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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編その2】
[8] -25 -50 

1: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:00:58 ID:/WYEXwH6vk
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10

1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10

2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10

3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)

あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)

>>2から本編になります!


81: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/14(金) 21:21:34 ID:YUaqlqK50k
〜〜〜回想(ブルードル)〜〜〜

東の高官「…報告します!拐われた子らの所在、生死共に不明!派遣した300の調査隊も同様です!」

ブルードル「…分かった」

東の高官「引き続き調査隊を派遣しますか!?」

ブルードル「…宰相、どうだろうか?」

宰相「お気持ちは重々…ですがこれ以上は…犠牲を増やすばかりやもしれませぬ」

ブルードル「西の皇帝に宛てた抗議文はどうなった?」

東の高官「…早馬にて送らせたのですが返答はおろか抗議文を届けた伝者も帰って参りません」

宰相「向こうは話し合う気もないようですな。西の地を踏めば死に直結する…。もはや立て続けに抗議をするのも危険過ぎます」

ブルードル「…そうか。中止しろ」

東の高官「よろしいのですか…!?」

ブルードル「明日、遺族を城に招いておくれ?城下の民には私が直接、顔を見せて説明しよう」

東の高官「へ、陛下自らがそこまでなさらずとも!」

ブルードル「…私はこういう時、どういった言葉をかけてやればよいか知らぬ。
宰相よ、なんと言えば遺族の傷に響かせず僅かでも慰められるだろうか?」

宰相「必要ありません」

ブルードル「?」

宰相「王の言葉には光が宿っております。陛下の心の赴くまま遺族に語りかけて差し上げればよろしい」

ブルードル「フホホ…何が光なものか?何よりも失ってはならぬ純然たる希望の欠片を手放した愚か者が…?」

宰相「自棄になりなさるな!陛下がそれでは失われた命どころか残された命までもが浮かばれませぬぞ!」

ブルードル「フホホ…悲しみを癒す間もなく他者を労らねばならぬか。王とは難儀だな…」
82: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/14(金) 21:24:08 ID:YUaqlqK50k
宰相「史実・歴王典にあるように…嘆きを安らがせ、暴走を諌め、戸惑いは導き、悲哀には励まし、喜楽あらば共にする。王とは陰りなき永遠の光と説きます」

ブルードル「王とは光……なるほど、偉大なる先人方はやはり美しい教えを遺される?」

ブルードル「だが子のない私達には…この国の今を楽しみ、未来を待ちわびる無数の瞳は…一点の曇り無く輝ける存在なのだ…!」ググッ

東の高官「」ビクッ

ブルードル「王であれ、使命であれ…あと20年保つか分からぬ…老い先短い微かな灯し火…!
いかに貧しかろうと…卑屈を強いられようと…身分が低かろうと……80年、100年先の未来を生きたかもしれない…眩い命!どちらが優先されて然るべきか!?」ウルッ

宰相「……」

ブルードル「明日、遺族には救出不可能として調査隊を撤退させる旨をしかと伝えなくてはならぬ。
すなわち愛すべき子らを見捨てると断じた王の慰めに耳を傾けさせねばならぬのだ…!」

ブルードル「分からぬ…分からぬよ。宰相…。
私が遺族であったなら…王の慰めも豪奢な宮の煌めきもひしめく屈強な護衛、家臣らさえも…。
王家の栄光の全てが憎しみを増幅させ、拐われた民に射し込まぬ偽りの光を決して許しはしないだろう…!」

宰相「そうであっても…陰りを悟らせてはなりませぬ」

ブルードル「ぐぅっ……」ググッ

宰相「東の地を照らす大いなる光が褪せてはならぬのです!」

ブルードル「…ふ、フホホ……光…」
83: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/14(金) 21:26:52 ID:T0csLKu60c
〜〜〜〜〜〜

ブルードル「苦しゅうない。一同、面を上げられよ」

遺族's「」スッ

ブルードル「……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

ブルードル「(はかり知れん…)」

宰相「……」

遺族's「」ジーッ

ブルードル「(…この感情はとても受け止めきれるものではない。複雑だ…あまりにも……)」ゴクリ

宰相「陛下、ご説明を」

ブルードル「うむ…。此度の拉致騒動だが…」

遺族's「!!!!」ギンッ

ブルードル「…すまぬ」ペコッ

遺族's「!!!!!」カッ

ブルードル「余計な言葉は要るまい…。全ては王である私の責任だ。力不足でまことに申し訳ない」

遺族's「」ブルブル

ブルードル「(…複雑な感情を受け入れられないのは彼らも同じか)」

ウオオオオオオオオ!!!

