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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編その2】
[8] -25 -50 

1:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:00:58 ID:/WYEXwH6vk
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10

1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10

2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10

3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)

あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)

>>2から本編になります!


193:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/9/18(金) 21:32:45 ID:1ddY1OvGrg
―――王都(王宮)―――

宣教師「どういう事なのですか!」バンッ

役人1「どうもこうもない。とっくに決まった事だ」

宣教師「あなたでは話になりません!国王を呼んでください!」

役人1「な、なにぃ…?こっちはわざわざ政務の合間を縫って対応してやってるんだぞ!
この多忙な時期に突然、押し掛けて国王に謁見賜ろうなど思い上がりも甚だしい!」

宣教師「説明もなく、こんな要求を押し付けてきたのはそちらでしょう!」バサッ

役人1「だからなんだ!国の決定に逆らう気か!」

宣教師「国民の権利を無視して法案を通すのですか?民を主とした国家に違反してますよ!」

役人1「ああだこうだと喚くな!いかがわしい宗教団体の分際で……」

宣教師「いかがわしいとは聞き捨てなりませんね!私達は公式に認められた慈善活動家ですよ!」

役人1「くっ…」

ガチャッ

政務官「何事だ」

役人1「り、リルラ政務官…」

政務官「言い争う声が廊下にまで響き渡っているぞ」

役人1「こ、この女が怒鳴り込んできまして…人の話も聞かずにずけずけと騒ぎ立てるんですよ」

宣教師「話を聞いてないのはあなたでしょう!私はただ納得のいく説明を求めてるだけです!」

役人1「だから何度も言ってるだろ!国の決定であると!?」

宣教師「そんな雑な説明でどう納得しろと!?」

政務官「分かった、分かった…。お前は仕事に戻っていい。私が話を着けよう」

役人1「え?いや、しかし政務官の手を煩わせるまでも……」

政務官「下がれと言ってるんだ?」ギロッ

役人1「うっ…は、はい…」シブシブ
194:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/9/18(金) 21:35:10 ID:1ddY1OvGrg
政務官「では改めて要件を伺おうか」

宣教師「この法案の概要と教団に対する命令、二つの説明を求めます」バサッ

政務官「…書いてある通りだ。我が国はこれより西の国打倒に向けて軍備を整える」

宣教師「なぜ国民の意思も問わず戦争をするのですか!?」

政務官「…国王自らが打ち立てた決定だ」

宣教師「ヒメくんが…!?」

政務官「そちらもある程度の事情は聞いているのだろう?」

宣教師「知ってますけど…彼に限って、そんな決定する筈がありません!」

政務官「西の国による被害が本格化しているとしてもか?」

宣教師「え?」

政務官「先日、南と東の両国王が暗殺された件は知っているな?」

宣教師「は、はい…」

政務官「これが何を意味するか分かるか?」

宣教師「た、大変な事態かと…」

政務官「世界的に見ても稀…というより、絶対にあってはならない一大事だ」

宣教師「……!」
195:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/9/18(金) 21:37:26 ID:1ddY1OvGrg
政務官「確実に言えるのは…今回、国王陛下の下された決定は紛れもなく英断であった」

