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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編その2】
[8] -25 -50 

1: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:00:58 ID:/WYEXwH6vk
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10

1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10

2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10

3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)

あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)

>>2から本編になります!


233: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:41:43 ID:kFMVoMRQpc
〜〜〜夜〜〜〜

―――王都(王宮)―――

伝者4「報告!!オドアイル副官が1万の隊を二つに分け、主力の出払った東、北側両拠点を陥落せしめたとの事です!!」

政務官「なっ…本当なのか!?」

伝者3「それにより断崖地で東国、第3軍・1万と交戦していた防衛拠点の主力が踵を返していったそうです!!」

ヒメ「…宰相殿の軍は無事に断崖地を通過出来たのか?」

伝者3「はっ!トライド軍長率いる第1軍の生き残りが僅かな隙を狙って敵本陣を奪い、東国軍の断崖地突破を助けたそうです!」

政務官「よし!これで戦況は我らへと大いに傾いた…!」グッ

ヒメ「東国軍の被害は?」

伝者3「戦死したトライド軍長を含め、第1軍は全滅。
背後から迫ってきた軍と交戦していた第3軍もほぼ同様の被害に遭っておりますので全体でおよそ3万ほどかと!」

ヒメ「……」

政務官「? お喜びになられないのですか…?」

ヒメ「気に入らない…」

政務官「は?」

ヒメ「副官の動きが迅速すぎる」

政務官「それが何か…?」

ヒメ「こうなる事を見越して…というより東国軍を囮に使ったようにしか見えない戦局だ」

政務官「……」
234: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:45:05 ID:87duYR6vE.
政務官「偶然では…?」

ヒメ「偶然?じゃあおまえはそれぞれ3万の兵が配置されてる砦に5000ずつで攻撃を仕掛けたりするのか?」

政務官「……!」

ヒメ「フィクサーは東国軍が壊滅寸前まで追い込まれると読んでいて、敢えて黙ってたんだ」

政務官「…そうでしょうか?」

ヒメ「事前に宰相殿に伝えておけば同じ状況でも犠牲は押さえられた筈だ…!」

政務官「やむを得ず…という場合も?」

ヒメ「理由があっても…平気で味方を殺せる男を信用していいのか!」

政務官「……」

ヒメ「どうなんだ!」

政務官「…陛下には申し訳ないが私は納得しております」

ヒメ「!?」

政務官「必要とあらば利用出来るものは利用するべきです」

ヒメ「本気で言ってるのか!?」

政務官「むしろ…犠牲を少なくしようと考えるのは虫が良すぎます」

ヒメ「…だとしても宰相殿には知らせるべきだったんじゃないか!?」

政務官「それを分かった上で宰相殿が同様の作戦を選んだと思いますか?」

ヒメ「っ…!」

政務官「東国軍の動きが変わればフィクサー総指揮の思い描く戦略とは異なってしまう…となれば当然、地力で劣る連合軍全体の盤面が窮地に落とされます」

ヒメ「そう…だけど!」ググッ

政務官「…犠牲の数よりも一つの勝利に拘るのは軍を仕切る者として全うな判断です」

ヒメ「……!」
235: 投下終了 ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:45:54 ID:87duYR6vE.
政務官「どうか受け入れてください。戦争とはそういうものであると?」

ヒメ「分かってるよ!分かってるけど…!」

政務官「…割り切れていないのは負い目に感じているからですか?」

ヒメ「え…?」

政務官「ご友人に秘密にしたまま戦争に踏み切った事を?」

ヒメ「あ、あいつは関係ないだろ…!」

政務官「彼には何も知らせず辺境地で今までと変わらない生活を送らせていますが…現状を知ったらなんと言われるかとお考えか…?」

ヒメ「……」

政務官「私個人と致しましてはすぐにでも王都へ避難させるのがよろしいかと」

ヒメ「…あいつはやっと普通の幸せに落ち着いたんだ。それを壊してやりたくない」

政務官「ならばなおのことフィクサー総指揮の判断は最良であったと言えましょう」

ヒメ「……」

政務官「何事も起きない内に終わらせるには素早い判断と巧妙な策を要します。そして同時に多大な犠牲も伴うでしょうな…」

ヒメ「……」

政務官「全てを理解した上で決定を下された筈…今になって躊躇されましても、もう遅いのですよ。陛下?」

ヒメ「…外の空気を吸ってくる」スクッ

政務官「はっ…」

スタスタ スタスタ………

政務官「……」
236: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/4(日) 22:54:10 ID:kFMVoMRQpc
オーキド博士のポケモン講座という番組(スレ)で、とても素敵なCMを書いてもらえました!
素敵な紹介、本当にありがとうございました!
あんな簡潔に綺麗にまとめられる文才が欲しくてたまりません…!

