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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編その2】
[8] -25 -50 

1: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:00:58 ID:/WYEXwH6vk
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10

1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10

2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10

3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)

あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)

>>2から本編になります!


213: ◆WEmWDvOgzo:2015/9/23(水) 22:36:21 ID:DKuSij4epo
タビラ「落石に閉じ込めた連中は片付いたなぁ?」

西の兵1「はい。それ以外は混乱し、隊形が乱れてます!」

タビラ「4000の兵を送り込め?崖下に取り残された後ろの残党を挟んで殲滅するんだ?」

西の兵1「ははっ!!」

西の兵2「第二陣への警戒はいかがいたしましょう!?」

タビラ「いらん、いらん。どうせ来やしねぇし」

西の兵2「!?」

タビラ「落石で迷路染みた断崖地に踏み込む度胸なんかねぇって?」ニヤリ

西の兵2「な、なるほど!」

タビラ「防衛拠点がねぇから侵攻するんじゃなくてなぁ…。
なんでここに防衛拠点がねぇのか考えねぇとダメなんだよなぁ?
わざわざ砦なんか作らんでも対処出来るだけの地の利があるからに決まってんだろうがぁ?」

西の兵2「がはは!間抜けな連中ですな!」

タビラ「やっぱこんなもんか。つまらんぜぇ…。可憐な女子達を待たせてるし終わらせちまうかなぁ?」

西の兵2「我々と奴らでは地力が違うのですよ!格の違いを見せてやりましょう!」

タビラ「うーし、俺に付いてこい。敵軍長の首をかっさらうぞぉ」

西の兵2「ははぁっ!!」
214: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 21:53:25 ID:87duYR6vE.
―――王宮―――

伝者1「報告します!!フィクサー総指揮が西の国境防衛拠点への攻撃を開始した模様!!現在、第1軍4万の兵が砦、陥落に先駆け、攻城戦を仕掛けております!!」

伝者2「ローレン国王率いる南国軍は現在、南西部の平野で西軍と睨み合っており、衝突は間近と思われます!」

政務官「ついに始まりましたな?」

ヒメ「安全な場所で報告を受けるだけの身じゃ、まるで実感が沸かないけどな…」ムスッ

政務官「…陛下の役目は戦況を見守り、兵を信じて国内の治世を保つ事です。戦いは軍に任せればよろしい」

ヒメ「ローレン様や宰相殿は自ら戦場に立って指揮を執ってるじゃないか?」

政務官「ローレン様は元軍師志望とあって兵法に聡い。
宰相殿は3国の代表では唯一"終わらない争い"を経験された方です。陛下とは立場が異なりましょう?」

ヒメ「ふん…」

政務官「戦況によっては、ここが戦場となる可能性も大いにございます。気を引き締めてお臨みください」

ヒメ「あぁ、分かってるよ…」

政務官「とりあえず開戦から今のところ目立った動きはなさそうですが…」

伝者3「報告!!東国軍ですが…トライド軍長率いる先鋒隊、2万が壊滅したそうです!!」

ザワッ

高官1「か、壊滅…早すぎないか…!?」オロオロ

伝者3「敵軍と当たらぬよう断崖地から兵を分けて侵攻を試みたそうなのですが…既に罠を張られていたと。
東国軍は一度、体勢を立て直す為に兵を下げたそうです…」

高官1「ど、どうするんだ!まだ始まって間もないのに!?」

政務官「ここからではどうも出来ん…。現地の指揮官に託すしかない…」

ヒメ「…援軍を送ろう。防衛に当たらせてる団長の隊に使いを!」

政務官「なりません!それではこちらの守備ががら空きになってしまう!」

ヒメ「このままじゃ東国軍はズルズルとやられるぞ!?」

政務官「宰相殿の判断に委ねるべきです!」

ヒメ「っ…他に報告はないのか!」

伝者3「……」フルフル

ヒメ「……!」
215: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 21:55:20 ID:87duYR6vE.
伝者1「フィクサー軍長の隊なのですが…」

