男「釣りロマンを求めて」幼馴染「離島編です」
Part3
951 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 12:55:10 0orFeGTs
……………
………
…
…入り江の砂浜
少女「無い…!確か、この岩の裏に……」ゴソゴソ
幼馴染「まだまだ日暮れまでは時間があります。がんばって探しましょう」
幼友「どんなカプセルだったの?」
少女「ガチャガチャのカプセルに、色を塗っとったんよ…確か、ピンク色」
幼馴染「…何を入れていたのでしょう?」
少女「……貝殻」
幼友「貝殻?何か特別な貝殻なの?」
少女「ううん、この砂浜で見つけたちょっと大きな二枚貝の貝殻なんよ」
952 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 12:55:47 0orFeGTs
幼馴染「これは……ピンクの陶器のかけらですか」
幼友「うわ、ピンクのカラーボール出てきた。すっごい期待したのに、馬鹿にされた気分…」
少女「………」ゴソゴソ
『少女、何を埋めるの?』
『これ!カプセル!』
『中身が判らないよ……何が入ってるの』
『内緒!開ける時のお楽しみなんじゃけん、勝手に掘ったらいけんのよ!?』
『それじゃ一緒に埋める意味、無いんじゃ……』
『ううん、あるんよ。ずっとそうじゃったっていう証拠なんじゃから』
『ますます解らないけど、まあいいや』
『少年は三年生の時にカプセルを埋めたって事だけ、忘れたらいけんのんじゃけんね!』
少女(…無いんかな……もうダメなんかな…)ゴソゴソ
幼馴染「……ん?これ、ほとんどピンク色が剥げてますが…ガチャガチャのカプセルっぽいような」
953 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 12:56:21 0orFeGTs
少女「え……!」
幼友「本当だ!ちょっとだけピンクの塗料、残ってる!」
幼馴染「……ただ」
少女「開いてる……中身は!?」
幼友「二枚貝の貝殻……これじゃない?」
幼馴染「あ、うっすら『少女』って書いてあります!」
少女「嘘……片方しかない……!」
幼友「もう片割れもあったんだ?」
少女「…繋がったままじゃったんよ。それで片方に私の名前、もう片方に少年の名前をマーカーで書いとったん……」フルフル…
幼馴染「ち、近くにあるはずです!探しましょう!」
幼友「らじゃー!」
少女(願掛けじゃったのに……告白する時、『あの時からずっと』好きじゃったって伝えるつもりじゃったのに…!)
954 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 12:56:57 0orFeGTs
幼馴染「おかしいです、近くにあるはずなのに……」ゴソゴソ
幼友「無いなあ…似たような貝殻も無いよ」ホリホリ
少女「………」ザクザク
幼馴染「そ、そうです!昨夜の少女母さんの料理にハマグリが!」
幼友「それじゃダメでしょ」
少女「………」ザクザク
幼馴染「少年君が中身を知らないなら、その一枚に二人共の名前を書くとか!」
幼友「幼馴染ちゃん、落ち着いて」
少女「ありがとう……もう、いいん…」
幼馴染「少女ちゃん…」
少女(やっぱり、暗示されとったんよ。離ればなれになるって…)
…ガサッ……ザッ!
少年「…少女!」
955 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 12:57:36 0orFeGTs
少女「嘘……少年…!」ドキッ
幼友「え!この子が少年君…!」
男「…そうです、よっこらしょ」ガサゴソ…フー ヤレヤレ
幼馴染「男!連れてきてはだめだと…!」
男「ええい、しゃらくせえ。白黒はっきりさせりゃいいんです」
少年「ごめん…来ちゃだめだって言われたけど…僕、どうしても」
少女(……来て…くれたん…)
少年「お、男さんに言われたんだ!気持ちを伝えなきゃだめだって…!」ドキドキ
少女「気持ち…?」
少年「僕、少女の事…好きだから…!」
少女「……少年…!」
.
956 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 12:58:06 0orFeGTs
幼友(えんだあああああぁぁぁぁぁ!)
幼馴染(いやああああぁぁぁぁぁ!)
