サシャ「美味しいものは、分けあいましょう」
Part2
25 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:32:52 ID:6fQnSrzM
サシャ「でも、そうじゃなくて……ライナーが苦しい時に、隣に並んで、一緒に悩んでいたいんです。ーーできるなら、その悩みを解決してあげるのが一番なんでしょうけど」
サシャ「だから、今の私の目標は、ライナーの隣にいることじゃなくて、隣で支えることなんです。今はその目標に向かって努力中なので、言わなくてもいいんです。もうちょっと、自分に自信を持てるようになったら……私から、言うつもりです」
アニ「……あんたさ、それがきついことだってわかってる?」
サシャ「そうですね、楽じゃないってことは私にもわかります」
サシャ「でも、『楽じゃない』っていう事実は、獲物を諦める理由にはならないんですよ。それに、そういうものは手強ければ手強いほど燃えるでしょう?」クスッ
サシャ「……って、これじゃあ狩りですね。ちょっと話が逸れちゃいました」
アニ「ううん。……あんたが本気なんだってこと、私にも伝わってきたよ」
サシャ「ええ、私はいつでも本気ですよ!」グッ
26 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:33:47 ID:6fQnSrzM
アニ「……例えばの話だけどさ」
サシャ「はい?」
アニ「ライナーがあんたのこと、本気で好きだって言ったらどうする?」
サシャ「……それはないと思いますよ」
アニ「なんで?」
サシャ「さっきも言った通り、やっぱり私は子ども扱いしかされてないと思いますし……それに、ライナーは好きな人がいるって言ってましたから」
アニ「……誰のこと?」
サシャ「さあ、わかりません」
アニ「あんたじゃないの? それって」
サシャ「違うと思いますよ。その言葉、私に向かって言ったんですから。もしそれが私のことなら、そんな言い方しませんよね?」
アニ「まあ……そうかもね」
サシャ「それに、もう決めたんです。ライナーがどう思っていても、私は今の全力をぶつけようって」
アニ「……そっか」
27 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:34:38 ID:6fQnSrzM
サシャ「んー……なんか、アニに聞いてもらえてちょっとすっきりしました! ありがとうございます」
アニ「どういたしまして。ーーあんたさ、ライナーを支えてあげたいんだよね。自分の力で」
サシャ「はい!」
アニ「じゃあ、まずは私を倒せるようにならないとね。ーーだから話はこれくらいにして、そろそろやろうよ」スクッ
サシャ「そうですね、やりましょう! 今日は負けませんよ!」バッ!
アニ「全力で来な。ーーこれからは、更にしごいてあげるから」スッ
サシャ「えっ」
28 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:35:47 ID:6fQnSrzM
ーー 夜 食堂
ミーナ「わっ!? サシャ、机に突っ伏してどうしたの?」
コニー「こいつ、アニにコテンパンにやられたんだってさー」モグモグ
サシャ「ううっ、体中が痛いです……」モグモグ
コニー「それでも食ってるんだからおめでたい奴だよなー」
ミーナ「サシャ、私のパンあげようか? 大丈夫?」オロオロ
サシャ「いえ、ミーナの分がなくなっちゃうのでいいです……」
ライナー「……」ソワソワ チラッチラッ
アニ「なんで遠くからチラチラ見てるの?」
ライナー「うおっ!? ……なんだ、アニか」
アニ「なんだとは失礼だね。ーーこれから時間ある?」ヒソヒソ
ライナー「……急ぎか?」
アニ「今回はそこまででもないよ。食べ終わった後でいいから、ちょっと裏まで来てくれる?」
29 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:36:57 ID:6fQnSrzM
ーー 夕食後 兵舎裏
アニ「……というわけなんだけど」
ライナー「……」ジーッ...
アニ「何? 言いたいことがあるならちゃんと言えば?」イラッ
ライナー「お前もこういうのに興味があったんだなぁ……」シミジミ
アニ「蹴るよ」シュッシュッ
ライナー「素振りするなよ。……わかった。ベルトルトも誘っておく」
アニ「助かるよ。じゃあ、昼過ぎに待ち合わせでいいよね」
ライナー「ああ。それでいい」
アニ(いつも通りに見えるけど……)ジーッ
アニ「あんたさ、サシャと喧嘩でもしたの?」
ライナー「? いや、してないが」
アニ「でもあんたのこと気にしてたよ、あの子」
ライナー「……少し、きついことは言ったかもな」ポリポリ
アニ(……なんだ、全然怒ってないね。やっぱりサシャの考え過ぎか)
30 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:37:50 ID:6fQnSrzM
ライナー「なあアニ。……お前は、俺のことを責めないのか?」
アニ「何? 攻めて欲しいの?」シュッシュッ
ライナー「……蹴られたいんじゃなくてだな」
アニ「サシャとのこと? ……必要な時に決断できるなら、私は文句言わないよ。あんたの好きにすればいいんじゃない?」
ライナー「……」
アニ「今、こうなってるのもあんたの判断でしょ。私は口出ししないよ。ーーその代わり、あんたも私の判断に口出ししない。それでいいでしょ」
ライナー「……ああ」
アニ「そもそも、あんたがいつどこで誰と乳繰りあっていようが私はどうでもいいよ」
ライナー「ちっ!? 乳繰りあうって、お前な……っ!」
アニ「じゃあね、話は終わり」スタスタ...