スポンサー延長していただけるということで、ただただ舞い上がっております!
全然構わないので遠慮なく、むしろお願い致しますw
ここを見ておられるか分かりませんが、あまりコテ付きでお邪魔するのは出しゃばっているようで忍びないので、こちらでお礼させていただきます!

もちろんラジオもいつも楽しく聴かせていただいてます!
これからも毒舌博士と健気なクルミさんの愉快な掛け合いを楽しみにしておりますw
乱文、失礼しました!
237: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 21:42:23 ID:7fMdibXDzA
―――西の国・南西部(平野の丘)―――

ウォオオオオリャアアアアアア!!!

ドドドドドドドッ

ガガッ ガガンッ ガギンッ ズガァァァッ

ローレン「……」

騎士長「中央の被害が甚大だ!!左右の部隊を寄せて敵軍の勢いを食い止めろ!?」

南兵1「ははぁっ!!」ダッ

騎士長「くそっ…!やはり危うい戦況となりましたな!」

ローレン「真っ向からぶつかれば数の差がモロに出る。特に分厚く固まる中央はなおさらだ」

騎士長「だが中央を突破されれば隊型の瓦解を意味する…!
最も削られる場所だと分かっていても兵の補充は欠かせませんぞ!」

ローレン「そう慌てるな。被害は大きいが士気は保たれている」

騎士長「しかし士気のみで戦力差を埋めきれるものではありませんぞ…!」

ローレン「分かっている。だからこそ、ここは慎重に行くべきだ」

騎士長「……!」

ローレン「数で劣る我々は1兵でも多く敵を削らなければならない。
だが現実的に考えれば体力勝負を仕掛けて先に崩れ落ちるのはこちらだ」

騎士長「敵兵力は推定で22万…15万の我が軍で、まともに戦い続ければ勝ち目はない…!」

ローレン「しかし戦力とは必ずしも数で測れるものではない。重要なのは質量だ…」

騎士長「おっしゃる通りですが…その質でさえも敵は我が軍を大きく上回ります」

ローレン「そこを覆し、戦力差を埋める為に俺達が狙うのは指揮官の首だ…」

騎士長「……!」
238: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 21:46:12 ID:7fMdibXDzA
ローレン「調査結果を速やかに報告しろ」

騎士長「はっ!現在、確認出来ている敵将は右軍6万ジルレイ陸曹、左軍6万バグダッド中将、そして中央軍8万を率いる元帥エレファンの3名です!」

ローレン「……」

騎士長「対して我が軍の布陣は右軍4万、左軍4万、中央6万と明らかに劣っております…!」ググッ

ローレン「…各将、個々の特性を分かりやすく説明しろ」

騎士長「事前調査では…ジルレイは攻撃主体の戦術を好む猛将であると」

ローレン「なるほど…敵右軍と交戦中の左軍の動きが活発化しているのは戦意に当てられて血が昇っているからか」

騎士長「はっ…そして左軍を務めるバグダッドは守備重視の戦法を取る極めて慎重な男です」

ローレン「たしかに…こちらの右軍に目立った動きはないな。攻めあぐねているようだ」

騎士長「エレファンはカカドゥーラの配下では最古参の将校で、かつての"終わらない争い"にも出陣していた戦歴があると…」

ローレン「ハッタリはいらん。特性は?」

騎士長「分かりません…」

ローレン「は…?」

騎士長「地形戦術の猛者であるとも攻撃特化の猛将であるとも囁かれてますが…ここ30年ほど戦場には立っていないとの噂で?」

ローレン「…そんな隠し球が満を持しての登場か。敵も必死だな」

騎士長「残りの軍師は他の戦場に配置されているものと思われますが…」

ローレン「聞き及んでいる限りでは東国軍が北東防衛線を突破したそうだな」

騎士長「はっ…」

ローレン「ならばここで我々が東国軍に続き、3つの頭脳を削れれば敵戦力は大いに揺らぐというもの」

騎士長「か、可能なのですか…!?」

ローレン「勝算を導き出すのが軍師の役目…俺も、そのはしくれだ」

騎士長「しょ…承知しました!」
239: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 21:48:31 ID:7fMdibXDzA
ローレン「初戦、狙い目となる首は……あそこだな」ビッ