少年「『離ればなれ』にはなっちゃうけど……」
少女「!!」ズキン…
幼馴染(そのキーワードは…!)ギャーー
幼友(今はマズイってーーー!)アワワワ…
男「何をあたふたしているのでしょう?」
少女「……そう、なんよね」ボソッ
少女(気持ちは嬉しい…けど、やっぱり貝殻が暗示する通りにしか……)
幼馴染「しょ、少女ちゃん…」
少女「少年、ごめんね……でも私達が会えんようになる事は、もう決まっとったみたいじゃけん!」ニコッ
少年「え……」
少女「じゃから、元気でね!…明日は寂しくなるけん、見送りにはいかんから!」
957 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 12:59:08 0orFeGTs
少女「幼馴染ちゃん、幼友ちゃん!家、帰っとくけん!」
幼友「少女ちゃん!待って…!」
少年「少…女……」
幼馴染「……男、タイミングが悪すぎます」
男「……おや?」
幼友「なぜ連れてきたし!」
男「ビシッと告れば上手くいかない訳が無いと思って…」
幼馴染「はぁ…少年君、悪いのは男です。あとでしっかり、てーいしておきます」
男「ひっでえ」
幼友「そうそう、私の胸で慰めてあげよう!」
少年「…いいんです。男さんのおかげで、すっきりはしました」
男「少年君…」
少年「ありがとうございました。自分の荷物まとめるので、帰ります」
幼馴染(…何とかしてあげられないのでしょうか)
962 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 19:52:31 IaPn0f9w
……………
………
…
…その夜、少女の家
少女母「ウチの人から連絡があって、明日の朝イチには帰ってくるって言うとったけんね」
男「すみません、たかがエア抜きくらいの事で二日もお世話になってしまって」
少女母「いいんよー! 今夜は飲み手が増えるから、嬉しいわ!」
男「幼友ちゃん、少女母さんはそんなに飲むのでしょうか」ヒソヒソ
幼友「バケモノ級だよ……」ボソボソ
少女母「さあ、乾杯しましょ! 瓶、持った?」
男「そこは瓶じゃなくグラスのような気が」
幼友「本当に一升瓶が一人一本置いてあるし」
少女「………」モグモグ
幼馴染(少女ちゃん…)
963 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 19:54:02 IaPn0f9w
………
…
幼馴染「少女ちゃん、もう部屋にいたのですか」
少女「幼馴染ちゃん…」
幼馴染「今夜もパジャマパーティー、しますか?」
少女「ううん……大丈夫」
幼馴染「明日、本当に見送りはしないつもりですか…?」
少女「うん…たぶん」
幼馴染「…それで後悔はしない?」
少女「………」
幼馴染「少年君は、勇気を出して気持ちを伝えてくれました」
少女「………」
幼馴染「少女ちゃんは……たしかに貝殻の願掛けには破れたけれど、まだ言葉にはしていません」
964 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 19:54:53 IaPn0f9w
少女「でも、伝えてもどうせ……」
幼馴染「離ればなれになったからといって、繋がりが断ち切られるわけでは無いのでは?」
少女「あと一年で中学生じゃもん、すぐに好きな娘とか…できるよ」
幼馴染「別々の学校なのは、今も同じ事でしょう」
少女「それは……そうじゃけど」
幼馴染「私立の小学校にも同じように女の子はいるはず。それでも少年君は少女ちゃんを好きになりました」
少女「………」
幼馴染「昨日も言いましたが…友達も、好きな人も『離れてもずっと変わらない』気持ちというのはあると思います」
少女「でも…期待し続けて、やっぱりダメじゃったら……」
幼馴染「……ここから先は、少女ちゃんが自分で決める事です」
少女「…うん」
幼馴染「もしも明日、もう一度貝殻を探してみるつもりなら手伝います。どうせ船が直るまでは暇ですので」
少女「幼馴染ちゃん……」
幼馴染「では…おやすみ……なさい……」ZZZzzz…
965 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 19:55:50 IaPn0f9w
……………
………
…
…翌朝、港
男「はいはい、次…渡しますよー」ヨッコラショ…ット
少年父「すみません、荷物積み込みの手伝いまでさせてしまって」
男「いえいえ。今、少女父さんが船を整備してくれているので、どうせ暇です」
少年「父さん、この箱は?」
少年父「ああ…それは軽いから、一番上だな」
男(少女ちゃんも幼馴染達も、朝の内に消えてしまいました…)
男(またあの砂浜に行っているのでしょうか)
966 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 19:56:29 IaPn0f9w
……………
………
…
…入り江の砂浜
幼友「やっぱり、無いね…」
幼馴染「もうそろそろ、少年君の家で引越しにチャーターした渡船が出る時間です」
少女「……ダメ…だったなぁ」シュン…
幼友「もう貝殻無しでも、告白しちゃえばいいじゃん! 少年君が少女ちゃんを好きなのは判ってるんだから!」
幼馴染「幼友……」
幼友「伝えない方が、絶対に後悔するって!」フンス
幼馴染「…もちろん、幼友の言う通りだと思います。でも私は少女ちゃんの気持ちも、ちょっと解る気がします」
少女「……?」
967 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 19:57:07 IaPn0f9w
幼馴染「私と男もそうですが、幼馴染みという関係は何となく普通の男女とは違うように思っていました」
幼友「ノロケる気?」
幼馴染「お互いの気持ちも大事です。でもその特別な立ち位置は、運命的に神様がくれたもののような気がして」
幼友「…くっ……」
少女(綺麗にスルーした…)
幼馴染「少年君と少女ちゃんは産まれた時から近所というわけでは無いのかもしれませんが、物心ついた頃から傍にいるのが当たり前…」
幼友「………」ズキン
幼馴染「だからこそ、お互い好きでも確証が無い……なかなか特別になれなかった気がします」
少女「…うん」
幼友(……違う…)
幼馴染「誰かに、何かにその特別な絆を証明して欲しい……少女ちゃんにとっては、それが貝殻の願掛けだったのでしょう?」
少女「そう…かもしれん…」
幼友(……違うよ…)
968 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 19:58:03 IaPn0f9w
幼馴染「だから、それを失くしたから自信も無くす…その気持ちは──」
幼友「──ちょっと、待った」
少女「幼友ちゃん…?」
幼友「異議あり…だよ、幼馴染ちゃん」
幼馴染「幼友……何を言う気でしょう」
幼友「確かにね、小さい頃…産まれた頃から一緒っていうのは、特別な存在かもしれない」
少女(え…幼友ちゃん、怒っとる…?)