ヒメ「」ピクッ

伝者1「不可解な動きを見せておりまして…」

ヒメ「不可解な動き?」

伝者1「はっ!副官のオドアイル様が1万の兵を率い、国境の防衛拠点とは大きく外れた地に向かっております」

ヒメ「…どこに向かってるんだ?」

伝者1「北側を進軍しているようなのですが…フィクサー軍長からは特に連絡を受けておりません」

政務官「どういう事だ…?フィクサー軍長には西国東側の国境攻略を命じた筈だが……」

ヒメ「…リルラ」

政務官「はっ!」

ヒメ「フィクサーはどういう人物なんだ…?」

政務官「私が知る限りでは…兵営の兵法学部を首席で卒業。
軍に所属してからは野党の集団や山賊、ホビット等の人里を荒らす族徒の討伐に当たっておりました。
それらの族徒が支配する山々や土地、合計6つの領土を平定して国土を拡大させた実績から若くして軍長の任に着いているとか」

ヒメ「…じゃあ酔狂で変わった行動に出たりするような奴じゃないんだな?」

政務官「そうですな。むしろ冷静沈着な完璧主義者と伺っております。
なにせ無駄なく効率的に戦局を進める手腕から預言者の異名を取る程の知略家ですからな」

ヒメ「……」

政務官「副官の妙な動きも…何か狙いがあっての事かもしれません」

ヒメ「一度、様子を見てみるか…」

政務官「はっ!」
216: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 21:57:31 ID:87duYR6vE.
〜〜〜夜〜〜〜

―――西の国(北東部・東国軍本陣)―――

宰相「…おのれぇ!!」ダンッ

東国軍長2「西国の内部に侵攻し、虚を突く手筈が…まさか逆に虚を突かれるとはな」

東国軍長3「ひとまず本陣は下がらせたんだ…。敵も地の利を手放してまで追っては来るまい」

東兵1「申し訳ございません…!申し訳ございません…!」ボロボロ

東兵2「わ、我々も…追撃を逃れるので精一杯で…」

宰相「お前達を責めているのではない…。私自身の不甲斐なさに怒りを覚えるのだ…!」

東兵's「……」

宰相「よくぞ帰ってきてくれた…!お前達が戻らなければ今頃、我々も断崖地に踏み入れ、罠の餌食となっていたかもしれん!」

東兵1「も、もったいなきお言葉…!」ウルッ

東兵2「くぅぅ…!」グシッ

宰相「下がってよいぞ。傷付いた体を休めておけ」

東兵1&2「はっ…!」
217: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:00:28 ID:87duYR6vE.
宰相「作戦開始から初日の段階で2万の兵ばかりか…大事な指揮官まで失わせてしまった…!とんでもない失態だ…!」ググッ

東国軍長2「悔やんでも結果は変わりませんぞ。宰相閣下」

東国軍長3「然り…今、我々が成すべきはこのまま断崖地の攻略に臨むか、別の方法を取るかを早々に決め、戦局を立て直す事です」

宰相「うむ…。取り乱してすまんな…。まず両者の意見を聞かせてくれ」

東国軍長2「全軍を引き下げ、改めて別経路を探るべきです。
断崖地に敵軍が潜んでいるとなれば侵攻しても無駄に兵を消耗するだけでしょう」

東国軍長3「同意だ。敵の数も不明な上、更なる罠が仕掛けられているとも限らん。深追いは避けた方がいい」

宰相「…分かった。全軍に退却命令を……」

バサッ

見張り1「報告です!!」ザッ

東国軍長2「なんだ、貴様は?軍儀の最中だぞ!」

見張り1「も、申し訳ございません!い、急ぎ報告せねばならぬ事が!?」

宰相「何があった…?」

見張り1「北側と東側より大軍が迫っていると…!」

宰相「なっ…」ガタッ

東国軍長2「なんだとぉ…!?」
218: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:01:58 ID:kFMVoMRQpc
見張り1「おそらく我々が敵の防衛拠点の合間を縫って進軍したのを悟り、挙兵して背を追ってきたものと思われます!!」

