しんのすけ「アローラ地方を冒険するゾ」
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273 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 19:37:47.46 ID:1bwQQCIO0
ゴスッ!!
煙幕を払いながら現れたみさえは、勝ち誇った笑みを浮かべたルザミーネの頭部に会心の右ストレートをぶち込んだ!
みさえ「オラオラオラオラオラ!!」ドカドカドカドカ!!
ルザミーネ「うあっ! があっ! ああっ!」
みさえ「私だって、もっと美しくなりたい! もっとおいしいもの食べて、高い服着て、イケメンに囲まれたいわよ! 」ドカボカドカボカドカボカッ!!
みさえ「でも、それ以上に家族を愛してるの! そのくらい我慢できなくて何が母親よ!」ガガガガガッ!!
みさえ「ワガママばかりで母親ヅラしてるアンタなんかに、私は負けない!!」ドドドドドド!!
ルザミーネ「ぐ……ッ!」
274 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 19:39:16.95 ID:1bwQQCIO0
そのまま他の触手による拳撃がルザミーネの全身を穿ち、フィニッシュに脳天に向けて拳を振り下ろす!
みさえ「ぅオラッ!」グンッ!
ルザミーネ「ーーッ!」
げ ん
こ つ
ルザミーネ「あ゛あ゛っ!」
ドッゴォォォ
みさえ(やっぱりーーああ、そういうことだったのね)
ルザミーネ「あ……あぐ……ウツロイドとひとつになって、ビーストちゃんの愛を得て強くなったはずなのに! どうして!!」
みさえ「……なんでアンタが私に勝てないか、分からないの?」フワッ
ルザミーネ「勝てないですって……!」
みさえ「教えてあげる。アンタが本当に愛してる人のために、戦ってるわけじゃないからよ」
ルザミーネ「何が言いたいの……!」
275 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 19:40:20.30 ID:1bwQQCIO0
みさえ「表ではビーストを愛してるかもしれないけど、心の奥底では、別の人達を愛してあげたくてたまらないの。あなたの心と体が反発し合ってるから勝てないのよ」
みさえ「だって、さっきからあなたの攻撃、まるで手応えが感じないもの」
ルザミーネ「思い上がりも甚だしいですわ……!」カッ!
ルザミーネが光線を発射してみさえがそれを避けると、再び立ち上がった!
ルザミーネ「アアアゥッ!」ドウッ!
もう一度ルザミーネは無数に枝分かれしたパワージェムを放つと、ひろしたちの近くにあった岩を吹き飛ばし、その欠片がひろしたちにぶつかる!
ドカァァン!
ひろし「あぶねぇ!」
リーリエ「ひゃっ!」
岩の欠片から頭を守る際、無意識に自分の足元を見たその時だった。ひろしの頭の中に、かつてしんのすけが、敵の手に落ちていた自分に言ってくれた言葉を思い出した。
ーーとーちゃんはとーちゃんなんだよ、このニオイわかるでしょ
ひろし「……!」
276 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 19:45:07.24 ID:1bwQQCIO0
ひろし「ーーこれだ! こいつを使えばいいんだ!」
リーリエ「ひろしさん、どうなさったのですか?」
ひろし「思いついたんだ。しんのすけの記憶を取り戻させる手段が!」
リーリエ「本当ですか?!」
ひろし「あぁ! しかも効果も実証済みだ。リーリエちゃんも、しんのすけに呼びかけて手伝ってくれ!」
リーリエ「実証済みの意味がよくわかりませんが……わたしにできることがあるなら、なんでもやります!」
ひろし(しんのすけーー思い出すんだ! お前はこれで、俺が家族と一緒に未来を生きることを思い出させてくれた。だから今度は俺が、お前を正気に戻す番だ!)
277 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 19:47:12.53 ID:1bwQQCIO0
その頃、精神世界ではーー
「逃げ……のすけ! お……!」
じぇるるっぷーー
ウツロイドの触手が、しんのすけの欠片に触れそうになったその時だった。
ムワァァァァ
ウツロイド「じぇるる!!??」
ーーうわっ! 臭っ!
あたり一面に、この世のものとは思えない異臭が漂い始めた。
精神世界が阿鼻叫喚の巷と化す中、バラバラになりかけていたしんのすけの心が集まり、頭痛が走る。
「くっせえ! なんだこのニオイは!?」
ウツロイド「じぇる! じぇるるる!!」ウェッ
ーーう、ううっ……クサすぎて……あったまいったい~!
278 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 19:47:58.66 ID:1bwQQCIO0
しんのすけ「ううっ……うっ……!」ガクガク
ひろし「しんのすけ! 思い出すんだ!」ツーーン!
