キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」 かぐや姫とオズの魔法使い編
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155 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/04(水)00:23:41 ID:Jyu
ティンカーベル「ラプンツェルはお腹を七星剣で切られちゃったでしょ?その傷は桃太郎が治癒してくれたから怪我は大丈夫なんだけど…剣に魔法の力が込められたんだって!」
グレーテル「魔法の力……どんなのかな……」
ティンカーベル「でね、魔法使いに見て貰ったらね、七星剣には切った相手の魔力を弱くする魔法が込められてたんだって!」
司書「七星剣は【西遊記】に登場する魔法具、天界の仙人が作り出した物だから…もしかしたら妖怪や怪物を相手にすることを想定して魔力や妖術を弱体化させる効果を添えていたのかも」
ティンカーベル「うんうん、魔法使いも同じような事言ってたよ!きっと悪い妖怪や妖術使いに対抗する為に作ったんだろうって!」
キモオタ「ラプンツェル殿の長い髪の毛はあれ魔力の影響によるものでござるから、故に魔力を弱体化させる七星剣はラプンツェル殿の身体に影響を及ぼしたんでござるな」
ヘンゼル「ああ、だから髪の毛を切ったってことなんだね」
ティンカーベル「そうだよ!ラプンツェルが元々ああいう性格だから何かあったら危ないからもういっそのこと切っておきなさいって魔法使いに言われてた!」
キモオタ「まぁ何をするかわからない娘でござるからなwwwで、魔力が弱まってるから髪の毛を切っても伸びてこなくなったとwww」
司書「でも、ラプンツェルさんと言ったらあの長い髪の毛なのにもう短いままだと思うと、少しさみしいね」
ティンカーベル「大丈夫だよ!魔法使いが今、他のおとぎ話の魔女にお願いしてラプンツェルに掛けられた魔法を打ち消す薬を作ってもらうんだって!確か、『猛毒の魔女』って言ってた、どこのおとぎ話かは聞くの忘れちゃったけど」
キモオタ「素直にゴーテル殿に頼めば早い話に思えるでござるがwwwあの親子は娘想いが過ぎるのか母親想いが過ぎるのかわかりませんなwww」
司書「お互いに心配し合って気づかいしあえるのは素敵な家族の証拠ですよ」ウフフ
ティンカーベル「だねっ!でも魔法使いは世界移動できないから赤ずきんに頼むって言ってた、薬ができるまではラプンツェルは【アラビアンナイト】でお世話になるって!だから心配しなくても大丈夫だよ、グレーテル!」ニコニコ
グレーテル「そっか……心配しなくていいなら安心……よかった……」
156 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/04(水)00:27:17 ID:Jyu
キモオタ「とりあえずラプンツェル殿は一安心という事ですなwww良かったですな、グレーテル殿www」
グレーテル「うん、良かった……。お話の途中に割り込んじゃってごめんね……お千代ちゃんとキモオタお兄ちゃんのおはなし……続けて良いよ……」
司書「あっ、そうでしたね。えっと、お話するよりも読んで貰った方が早いと思って今日は【浦島太郎】の絵本を持って来たんです」ゴソゴソ
スッ
キモオタ「ほう、これがアリス殿が登場しているという【浦島太郎】でござるか…」
ティンカーベル「キモオタ!早く読んでみようよ、私もこのおとぎ話読んだこと無いから内容も知らないし」
キモオタ「そうですな、では…」ペラペラ
ヘンゼル「僕達も元々の【浦島太郎】は知ってるけど、アリスが登場してるなんて知らなかったよ」
司書「現実世界の絵本はどこの出版社のものも有巣という女の子が登場しているの。きっとどこかでおとぎ話の内容が少し変わったのね」
グレーテル「元々のおとぎ話……【浦島太郎】って……どんなおはなしだったかな……?」
司書「猟師の浦島太郎が浜辺でいじめられているカメを助けるの。するとそのカメは浦島さんを竜宮城に招待しますと言って海の中に潜るのね」
司書「竜宮城ではとても美しい乙姫様が歓迎してくれて、浦島さんはカメを助けたお礼とは思えないほど幸せな想いをするの。それでしばらく竜宮城に居ついちゃうの」
司書「でもある時帰ろうと思い立って、陸に帰ると知らない間に何百年もの長い年月が過ぎていてだれも浦島さんの事を知らない。家族も友達ももうずっと昔に亡くなってる」
司書「絶望した浦島さんは乙姫に絶対に開けてはいけないと言われていたお土産の玉手箱を開けるの、するとなかから煙が出て来てそれを浴びた浦島さんは老人になってしまう…というお話ね」
グレーテル「…うん、思い出したよ……その内容のお話は、ずっと前に読んだよ……浦島さん可哀そうだって思ったの……」
ヘンゼル「僕は乙姫に腹が立ったけどね。恩をあだで返すってこの事でしょ、なんで親切にした浦島が損するのか理解できない。そんなおとぎ話を作った奴はどうかしてる」
司書「ヘンゼル。きっとこのおとぎ話だって作られた理由があるんだよ、それに乙姫さんにも何か事情があったのかもしれないんだから悪く言っちゃダメだよ」
157 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/04(水)00:31:48 ID:Jyu
・・・
ティンカーベル「もぉーっ!なんなのこの乙姫っていう奴!こんな後味悪いおとぎ話無いよ!」
キモオタ「まったくですなwww親切にしてくれた浦島殿を絶望にたたき落とすとは、とんだ悪女が居たもんですぞwww」コポォ
ヘンゼル「ほら、やっぱり一般的な感想はこうなるよ。乙姫のしたことを考えれば当然でしょ」
司書「…ま、まぁ、感想は人それぞれだから…」
キモオタ「しかし、読み終わったでござるがアリス殿…いや、有巣殿は特に何かしたわけではないのでござるな、おとぎ話の中で」
ティンカーベル「だよね。浦島太郎と冒頭で知り合って、一緒に竜宮城に行って、帰って…ずっと浦島太郎と一緒にいるけど別に何かしたわけじゃないね」
司書「そうなんです。有巣さんはただそこにいるだけ…絵本や本ではアリスさんと浦島さんの間に何があったかまではわかりません」
キモオタ「でもこうして絵本が存在するという事は【浦島太郎】は存在しているわけですな。我輩が旅したおとぎ話の絵本に『キモータ』が登場しているように、きっと有巣殿も【浦島太郎】の世界に居たのでござろうけど…」
ヘンゼル「今となってはそれを知る事も出来ないだろうね、きっとその世界ではもう浦島太郎は死んでる。乙姫が悪人だとすれば竜宮城に行く術もないだろうし」
司書「なんだか、中途半端な情報ですいません。アリスさんを止める為の決定的な情報になればよかったんですけど、私にわかるのはここまでです」
キモオタ「いやいやwwwこの情報も十分有益なものでござるよ司書殿www」
キモオタ「おとぎ話を消しているアリス殿がこのおとぎ話を消さなかった理由…想像もつかないでござるが、確実に何か理由があるでござる。やはりというか、アリス殿には悪事を行う理由があるのでござる」
ティンカーベル「でもさ、どんな理由があってもやって良い事と駄目な事があるでしょ?アリスのやってるのは駄目な事の方だよ!」
キモオタ「まぁそうでござるけど…とにかくアリス殿と【浦島太郎】の関連についてはもう少し考えて見るとして……デザートも食べ終えた事でござるし、そろそろ出るでござるかwww」
司書「そうですね、少しお店の中も混んできましたから。帰りましょうか」スッ
158 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/04(水)00:34:33 ID:Jyu
現実世界 サイゼリヤの前
司書「キモオタさん、すいません。今日はごちそうになってしまって…本当はこちらがお礼をしないといけないくらいなのに」ペコッ
キモオタ「なんのなんのwwwアリス殿の情報を教えてもらったお礼でござるよwww」
ティンカーベル「司書さん!ヘンゼルとグレーテルもまた一緒にご飯食べようね!」
ヘンゼル「まぁ、たまにはね」
グレーテル「うん……私も楽しかったの……また行こうね、ティンクちゃん……」
司書「うん、またねティンクちゃん。では私達はここで」
キモオタ「そうでござるかwwwまぁそんなにはなれていないからへいきでござるかwwwではお気を付けてwww」
ヘンゼル「……ねぇ、キモオタお兄さん」
キモオタ「なんでござるかなwww」
ヘンゼル「さっき食事の時、アリスがどんな魔法具を持っているか教えてくれたけど……あれは全て本当の事なの?」
キモオタ「ちょwww当然でござるよwww嘘をつく意味もメリットもないでござるしwww」
ヘンゼル「そっか…数え切れないほどの魔法具、時を止める力、世界移動もできるしいろんな世界の住人を捕えることもできるほどの力……アリスならそれを持ってる」
ヘンゼル「アリスと同じくらい強い力を手に入れたら、僕も……妹達を護れる」ボソッ
159 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/04(水)00:38:23 ID:Jyu
キモオタ「ヘンゼル殿…?」
ヘンゼル「……いいや、何でもないよ。じゃあね、キモオタお兄さん」
キモオタ(ヘンゼル殿…先ほどもグレーテル殿や司書殿を護れないと嘆いていましたな。昨日の戦いで何もできなかったと思っているようでござるが……)
キモオタ(しかし、どういうことでござるか?その事を気に病んでいるとはいえ、アリス殿と同じくらい強い力を手に入れたら守れるかなんて言い出すなど……)
キモオタ(……も、もしや!ヘンゼル殿、二人を護る力を手に入れる為にアリス殿と手を組もうなどと考えているのでは……っ!?)