宰相「……」ジーッ

東国軍長2「な、なぜこんなにも早く…!?」

東国軍長3「ありえん…!先ほどの断崖地での戦闘後に伝達されたとしても…ここに到達するには明日の夕刻までは掛かる筈だ!?」

宰相「そ…そういう事か!」ハッ

東国軍長2「宰相閣下…!?」

東国軍長3「何かお気付きに…!?」

宰相「我々は最初から誘い込まれていたのだ。この地にな…!」ギリッ

東国軍長2「ば、バカな…どこから情報が…!?」

宰相「情報が漏れたのではない!!」

東国軍長3「なっ…では何故!?」

宰相「この西国本土に通じる断崖地は…そもそもこうなるように配置されていたんだ!!地図を確認してみろ!?」バンッ

東国軍長2「」ジッ

東国軍長3「」ハッ

宰相「分かったか…!」

東国軍長2「二つの防衛拠点を挟んで奥まった地にある断崖…よく見れば構図が見事な三角形になっている…!」

東国軍長3「ここを通るには岩山に囲まれ、枝分かれした迷路のような道を通る必要がある…。
先鋒隊を買って出たトライドの軍はここで罠に嵌まり、全滅させられてしまった…」

宰相「そうだ!警戒した我々は一度、軍を防衛拠点と断崖の中間地点まで下がらせ、戦況を立て直すべく、ここに本陣を移したが…」

東国軍長3「つまり防衛拠点を通過出来る安全経路に見せかけて断崖地に誘導し、罠に嵌めて足止めを喰らわせ、二つの防衛拠点から背後に兵を寄せて我々を挟んだということか…!」

東国軍長2「で、では我々がこの経路を選んだ時点で既に勝負は着いていたのか…!?」ブルッ

宰相「敵はここで文字通り"全滅"させる気なのだ…!」ギリッ
219: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:05:39 ID:87duYR6vE.
東国軍長2「どこまで迫っている!?」

見張り1「た、退路を塞いで中央に構えています…。松明の数からして明らかに万を越すものかと…」

東国軍長2「夜戦を仕掛けてくる気はないようだな…。明け方と共に一気にケリを着けるつもりか!」ギリッ

宰相「二つの防衛拠点から兵を興してきたのなら…その数はおよそ6万…今の我が軍と同等の戦力か」

東国軍長2「…闇に乗じて奇襲を狙いますか?」

宰相「いや、この闇の中で肉迫すれば自軍の隊形が乱れ、バラバラになってしまう…」

東国軍長2「では一か八か全軍で断崖地の攻略を目指しますか?」

宰相「…落石で地形を変えられ、我々の得た地理情報は全て無に帰してしまった。不用意に飛び込んでも罠の餌食となるだけだ!」

東国軍長2「手詰まり、か…!」

宰相「ヒメ国王とローレン国王に申し訳ない…!真っ先に本土を目指し、作戦の要となる筈だった我が国が……真っ先に敗れ去るとは…!」ググッ

東国軍長3「…宰相閣下、項垂れるのはまだ早い」

宰相「なっ……!」

東国軍長3「この戦い、何がなんでも爪痕を残さねばならぬ」

東国軍長2「…手があるのか?」

東国軍長3「手などない!!」

東国軍長2「……!?」

東国軍長3「だが何もせず敵の手に落ちるのなら…死に者狂いで光明を探すぞ!!
でなければ立ち上がってくれた国民、友軍…何より亡き陛下に申し訳が立たぬ!!」

宰相「!」ハッ

東国軍長2「ブルードル陛下…!」グッ
220: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:08:43 ID:kFMVoMRQpc
東国軍長3「宰相閣下、どうか私に1万の兵をお預けくださいませ!」