31 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:38:52 ID:6fQnSrzM
ーー 消灯時間前 女子寮 ユミルたちの部屋
クリスタ「へえ、みんなでお菓子食べに行くんだぁ……!」キラキラキラキラ
サシャ「はい! クリスタはどうです? 興味ありますか?」ペラッ
クリスタ「どれどれ……?」ジーッ...
サシャ「……」
クリスタ「……」ダラーッ...
サシャ「!? クリスタクリスタ、涎垂れてますよ涎!!」
クリスタ「はっ! ……ご、ごめん」フキフキ
サシャ「そんなに食べたいなら、何かお土産買ってきしょうか?」
クリスタ「本当!?」パァッ!!
サシャ「はい。高いのでなければなんとかなると思います」
ユミル「……なあサシャ。お前来月まで金欠じゃなかったっけ」
サシャ「うっ……それはそうなんですけど、小銭くらいならちょこっとありますし」
32 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:39:51 ID:6fQnSrzM
ユミル「そんでもって、そういう生菓子の類はとんでもなく高いぞ」
サシャ「ううっ……」ズーン...
クリスタ「なら私が払う!」ハイッ!
ユミル「クリスタちゃんはお金の管理がだらしないこと、ユミルお姉ちゃんは知ってるんですよ。お財布の中身見てみなさいな。お菓子買えるほど残ってませんから」
クリスタ「そっ、そんなことないよ! ちゃんとあるもん!」ガサゴソガサゴソ
ユミル「まあ先が見えてるクリスタの財布の中身は置いといて。……サシャ、この金でさつまいもスティック買ってきてくれ。三人分」スッ
サシャ「さつまいもすてぃっく……? そんなのがあるんですか?」キョトン
ユミル「ああ。そこの喫茶店で比較的安価で変える揚げ菓子だよ。砂糖がかかっててうまいんだ。それで私とお前とクリスタの分、三人分買ってこい。釣りは駄賃でくれてやるが、帰り道で私らの分つまみ食いするんじゃないぞ」
サシャ「おつかいですね! わかりました、行ってきます!」バッ!!
ユミル「敬礼しなくていいぞ」
クリスタ「やったぁ! ユミル、愛してるー!!」ダキッ
ユミル「はっはっは。よーし結婚するかクリスタ」ナデナデ
33 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:41:29 ID:6fQnSrzM
\コンコンッ/
クリスタ「あれ? こんな時間にお客さん?」
サシャ「きっとアニじゃないですかね? ーーどうぞ、入ってきていいですよー!」
アニ「……こんばんは。入るよ」ガチャッ バタンッ
クリスタ「いらっしゃいアニ! もしかしてダブルデートの打ち合わせ? 打ち合わせ?」ソワソワソワソワ
アニ「そんなところ。ーー約束取り付けてきたよ。さっき決めた時間でいいってさ」
サシャ「わかりました。楽しみですね!」
ユミル「なあ。この企画ってカップル限定なんだよな? アニのお相手は?」
アニ「ベルトルト」
ユミル「……ほう。ベルトルさんとねえ」ニヤニヤ
アニ「? 何かおかしい?」
ユミル「いいや。……なあアニ、当日は出かける前に私の部屋に来な。とびっきりかわいくしてやるよ。ベルトルさんが舞い上がるくらいにな」
アニ「……フリルはやめてよね」スススッ
ユミル「しねえよ。まあ私に任せとけ」
34 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:45:00 ID:6fQnSrzM
ーー デート当日 昼 女子寮 ユミルたちの部屋
ユミル「どうだこの髪型、ゆるふわガールでモッテモテだぞ!」エッヘン
アニ「……センス」
ユミル「って雑誌に書いてたんだから仕方ないだろ」ペラペラ
アニ「頭の中までふわふわしそうだね、この髪型」モフモフ
ユミル「でも、あまりボリュームつけると重たい印象になるんだよなー。難しい」ウーン...
アニ「……なんか、落ち着かない」
ユミル「いっつもカッチリした髪型と服装してるもんな。こういうのは慣れてないか」
アニ「……ところでサシャは? 見当たらないけど」キョロキョロ
ユミル「あっちはクリスタに任せてる。ーーさて、服はこれな」
35 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:45:57 ID:6fQnSrzM
アニ「カーディガン……? パーカーじゃないの?」
ユミル「ベルトルさんはカーディガン好きだからな。ペアルックだ。嫌なら着なくてもいいぞ」
アニ「……いいよ、着る」
ユミル「ほいほい。それじゃあどうぞ。二人きりになったらちゃんと言ってやれよ、お揃いだってな」
アニ「ところで、なんでユミルがベルトルトの趣味を把握してるの?」
ユミル「……秘密」
アニ「秘密って何」
ユミル「強いて言うなら……勝負相手の嗜好は把握しとくもんだろ」
アニ「勝負相手?」
ユミル「うるさいうるさい、この話はおしまいだ! ーーほーらかわい子ちゃん、いいからベルトルさん落としてこい!」バシッ!