ティンカーベル「ねぇねぇキモオタ、なにぼーっとしてるの?司書さん達も行っちゃったし私達も帰ろうy…あれ?キモオタ?」
ドスドスドス
キモオタ「うおおぉぉぉっ!ヘンゼル殿ぉぉぉっ!!!」ズサァァァー
司書・グレーテル「……っ」ビクッ
ヘンゼル「何なの…?全力で滑り込んでくるくらい急ぐ用事でもあったの?というか人が見てるから早く起き上がって欲しいんだけど」
キモオタ「ゼェゼェ……ヘンゼル殿……!」スクッ
ヘンゼル「だから何?僕に用事があるんでしょ、何だか知らないけど早く言ってよ」
キモオタ「お主、二人を護る事が出来る力が欲しいのでござるよね……?」ゼェゼェ
ヘンゼル「……うん。欲しいよ。それで、何?キモオタお兄さんにどうこうできることじゃないでしょ」
キモオタ「確かに、我輩にはどうにもできませんぞ。体力もなければ魔力も持ってないでござる……でも、我輩には仲間が居るでござる」
キモオタ「魔法の事ならば変化の術に長けた魔法使いを、植物の扱いに長けた魔女を…我輩は知っているでござる!体力の事ならば…身体を鍛えることでは右に出る者が居ない程の王を我輩は知っているでござる!その者に協力を仰ぐでござるよ…!」
キモオタ「まずは我輩と共にその王の元で、更なる力を手に入れるのでござる…!そうすれば妹殿達を護れますぞ、ヘンゼル殿…!」
160 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/04(水)00:39:59 ID:Jyu
◆おしまい
今日はここまでです。七星剣に込められた魔法の設定はこのss独自のものです
ここまでに出たおとぎ話紹介
【泣いた赤鬼】
日本では泣けるおとぎ話として知名度が高いとされる、敵役としての登場が多い鬼を主人公とした作品
周囲から恐れられているけれど本当は人間と仲良くなりたい赤鬼と親友の為に一芝居打つ青鬼の友情を描いたおとぎ話。詳しくは二冊目参照。
時代背景や鬼の存在から日本昔話である印象が強いが、民間伝承や古典文学が出典ではなくわりと近代の創作童話。
このssでは赤ずきんと空気の精霊となった人魚姫、己の中に住まう鬼神と旅を続けています。
生来のもてなし好きもあって旅先々でその土地でのお茶の文化に触れる事が密かな楽しみ。最近は紅茶を淹れる事にも人間が飲めるお茶の温度にも慣れてきた。
空気の精霊になった人魚姫は飲食する事が出来ないので、せめて香りだけでもと最近はお香やアロマの類にも手を出している
最近の悩みは、自分好みのお茶の温度にすると紅茶葉がぐっずぐずになってしまう事。
それと寝相の悪さを改善する為眠ってる間動かないように毛布にくるまって眠る事にした赤ずきんが、結局毛布ごとベットから落ちている事。
かぐや姫とオズの魔法使い編 次回に続きます
162 :名無しさん@おーぷん :2015/11/04(水)11:16:02 ID:lCi
乙です!
キモオタ、ナイス!!
これを受けてヘンゼルがどうするかですね…。
あと、赤ずきん可愛い(笑)
続き楽しみです
続き待ってます!!
163 :名無しさん@おーぷん :2015/11/04(水)11:29:00 ID:Bi5
乙乙!!
これは裸王様登場か!楽しみだ!
164 :名無しさん@おーぷん :2015/11/04(水)14:09:11 ID:DSt
乙!
ヘンゼルは今、アリスか、キモオタと仲間たち、のどちらの方にも転ぶことができる
本人は悩ましいだろうなあ、キモオタの方にいけばいいなあ
197 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/12(木)23:51:52 ID:vsp
現実世界 サイゼリアの前
キモオタ「裸王殿の元で鍛錬を積めばヘンゼル殿も必ず強くなれるでござる!お主の望みである妹殿達を護る為の力だって手に入るでござるよ…!だから…」
ヘンゼル「あぁ…もう、待って。ちょっと待ってよキモオタお兄さん…なんで二人の前で言っちゃうかな…」
グレーテル「……お兄ちゃん……やっぱりその事悩んでたんだ……そんな事気にしなくたっていいのに……」
司書「うん、ヘンゼルの気持ちは嬉しいけどその為に危ない事したりするのは……私達としては心配だよ、ね?グレーテル」
グレーテル「うん……私達は兄妹だから、助けあうの……お兄ちゃんだけが頑張る必要なんか、無いんだよ……?」
司書「そうだよ、ヘンゼルだけ悩まなくったっていいんだよ。私達、兄妹でしょ?一人だけ無理しなきゃいけないなんておかしいよ」
ヘンゼル「…いや、違う違う、そうじゃないんだ。ちょっと待って、二人とも誤解してるよ」
グレーテル「……誤解?」
ヘンゼル「キモオタお兄さんが話を大げさにしてるだけなんだよ、僕が欲しい力っていうのは……そもそも僕が欲しいのは『力』なんて大仰なものじゃないんだ」
ヘンゼル「ほら、三人の中じゃ僕が唯一の男でしょ?何かと物騒な現実世界じゃさ、不審者とかストーカーとか女の子を狙った犯罪も多いって聞くじゃないか」
ヘンゼル「だから僕が格闘技とか護身術とか覚えてさ…日常に潜む危険から二人を護るための手段が欲しいっていうだけの話なんだ。別にアリスやドロシーに立ち向かうほどの強力な力を欲してるわけじゃないんだよ」
グレーテル「そっか、そうなんだ……私、アリス達と戦えるくらい強くなりたいのかと思ってた……。すごく危ない事するって思った……そうじゃないなら、安心……」
キモオタ「いや、ヘンゼルd」
ヘンゼル「そうだよね?キモオタお兄さん…?だから僕に身体を鍛えるよう提案してくれたんだ」
キモオタ「……」
ヘンゼル「そういう事だから安心してよ、僕は少しキモオタお兄さんと話をしてから帰るから二人は先に帰っててくれる?早くその辺の不審者には勝てるくらいには強くなりたいしさ」
198 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/12(木)23:54:20 ID:vsp
グレーテル「わかった、無理しちゃだめだよ……?」
司書「ヘンゼルがそうしたいなら止めないけど、あまり無理しないようにね。それにもう遅いんだからあまり長居しちゃダメだよ?キモオタさんにも迷惑が掛かっちゃうから」
ヘンゼル「そんなに言わなくても子供じゃないんだから平気だよ。二人こそ、ちゃんと大通りの明るい道を帰るようにね」
グレーテル「……うん、じゃあ先に帰ってるね……」
司書「それじゃあすいませんキモオタさん。ヘンゼルの事、お願いします」ペコッ
キモオタ「あっ…わ、わかったでござる。お任せあれwww」
スタスタスタ
ヘンゼル「……まったく、誤魔化すのも一苦労だよ。なんで二人の前であんな話をしたの?」
ティンカーベル「誤魔化す…?あっ!もしかしてヘンゼルの今の話、嘘だったの!?」
ヘンゼル「そうだよ。単なる不審者くらいなら魔力でねじ伏せられるんだから」
ティンカーベル「そっか…!良く考えたら魔力持ってるんだからそれくらい余裕じゃん!二人を騙すなんてひどいよ!」プンス
キモオタ「ヘンゼル殿……何故あのような嘘を?お主が欲しているのは、不審者を倒すなんて生易しいものじゃない筈でござる。アリス殿達の脅威からグレーテル殿達を護る為のもっと強力な力のはず…」
ヘンゼル「それをそのまま二人に言えば余計な心配を増やす事になるからね」
キモオタ「しかし、二人も言っていたでござろう。お主だけが頑張る必要は無いと…」
ヘンゼル「僕が頑張らなかったら誰が頑張るの?この世界にはパパさんはもちろん女王だって居ない…強い魔法を使えば暴走するグレーテルと普通の女性のお千代が戦えると思う?」
ヘンゼル「妹達は戦えるわけないんだ、だったら僕が戦う。僕が頑張る必要があるんだ、二人を護れるのは僕だけだ、兄だからね」
199 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/12(木)23:57:09 ID:vsp
キモオタ「それはそうかも知れんでござるが…」
ヘンゼル「さっきの行動はうっかり過ぎるけど、これはキモオタお兄さんの純粋な善意だろうから…二人の前であんな話をした事を責めたりはしないよ」
ヘンゼル「……でも僕はキモオタお兄さんの仲間の世話にはならない。だから裸王って人の元にもいかない」
キモオタ「な、何故でござるかヘンゼル殿!魔法使い殿もゴーテル殿も裸王殿も善人ばかりでござる!必ずお主が強くなる為に協力してくれるでござるよ!?」
キモオタ「二人とも強力な魔力を持った魔女ですぞ、ヘンゼル殿の魔力を生かす方法を教えてくれるでござろうし…それに裸王殿にかかればたちまちムキムキになれるでござる!お主の望む力を手に入れるにはぴったりの…」