政務官「なにせ二つの国の象徴が易々と剥ぎ取られ、丸裸同然にさせられたのだ。この事実は各国に激震を与え、どの国も現在、戒厳令が敷かれている」

宣教師「で、ではなぜ3国だけで対処するのですか?同盟国で力を合わせれば……」

政務官「そうもいかないからこそ早期の対応が迫られているのだ」

宣教師「?」

政務官「理由はいくつか挙げられるが…まず此度の連合軍結成は同盟国を通さず打ち上げた物だ」

宣教師「そ、それなら打ち上げた後でお声かけすればいいのでは?」

政務官「幼い王の立つ国が盟主に掲げられ、王を失った危うい統制下にある2国を率いて戦う…端から見れば無謀極まりない話だ?」

宣教師「どの国も立ち上がらないと…?」

政務官「立ち上がるどころか警戒視されている」

宣教師「え?な、なぜです?」

政務官「この連合勢力は同盟から独立した組織と見なされているからだ」

宣教師「な、なんだか…難しいんですね?」

政務官「当然だ。思惑の数だけ話は拗れ、キリのない問題に追われれば疑心暗鬼に駆られる。
そこで様子見を決め込むか、打って出るか…どちらにしろ正解は永久に出ない」

宣教師「永久に…?」

政務官「たとえ今は良い結果を残したとしても…ここから先、100年後か200年後か分からないが…その経緯が何か恐ろしい事態に結び付く可能性が無い訳ではない」

宣教師「っ…」ゴクリ

政務官「我々がいかに頭を悩ませ、議論したところで保障してやれる未来など2、3年がせいぜいだ?
その保障さえ確信ではなく、"おそらく"といった勘に留まる」

宣教師「せ、政治についてはよく分からないですが…本当に…どうにもならないのですか…?」

政務官「なるべくなら戦闘は回避したいが…残念ながら手を尽くした上での決定だ」

宣教師「そんな……」

政務官「貴方は私より余程、陛下の性格をご存知だろう」

宣教師「はい…」

政務官「その陛下が誰に指図を受けるでもなく…御自身で決められた答えだ」

宣教師「……」
196:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/9/18(金) 21:43:07 ID:1t/IcgHa3c
政務官「次はこちらの要求に関する説明だったな?」

宣教師「は、はい」

政務官「司祭殿には教団の代表として想定される反対運動の鎮静化に当たってもらいたい」

宣教師「鎮静化…ですか?」

政務官「各地の拠点確保は軍部の対応が早かったので難なく済んだが住民の移動に手間取っているようでな。
速やかに戒厳令を敷けるよう教団の方で促し、各聖堂を避難拠点として移住するよう伝えてもらえないか?」

宣教師「分かりました…」

政務官「それから教団員の中で医術に長けた者を300名ほど貸し出してほしい。軍の医療班だけでは心許ないのでな」

宣教師「…教団員も戦場に行かされるのですか?」

政務官「あぁ、だがそれは民も同様だ。既に徴兵制度を設け、各地から若い男手を募集している」

宣教師「……」

政務官「強制ではない為、実際はほとんど集まっていないが…君達も危機感を持った方がいい」

宣教師「……?」

政務官「戦場に出れば確かに命を落とす確率は高まるだろう。
だが誰も立ち上がらなければ軍が機能しなくなった際には守る者がいなくなるのだ」

宣教師「……!」

政務官「"戦争"という語句のみに目を向ければ為政者の勝手な都合に思えるのも分かる。
しかし陛下は西の国土や利益目的で戦いを決意したのではない」

宣教師「」ズキンッ

政務官「国を…民を…仲間を…ひいては自分自身を守る為に道を切り開こうとなさっておられる」
197:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/9/18(金) 21:59:00 ID:1ddY1OvGrg
政務官「貴方が争いを望まれないのは承知している。
教団で平和を叫び、反対運動を起こせば民や教団員が巻き込まれる心配はなくなるだろう」

宣教師「……」

政務官「平和を口にし、いずれ来る滅びを待つか…多くの血と犠牲を引き換えに新たな平穏を掴み取るか…」

宣教師「…話は分かりました」

政務官「お…?」

宣教師「教団の代表として全力で後方支援に務めると約束しましょう…」

政務官「…正直、驚いている」

宣教師「はい…?」

政務官「すんなり聞き分けてもらえるとは思っていなかった…」

宣教師「…私だって本心ではお断りですよ」

政務官「……?」

宣教師「きっとヒメくんも…こんな気持ちで決断を下したのでしょうね」

政務官「…あぁ、幼い陛下に負っていただくには、あまりに辛い役回りだ。
勝敗に限らず、恐ろしく根深い問題が無数に産まれ、過酷な道を約束されるだろう」

宣教師「…裏で通じて民意を抱き込み、民を煽動するなんて、まるで以前の王国と教団ですね」

政務官「だが今回は意味合いが異なる」

宣教師「えぇ、分かってます」

政務官「それならいい。話は終わりだ」ガタッ

宣教師「変わられましたね…?」

政務官「?」

宣教師「ヒメくんと家臣の方々の関係も…あなた自身も?」

政務官「そう思えるなら…やはりこの国を変えられるのはあの方の他にいないということだろうな」

宣教師「…背負いますよ。私も共に?」

政務官「あぁ、頼む」スタスタ

ガチャッ バタンッ

宣教師「……」
198:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/9/18(金) 22:00:04 ID:1ddY1OvGrg
〜〜〜〜〜〜〜〜