リーリエ「ひ、ひろしさん! 靴の臭いなんて嗅がせてどうするんですか!」
ひろし「他人にゃ分かんねぇかもしれないけど、これは俺たち家族だけが知っている特別な臭いなんだ! しんのすけは、それを心の奥底に刻んでいるはずなんだ!」
リーリエ「えぇ……でも、なんだかすごく苦しそうなんですけど……」
ロトム図鑑「いや、しんのすけの脳波に反応が出ているぞ。これならいけるかもしれないが……その前に私がこのニオイで機能障害を起こすかもしれん……」クラッ
リーリエ「それって、単純に臭いを嫌がってるだけなのでは……」
ひろし「リーリエちゃんもしんのすけに呼びかけるんだ! ほら、ひまわりもシロも、しんのすけに呼びかけろ!」
ひまわり「たいっ! たーやたーや!」
シロ「キャンッ!」
リーリエ「わ、わかりました!」
279 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 19:49:31.17 ID:1bwQQCIO0
その時、リーリエの腰にくっつけていたボールから、カザマたちが飛び出した!
ポンポンポンポンッ!
ジュナイパー「ホーッ!」
ヨワシ「ヨワッ!」
キテルグマ「クーッ!」
ミミッキュ「ボッ!」
フェローチェ「フェロッ!」
リーリエ「カザマさん……! みなさんも、わかっているのですね。みんなでしんちゃんを呼びましょう!」
ジュナイパー「ホー!」
ロトム図鑑「私もしんのすけが喜びそうな美女トレーナーのデータを脳内に直接送り込んでみよう」
ひろし「あ、あのなぁ……」
280 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 19:50:36.10 ID:1bwQQCIO0
ーーぬぅっ……ううっ……オラ、オラって誰? なんでオラってここにいるの?
ーーしんのすけ!
ーーしんちゃん!
ーーたーやっ!
ーーキャンッ!
悪臭にむせていると知らないはずなのに、知っている気がする誰かの声がしんのすけに語りかけてきた。
ーー……しんのすけ? しんのすけって誰だっけ? そんなウルトラスーパーゴージャスな名前の人……オラ、知ってる気がする……!
ーーしんのすけ!
ーーしんちゃん!
ーーしんちゃん!
ーーしんちゃん!
ーーしん様!
たくさんの人たちの声が聞こえてくる。しかし、なにかが障害となって記憶を引き出せない。
ーーダメだっ、思い出せない~なんだっけなんだっけぇっ
281 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 19:51:46.64 ID:1bwQQCIO0
「やれやれ、これだけやってまだ思い出せないとは。じゃあこれならどうだ!」
エリカ「しんのすけさん!」
フウロ「しんちゃん!」
アスナ「しんのすけ君!」
マーシュ「しんのすけはん!」
ライチ「しんのすけ!」
ビッケ「しんのすけさん!」
ーーうっひょおおーーっ! なんか色々思い出してきたような気がする~!
ーーそうだ、オラはたしかおねいさんにモテモテになるために生きてるんだっけ!
ーーそれに……このニオイ、知ってる。なんだっけ……
282 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 19:52:27.04 ID:1bwQQCIO0
すると、霧が晴れていくようにある光景がしんのすけの目の前に現れた。
最初に見えたのは、靴下だった。
顔を上げると、靴下の持ち主の顔がーーひろしのからかうような笑顔を浮かべた顔が見えた。
ひろし「お前ってやつは、さすが俺の息子だ!」
ーーとーちゃん
移り変わると、次はしんのすけを必死に揺り起こしたり、必死にママチャリを漕いで幼稚園に連れて行こうとする必死な表情、そしてみさえの顔が蘇る。
みさえ「アンタは、ダメな子なんかじゃない」
ーーかーちゃん
いたずらをしてしんのすけを振り回すひまわりと、散歩の時のんびりとしんのすけについて行くシロ。
ひまわり「たいっ!」
シロ「アンッ!」
ーーひまわりに、シロ
283 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 19:53:03.37 ID:1bwQQCIO0
カスカベにいた頃、いつも通っていた公園やよしなが先生の家に集まっていた4人の友達とひとりの変わった友達、風間、マサオ、ネネ、ボーちゃん、あいがしんのすけに合わせるように掛け声を出す。
「カスカベ防衛隊っ! ファイヤーーッ!!」
ーーカスカベ防衛隊のみんな
