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サシャ「美味しいものは、分けあいましょう」

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Part3
49 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 20:03:21 ID:6fQnSrzM
サシャ「よしっ、できた! アニ、どうですか? これで合ってます?」ジャーン!!
アニ「……うん、合ってるよ」
サシャ「やったぁ! これで四人ともお揃いですよ、お揃い!」エヘヘ
ライナー・ベルトルト・アニ「……」キュンッ...
アニ(ちょっと、何この子……やってることはあざといのにかわいい……)ドキドキ
ライナー「……わかるかベルトルト。これ、わざとやってるんじゃないんだぞ? 正真正銘天然物だ」ヒソヒソ
ベルトルト「破壊力がすごいね……不覚にもときめいちゃったよ」ドキドキ
ライナー「もう一回言ってみろ」ガタッ
ベルトルト「冗談だってば」
サシャ「ちょっとライナー、食事中に立たないでくださいよ。座ってください」ムー...
ライナー「……すまん」スワリナオシ

50 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 20:04:18 ID:6fQnSrzM
サシャ「……ところでみなさん、食べ比べとかしないんですか? 私はもうアニからモンブランもらいましたけど」
アニ「そうだね、ライナーとベルトルトからそれぞれもらわないと」
ベルトルト「えっ? 僕、もうフォークつけちゃったけど……」アセアセ
アニ「いいよ。気にしないから少しくれる?」
ベルトルト「……はい、どうぞ」スッ
アニ「ありがと」サクッ
ベルトルト(これって、間接キスのうちに入るのかな……? アニは気にしてないみたいだけど……)ドキドキ
アニ(……あんまり甘くないな、このタルト)モグモグ
サシャ「ベルトルト、ベルトルト! 私も一口ほしいです!」ハイッ
ベルトルト「ああ……うん、もう好きなだけ食べていいよ」
サシャ「いえいえ、一口でいいですよー」モグモグ

51 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 20:06:09 ID:6fQnSrzM
すみません 長いのでちょっと休憩します
九時前には再開しますので少しお待ちください

52 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 20:35:49 ID:6fQnSrzM
アニ「……さて」チラッ
ライナー「わかってるよ。俺のもやる」スッ
アニ「物わかりがよくていいね。ありがと」サクッ
アニ(……パイ生地サクサクしてる。おいしい)サクサク
サシャ「私も! 私もそっちのアップルパイ一口ください!」ハイッ
ライナー「わかったわかった。……ほら、やるよ」ヒョイ
サシャ「ありがとうございまーす!」アーン パクッ
ベルトルト「」
アニ「」

53 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 20:36:50 ID:6fQnSrzM
ベルトルト「……二人とも、何してるの?」
アニ「今の……何?」
サシャ「? 何って……ライナーから一口分けてもらったんですけど……?」
アニ「……そうじゃなくてさ、今のって」
サシャ「?」キョトン
アニ「……いいや、なんでもない」
ライナー「なんだ? ベルトルトも一口ほしいのか?」
ベルトルト「え、いや、僕は……」
ライナー「ほらよ」スッ
ベルトルト(……だよね、普通皿ごと渡すよね)
ベルトルト「……」チラッ
サシャ「アップルパイもおいしいですねえ……」ホンワカ
ベルトルト(……うん、さっきの「あーん」は見間違いだな。そういうことにしておこう)モグモグ


54 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 20:37:55 ID:6fQnSrzM
ーー 食後
サシャ「ごちそうさまでした! ーーああ、おいしかったです……!」ホクホク
ライナー「会計はまとめて払っておく。お前たち、外に出てていいぞ」
アニ「私はミーナにお土産買っていくから、ライナーについていくよ。二人は外で待ってて」
サシャ「あっ! 私もさつまいもスティック頼まれてたんでした」ゴソゴソ
アニ「あんた金欠だって言ってなかったっけ?」
サシャ「はい。ですから、ユミルにお金持たせられました。おつりはお駄賃だそうですよ!」エッヘン
ベルトルト(……完全に子どものおつかいだなぁ)
サシャ「あとですね、帰りにつまみ食いするなって釘刺されました。なんででしょうかね?」
ライナー(……ユミルは正しい)
アニ「それもまとめて買っておくよ。ーーじゃあ、ベルトルトとサシャは後でね」