ヘンゼル「あのね…お兄さんにとっては信頼できる仲間かもしれないけど、僕にとっては赤の他人なんだ。信用しろなんていう方が無茶な話なんだよ、キモオタお兄さん」
ヘンゼル「それに【シンデレラ】の魔法使いもラプンツェルの母親も…僕にとっては素性の知れない魔女でしかない。僕達が魔女に何をされたか忘れた?」
キモオタ「…いや、覚えてますぞ。悪かったでござる、少々軽率な提案でござった」
ヘンゼル「お兄さんのことだから魔女の名を出した事に悪意が無い事くらいはまぁ、解るよ」
ヘンゼル「それに女王がそうであるように善人の魔女も居る事は理解している。けど…それでも、軽々に魔女を信用するなんて考えはとてもじゃないけどできないんだ」
キモオタ「な、ならば…さっき言ったように裸王殿の元で身体を鍛えるでござるよ!裸王殿にかかれば短期間で細マッチョも夢では無いですぞ…!」
ヘンゼル「危険なんてのは急に襲いかかってくるのに、悠長に身体を鍛えている暇なんか無いでしょ。それに、僕には他に頼るあてがあるんだ」
ヘンゼル「だから、キモオタお兄さんとは一緒にはいかない。…僕はお兄さんとは別の方法で強くなる」
ヘンゼル「昨日ね…アリスに仲間になって欲しいと言われたんだ、手を貸せば僕に協力してくれるともね。僕は妹を護れる立派なお兄ちゃんになれる…今度こそ、ね」
200 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/12(木)23:59:13 ID:vsp
キモオタ「やはり思った通りでござるなヘンゼル殿…!」
ティンカーベル「はっ!?アリスに仲間になって欲しいって言われたって…!ちょ、ちょっと待ってよ!それじゃヘンゼルはアリスに味方するって事!?」
ヘンゼル「君達にアリスの強さを聞いて…今じゃそう考えてる。言うつもりは無かったけど、黙っていてもいずれは解る事だしね」
ティンカーベル「駄目だよ!アリスの仲間になるってどういう事かわかってるの!?私達とアリスはもう自分達の事情だけで戦ってるわけじゃないんだよ!?」
ティンカーベル「アリスはおとぎ話を消し過ぎてる!だからいろんな世界のたくさんの人からも恨まれてるし嫌われてるんだよ?アリスの仲間になるって事はそういう人たちも敵にしちゃうって事なんだよ!?」
ティンカーベル「それにそれだけじゃないよ…!雪の女王や司書さんやグレーテルや…私たちとも敵同士になっちゃうんだよ?せっかく友達になれると思ったのに…ヘンゼルはそれでもいいの!?」
キモオタ「ちょ、ティンカーベル殿。気持ちはわかるでござるが落ち着いて話をするでござるよ、怒鳴っても解決するわけでは無いですぞ」
ティンカーベル「冷静になんかなれるわけ無いしなっちゃダメなんだよ!今は怒鳴ってでも喚いてでも何してでもヘンゼルを止めないと大変な事になるんだよ!キモオタはそれがわかんないの!?」
キモオタ「わかってるでござるよ、ならばなおさら感情的になっては駄目でござろう。ヘンゼル殿だって考え無しに決断したわけで無いと思いますぞ、まずはそれを聞かねばなりませんぞ」
ティンカーベル「わかった…ヘンゼル、なんでなの?なんでそんな決断しちゃったの?」
ヘンゼル「難しい理由なんか無いよ。僕がアリスの仲間になれば魔法具を譲って貰える、そうすれば僕はずっと強くなれるし二人は今以上に安全に暮らせる」
ヘンゼル「それに、僕が仲間になる条件として『あの二人に絶対危害を加えない事』をアリスに飲ませれば、二人はアリスの脅威からは解放される。その条件を飲まない理由がアリスには無いからね」
キモオタ「お主がアリス殿に手を貸す事で二人を護る…あの二人がそれを望んでいると思うのでござるか?」
ヘンゼル「思わないよ。でも、僕は二人を護る力を手に入れられるし、少なくとも二人はアリス側の攻撃や策略で傷付く事はなくなるんだ」
201 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/13(金)00:03:05 ID:mk2
キモオタ「例え安全に暮らせたとしても、ヘンゼル殿が悪事に手を染めたとなると二人とも悲しむと思うのでござるが…それでもいいと?」
ヘンゼル「僕がやらなきゃ二人を護れないんだ、少しは悲しい思いをするかもしれないけど仕方がない事だよ…身の安全には変えられないんだから」
キモオタ「ならば…二人を護る為なら、別の世界を消滅させる事も殺しに手を染める事も厭わないと?アリス殿の仲間になるとはそういう事でござるぞ?」
ヘンゼル「二人を護る事がお兄ちゃんである僕のすべきことだ。その為なら殺しでも何でもする」
キモオタ「……ヘンゼル殿、それは本心でござるか?」
ヘンゼル「……当然でしょ、僕は本気だ」
ティンカーベル「つまりヘンゼルはグレーテルと司書さんの安全のために、アリスの仲間になるっていう決断をした……そういう事?」
ヘンゼル「そうだよ。今のままの僕じゃあ妹達を護ることなんか出来ない、だから力が欲しい…二人を救うための力、魔法具が欲しいんだ」
ティンカーベル「うー…ヘンゼルが二人の事大好きなのは聞いてるし護りたいっていうのも強くなりたいのもわかるよ?でもだからってアリスの味方するのは絶対おかしいよ!」
ティンカーベル「キモオタも言ってたけど、あいつの仲間になるって事は関係ない人をたくさん殺さなきゃいけないんだよ?そんな事しちゃダメだよ!絶対ダメ!」
ヘンゼル「……仕方が無いでしょ、二人を護るためだ。そのためなら僕は悪事でも何でもする」
キモオタ「なるほど、それがヘンゼル殿の答えでござるか」
ティンカーベル「キモオタ…?」
キモオタ「ヘンゼル殿の考えは良くわかったでござる。我々がこれ以上引きとめても無駄でござるよティンカーベル殿、もう好きにさせるでござるwww我々は帰って夜食でもつつくでござるよwww」
202 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/13(金)00:05:18 ID:mk2
キモオタ「さて解散しますかなwwwヘンゼル殿、もう夜も遅いでござるから気を付けて帰るでござるよwww」
ヘンゼル「…そうだね、気を付けて帰るよ。それじゃあ」スッ
ティンカーベル「キモオタ!?なんで諦めちゃうの?ヘンゼルはちょっと追いつめられてちゃんと考えられなくなってるだけだよ!このままじゃヘンゼルはもうアリスの仲間になっちゃうんだよ!それでもいいの!?」
キモオタ「そうは言ってもwwwヘンゼル殿がそう決めたのならもうそれでいいでござろうwwwもう我々に出来る事は無いですぞwww」
キモオタ「まぁ、何だかんだ言っても…結局ヘンゼル殿も両親やお菓子の家の魔女や【キジも鳴かずば】の村の連中と同類だったって事でござるよwww」コポォ
ヘンゼル「……っ」ピタッ
ティンカーベル「ヘンゼルがその人たちと同類?どーいうこと?」
キモオタ「だってそうでござろう?自分達が生きる為に罪の無い子供を捨てた両親も、魔力を手に入れる為に何も知らない兄妹を利用した魔女も、川を鎮める為に無実の弥平殿を人柱にした村の連中も…」
キモオタ「結局は自分の都合で罪の無い他人を殺そうとしているわけでござるwww自分の妹達を護りたいからといって無関係の他人を殺そうとするなど、完全にヘンゼル殿もそやつらと同類でござるよwww」コポォ
ヘンゼル「……ちょっと待ってよ、キモオタお兄さん」スッ
キモオタ「おおっとwww聞こえてしまいましたかなwwwこいつは失礼いたしましたなwwwお気になさらずwww」コポォ
ヘンゼル「僕があいつ等と同類?馬鹿げた事を言うのも大概にして欲しいよ、僕はあいつ等とは違うんだ…!同類だなんて言い方はやめてよ」ギロッ
キモオタ「ドゥフフwww完璧に同類でござろうwwwそれとも他の者と違って自分の望みだけは特別だとでも思ってるのですかな?wwwないないwww結局は他の連中と同じ自分勝手な人殺しでござるよお主はwww」
ティンカーベル「ちょ、ちょっと!私が言うのもなんだけど、キモオタ言い過ぎだよ!ヘンゼルが可哀そうだよそんな言い方したら」ヒソヒソ
キモオタ「何を遠慮しているでござるかティンカーベル殿www本当の事なんでござるから遠慮なくそこの自己満シスコンに言ってやればいいんですぞwww」コポォ
203 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/13(金)00:08:44 ID:mk2