幼友「その事を誰かに証明して欲しい?…甘ったれた事、言わないでくれる?」フンッ
幼馴染「…喧嘩を売っていますか」ジロッ
幼友「買う?…高くつくけど」キッ
少女「ま、待って…なんで喧嘩になるん…!? やめてっ!」
969 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 19:59:34 IaPn0f9w
幼友「『好き』なんて気持ちは、誰かに証明してもらうものなんかじゃないの! 傍にいるのが当たり前? そんなの境遇に甘えて尻込みしてるだけの言い訳でしょ!?」
幼馴染「……う…」
幼友「『告白が釣りのついで』だった…!? それでも向こうから言ってくれただけマシだったんじゃないのっ! どうせそれが無ければ今でもオサナナジミの立場に甘えてたんでしょ!?」
少女「お、幼友ちゃんっ…」
幼友「少女ちゃんだって、そう! せっかく少年君から告白してくれたのに、離ればなれになるからって答える事もしない…!別に少年君だって好きで引っ越すんじゃないわよ!」
幼馴染「幼友っ!今、落ち込んでる少女ちゃんを叱ったって…!」
幼友「ううん、叱るわ! だってまだ間に合うかもしれないんだもん! 今から港に走れば、少女ちゃんは告白できるかもしれないんだよ!?」
少女「……っ…」ビクッ
幼友「離れて行っちゃったら、それももうできない……いつか再会しても、そのヒトの傍に誰かがいたら気持ちを伝える事も許されないの…」ポロッ…
幼馴染(……幼友…泣いて…)
幼友「だからっ! まだ間に合う内に、言わなきゃいけないんだよ!」
少女「まだ…間に合う…」
幼友「好きなヒトに…『好き』って言えないのが、一番…辛いんだからっ……」グスッ…
970 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 20:00:26 IaPn0f9w
少女「幼友ちゃん…ごめん、ごめんな…! 私、港に行くっ!」グスッ
幼馴染「……少女ちゃん!」
幼友「コレ……さっき、見つけた」スッ
少女「新しい…貝殻、まだ二枚繋がっとる…」
幼友「名前なんか、書かなくてもいいよ。一対になった貝殻は二つと無いんだから」
幼馴染「…行くなら、早くしましょう! 時間が…!」
少女「うんっ…!」
971 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 20:02:27 IaPn0f9w
……………
………
…
…港、桟橋
少女母「ごめんね…少年君。結局あの娘、来なかったねぇ」
少年母「大丈夫、また手紙を書かせますから…」
男「少年君、また釣りに誘います。その時には、この島にも…」
少年「はい…楽しみにしてます」
少年父「男さん、息子がお世話になりました。じゃあ、残念だが船頭さんを待たせるのも悪い……そろそろ乗ろう」
少年「………」チラッ
男「……少年君」
少年(さよなら……少女…)
…ブルンッ、ドッドッドッ……ブロロロロッ!
少年「男さん! さよなら…!」
男「元気で…! また会いましょう!」
972 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 20:03:01 IaPn0f9w
………
…
幼馴染「もう船が…!」
幼友「男さんっ! 船、停めてっ!」
少女「少年…っ! 待って…待ってっ!」
幼馴染「だめです! 船のエンジン音で聞こえてない…!」
幼友「くっそ…もうすぐそこなのに…!」
少女「もうダメだよ…桟橋から離れとる…」グスンッ
幼友「幼馴染ちゃん! ダメもとで叫ぶよっ!」
幼馴染「男なら…! 気付くはずっ!」スウゥゥッ
幼友「せーの……!」スウゥゥッ
幼馴染「てーーーーーーーいっ!!!」
幼友「とーーーーーーーうっ!!!」
.
973 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 20:04:02 IaPn0f9w
男(……ん…?)
少年「…さよーならーっ!」
男「ま…待って! ストーップ!! 少年君っ…船頭さん止めて!」
少年「え……!?」
…ブロロロロッ…ドッドッドッ…
男「船頭さん!少しだけ待ってあげて下さい!」
船頭「しゃあねえな……もっかい桟橋に着けるかい?」
少年「お願いします!」
974 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 20:05:33 IaPn0f9w
幼馴染「男っ…! 聞こえましたか…!」ハアハア
幼友「ぎりぎり…せええぇぇふ…!」ゼエゼエ
少女「少年っ!」
少年「少女…来てくれたんだ」
少女「ごめんっ…私、ちゃんと返事もせんで……私、待っとるから! 少年の事、す…好きじゃから!」ドキドキ
少年「うん…! 必ず会いにくるから!」ドキドキ
少女「これ、カプセルの中身……とは違うんじゃけど」スッ
少年「二枚貝…?」
少女「ちぎるよ……えいっ」ブチッ
少年「……片方、くれるの?」
少女「二枚貝の片割れは、他のどの貝とも合わんから…! 私、片方をずっと持っとくけん!」グスン…
少年「うん…ありがとう。僕もずっと持ってる、絶対に」ニコッ
975 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 20:06:36 IaPn0f9w
男「…最初の夜、少年君の家に泊まって少年父さんから詳しく聞きました」
幼友「何を?」
男「少年君の引っ越す先……○△市だそうです」
幼馴染「私達の地元の隣りですか」
男「それに引越し先の最寄駅から、この島への連絡船が出ている港までは電車で僅か30分です」
少年父「…少年、お前ももう大きくなった。一人でちょっと旅するくらい、できないオトコに育てた覚えはない」
少年「え……」
男「小学生の二人にとっては途方も無い距離に思えた事でしょう……でも、引越し先とこの島は決して遠くはないという事です」
幼友「毎日学校に通ってるんだもん、少女ちゃんも本土の港へ出るのは簡単だよね?」
少女「……うんっ!」
少女母「週末にはウチに泊まりに来たっていいけんね!」
少年「はいっ!」
976 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 20:07:37 IaPn0f9w
男「それに……俺もせっかく島に来ておいて、あまり魚釣りをする暇がありませんでしたので」
幼馴染「私達に至っては、全くしていません」
男「少年君と少女ちゃんに、島のポイントを案内してもらいたいものです。…構いませんか?」
少年「テスト期間じゃなかったら、いつでも!」ニコッ
少女「うんっ! それも待っとる!」フンスフンス
男「それぞれのご両親も、構わないでしょうか」
少年父「頼みたいくらいですよ」
少女母「その後、ウチに飲みに来るんならええよ!」キラーン
幼友「次は負けませんからっ!」キラキラーン
男「さあ…そろそろ船頭さんが、待ちくたびれて……」
幼友「船頭さーん?」
船頭「うおおぉぉうぅぅぅ……餓鬼が、泣かせやがってよおおぉぉ…」エグッ…ヒック…ボロボロ
977 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 20:08:18 IaPn0f9w