ガタンッ ドガッ ガンッ

遺族1「※★→】゙}@△#!!!」ギャーギャー

遺族2「ふごぉおおお!!むごぉぉふぉっふぉっ!!」ポロポロ

遺族3「メイ…ヒヨ……」ボーッ

遺族4「返せぇエエエエ!!!返せヨォォオオ!!?」ガァーッ
84: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/14(金) 21:29:07 ID:T0csLKu60c
宰相「鎮まれ!王の御前であるぞ!?」

遺族5「関係あるかぁ!?」ダンッ

宰相「なっ…!?」

遺族6「私達の子供は…どうなってるの!?生きてるの!?死んでるの!?」

遺族7「西の国がやったんだろ!!分かっててどうして何もしないんだ!?」

宰相「…ま、まだそうと決まった訳では!」

遺族8「西の軍旗を掲げた兵が迫ってくるのをこの目で見たんだ!?」

遺族9「奴ら、わざと俺達に旗を振ってた!!混乱したのを見計らってはぐれた子供らを最初から街に仕込んでた間者を使って拐わせたんだ!?」

宰相「さ、幸い街自体の被害は少ない!まずは探りを入れて……」

遺族10「街が無事なら、それでいいのか!?そこに住まう民の被害など…どうでもいいと言うのか!?」

遺族11「どうなんだ、陛下!?」

ブルードル「(なんとも言えぬ、な…)」

宰相「」ギャーギャー

遺族12「おぉぉおおおお!!おおおお!!!」ポロポロ

遺族13「許さない!!許さなぁぁぁい!!!」ポロポロ

遺族14「あっ…ひ……あぁぁああああ!!!」ワシャワシャ

ブルードル「(かける言葉がない…。予想はしていたが…ここまでとは)」
85: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/14(金) 21:31:20 ID:YUaqlqK50k
宰相「これ以上、騒ぎになるようなら衛兵に取り押さえさせるぞ!?」

ギャーギャー ギャーギャー

ブルードル「(打ち合わせた通り、宰相が傍らで憎まれ役を買って出てくれているが…そんな易い感情ではない)」

ブルードル「(憤怒…悲哀…喪失…諦め…孤独…希望…絶望……私の語彙力では語りきれない)」

遺族15「ふぇっ…ぇっ…ぇ……いき…できな…」ドクンドクン

遺族16「考えたくない…信じない…そんなはずない…夢…そう、これは悪い夢……」ブツブツ

ブルードル「(たった120名の遺族が向ける感情は万にも及ぶ…。
果てしない怒りと悲しみは紡がれていき…やがて私は民を裏切った王として世に知れ渡るだろう)」

ブルードル「(ならばもう…光だなどと…くだらない)」スクッ

宰相「お前たち!しずま……へ、陛下!?」

遺族17「…立った」ジーッ

遺族18「陛下が…立った!」ジーッ

ブルードル「そなたらの子は取り戻せぬ。西の国から無事に奪い返すだけの力が今の我が軍にはない」

遺族's「あぁ…!?」ビキビキィッ

ブルードル「…よって西の国に深く踏みいるのは危険と判断し、調査も終了。
抗議も中止し、この件に関する活動を全面停止する!」

遺族19「冗談ですよね…?」ヒクヒク

ブルードル「冗談ではない」

遺族20「こ、この…!!」

遺族21「どう責任を取るんだ!?」

宰相「責任だと?貴様、平民の分際で……」

ブルードル「よい!」

宰相「は…!?」

ブルードル「もうよいのだ、宰相…悪を演じるのは」

宰相「陛下…?」

ブルードル「暗闇に佇む者らに強い光を浴びせかけても…目を焦がし、光を失わせるやもしれぬ」

宰相「…お待ちください!何を言うおつもりですか!?」
86: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/14(金) 21:37:00 ID:T0csLKu60c
ギャーギャー ギャーギャー