宰相「ど、どうする気だ!?」

東国軍長3「背後の6万は私がお引き受け申す。宰相閣下らは断崖地へ進んでくだされ!!」

宰相「だ、だが!」

東国軍長3「もはや一刻の猶予もない!夜が明ければ敵の攻撃を受け、我が軍は本当に壊滅してしまう!!」

東国軍長3「迷ってはおれません!何しろ対策など打ちようもない状況です!我々に出来る事は…ここで死を覚悟し、がむしゃらに突き進むのみ!!」

宰相「……!」

東国軍長3「1秒でも多く時を稼いでみせます!あとは頼みましたぞ。宰相閣下!」

宰相「(陛下の想いを受け継ぐと誓っておきながら…なんと不甲斐ない有り様だ)」

東国軍長2「ここで宰相閣下に死なれては東国の滅亡に繋がろう?断崖地の突破は俺が請け負うので閣下は今すぐ避難を……」

宰相「いや…私が出なければならない」

東国軍長2「は…!?」

宰相「そもそも軍が倒れれば抑止力を無くし、東国は終わりだ。ならば私が先頭に立ち、士気の増幅に努めよう!」

東国軍長「な、何を言っているのです?」

宰相「初戦の敗北に伴い、兵達は明らかに不安を感じているだろう。その上で総軍指揮の私が離脱すれば軍全体の士気に関わる!」

東国軍長2「し、しかしですな!宰相閣下は国王の後任であらせられる身!つまり貴方様の命は東国その物と考えて差し支えない!!」

宰相「…確かに先代がご存命で私が貴公らの立場にあれば迷わず避難を促しただろう」

東国軍長2「そ、その通りです!考え直していただけましたか!?」

宰相「だが私は誰よりも先代の気性を存じている…」

東国軍長2「……!」

宰相「ブルードル陛下であれば誰になんと言われようと我らを見捨てて逃走したりはしない!!」

東国軍長2「……っ…!」

宰相「夜明けと共に出陣だ!心して掛かれ!!」

東国軍長2「は…ははっ!」ザッ

東国軍長3「委細承知!!」ザッ

宰相「(私は絶対に諦めぬぞ…!東国の光を沈ませはしない!!)」
221: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:09:20 ID:kFMVoMRQpc
―――西国北東部(断崖地)―――

ドッドッ ドッドッ

西兵3「いたか!?」

西兵4「向こうの報告は!?」

西兵5「ダメだ!見当たらん!!」

西兵1「軍曹!!」

タビラ「わぁーってるよ!いないんだろぉ?」

西兵1「はっ!奴らのいた地点にはおよそ1000騎ほどの馬が取り残されています!」

タビラ「目立つ馬を捨てて身一つで潜伏したか…。なかなかお利口さんじゃねーの?」

西兵1「奴らは一体どこに…!」

西兵2「もしや…味方を待たずに本土へ進んだか!?」

タビラ「だとしたら無謀通り越して単なるバカだ。ほっといても問題ねぇ、が…それはありえないなぁ?」

西兵2「え…?」

タビラ「砂地に不向きったって、さすがに馬の方が速やかに動くし移動の体力的にも助かるだろ?
それを捨ててまで歩いて本土へ向かうか?1000やそこらの兵力で?」

西兵2「…た、たしかに」

タビラ「まだ隅々まで探した訳じゃねーし、こう暗くちゃやりづれーよ?後はお前らでやれ?」

西兵1「はっ!」

タビラ「どうせ夜が明けりゃ東国軍は総崩れだ?お前らもぼちぼちしたら戻っていーぞ?」

西兵1「そ、それもそうか」

西兵2「馬はどうします?」

タビラ「食用に確保しとけ?馬肉は精がつくからな?」

西兵2「ははっ!」

タビラ「じゃ、俺は一足先に上に戻って可愛子ちゃん達と肉弾戦してくっかな」パシンッ

ドッドッ ドッドッ
222: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:10:02 ID:kFMVoMRQpc
―――断崖上の高地―――

タビラ「おーう、かえっ……た…ぞ?」ピタッ

ボォォォォオオオ

ヒュールルルル

トライド「遅かったな。西国の蛮人共!」

兵士長1「わはは!先回りさせてもらったぞ!今度はこちらが反撃する番だ!」

タビラ「」ポカーン

トライド「貴様が隊長か?」

タビラ「どうなってんだ…?お前ら、一体どうやって…?」

トライド「偵察隊と合流した後、貴様らの追撃を察知し、馬を置いて夜まで潜伏していた」

タビラ「ど、どうして、ここに…?」

トライド「足跡を辿って崖上に通じる道を発見し、闇に乗じて攻め落としたまでだ!」

タビラ「……!」

トライド「そちらの本隊が呑気に我々を探索している間になぁ!」

タビラ「…女は!?」

トライド「は…?」

タビラ「そこにストックしといた女達はどうしたか聞いてんだよ!?」ガァーッ

トライド「……」

兵士長1「……」

タビラ「まさか殺したんじゃねぇだろうなぁ…!?」

兵士長1「い、慰安婦や非戦闘要員は捕虜として捕らえてあるが傷付けてはいないぞ!我々は貴様らとは違うからな!」

タビラ「ほっ…そうか、そうかぁ…」

トライド「よほど大切な存在なんだな?」

タビラ「あぁ、大切な穴さ?」

トライド「あ、あな…?」チンプンカンプン
223: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:13:24 ID:kFMVoMRQpc
タビラ「にしたって俺が出し抜かれちゃうなんてなぁ…。君たちド素人にしちゃ頑張ったもんだ?」