ヘンゼル「やめてよ、僕はあいつ等とは違う!グレーテルやお千代を苦しめたあいつ等とは違うんだ!」ギリッ
キモオタ「ほうwwwお主が他人を殺せば、その者の家族や友人も悲しみ苦しむのでござるから一緒でござろう?おおっと、お主にはそんなこと関係無いのでござったな。妹の事しか頭に無いのでござるもんねwww」
キモオタ「他人はどうだっていいけど妹が苦しむのは許せないとかwwwこじらせ過ぎているにも程があるというかwwwヘンゼル殿はシスコンの鑑ですなwww」
ヘンゼル「うるさい…!黙れ黙れ!お前なんかにそんな風に言われる筋合いなんか無い…!」ゴゴゴ ガッ
キモオタ「おぶっ」ガゴッ
ティンカーベル「あっ、キモオタが殴られた!そんな風に挑発するようなことばっかり言うから…!」
キモオタ「ブヒヒwww図星ですかなwww今まで散々大人は汚いとか信用できないとか言っておきながら、結局その大人と一緒の事をしようとしているではござらんかwww正直クソワロタでござるよwww」
ヘンゼル「黙れよキモオタ。お前は大好きだった両親に捨てられた事があるのか!大切な妹が奴隷同然の扱いを受けているのを黙って見ていることしかできない事は?家族のように接してくれた人が自分のせいで殺されるなんて事があったのかよ!」
ヘンゼル「あるわけないよね、僕は所詮おとぎ話の主人公。お前達現実世界の人間が作り出した不幸な少年像だ、食べ物にも住むところにも困らない平和な世界でのうのうと生きてるお前に僕達の気持なんかわかるわけが無いんだ!」
キモオタ「そうですな、全然わかりませんぞ。切羽詰まってるとはいえ、アリス殿のやっている事を知りながら仲間になろうとするお主の気持ちなどわからんでござるよ!」
ヘンゼル「仕方ないだろ!他にグレーテルやお千代を救う方法が無い!魔法も使えない子供の僕じゃ、魔法具を手に入れるしかあいつ等を助けることなんかできない!アリスの仲間になるしか方法が無いんだ…!」
キモオタ「そんな事無いでござろう!何故そこでアリス殿に頼るでござる!?お主には困った時に頼れる相手が大勢いるでござろう!何故仲間を頼ろうとしないのでござるか!」
ヘンゼル「そう簡単な問題じゃないんだよ。僕は兄だ、妹達を頼るなんて出来るわけがない。カイや女王に話しても心配かけるだけだ、今更他のおとぎ話の世界の大人に頼るなんて出来るわけがないだろう!」
キモオタ「そうやってつまらない意地を張って…お主を苦しめた者達と同類になってどうするでござるか!お主のそんな姿を見て一番傷付くのが誰なのか、まだわからんのでござるか!」
ヘンゼル「……っ!」
キモオタ「グレーテル殿や司書殿を悲しませてまで彼女等を護る事に何の意味があるのでござるか…!お主がしっかりしなくてどうするでござるかヘンゼル殿!」
204 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/13(金)00:10:55 ID:mk2
ヘンゼル「……」
キモオタ「ヘンゼル殿は昨日…司書殿を助ける為に自分は何も出来なかったと思っているのでござったな?」
ヘンゼル「…昨日だけじゃないよ。僕はいつだって何も出来ない、無力な子供だ」
ヘンゼル「両親に森に捨てられた時も目印を失ってしまったし、奴隷同然にされたグレーテルを助けられず、自分のせいでパパさんが人柱にされたのに何もできなかった…!」
ヘンゼル「僕はいつだって家族を助けたかったんだ!でも、僕はいつだって何もできない…!魔力があったって魔法を使えもしない!無力で不甲斐ない兄でしかない…!」ポロポロ
ティンカーベル「そんな事無いよ!昨日だって一生懸命戦ったでしょ!」
ヘンゼル「結果が残せなかったら意味なんて無いんだよ、ティンカーベル。だから僕は、強くなりたかった」
キモオタ「それでアリス殿に頼るという選択をしたわけですな。力を持つ者の仲間になるというのはわかりやすい方法でござるからね」
ヘンゼル「でも、キモオタお兄さんの言うとおりだよ。僕の選択は結局妹達を苦しめる事になる…僕は必死になりすぎた挙句二人を苦しめようとしただけだった」
キモオタ「…そうですな。過去に妹を救えなかった後悔と焦りで視野が狭くなっていたでござる、力を得る事は護るための手段でござるのに、それが目的になってしまっていたでござるな」
ヘンゼル「僕はどうしようもなく不甲斐ない兄だ、護りたいなんて言葉ばかり並べて実際には何一つ出来ない…!」ポロポロ
ティンカーベル「ヘンゼル!まだ大丈夫だよ!ちょっと道を間違えそうになっちゃっただけじゃん!こっから頑張れば良いんだよ!元気出して、ね!」
ヘンゼル「頑張るなんて言っても…僕には、どうしたらいいかすら…わからない」
ティンカーベル「あのね、困った時は誰かに頼ってもいいんだよ?キモオタは食い意地はってるしキモいけど、頼ってもいいと思うよ?」
キモオタ「ちょwww思わぬ罵倒がwwwまぁ事実、我輩はアリス殿のように豊富な魔法具も時を止める能力も無いでござるし、ぶっちゃけ素の戦闘能力ではその辺の野良犬以下でござるwww」コポォ
ヘンゼル「しかし、我輩はおとぎ話の世界の旅で様々な物を得ているでござる。ヘンゼル殿の妹達を護りたいという願い…その手助け、出来ると思いますぞwww」
205 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/13(金)00:12:38 ID:mk2
ヘンゼル「…頼っても、いいかな。僕、キモオタお兄さんには散々口汚い事言ったけど」
キモオタ「なーにを気にしているのでござるかwwwもちろんいいでござるよwww大船に乗ったつもりでいてくだされwww」
ティンカーベル「なんだかすっごく自信ありそうだけど、なにかプランでもあるの?またノープランじゃないよね?」
キモオタ「我輩がいつもノープランだと思わない事ですぞwwwズバリ!雪の女王殿の力を借りるのでござるwww女王殿ならば何とか出来るでござろうwww」コポォ
ティンカーベル「えっ…それ雪の女王に問題を丸投げしてるだけなんじゃ…」
キモオタ「丸投げとは失礼なwww他の手段といっても別の魔女や裸王殿の力を借りるのはヘンゼル殿の気が進まないでござろうしwww」
ヘンゼル「いや、女王の力を借りるのは無理だよ。アリスやドロシーが悪さしてるこの状況で僕が二人を護る力が欲しいなんて言えば、危険な事をしようとしてるって思われる。きっと断られるよ」
キモオタ「そうでござろうな、ヘンゼル殿達の話を聞いてると家族想いな方のようでござるから。ヘンゼル殿の身に危険が及ぶ事を良しとしないでござろう」
ティンカーベル「最悪の場合、そんなに危ないなら帰ってきなさいって言われちゃうかも…」
ヘンゼル「それは困るよ、現実世界に留まらないとお千代の夢は叶えられないんだから」
キモオタ「そこで我輩の出番なのでござるよwww我輩が間に入って、女王殿を説得して力をお借りできるよう頼んでみるのでござるwww」
キモオタ「我々がいくつものおとぎ話の消滅を防いだ事は女王殿の耳にも入っているでござろうし、ヘンゼル殿がキチンと生活してる事など織り交ぜて説得すれば問題ありませんぞwww」
ヘンゼル「そんなにうまくいくとは思えないんだけど…言っておくけど雪の女王は相当強い魔力を持ってる。下手な事をすればキモオタお兄さんの氷像が立つ事になるよ?」
キモオタ「またまたビビらせようったってそうはいきませんぞwwwとにかくやってみるでござる、駄目なら次の方法を考えるまでですぞwwwでは早速ティンカーベル殿、頼みますぞwww」
ティンカーベル「うんうん、善は急げだもんね!じゃあ行くよーっ!【雪の女王】の世界へ!」キィィィィィンッ
ヘンゼル「えっ、今から…!?ちょっと待ってよ、僕まだ女王に合う為の心の準備g」
ヒュン
ティンカーベル「ラプンツェルはお腹を七星剣で切られちゃったでしょ?その傷は桃太郎が治癒してくれたから怪我は大丈夫なんだけど…剣に魔法の力が込められたんだって!」
グレーテル「魔法の力……どんなのかな……」
ティンカーベル「でね、魔法使いに見て貰ったらね、七星剣には切った相手の魔力を弱くする魔法が込められてたんだって!」
司書「七星剣は【西遊記】に登場する魔法具、天界の仙人が作り出した物だから…もしかしたら妖怪や怪物を相手にすることを想定して魔力や妖術を弱体化させる効果を添えていたのかも」
ティンカーベル「うんうん、魔法使いも同じような事言ってたよ!きっと悪い妖怪や妖術使いに対抗する為に作ったんだろうって!」