騎士長「っ…」ゴクリ

ローレン「派手な被害が出ない内に左軍4万を退却させ、半数は中央の援護に回せ。残り2万を本陣まで下がらせるんだ」

騎士長「はっ!?し、しかし、それではここまでの道中、がら空きになってしまいますぞ!?」

ローレン「それでいい。この本陣に誘い込むんだからな…」

騎士長「で、ですが左軍が後退したのを見計らって中央軍の左端を攻め込まれる可能性も…」

ローレン「それは万一にもない」

騎士長「なぜ!?」

ローレン「扱う戦術によって軍師の性格が読み取れる…。
右軍のジルレイが噂通りの男なら真っ先にここへ来るはずだ」

騎士長「……?」

ローレン「安心しろ。俺に任せておけ?」

騎士長「わ、分かりました…!」ザッ
240: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 21:50:52 ID:7fMdibXDzA
―――南西部(西軍中央)―――

バラバラ バラバラ

西兵1「報告!!敵左軍が後退しております!!」

元帥(エレファン)「……」

西兵2「中央に合流させているようですが…」

西兵3「被害が拡大している中央の守備を強化する気か?」

西兵4「バカめ!それで左を疎かにしては意味があるまい!?」

西兵5「元帥!!ここはジルレイ陸曹に伝達し、敵中央軍を横側から攻め破っていただきましょう!」

エレファン「…んぅ。無理じゃにゃ」

西兵's「え!?」

エレファン「見ぃ?回り込んで本陣に向かっちょる?」ビッ

西兵6「なぁぁ!?」

西兵7「ちゅ、中央軍を落とせば勝利は確実なのに…!?」

エレファン「ありゃ落ち着きっちゅうか詫び錆びがないんじゃよ。にゃぁんでも急いで…自分の手柄にしたがる?」

西兵8「くそっ!共闘する気はないのか!」

エレファン「ま、えーがの。ここは王都侵略の足掛かり、言うたら前哨戦じゃ?
気張ったとて南国王の細い首一つじゃ大した成果にもにゃらん?」

エレファン「さっさと本陣を落として次に進めるにゃら…それでもよかろ」

西兵8「さ、さすが余裕に満ち溢れてますな?」

エレファン「おーい…誰ぞあつーい茶ぁをくれ」

西兵9「は、ははっ!ただいま!」タタタッ

エレファン「(はてさて…将軍閣下の出番は来るかの…?)」ニヤリ
241: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 21:52:35 ID:7fMdibXDzA
〜〜〜夜〜〜〜

―――南西部(平野の丘)―――

ガガガッ ガガガッ

南兵1「来ました…!」ジッ

騎士長「やはり一直線に本陣を目指してきたな…!ローレン陛下の読み通りだ!」

騎士長「弓隊、射撃開始!!」

ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュン

ドスッドスッ ドスッドスッ

ワァァアアアアアアアア!!!

ガガガガガガッ

南兵1「ジルレイの騎馬隊が守備隊を蹴散らして坂道を上がってきます!?」

騎士長「予定通りだな…?」ニヤリ

騎士長「中腹まで上がってきたところで合図を出せ!?」

南兵1「ははぁっ!!」
242: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 21:54:44 ID:2uHj0k8hi.
ガガガガガガッ

陸曹(ジルレイ)「!? 全隊、止まれ!?」

ピタッ ピタッ ピタッ ピタッ

ジルレイ「………」

ヒュールルルル

ジルレイ「誰も…いない?丘の本陣を捨てたのか…!?」

西兵10「我々の位置とは逆方向から丘を下って退却したようですな」

ジルレイ「下の守備も妙に手薄だとは思ったが…小賢しい!南国王は逃げ腰の腑抜け野郎か!?」

西兵10「追いますか?」

ジルレイ「森林地帯に入られたんじゃやりにくいが…それしかないな!2万の兵を置いてくから、この丘を占拠しとけ!」

西兵10「はっ!」

ジルレイ「行くぞぉ!!俺様の隊でドカンと手柄を頂くんだぁ!?」パシンッ

ガガガガガガッ
243: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 21:56:43 ID:7fMdibXDzA
〜〜〜朝〜〜〜