兵士長1「ナメるなよ…!我々は何年もこの日を待ち望んでいたんだぞ!」

トライド「貴様らに奪われた子供らの命…遺族の怒り…陛下の悲しみ…それら全てが執念となって、この日に集ったんだ!!」

タビラ「…」ゴソゴソ

トライド「貴様らの思う以上に我々の復讐心は強い…!この激情は西国人の血でしか洗い流せん!!」

兵士長1「覚悟し……」

タビラ「」ピピーッ!

トライド「!?」

タビラ「俺の隊は笛の音に呼応するよう教育してある。ここまで登って来るのも時間の問題だ?」

トライド「なに…!?」

タビラ「復讐だ、なんだ、おたくの事情はよく知らんけど…文句があんならかかってこいよ?」

トライド「……!」ビキッ

兵士長1「卑劣な真似ばかりしておきながら…なんだ、その言い種はぁ!?」ズイッ

タビラ「んな安っぽい劇みたいなやりとりはいらねーんだって?君たち、分かってる〜?」

兵士長1「あぁ…!?」ギロッ

タビラ「俺たちは戦争やってんだぜ?」ニヘラッ

トライド「」ピクッ

タビラ「分かったら、とっとと得物を構えなぁ?とことん戦争しようぜぇ!」ニヤニヤ

兵士長1「ば、バカな!貴様一人に何が出来る!?」

ドッドッ ドッドッ

トライド「」ハッ

タビラ「ほれほれほれぇ!はえーとこ指示を出してやんないと部下たちが登ってきちゃうぞぉ!?」

トライド「迎撃準備だ!重歩兵、600で守備陣を固め、崖道を封鎖しろ!?
弓兵は援護射撃だ!登ってくる敵兵にありったけの矢を見舞ってやれ!!
残りの歩兵達は敵が設置した罠や落石を最大限、活用して敵兵力を削るんだ!?」バッバッ

オオォォオォオオオオ!!!
224: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:16:24 ID:kFMVoMRQpc
タビラ「死になぁ!!」ザウッ

ガキィィンッ!

トライド「ぐっ…!」ギギギッ

タビラ「へぇっ…!?」ギギギッ

トライド「ずぁっ!!」ガインッ

タビラ「おっと…!」ズザザッ

兵士長1「弓、引けぃ!!トライド軍長をお守りしろ!!」バッ

東弓隊「」キリリッ

タビラ「臆病者の東国民にゃ一騎討ちする気概もないか!?」

トライド「なんだと!?」

タビラ「俺を卑怯者呼ばわりするなら男らしく戦ってみろよぉ!?」

トライド「…誰も手を出すな!俺が仕留める!?」ジャキッ

タビラ「そうこなくっちゃなぁ…」ジャキッ

兵士長1「何を言ってるんですか!れ、冷静になってください!」

トライド「指揮はお前に任せたぞ!」ダッ

タビラ「ヘイヘイ!」ブンッ

ガッ ガキンッ ギギギッ ギィンッ

兵士長1「何をしてるんだ!敵の指揮官が無防備にも孤立しているんだぞ…!
起死回生の一手とも言える夜襲で得た地の利を手放さぬ為にも早々に討たなければ…!?」

東兵3「兵士長!敵部隊と重歩兵が交戦しておりますが騎馬の突進力に押されています!」

東兵4「弓兵の援護のみではもちません!指示をください!!」

兵士長1「くっ…向こうの岩山に弓兵を移せ!真横から馬を狙い射ち、崖から転がしてやれ!」

東兵5「下に続々と敵が集まっておりますが!」

兵士長1「ならば軍長の指示通り敵の準備していた罠を使え!?
岩が無くなったら松明でも、その辺にある石でもいいから下にガンガン投げ付けろ!?」

東兵's「ははーっ!」

兵士長1「くそっ…!潜伏する為に馬を捨てたのが仇となったか…!」
225: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:19:15 ID:kFMVoMRQpc
ガッ キンッ ガガッ

ガィンッ!