ブルードル「聞け!皆の者!」

宰相「……」

ブルードル「私は決して西の国を許しはしない!」

遺族's「」ピタッ

ブルードル「時を待て!いつの日か必ずや…皆の無念を晴らしてみせよう!!」

遺族21「どの口が言うんだ!?」

ブルードル「…それまで皆に深く刻まれた傷を……我が国が受けた屈辱を…未来永劫、忘れさせぬ為にも城下に拐われた子らの彫像を建てる!!」

宰相「」ビクビクゥッ

遺族's「」ギョギョッ

ブルードル「決して忘れるな!!決して許すな!!決して諦めるな!!
我々は一蓮托生、血の通わぬ悪逆非道な野蛮国に報復を誓いし同士なり!!」

遺族's「お、お、おぉぉぉ…!?」ガクガク

宰相「陛下!!今すぐ撤回なさいませ!?」アセアセ

ブルードル「……」

宰相「陛下ぁっ!!」

ブルードル「…撤回はせん!!」カッ

宰相「(い、いかん!王族の権威が…光が……闇に支配されてしまう…!?)」

ブルードル「そなたらはまさしく…光を失い、闇に囚われておる。
無根拠に諭す救いの言葉で照らしてみせたところで影はいっそう深まるばかりだろう」

ブルードル「しからば闇の中にあればよい。絶望の淵にて希望を見出だすのだ」

宰相「なりません!!なりませんぞ!?」ザッ

ブルードル「私には彼らの意を汲んでやる義務がある」

宰相「お、おやめください!?それだけは…絶対に…!?」

ザワザワ ザワザワ
87: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/14(金) 21:39:19 ID:T0csLKu60c
ブルードル「血を分けた愛し子を失う痛みは…私も知るところだ!!」ギリッ

遺族21「」ビクッ

遺族22「そ、そんなの…分かる訳ないじゃない?」カタカタ

遺族23「こ、国王様は…子などおられないでしょう?」ワナワナ

ブルードル「いたとも!最愛の我が子が…私は今も…愛している!!」プルプル

宰相「衛兵!陛下はお疲れのご様子!奥に連れ立って休ませよ!?」

東の衛兵1「はっ!!」

ブルードル「私は疲れてなどいない!!王の身に触れる者あらば断じて許さぬ!!」カッ

東の衛兵's「っ…」タジッ

ブルードル「我が妻ミリアは3度、子を宿し、3人の子らは光を浴びる事なく世の涯へと流れた!!」

ブルードル「第一子の名はサリアドル、第二子の名はヨードル、第三子の名はルクアドル!
性別も分からず王位を継いだかも分からぬが…紛れもなく私とミリアの子だ!!」

遺族's「ひっ…ひっ……」

衛兵's「ま、まことなのか…?」ヒソヒソ

宰相「あ、あぁぁあ……」ヘナヘナ

ヒエエエエエエエエエエエエ!!!

ブルードル「案ずるな!遺族達よ…いや、我が同士よ!!私はお前達を見捨てはせんぞ!!」

遺族's「」パァァ

ブルードル「その日が来るまで復讐の剣を研ぎ澄ませ!!お前達と戦える日を余は楽しみにしておるぞ!?」

ウオオオオオオオオ!! ウオオオオオオオオ!!

バンザーイ!! バンザーイ!!

…………………
88: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/14(金) 21:41:26 ID:YUaqlqK50k
政務官「城外に飾られた少年少女の石像は…遺児を祀り偲ぶものだったのか」ワナワナ

ネバル「3回も流産しちゃった…ですか?」ガタガタ

ブルードル「うむ…。もはや妃の身に負担はかけられなかったので…私は子を諦めた」

ミリア「…天に与えられた3人の命を地上へと放ってあげられなかった私の責任ですわ?」

政務官「…で、でしたら別の宮女に役目を代わらせれば?」

ミリア「私もそのように勧めたのですが…」

ブルードル「私は我が儘でね…」

政務官「?」

ブルードル「愛した妻との子でなければ嫌だったのだよ」

政務官「い、嫌だった…!?」

ネバル「かっちょいいです!よっ!王様!?」ヒューヒュー

ブルードル「フホホ!また褒められてしまった?」テレッ

ミリア「ねー?よしよし?私も愛してますよー?」ナデナデ

ブルードル「私もさ…?」ジッ

ミリア「……」ジッ

ブルードル「んーっ…」スッ

ミリア「んーっ…」スッ

宰相「うぉっほん!!」

ブルードル&ミリア「」ビクッ

宰相「お客様の御前ではしたないマネはおよしください!」

ブルードル「す、すまないな?」テレッ

ミリア「……」ポッ

ネバル「ひゅーひゅー!アツアツですー!」

政務官「貴様は少し黙っていろ!」アセアセ

ヒメ「っ…!」ドキドキ
89: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/14(金) 21:43:07 ID:T0csLKu60c
政務官「宰相殿は何も言わなかったのですか?」