55 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 20:39:15 ID:6fQnSrzM
ーー 商品棚前
アニ「……」ジーッ...
アニ(さつまいもスティックね……サシャが言ってたのはこれか)
アニ(あ、試食がある)ヒョイッ
アニ「……」サクサクサクサク
アニ「……」ホンワカ
ライナー「買ってやろうか? それ」
アニ「……いいよ、別に」
ライナー「ミーナへの土産で財布の中身スッカラカンだろ? ……なあに、金はあとでベルトルトからふんだくるから気にするな」
アニ「ベルトルトに悪いよ」
ライナー「じゃあ、ベルトルトに礼言っとけ」
アニ「……まあ、お礼は言っとく」

56 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 20:40:30 ID:6fQnSrzM
ライナー「会計も終わったし、そろそろ行くか。あいつらを待たせたら悪い」スタスタ...
アニ「……ねえ。あんたが今後どう行動するかは置いといて、聞いておきたいことがあるんだけど」
ライナー「なんだ?」
アニ「サシャのこと好き?」
ライナー「……いや、好きじゃないな」
アニ「……そう」
ライナー「大好きだ」キリッ
アニ「そういう引っかけとかいらないから」イラッ

57 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 20:41:16 ID:6fQnSrzM
ーー 同刻 喫茶店の外
サシャ「……」ボーッ...
ベルトルト「……」ソワソワ
ベルトルト(よく考えたら、サシャとはあまり話したことないんだよな……)チラッ
ベルトルト「……かわいいね、その髪飾り」
サシャ「え? あっ、ありがとうございます……///」カァッ...
ベルトルト(……あれ? 何この反応)
ベルトルト「あのさ、ライナーは褒めてくれないの? かわいいとか君に言ったりしないわけ?」
サシャ「……そういえば、言われたことないですね」
ベルトルト「その髪飾りも安いものじゃないよね? なのに何も言ってくれないの?」
サシャ「ああ、これはライナーからもらったものなので……特別褒めたりはしてくれませんよ?」
ベルトルト「そう……そうなんだ」

58 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 20:43:41 ID:6fQnSrzM
サシャ「あの……ベルトルトはライナーと同郷なんですよね? ライナーの好きなものってなんですか?」
ベルトルト「……本人に聞きなよ、そういうことは」
サシャ「それはそうなんですけど……“ベルトルトから見たライナー”が何が好きなのかを聞きたくて。こういう機会がないと聞けませんし」
ベルトルト「……ライナーはお尻が好きだよ」
サシャ「はいっ!? おしり!?」サッ
ベルトルト「今押さえても意味ないと思うけど」
サシャ「そ、そうですね……///」
ベルトルト(……まあ、これくらいは話してもいいよね)
サシャ「ライナーのお尻かじったら肉汁出ませんかね?」キリッ
ベルトルト「……噴き出すのは血だと思うよ」
サシャ「ああ、血抜きしてない肉はおいしくないですよね……仕方がありません、諦めましょう」
ベルトルト(血が出なかったら本気で噛むつもりだったのかな……それとも、これってサシャなりの冗談なのかな)
ベルトルト(うーん、どうしよう。……この子の考えが全く読めない)

59 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 20:45:08 ID:6fQnSrzM
サシャ「あ、見てくださいよベルトルト。トンボですよトンボ」ユビサシ
ベルトルト「本当だ。仲いいんだね」
サシャ「そういえば、あれって実は交尾してるんじゃないらしいですよ」
ベルトルト「……はい?」
サシャ「昔お父さんに聞いたんですけどね、交尾する時は違った体位だそうですよ。私は見たことないんですけど」
ベルトルト「たいっ!? ……ちょっとサシャ、サシャ。待って。いきなり何の話?」
サシャ「ああ、ベルトルトはこういう話苦手でした? ……すみません、普段あまり話さないので、どこまで話していいかわからなくて」
ベルトルト「そうじゃなくてさ……そういう話、できるの?」
サシャ「虫の話ですか? できますよ!」
ベルトルト「そっちじゃなくて、その……夜の立体機動の話とか」モニョモニョ
サシャ「? 今、立体機動の話してませんでしたけど……?」キョトン