……………
………
…
…昼過ぎ、島を離れた海上
ブロロロロロ……
男「ひゃっほーい、エンジン快調!」
幼友「たまたま寄った島で、なんか色々あったねー」
男「全くです、良い出会いに恵まれました」
幼馴染「私がガス欠させたおかげです」エッヘン
幼友「原因はそうだけど、威張る事じゃないね」
男「まあ、事情と三日間の話をしたら少女父さんも無料で良いと言ってくれたので、よしとしましょう……」チッ
978 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 20:09:11 IaPn0f9w
幼馴染「………」
幼友「…どしたの?」
幼馴染「幼友、もう怒っていませんか…?」
幼友「当ったり前じゃん……ってか、言い過ぎてごめんね?」
幼馴染「ううん、幼友の言う通りだったと思っています」
幼友「もう、いいじゃない? 忘れたから、忘れてー」
幼馴染「……はい」クスッ
幼馴染(でも、きっと忘れられません)
『好きなヒトに…好きって言えないのが、一番…辛いんだからっ……』
幼馴染(あの時、誰を想って泣いたのか)
幼馴染(いつか、ずっと先の話でいいから…教えて下さい、幼友…)
【おしまい】
979 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 20:11:08 IaPn0f9w
ちょっと削ってスレ内完結余裕でした
では、またてーいしましょう
981 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/14(火) 20:28:40 r18LXHT.
乙てーい
982 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/14(火) 20:46:24 tzrBTSG6
乙とーう
983 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/14(火) 21:57:21 b0F3V22k
おつ
て~い!
985 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/14(火) 22:20:04 j5LVikCQ
乙
次スレはあるんだよな?
好きなだけてーいして良いんだよな?
987 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 22:35:50 dgMN.Oqw
皆様、レスあざす
大変初歩的な質問かもしれませんが、1000に達したスレって普通にだんだん落ちていくんでしょうか?
それとも即落ちるんでしょうか?
988 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 22:59:43 dgMN.Oqw
ちょっくら酒場で訊いてくる
次スレたてたとして、1で前スレへのリンク貼るなら、いずれ消える現行URLより落ちて過去スレ置場に入った時のURLの方がいいかな…と思ったり
990 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/15(水) 00:00:44 lzF38ENE
乙
過去ログ倉庫に入ってもurl変わらなかったような
992 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/15(水) 12:40:42 wEsOa/IA
酒場で教えてもらった
現行スレのURL貼っとけば、落ちた後は勝手に過去ログへ飛ばされるらしいです
またその内、新スレたてたらよろしくおなしゃす!
993 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/15(水) 12:50:11 0piQ9H.U
>>992
待ってるてーい
995 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/15(水) 18:04:46 zYxOcdyU
1時間以内にてーいされなければ幼馴染は俺の嫁
996 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/15(水) 18:10:31 0piQ9H.U
>>995
てーい( ゚∀゚)=◯)`Д゚)・;'
999 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/15(水) 18:27:15 Zgzu9d8.
お前ら、どこに潜んでた
1000 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/15(水) 18:28:17 ./HfbQdU
てーい!てーい!てーい!てーいぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!てーいてーいてーいぅううぁわぁああああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
んはぁっ!てーい・とーうのてーいのてーいをクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!てーいてーいモフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!
てーいのてーいたんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!
てーい決まって良かったねてーいたん!あぁあああああ!かわいい!てーいたん!かわいい!あっああぁああ!
とーうもてーいされて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!
ぐあああああああああああ!!!てーいなんてとーうじゃない!!!!あ…てーいもとーうもよく考えたら…
て ー い は と ー う?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!
そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!てーいぁああああ!!
この!ちきしょー!やめてやる!!てーいなんかやめ…て…え!?見…てる?とーうのてーいちゃんがとーうを見てる?
とーうのてーいちゃんがとーうを見てるぞ!てーいちゃんがとーうを見てるぞ!とーうのてーいちゃんがてーいを見てるぞ!!
てーいのとーうちゃんがてーいに話しかけてるぞ!!!よかった…てーいの中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!
いやっほぉおおおおおおお!!!とーうにはてーいちゃんがいる!!やったよてーい!!ひとりでてーいもん!!!
あ、とーうのてーいちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!!
あっあんああっああんあてーいぁあ!!て、てーい!!てーいぁああああああ!!!とーうぁあああ!!