キモオタ「ラプンツェル殿の長い髪の毛はあれ魔力の影響によるものでござるから、故に魔力を弱体化させる七星剣はラプンツェル殿の身体に影響を及ぼしたんでござるな」
ヘンゼル「ああ、だから髪の毛を切ったってことなんだね」
ティンカーベル「そうだよ!ラプンツェルが元々ああいう性格だから何かあったら危ないからもういっそのこと切っておきなさいって魔法使いに言われてた!」
キモオタ「まぁ何をするかわからない娘でござるからなwwwで、魔力が弱まってるから髪の毛を切っても伸びてこなくなったとwww」
司書「でも、ラプンツェルさんと言ったらあの長い髪の毛なのにもう短いままだと思うと、少しさみしいね」
ティンカーベル「大丈夫だよ!魔法使いが今、他のおとぎ話の魔女にお願いしてラプンツェルに掛けられた魔法を打ち消す薬を作ってもらうんだって!確か、『猛毒の魔女』って言ってた、どこのおとぎ話かは聞くの忘れちゃったけど」
キモオタ「素直にゴーテル殿に頼めば早い話に思えるでござるがwwwあの親子は娘想いが過ぎるのか母親想いが過ぎるのかわかりませんなwww」
司書「お互いに心配し合って気づかいしあえるのは素敵な家族の証拠ですよ」ウフフ
ティンカーベル「だねっ!でも魔法使いは世界移動できないから赤ずきんに頼むって言ってた、薬ができるまではラプンツェルは【アラビアンナイト】でお世話になるって!だから心配しなくても大丈夫だよ、グレーテル!」ニコニコ
グレーテル「そっか……心配しなくていいなら安心……よかった……」
156 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/04(水)00:27:17 ID:Jyu
キモオタ「とりあえずラプンツェル殿は一安心という事ですなwww良かったですな、グレーテル殿www」
グレーテル「うん、良かった……。お話の途中に割り込んじゃってごめんね……お千代ちゃんとキモオタお兄ちゃんのおはなし……続けて良いよ……」
司書「あっ、そうでしたね。えっと、お話するよりも読んで貰った方が早いと思って今日は【浦島太郎】の絵本を持って来たんです」ゴソゴソ
スッ
キモオタ「ほう、これがアリス殿が登場しているという【浦島太郎】でござるか…」
ティンカーベル「キモオタ!早く読んでみようよ、私もこのおとぎ話読んだこと無いから内容も知らないし」
キモオタ「そうですな、では…」ペラペラ
ヘンゼル「僕達も元々の【浦島太郎】は知ってるけど、アリスが登場してるなんて知らなかったよ」
司書「現実世界の絵本はどこの出版社のものも有巣という女の子が登場しているの。きっとどこかでおとぎ話の内容が少し変わったのね」
グレーテル「元々のおとぎ話……【浦島太郎】って……どんなおはなしだったかな……?」
司書「猟師の浦島太郎が浜辺でいじめられているカメを助けるの。するとそのカメは浦島さんを竜宮城に招待しますと言って海の中に潜るのね」
司書「竜宮城ではとても美しい乙姫様が歓迎してくれて、浦島さんはカメを助けたお礼とは思えないほど幸せな想いをするの。それでしばらく竜宮城に居ついちゃうの」
司書「でもある時帰ろうと思い立って、陸に帰ると知らない間に何百年もの長い年月が過ぎていてだれも浦島さんの事を知らない。家族も友達ももうずっと昔に亡くなってる」
司書「絶望した浦島さんは乙姫に絶対に開けてはいけないと言われていたお土産の玉手箱を開けるの、するとなかから煙が出て来てそれを浴びた浦島さんは老人になってしまう…というお話ね」
グレーテル「…うん、思い出したよ……その内容のお話は、ずっと前に読んだよ……浦島さん可哀そうだって思ったの……」
ヘンゼル「僕は乙姫に腹が立ったけどね。恩をあだで返すってこの事でしょ、なんで親切にした浦島が損するのか理解できない。そんなおとぎ話を作った奴はどうかしてる」
司書「ヘンゼル。きっとこのおとぎ話だって作られた理由があるんだよ、それに乙姫さんにも何か事情があったのかもしれないんだから悪く言っちゃダメだよ」
157 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/04(水)00:31:48 ID:Jyu
・・・
ティンカーベル「もぉーっ!なんなのこの乙姫っていう奴!こんな後味悪いおとぎ話無いよ!」
キモオタ「まったくですなwww親切にしてくれた浦島殿を絶望にたたき落とすとは、とんだ悪女が居たもんですぞwww」コポォ
ヘンゼル「ほら、やっぱり一般的な感想はこうなるよ。乙姫のしたことを考えれば当然でしょ」
司書「…ま、まぁ、感想は人それぞれだから…」
キモオタ「しかし、読み終わったでござるがアリス殿…いや、有巣殿は特に何かしたわけではないのでござるな、おとぎ話の中で」
ティンカーベル「だよね。浦島太郎と冒頭で知り合って、一緒に竜宮城に行って、帰って…ずっと浦島太郎と一緒にいるけど別に何かしたわけじゃないね」
司書「そうなんです。有巣さんはただそこにいるだけ…絵本や本ではアリスさんと浦島さんの間に何があったかまではわかりません」
キモオタ「でもこうして絵本が存在するという事は【浦島太郎】は存在しているわけですな。我輩が旅したおとぎ話の絵本に『キモータ』が登場しているように、きっと有巣殿も【浦島太郎】の世界に居たのでござろうけど…」
ヘンゼル「今となってはそれを知る事も出来ないだろうね、きっとその世界ではもう浦島太郎は死んでる。乙姫が悪人だとすれば竜宮城に行く術もないだろうし」
司書「なんだか、中途半端な情報ですいません。アリスさんを止める為の決定的な情報になればよかったんですけど、私にわかるのはここまでです」
キモオタ「いやいやwwwこの情報も十分有益なものでござるよ司書殿www」
キモオタ「おとぎ話を消しているアリス殿がこのおとぎ話を消さなかった理由…想像もつかないでござるが、確実に何か理由があるでござる。やはりというか、アリス殿には悪事を行う理由があるのでござる」
ティンカーベル「でもさ、どんな理由があってもやって良い事と駄目な事があるでしょ?アリスのやってるのは駄目な事の方だよ!」
キモオタ「まぁそうでござるけど…とにかくアリス殿と【浦島太郎】の関連についてはもう少し考えて見るとして……デザートも食べ終えた事でござるし、そろそろ出るでござるかwww」
司書「そうですね、少しお店の中も混んできましたから。帰りましょうか」スッ
158 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/04(水)00:34:33 ID:Jyu
現実世界 サイゼリヤの前
司書「キモオタさん、すいません。今日はごちそうになってしまって…本当はこちらがお礼をしないといけないくらいなのに」ペコッ
キモオタ「なんのなんのwwwアリス殿の情報を教えてもらったお礼でござるよwww」
ティンカーベル「司書さん!ヘンゼルとグレーテルもまた一緒にご飯食べようね!」
ヘンゼル「まぁ、たまにはね」
グレーテル「うん……私も楽しかったの……また行こうね、ティンクちゃん……」
司書「うん、またねティンクちゃん。では私達はここで」
キモオタ「そうでござるかwwwまぁそんなにはなれていないからへいきでござるかwwwではお気を付けてwww」
ヘンゼル「……ねぇ、キモオタお兄さん」
キモオタ「なんでござるかなwww」
ヘンゼル「さっき食事の時、アリスがどんな魔法具を持っているか教えてくれたけど……あれは全て本当の事なの?」
キモオタ「ちょwww当然でござるよwww嘘をつく意味もメリットもないでござるしwww」
ヘンゼル「そっか…数え切れないほどの魔法具、時を止める力、世界移動もできるしいろんな世界の住人を捕えることもできるほどの力……アリスならそれを持ってる」
ヘンゼル「アリスと同じくらい強い力を手に入れたら、僕も……妹達を護れる」ボソッ
159 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/04(水)00:38:23 ID:Jyu
キモオタ「ヘンゼル殿…?」
ヘンゼル「……いいや、何でもないよ。じゃあね、キモオタお兄さん」
キモオタ(ヘンゼル殿…先ほどもグレーテル殿や司書殿を護れないと嘆いていましたな。昨日の戦いで何もできなかったと思っているようでござるが……)
キモオタ(しかし、どういうことでござるか?その事を気に病んでいるとはいえ、アリス殿と同じくらい強い力を手に入れたら守れるかなんて言い出すなど……)
キモオタ(……も、もしや!ヘンゼル殿、二人を護る力を手に入れる為にアリス殿と手を組もうなどと考えているのでは……っ!?)