その風間たちの姿が、ジュナイパー、ヨワシ、キテルグマ、ミミッキュ、フェローチェの姿になった。再び掛け声を出す。
「アローラ防衛隊っ! ファイヤーーッ!!」
ーーアローラのカザマくん、マサオくん、ネネちゃん、ボーちゃん、あいちゃん
頼りになるのかどうかもわからないけれども、しんのすけとの間に確かな繋がりを感じるロトム図鑑……もといぶりぶりざえもん。
ロトム図鑑「図鑑の使用料百億万円、ローンまたはクレジットでも可」
ーーぶりぶりざえもん
284 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 19:53:42.78 ID:1bwQQCIO0
アローラに来て初めてできた最初の友達で、しんのすけと供に島巡りに出たマラサダ好きの少年、ハウ。
ハウ「おれー? おれねーハウ! しまキングの孫! でねーニャビーがパートナーなのー」
ーーハウくん
メレメレの吊り橋で出会ってから、方向音痴ですぐトラブルを起こすから、なんだか心配で世話を焼いていたら、いつの間にか自分の妹とも友達とも言える存在になった少女、リーリエ。
リーリエ「わたし……しんちゃんのように、どんな試練にも立ち向かえるようになりたいのです!」
ーーリーリエちゃん
285 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 19:54:26.01 ID:1bwQQCIO0
そして、しんのすけが過去と今、未来、果てには宇宙や平行世界、夢の中で出会ってきたたくさんの人たちの顔が浮かんできた。
ほとんど別れてからずっと会っていないけれども、育んできた思い出や彼らの意志は、時を越え、世界を越え、しんのすけの中にたくさんのものを残していった。
286 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 19:55:38.92 ID:1bwQQCIO0
最後にしんのすけとリーリエ、ハウの3人がアローラ地方を冒険している映像が浮かび、そこから枝分かれするように無数にヴィジョンが現れる。
島巡りチャンピオンになって、たくさんのおねいさんに囲まれる未来。
しんのすけとカザマたちポケモン、ハウ、リーリエ、アセロラ、グラジオたちアローラ防衛隊が、アローラ地方を守る未来。
カスカベに帰って、風間たちと再会する未来。
野原一家が集まって、いつものように力を合わせて巨悪を倒す未来。
リーリエ、そしてカザマたちとまだ見ぬ遠い地方を冒険する未来。
映し出される数多の未来。その全てで家族と友達が笑っている。
彼らの存在こそ、しんのすけをしんのすけたらしめている、かけがえのないものなのだから。
ーーお前の未来は、お前のもんだゾ。好きなように生きろ! じゃあな!
ーー思い出した!
しんのすけ「オラ、野原しんのすけ5歳! 趣味は陸に揚げられたヒンバスごっこで、今おねいさんたちにモテモテになるために島巡りチャンピオンになる途中!」
287 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 19:57:33.46 ID:1bwQQCIO0
ロトム図鑑「……やっと思い出したか」
しんのすけ「あれ? ぶりぶりざえもん? ……っていうか、ここどこ? なんか臭っ!」
ロトム図鑑「今のお前は、夢の中にいるようなものだ」
しんのすけ「夢?」
じぇるるっぷ……!
しんのすけが記憶を取り戻したことに感づいたのか、ウツロイドが悪臭に耐えながらこっちに近づいてくる!
しんのすけ「のわっ、なんか来た!」ダッ
288 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 19:58:19.11 ID:1bwQQCIO0
ロトム図鑑「しんのすけ、こっちだ!」
ぶりぶりざえもんに導びかれながら、しんのすけはウツロイドから逃げ出す。向こう側には、目がくらむほどの光が溢れている。
振り返ると、再びしんのすけを暗闇へ引きずり込もうとウツロイドが触手を伸ばしてくる!
しんのすけ「うわわっ、どうしよーこのままじゃ追いつかれちゃうよーっ!」
ロトム図鑑「私のコレクションの中でも秘蔵中の秘蔵! シロナの水着データブラック&ホワイト!」
シロナ(白)「しんのすけ君!」
シロナ(黒)「こっちに来て!」
しんのすけ「うおおーっ! ポ ッ ポ ー ッ ! !」ドドドドッ!!
2人のシロナのイメージを見せられ、サニーゴの頭の珊瑚を鼻先に吊るされたヒドイデの如く猛ダッシュでウツロイドを振り切り、しんのすけとロトム図鑑は光の中へと飛び込んでいった!