アニ「……だから、センス」
36 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:47:28 ID:6fQnSrzM
ーー 昼 街中
ベルトルト「ねえライナー、この待ち合わせに何の意味があるの? 兵舎から直接一緒に来た方がよかったんじゃない?」
ライナー「わかってないな、ベルトルト。……こうしたほうが雰囲気出るだろ?」フフン
ベルトルト「二人が来る前にそのにやけきった顔なんとかしておいてね」
ライナー「任せとけ。ーーおっ、二人が来たな」
ベルトルト「……下心との戦いのはじまりだね」ボソッ
ライナー「……今日も勝つ」キリッ
ベルトルト「はいはい」
サシャ「すみません、お待たせしましたー!」タタタッ
アニ「早いね、あんたたち」スタスタ...
37 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:48:23 ID:6fQnSrzM
ベルトルト「今日は髪下ろしてきたんだね。アニ」
アニ「ユミルに無理矢理やられたんだよ。落ち着かないんだけどね」
ベルトルト「……いつもと雰囲気が違っていいと思うけどな」
アニ「そう?」
ベルトルト「うん。驚いたよ、髪型で結構雰囲気変わるんだね」
ベルトルト(いつもきっちりした格好ばっかり見てるからかな、ふわふわしててかわいい……)ドキドキ
アニ「……あんまり見ないでよ」プイッ
ベルトルト「あ……ごめん」シュン
ベルトルト(見過ぎだったかな……気をつけないと、ライナーの二の舞だ)
アニ(さてと、あっちはどうなったかな)チラッ
38 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:49:57 ID:6fQnSrzM
サシャ「……どうも」ペコッ
ライナー「……ああ」
サシャ(……何も言ってくれませんね)
ライナー(今日はパーカーか……うん、似合ってるな)
サシャ(そりゃあ、毎回毎回褒めてくれなんて言えませんけど、でも一言くらい言ってくれたっていいのに……いいとか悪いとか、それだけで充分なのに……)
ライナー(やはりサシャは何を着てもいいな。……今日はスカートだから、転ばないように見張らないと)
サシャ(最初のころは、スカート一つでもちょっとした会話になったのに、今日は何もないなんて……)
サシャ(……さみしいです)
ライナー(……かわいいな)
39 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:51:13 ID:6fQnSrzM
アニ・ベルトルト「……」
アニ・ベルトルト(あそこだけ暗い……)
アニ(なんでサシャが元気ないのに、ライナーは嬉しそうなの?)
ベルトルト(なんかあの二人、思いっきりすれ違いが起きてる気がする……)
アニ(あ……そういえば、ライナーが怒ってるのはサシャの勘違いだって伝えておくの忘れてた)
ベルトルト(サシャがぎこちないせいで、ライナーも少し緊張してるのかもしれない……やりにくいな)
アニ(今日はずっとこんな感じなのかな、この二人)
ベルトルト(こんな調子で、最後まで保つかなぁ……)
ライナー「さて、全員集まったことだし……そろそろ行くか?」ガシッ
サシャ「はーい」ギュッ
アニ「待った」
ベルトルト「止まって二人とも」
40 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:52:26 ID:6fQnSrzM
サシャ「どうしました? 何か忘れ物でもしました?」キョトン
アニ「……あのさ、なんで手繋いでるの?」
ライナー「なんでって……はぐれたらどうする」
ベルトルト「そんな子どもじゃあるまいし!」
アニ「……サシャ、あんた気まずいんじゃなかったの?」ヒソヒソ
サシャ「はぁ、そう言いましたけど……?」キョトン
アニ「手を繋ぐのは気まずくないの? むしろなんで繋げるの?」
サシャ「だってはぐれちゃいますし」
アニ(……気まずいってどういう意味だったっけ)
ライナー「せっかく四人で歩いてるんだしな。今回、サシャはアニに任せるか」
アニ「わかったよ。仕方ないね」
ライナー「ああ、よろしく頼む」
41 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:53:17 ID:6fQnSrzM
ーー 街中 移動中
ベルトルト「君ねぇ……そうやって甘やかすのはやめなよ」
ライナー「いや、甘やかしてるわけじゃないんだがな。まあ見てろ」
ベルトルト「見てろって……何を?」
ライナー「アニとサシャだ。……ほら、始まったぞ」
ベルトルト(アニがチラシの地図確認してる…………んん?)
アニ(えーっと、そこの薬屋がこの位置だから……)ジーッ
サシャ(……なんかあっちの角からいい匂いがしますねー)クンクン
42 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:54:46 ID:6fQnSrzM
ベルトルト「……ねえ、アニとサシャが逆方向に歩き始めたんだけど。僕たちどっちについていけばいいの?」
ライナー「アニがサシャを回収した後だな。……おっと、アニが気づいたみたいだぞ」
アニ「あんたどこ行く気?」
サシャ「へ? いや、あっちのほうからいい匂いがですね」
アニ「……こっち」ガシッ
サシャ「あぁっ、パァンのいい匂いがぁ……」ズルズル...