ううっうぅうう!!てーいの想いよてーいへ届け!!◆M7hSLIKnTIのてーいへ届け!
……………
………
…
…入り江の砂浜
少女「無い…!確か、この岩の裏に……」ゴソゴソ
幼馴染「まだまだ日暮れまでは時間があります。がんばって探しましょう」
幼友「どんなカプセルだったの?」
少女「ガチャガチャのカプセルに、色を塗っとったんよ…確か、ピンク色」
幼馴染「…何を入れていたのでしょう?」
少女「……貝殻」
幼友「貝殻?何か特別な貝殻なの?」
少女「ううん、この砂浜で見つけたちょっと大きな二枚貝の貝殻なんよ」
952 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 12:55:47 0orFeGTs
幼馴染「これは……ピンクの陶器のかけらですか」
幼友「うわ、ピンクのカラーボール出てきた。すっごい期待したのに、馬鹿にされた気分…」
少女「………」ゴソゴソ
『少女、何を埋めるの?』
『これ!カプセル!』
『中身が判らないよ……何が入ってるの』
『内緒!開ける時のお楽しみなんじゃけん、勝手に掘ったらいけんのよ!?』
『それじゃ一緒に埋める意味、無いんじゃ……』
『ううん、あるんよ。ずっとそうじゃったっていう証拠なんじゃから』
『ますます解らないけど、まあいいや』
『少年は三年生の時にカプセルを埋めたって事だけ、忘れたらいけんのんじゃけんね!』
少女(…無いんかな……もうダメなんかな…)ゴソゴソ
幼馴染「……ん?これ、ほとんどピンク色が剥げてますが…ガチャガチャのカプセルっぽいような」
953 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 12:56:21 0orFeGTs
少女「え……!」
幼友「本当だ!ちょっとだけピンクの塗料、残ってる!」
幼馴染「……ただ」
少女「開いてる……中身は!?」
幼友「二枚貝の貝殻……これじゃない?」
幼馴染「あ、うっすら『少女』って書いてあります!」
少女「嘘……片方しかない……!」
幼友「もう片割れもあったんだ?」
少女「…繋がったままじゃったんよ。それで片方に私の名前、もう片方に少年の名前をマーカーで書いとったん……」フルフル…
幼馴染「ち、近くにあるはずです!探しましょう!」
幼友「らじゃー!」
少女(願掛けじゃったのに……告白する時、『あの時からずっと』好きじゃったって伝えるつもりじゃったのに…!)
954 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 12:56:57 0orFeGTs
幼馴染「おかしいです、近くにあるはずなのに……」ゴソゴソ
幼友「無いなあ…似たような貝殻も無いよ」ホリホリ
少女「………」ザクザク
幼馴染「そ、そうです!昨夜の少女母さんの料理にハマグリが!」
幼友「それじゃダメでしょ」
少女「………」ザクザク
幼馴染「少年君が中身を知らないなら、その一枚に二人共の名前を書くとか!」
幼友「幼馴染ちゃん、落ち着いて」
少女「ありがとう……もう、いいん…」
幼馴染「少女ちゃん…」
少女(やっぱり、暗示されとったんよ。離ればなれになるって…)
…ガサッ……ザッ!
少年「…少女!」
955 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 12:57:36 0orFeGTs
少女「嘘……少年…!」ドキッ
幼友「え!この子が少年君…!」
男「…そうです、よっこらしょ」ガサゴソ…フー ヤレヤレ
幼馴染「男!連れてきてはだめだと…!」
男「ええい、しゃらくせえ。白黒はっきりさせりゃいいんです」
少年「ごめん…来ちゃだめだって言われたけど…僕、どうしても」
少女(……来て…くれたん…)
少年「お、男さんに言われたんだ!気持ちを伝えなきゃだめだって…!」ドキドキ
少女「気持ち…?」
少年「僕、少女の事…好きだから…!」
少女「……少年…!」
.
幼友(えんだあああああぁぁぁぁぁ!)
幼馴染(いやああああぁぁぁぁぁ!)