―――南の山脈(山間の村)―――

ワイワイギャーギャー

ドタバタ ドタバタ

教徒「移動の準備が済みましたら慌てず焦らず教団員の指示に従って列に並んでください!
お子様、老人、女性優先でお願いします!なお病気や怪我を負われてる方も対象です!」

ゾロゾロ ゾロゾロ

部隊長1「食糧はこっちだ!金具はそっちの荷車に積むんだ!家畜は向こうの輸出用馬車に押し込め!」テキパキ

ボスッボスッ ガラガラ

役員「せっかく築き上げた農耕地が…大事に育ててきた家畜や作物が…全部、全部……」ヨロッ

部隊長「兵糧の回収を済ませたら一帯に聳える木々を切り倒し、整地して防衛拠点の増築に取り掛かれ!!」

王国兵's「ははーっ!!」

役員「うぅ…そっだらことしちゃなんねぇだ!周辺の土地さ、50年は禿げ上がっぞぉ…!?」ワナワナ

家畜商「諦めっぺ、村長」ポンッ

役員「うっ…うぅ…ちくしょう…ぢぐじょ〜〜〜!!」メソメソ

家畜商「せっかく村さ、でっかくなりかけてただっつーに…世知がれぇなぁ」

教徒「…す、すみません。後がつかえてるんで立ち止まらないでもらえますか?」オズオズ

家畜商「おう、わりぃな、兄ちゃん。ほれ、村長行くべ?名残惜しむのもほどほどによ?」スタスタ

役員「くぅぅっ…」メソメソ

教徒「……」シュン
199:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/9/18(金) 22:00:51 ID:1ddY1OvGrg
―――山間の村(門前)―――

ワイワイガヤガヤ

王国兵1「こんなホビットの小娘を連れてくのか…?」

王国兵2「おう、なんでも人智を越えた大層な医術をお持ちだそうだ?」

クーペ「……」

王国兵1「ふーん…まぁいいや。乗れ?」

クーペ「はい…」トットッ

ココット「お姉ちゃん!」タタタッ

クーペ「」ピクッ

ココット「はぁっ…はぁっ…」ゼェゼェ

医術師「ふぅ…間に合ったか」スタスタ

王国兵1「またホビットか?こいつも医術を?」

王国兵2「いや…知らん?」

クーペ「ココット…」

ココット「……!」

医術師「水くせぇな?何も言わずに行くつもりか?」

王国兵1「お前の知り合いか?」

クーペ「…少し、お時間を頂いても?」

王国兵1「少しならな?」

クーペ「ありがとうございます…」ペコリ
200:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/9/18(金) 22:01:27 ID:1t/IcgHa3c
クーペ「…どうしてここにいるの?避難したんでしょ?」

