2chまとめサイトモバイル

2chまとめサイトモバイル 掲示板
カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編その2】
[8] -25 -50 

1: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:00:58 ID:/WYEXwH6vk
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10

1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10

2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10

3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)

あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)

>>2から本編になります!


101: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/25(火) 20:50:05 ID:o15GMJURy6
〜〜〜数週間後〜〜〜

―――王都(王宮)―――

ヒメ「南の王が暗殺された…?」

政務官「そのようです…」

ヒメ「間違いないのか…?」

政務官「…間違いありません。以前から通じていた南の役人に確認しました」

ヒメ「そうか…。あの方はとても理知的で冷静に物を見れる人だった。
長いお付き合いを出来たらと思っていたが…惜しい人を亡くしたな」

政務官「私も東の国と連携するにあたり、まず南の国との交渉を最優先にと考えておりましたが…。
予定していた協議もしばらくは先伸ばしになるでしょうな…」

ヒメ「…葬儀は?」

政務官「1ヶ月後、南の国にて大々的に行われます。
陛下にもご出席願いますがよろしいでしょうか?」

ヒメ「もちろんだ。で、次期国王は?」

政務官「順当に行けば第一子のラフテン王子が…しかし現在、内部で対立候補との王位争いが激化しているようで…?」

ヒメ「…対立候補だと?」

政務官「ラフテン王子は放蕩無頼の遊び人な上、気性に難があるらしく…王にそぐわないとして第二子のローレン王子を推す勢力があると?」

ヒメ「そのローレンはどんな奴なんだ…?」

政務官「兄のラフテン様とは対照的に落ち着きがあり、文武共に類い稀なる才を備えたお方だとか?」

ヒメ「ふーん…。ならローレンが継承するんじゃないか?」

政務官「そうとも限りませぬな」

ヒメ「? なんでだ?」

政務官「周囲から畏怖されるラフテン王子は宮内において絶大な権力を誇っておられます。
しかし一方、ローレン王子はごく一部の層しか取り込めておりません」

ヒメ「……優秀なのはローレンなんだろ?」

政務官「優秀は優秀…ですが配下を取り纏め、外部者に上手く取り入る社交性は王に備わるべき絶対条件と言っても過言ではございません」

102: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/25(火) 20:51:29 ID:11qXMK4X9o
ヒメ「…足して2で割ったら良い具合に収まりそうなものだけどな」

政務官「なんにせよ王位を継ぐ者は一名…争いは過酷なものとなりましょう。
しばらく南の国には触れずにおくのが妥当かと思われます」

ヒメ「暗殺を仕組んだ黒幕は分かってるのか?」

政務官「判明しておりません…。夜伽を狙って暗殺を企てたとの事ですので…」

ヒメ「ふ、ふーん…?よ、よとぎの…?」カァァ

政務官「」ハッ

ヒメ「べ、別にいい…。続けろ?」モジモジ

政務官「は、はっ…おそらく王宮内の人間の仕業ではないかと疑われているようです?」アセアセ

ヒメ「そ、そうか…。大変だな?」モジモジ

政務官「おほんっ…そ、それはともかくとして非常にまずい事態に陥りましたな?」

ヒメ「そうだな…。北の国王辺りを説得してみるしかないか。
あの方は卑しさが前面に出てて苦手だったけど…この際、贅沢は言ってられないしな」

政務官「そうですな。ブルードル様にもそのように……」

バァンッ!

ヒメ「」ビクッ

政務官「何事だ…!?」
103: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/25(火) 20:54:41 ID:11qXMK4X9o
ネバル「た、大変!大変です!陛下!リルラ様!!」ハァッハァッ