60 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 20:46:34 ID:6fQnSrzM
ベルトルト「……えーっとね、取り敢えず立体機動の話はなし。その上で聞いてほしいんだけど」
サシャ「はぁ」
ベルトルト「あの……そういう話は、大きな声で話さないほうがいいんじゃないかな」
サシャ「そういう話?」
ベルトルト「……こ、交尾とか」ボソッ
ベルトルト(ううっ……なんでこんな街中で下ネタ話さないといけないんだよ……///)カァッ...
サシャ「……そうなんですか?」
ベルトルト「そうなんだよ。……そうなんだよ!!」
サシャ「でも私、狩人出身ですからね。獲物がそういう行為してる最中に遭遇したことなんか何度もありますし、そんな珍しいことでもないような気もするんですが」
ベルトルト「山の中と街の中を一緒にしないでよ……」

61 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 20:47:55 ID:6fQnSrzM
ベルトルト「……あのさ、人間同士でもそういうことするよね」
サシャ「そりゃあ……必要に迫られればするんじゃないですか? まあ、私には縁のない話だと思いますが」
ベルトルト「……縁のない話」
サシャ「まだ私お子様ですし。そういうのはまだ早いですよ」
ベルトルト「……でも、君は女の子だよ?」
サシャ「はあ、女ですけど……それが何か?」キョトン
ベルトルト「……」
サシャ「ああ、そういえば……この前ライナーにも言われましたね。お前は女なんだぞーって。これってどういう意味なんですかね?」ウーン...
ベルトルト「……」
サシャ「もしもし? ベルトルト、聞いてます?」

62 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 20:48:57 ID:6fQnSrzM
ベルトルト(……ユミルの推測は間違ってたんだ)
ベルトルト(サシャは、知識はそれなりにあるけど……自分のこと、そういう対象だって思ってないんだ)
ベルトルト(しかも馬鹿で抜けてて、少し世間からズレてるから、話が直球じゃないと通じない)
ベルトルト(みんな、ズッコンバッコンとか夜の立体機動とか、遠回しに話すんだもんな……サシャがわからないわけだよ)
ベルトルト(ライナーもライナーだ……やることやる前に、言うことちゃんと言わないから、こういうことになってるんじゃないか)イライラ
サシャ「ベルトルト、どうかしました?」ユサユサ
ベルトルト「……ううん、なんでもないよ」
ベルトルト(まあ、僕が教えてあげる義理はないよね)
ベルトルト(それにしても……最初からズレすぎだよ、君たちどっちも)

63 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 20:50:25 ID:6fQnSrzM
サシャ(ベルトルトもアニも、優しいですね。私の話を真剣に聞いてくれて、ちゃんと考えて、自分なりに答えようとしてくれて……)
サシャ(ライナーがいなかったら、きっと接点すらなかったでしょうね。こうやって、ゆっくり話すこともなかったはずです)
サシャ(……ライナーとも、普通に話したいな)
サシャ(……本当は、それだけで充分なのに)
サシャ(……好きなだけじゃ、だめなんですかね)
サシャ(この前、何をしてあげればよかったんでしょう……言ってくれないと、わかんないですよ……)ポロッ
ベルトルト「!? さ、サシャ? どうしたの? なんで泣いてるの?」オロオロ
サシャ「え? ……あっ、これはその、な、なんでもないですっ、大丈夫ですから……っ」ゴシゴシ
ベルトルト「そんなこと言われてもーー」オロオロ
ベルトルト(こんなところ、ライナーに見られでもしたら何を言われるか……)
ライナー「……おい」
ベルトルト「」ビクッ

64 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 20:51:39 ID:6fQnSrzM
ライナー「お前……何泣かせてるんだ?」ギロッ
ベルトルト「いっ……いやいやいやいや! 僕じゃないよ! 僕のせいじゃないから!」ブンブンブンブン
ライナー「話は後で聞く。ーーこっちこい、サシャ。ほら」
サシャ「……」プイッ
ライナー「サシャ?」
サシャ「……ベルトルトのほうが優しいです」ギュッ
ライナー「は?」
ベルトルト「サシャ? なんで僕の腰にしがみついてるの?」
サシャ「だってベルトルトはよくわからないことで怒ったりしませんもん! ベルトルトのほうがいいです!」ギュウッ
ライナー「……へえ」
ベルトルト「……」ダラダラダラダラ