ベルトルト(アニがサシャのフード掴んで引っ張ってる……)
ベルトルト「……これ毎回?」
ライナー「手を繋ぎたくなる理由わかるだろ?」
ベルトルト「……うん、よくわかったよ」
43 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:56:00 ID:6fQnSrzM
ーー 喫茶店
\イラッシャイマセー/ \ヨンメイサマハイリマース/
サシャ(お菓子お菓子お菓子お菓子お菓子お菓子お菓子お菓子お菓子お菓子)ギラギラギラギラ
アニ(モンブランモンブランモンブランモンブランモンブランモンブラン)ソワソワソワソワ
ライナー「少しは落ち着け、二人とも」
ベルトルト「へえ……お茶の種類だけでも色々あるんだね」ペラッ
ライナー「喫茶店だしな。その辺の定食屋よりは充実してるもんなんだろ」ペラッ
サシャ「二人とも、どうしてメニュー見てるんです?」
ベルトルト「? だって、何頼むか決めないと」
アニ「もう四人分頼んでおいたよ。一番安いお茶と限定のお菓子」
ライナー「……進行早いな」
サシャ「どうせ全種類食べるんですから、誰が何頼もうが同じですよ」
44 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:57:25 ID:6fQnSrzM
ーー 数分後
\オマタセシマシター/ \ソレデハゴユックリー/
ベルトルト「えーっと、これは……誰がどのお菓子なの?」
サシャ「私がサツマイモのムース、アニがアップルパイ、ベルトルトがカボチャのタルトで、ライナーがモンブランですね」
アニ「そう。なら私とライナーのは交換だね」スッ
ライナー「は? お前、さっきどれでもいいって」
アニ「つべこべ言わずに皿出しなよ……!」ギロッ...
ライナー「そう睨むなよ、交換くらいしてやるから」スッ
アニ「どうも」
アニ(おお……これがモンブラン……)キラキラキラキラ
ライナー(……アニのあんな顔は珍しいな)
ベルトルト(目に焼き付けておこう……)チラッチラッ
サシャ「じゃあいただきまーす! じっくり味わって食べましょうね!」プスッ
45 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:58:31 ID:6fQnSrzM
ベルトルト(ライナーはいつもサシャとこんな小洒落たもの食べてるのか……)ウロウロ
ライナー(これはどう食べればいいんだ? 手掴みなら一口でいけそうだが……)ウロウロ
アニ(これ……フォーク、どこに入れたらいいんだろ)ウロウロ
サシャ「……? みなさんフォークが彷徨ってますよ。食べないんですか?」モグモグ
アニ「……サシャ、先にどうぞ」スッ
サシャ「えっ、いいんですか? それじゃお先にいただきまーす!」プスッ
ライナー(……まあ、適当でいいか)サクッ
ベルトルト(どっちみち作法なんて知らないしね)サクッ
サシャ「おいしいですねぇ、このモンブランってお菓子。ーーはいどうぞ、アニに返しますね」スッ
アニ「……どうも」サクッ
46 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:59:47 ID:6fQnSrzM
アニ(このクリーム、栗の味がする……)モグモグ
ベルトルト(あ、あんまり甘くないや。これなら食べられそう)モグモグ
ライナー(……フォークで切るとちっさいな)チマッ
サシャ「……」ジーッ...
ライナー「……サシャ、手が止まってるぞ」
サシャ「……もしかして、三人の出身って同じだったりします?」
ライナー「」ピクッ
ベルトルト「」ピタッ
アニ「……なんで?」
47 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 20:01:11 ID:6fQnSrzM
サシャ「いや、大した事じゃないんですけど……お菓子の切り分け方が一緒だなーって」
ライナー「……」チラッ
ベルトルト「……」チラッ
アニ「……」チラッ
ライナー・ベルトルト・アニ(本当だ……!)ガーン...
サシャ「あと、フォークの持ち方も私とちょっと違いますよね? 人差し指の曲がり方とか。小指もちょこっと浮いてますし」
ライナー(おいおい、どこ見てるんだサシャの奴……)ゾクッ
ベルトルト(サシャ……恐ろしい子……!)ダラダラダラダラ
48 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 20:02:14 ID:6fQnSrzM
アニ「……最近知ったんだけどね、私の実家と割と近いところに住んでたんだよ。この二人」
サシャ「へー、そうなんですか?」
ベルトルト「そ、そうらしいね」ギクシャク
ライナー「ああ、最近知ったんだけどな、そうらしいぞ、うん」ギクシャク
アニ「それにしてもあんた、よく気づいたね。驚いたよ」
サシャ「狩りの基本は観察ですからね! これくらいはお手の物ですよ! ……ところでアニ、手元見せてもらっていいですか?」
アニ「いいけど……何するの?」
サシャ「同じ持ち方してみようと思いまして。んーっと、ここがこうで……」ジーッ...