289 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 20:01:03.29 ID:1bwQQCIO0
パチッ
しんのすけ「……お?」
目を開けると、自分の顔をひろしとリーリエ、そしてカザマたちが覗いていた。
リーリエ「!」
ひまわり「たいやーーっ!!」
フェローチェ『しん様がお目覚めになられましたわ!』
ジュナイパー『しんのすけっ! 大丈夫か?』
ひろし「しんのすけ……!」ウルッ
しんのすけ「オラ、確か……」
ひろし「しんのすけ……とーちゃんがわかるか?」
しんのすけ「……なんかありきたりの顔」
ひろし「るせーよ! ったく、心配かけやがって、この大バカ野郎!」ギュッ
290 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 20:02:13.78 ID:1bwQQCIO0
ウツロイド「じぇ、じぇるるるっ!」ウェェェ
しんのすけが起き上がると同時に、取り付いていたウツロイドが自然と離れていった。ひろしの悪臭にこりたのか、若干ふらつきながら、ウルトラスペースの空へと消えていってしまった。
しんのすけ「なに、今の?」
フェローチェ『あれがしん様を操っていたビーストですわん』
ロトム図鑑「意識の中でも追っかけられていたのに覚えてないとは……」
しんのすけ「そうだっけ?」
リーリエ「……しんちゃん」
名前を呼ばれて振り返ると、リーリエが潤んだ瞳でこっちを見ていた。目元から透明な雫が何粒も彼女の頬を伝っている。
しんのすけ「おわっ、リーリエちゃん。どしたの? 顔傷だらけで汚れちゃってるよ? 今流行りのコスメティックバイオレンスってヤツ? 大丈夫?」
リーリエ「なにが大丈夫なんですかっ!!」キッ
しんのすけ「うおおっ?」ビクッ
291 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 20:03:33.04 ID:1bwQQCIO0
リーリエは突然感情をむきだしに大声を張り上げて泣き出し、しんのすけは驚いて一瞬のけぞってしまった。
しんのすけがポニの大峡谷でルザミーネにさらわれてから今まで、抑えていたものがリーリエの中で爆発していく。
リーリエ「……っ!」フルフル
リーリエ「わたしなんか庇って……かあさまに操られて……。ホント、みんな大変だったんですよ……?」ポタポタ
しんのすけ「り、リーリエちゃん?」
吹き出てくる激しい気持ちに体を震わせて嗚咽を漏らしながら、言葉を紡ぐ。
とめどなく言葉と涙が滂沱のごとく流れて、しんのすけを濡らす。
ギュゥッ!!
リーリエ「わたし、わたしっ、かあさまと戦ってるとき、ウツロイドさんに操られてるあなたを見て、辛くて、気がおかしくなりそうになったんですから!!」
しんのすけ「えっと……オラがかわいいからつい抱きしめたくなるの分かるけど、ちょっと苦しいし、なんか怖いんだけど……」
リーリエ「もう離さない……ゼッタイにゼッタイに離さない! これからずっと、わたしが守ってあげる! だからっ……!」
リーリエ「勝手に……ひとりで遠くへ行かないで……」
しんのすけ「ほ……ほい」
292 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 20:04:24.93 ID:1bwQQCIO0
復活したしんのすけと、感極まって泣いているリーリエのやり取りを、2人のマザービーストは戦いの手を止めて刮目していた。
みさえ「しんのすけ……よかった……! これで私たち、もとの家族に戻れたのね……!」ウルッ
ルザミーネ「……どうして? しんのすけ君は確かに、わたくしとビーストちゃんの愛情を受けて、新しい息子になったハズなのに!」
ひろし「俺たち家族の絆を舐めるんじゃねえ! 別の世界に連れてかれたって、操られたって、俺たちは心で繋がっているんだ! だから取り戻せた!」
みさえ「あなただってそうよ! どんなにあなたがリーリエちゃんを娘と認めなくても、あの子とあなたは繋がっているのよ!」
みさえの言葉に反応したのか、リーリエはしんのすけから手を離すと、涙を拭いてルザミーネを強い眼差しで見据える。
リーリエ「次は、あなたの目を覚まさせます!」
ルザミーネ「家族の絆ですって? わたくしとビーストちゃんの愛に比べたらそんなもの……!」
ふと、ルザミーネの触手を見ると、いくつものウルトラボールが握られていた。
ルザミーネ「行きなさい! ビーストちゃんたち! この不埒な人たちを、このウルトラスペースから消し去って!」ヒョイッ
293 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 20:07:16.55 ID:1bwQQCIO0
ウツロイド「じぇるるっぷ……!」ポンッ!
マッシブーン「ブンブーン!」ポンッ!
デンジュモク「デンデンッ!」ポンッ!
ひろし「あいつ何匹ビーストを持ってやがるんだ!!」
ウルトラボールから次々とビーストが現れると、しんのすけたちになだれ込むように襲いかかってきた。
その時!
???「マヒナぺーア!」
???「グソクムシャ! であいがしらだ!」
???「エンニュート! かえんほうしゃ!」
しんのすけたちの前に飛び出してきたルナアーラがムーンフォースでマッシブーンを吹き飛ばし、グソクムシャがであいがしらでデンジュモクを弾き、エンニュートがかえんほうしゃでウツロイドを追い払った!