ヒメ「ど、どうした?ネバル…そんなに慌てて?」

政務官「王宮内で無闇に騒ぎ立てるとは何事か!?」

ネバル「す、すみませんです!でも…どうしても…報告しなきゃ…」ゼェゼェ

ヒメ「何かあったのか…?」

ネバル「東の国の…ブルードル国王が…病死したと!?」

ヒメ「えっ…!?」ピクッ

政務官「な、なん…だ…なんだとぉぉおおお!!?」ガタッ

ネバル「ふ、二日前に…亡くなって…今日、訃報の知らせが…!」

政務官「そ、そんな…バカな…!?」

ヒメ「ブルードル陛下が…死んだ…!?」ピシィッ

ネバル「さ、宰相さんが…すぐ東の国に来てほしいと!?」

政務官「わ、分かった!今すぐ出発するぞ!近衛を召集しろ!」

ネバル「は、はいです!」ダッ

ヒメ「……」ズーン

政務官「陛下!予定はネバルに整理させますので出立の準備を!?」

ヒメ「」ボーッ

政務官「くっ…無礼とは存じますが一刻の猶予もございませぬゆえ!?」ガッ

ヒメ「はっ…?」グンッ

政務官「うっ……くく…ば、馬車まで私がお連れします…!」ヨロヨロ

ヒメ「か、抱えるな!なにするんだ!おい!?」アタフタ
104: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/25(火) 21:00:41 ID:o15GMJURy6
―――西の国(魔導研究所)―――

魔導師「毒蛇の牙を砕いて毒虫を磨り潰した粉に混ぜ混ぜ…そこに毒草の絞り汁を数滴たらして、と…仕上げにココアとお砂糖を加えて出来上がり…」ジャジャンッ

参謀「なぜココアと砂糖を…?」

魔導師「ん?普通に飲んだらまずくて吐き出しちゃうからねぇ?ココアとお砂糖があれば完璧さ?」

参謀「の、飲むのですか…?」

魔導師「一杯どう?」スッ

参謀「結構です…」

魔導師「あ、そう…んぐっんぐっ…」ゴクゴク

参謀「……」

魔導師「おんえっ…げふっ…うぇっ…えほっ…!」ビタビタ

参謀「(結局吐いた…)」

魔導師「ふぅ…イイね。悪くない出来だ。で、なんか用?」クルッ

参謀「…話が違いますね。パカラゥロ殿?」

魔導師「…なにが?」カランッ

参謀「僕は病死扱いでとお願いしたのですが?」

魔導師「なってないのかい?」クルクル

参謀「東の国は予定通りですが南の国王は暗殺と触れられています」

魔導師「あ、そう。まぁ…アレはね、自業自得だから」トプトプ

参謀「……」ギロッ

魔導師「おっかないなぁ…?自分はやることやったじゃないの?」ゴリゴリ

参謀「まぁいいでしょう…。南の国ならどうにでもなりますしね」プイッ

魔導師「じゃあ帰ってくれるかい?新しい魔溶液の研究に没頭したいんだよねぇ?」プチップチッ

参謀「(東国は病死で済んだが…さて、どう出るか。万一にもこちらの計画を悟られる心配はないと思いたいが…)」

魔導師「(…いつになったら帰ってくれるのかねぇ。ゆっくり研究したいんだけど…)」ジーッ
105: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/25(火) 21:13:19 ID:11qXMK4X9o
―――西の国(王宮)―――

側近3「東の国、王国が団結し、陛下に当てた抗議文が届きました」

ファルージャ「なんの抗議かえ?」

側近3「東の国から拉致した民の返還を求めるとの内容です。先代の皇帝が黒魔術の研究に使う為、拐った子供らの事を言及しているのでしょう…」

ファルージャ「フゥン…」ビリッ

バリバリッ パラパラ

側近3「な、何をなさいますか!?」アセアセ

ファルージャ「床が散らかっておるぞ?」

側近3「は…!?」

ファルージャ「さっさと塵を拾え?目障りじゃ?」

側近3「た、只今…!しかしよいのですか?」スッスッ

ファルージャ「なにが?」

側近3「なんらかの返答をせねばならないのでは…?」

ファルージャ「このようなくだらぬ文に宛てて返す為、妾に筆を持てと申すか?」

側近3「め、滅相もございません!しかし放置という訳には…?」

ファルージャ「可愛い配下共が勝手にやってくれるじゃろうて…?」ゴロンッ ポフッ

側近3「……」ポカーン

ファルージャ「あぁ、そうじゃ。側近よ、今すぐホビットの雌を集め、その血を搾取せよ?」

側近3「は、はぁ…なにをなさるので?」

ファルージャ「啜るに決まっておろう?長命なるホビットの血は若さの源よ?」

側近3「だ、誰がそのような出任せを!?」

ファルージャ「…妾の勘」

側近3「勘!?」

ファルージャ「今宵の食事は全てホビットの血を浸して食す…。速やかに用意せい?」

側近3「か、かしこまりました…」オロオロ
106: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/25(火) 21:16:08 ID:o15GMJURy6
〜〜〜2週間後〜〜〜