65 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 20:52:56 ID:6fQnSrzM
ライナー「……そこをどけ、ベルトルト」
ベルトルト「言われなくてもそうしたいよ!」
サシャ「ベルトルト、動いちゃダメですよ」ガルルルルル...
ベルトルト「君がしがみついてるから動けないんじゃないか! もう、放してよ!」ジタバタジタバタ
ベルトルト(ライナーは話を聞いてくれそうにないし、サシャは全然放してくれないし……もう頼れるのは……!)
ベルトルト「アニ、助けてくれ!」
アニ「終わったら呼んでー」サクサクサクサク
ベルトルト「アニイイイイイイイイイ!!」
アニ「うるさいな。ミーナのお土産台無しにしたら全員畳むからね。後は勝手にやりなよ」ギロッ
ライナー「ああ、こっちのことは気にするな。お前はそいつ食ったままでいいぞ」
サシャ「……」ムーッ...
ベルトルト(ううっ、ずるいよアニ、自分は知らないフリなんて……)

66 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 20:54:19 ID:6fQnSrzM
アニ(……こういうの、なんて言うんだっけ)
アニ(ええっと……「前門の虎、後門の狼」だったかな。帰ったらアルミンにでも聞こう)
アニ(……前門のライナーと、後門のサシャか)
アニ「……」
ベルトルト(あっ、アニが何か手信号で喋ってる……!)
アニ『前門のピュアゴリラまでは思いついたんだけどサシャは何にしたらいいと思う? 芋は生き物じゃないよね?』クルクルッ パッパッ
ベルトルト「どうでもいいよ!!」
サシャ「どうでもよくなんかないですよ!」
ライナー「そうだぞベルトルト、当事者なんだからお前も真剣に考えろ!」
ベルトルト「」ブチッ

67 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 20:55:30 ID:6fQnSrzM
ベルトルト「……サシャ、放してくれ」
サシャ「でも……」ギュッ
ベルトルト「僕にしがみついてても、ライナーと仲直りはできないよ? ずっとこのままでいいの?」
サシャ「……それは嫌です」
ベルトルト「じゃあ、放してくれるかな」
サシャ「……」
ベルトルト「大丈夫だよ。ライナーは話せばわかってくれる人だってことは、君もよく知ってるでしょ?」
サシャ「はい、知ってます……すみませんでした、ベルトルト。わがまま言って」パッ
ベルトルト「うん、放してくれてありがとう。それに、わかってくれて嬉しいよ」

68 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 20:57:19 ID:6fQnSrzM
アニ「……終わった?」サクサクサクサク
ライナー「いや、まだだが……ベルトルトと先に帰ってていいぞ、アニ」
アニ「そうするよ。早く帰らないとお菓子傷むし。ユミルたちのお土産も私が持ってくから、あんたたちはゆっくり来なよ」
ベルトルト「待って。ーー帰る前にちょっといいかな、ライナー」
ライナー「なんだ?」
ベルトルト「……君ね、やることやる前にちゃんと言うこと言いなよ」ヒソヒソ
ライナー「そのことはもう話しただろ。ーー俺は、言うつもりはないんだ」ヒソヒソ
ベルトルト「そうじゃなくてさ……それ以前に言うこと、もっといろいろあるでしょ」
ライナー「それ以前……?」
ベルトルト「僕にだってできるよそれくらい。エレンやコニーでも普通にやってることだろうね」
ライナー「……?」
ベルトルト「僕が教えてあげるのはここまで。後は自分で考えなよ。ーーじゃあ、また後でね」