ティンカーベル「ねぇねぇキモオタ、なにぼーっとしてるの?司書さん達も行っちゃったし私達も帰ろうy…あれ?キモオタ?」
ドスドスドス
キモオタ「うおおぉぉぉっ!ヘンゼル殿ぉぉぉっ!!!」ズサァァァー
司書・グレーテル「……っ」ビクッ
ヘンゼル「何なの…?全力で滑り込んでくるくらい急ぐ用事でもあったの?というか人が見てるから早く起き上がって欲しいんだけど」
キモオタ「ゼェゼェ……ヘンゼル殿……!」スクッ
ヘンゼル「だから何?僕に用事があるんでしょ、何だか知らないけど早く言ってよ」
キモオタ「お主、二人を護る事が出来る力が欲しいのでござるよね……?」ゼェゼェ
ヘンゼル「……うん。欲しいよ。それで、何?キモオタお兄さんにどうこうできることじゃないでしょ」
キモオタ「確かに、我輩にはどうにもできませんぞ。体力もなければ魔力も持ってないでござる……でも、我輩には仲間が居るでござる」
キモオタ「魔法の事ならば変化の術に長けた魔法使いを、植物の扱いに長けた魔女を…我輩は知っているでござる!体力の事ならば…身体を鍛えることでは右に出る者が居ない程の王を我輩は知っているでござる!その者に協力を仰ぐでござるよ…!」
キモオタ「まずは我輩と共にその王の元で、更なる力を手に入れるのでござる…!そうすれば妹殿達を護れますぞ、ヘンゼル殿…!」
◆おしまい
今日はここまでです。七星剣に込められた魔法の設定はこのss独自のものです
ここまでに出たおとぎ話紹介
【泣いた赤鬼】
日本では泣けるおとぎ話として知名度が高いとされる、敵役としての登場が多い鬼を主人公とした作品
周囲から恐れられているけれど本当は人間と仲良くなりたい赤鬼と親友の為に一芝居打つ青鬼の友情を描いたおとぎ話。詳しくは二冊目参照。
時代背景や鬼の存在から日本昔話である印象が強いが、民間伝承や古典文学が出典ではなくわりと近代の創作童話。
このssでは赤ずきんと空気の精霊となった人魚姫、己の中に住まう鬼神と旅を続けています。
生来のもてなし好きもあって旅先々でその土地でのお茶の文化に触れる事が密かな楽しみ。最近は紅茶を淹れる事にも人間が飲めるお茶の温度にも慣れてきた。
空気の精霊になった人魚姫は飲食する事が出来ないので、せめて香りだけでもと最近はお香やアロマの類にも手を出している
最近の悩みは、自分好みのお茶の温度にすると紅茶葉がぐっずぐずになってしまう事。
それと寝相の悪さを改善する為眠ってる間動かないように毛布にくるまって眠る事にした赤ずきんが、結局毛布ごとベットから落ちている事。
かぐや姫とオズの魔法使い編 次回に続きます
162 :名無しさん@おーぷん :2015/11/04(水)11:16:02 ID:lCi
乙です!
キモオタ、ナイス!!
これを受けてヘンゼルがどうするかですね…。
あと、赤ずきん可愛い(笑)
続き楽しみです
続き待ってます!!
163 :名無しさん@おーぷん :2015/11/04(水)11:29:00 ID:Bi5
乙乙!!
これは裸王様登場か!楽しみだ!
164 :名無しさん@おーぷん :2015/11/04(水)14:09:11 ID:DSt
乙!