―――東の国―――

宰相「我が主の通夜にご参列くださり、まことに感謝申し上げます」ペコリ

ヒメ「いえ…此度の不幸、お悔やみ申し上げます」ボソッ

政務官「申し訳ない…。陛下もまだ受け止めきれていない部分がありましてな…」

宰相「いえ、ヒメ国王にそれほどまで偲んでいただけて我が主も、さぞ喜ばしく思われるでしょう…」

ヒメ「…もう受け止めてます。ブルードル陛下の亡骸をじかに看取らせていただきましたから」

政務官「……ブルードル陛下を襲った病とはいかなる物だったのですか?」

宰相「皆目見当も付きません…。宮廷医術師団でさえも原因が全く分からぬと…」

政務官「…?」

宰相「身体中に醜いイボのような物が浮かび、肌は真紫に変色しておりました。何より異質であったのは…口元が……」

政務官「口元?」

宰相「はい…。舌が強い力で握られたようにしぼみ、口回りが最も深い紫に変色しておったのです」

政務官「新種の病か…。ブルードル陛下の御遺体を埋葬せずに運び出したのも合点がいく?」

宰相「…えぇ、病魔について探る為、医術師団の手によって隅々まで調べさせる予定です」

政務官「(一国の王が棺に眠る事なく解体されるか…。
病が流行しない内に対処法を発見するのが先決と考えたのだろうな)」

ヒメ「(あまりにも無残だ。宰相殿やミリア王妃様も浮かばれない…)」キュッ

宰相「あれは亡くなる前日の夜でした…。陛下が庭園に飾られた彫像を見て回っていると…」

ヒメ「彫像を?」

宰相「えぇ、趣味が高じて毎夜、手入れを日課としておられました…」
107: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/25(火) 21:16:29 ID:11qXMK4X9o
政務官「その時に何か症状が出たと?」

宰相「…はい。突然、周囲に付き従っていた衛兵共々、倒れてしまったのです…」

政務官「誰かその様子を見ていた人はいたのですか?」

宰相「なかなか戻らない陛下を不審に思ったミリア王妃が4階の小窓から様子を伺ったところ横たわる陛下達の姿を発見したのです」

政務官「暗がりの中、よく見えましたな?」

宰相「邸内には隈無く灯りを設置してありますので…」

ヒメ「いい加減にしろ。リルラ!おまえは探偵か!?」

政務官「し、失礼しました。決して変な意味では?」アセアセ

宰相「承知しております。不意に起こった状況ですから詳細を掴もうとするのは当然ですよ」
108: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/25(火) 21:21:17 ID:11qXMK4X9o
宰相「…その後、意識不明の重体に陥り、手当ての甲斐もなく、一晩で息を引き取ってしまわれた…」ズーン

政務官「……」

宰相「…無念だったろうと思います。悔しかったでしょうとも…。
長きに渡って堪え忍び、ようやく拐われた民とその遺族に報いようという時に…!」ググッ

ヒメ「(ブルードル陛下…)」

『大国を担う若き国王!実に夢のある話だ!』

『子供とは尊く素晴らしい!まだ見ぬ未来に輝きをもたらすのは次世代を生きる子供たちに他ならない!

『私は世界中の子供に愛を捧ぐ伝道師でありたいと願っている!フホホホホッ!!』

『君のような子が欲しかった。つくづく…私は天に愛されていないようだ』

ヒメ「(……)」

宰相「ヒメ国王!…勝手を承知で申し上げます!」

ヒメ「分かっています…」コクッ

宰相「は…!?」

ヒメ「…ブルードル陛下の無念は僕が晴らします」キッ

宰相「そ、そうおっしゃってくださるか…!?」バッ

政務官「陛下……」
109: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/25(火) 21:22:51 ID:11qXMK4X9o
ヒメ「…微力ながら亡きブルードル陛下の使命に報わせてください」