ココット「……」

医術師「俺がそうしたんだ」

クーペ「…先生、どういうこと?」ムッ

医術師「俺から聞かされたって納得しねぇだろ?」

クーペ「……」

医術師「気持ちは分かるが弟にくらい、きっちり話しとけよ?」

クーペ「……」

ココット「お姉ちゃん、せんそーに行くの?」

クーペ「…そうだよ」

ココット「どうしてお姉ちゃんが行かなきゃいけないの!」

クーペ「あのね、ココット…」

ココット「兵士さん!お姉ちゃんを連れていかないで?」

王国兵1「は?」キョトン

クーペ「違うよ。ココット。ちゃんと聞いて?」

ココット「え…?」

クーペ「わたしが自分で決めたの」

ココット「な、なんで…?」

クーペ「司祭様に頼まれたから…」

ココット「……!」

医術師「ずいぶん信用してるんだな?」

クーペ「それはそうですよ。司祭様がいなかったら、こうして村の一員にはなれなかったし、弟と先生と充実した暮らしをさせてもらえる事もなかったんですから…」

クーペ「司祭様がわたしを頼ってくださるなら、わたしはそれに全力で応えたいんです」

医術師「だそうだ?」

ココット「……」
201:🎏 投下終了 ◆WEmWDvOgzo:2015/9/18(金) 22:04:02 ID:1t/IcgHa3c
ココット「」ヒシッ

クーペ「…ココット」オロオロ

医術師「……」

ココット「帰ってくる…?」ジッ

クーペ「…いい子にしてたらね?」

ココット「ほんと…?」ウルッ

クーペ「ほんとだよ?」ニコッ

ココット「……」

クーペ「わがまま言って先生を困らせない」

ココット「?」

クーペ「嫌いなニンジンも残さず食べる」

ココット「えっ」

クーペ「早寝早起き。家事のお手伝い。お勉強。毎日続けなくちゃダメ?」

ココット「え〜…」ゲンナリ

クーペ「…寂しくても泣かない」

ココット「うぅ〜…」ウルウル

クーペ「守れたらご褒美にココットの大好きなハンバーグ作ってあげる…?」ニコニコ

ココット「……!」パァァ

クーペ「約束できる?」

ココット「……がんばる!」グッ

クーペ「」クスッ

王国兵1「そろそろいいんじゃないのか?」

クーペ「はい…。先生、弟をよろしくお願いします」

医術師「あぁ、任せとけ」

ココット「いってらっしゃい…!」

クーペ「うん…。行ってきます?」ニコニコ
202:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/9/18(金) 22:20:14 ID:1t/IcgHa3c
>>192
そう言っていただけてすごく嬉しいです!
たくさんキャラを出しすぎて誰がなんなんだか、役割や設定がちゃんと伝わってないかなと心配してましたので、とてもありがたく感じます!

悪役側のキャラも主人公側のキャラもそれぞれ愛着を持って書いているので好きになってもらえたら、それだけで励みになります!
雰囲気だけ出しといて開戦もまだですし肝心の主人公が全然出てこないですけど暖かい目で見守っていただけたら幸いですw
感想ありがとうございました!
203:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/9/23(水) 22:13:45 ID:DKuSij4epo
〜〜〜1ヶ月後〜〜〜

―――西の国(国境地帯)―――

パカラッパカラッ パカラッパカラッ

ヒヒーン! ブルルルルル!

ドレッド「っ……クゥ〜〜〜!!たっまんねぇなぁぁぁああ!?」ウズウズ

副官「いつになく昂っておられますなぁ?」パカラッパカラッ

ドレッド「…これがおめぇ、感じずにいられっかよ?このどでけぇ予感と高揚の波をよ!」

ザッザッ ザッザッ ザッザッ ザッザッ

ドレッド「万を越える大軍が50年の禁を破って他国の地を踏む歴史的な瞬間に俺は立ち会っているんだぜ!?」

副官「全軍長の私兵、及び訓練兵、徴兵で募った民間兵、締めて10万…や、壮大、壮大?」

ドレッド「お、来なすったぜ?」

副官「お待ちしておりましたよ。全軍総指揮、フィクサー軍長?」

フィクサー「まずまず…だな」ガガッ

副官「出来れば…あと2万ほど欲しかったところですなぁ」

ドレッド「おいおい…なんのこった?」

フィクサー「西の兵力はおよそ40万…」

ドレッド「は?40万!?」

副官「とはいえ、強制的に集められた民間歩兵が主でしょうから…実質、正規兵は25万程度かと」

フィクサー「南の軍は15万、東の軍は8万…まぁ数のみで計れば戦えない事もないが…クク……」ニヤリ

ドレッド「わ、笑い事じゃねぇぞ!?事前の情報と全く違うじゃねぇか!?
20万弱が急に40万なんてどうやって相手に……ってか、いつ調べたんだ!?」

副官「敵が誘いを外してきた時点で諜報に重きを置いたんですよ?」

ドレッド「な、なんでそんな大事な話を黙って……」

フィクサー「敵の諜報員がどこに紛れているともしれん。諜報は"探り"より"隠蔽"を重視して行うものだ」

ドレッド「し、信用がねぇんだな…」

副官「まぁまぁ?収穫は上々。我々も先を見据えて動けるというもの…ここは一つ穏便に?」
204:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/9/23(水) 22:16:16 ID:NGXd8txerw
フィクサー「…こちらが平和に甘んじた50年、敵は着実に準備を整えていた。その差は歴然たるものだ」