―――南西部(山中)―――

パカラッパカラッ パカラッパカラッ

騎士長「ローレン陛下…!ただいま到着しました…!」パカラッパカラッ

ローレン「うむ。追手は?」

騎士長「来ておりません!山中で完全に我々を見失っています…!」

ローレン「そうか…」

騎士長「それにしてもまさか…こんな作戦は前代未聞だ」

ローレン「ほう…それはいい。前例が無いのなら敵も予測しにくいだろう」

騎士長「普通なら総指揮が本陣を捨てて敵将を討ちに行くなど誰も考えますまい?」

ローレン「…最初の首はアレだ?」ビッ

騎士長「敵左軍中将バグダッドですな…!しかしここから届きますか!?」

ローレン「…出来れば、もっと奥まで踏み込みたかったが山中を抜ければ遮蔽物のない荒原地帯だ。これ以上の接近は無理だろうな」

騎士長「では…?」

ローレン「強行突破だ」

騎士長「」ゴクリ

ローレン「心配するな。こちらの右軍に気を取られてバグダッドの本陣は兵が少ない」

騎士長「い、行きますか!」

ローレン「あぁ、突撃だ」パシンッ

騎士長「はっ…!全軍、続けぇ!!」パシンッ

ドドドドドッ
244: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 21:58:36 ID:7fMdibXDzA
―――西国左軍(野営地)―――

ドドドドドドドッ

ゴシャアッ バキィンッ ガッ ガガッ

ザシュッ ズバッ ドシュッ

ワァーワァーギャーギャー

ローレン「ふんっ…!」ブンッ シュバッ

西兵11「ぐぎゃっ!」ズバッ

西兵12「ぎえっ!?」バシュッ

バタバタッ

ザッザッ ザッザッ

ゾロゾロ ゾロゾロ

騎士長「お、奥まで入れましたが…予測より遥かに早く敵兵が集まってきましたな!」ギンッ

ローレン「対応が速いのは認めてやるが、ほとんどが歩兵だ!騎馬の突進で蹴散らしながら進むぞ!」

騎士長「ははっ!!」パシンッ

ガガガガガガッ

ゴシャアッ ボキュッ ゴリィッ メキィッ
245: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:01:45 ID:7fMdibXDzA
西兵13「バグダッド中将!!敵がこちらまで迫っております!一度、下がりますか?」

中将(バグダッド)「あれはどこの部隊だ…?」トントン

西兵13「分かりません!突然、向こうの山岳方面から出現し、襲撃されました!?」

バグダッド「規模は?」

西兵13「2万5000…いや、3万ほどかと!」

バグダッド「…右軍の侵攻経路を塞いでる守備陣に召集をかけろ。奇策頼りの素人集団を磨り潰すとな?」

西兵15「ははっ!知らせて参ります!」ダッ
246: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:03:12 ID:2uHj0k8hi.
バシュッ ドバッ ザンッ プシャアアアアアアアアア

ワラワラ ワラワラ

南兵1「ちくしょっ…倒しても倒してもワラワラ群がってきやがって…!」ギャリンッ

ローレン「踏ん張れ!敵陣まで後僅かな距離だ!?」ブンッ ガシュッ

南兵2「ローレン陛下!守備陣から敵の騎馬隊が押し寄せてきました!囲まれています!」

騎士長「まずいな…!敵の増援に割って入られ、隊を分断された…!
乱戦の中、兵力を割かれるのは非常に厳しい…!?」

ローレン「……!構うな!このまま突っ切るぞ!」ザウッ

騎士長「ははぁっ!!者共!!ローレン陛下に続けぇ!!」

バシュッ ズドッ

ドドドドドドドッ

ローレン「(バグダッドめ…!大国の守備を担う軍師だけあって隙はない、か…)」パカラッパカラッ

騎士長「邪魔だぁあああ!!」シュバッ

西兵14「ぐぼぉぉ!?」ドシュッ

ローレン「(だが…一度、後手に回った代償は高く付くぞ…!一気に間合いを詰め、その首をもらう!!)」

ズガガガガガガガッ
247: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:04:39 ID:2uHj0k8hi.
ワァーワァーギャーギャー

ガガガッ ドゴォォオッ!