宰相「微力だなどと…とんでもない?私も全力で……」

ミリア「いけませんわよ、宰相殿?この国の問題を押し付けては?」カツンカツン

宰相「お、王妃様…慰霊の儀に移られていたのでは!?」バッ

ミリア「あの人のいない棺のそばに立っていてもしかたありませんもの?」ニコニコ

宰相「ぬ、抜け出してきたのですか!?」

ミリア「今日は来てくれてありがとう?国王に代わってお礼申し上げます…?」ペコリ

ヒメ「…ミリア王妃はそれでいいのですか!」

ミリア「あら、どうして?」ニコニコ

ヒメ「ど、どうしてって…!」

ミリア「…人はいずれ亡くなる。分かってた事でしょう?」ニコニコ

ヒメ「そ、そんな簡単に割り切れるものだったんですか!?貴女とブルードル陛下は……」

ミリア「……」フッ

ヒメ「」ハッ

ミリア「そうですね…。思えば色々ありましたよ?ありすぎて思い出せないくらい?」ニコニコ

ヒメ「(化粧が僅かに滲んでる…。よく見たら目元も腫れて……)」ジーッ

ミリア「割り切れるかと問われたら、そうじゃないんでしょうけれど…私だけではないですものね?」

宰相「は…?」

ミリア「ご参列くださった皆様の表情はどれも目を引くものでしたわ…?
追悼式でお別れの花を握り締めて咽び泣く民の列…。
泣きじゃくりながら、それでも頑張って声高らかに斉唱する聖歌隊の子供たち……」

ミリア「愛されていたのですね。あの人は……あんなに大勢の方々に惜しまれていたんですもの?」ニコニコ

ヒメ「……」

ミリア「…ねぇ、ヒメくん…いえ、ヒメ国王。貴方にお願いがございますの」

ヒメ「なんでしょうか…?」

ミリア「…東の国の問題から手を退いていただけませんこと?」

政務官&宰相「!?」ギョギョッ
110: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/25(火) 21:23:50 ID:11qXMK4X9o
ヒメ「……」

ミリア「貴方はまだ子供ですもの…。
陛下は共に戦う事を望んでおられましたけれど無理する必要はありませんわ?」ニコニコ

ヒメ「…そうは参りません」

ミリア「……?」

ヒメ「…僕の身を案じてくださる気持ちはありがたく受け止めます。
ですが西の策略によって孤立させられた王国に無償で手を差し伸べてくださったブルードル陛下には…少なからず恩を感じています」

ミリア「…そうではないわ?西の国に立ち向かう手段として王国に取り入ったとも考えられるでしょう?」

ヒメ「でしたらなおさらです!」

ミリア「え?」

ヒメ「こちらも初めは西の国を退ける打開策として東の国との親善交流に臨みました。理由は変わりません!」

ミリア「……」

ヒメ「それに…子供を語るブルードル陛下のお顔はすごく輝いてました。
僕自身、あの方の愛に溢れたお人柄に憧れのような感情を抱いていたんです…」

ミリア「…憧れ?」

ヒメ「あの方が父であったなら、どれほどの愛情を知ることが出来ただろうかと…」

ミリア「……!」

ヒメ「せっかくのご厚意ですが…申し訳ありません」ペコッ

ミリア「…戻れなくなりますわよ?」

ヒメ「最初から、そのつもりです…!」

ミリア「分かりました…。では貴方に一つ告げねばなりません」

ヒメ「……?」
111: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/25(火) 21:24:27 ID:o15GMJURy6
政務官「紫色のローブを纏った男が立ち去っていくのを見た…?」

ミリア「はい。上から庭園の様子を窺った時なのですけれど陛下が家臣の方々と倒れていて…。
そのすぐそばに見知らぬ者が立っていて…しばらく倒れた皆を眺めた後、闇に紛れて姿を消しましたの」