ドレッド「…だ、だが連合軍総出で約30万!見込みはある筈だ!?」

副官「別々に戦う以上、共同戦線は期待できませんがね。
バラバラな指揮系統で足の引っ張り合いだけは避けたいものですな?」

フィクサー「そこは各国の代表も賢く対処しているとも。
無理に結合させるのでなく役割を持たせて活動範囲を分担しているのだから」

ドレッド「南の軍は南西部を戦場に全面衝突…東の軍は手薄な北東から侵攻……そして俺達は最も堅固な正規の国境から攻城戦か」

副官「全く別の地点から遠距離に渡って囲む事で敵戦力を分割する、と。こういう事ですなぁ」

ドレッド「しかしよ…条件はこっちも同じだろ?」

フィクサー「あぁ、ファルージャのいる中心部で落ち合うまでは…我々は孤立無援で戦う一国の軍に過ぎない」

ドレッド「3国の内、一つでも崩れたら終わりじゃねぇか…!?」

フィクサー「…そうでもない」

ドレッド「はぁ…!?」

フィクサー「南と東が敵を引き受けている間に…早々とファルージャを討てばいい」ニヤリ

ドレッド「っ…そんな事が出来るのか!?」

フィクサー「ドレッド軍長、貴様に中央の4万を預けよう」

ドレッド「…!?」

フィクサー「我が軍の主攻を担う覚悟はあるか…?」

ドレッド「はっ…望むとこだ…!」
205:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/9/23(水) 22:18:02 ID:DKuSij4epo
―――西の国(南西部)―――

ザザザザザザザザザッ

騎士長「此度の連合軍、最大勢力である我らの役目は実に重い!!」

騎士長「ここで奴らの主戦力を引きずり出し、2つの友軍の侵攻を簡略化させる!!!
その為、事前に総攻撃に当たる地点の情報を流しておいた!!!」

騎士長「見ろ!!!敵の陣営を!!!」バッ

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

騎士長「ふっ…数にして10万じゃきかんな?いったいどれだけ集めたやら…?」

騎士長「だが多ければ多い程、都合がいい!!ここで奴らを根絶やしにし、王国、東国軍に続くぞぉおおおお!!!」

南兵's「オォォォオオオオ!!」

騎士長「数に差はあれど案ずるな!!我が南国の誇る歴史上、最も逞しく勇敢な国王、ローレン陛下が全軍を率い、勝利へと導いてくださる!!!」

騎士長「陛下のお言葉をしかと胸に刻み付けよ!!!」

ザッ

ローレン「皆、士気は高まっているようだな。それでこそ誇り高き南国の戦士だ!」

オォォォオオオオオォォォオオオオ!!!!

ローレン「敵の最終目標は王国の侵略だ!然るにこの連合軍、南国は血に餓えた蛮人共を王国から退ける盾となる!!」

ローレン「だが目的を見誤るな!我々は此度の主戦場において守りに出る為に西の軍と相対するのではない!!」

ローレン「徹底的に攻め、奴らの血を一滴でも多く平野に滲ませ、南国の武威を全土に知らしめるのだ!!」

オォォォオオオオ!!!!

ローレン「恐れるな!!顧みるな!!奮い立ち、雄々しく叫べ!!!」

ローレン「この一戦に立ち会えた事を誇り、時代に恵まれた幸運に感謝せよ!!神々は歴史に我らの名を刻む好機を与えたもうた!!」

ローレン「今日を境に我らは英雄となるのだ!!!」

南兵's「オォォォォオオオオアアアアアアアア!!!!!!!」

ビリビリ ビリビリ
206:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/9/23(水) 22:19:51 ID:DKuSij4epo
―――南西部(西軍本陣)―――