ライナー「持ち方で味は変わらんぞ?」
サシャ「そんなことありませんよー。料理っていうのは切り分け方一つで食感がガラリと変わるんですから、持ち方は重要ですよ。おいしい体験はみんなで分けあうべきです!」
サシャ「でも、そうじゃなくて……ライナーが苦しい時に、隣に並んで、一緒に悩んでいたいんです。ーーできるなら、その悩みを解決してあげるのが一番なんでしょうけど」
サシャ「だから、今の私の目標は、ライナーの隣にいることじゃなくて、隣で支えることなんです。今はその目標に向かって努力中なので、言わなくてもいいんです。もうちょっと、自分に自信を持てるようになったら……私から、言うつもりです」
アニ「……あんたさ、それがきついことだってわかってる?」
サシャ「そうですね、楽じゃないってことは私にもわかります」
サシャ「でも、『楽じゃない』っていう事実は、獲物を諦める理由にはならないんですよ。それに、そういうものは手強ければ手強いほど燃えるでしょう?」クスッ
サシャ「……って、これじゃあ狩りですね。ちょっと話が逸れちゃいました」
アニ「ううん。……あんたが本気なんだってこと、私にも伝わってきたよ」
サシャ「ええ、私はいつでも本気ですよ!」グッ
26 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:33:47 ID:6fQnSrzM
アニ「……例えばの話だけどさ」
サシャ「はい?」
アニ「ライナーがあんたのこと、本気で好きだって言ったらどうする?」
サシャ「……それはないと思いますよ」
アニ「なんで?」
サシャ「さっきも言った通り、やっぱり私は子ども扱いしかされてないと思いますし……それに、ライナーは好きな人がいるって言ってましたから」
アニ「……誰のこと?」
サシャ「さあ、わかりません」
アニ「あんたじゃないの? それって」
サシャ「違うと思いますよ。その言葉、私に向かって言ったんですから。もしそれが私のことなら、そんな言い方しませんよね?」
アニ「まあ……そうかもね」
サシャ「それに、もう決めたんです。ライナーがどう思っていても、私は今の全力をぶつけようって」
アニ「……そっか」
27 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:34:38 ID:6fQnSrzM
サシャ「んー……なんか、アニに聞いてもらえてちょっとすっきりしました! ありがとうございます」
アニ「どういたしまして。ーーあんたさ、ライナーを支えてあげたいんだよね。自分の力で」
サシャ「はい!」
アニ「じゃあ、まずは私を倒せるようにならないとね。ーーだから話はこれくらいにして、そろそろやろうよ」スクッ
サシャ「そうですね、やりましょう! 今日は負けませんよ!」バッ!
アニ「全力で来な。ーーこれからは、更にしごいてあげるから」スッ
サシャ「えっ」
28 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:35:47 ID:6fQnSrzM
ーー 夜 食堂
ミーナ「わっ!? サシャ、机に突っ伏してどうしたの?」
コニー「こいつ、アニにコテンパンにやられたんだってさー」モグモグ
サシャ「ううっ、体中が痛いです……」モグモグ
コニー「それでも食ってるんだからおめでたい奴だよなー」
ミーナ「サシャ、私のパンあげようか? 大丈夫?」オロオロ
サシャ「いえ、ミーナの分がなくなっちゃうのでいいです……」
ライナー「……」ソワソワ チラッチラッ
アニ「なんで遠くからチラチラ見てるの?」
ライナー「うおっ!? ……なんだ、アニか」
アニ「なんだとは失礼だね。ーーこれから時間ある?」ヒソヒソ
ライナー「……急ぎか?」
アニ「今回はそこまででもないよ。食べ終わった後でいいから、ちょっと裏まで来てくれる?」
29 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:36:57 ID:6fQnSrzM
ーー 夕食後 兵舎裏
アニ「……というわけなんだけど」
ライナー「……」ジーッ...
アニ「何? 言いたいことがあるならちゃんと言えば?」イラッ
ライナー「お前もこういうのに興味があったんだなぁ……」シミジミ
アニ「蹴るよ」シュッシュッ
ライナー「素振りするなよ。……わかった。ベルトルトも誘っておく」
アニ「助かるよ。じゃあ、昼過ぎに待ち合わせでいいよね」
ライナー「ああ。それでいい」
アニ(いつも通りに見えるけど……)ジーッ
アニ「あんたさ、サシャと喧嘩でもしたの?」
ライナー「? いや、してないが」
アニ「でもあんたのこと気にしてたよ、あの子」
ライナー「……少し、きついことは言ったかもな」ポリポリ
アニ(……なんだ、全然怒ってないね。やっぱりサシャの考え過ぎか)
ライナー「なあアニ。……お前は、俺のことを責めないのか?」
アニ「何? 攻めて欲しいの?」シュッシュッ
ライナー「……蹴られたいんじゃなくてだな」
アニ「サシャとのこと? ……必要な時に決断できるなら、私は文句言わないよ。あんたの好きにすればいいんじゃない?」
ライナー「……」
アニ「今、こうなってるのもあんたの判断でしょ。私は口出ししないよ。ーーその代わり、あんたも私の判断に口出ししない。それでいいでしょ」
ライナー「……ああ」
アニ「そもそも、あんたがいつどこで誰と乳繰りあっていようが私はどうでもいいよ」
ライナー「ちっ!? 乳繰りあうって、お前な……っ!」
アニ「じゃあね、話は終わり」スタスタ...