プルメリ「無事かい!?」
リーリエ「ほしぐもちゃん! プルメリさん!」
しんのすけ「くさやのおじさん!」
グズマ「グズマだっつってんだろ!」
ゴスッ!!
煙幕を払いながら現れたみさえは、勝ち誇った笑みを浮かべたルザミーネの頭部に会心の右ストレートをぶち込んだ!
みさえ「オラオラオラオラオラ!!」ドカドカドカドカ!!
ルザミーネ「うあっ! があっ! ああっ!」
みさえ「私だって、もっと美しくなりたい! もっとおいしいもの食べて、高い服着て、イケメンに囲まれたいわよ! 」ドカボカドカボカドカボカッ!!
みさえ「でも、それ以上に家族を愛してるの! そのくらい我慢できなくて何が母親よ!」ガガガガガッ!!
みさえ「ワガママばかりで母親ヅラしてるアンタなんかに、私は負けない!!」ドドドドドド!!
ルザミーネ「ぐ……ッ!」
274 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 19:39:16.95 ID:1bwQQCIO0
そのまま他の触手による拳撃がルザミーネの全身を穿ち、フィニッシュに脳天に向けて拳を振り下ろす!
みさえ「ぅオラッ!」グンッ!
ルザミーネ「ーーッ!」
げ ん
こ つ
ルザミーネ「あ゛あ゛っ!」
ドッゴォォォ
みさえ(やっぱりーーああ、そういうことだったのね)
ルザミーネ「あ……あぐ……ウツロイドとひとつになって、ビーストちゃんの愛を得て強くなったはずなのに! どうして!!」
みさえ「……なんでアンタが私に勝てないか、分からないの?」フワッ
ルザミーネ「勝てないですって……!」
みさえ「教えてあげる。アンタが本当に愛してる人のために、戦ってるわけじゃないからよ」
ルザミーネ「何が言いたいの……!」
275 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 19:40:20.30 ID:1bwQQCIO0
みさえ「表ではビーストを愛してるかもしれないけど、心の奥底では、別の人達を愛してあげたくてたまらないの。あなたの心と体が反発し合ってるから勝てないのよ」
みさえ「だって、さっきからあなたの攻撃、まるで手応えが感じないもの」
ルザミーネ「思い上がりも甚だしいですわ……!」カッ!
ルザミーネが光線を発射してみさえがそれを避けると、再び立ち上がった!
ルザミーネ「アアアゥッ!」ドウッ!
もう一度ルザミーネは無数に枝分かれしたパワージェムを放つと、ひろしたちの近くにあった岩を吹き飛ばし、その欠片がひろしたちにぶつかる!
ドカァァン!
ひろし「あぶねぇ!」
リーリエ「ひゃっ!」
岩の欠片から頭を守る際、無意識に自分の足元を見たその時だった。ひろしの頭の中に、かつてしんのすけが、敵の手に落ちていた自分に言ってくれた言葉を思い出した。
ーーとーちゃんはとーちゃんなんだよ、このニオイわかるでしょ
ひろし「……!」
276 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 19:45:07.24 ID:1bwQQCIO0
ひろし「ーーこれだ! こいつを使えばいいんだ!」
リーリエ「ひろしさん、どうなさったのですか?」
ひろし「思いついたんだ。しんのすけの記憶を取り戻させる手段が!」
リーリエ「本当ですか?!」
ひろし「あぁ! しかも効果も実証済みだ。リーリエちゃんも、しんのすけに呼びかけて手伝ってくれ!」
リーリエ「実証済みの意味がよくわかりませんが……わたしにできることがあるなら、なんでもやります!」
ひろし(しんのすけーー思い出すんだ! お前はこれで、俺が家族と一緒に未来を生きることを思い出させてくれた。だから今度は俺が、お前を正気に戻す番だ!)
277 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 19:47:12.53 ID:1bwQQCIO0
その頃、精神世界ではーー
「逃げ……のすけ! お……!」
じぇるるっぷーー
ウツロイドの触手が、しんのすけの欠片に触れそうになったその時だった。
ムワァァァァ
ウツロイド「じぇるる!!??」
ーーうわっ! 臭っ!
あたり一面に、この世のものとは思えない異臭が漂い始めた。
精神世界が阿鼻叫喚の巷と化す中、バラバラになりかけていたしんのすけの心が集まり、頭痛が走る。
「くっせえ! なんだこのニオイは!?」
ウツロイド「じぇる! じぇるるる!!」ウェッ
ーーう、ううっ……クサすぎて……あったまいったい~!
しんのすけ「ううっ……うっ……!」ガクガク
ひろし「しんのすけ! 思い出すんだ!」ツーーン!