将校1「っ…身の程知らず共が何を浮かれているやら?」ビリビリ

将校2「本気で正面から我が軍とやり合えるとでも思っているのか?」

将校3「バカめ…!此方の指揮を務められるのは何を隠そう……」

ズォォオオオン

将軍「……」ムキムキィィッ

将校1「くっ…!」タジッ

将校2「(味方でさえ圧倒される…!)」ブルッ

将校3「(齢60を過ぎた今も西の武勇を高め続ける真の武将…!)」

将校4「(終わらない争いで最大功績を残した生ける伝説、殺戮将カカドゥーラ様が率いる西軍は何者にも揺らぎはせぬ…!!)」

将軍「……」

〜〜〜回想(カカドゥーラ)〜〜〜

参謀「閣下、よろしいですか?」

参謀「僕が最高司令官を買って出たのは何も閣下を謀ろうとしたのではございません?」

参謀「閣下に全軍を委ねれば勝利は確実…ですが、それでは直接の功が閣下に入りませぬ」

参謀「なので…今回は敢えて僕が矢面に立ちましょう」

参謀「閣下は最大勢力の南国を滅し、更には王国を侵略し、癒しの力と永遠の大樹。
女王の望まれる二つの秘宝を奪取する任に当たっていただきましょうという算段にございまする」

参謀「さすれば閣下は間違いなく西軍の勝利の栄光と女王のお心をわし掴み、晴れてめでたく女王を嫁に迎えられましょう?」

参謀「閣下に抱いていただけなくなるのは大変、名残惜しゅうございますが…一家臣として主の幸福を願っての配慮、どうかお許しを?」

…………………

将軍「ムフ…ムフフ…ムフフフフフフ……!!」ニタニタ

将校1「(さすがは閣下!敵陣営の士気高揚にも一切動じておられぬ!)」

将校2「(堂々たる立ち居振舞い…!もはや南国など巨象の歩みに踏み殺される蟻の集団に過ぎない!)」

将校3「(余裕綽々で笑みまでこぼされる始末…ふん、甘く見すぎたな?南国の若輩者共が…?)」
207:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/9/23(水) 22:22:16 ID:NGXd8txerw
―――西の国(北東部)―――

東軍長「進め!!今こそ亡き陛下の無念に報いし時なり!!」

ザスッザスッ ザスッザスッ

ヒュールルルルル

ブォオオオオオッ

兵士長1「くっ…砂塵に覆われて視界が濁るな!」

兵士長2「防衛地点をすり抜けたとはいえ、敵がどこに潜んでいるとも知れない!各隊、警戒を怠るな!?」

兵士長3「トライド軍長!この先、断崖に挟まれて通路が入り組んでおります!」

東軍長(トライド)「進路は事前に把握済みだ…。伏兵を忍ばせるとしたら、ここだな。まず偵察隊、1000で様子を見てこい!」

東の兵's「ははぁっ!!」

ザスッザスッ ザスッザスッ
208:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/9/23(水) 22:23:18 ID:NGXd8txerw
―――断崖上の高地―――

アンアン アッ アーーン!

西の兵1「来ました!タビラ軍曹!」バサッ

慰安婦1「も、もっ…だめぇん!」ガクガク

軍曹(タビラ)「ヘイヘイ!まだまだ休んじゃダメだよぉ?」ユサユサ

慰安婦2「あたしにもしてぇん?」ヒシッ

タビラ「うえーい!いいぜぃ!しっぽりイッちゃおうかぁ?」

西の兵1「軍曹!?敵襲です!?」

タビラ「ちっ…うるせぇな。お前ら、こんな楽な作戦も俺無しじゃこなせねぇの?」

西の兵1「ど、どうか指示を!」

タビラ「あーはいはい。わーりましたよ?やりゃいいんでしょ、やりゃー?」パッパッ

慰安婦's「えー」プクー

タビラ「ごめんねぇ、君たちぃ?終わったら、またしてあげるからテントでお留守番ねぇ?」ヘラヘラ

慰安婦's「はーい…」シブシブ

タビラ「さぁて…とっとと蹴散らして続きと洒落混むかなぁ?」

西の兵1「お、お願いします…」
209:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/9/23(水) 22:24:35 ID:NGXd8txerw
ザスッザスッ ザスッザスッ

