化の猛将であるとも囁かれてますが…ここ30年ほど戦場には立っていないとの噂で?」
ローレン「…そんな隠し球が満を持しての登場か。敵も必死だな」
騎士長「残りの軍師は他の戦場に配置されているものと思われますが…」
ローレン「聞き及んでいる限りでは東国軍が北東防衛線を突破したそうだな」
騎士長「はっ…」
ローレン「ならばここで我々が東国軍に続き、3つの頭脳を削れれば敵戦力は大いに揺らぐというもの」
騎士長「か、可能なのですか…!?」
ローレン「勝算を導き出すのが軍師の役目…俺も、そのはしくれだ」
騎士長「しょ…承知しました!」
239: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 21:48:31 ID:7fMdibXDzA
ローレン「初戦、狙い目となる首は……あそこだな」ビッ
騎士長「っ…」ゴクリ
ローレン「派手な被害が出ない内に左軍4万を退却させ、半数は中央の援護に回せ。残り2万を本陣まで下がらせるんだ」
騎士長「はっ!?し、しかし、それではここまでの道中、がら空きになってしまいますぞ!?」
ローレン「それでいい。この本陣に誘い込むんだからな…」
騎士長「で、ですが左軍が後退したのを見計らって中央軍の左端を攻め込まれる可能性も…」
ローレン「それは万一にもない」
騎士長「なぜ!?」
ローレン「扱う戦術によって軍師の性格が読み取れる…。
右軍のジルレイが噂通りの男なら真っ先にここへ来るはずだ」
騎士長「……?」
ローレン「安心しろ。俺に任せておけ?」
騎士長「わ、分かりました…!」ザッ
240: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 21:50:52 ID:7fMdibXDzA
―――南西部(西軍中央)―――
バラバラ バラバラ
西兵1「報告!!敵左軍が後退しております!!」
元帥(エレファン)「……」
西兵2「中央に合流させているようですが…」
西兵3「被害が拡大している中央の守備を強化する気か?」
西兵4「バカめ!それで左を疎かにしては意味があるまい!?」
西兵5「元帥!!ここはジルレイ陸曹に伝達し、敵中央軍を横側から攻め破っていただきましょう!」
エレファン「…んぅ。無理じゃにゃ」
西兵's「え!?」
エレファン「見ぃ?回り込んで本陣に向かっちょる?」ビッ
西兵6「なぁぁ!?」
西兵7「ちゅ、中央軍を落とせば勝利は確実なのに…!?」
エレファン「ありゃ落ち着きっちゅうか詫び錆びがないんじゃよ。にゃぁんでも急いで…自分の手柄にしたがる?」
西兵8「くそっ!共闘する気はないのか!」
エレファン「ま、えーがの。ここは王都侵略の足掛かり、言うたら前哨戦じゃ?
気張ったとて南国王の細い首一つじゃ大した成果にもにゃらん?」
エレファン「さっさと本陣を落として次に進めるにゃら…それでもよかろ」
西兵8「さ、さすが余裕に満ち溢れてますな?」
エレファン「おーい…誰ぞあつーい茶ぁをくれ」
西兵9「は、ははっ!ただいま!」タタタッ
エレファン「(はてさて…将軍閣下の出番は来るかの…?)」ニヤリ
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