少年「『離ればなれ』にはなっちゃうけど……」
少女「!!」ズキン…
幼馴染(そのキーワードは…!)ギャーー
幼友(今はマズイってーーー!)アワワワ…
男「何をあたふたしているのでしょう?」
少女「……そう、なんよね」ボソッ
少女(気持ちは嬉しい…けど、やっぱり貝殻が暗示する通りにしか……)
幼馴染「しょ、少女ちゃん…」
少女「少年、ごめんね……でも私達が会えんようになる事は、もう決まっとったみたいじゃけん!」ニコッ
少年「え……」
少女「じゃから、元気でね!…明日は寂しくなるけん、見送りにはいかんから!」
957 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 12:59:08 0orFeGTs
少女「幼馴染ちゃん、幼友ちゃん!家、帰っとくけん!」
幼友「少女ちゃん!待って…!」
少年「少…女……」
幼馴染「……男、タイミングが悪すぎます」
男「……おや?」
幼友「なぜ連れてきたし!」
男「ビシッと告れば上手くいかない訳が無いと思って…」
幼馴染「はぁ…少年君、悪いのは男です。あとでしっかり、てーいしておきます」
男「ひっでえ」
幼友「そうそう、私の胸で慰めてあげよう!」
少年「…いいんです。男さんのおかげで、すっきりはしました」
男「少年君…」
少年「ありがとうございました。自分の荷物まとめるので、帰ります」
幼馴染(…何とかしてあげられないのでしょうか)
962 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 19:52:31 IaPn0f9w
……………
………
…
…その夜、少女の家
少女母「ウチの人から連絡があって、明日の朝イチには帰ってくるって言うとったけんね」
男「すみません、たかがエア抜きくらいの事で二日もお世話になってしまって」
少女母「いいんよー! 今夜は飲み手が増えるから、嬉しいわ!」
男「幼友ちゃん、少女母さんはそんなに飲むのでしょうか」ヒソヒソ
幼友「バケモノ級だよ……」ボソボソ
少女母「さあ、乾杯しましょ! 瓶、持った?」
男「そこは瓶じゃなくグラスのような気が」
幼友「本当に一升瓶が一人一本置いてあるし」
少女「………」モグモグ
幼馴染(少女ちゃん…)
963 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 19:54:02 IaPn0f9w
………
…
幼馴染「少女ちゃん、もう部屋にいたのですか」
少女「幼馴染ちゃん…」
幼馴染「今夜もパジャマパーティー、しますか?」
少女「ううん……大丈夫」
幼馴染「明日、本当に見送りはしないつもりですか…?」
少女「うん…たぶん」
幼馴染「…それで後悔はしない?」
少女「………」
幼馴染「少年君は、勇気を出して気持ちを伝えてくれました」
少女「………」
幼馴染「少女ちゃんは……たしかに貝殻の願掛けには破れたけれど、まだ言葉にはしていません」
964 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 19:54:53 IaPn0f9w
少女「でも、伝えてもどうせ……」
幼馴染「離ればなれになったからといって、繋がりが断ち切られるわけでは無いのでは?」
少女「あと一年で中学生じゃもん、すぐに好きな娘とか…できるよ」
幼馴染「別々の学校なのは、今も同じ事でしょう」
少女「それは……そうじゃけど」
幼馴染「私立の小学校にも同じように女の子はいるはず。それでも少年君は少女ちゃんを好きになりました」
少女「………」
幼馴染「昨日も言いましたが…友達も、好きな人も『離れてもずっと変わらない』気持ちというのはあると思います」
少女「でも…期待し続けて、やっぱりダメじゃったら……」
幼馴染「……ここから先は、少女ちゃんが自分で決める事です」
少女「…うん」
幼馴染「もしも明日、もう一度貝殻を探してみるつもりなら手伝います。どうせ船が直るまでは暇ですので」
少女「幼馴染ちゃん……」
幼馴染「では…おやすみ……なさい……」ZZZzzz…
965 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 19:55:50 IaPn0f9w
……………
………
…
…翌朝、港
男「はいはい、次…渡しますよー」ヨッコラショ…ット
少年父「すみません、荷物積み込みの手伝いまでさせてしまって」
男「いえいえ。今、少女父さんが船を整備してくれているので、どうせ暇です」
少年「父さん、この箱は?」
少年父「ああ…それは軽いから、一番上だな」
男(少女ちゃんも幼馴染達も、朝の内に消えてしまいました…)
男(またあの砂浜に行っているのでしょうか)
966 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 19:56:29 IaPn0f9w
……………
………
…
…入り江の砂浜
幼友「やっぱり、無いね…」
幼馴染「もうそろそろ、少年君の家で引越しにチャーターした渡船が出る時間です」
少女「……ダメ…だったなぁ」シュン…
幼友「もう貝殻無しでも、告白しちゃえばいいじゃん! 少年君が少女ちゃんを好きなのは判ってるんだから!」
幼馴染「幼友……」
幼友「伝えない方が、絶対に後悔するって!」フンス
幼馴染「…もちろん、幼友の言う通りだと思います。でも私は少女ちゃんの気持ちも、ちょっと解る気がします」
少女「……?」
967 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 19:57:07 IaPn0f9w
幼馴染「私と男もそうですが、幼馴染みという関係は何となく普通の男女とは違うように思っていました」
幼友「ノロケる気?」
幼馴染「お互いの気持ちも大事です。でもその特別な立ち位置は、運命的に神様がくれたもののような気がして」
幼友「…くっ……」
少女(綺麗にスルーした…)
幼馴染「少年君と少女ちゃんは産まれた時から近所というわけでは無いのかもしれませんが、物心ついた頃から傍にいるのが当たり前…」
幼友「………」ズキン
幼馴染「だからこそ、お互い好きでも確証が無い……なかなか特別になれなかった気がします」
少女「…うん」
幼友(……違う…)
幼馴染「誰かに、何かにその特別な絆を証明して欲しい……少女ちゃんにとっては、それが貝殻の願掛けだったのでしょう?」
少女「そう…かもしれん…」
幼友(……違うよ…)
968 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 19:58:03 IaPn0f9w
幼馴染「だから、それを失くしたから自信も無くす…その気持ちは──」
幼友「──ちょっと、待った」
少女「幼友ちゃん…?」
幼友「異議あり…だよ、幼馴染ちゃん」
幼馴染「幼友……何を言う気でしょう」
幼友「確かにね、小さい頃…産まれた頃から一緒っていうのは、特別な存在かもしれない」
少女(え…幼友ちゃん、怒っとる…?)