タビラ「……!」ビリビリ

トライド「……!」ビリビリ

タビラ「くっ……ぎゃはははは!!」

トライド「…なんだ?何がそんなに可笑しい?」

タビラ「別にぃ…?」ニヤニヤ

トライド「……?」

タビラ「その戦力じゃ俺を倒しても登ってくる部下たちに押し切られて全滅かもなぁ?分かってる〜?」

トライド「…分かってるとも」

タビラ「ほんとかぁ…?」ニヤニヤ

トライド「だが…ここで倒れても後を任せられる方が控えている!」

タビラ「捨て石でいいのかぁ…?」ニヤニヤ

トライド「あぁ、構わない」

タビラ「バカな奴だねぇ…。生き残ってなんぼだろ、戦争ってのは?」

トライド「それなら貴様はなぜ戦うんだ?」

タビラ「俺かい?そりゃもちろん…でっかい報酬目当てさぁ?」ニヘラッ

トライド「報酬…?」

タビラ「それがなきゃやってらんねーよ。何が悲しくて危険を犯すんだ?」

トライド「我々の目的は子供らを奪い、陛下を殺した貴様らへの報復だ…!」

タビラ「あくまでお国の為か。くっだらないなぁ〜…」

トライド「それ以上のものがあるとでも言うのか…!?」

タビラ「あるさ?」

トライド「!?」

タビラ「俺はこの戦いで手柄上げて女王を抱くんだ!!」

トライド「……ん?」
226: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:23:27 ID:kFMVoMRQpc
タビラ「あのボインボインを揉みしだいてぇ…くびれた細い腰を撫で回してぇ…豊潤で艶っぽい唇をこれでもかと貪ってぇ…とにかくムチャクチャにしてやりてぇ…!!」ハァハァ

トライド「……」アゼン

タビラ「その為なら、なんだってするさぁ…!じゃなきゃ俺たちには一生、順番が回ってこないからなぁ…!?」ハァハァ

トライド「…正気か?」

タビラ「俺は飯より睡眠より女が好きでなぁ…!いつだって俺の頭にゃ女の事しかないのさ…!」

トライド「そんな理由で武器を持ち、兵を率いて自国民をなぶり殺すのか…!
他国の領地に侵入し、幼子を拐かすのも…お優しい王を暗殺したのも…そうさせたのは己の欲望からか!?」

タビラ「ぎゃっはっは!何を熱くなってんだか知らないが…あの女王は絶品だぞぉ?
これまで何十もの女を抱いてきた俺がよぉ…一目で勃〇しちまったくらいだぁ!?」ゲラゲラ

トライド「……!」ブチィッ

タビラ「あぁ…?」

トライド「はぁぁぁああ!!」ビュバッ

タビラ「くぉっ…」ガッ

トライド「るぁあああ!!」キィンッ

タビラ「っ…!?」ドサッ

トライド「色欲魔め…!恥を知れ!?」ジャキッ

タビラ「ってて…いてぇじゃんよ」スリスリ

トライド「あぁ…!?」

タビラ「ほんとに戦争ってのをなんにも分かってないんだなぁ…?」パッパッ

トライド「どういう事だ…!?」
227: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:28:43 ID:87duYR6vE.
タビラ「この国じゃよぉ…なんだって奪い合いだ…?」

タビラ「飯を食うにも寝床を確保するにも持ってる奴から奪わなきゃならねぇ…。
それが出来ない奴は労働施設に売り飛ばされるか、徴兵に駆り出されるか…のたれ死ぬかだ?」

タビラ「その点、女はいいよなぁ…?よっぽどブスでもない限り持ってる奴に引っ付きゃ最低限の生活にありつけるんだからさぁ…?」

タビラ「だが女っつーのはそれでいいんだ…。そうでなきゃいけない…。
持ってる男に女は群がる…。だから男は気合い入れて、とことん奪ってやろうって腹ぁ決められんだ…」