宰相「国王にその気がないのならどうにもなるまい…」

ブルードル「フホホ!よく言うな?ある時期は毎晩のように我が宮に女をあてがっておいて?」

ミリア「あらあらまぁ?宰相殿も頑張ってらしたのね?」ニコニコ

宰相「そ、それはどうかご内密にと!?」アセアセ

ヒメ「……」

ネバル「そういえばうちの陛下はどうなんです?許嫁とかいるですか?」ヒソヒソ

政務官「…私や大臣ら反王族勢力で固められた頃は王族にあらゆる制限を課していたのでな。
継承の儀に迫るまで何者も近付けぬようにしていたのだ。
その上、陛下自身も人付き合いを嫌っていて深い仲に至った相手は今まで一人もいない…」ヒソヒソ

ネバル「それって…うちの王様もまずいんじゃ…?」ヒソヒソ

政務官「そうだな。まだ小さいからと考えていたが…深刻化する前に対策を講じねばならないかもな…?」ヒソヒソ

ヒメ「…おまえら、なんの話をしてるんだ?」ジロッ

政務官「…いえ」

ネバル「な、なんでもないですー!」アタフタ

ブルードル「フホホ!」

ミリア「」クスクス
90: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/14(金) 21:45:34 ID:YUaqlqK50k
ヒメ「…西の国に対する遺恨、陛下と妃様の経緯(※いきさつ)、共に包み隠さず教えてくださり、ありがとうございます。
改めて口に出すのは心苦しいものと思われますが…おかげでこちらも本心から話を進められます」

ブルードル「そうか。話した甲斐があったよ」ニコニコ

ヒメ「私からも改めてお願い申し上げます。養子縁組は断らせてください!」

ブルードル「……」

ヒメ「そちらの事情を考慮しても…やはり明確に断ち切らなければならない選択肢であると見ます!」

ブルードル「聞かせてくれたまえ…」

ヒメ「東の国と王国は隣接地に境があり、問題化した事案や衝突に至った経歴もありません。
もしも国土を繋げるとして弊害は少ないように感じられますが…それでも両国には重大な不安要素があります」

ブルードル「…分かっているとも?」

ヒメ「!」ピクッ

ネバル「へ?なんです?不安要素って?」

政務官「…黙れ。お二方の話に集中しろ」

宰相「……」

ミリア「」ニコニコ

ブルードル「子を生むべきか、だね?」

ヒメ「…はい!」

ネバル「???」
91: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/14(金) 21:48:24 ID:YUaqlqK50k
宰相「そんなものは決まっておりましょう」

政務官「うむ…。東の国より妃を娶り、王国の次期継承者とするべきかと」

ヒメ「東の国には王の血が流れていないんだぞ」

宰相「……!」

政務官「……!」

ミリア「……」

ヒメ「万人に愛された偉大な国王の血を絶やし、無関係の新たな血に東の国土は吸収される。
我が国の民は王国の権威を誇りに思い、東の民は母国の権威が落とされたと落胆するだろう」

政務官「…人種差別が生まれると?」

ヒメ「ホビットへの差別を無くす活動がいまいち滞っているのは民の差別意識が残っているからだ。
燻った民意に火種を投じるのは危険だと考えるが?」

政務官「…そうですな」

ブルードル「身を切る覚悟は出来ているよ。東の民にも号外に記してそれとなく悟らせてある?」

ヒメ「…お言葉ですが」

ブルードル「……?」

ヒメ「それは貴方の傲慢に他ならない」

ブルードル「ホ…?」

宰相「傲慢…ですと?」

ヒメ「そうしたところで喜ぶのは今を生きる者達だけですよ?」

ブルードル「今を…?」

宰相「先ほどから傲慢を押し付けているのは貴方の方では?」ジロッ

ヒメ「…なに?」

宰相「これだけの好条件を無償で差し出し、余すことなく全てをさらけ出したというのに…まだごねられるのですか!?」

ヒメ「…申し訳ないが最初から断るつもりでしたので?」

宰相「……!」ブチブチィッ
92: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/14(金) 21:53:47 ID:T0csLKu60c
ヒメ「貴殿方の提示する条件はどれも素晴らしく王国を豊かに彩ってくれるでしょう」