31 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:38:52 ID:6fQnSrzM
ーー 消灯時間前 女子寮 ユミルたちの部屋
クリスタ「へえ、みんなでお菓子食べに行くんだぁ……!」キラキラキラキラ
サシャ「はい! クリスタはどうです? 興味ありますか?」ペラッ
クリスタ「どれどれ……?」ジーッ...
サシャ「……」
クリスタ「……」ダラーッ...
サシャ「!? クリスタクリスタ、涎垂れてますよ涎!!」
クリスタ「はっ! ……ご、ごめん」フキフキ
サシャ「そんなに食べたいなら、何かお土産買ってきしょうか?」
クリスタ「本当!?」パァッ!!
サシャ「はい。高いのでなければなんとかなると思います」
ユミル「……なあサシャ。お前来月まで金欠じゃなかったっけ」
サシャ「うっ……それはそうなんですけど、小銭くらいならちょこっとありますし」
32 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:39:51 ID:6fQnSrzM
ユミル「そんでもって、そういう生菓子の類はとんでもなく高いぞ」
サシャ「ううっ……」ズーン...
クリスタ「なら私が払う!」ハイッ!
ユミル「クリスタちゃんはお金の管理がだらしないこと、ユミルお姉ちゃんは知ってるんですよ。お財布の中身見てみなさいな。お菓子買えるほど残ってませんから」
クリスタ「そっ、そんなことないよ! ちゃんとあるもん!」ガサゴソガサゴソ
ユミル「まあ先が見えてるクリスタの財布の中身は置いといて。……サシャ、この金でさつまいもスティック買ってきてくれ。三人分」スッ
サシャ「さつまいもすてぃっく……? そんなのがあるんですか?」キョトン
ユミル「ああ。そこの喫茶店で比較的安価で変える揚げ菓子だよ。砂糖がかかっててうまいんだ。それで私とお前とクリスタの分、三人分買ってこい。釣りは駄賃でくれてやるが、帰り道で私らの分つまみ食いするんじゃないぞ」
サシャ「おつかいですね! わかりました、行ってきます!」バッ!!
ユミル「敬礼しなくていいぞ」
クリスタ「やったぁ! ユミル、愛してるー!!」ダキッ
ユミル「はっはっは。よーし結婚するかクリスタ」ナデナデ
33 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:41:29 ID:6fQnSrzM
\コンコンッ/
クリスタ「あれ? こんな時間にお客さん?」
サシャ「きっとアニじゃないですかね? ーーどうぞ、入ってきていいですよー!」
アニ「……こんばんは。入るよ」ガチャッ バタンッ
クリスタ「いらっしゃいアニ! もしかしてダブルデートの打ち合わせ? 打ち合わせ?」ソワソワソワソワ
アニ「そんなところ。ーー約束取り付けてきたよ。さっき決めた時間でいいってさ」
サシャ「わかりました。楽しみですね!」
ユミル「なあ。この企画ってカップル限定なんだよな? アニのお相手は?」
アニ「ベルトルト」
ユミル「……ほう。ベルトルさんとねえ」ニヤニヤ
アニ「? 何かおかしい?」
ユミル「いいや。……なあアニ、当日は出かける前に私の部屋に来な。とびっきりかわいくしてやるよ。ベルトルさんが舞い上がるくらいにな」
アニ「……フリルはやめてよね」スススッ
ユミル「しねえよ。まあ私に任せとけ」
34 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:45:00 ID:6fQnSrzM
ーー デート当日 昼 女子寮 ユミルたちの部屋
ユミル「どうだこの髪型、ゆるふわガールでモッテモテだぞ!」エッヘン
アニ「……センス」
ユミル「って雑誌に書いてたんだから仕方ないだろ」ペラペラ
アニ「頭の中までふわふわしそうだね、この髪型」モフモフ
ユミル「でも、あまりボリュームつけると重たい印象になるんだよなー。難しい」ウーン...
アニ「……なんか、落ち着かない」
ユミル「いっつもカッチリした髪型と服装してるもんな。こういうのは慣れてないか」
アニ「……ところでサシャは? 見当たらないけど」キョロキョロ
ユミル「あっちはクリスタに任せてる。ーーさて、服はこれな」
35 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:45:57 ID:6fQnSrzM
アニ「カーディガン……? パーカーじゃないの?」
ユミル「ベルトルさんはカーディガン好きだからな。ペアルックだ。嫌なら着なくてもいいぞ」
アニ「……いいよ、着る」
ユミル「ほいほい。それじゃあどうぞ。二人きりになったらちゃんと言ってやれよ、お揃いだってな」
アニ「ところで、なんでユミルがベルトルトの趣味を把握してるの?」
ユミル「……秘密」
アニ「秘密って何」
ユミル「強いて言うなら……勝負相手の嗜好は把握しとくもんだろ」
アニ「勝負相手?」
ユミル「うるさいうるさい、この話はおしまいだ! ーーほーらかわい子ちゃん、いいからベルトルさん落としてこい!」バシッ!