ヘンゼルは今、アリスか、キモオタと仲間たち、のどちらの方にも転ぶことができる
本人は悩ましいだろうなあ、キモオタの方にいけばいいなあ
197 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/12(木)23:51:52 ID:vsp
現実世界 サイゼリアの前
キモオタ「裸王殿の元で鍛錬を積めばヘンゼル殿も必ず強くなれるでござる!お主の望みである妹殿達を護る為の力だって手に入るでござるよ…!だから…」
ヘンゼル「あぁ…もう、待って。ちょっと待ってよキモオタお兄さん…なんで二人の前で言っちゃうかな…」
グレーテル「……お兄ちゃん……やっぱりその事悩んでたんだ……そんな事気にしなくたっていいのに……」
司書「うん、ヘンゼルの気持ちは嬉しいけどその為に危ない事したりするのは……私達としては心配だよ、ね?グレーテル」
グレーテル「うん……私達は兄妹だから、助けあうの……お兄ちゃんだけが頑張る必要なんか、無いんだよ……?」
司書「そうだよ、ヘンゼルだけ悩まなくったっていいんだよ。私達、兄妹でしょ?一人だけ無理しなきゃいけないなんておかしいよ」
ヘンゼル「…いや、違う違う、そうじゃないんだ。ちょっと待って、二人とも誤解してるよ」
グレーテル「……誤解?」
ヘンゼル「キモオタお兄さんが話を大げさにしてるだけなんだよ、僕が欲しい力っていうのは……そもそも僕が欲しいのは『力』なんて大仰なものじゃないんだ」
ヘンゼル「ほら、三人の中じゃ僕が唯一の男でしょ?何かと物騒な現実世界じゃさ、不審者とかストーカーとか女の子を狙った犯罪も多いって聞くじゃないか」
ヘンゼル「だから僕が格闘技とか護身術とか覚えてさ…日常に潜む危険から二人を護るための手段が欲しいっていうだけの話なんだ。別にアリスやドロシーに立ち向かうほどの強力な力を欲してるわけじゃないんだよ」
グレーテル「そっか、そうなんだ……私、アリス達と戦えるくらい強くなりたいのかと思ってた……。すごく危ない事するって思った……そうじゃないなら、安心……」
キモオタ「いや、ヘンゼルd」
ヘンゼル「そうだよね?キモオタお兄さん…?だから僕に身体を鍛えるよう提案してくれたんだ」
キモオタ「……」
ヘンゼル「そういう事だから安心してよ、僕は少しキモオタお兄さんと話をしてから帰るから二人は先に帰っててくれる?早くその辺の不審者には勝てるくらいには強くなりたいしさ」
198 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/12(木)23:54:20 ID:vsp
グレーテル「わかった、無理しちゃだめだよ……?」
司書「ヘンゼルがそうしたいなら止めないけど、あまり無理しないようにね。それにもう遅いんだからあまり長居しちゃダメだよ?キモオタさんにも迷惑が掛かっちゃうから」
ヘンゼル「そんなに言わなくても子供じゃないんだから平気だよ。二人こそ、ちゃんと大通りの明るい道を帰るようにね」
グレーテル「……うん、じゃあ先に帰ってるね……」
司書「それじゃあすいませんキモオタさん。ヘンゼルの事、お願いします」ペコッ
キモオタ「あっ…わ、わかったでござる。お任せあれwww」
スタスタスタ
ヘンゼル「……まったく、誤魔化すのも一苦労だよ。なんで二人の前であんな話をしたの?」
ティンカーベル「誤魔化す…?あっ!もしかしてヘンゼルの今の話、嘘だったの!?」
ヘンゼル「そうだよ。単なる不審者くらいなら魔力でねじ伏せられるんだから」
ティンカーベル「そっか…!良く考えたら魔力持ってるんだからそれくらい余裕じゃん!二人を騙すなんてひどいよ!」プンス
キモオタ「ヘンゼル殿……何故あのような嘘を?お主が欲しているのは、不審者を倒すなんて生易しいものじゃない筈でござる。アリス殿達の脅威からグレーテル殿達を護る為のもっと強力な力のはず…」
ヘンゼル「それをそのまま二人に言えば余計な心配を増やす事になるからね」
キモオタ「しかし、二人も言っていたでござろう。お主だけが頑張る必要は無いと…」
ヘンゼル「僕が頑張らなかったら誰が頑張るの?この世界にはパパさんはもちろん女王だって居ない…強い魔法を使えば暴走するグレーテルと普通の女性のお千代が戦えると思う?」
ヘンゼル「妹達は戦えるわけないんだ、だったら僕が戦う。僕が頑張る必要があるんだ、二人を護れるのは僕だけだ、兄だからね」
199 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/12(木)23:57:09 ID:vsp
キモオタ「それはそうかも知れんでござるが…」
ヘンゼル「さっきの行動はうっかり過ぎるけど、これはキモオタお兄さんの純粋な善意だろうから…二人の前であんな話をした事を責めたりはしないよ」
ヘンゼル「……でも僕はキモオタお兄さんの仲間の世話にはならない。だから裸王って人の元にもいかない」
キモオタ「な、何故でござるかヘンゼル殿!魔法使い殿もゴーテル殿も裸王殿も善人ばかりでござる!必ずお主が強くなる為に協力してくれるでござるよ!?」
キモオタ「二人とも強力な魔力を持った魔女ですぞ、ヘンゼル殿の魔力を生かす方法を教えてくれるでござろうし…それに裸王殿にかかればたちまちムキムキになれるでござる!お主の望む力を手に入れるにはぴったりの…」
ヘンゼル「あのね…お兄さんにとっては信頼できる仲間かもしれないけど、僕にとっては赤の他人なんだ。信用しろなんていう方が無茶な話なんだよ、キモオタお兄さん」
ヘンゼル「それに【シンデレラ】の魔法使いもラプンツェルの母親も…僕にとっては素性の知れない魔女でしかない。僕達が魔女に何をされたか忘れた?」
キモオタ「…いや、覚えてますぞ。悪かったでござる、少々軽率な提案でござった」
ヘンゼル「お兄さんのことだから魔女の名を出した事に悪意が無い事くらいはまぁ、解るよ」
ヘンゼル「それに女王がそうであるように善人の魔女も居る事は理解している。けど…それでも、軽々に魔女を信用するなんて考えはとてもじゃないけどできないんだ」
キモオタ「な、ならば…さっき言ったように裸王殿の元で身体を鍛えるでござるよ!裸王殿にかかれば短期間で細マッチョも夢では無いですぞ…!」
ヘンゼル「危険なんてのは急に襲いかかってくるのに、悠長に身体を鍛えている暇なんか無いでしょ。それに、僕には他に頼るあてがあるんだ」
ヘンゼル「だから、キモオタお兄さんとは一緒にはいかない。…僕はお兄さんとは別の方法で強くなる」
ヘンゼル「昨日ね…アリスに仲間になって欲しいと言われたんだ、手を貸せば僕に協力してくれるともね。僕は妹を護れる立派なお兄ちゃんになれる…今度こそ、ね」
200 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/12(木)23:59:13 ID:vsp
キモオタ「やはり思った通りでござるなヘンゼル殿…!」
ティンカーベル「はっ!?アリスに仲間になって欲しいって言われたって…!ちょ、ちょっと待ってよ!それじゃヘンゼルはアリスに味方するって事!?」
ヘンゼル「君達にアリスの強さを聞いて…今じゃそう考えてる。言うつもりは無かったけど、黙っていてもいずれは解る事だしね」
ティンカーベル「駄目だよ!アリスの仲間になるってどういう事かわかってるの!?私達とアリスはもう自分達の事情だけで戦ってるわけじゃないんだよ!?」
ティンカーベル「アリスはおとぎ話を消し過ぎてる!だからいろんな世界のたくさんの人からも恨まれてるし嫌われてるんだよ?アリスの仲間になるって事はそういう人たちも敵にしちゃうって事なんだよ!?」
ティンカーベル「それにそれだけじゃないよ…!雪の女王や司書さんやグレーテルや…私たちとも敵同士になっちゃうんだよ?せっかく友達になれると思ったのに…ヘンゼルはそれでもいいの!?」
キモオタ「ちょ、ティンカーベル殿。気持ちはわかるでござるが落ち着いて話をするでござるよ、怒鳴っても解決するわけでは無いですぞ」
ティンカーベル「冷静になんかなれるわけ無いしなっちゃダメなんだよ!今は怒鳴ってでも喚いてでも何してでもヘンゼルを止めないと大変な事になるんだよ!キモオタはそれがわかんないの!?」
キモオタ「わかってるでござるよ、ならばなおさら感情的になっては駄目でござろう。ヘンゼル殿だって考え無しに決断したわけで無いと思いますぞ、まずはそれを聞かねばなりませんぞ」
ティンカーベル「わかった…ヘンゼル、なんでなの?なんでそんな決断しちゃったの?」
ヘンゼル「難しい理由なんか無いよ。僕がアリスの仲間になれば魔法具を譲って貰える、そうすれば僕はずっと強くなれるし二人は今以上に安全に暮らせる」
ヘンゼル「それに、僕が仲間になる条件として『あの二人に絶対危害を加えない事』をアリスに飲ませれば、二人はアリスの脅威からは解放される。その条件を飲まない理由がアリスには無いからね」
キモオタ「お主がアリス殿に手を貸す事で二人を護る…あの二人がそれを望んでいると思うのでござるか?」
ヘンゼル「思わないよ。でも、僕は二人を護る力を手に入れられるし、少なくとも二人はアリス側の攻撃や策略で傷付く事はなくなるんだ」
201 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/13(金)00:03:05 ID:mk2