幼友「その事を誰かに証明して欲しい?…甘ったれた事、言わないでくれる?」フンッ
幼馴染「…喧嘩を売っていますか」ジロッ
幼友「買う?…高くつくけど」キッ
少女「ま、待って…なんで喧嘩になるん…!? やめてっ!」
969 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 19:59:34 IaPn0f9w
幼友「『好き』なんて気持ちは、誰かに証明してもらうものなんかじゃないの! 傍にいるのが当たり前? そんなの境遇に甘えて尻込みしてるだけの言い訳でしょ!?」
幼馴染「……う…」
幼友「『告白が釣りのついで』だった…!? それでも向こうから言ってくれただけマシだったんじゃないのっ! どうせそれが無ければ今でもオサナナジミの立場に甘えてたんでしょ!?」
少女「お、幼友ちゃんっ…」
幼友「少女ちゃんだって、そう! せっかく少年君から告白してくれたのに、離ればなれになるからって答える事もしない…!別に少年君だって好きで引っ越すんじゃないわよ!」
幼馴染「幼友っ!今、落ち込んでる少女ちゃんを叱ったって…!」
幼友「ううん、叱るわ! だってまだ間に合うかもしれないんだもん! 今から港に走れば、少女ちゃんは告白できるかもしれないんだよ!?」
少女「……っ…」ビクッ
幼友「離れて行っちゃったら、それももうできない……いつか再会しても、そのヒトの傍に誰かがいたら気持ちを伝える事も許されないの…」ポロッ…
幼馴染(……幼友…泣いて…)
幼友「だからっ! まだ間に合う内に、言わなきゃいけないんだよ!」
少女「まだ…間に合う…」
幼友「好きなヒトに…『好き』って言えないのが、一番…辛いんだからっ……」グスッ…
970 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 20:00:26 IaPn0f9w
少女「幼友ちゃん…ごめん、ごめんな…! 私、港に行くっ!」グスッ
幼馴染「……少女ちゃん!」
幼友「コレ……さっき、見つけた」スッ
少女「新しい…貝殻、まだ二枚繋がっとる…」
幼友「名前なんか、書かなくてもいいよ。一対になった貝殻は二つと無いんだから」
幼馴染「…行くなら、早くしましょう! 時間が…!」
少女「うんっ…!」
971 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 20:02:27 IaPn0f9w
……………
………
…
…港、桟橋
少女母「ごめんね…少年君。結局あの娘、来なかったねぇ」
少年母「大丈夫、また手紙を書かせますから…」
男「少年君、また釣りに誘います。その時には、この島にも…」
少年「はい…楽しみにしてます」
少年父「男さん、息子がお世話になりました。じゃあ、残念だが船頭さんを待たせるのも悪い……そろそろ乗ろう」
少年「………」チラッ
男「……少年君」
少年(さよなら……少女…)
…ブルンッ、ドッドッドッ……ブロロロロッ!
少年「男さん! さよなら…!」
男「元気で…! また会いましょう!」
972 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 20:03:01 IaPn0f9w
………
…
幼馴染「もう船が…!」
幼友「男さんっ! 船、停めてっ!」
少女「少年…っ! 待って…待ってっ!」
幼馴染「だめです! 船のエンジン音で聞こえてない…!」
幼友「くっそ…もうすぐそこなのに…!」
少女「もうダメだよ…桟橋から離れとる…」グスンッ
幼友「幼馴染ちゃん! ダメもとで叫ぶよっ!」
幼馴染「男なら…! 気付くはずっ!」スウゥゥッ
幼友「せーの……!」スウゥゥッ
幼馴染「てーーーーーーーいっ!!!」
幼友「とーーーーーーーうっ!!!」
.
973 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 20:04:02 IaPn0f9w
男(……ん…?)
少年「…さよーならーっ!」
男「ま…待って! ストーップ!! 少年君っ…船頭さん止めて!」
少年「え……!?」
…ブロロロロッ…ドッドッドッ…
男「船頭さん!少しだけ待ってあげて下さい!」
船頭「しゃあねえな……もっかい桟橋に着けるかい?」
少年「お願いします!」
974 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 20:05:33 IaPn0f9w
幼馴染「男っ…! 聞こえましたか…!」ハアハア
幼友「ぎりぎり…せええぇぇふ…!」ゼエゼエ
少女「少年っ!」
少年「少女…来てくれたんだ」
少女「ごめんっ…私、ちゃんと返事もせんで……私、待っとるから! 少年の事、す…好きじゃから!」ドキドキ
少年「うん…! 必ず会いにくるから!」ドキドキ
少女「これ、カプセルの中身……とは違うんじゃけど」スッ
少年「二枚貝…?」
少女「ちぎるよ……えいっ」ブチッ
少年「……片方、くれるの?」
少女「二枚貝の片割れは、他のどの貝とも合わんから…! 私、片方をずっと持っとくけん!」グスン…
少年「うん…ありがとう。僕もずっと持ってる、絶対に」ニコッ
男「…最初の夜、少年君の家に泊まって少年父さんから詳しく聞きました」
幼友「何を?」
男「少年君の引っ越す先……○△市だそうです」
幼馴染「私達の地元の隣りですか」
男「それに引越し先の最寄駅から、この島への連絡船が出ている港までは電車で僅か30分です」
少年父「…少年、お前ももう大きくなった。一人でちょっと旅するくらい、できないオトコに育てた覚えはない」
少年「え……」
男「小学生の二人にとっては途方も無い距離に思えた事でしょう……でも、引越し先とこの島は決して遠くはないという事です」
幼友「毎日学校に通ってるんだもん、少女ちゃんも本土の港へ出るのは簡単だよね?」
少女「……うんっ!」
少女母「週末にはウチに泊まりに来たっていいけんね!」
少年「はいっ!」
976 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 20:07:37 IaPn0f9w
男「それに……俺もせっかく島に来ておいて、あまり魚釣りをする暇がありませんでしたので」
幼馴染「私達に至っては、全くしていません」
男「少年君と少女ちゃんに、島のポイントを案内してもらいたいものです。…構いませんか?」
少年「テスト期間じゃなかったら、いつでも!」ニコッ
少女「うんっ! それも待っとる!」フンスフンス
男「それぞれのご両親も、構わないでしょうか」
少年父「頼みたいくらいですよ」
少女母「その後、ウチに飲みに来るんならええよ!」キラーン
幼友「次は負けませんからっ!」キラキラーン
男「さあ…そろそろ船頭さんが、待ちくたびれて……」
幼友「船頭さーん?」
船頭「うおおぉぉうぅぅぅ……餓鬼が、泣かせやがってよおおぉぉ…」エグッ…ヒック…ボロボロ
977 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 20:08:18 IaPn0f9w
……………
………
…
…昼過ぎ、島を離れた海上
ブロロロロロ……
男「ひゃっほーい、エンジン快調!」
幼友「たまたま寄った島で、なんか色々あったねー」