アニ「……だから、センス」
36 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:47:28 ID:6fQnSrzM
ーー 昼 街中
ベルトルト「ねえライナー、この待ち合わせに何の意味があるの? 兵舎から直接一緒に来た方がよかったんじゃない?」
ライナー「わかってないな、ベルトルト。……こうしたほうが雰囲気出るだろ?」フフン
ベルトルト「二人が来る前にそのにやけきった顔なんとかしておいてね」
ライナー「任せとけ。ーーおっ、二人が来たな」
ベルトルト「……下心との戦いのはじまりだね」ボソッ
ライナー「……今日も勝つ」キリッ
ベルトルト「はいはい」
サシャ「すみません、お待たせしましたー!」タタタッ
アニ「早いね、あんたたち」スタスタ...
37 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:48:23 ID:6fQnSrzM
ベルトルト「今日は髪下ろしてきたんだね。アニ」
アニ「ユミルに無理矢理やられたんだよ。落ち着かないんだけどね」
ベルトルト「……いつもと雰囲気が違っていいと思うけどな」
アニ「そう?」
ベルトルト「うん。驚いたよ、髪型で結構雰囲気変わるんだね」
ベルトルト(いつもきっちりした格好ばっかり見てるからかな、ふわふわしててかわいい……)ドキドキ
アニ「……あんまり見ないでよ」プイッ
ベルトルト「あ……ごめん」シュン
ベルトルト(見過ぎだったかな……気をつけないと、ライナーの二の舞だ)
アニ(さてと、あっちはどうなったかな)チラッ
38 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:49:57 ID:6fQnSrzM
サシャ「……どうも」ペコッ
ライナー「……ああ」
サシャ(……何も言ってくれませんね)
ライナー(今日はパーカーか……うん、似合ってるな)
サシャ(そりゃあ、毎回毎回褒めてくれなんて言えませんけど、でも一言くらい言ってくれたっていいのに……いいとか悪いとか、それだけで充分なのに……)
ライナー(やはりサシャは何を着てもいいな。……今日はスカートだから、転ばないように見張らないと)
サシャ(最初のころは、スカート一つでもちょっとした会話になったのに、今日は何もないなんて……)
サシャ(……さみしいです)
ライナー(……かわいいな)
39 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:51:13 ID:6fQnSrzM
アニ・ベルトルト「……」
アニ・ベルトルト(あそこだけ暗い……)
アニ(なんでサシャが元気ないのに、ライナーは嬉しそうなの?)
ベルトルト(なんかあの二人、思いっきりすれ違いが起きてる気がする……)
アニ(あ……そういえば、ライナーが怒ってるのはサシャの勘違いだって伝えておくの忘れてた)
ベルトルト(サシャがぎこちないせいで、ライナーも少し緊張してるのかもしれない……やりにくいな)
アニ(今日はずっとこんな感じなのかな、この二人)
ベルトルト(こんな調子で、最後まで保つかなぁ……)
ライナー「さて、全員集まったことだし……そろそろ行くか?」ガシッ
サシャ「はーい」ギュッ
アニ「待った」
ベルトルト「止まって二人とも」
40 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:52:26 ID:6fQnSrzM
サシャ「どうしました? 何か忘れ物でもしました?」キョトン
アニ「……あのさ、なんで手繋いでるの?」
ライナー「なんでって……はぐれたらどうする」
ベルトルト「そんな子どもじゃあるまいし!」
アニ「……サシャ、あんた気まずいんじゃなかったの?」ヒソヒソ
サシャ「はぁ、そう言いましたけど……?」キョトン
アニ「手を繋ぐのは気まずくないの? むしろなんで繋げるの?」
サシャ「だってはぐれちゃいますし」
アニ(……気まずいってどういう意味だったっけ)
ライナー「せっかく四人で歩いてるんだしな。今回、サシャはアニに任せるか」
アニ「わかったよ。仕方ないね」
ライナー「ああ、よろしく頼む」
41 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:53:17 ID:6fQnSrzM
ーー 街中 移動中
ベルトルト「君ねぇ……そうやって甘やかすのはやめなよ」
ライナー「いや、甘やかしてるわけじゃないんだがな。まあ見てろ」
ベルトルト「見てろって……何を?」
ライナー「アニとサシャだ。……ほら、始まったぞ」
ベルトルト(アニがチラシの地図確認してる…………んん?)
アニ(えーっと、そこの薬屋がこの位置だから……)ジーッ
サシャ(……なんかあっちの角からいい匂いがしますねー)クンクン
42 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:54:46 ID:6fQnSrzM
ベルトルト「……ねえ、アニとサシャが逆方向に歩き始めたんだけど。僕たちどっちについていけばいいの?」
ライナー「アニがサシャを回収した後だな。……おっと、アニが気づいたみたいだぞ」
アニ「あんたどこ行く気?」
サシャ「へ? いや、あっちのほうからいい匂いがですね」
アニ「……こっち」ガシッ
サシャ「あぁっ、パァンのいい匂いがぁ……」ズルズル...