兵士長1「トライド様!偵察隊から問題なく抜けたとの報告が!!」

トライド「よし…はぐれぬよう出来るだけ固まれ!本隊、前進だ!」

兵士長1「ははっ!各自、本隊に続け!」

ザスッザスッ ザスッザスッ


タビラ「あちゃー…来てるねー?」シゲシゲ

西の兵1「迷路のように入り組んだ崖下で敢えて一つの道に絞って侵攻しているようです!
敵はここの地形を把握していると見てよろしいかと!」

タビラ「…はいはいはいはい、なるほど、なるほど」

西の兵1「砂塵に阻まれて正確な数は予測出来ませんが…」

タビラ「第一陣の偵察隊をみすみす通してやったんだぁ。安心して全軍率いてくるだろぉ?」

西の兵1「では予定通り…」

タビラ「おう、やっちゃっていいぞーう?」

西の兵1「はっ!総員、配置に着け!!」

ガラガラ ガラガラ
210:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/9/23(水) 22:27:15 ID:NGXd8txerw
ザスッザスッ ザスッザスッ

兵士長1「砂に足を取られて馬が走れませんな…」

兵士長2「あぁ、加えて砂塵が視界を奪い、精神的にも体力的にも消耗が激しい…」

トライド「…我々は東部と北部の防衛拠点をすり抜けて本土を目指すのだ。
無駄な戦闘を避けて進めるのなら多少の難も苦になるまい?」

兵士長1「それはそうですが…後ろの歩兵は我々以上に厳しいでしょうな」

ガッ ガガッ ゴロゴロ ゴロゴロ

トライド「…なんだ、この音は?」ピクッ

兵士長1「頭上から何か……」

ズゴンッ ゴゴンッ グシャグシャッ ドシンッ

トライド「なっ…!?」

ギャアアアアアアアアアア

兵士長2「ら、落石です!!」

兵士長3「後ろの隊に被害が!?」

ゴロゴロ ゴロゴロ

トライド「ま、まずい!走れ!!全速力で突っ切るんだ!!」パシンッ

兵士長1「て、敵襲だ!?とにかく馬を走らせろ!!」パシンッ

ヒヒーン!

ザスッザスッ ザスッザスッ

ゴゴンッ ドシンッ ドシンッ

ギャアアアアアアアアアア
211:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/9/23(水) 22:29:45 ID:DKuSij4epo
タビラ「てってれ〜!落石ドッキリ大成功〜!」パチパチ

ギャハハハハハハハハハ!

タビラ「偵察隊を囮に伏兵の存在を確かめたつもりだろうが…甘いっての?
逆に偵察隊を敢えて通して本隊を誘ってやったぜぇ?俺って頭いい〜!」

西の兵1「お見事です!」パチパチ

タビラ「ヘイヘイ!そんじゃ落石に挟まれておたついてる連中に引導を渡してやっちゃってぇ!」パチンッ

西の兵1「しゃあ!!ありったけ矢を打ち込めぇ!!」

ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュッ

ドスッ ドスッ ドスッ ドスッ ドスッ

ギャアアアアアアアアアア

タビラ「…ぬるい平和に浸かった代償はでかいぞぉ。ド素人共がぁ?」ニヤリ
212:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/9/23(水) 22:33:44 ID:DKuSij4epo
トライド「はぁっ…はぁっ…」ゼェゼェ

兵士長1「あ、あぁぁぁ……」ガクガク

ヒェェエエエエエエエエエエ!!

ギャアアアアアアアアアア!!

トライド「くそっ…」ギリッ

兵士長1「なんとか我々は抜けましたが落石に包囲された隊は敵の罠に嵌まり、壊滅……」

兵士長2「そんな事は分かってる!!」

トライド「先に抜けた偵察隊と合流するしかない…!行くぞ…!」

兵士長1「う、後ろの隊を見捨てるのですか!?」

トライド「どうにも出来ないだろうが!今は少しでも兵を補充し、先に進むべきだ!?」

兵士長1「くぅぅっ…」ググッ

兵士長2「第一陣、2万の勢力があっという間に1000ぽっちになってしまったか…」ガクッ

トライド「落石の被害を逃れた最後尾の隊は別の通路を抜けてくる筈だ!
そうすれば少なく見積もっても5000弱は残る!!まだ終わってはいない!!」

ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュッ

ドスッ ドスッ ドスッ ドスッ ドスッ

ギャアアアアアアアアアア

トライド「くっ…!こちらにも矢が迫ってきた!早く行くぞ!?」パシンッ

ザスッザスッ ザスッザスッ
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うpろだ
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