男「全くです、良い出会いに恵まれました」
幼馴染「私がガス欠させたおかげです」エッヘン
幼友「原因はそうだけど、威張る事じゃないね」
男「まあ、事情と三日間の話をしたら少女父さんも無料で良いと言ってくれたので、よしとしましょう……」チッ
978 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 20:09:11 IaPn0f9w
幼馴染「………」
幼友「…どしたの?」
幼馴染「幼友、もう怒っていませんか…?」
幼友「当ったり前じゃん……ってか、言い過ぎてごめんね?」
幼馴染「ううん、幼友の言う通りだったと思っています」
幼友「もう、いいじゃない? 忘れたから、忘れてー」
幼馴染「……はい」クスッ
幼馴染(でも、きっと忘れられません)
『好きなヒトに…好きって言えないのが、一番…辛いんだからっ……』
幼馴染(あの時、誰を想って泣いたのか)
幼馴染(いつか、ずっと先の話でいいから…教えて下さい、幼友…)
【おしまい】
979 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 20:11:08 IaPn0f9w
ちょっと削ってスレ内完結余裕でした
では、またてーいしましょう
981 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/14(火) 20:28:40 r18LXHT.
乙てーい
982 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/14(火) 20:46:24 tzrBTSG6
乙とーう
983 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/14(火) 21:57:21 b0F3V22k
おつ
て~い!
985 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/14(火) 22:20:04 j5LVikCQ
乙
次スレはあるんだよな?
好きなだけてーいして良いんだよな?
987 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 22:35:50 dgMN.Oqw
皆様、レスあざす
大変初歩的な質問かもしれませんが、1000に達したスレって普通にだんだん落ちていくんでしょうか?
それとも即落ちるんでしょうか?
988 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/14(火) 22:59:43 dgMN.Oqw
ちょっくら酒場で訊いてくる
次スレたてたとして、1で前スレへのリンク貼るなら、いずれ消える現行URLより落ちて過去スレ置場に入った時のURLの方がいいかな…と思ったり
990 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/15(水) 00:00:44 lzF38ENE
乙
過去ログ倉庫に入ってもurl変わらなかったような
992 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/15(水) 12:40:42 wEsOa/IA
酒場で教えてもらった
現行スレのURL貼っとけば、落ちた後は勝手に過去ログへ飛ばされるらしいです
またその内、新スレたてたらよろしくおなしゃす!
993 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/15(水) 12:50:11 0piQ9H.U
>>992
待ってるてーい
995 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/15(水) 18:04:46 zYxOcdyU
1時間以内にてーいされなければ幼馴染は俺の嫁
996 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/15(水) 18:10:31 0piQ9H.U
>>995
てーい( ゚∀゚)=◯)`Д゚)・;'
999 : ◆M7hSLIKnTI :2014/01/15(水) 18:27:15 Zgzu9d8.
お前ら、どこに潜んでた
1000 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/01/15(水) 18:28:17 ./HfbQdU
てーい!てーい!てーい!てーいぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!てーいてーいてーいぅううぁわぁああああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
んはぁっ!てーい・とーうのてーいのてーいをクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!てーいてーいモフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!
てーいのてーいたんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!
てーい決まって良かったねてーいたん!あぁあああああ!かわいい!てーいたん!かわいい!あっああぁああ!
とーうもてーいされて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!
ぐあああああああああああ!!!てーいなんてとーうじゃない!!!!あ…てーいもとーうもよく考えたら…
て ー い は と ー う?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!
そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!てーいぁああああ!!
この!ちきしょー!やめてやる!!てーいなんかやめ…て…え!?見…てる?とーうのてーいちゃんがとーうを見てる?
とーうのてーいちゃんがとーうを見てるぞ!てーいちゃんがとーうを見てるぞ!とーうのてーいちゃんがてーいを見てるぞ!!
てーいのとーうちゃんがてーいに話しかけてるぞ!!!よかった…てーいの中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!
いやっほぉおおおおおおお!!!とーうにはてーいちゃんがいる!!やったよてーい!!ひとりでてーいもん!!!
あ、とーうのてーいちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!!
あっあんああっああんあてーいぁあ!!て、てーい!!てーいぁああああああ!!!とーうぁあああ!!
ううっうぅうう!!てーいの想いよてーいへ届け!!◆M7hSLIKnTIのてーいへ届け!
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