宰相「な、なぜそれを早く申されなかったのです!?」

ミリア「もし話したら直情的な貴方の事…ヒメくんに打ち明けてしまうでしょう?」

宰相「ぐっ…!?」

政務官「となると…これは南の国と同様に暗殺された可能性が高いですな?」

ヒメ「……!」プルプル

政務官「陛下…?」

ヒメ「その者は…仮面をしていましたか?」

ミリア「? お顔は見えませんでしたわ?ちらと風貌を認識した程度です?」

宰相「な、何か知っているのですか!?」

ヒメ「……」

宰相「お、王妃様もよく思い出してください!?僅かでも手掛かりになるのでしたら…!?」

ミリア「……そういえば少し不思議な行動を取っていましたわね。陛下の口元に手を添えていたような…?」

ヒメ「や…やっぱりそうか!」

ミリア「へ?」

宰相「やっぱりとは…どういう意味で!?」

ヒメ「ブルードル陛下を手に掛けたのは西の国の手先です!」

政務官「は…!?」

ヒメ「カロルが前に話してくれたんだ。癒しの力を狙う謎の男に襲われたって…」ボソッ

政務官「そ、それが此度の暗殺者であると…?」

ヒメ「間違いない…。風貌も手口もまさしく当てはまる!」ギリッ

宰相「西の国が陛下の死を仕組んだ…だと!」ブチィッ

ミリア「……」
112: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/25(火) 21:25:50 ID:o15GMJURy6
宰相「もはや許さん…!子供らを拐うだけでは飽きたらず、陛下をその手に掛けるとは…!!」ググッ

政務官「さ、宰相殿…」

宰相「王妃様!兵を起こす許可を!?」

ミリア「なりません」

宰相「は…!?」

ミリア「陛下の死から間もないのですよ?」

宰相「だからこそです!今であれば民も兵も皆、陛下の仇を討つ為に立ち上がりましょうぞ!?」

ミリア「」チラッ

ヒメ「宰相殿、まだその時ではありません」

宰相「…なぜです!?」

ヒメ「時間をください。南の国に行き、今の話を伝えて参ります」

宰相「南の国に…!?」

ヒメ「南の国でも同様の事態が起こっています。
事実を確認し、味方に付くよう交渉してきます」

宰相「し、しかし南の国は今まさに王位争いの真っ只中では…!?」

ヒメ「少々厄介ですが…なんとかしてみせます!」

宰相「ひ、ヒメ国王…!?」

ヒメ「…今すぐ出発するぞ!」クルッ

政務官「ははっ!」

ミリア「…くれぐれも無理をしてはいけませんよ?」

ヒメ「…お気遣い痛み入ります!」スタスタ

政務官「では…また後程」スタスタ

宰相「吉報をお待ちしております!」

ミリア「(ヒメくん……)」
113: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/25(火) 21:27:18 ID:11qXMK4X9o
―――東の国(国境地帯)―――

ガガガッ ガガガッ

ガランガラン ガランガラン

馭者1「この先、揺れが強いのでご注意ください!」ピシンッ

ヒメ「あぁ、構わない!全力で駈れ!」

政務官「またしても…奴らに出し抜かれましたな」

ヒメ「……」

政務官「しかし奴らは決定的な失敗を犯しました…。暗殺の黒幕さえ割れれば南の国の助けを借りられるでしょう」

ヒメ「…なぁリルラ」

政務官「はっ!」

ヒメ「前に僕は…おまえ達に戦争をしないと宣言した」

政務官「確かに申されましたな?」

ヒメ「…甘かったよな」

政務官「は…?」

ヒメ「争いを回避したくても…避けられない状況は必ず来る。
それを間延びさせていたら…その分、多くの危機が迫るんだ」

政務官「……」

ヒメ「交渉、交渉って…正直、そんなのが通じる相手じゃないって分かってた…。
痺れを切らして何か仕掛けてくるだろうとも予測してた…。だけど……」

政務官「陛下……」

ヒメ「それが実際に…自分じゃない誰かの身に起きるなんて…そうそうないって軽く考えてたんだ」ブルッ
114: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/25(火) 21:27:51 ID:11qXMK4X9o
政務官「…責任に感じる事はございません」