69 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 20:59:13 ID:6fQnSrzM
ーー 街中
アニ「お疲れ、ベルトルト」スタスタ...
ベルトルト「……本当に疲れたよ。サシャったら、何の前触れもなしにいきなり泣くからびっくりした」テクテク...
アニ「サシャは本能で生きてるからね。……見てるだけなら結構面白いよね、あの子」
ベルトルト「……うん、そうだね」
アニ「あんたがライナーに説教してるところ、はじめて見たよ」
ベルトルト「……あれ、説教って言うかなぁ」
アニ「そう見えたけどね。……もう少し色々言ってもいいんじゃないの? そっちのほうは私は好きだけど」
ベルトルト「え? す、好きってどういう……?」ドキッ
アニ「何も言わないで黙ってるよりは、はっきり言ってるほうが見ててすっきりするからね」
ベルトルト「……ああ、そういう話か」
アニ「?」

70 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 21:00:16 ID:6fQnSrzM
ベルトルト「……ねえ、アニはどう思う? ライナーとサシャのこと」
アニ「どうでもいい」サクッ
ベルトルト「どうでもいいって……」
アニ「この訓練生活は、私たちが卒業後に憲兵団に入るまでの単なる過程でしょ」サクサク
アニ「その過程がどうであれ、最終的に決断できるなら、私は文句言わないよ」サクサクサクサク
ベルトルト「……アニ、僕は真面目な話してるんだけど」
アニ「……あ、や、ごめん……これおいしくて……///」カァッ...
ベルトルト「さつまいもスティック?」
アニ「……食べる?」スッ
ベルトルト「じゃあ一本だけもらおうかな」スッ
アニ「……」サクサクサクサク
ベルトルト「……おいしいね、これ」サクサクサクサク
アニ「でしょ?」サクサクサクサク

71 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 21:01:54 ID:6fQnSrzM
アニ(二人きりか……ユミルが言ってたのって、このタイミングでいいのかな)
アニ「あ、あのさ。……ベルトルト」
ベルトルト「何?」サクサク
アニ「今日の服さ、あんたとお揃いなんだけど……気づいてた?」
ベルトルト「え? ……あっ、本当だ」
ベルトルト(そういえば、いつものパーカーじゃない……髪ばっかり見てて気づかなかった……)ジッ...
アニ「……あんまりじろじろ見られると、恥ずかしいんだけど」プイッ
ベルトルト「あっ……ごめん、そうだよね」プイッ
ベルトルト(狙って選んできた……わけじゃないよね。アニはパーカー好きだし。ということは……)
ベルトルト「ミーナにでも勧められた? その服」
アニ「違うよ。ユミルの提案」
ベルトルト(……やっぱりね)
アニ「……だけど、着ようって決めたのは私」

72 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 21:04:36 ID:6fQnSrzM
ベルトルト「……え?」
アニ「さっきのサシャと同じだよ。……ベルトルトがどういう気持ちなのか、知ってみたかったんだ」
ベルトルト「僕の気持ち……?」
アニ「最近……じゃないね。訓練所に入ってからさ、一緒にいる機会少なくなっちゃったから。あんたが何を考えてるのか、知りたくなったんだ。……服一つで、そんな変わるわけないけど」
ベルトルト「……」
アニ「きついことだと思うけど……知ろうとする努力は、やめちゃいけないと思うからさ」
ベルトルト「……矛盾してるよ、さっき言ってることと。どうでもいいのに知らなきゃいけないって、おかしいよ」
アニ「……そうかな、よくわからない」
ベルトルト「……君も、兵士になりたいの?」
アニ「まさか。そんなわけないよ」
ベルトルト「……どういう気分だった? その服着てみて」
アニ「意外とあったかいね、これ。……悪くない気分だよ」
ベルトルト「……そっか」

73 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 21:22:32 ID:6fQnSrzM
ーー 同刻 街中
ライナー「……」スタスタ...
サシャ「……」テクテク...
サシャ(気まずい……)
ライナー「……何回目だっけか、こういうの」
サシャ「……もう、数えてないです」
ライナー「数えてないほど回数重ねてるってのも、すごい話だよな」
サシャ「エレンとジャンみたいですね」
ライナー「……なんでそこであの二人が出てくる?」
サシャ「アニと話してたんですよ。あの二人の喧嘩って、もう求愛ダンスみたいなものだって」
ライナー「確かにな。……あいつらもよく飽きないよな」
サシャ「ふふっ、ですね」

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