リーリエ「ひ、ひろしさん! 靴の臭いなんて嗅がせてどうするんですか!」
ひろし「他人にゃ分かんねぇかもしれないけど、これは俺たち家族だけが知っている特別な臭いなんだ! しんのすけは、それを心の奥底に刻んでいるはずなんだ!」
リーリエ「えぇ……でも、なんだかすごく苦しそうなんですけど……」
ロトム図鑑「いや、しんのすけの脳波に反応が出ているぞ。これならいけるかもしれないが……その前に私がこのニオイで機能障害を起こすかもしれん……」クラッ
リーリエ「それって、単純に臭いを嫌がってるだけなのでは……」
ひろし「リーリエちゃんもしんのすけに呼びかけるんだ! ほら、ひまわりもシロも、しんのすけに呼びかけろ!」
ひまわり「たいっ! たーやたーや!」
シロ「キャンッ!」
リーリエ「わ、わかりました!」
279 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 19:49:31.17 ID:1bwQQCIO0
その時、リーリエの腰にくっつけていたボールから、カザマたちが飛び出した!
ポンポンポンポンッ!
ジュナイパー「ホーッ!」
ヨワシ「ヨワッ!」
キテルグマ「クーッ!」
ミミッキュ「ボッ!」
フェローチェ「フェロッ!」
リーリエ「カザマさん……! みなさんも、わかっているのですね。みんなでしんちゃんを呼びましょう!」
ジュナイパー「ホー!」
ロトム図鑑「私もしんのすけが喜びそうな美女トレーナーのデータを脳内に直接送り込んでみよう」
ひろし「あ、あのなぁ……」
280 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 19:50:36.10 ID:1bwQQCIO0
ーーぬぅっ……ううっ……オラ、オラって誰? なんでオラってここにいるの?
ーーしんのすけ!
ーーしんちゃん!
ーーたーやっ!
ーーキャンッ!
悪臭にむせていると知らないはずなのに、知っている気がする誰かの声がしんのすけに語りかけてきた。
ーー……しんのすけ? しんのすけって誰だっけ? そんなウルトラスーパーゴージャスな名前の人……オラ、知ってる気がする……!
ーーしんのすけ!
ーーしんちゃん!
ーーしんちゃん!
ーーしんちゃん!
ーーしん様!
たくさんの人たちの声が聞こえてくる。しかし、なにかが障害となって記憶を引き出せない。
ーーダメだっ、思い出せない~なんだっけなんだっけぇっ
281 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 19:51:46.64 ID:1bwQQCIO0
「やれやれ、これだけやってまだ思い出せないとは。じゃあこれならどうだ!」
エリカ「しんのすけさん!」
フウロ「しんちゃん!」
アスナ「しんのすけ君!」
マーシュ「しんのすけはん!」
ライチ「しんのすけ!」
ビッケ「しんのすけさん!」
ーーうっひょおおーーっ! なんか色々思い出してきたような気がする~!
ーーそうだ、オラはたしかおねいさんにモテモテになるために生きてるんだっけ!
ーーそれに……このニオイ、知ってる。なんだっけ……
282 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 19:52:27.04 ID:1bwQQCIO0
すると、霧が晴れていくようにある光景がしんのすけの目の前に現れた。
最初に見えたのは、靴下だった。
顔を上げると、靴下の持ち主の顔がーーひろしのからかうような笑顔を浮かべた顔が見えた。
ひろし「お前ってやつは、さすが俺の息子だ!」
ーーとーちゃん
移り変わると、次はしんのすけを必死に揺り起こしたり、必死にママチャリを漕いで幼稚園に連れて行こうとする必死な表情、そしてみさえの顔が蘇る。
みさえ「アンタは、ダメな子なんかじゃない」
ーーかーちゃん
いたずらをしてしんのすけを振り回すひまわりと、散歩の時のんびりとしんのすけについて行くシロ。
ひまわり「たいっ!」
シロ「アンッ!」
ーーひまわりに、シロ
283 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 19:53:03.37 ID:1bwQQCIO0
カスカベにいた頃、いつも通っていた公園やよしなが先生の家に集まっていた4人の友達とひとりの変わった友達、風間、マサオ、ネネ、ボーちゃん、あいがしんのすけに合わせるように掛け声を出す。
「カスカベ防衛隊っ! ファイヤーーッ!!」
ーーカスカベ防衛隊のみんな