ブルードル「私もヒメ君の治める両国の繁栄を期待しておるよ?」

ヒメ「ですが…貴殿方の判断は同時に自国をないがしろにした愚かな選択です!」

宰相「愚かだとぉ!!」ダンッ

ブルードル「宰相…!?」

宰相「こ…の…青二才がぁ…!陛下が…妃様が……我々が…どれほどの想いで納得したと…!?」ギリギリ

ヒメ「重々承知しています。ですが私は納得出来ません」

宰相「なぜだ!これを機にそなたは栄華を掴むがいい!!
我々は悲願の復讐さえ果たせれば…それでいいのだぁ!!」ガァーッ

ネバル「……こ、怖いです」ブルッ

ヒメ「私が国を預かるからには民に復讐などさせません」

宰相「……!?だ、打倒しようと…!?」

ヒメ「言いました。しかし武力による弾圧ではなく…交渉を主として打倒を掲げます!」

宰相「話が違うぞ!?王国めぇ!?」

ヒメ「たとえ今、西の国を武力で滅し、王国・東国が手を取り合って結合したとしても…列国を震わせた怪物、西の国を蹴散らした英雄は私となってしまうでしょう!!」

ヒメ「そうなれば更に旧王国民の自意識は高まり、旧東国民は無下に扱われていく!!
この時代に起きた事は、この時代を生きた者の責任だ!それはしかたない!!
だが陛下が再三に渡って語られた"未来の光"は潰えてしまうだろう!!」

ヒメ「生まれ来る子供たち、その子供たち、孫から曾孫、脈々と受け継がれていく東国の血族!!
その全てに悲惨な未来を約束して得る勝利など…僕に言わせれば、なんの価値もない!?」

宰相「おっ…く!」

ヒメ「一度、戦争をした以上は拡大した国土も手伝って軍備の強化が押し進められるだろう!
なぜなら歴史が王国を勝者と認めてしまったからだ!もう後戻りは出来ない!
そして列国もその驚異を恐れ、軍備強化に動き出す!
第二の終わらない争い開戦の秒読みが始まるんだ!」

ヒメ「だが東国民と王国民の団結はこの時代にしか約束されていない!
よほど上手くやらない限りはいずれ決別の道を辿る!
緊迫感漂う状況にあって内乱の可能性が上がり、国内外の調和も取れなくなっていく!」

ヒメ「そこから先、何年…いや何十年、何百年かも分からない!
この時代が招いた悲劇の枷を未来に託さなければならなくなるんだぞ!?」

ネバル「(陛下って…本当に13歳です?なんか凄すぎて怖くなってきたです…!)」メダパニ
93: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/14(金) 21:58:02 ID:YUaqlqK50k
ヒメ「私は間違っていますか?ブルードル陛下?」

ブルードル「一国の王としては非常に間違っておるよ。自ら繁栄を妨げているようなものだ?」

ヒメ「自覚はしています…」

ブルードル「しかし私は…そんな君が大好きだ?」ニコッ

ヒメ「!?」

ブルードル「自国のみに留まらず我が東の国までも思いやってくれる。
その暖かな広い器…王にして王にあらず…君の未来は無限に照らされ、光の渦を生み出すだろう」

宰相「…あ、貴方様のお考えは大仰だ!?たとえそうなれど道を切り開くのが我々、国の役目……」

ミリア「もうよいのではありませんこと?」ニコニコ

ブルードル「そうだな。もうよい」ウンウン

宰相「なっ!?」

ヒメ「……どうか断らせてください」ペコッ

ブルードル「君のような子が欲しかった。つくづく…私は天に愛されていないようだ」

ミリア「毎日、着せ替えして可愛く着飾ってあげたかったのに残念?」ニコニコ

ヒメ「…申し訳ございません」ペコッ

宰相「陛下…まことに…?」

ブルードル「よいのだ。初めから強制する気もない」

宰相「ふぅ…では西の国をどう交渉すると?」

ヒメ「東の国と王国の両国で西の国に対し圧力をかけます」

ブルードル「…圧力を?」

ヒメ「はい。東の国の拉致被害者142名の返還、王国に対する不審な動きについての言及。争点をこの二つに絞って抗議に挑みます」

宰相「なるほど…」
94: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/14(金) 22:00:33 ID:T0csLKu60c
ヒメ「そして盟が生きていると示した上で平和協定加盟国に西の国の牽制を促し……」ペラペラ