西兵15「て、敵の勢いが一向に収まりません!?」

西兵16「中将!!やはりここは一度、陣を下げて距離を取りましょう!?」

バグダッド「…主戦場の方はどうなってる?」トントン

西兵17「兵をこちらに寄せた分、苦戦していますが戦況は依然として変わりなく!敵の攻撃を防いでおります!」

バグダッド「(……連携してる訳じゃなさそうだな。いや、奇襲を悟らせぬ為に敢えて伏せていたのか)」ピタッ

西兵18「も、もうそこまで迫ってます!!」

バグダッド「重装歩兵隊、10列に並び、防御体勢に入れ。弓隊は広く構えて敵襲に備えろ」

西兵19「ははぁっ!!」

ザザザッ バラバラ

西兵18「中将…!どうか安全な場所までお下がりください!?」

バグダッド「…運任せの特攻で戦局を塗り替えられるほど俺の守備は容易くない」

西兵18「で、ですが万が一という事も…!」

バグダッド「来れるものなら来てみろ?俺に奇策は効かん?」

西兵18「……!」
248: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:09:17 ID:2uHj0k8hi.
ドドドドドドドッ

騎士長「っ……包囲を抜けたぞぉ!!突っ切れぇ!?」ガガガッ

南兵1「お、お待ちください!目の前に巨大な柵が!?」パカラッパカラッ

騎士長「…我が南国の誇る騎馬隊は柔い木の柵ごときに止まりはせん!!私に続けぇっ!?」パシンッ

ヒヒーン!

南兵1「騎士長!?」

ローレン「待て…!一人で先走るな!?」

騎士長「うおおおおおおりゃああああああ!!!!」ガガガッ

西兵20「バカが一匹、突進してきたぞ!」ニヤニヤ

西兵21「柵の隙間から長槍を突き立てろ!無謀な特攻の犠牲者第1号だ!!」

ビュッ ビュッ ビュッ ビュッ

ドッカァァァン

西兵20「ぐおっ!?」ズシャッ

西兵21「な、なんて突進力だ…!だが、あの騎士はメッタ刺しに……」

騎馬1「」ピクッピクッ

西兵21「!? う、馬だけ…!?」ハッ

騎士長「邪魔な柵は取っ払ってやった…!我が愛馬と引き換えになぁ!!」ザッ バッ

ヒュンッ ビュバッ ブォンッ

ドバッ ザクッ ブシャッ バタバタッ バタバタッ

西兵21「き、貴様…いつの間に…!?たった一人で何をする気だ!?」

騎士長「道は開きましたぞぉおおおおお!!!」ザウッ

西兵21「この阿呆を突き殺せぇ!?」

ボガガァンッ!

西兵21「」ビクッ

ローレン「もう遅い…!」ブォンッ

西兵21「ぐはぁっ!?」ズバッ
249: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:12:01 ID:7fMdibXDzA
ドドドドドドドッ

西兵22「と、突入されたぞ!食い止め…ぎゃっ!?」グシャッ

南兵1「騎士長!私の背にお乗りください!」バッ

騎士長「すまんな!」ザッ

ローレン「ここで決めるぞ!!」ガガガッ

ゴガガガガガガァァン

西兵17「柵の前に整列させた重装歩兵隊、一点から突き破られています!!」

西兵18「敵部隊を率いる男が相当の手練れであると見られます!我が隊の陣形を真っ向から崩されました!?」

バグダッド「……号令をかけろ」トントン

西兵18「弓隊、一斉に放てぇ!?」

ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュンッ

ズドッズドッ ズドッズドッ

ドッ ドガガガガッ ゴロゴロ

南兵3「ぐきゃあっ!!」ベシャッ

騎士長「盾を構えて進めぇ!!ローレン様をお守りするのだぁ!?」ドッドッ

ビュッ ビュッ ビュッ ビュッ

ドスドスドスドス

ヒヒーン! ゴッシャアアン!

南兵1「くそっ!歩兵共め!馬を突いてきやがって、ちょこざいな!?」ガキンッ

南兵4「ぐあっ…」ドスッ

ゴロンッ ドシャッ

ローレン「怯むな!!ここが正念場だ!!全速力で突破するぞ!?」ブォンッ ビュバッ

ザシュッ ドシャッ

オォオオオオォオオオオォオオオ!!!
250: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:14:46 ID:2uHj0k8hi.
ウワァァァァアアアアアア!!!