トライド「くだらん!!幼稚な思考だ!?」

タビラ「分かってないねぇ、君たちぃ〜?」ニヤリ

トライド「なにぃ!?」

タビラ「西の国は広い国土と豊富な資源、んでもって輝く宝石が有り余る大国だ?
行き渡らせれば貧困なんかあっちゅう間に解決する?だがそうしないのは……」バッ

トライド「!?」ピクッ

タビラ「持ってる奴らにゃ何の得にもならねぇからさぁ!?」ブンッ

トライド「うおっ!?」ギンッ

タビラ「そりゃそうだなぁ!?貧しさを知れば知るほど富のありがたさがウンと分かる!!」ビュンッ

トライド「おっ…!?」ズドッ

タビラ「欲しけりゃ奪え…。奪われたら倍、奪い返せ…。泣き言なんか聞きたくもないねぇ!!」グンッ

トライド「おっ…ごぇ…!?」ズボッ

タビラ「貧乏人が食ってくには軍に入るしかないんだよ…。んで軍人がのし上がるには戦争しかないのさぁ?」ピシュッピシュッ

トライド「ぼはぁっ!!」ゴフッ

タビラ「お前らだけじゃねぇ…。全世界から奪ってやる…!
奪い尽くして…たっぷり膨らんだモンをまた奪い合うのさぁ!?ひっ…ひひ!ヒャアハハハハ!!!」ゲラゲラ

トライド「く…そっ……きさ、まぁ…!」ググッ

ヒュンッ

タビラ「ハハハばぁぁっ!!」ドスッ

トライド「!?」

タビラ「はっ…はっ…はは……」フラッ ヨロヨロ トットトト

タビラ「」バタッ
228: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:31:16 ID:kFMVoMRQpc
兵士長1「トライド軍長!ご無事ですか!?」タタタッ

トライド「っ…な、ぜ?」ゼェゼェ

兵士長1「一騎討ちを汚した罰は後でいくらでも受けます!?」ガバッ

トライド「うっ…ぐ!」ズキンッ

兵士長1「こ、これは…脇腹を見事に貫通しておりますな…!」

トライド「……敵は…!?」ボタボタ

兵士長1「今はなんとか凌いでおります…。とにかくお身体を休め、後方の医療班の手当てを受けましょう!!」

トライド「いい…!」

兵士長1「は…!?」

トライド「もう…ごほっ!たす…からん」ゴホゴホ

兵士長1「な、何を弱気になっているのですか…!?」

トライド「…のろ、しを……」

兵士長1「喋らなくていい!安静に……」

トライド「狼煙を上げろぉ!!」

兵士長1「」ビクッ
229: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:34:39 ID:87duYR6vE.
トライド「今なら…ここに引き付けている今なら…本隊は断崖地を突破できる…!」

兵士長1「……!」

トライド「我々は…敵を一時でも長く…ここに留めるんだ…!」ゼェゼェ

兵士長1「……」

トライド「共に…死んでくれるか…?」ジッ

兵士長1「分かりました。用意します」コクッ

トライド「…すまんな…。頼り…ない、指揮官で…?」

兵士長1「…いえ、必ず良い報せを持って、そちらに参ります!」

トライド「たの…しみ、だ」フッ

兵士長1「後は我々にお任せください…」グッ

東兵6「兵士長!敵に押し込まれております!!」タタタッ

兵士長1「…歩兵を出して守備陣を分厚く固めろ!それから狼煙を上げて本隊に交戦を知らせるんだ!」

東兵6「ははっ!!」

兵士長1「ただではやられないぞ…!蛮人共め…!?」ギリッ

兵士長1「踏ん張れぇ!!東国人の意地を西の蛮人共に見せつけてやるんだぁ!!」

オォォォオオォオオオ!!!
230: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:35:37 ID:87duYR6vE.
〜〜〜夜明け前〜〜〜