ブルードル「……宰相?」

宰相「はっ!その話に付きましては私が請け負いましょう!議場へ……」

ヒメ「陛下は?」

ブルードル「私が加わっても妙案は出そうにない。今は妃と話し合って新たな後継者探しに専念させていただくよ」

ミリア「力になれなくて申し訳ありません…?」

ヒメ「いえ、あとはお任せください」

ブルードル「フホホ…孫ほど歳の離れた君に託すのは忍びないが…」

ヒメ「お構い無く?最も優先されるのはそちらの事情ですから?」

ブルードル「恩に切るよ。礼は尽くす」

宰相「ではヒメ様、こちらへ案内致します」スタスタ

ヒメ「…リルラ!ネバル!行くぞ?」スタスタ

政務官「はっ!」スタスタ

ネバル「はいです!」スタスタ

スタスタ スタスタ………

ブルードル「……断られてしまったぁ!?」ダキッ

ミリア「そうねぇ。本当に残念でしたわねぇ?よしよし?」ナデナデ

ザワザワ ザワザワ

ブルードル「うおおおん!!ヒメくぅぅん…!!」シクシク

ミリア「家臣の皆様も見てますから?元気を出しましょうねぇ?」ナデナデ
95: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/14(金) 22:02:44 ID:T0csLKu60c
〜〜〜1週間後〜〜〜

―――南の国(宮殿)―――

顧問官「…御公務、お疲れ様でした。残りはこちらで済ませておきますので陛下は自室でお休みくださいませ」

南の王「毎夜、無理をかけてすまぬな。爺や」

顧問官「いえ…伽も大事な公務にございます」

南の王「ハハハ…なぁ爺や。それももちろん大事なんだが…」

顧問官「はい…?」

南の王「…王国からの文、爺やはどう読む?」

顧問官「…最近の西の動きは怪しい。牽制は正しい判断と言えるでしょうな」

南の王「ハハハ…そうか、そうか」

顧問官「…陛下はどうお考えになられる?」

南の王「あのヒメ国王…まだ幼いが相当なやり手だと聞いている。余も何度かお会いしたが…」

顧問官「儂の目には…そうは見えませんでしたがな」

南の王「うむ…そうだな。彼は思想を熱く語りすぎだ?
あれでは正直者のブルードル陛下をやり込めるのが精々…」クックッ

顧問官「協議の場においても目に余りまする。経験も浅い。
配下の指示に操られる人形の分際で他の国々に正義を諭すなど…」

南の王「そうだろうか?勢い任せで底が浅いの別として…あの歳であそこまで思想を掲げられる熱意は評価に値すると感じたがね?」

顧問官「は…?」
96: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/14(金) 22:06:05 ID:T0csLKu60c
南の国「それに彼はおそらく先代と違って配下の手を離れているんじゃないかなぁ?」フンフン