ガガァンッ ゴシャアァァッ

バグダッド「……」トントン

西兵18「殺れ!殺れ!殺れぇ!?絶対、ここに辿り着かせるなぁ!?」アセアセ

バグダッド「(全滅するどころか…まったく勢いが衰える気配さえないか。
我ながら完璧な守備陣であると自負していたのだが…)」トントン

バグダッド「(…大昔の南国騎馬隊と言えば列国を震わせた驚異と名高いが、時を経て錆び付いた力がなぜ今になって発揮される?)」トントン

バグダッド「(そもそもこの戦場全体を見渡せど明らかに普通ではない…。
なぜ敗北必至の戦を請け負った南国軍が士気を高められるのか?)」トントン

バグダッド「(友軍の援護を期待して持ちこたえているのだと考えていたが…だとすれば、この奇襲の意図は?)」トントン

バグダッド「(自軍の本陣を奪わせてまで戦力をこちらに集結させたのはなぜか?
焦りから判断を誤ったか、単なる阿呆の仕業か…?)」トントン

バグダッド「(いずれにしろ…この隊には何かありそうだ?)」ピタッ

西兵18「あ、あぁぁああ!!重装歩兵隊を抜けました!弓隊に迫って………」アセアセ

ドガガガガッ ザシュッ ズバッ ゴガァァンッ

西兵18「ゆ、弓隊、猛攻を受け…も、目前に…うわぁあああ!!」ヒィィィイイイ

バグダッド「おたつくな、馬鹿者」トントン

西兵18「む、迎え撃てぇ!!」ジャキッ

ザザザッ
251: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:20:19 ID:7fMdibXDzA
ガガガッ バサッ ブォンッ

西兵17「ぎあああ…ぶっ!!」ザシュッ

西兵19「ぐえっ!?」ドバッ

バタバタッ ドシャッ ズシャッ

ゾロゾロ ゾロゾロ

南兵's「」ゼェゼェ

ローレン「貴様がバグダッドか…?」ジャキッ

バグダッド「……いかにもそうだが貴様は何者だ?」

騎士長「控えろ!下郎が!?このお方は我らが国王、ローレン陛下であらせられるぞ!?」

バグダッド「国王…!?」ピクッ

ローレン「……」

バグダッド「がっははは…なるほどな。ジルレイの部隊に本陣を奪われ、おめおめと逃げ回ったが…敗北を悟り、やけくそに走ったか」

ローレン「…これまでだな」ズイッ

ビュオンッ ズドォッ!

騎馬2「ぶるるっ…!!」ガガガッ

ローレン「なっ…!?」ガクンッ

騎士長「ローレン陛下ぁぁ!?」ビクッ

ヒヒーン! バタァァン!

ローレン「…馬を刺されただけだ!?」スタッ

バグダッド「決死の特攻がたまたま功を奏し、浮かれてしまうのも仕方ないが…」ジャキッ

ローレン「(槍術を扱うようだな…。それもかなり使う…!)」ジリッ

バグダッド「思いつきで動いた事を後悔させてやろう?」ニヤリ
252: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:25:31 ID:7fMdibXDzA
バグダッド「」ジリッ

ローレン「」グッ

バグダッド「ふん…たとえお前が奇跡的に我が首を地に落とそうと、ここ左軍の戦局を揺らがせる程度…それもさざ波の如くだ?
既に左軍の戦況を読み取った中央の指揮官が対応しておられる事だろうさ?」

騎士長「ま、負け惜しみを抜かすな!?」

バグダッド「無謀なる国王よ…。お前の首は南国軍の首そのものだ。分かっているのか?」

ローレン「時間稼ぎに付き合う気はない!」ビュンッ

バグダッド「くっ…時間稼ぎだと…思い上がるなよ?」ガキンッ

ローレン「騎士長!!背後の隊は任せたぞ!?」ギギギッ

騎士長「はっ!我が命に賭けましても寄せ付けませぬ!!行くぞ!?」ダッ

南兵's「は、ははぁっ…!!」パカラッパカラッ

バグダッド「馬鹿者が…!敵陣の真っ只中に孤立した小隊など物の数分で磨り潰されるぞ!?」ギギギッ

ローレン「貴様などに言われずとも…俺の首は誰にも渡さん…!」ギギギッ

バグダッド「ぬぅっ…らぁっ!!」ギィィンッ

ローレン「」ザッ

バグダッド「…ここに辿り着いた強運は認めてやるが運任せでなんとかなる程、甘くはないぞ!?」ビュンッ

ローレン「(鋭いっ…!?)」サッ

バグダッド「うらぁああああ!!!」ババババババッ

ローレン「(っ…重い装備をしていながら一撃一撃が速い!いなすのが精一杯だ…!)」ギンッ サッ ガインッ
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名前:
sage:


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うpろだ
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