その風間たちの姿が、ジュナイパー、ヨワシ、キテルグマ、ミミッキュ、フェローチェの姿になった。再び掛け声を出す。
「アローラ防衛隊っ! ファイヤーーッ!!」
ーーアローラのカザマくん、マサオくん、ネネちゃん、ボーちゃん、あいちゃん
頼りになるのかどうかもわからないけれども、しんのすけとの間に確かな繋がりを感じるロトム図鑑……もといぶりぶりざえもん。
ロトム図鑑「図鑑の使用料百億万円、ローンまたはクレジットでも可」
ーーぶりぶりざえもん
284 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 19:53:42.78 ID:1bwQQCIO0
アローラに来て初めてできた最初の友達で、しんのすけと供に島巡りに出たマラサダ好きの少年、ハウ。
ハウ「おれー? おれねーハウ! しまキングの孫! でねーニャビーがパートナーなのー」
ーーハウくん
メレメレの吊り橋で出会ってから、方向音痴ですぐトラブルを起こすから、なんだか心配で世話を焼いていたら、いつの間にか自分の妹とも友達とも言える存在になった少女、リーリエ。
リーリエ「わたし……しんちゃんのように、どんな試練にも立ち向かえるようになりたいのです!」
ーーリーリエちゃん
285 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 19:54:26.01 ID:1bwQQCIO0
そして、しんのすけが過去と今、未来、果てには宇宙や平行世界、夢の中で出会ってきたたくさんの人たちの顔が浮かんできた。
ほとんど別れてからずっと会っていないけれども、育んできた思い出や彼らの意志は、時を越え、世界を越え、しんのすけの中にたくさんのものを残していった。
286 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 19:55:38.92 ID:1bwQQCIO0
最後にしんのすけとリーリエ、ハウの3人がアローラ地方を冒険している映像が浮かび、そこから枝分かれするように無数にヴィジョンが現れる。
島巡りチャンピオンになって、たくさんのおねいさんに囲まれる未来。
しんのすけとカザマたちポケモン、ハウ、リーリエ、アセロラ、グラジオたちアローラ防衛隊が、アローラ地方を守る未来。
カスカベに帰って、風間たちと再会する未来。
野原一家が集まって、いつものように力を合わせて巨悪を倒す未来。
リーリエ、そしてカザマたちとまだ見ぬ遠い地方を冒険する未来。
映し出される数多の未来。その全てで家族と友達が笑っている。
彼らの存在こそ、しんのすけをしんのすけたらしめている、かけがえのないものなのだから。
ーーお前の未来は、お前のもんだゾ。好きなように生きろ! じゃあな!
ーー思い出した!
しんのすけ「オラ、野原しんのすけ5歳! 趣味は陸に揚げられたヒンバスごっこで、今おねいさんたちにモテモテになるために島巡りチャンピオンになる途中!」
287 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 19:57:33.46 ID:1bwQQCIO0
ロトム図鑑「……やっと思い出したか」
しんのすけ「あれ? ぶりぶりざえもん? ……っていうか、ここどこ? なんか臭っ!」
ロトム図鑑「今のお前は、夢の中にいるようなものだ」
しんのすけ「夢?」
じぇるるっぷ……!
しんのすけが記憶を取り戻したことに感づいたのか、ウツロイドが悪臭に耐えながらこっちに近づいてくる!
しんのすけ「のわっ、なんか来た!」ダッ
288 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 19:58:19.11 ID:1bwQQCIO0
ロトム図鑑「しんのすけ、こっちだ!」
ぶりぶりざえもんに導びかれながら、しんのすけはウツロイドから逃げ出す。向こう側には、目がくらむほどの光が溢れている。
振り返ると、再びしんのすけを暗闇へ引きずり込もうとウツロイドが触手を伸ばしてくる!
しんのすけ「うわわっ、どうしよーこのままじゃ追いつかれちゃうよーっ!」
ロトム図鑑「私のコレクションの中でも秘蔵中の秘蔵! シロナの水着データブラック&ホワイト!」
シロナ(白)「しんのすけ君!」
シロナ(黒)「こっちに来て!」
しんのすけ「うおおーっ! ポ ッ ポ ー ッ ! !」ドドドドッ!!
2人のシロナのイメージを見せられ、サニーゴの頭の珊瑚を鼻先に吊るされたヒドイデの如く猛ダッシュでウツロイドを振り切り、しんのすけとロトム図鑑は光の中へと飛び込んでいった!