東国軍長2「宰相閣下、出撃準備が整いました」

宰相「うむ、私はいつでも大丈夫だ…」

東国軍長3「ふん…背後の敵陣から早速、突撃の狼煙が上がりましたな」

宰相「すまん…」

東国軍長3「何をおっしゃる?東の国に殉じて死ねるのなら本望ですとも?」

東国軍長2「頼んだぞ…!」

東国軍長3「おう、任せ……ん…?」ピクッ

東国軍長2「どうした?」

東国軍長3「おい…向こうからも狼煙が上がってるぞ?」

宰相「なに…!?」

東国軍長2「…断崖地から我が軍の狼煙が?」

宰相「ま、まさかトライド軍長の部隊が生きていたのか!?」

東国軍長3「もしそうだとしたら、この機をむざむざ逃す手はないな…!」

東国軍長2「だ、だが罠かもしれんぞ!?」

宰相「いや、最初から罠に飛び込む気構えで臨んでいたんだ。やる事は何も変わらん」

東国軍長3「これで心置きなく逝けるというものよ…!」

東国軍長2「っ…!?」

東国軍長3「宰相閣下!御武運をお祈りしておりますぞ!」クルッ

宰相「うむ!勝利を約束する!!」

東国軍長3「…行くぞ!!我と共に死ぬ覚悟あらば全身全霊を持ってして突撃せよ!!」パシンッ

ヒヒーン!

ドドドドドドドッ

宰相「我々も行くぞ!!」

東国軍長2「はっ!何がなんでも断崖地を突破し、本土へ入るぞ!宰相閣下に続けぇっ!!」パシンッ

オオォォオォオオオオ!!!
231: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:36:46 ID:87duYR6vE.
〜〜〜昼〜〜〜

―――西の国・東側防衛拠点―――

王国兵隊長「兵は出払ってがら空きだ!門をこじ開けてやれ!!」

ガガッ ガガッ

バリーンッ ガシャッ ガラガラ ドゴォッ

バッカァァン

パカラッパカラッ パカラッパカラッ

ドドドドドドドッ

ヒィィィィイイイイイ!!!

王国兵隊長「よぅし!!住民共を殺して回れ!?」

ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュッ

ドスドス ドスドス

ギャアアアアアアアアアア!!!

王国兵隊長「家屋に火を放てぇ!?西国民の財産は一つ残らず焼き尽くすんだぁ!!」

バッ ボォオオオオオ

ワァーワァーギャーギャー

ダダダダダダダッ

ザシュッ ドバッ ズブッ ゴシャッ

ギャアアアアアアアアアア
232: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:40:13 ID:kFMVoMRQpc
―――西の国・北側防衛拠点―――

王国兵1「報告致します!東側防衛拠点、陥落とのこと!!」ザッ

副官「よしよしよし、うん。じゃあ報告がてら勝利の狼煙をね、上げてきちゃってちょうだいよ」

王国兵1「はっ!!」ダッ

副官「さ、て、と…こうして砦も落としたし君らの処遇を決めようか?」

西の捕虜's「」ブルブル

副官「や、まぁそんなね、怯えなくともさ?国王様から略奪や殺戮は許さないとのお達しだからね?」カッカッ

西の捕虜's「」ホッ

副官「や、でもね…。もしも君らがこちらの寛大な処置に感謝して財貨や兵糧を譲ってくれたりなんかしたら…多少の厚遇もやぶさかではないかもなぁ〜?」カッカッ

西の捕虜's「」ビクッ

副官「まぁしかし誇り高き西国民であるからには敵に大事な大事な財産を差し出すくらいなら死を選んだとしても…うん、不思議じゃない?」ピタッ

副官「例えば…我々の目を盗んでバルコニーから飛び降りてみたり…隠し持っていた武器で自害してみたり?」ニヤリ

王国兵's「」ジャキッ

ヒィィィィイイイイイ!!!

副官「賢い人は頭を床に付けなさい」

ガンッガンッ ガンッガンッ ガンッガンッ

副官「そんな勢いよく打ち付けんでも…?怪我するよ?」

西の捕虜1「お許しを…!命ばかりは…!」ズリズリ

西の捕虜2「私達は関係ないです!国に強制されて奴隷のように働かされているだけなんです!」ズリズリ

西の捕虜3「お願いします!助けて!殺さないで!」ズリズリ

西の捕虜4「なんでも差し上げますからぁ…!」ズリズリ

副官「うんうん、いいですよ。じゃあ誰か一人、内部に詳しい人を解放してあげなさい?」

西の捕虜1「わ、私が案内します!」

王国兵2「よし!妙なマネはするなよ?」スパッ

西の捕虜1「はい…!」シュルリ
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