ヒメ「僕が対応を遅らせたから…じゃなかったら…ブルードル陛下を…死なせずに済んだかもしれない…!」プルプル

政務官「…致し方ありません。貴方は間違っていませんでしたよ」

ヒメ「ミリア王妃もっ…いちばんっ…ツラかったはずなのに…ぼくを…思いやってくれた…!!」ポロッ

政務官「……」

ヒメ「ぼくは……いつもそうだ…!いつだって独りよがりで…!」ポロポロ

政務官「(…これまでの毅然として振る舞うサマから見落としがちだが、やはりまだ幼い陛下には酷だろうな)」

ヒメ「こんどは…絶対に守ってみせる…!親友も…民も…残された人々を……」グシグシ

政務官「……?」

ヒメ「戦ってやる…!死力を尽くして…西の国を倒すぞ!リルラ!!」カッ

政務官「!?」

ヒメ「ついて…きてくれるか…?」グシッ

政務官「フッ…」

ヒメ「……」ジーッ

政務官「無論です!共に戦いましょうぞ!!」

ヒメ「……!」パァァ
115: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/25(火) 21:38:50 ID:yaXDMG2LZo
>>100
魔導師(パカラゥロ)は黒魔術(※毒薬)の研究で改造されたとある国の少女
所々皮膚が破れた水色の肌、目は黒目の無いクリーム色
全身の体毛が無く骨張ったガリガリの身体に血管が浮き出ている
魔溶液(※毒)の影響で成長しない身体なのでギリギリ幼女という設定ですが…死と引き換えに生着替えを見たいと思いますか?w

支援ありがとうございましたw
116: 名無しさん@読者の声:2015/8/25(火) 22:36:05 ID:TLxzuGRtio
うわああブルードル陛下があああ!!!(号泣)

しかし盛り上がってきましたね、全力で支援!
117: 爆発的に投下します! ◆WEmWDvOgzo:2015/8/26(水) 22:09:39 ID:yaXDMG2LZo
〜〜〜数日後〜〜〜

―――南の国―――

南の王子1「これはこれは可愛らしいお客様だ?王国の雛鳥様がわざわざ我が国にどういったご用件で?」

ヒメ「……」

政務官「ひ、雛鳥だと…!?」イラッ

南の衛兵's「」ザッ

政務官「っ…!?」タジッ

南の王子1「お〜?何か言いたげではないか?親鳥クン?」ニヤッ

政務官「(う、噂には聞いていたが…ここまで歪んだ性格の持ち主とは…!?)」ギリッ

顧問官「お戯れもほどほどになさいませ。ラフテン王子」

南の王子1(ラフテン)「あ…?」ギョロッ

顧問官「弟君を見習われてはいかがか?」チラッ

ラフテン「ふん…ぃやあ、ローレンくん?今朝から君の声を聴いてないが喉でもイカれちまったのかい?」ニヤニヤ

南の王子2(ローレン)「……」

ラフテン「カッ…これだから下級官族の出は?愛想というものがないのかね?仏頂面で腕組みなんかして何様のつもりだい?」ボフッ

顧問官「ラフテン王子の失言、南国主席顧問官である儂が代わってお詫びを…」ペコッ

ヒメ「いえ…」

政務官「(ロクに教育も出来てないな!恥知らずめ…!)」ギロッ


ラフテン「で?なんの用だね?我々は明日に控えた現国王の葬儀、そして王位継承の儀に向けて忙しいのだが?」

政務官「王位継承…!?」

ヒメ「…世継ぎを事前に決めておられたのですか?」

顧問官「陛下自身は指定しておりませぬ…。しかし……」

ローレン「王位継承の資格は長男であること…」ボソッ

ラフテン「そう!そうだよ、ローレンくん?よく分かってるじゃないかぁ!」パァァ

ローレン「どうぞお好きになさいませ。俺は兄上ほど王の座に興味を示してはおらん…」
118: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/26(水) 22:10:49 ID:yaXDMG2LZo
政務官「なぜ長男のみが…?資質を見定める過程などはないのですか…?」

顧問官「詮索はおやめください」ギロッ

政務官「も、申し訳ございません」

ラフテン「我が国の伝統よ?」ニヤニヤ

政務官「伝統…?」

顧問官「王子!!」

ラフテン「よいではないか?話したところでなんになる?」ニヤニヤ

顧問官「……!なりませぬぞ!
他所の人間に軽はずみな言動はせぬよう申し上げたはず!?」

ラフテン「それは貴様の失態ではないか、爺や?」ニヤニヤ

顧問官「なっ…!?」

ラフテン「軽はずみに話されたくなくば何故、この雛鳥の謁見を許した?」ニヤニヤ

政務官「(ま、またも我が王を侮辱するか…!?)」ググッ

ヒメ「リルラ…頭を冷やせ」ボソッ

政務官「」ビクッ

ヒメ「この程度で熱くなるな…。おまえらしくもない?」ジッ

政務官「はっ…!申し訳ございません…!」
119: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/26(水) 22:11:47 ID:tkZwUH.J0s
ラフテン「簡潔に言えば競わせてるのだよ?王子同士をな?」