289 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 20:01:03.29 ID:1bwQQCIO0
パチッ
しんのすけ「……お?」
目を開けると、自分の顔をひろしとリーリエ、そしてカザマたちが覗いていた。
リーリエ「!」
ひまわり「たいやーーっ!!」
フェローチェ『しん様がお目覚めになられましたわ!』
ジュナイパー『しんのすけっ! 大丈夫か?』
ひろし「しんのすけ……!」ウルッ
しんのすけ「オラ、確か……」
ひろし「しんのすけ……とーちゃんがわかるか?」
しんのすけ「……なんかありきたりの顔」
ひろし「るせーよ! ったく、心配かけやがって、この大バカ野郎!」ギュッ
290 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 20:02:13.78 ID:1bwQQCIO0
ウツロイド「じぇ、じぇるるるっ!」ウェェェ
しんのすけが起き上がると同時に、取り付いていたウツロイドが自然と離れていった。ひろしの悪臭にこりたのか、若干ふらつきながら、ウルトラスペースの空へと消えていってしまった。
しんのすけ「なに、今の?」
フェローチェ『あれがしん様を操っていたビーストですわん』
ロトム図鑑「意識の中でも追っかけられていたのに覚えてないとは……」
しんのすけ「そうだっけ?」
リーリエ「……しんちゃん」
名前を呼ばれて振り返ると、リーリエが潤んだ瞳でこっちを見ていた。目元から透明な雫が何粒も彼女の頬を伝っている。
しんのすけ「おわっ、リーリエちゃん。どしたの? 顔傷だらけで汚れちゃってるよ? 今流行りのコスメティックバイオレンスってヤツ? 大丈夫?」
リーリエ「なにが大丈夫なんですかっ!!」キッ
しんのすけ「うおおっ?」ビクッ
291 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 20:03:33.04 ID:1bwQQCIO0
リーリエは突然感情をむきだしに大声を張り上げて泣き出し、しんのすけは驚いて一瞬のけぞってしまった。
しんのすけがポニの大峡谷でルザミーネにさらわれてから今まで、抑えていたものがリーリエの中で爆発していく。
リーリエ「……っ!」フルフル
リーリエ「わたしなんか庇って……かあさまに操られて……。ホント、みんな大変だったんですよ……?」ポタポタ
しんのすけ「り、リーリエちゃん?」
吹き出てくる激しい気持ちに体を震わせて嗚咽を漏らしながら、言葉を紡ぐ。
とめどなく言葉と涙が滂沱のごとく流れて、しんのすけを濡らす。
ギュゥッ!!
リーリエ「わたし、わたしっ、かあさまと戦ってるとき、ウツロイドさんに操られてるあなたを見て、辛くて、気がおかしくなりそうになったんですから!!」
しんのすけ「えっと……オラがかわいいからつい抱きしめたくなるの分かるけど、ちょっと苦しいし、なんか怖いんだけど……」
リーリエ「もう離さない……ゼッタイにゼッタイに離さない! これからずっと、わたしが守ってあげる! だからっ……!」
リーリエ「勝手に……ひとりで遠くへ行かないで……」
しんのすけ「ほ……ほい」
292 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/17(土) 20:04:24.93 ID:1bwQQCIO0
復活したしんのすけと、感極まって泣いているリーリエのやり取りを、2人のマザービーストは戦いの手を止めて刮目していた。
みさえ「しんのすけ……よかった……! これで私たち、もとの家族に戻れたのね……!」ウルッ
ルザミーネ「……どうして? しんのすけ君は確かに、わたくしとビーストちゃんの愛情を受けて、新しい息子になったハズなのに!」
ひろし「俺たち家族の絆を舐めるんじゃねえ! 別の世界に連れてかれたって、操られたって、俺たちは心で繋がっているんだ! だから取り戻せた!」
みさえ「あなただってそうよ! どんなにあなたがリーリエちゃんを娘と認めなくても、あの子とあなたは繋がっているのよ!」
みさえの言葉に反応したのか、リーリエはしんのすけから手を離すと、涙を拭いてルザミーネを強い眼差しで見据える。
リーリエ「次は、あなたの目を覚まさせます!」
ルザミーネ「家族の絆ですって? わたくしとビーストちゃんの愛に比べたらそんなもの……!」
ふと、ルザミーネの触手を見ると、いくつものウルトラボールが握られていた。
ルザミーネ「行きなさい! ビーストちゃんたち! この不埒な人たちを、このウルトラスペースから消し去って!」ヒョイッ
ウツロイド「じぇるるっぷ……!」ポンッ!
マッシブーン「ブンブーン!」ポンッ!
デンジュモク「デンデンッ!」ポンッ!
ひろし「あいつ何匹ビーストを持ってやがるんだ!!」
ウルトラボールから次々とビーストが現れると、しんのすけたちになだれ込むように襲いかかってきた。
その時!
???「マヒナぺーア!」
???「グソクムシャ! であいがしらだ!」
???「エンニュート! かえんほうしゃ!」
しんのすけたちの前に飛び出してきたルナアーラがムーンフォースでマッシブーンを吹き飛ばし、グソクムシャがであいがしらでデンジュモクを弾き、エンニュートがかえんほうしゃでウツロイドを追い払った!
プルメリ「無事かい!?」
リーリエ「ほしぐもちゃん! プルメリさん!」
しんのすけ「くさやのおじさん!」
グズマ「グズマだっつってんだろ!」
しんのすけ「アローラ地方を冒険するゾ」
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