ベルトルト(アニがサシャのフード掴んで引っ張ってる……)
ベルトルト「……これ毎回?」
ライナー「手を繋ぎたくなる理由わかるだろ?」
ベルトルト「……うん、よくわかったよ」
43 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:56:00 ID:6fQnSrzM
ーー 喫茶店
\イラッシャイマセー/ \ヨンメイサマハイリマース/
サシャ(お菓子お菓子お菓子お菓子お菓子お菓子お菓子お菓子お菓子お菓子)ギラギラギラギラ
アニ(モンブランモンブランモンブランモンブランモンブランモンブラン)ソワソワソワソワ
ライナー「少しは落ち着け、二人とも」
ベルトルト「へえ……お茶の種類だけでも色々あるんだね」ペラッ
ライナー「喫茶店だしな。その辺の定食屋よりは充実してるもんなんだろ」ペラッ
サシャ「二人とも、どうしてメニュー見てるんです?」
ベルトルト「? だって、何頼むか決めないと」
アニ「もう四人分頼んでおいたよ。一番安いお茶と限定のお菓子」
ライナー「……進行早いな」
サシャ「どうせ全種類食べるんですから、誰が何頼もうが同じですよ」
44 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:57:25 ID:6fQnSrzM
ーー 数分後
\オマタセシマシター/ \ソレデハゴユックリー/
ベルトルト「えーっと、これは……誰がどのお菓子なの?」
サシャ「私がサツマイモのムース、アニがアップルパイ、ベルトルトがカボチャのタルトで、ライナーがモンブランですね」
アニ「そう。なら私とライナーのは交換だね」スッ
ライナー「は? お前、さっきどれでもいいって」
アニ「つべこべ言わずに皿出しなよ……!」ギロッ...
ライナー「そう睨むなよ、交換くらいしてやるから」スッ
アニ「どうも」
アニ(おお……これがモンブラン……)キラキラキラキラ
ライナー(……アニのあんな顔は珍しいな)
ベルトルト(目に焼き付けておこう……)チラッチラッ
サシャ「じゃあいただきまーす! じっくり味わって食べましょうね!」プスッ
ベルトルト(ライナーはいつもサシャとこんな小洒落たもの食べてるのか……)ウロウロ
ライナー(これはどう食べればいいんだ? 手掴みなら一口でいけそうだが……)ウロウロ
アニ(これ……フォーク、どこに入れたらいいんだろ)ウロウロ
サシャ「……? みなさんフォークが彷徨ってますよ。食べないんですか?」モグモグ
アニ「……サシャ、先にどうぞ」スッ
サシャ「えっ、いいんですか? それじゃお先にいただきまーす!」プスッ
ライナー(……まあ、適当でいいか)サクッ
ベルトルト(どっちみち作法なんて知らないしね)サクッ
サシャ「おいしいですねぇ、このモンブランってお菓子。ーーはいどうぞ、アニに返しますね」スッ
アニ「……どうも」サクッ
46 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 19:59:47 ID:6fQnSrzM
アニ(このクリーム、栗の味がする……)モグモグ
ベルトルト(あ、あんまり甘くないや。これなら食べられそう)モグモグ
ライナー(……フォークで切るとちっさいな)チマッ
サシャ「……」ジーッ...
ライナー「……サシャ、手が止まってるぞ」
サシャ「……もしかして、三人の出身って同じだったりします?」
ライナー「」ピクッ
ベルトルト「」ピタッ
アニ「……なんで?」
47 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 20:01:11 ID:6fQnSrzM
サシャ「いや、大した事じゃないんですけど……お菓子の切り分け方が一緒だなーって」
ライナー「……」チラッ
ベルトルト「……」チラッ
アニ「……」チラッ
ライナー・ベルトルト・アニ(本当だ……!)ガーン...
サシャ「あと、フォークの持ち方も私とちょっと違いますよね? 人差し指の曲がり方とか。小指もちょこっと浮いてますし」
ライナー(おいおい、どこ見てるんだサシャの奴……)ゾクッ
ベルトルト(サシャ……恐ろしい子……!)ダラダラダラダラ
48 : ◆H4iwFNXQsw:2013/09/10(火) 20:02:14 ID:6fQnSrzM
アニ「……最近知ったんだけどね、私の実家と割と近いところに住んでたんだよ。この二人」
サシャ「へー、そうなんですか?」
ベルトルト「そ、そうらしいね」ギクシャク
ライナー「ああ、最近知ったんだけどな、そうらしいぞ、うん」ギクシャク
アニ「それにしてもあんた、よく気づいたね。驚いたよ」
サシャ「狩りの基本は観察ですからね! これくらいはお手の物ですよ! ……ところでアニ、手元見せてもらっていいですか?」
アニ「いいけど……何するの?」
サシャ「同じ持ち方してみようと思いまして。んーっと、ここがこうで……」ジーッ...
ライナー「持ち方で味は変わらんぞ?」
サシャ「そんなことありませんよー。料理っていうのは切り分け方一つで食感がガラリと変わるんですから、持ち方は重要ですよ。おいしい体験はみんなで分けあうべきです!」
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