ヒメ「競わせるとはどのように?」

ラフテン「長男の座を勝ち取った者だけが王座に腰を据える…。簡単な仕組みよ?」

政務官「ま、まさか…?」ブルッ

ラフテン「父上は生前、実に64人の子を産ませた…?それぞれ収まる腹は違うがな?」

ヒメ「椅子取り競争…ですか?」

ラフテン「そう!そう!そう!それだよ、雛鳥くん!?理解が早いじゃないかぁ!?」パァァ

ヒメ「お褒めにあずかり光栄です」

ラフテン「そうだよ?まさしく椅子取り競争だ?王の血を引く者が玉座を狙って長男の命に食らいつく!」

ラフテン「長男は迫り来る刺客、張り巡らされた罠を掻い潜り、野望を抱いた弟共を徹底的に滅ぼしていくのだ!」

ラフテン「アァ〜…あれはいつだったろうか!初めて兄上の背に定めて弓を引き絞ったのは…そう!7歳の時だ!?」アヘアヘ

ラフテン「まだ王位争いなど自覚せぬ母親任せの暢気なお坊っちゃんが満面の笑みで狩猟を楽しむ、その背後で私は更に輝かしい笑みを湛えて矢を放ってやった!」ニヤァァァ

政務官「」ゾクゾク

ラフテン「泣き叫び、悶え苦しみ、爽やかな笑みが無様な泣きっ面へと変貌するサマはただただ笑いを誘ったよ?
その場にいた母親、付き人共もまとめて配下に殺害させた!
転げ回る兄上を見下ろした時は私こそが勝者なのだと心から胸躍ったなぁ!?」アヘアヘ

政務官「(聞くに耐えない…!この男…いや、この国の異常性は西の国に匹敵する…!)」

ラフテン「低俗な臣下の中には私を蔑む声も聞こえる?」

ラフテン「が…私は残酷ではない。無慈悲でもない…。むしろ冷静で思慮深い?」

ラフテン「なぜなら幼き頃より既に己の成すべき使命を理解していたのだから?
つまり私は誰よりも聡く、王となる才を秘めていたのさ!」カッ

ヒメ「……」
120: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/26(水) 22:12:25 ID:tkZwUH.J0s
ラフテン「ここに来るまで32年…長いもんだ?数名の兄上を囮に残し、可愛い弟共を密かに殺して回るのは楽しくてたまらなかったよ?」ニヤァァァ

ラフテン「各専属の調理人、毒味役を買収し、王子の口にする料理を劇薬まみれにするなど日常茶飯事…。
まだ幼い赤子を何匹も拐い、城の屋上から放り投げてやったのも懐かしい?」

ラフテン「親しいフリをして話があると持ち掛け、兄上共の仕業に見せかけて騙し討ちもしたか?
ベーベー鼻水垂らして泣きわめく弟共の必死な命乞いを遮って振りかざす刃は最高に切れが良かったよ?」

ラフテン「精神的に貶めて自殺に追いやった者もいれば、女をあてがって殺させたりもした…?」

ラフテン「アァ〜そうそう!弟を麻薬浸けにして他の弟に同士討ちさせた時の城内の騒乱っぷりと言ったら……」

顧問官「王子!!」

ラフテン「……?」

顧問官「……!」

ラフテン「カッ…思い出を語っただけではないか?なぁ、ローレンくん?」

ローレン「……」

ラフテン「悔しかろう?明日の朝までに私を殺さねば貴様は全てを失うのだから?」ニヤニヤ

ローレン「興味がないと申しましたが…」

ラフテン「カッ…澄ました顔の裏に醜悪な野心が覗いておるわ?」ギョロッ

ローレン「……」

ラフテン「私が王となった暁には貴様を後押しする愚かな臣下共々皆殺しにしてくれようぞ!なぁ、爺や?」ニヤニヤ

顧問官「ぐっ…!」
973.18 KBytes

名前:
sage:


[1] 1- [2] [3]最10

[4]最25 [5]最50 [6]最75

[*]前20 [0]戻る [#]次20

うpろだ
スレ機能】【顔文字