顧問官「まさか…?齢13の未熟者に務まりますまい?」

南の王「まだまだ粗削りだが…あれでなかなか末恐ろしいよ?
今、最も注目すべきは"魔性のファルージャ"よりも"王国の姫君"なのかもしれん?」

顧問官「は…!?」

南の王「平和協定加盟国・6国に加え、西の蛮国、更にかつて終わらない争いで領土を奪われ、大陸方々に散った小国がいくつか……」

南の王「どれを取っても用心ならないが…中でも新たな時代を迎え、活発な動きを見せているのは西と王国の二つだ?」

顧問官「…両国の小競り合いが何か大きな問題に繋がるとでも?」

南の王「小競り合いかどうかは…当人の抱える問題の深刻さに左右される?」

顧問官「それほどの問題があの二つの国に?」

南の王「実はまだどの国も口に出してはいないが…2年前の巡礼で教団が演出した奇跡?あれは何か…解せないんだなぁ?」

顧問官「し、しかしあれはタイマによる幻覚と……」

南の王「皆一様に共通の物を魅せられる幻覚症状があるか?」

顧問官「そ、それは…」

南の王「…教団の神官があの巡礼で王国の首都を侵略するよう依頼してきたが…ふっ?一国の王を易々動かそうとは…甘いなぁ?」

顧問官「あの国は王が配下を御しきれず遂には反乱を許してしまった歴史上、最も愚かな国です」

南の王「しかし反乱まで起こす理由があっただろうか?あの国は傀儡政権で十分、成り立った筈だ?」

顧問官「…そこに何か裏があると?」

南の王「西の国の動きも妙だというのも…どこも鉱石財源に狂ってあまり眼に映っていない?
これはもしかすると…もしかするのかなぁ?」

顧問官「何を企んでおいでか?」

南の王「…企んでなどいないよ。考えているだけだ?如何にすれば我が南の王家が得をするか…な?」ニヤリ

顧問官「深入りは禁物かと…」

南の王「ハハハ…下手に動いて目を付けられても厄介だしな?慎重に事を運ばねば?」

顧問官「(隙がなく、抜け目なく…表面上は人格者と評される我が王に秘められた狡猾さは儂の他に知る者はいない)」

南の王「ファルージャかヒメ…どちらに恩を売っておくべきか?」ニヤニヤ

顧問官「(我が南はまだまだ安泰だな…)」
97: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/14(金) 22:10:09 ID:YUaqlqK50k
―――宮殿(寝室)―――

南の王「さーて…夜の公務に励むとしようかな」ガチャッ

少女「お待ちしておりました」

南の王「(……少女?)」

少女「今宵、陛下の心身をお世話させていただきます。ラウロと申します」オズオズ

南の王「(ふっ?爺やめ…たまには趣向を凝らそうという訳か?)」

少女「衣服をお預かりしますのでお側に寄りまするがよろしいでしょうか?」

南の王「…良いとも?苦しゅうないぞ?」ニコッ

少女「では…失礼します」スッスッ

南の王「……そちは手慣れておるな。前にも呼ばれたか?」ヌギヌギ

少女「いえ…初にございます」サッ

南の王「ふっ…なかなか…いや、悪くない」ジッ

少女「は?」

南の王「ハハハ!」ガバッ

少女「えっ…?」ドサッ

南の王「」ムチュッ レロレロ

少女「んっ…んぅ…んぐぅ!」ジタバタ

南の王「ぷはぁっ…はぁっ…」ゴソゴソ

少女「……」

南の王「ぶっ…!」ウプッ

少女「んふふ…?」ニタァァァ
98: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/14(金) 22:13:02 ID:YUaqlqK50k
南の王「ごっ…ぼへっ!ぶぇぇああぁぁ……かぁぁあっ…!」ゴボッゴボッ

少女「きったな…」ボチョッ ビチャビチャ

南の王「っ〜〜〜!!」バタッ

少女「ふぅぅ…まさかいきなり押し倒されて強引に口吸いの洗礼を受けるとはねぇ。びっくりしちゃったよ」ムクッ

南の王「あぁぁぁっ…かっ……」ギロッ

少女「そんな目で見られてもねぇ?毒まみれの化け物の舌なんかべちゃべちゃ舐めるからだよ?ばっちぃなぁ?」

南の王「(呼吸が…できない…!?)」パクパク

少女「もうちょっと我慢すれば楽に殺してあげたんだよぉ?恨むなら自分さね?」バッ ベリベリ

パサッ

南の王「(!? ばげ…もの……)」フッ

魔導師「さぁてと…シャルウィン特製の変装道具で姿を眩ませるとするかねぇ…?やっぱり衛兵が一番、怪しまれないかなぁ…?」ゴソゴソ

魔導師「あ、借りたドレスは脱ぎ捨てよ。どうせもう使わないし?」ヌギヌギ

南の王「」ピクッピクッ

魔導師「それにしても…ほんとに毎夜、快楽に興じてたのかねぇ?
君の口吸いさぁ、正直、乱暴でヘタだったよぉ?」ジーッ

魔導師「女王の口付けはもっと優しくてイイところに導いてくれる?
ちょっと中和薬の匂いが濃いけど…んふふふふ!してほしいなぁ?」ボーッ

カツンカツン カツンカツン

魔導師「さてさて、さてさて、さてさてと…次は"東"か。忙しいよねぇ…」カツンカツン
99: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/14(金) 22:16:16 ID:T0csLKu60c
>>80
リアタイ支援されてしまった!感謝するしかない!
感謝感謝感謝感謝感謝感謝感激!!!

支援ありがとうございますw
100: 名無しさん@読者の声:2015/8/25(火) 09:56:08 ID:QUkGXcOYqo
南の王は魔導師の生着替えを見たのかどうか…それが問題だ。見たんならちょっとそこ変われこのペドヤロー!w

CCCC
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