キモオタ「例え安全に暮らせたとしても、ヘンゼル殿が悪事に手を染めたとなると二人とも悲しむと思うのでござるが…それでもいいと?」
ヘンゼル「僕がやらなきゃ二人を護れないんだ、少しは悲しい思いをするかもしれないけど仕方がない事だよ…身の安全には変えられないんだから」
キモオタ「ならば…二人を護る為なら、別の世界を消滅させる事も殺しに手を染める事も厭わないと?アリス殿の仲間になるとはそういう事でござるぞ?」
ヘンゼル「二人を護る事がお兄ちゃんである僕のすべきことだ。その為なら殺しでも何でもする」
キモオタ「……ヘンゼル殿、それは本心でござるか?」
ヘンゼル「……当然でしょ、僕は本気だ」
ティンカーベル「つまりヘンゼルはグレーテルと司書さんの安全のために、アリスの仲間になるっていう決断をした……そういう事?」
ヘンゼル「そうだよ。今のままの僕じゃあ妹達を護ることなんか出来ない、だから力が欲しい…二人を救うための力、魔法具が欲しいんだ」
ティンカーベル「うー…ヘンゼルが二人の事大好きなのは聞いてるし護りたいっていうのも強くなりたいのもわかるよ?でもだからってアリスの味方するのは絶対おかしいよ!」
ティンカーベル「キモオタも言ってたけど、あいつの仲間になるって事は関係ない人をたくさん殺さなきゃいけないんだよ?そんな事しちゃダメだよ!絶対ダメ!」
ヘンゼル「……仕方が無いでしょ、二人を護るためだ。そのためなら僕は悪事でも何でもする」
キモオタ「なるほど、それがヘンゼル殿の答えでござるか」
ティンカーベル「キモオタ…?」
キモオタ「ヘンゼル殿の考えは良くわかったでござる。我々がこれ以上引きとめても無駄でござるよティンカーベル殿、もう好きにさせるでござるwww我々は帰って夜食でもつつくでござるよwww」
202 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/13(金)00:05:18 ID:mk2
キモオタ「さて解散しますかなwwwヘンゼル殿、もう夜も遅いでござるから気を付けて帰るでござるよwww」
ヘンゼル「…そうだね、気を付けて帰るよ。それじゃあ」スッ
ティンカーベル「キモオタ!?なんで諦めちゃうの?ヘンゼルはちょっと追いつめられてちゃんと考えられなくなってるだけだよ!このままじゃヘンゼルはもうアリスの仲間になっちゃうんだよ!それでもいいの!?」
キモオタ「そうは言ってもwwwヘンゼル殿がそう決めたのならもうそれでいいでござろうwwwもう我々に出来る事は無いですぞwww」
キモオタ「まぁ、何だかんだ言っても…結局ヘンゼル殿も両親やお菓子の家の魔女や【キジも鳴かずば】の村の連中と同類だったって事でござるよwww」コポォ
ヘンゼル「……っ」ピタッ
ティンカーベル「ヘンゼルがその人たちと同類?どーいうこと?」
キモオタ「だってそうでござろう?自分達が生きる為に罪の無い子供を捨てた両親も、魔力を手に入れる為に何も知らない兄妹を利用した魔女も、川を鎮める為に無実の弥平殿を人柱にした村の連中も…」
キモオタ「結局は自分の都合で罪の無い他人を殺そうとしているわけでござるwww自分の妹達を護りたいからといって無関係の他人を殺そうとするなど、完全にヘンゼル殿もそやつらと同類でござるよwww」コポォ
ヘンゼル「……ちょっと待ってよ、キモオタお兄さん」スッ
キモオタ「おおっとwww聞こえてしまいましたかなwwwこいつは失礼いたしましたなwwwお気になさらずwww」コポォ
ヘンゼル「僕があいつ等と同類?馬鹿げた事を言うのも大概にして欲しいよ、僕はあいつ等とは違うんだ…!同類だなんて言い方はやめてよ」ギロッ
キモオタ「ドゥフフwww完璧に同類でござろうwwwそれとも他の者と違って自分の望みだけは特別だとでも思ってるのですかな?wwwないないwww結局は他の連中と同じ自分勝手な人殺しでござるよお主はwww」
ティンカーベル「ちょ、ちょっと!私が言うのもなんだけど、キモオタ言い過ぎだよ!ヘンゼルが可哀そうだよそんな言い方したら」ヒソヒソ
キモオタ「何を遠慮しているでござるかティンカーベル殿www本当の事なんでござるから遠慮なくそこの自己満シスコンに言ってやればいいんですぞwww」コポォ
203 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/13(金)00:08:44 ID:mk2
ヘンゼル「やめてよ、僕はあいつ等とは違う!グレーテルやお千代を苦しめたあいつ等とは違うんだ!」ギリッ
キモオタ「ほうwwwお主が他人を殺せば、その者の家族や友人も悲しみ苦しむのでござるから一緒でござろう?おおっと、お主にはそんなこと関係無いのでござったな。妹の事しか頭に無いのでござるもんねwww」
キモオタ「他人はどうだっていいけど妹が苦しむのは許せないとかwwwこじらせ過ぎているにも程があるというかwwwヘンゼル殿はシスコンの鑑ですなwww」
ヘンゼル「うるさい…!黙れ黙れ!お前なんかにそんな風に言われる筋合いなんか無い…!」ゴゴゴ ガッ
キモオタ「おぶっ」ガゴッ
ティンカーベル「あっ、キモオタが殴られた!そんな風に挑発するようなことばっかり言うから…!」
キモオタ「ブヒヒwww図星ですかなwww今まで散々大人は汚いとか信用できないとか言っておきながら、結局その大人と一緒の事をしようとしているではござらんかwww正直クソワロタでござるよwww」
ヘンゼル「黙れよキモオタ。お前は大好きだった両親に捨てられた事があるのか!大切な妹が奴隷同然の扱いを受けているのを黙って見ていることしかできない事は?家族のように接してくれた人が自分のせいで殺されるなんて事があったのかよ!」
ヘンゼル「あるわけないよね、僕は所詮おとぎ話の主人公。お前達現実世界の人間が作り出した不幸な少年像だ、食べ物にも住むところにも困らない平和な世界でのうのうと生きてるお前に僕達の気持なんかわかるわけが無いんだ!」
キモオタ「そうですな、全然わかりませんぞ。切羽詰まってるとはいえ、アリス殿のやっている事を知りながら仲間になろうとするお主の気持ちなどわからんでござるよ!」
ヘンゼル「仕方ないだろ!他にグレーテルやお千代を救う方法が無い!魔法も使えない子供の僕じゃ、魔法具を手に入れるしかあいつ等を助けることなんかできない!アリスの仲間になるしか方法が無いんだ…!」
キモオタ「そんな事無いでござろう!何故そこでアリス殿に頼るでござる!?お主には困った時に頼れる相手が大勢いるでござろう!何故仲間を頼ろうとしないのでござるか!」
ヘンゼル「そう簡単な問題じゃないんだよ。僕は兄だ、妹達を頼るなんて出来るわけがない。カイや女王に話しても心配かけるだけだ、今更他のおとぎ話の世界の大人に頼るなんて出来るわけがないだろう!」
キモオタ「そうやってつまらない意地を張って…お主を苦しめた者達と同類になってどうするでござるか!お主のそんな姿を見て一番傷付くのが誰なのか、まだわからんのでござるか!」
ヘンゼル「……っ!」
キモオタ「グレーテル殿や司書殿を悲しませてまで彼女等を護る事に何の意味があるのでござるか…!お主がしっかりしなくてどうするでござるかヘンゼル殿!」
204 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/13(金)00:10:55 ID:mk2
ヘンゼル「……」
キモオタ「ヘンゼル殿は昨日…司書殿を助ける為に自分は何も出来なかったと思っているのでござったな?」
ヘンゼル「…昨日だけじゃないよ。僕はいつだって何も出来ない、無力な子供だ」
ヘンゼル「両親に森に捨てられた時も目印を失ってしまったし、奴隷同然にされたグレーテルを助けられず、自分のせいでパパさんが人柱にされたのに何もできなかった…!」
ヘンゼル「僕はいつだって家族を助けたかったんだ!でも、僕はいつだって何もできない…!魔力があったって魔法を使えもしない!無力で不甲斐ない兄でしかない…!」ポロポロ
ティンカーベル「そんな事無いよ!昨日だって一生懸命戦ったでしょ!」
ヘンゼル「結果が残せなかったら意味なんて無いんだよ、ティンカーベル。だから僕は、強くなりたかった」
キモオタ「それでアリス殿に頼るという選択をしたわけですな。力を持つ者の仲間になるというのはわかりやすい方法でござるからね」
ヘンゼル「でも、キモオタお兄さんの言うとおりだよ。僕の選択は結局妹達を苦しめる事になる…僕は必死になりすぎた挙句二人を苦しめようとしただけだった」
キモオタ「…そうですな。過去に妹を救えなかった後悔と焦りで視野が狭くなっていたでござる、力を得る事は護るための手段でござるのに、それが目的になってしまっていたでござるな」
ヘンゼル「僕はどうしようもなく不甲斐ない兄だ、護りたいなんて言葉ばかり並べて実際には何一つ出来ない…!」ポロポロ
ティンカーベル「ヘンゼル!まだ大丈夫だよ!ちょっと道を間違えそうになっちゃっただけじゃん!こっから頑張れば良いんだよ!元気出して、ね!」
ヘンゼル「頑張るなんて言っても…僕には、どうしたらいいかすら…わからない」
ティンカーベル「あのね、困った時は誰かに頼ってもいいんだよ?キモオタは食い意地はってるしキモいけど、頼ってもいいと思うよ?」
キモオタ「ちょwww思わぬ罵倒がwwwまぁ事実、我輩はアリス殿のように豊富な魔法具も時を止める能力も無いでござるし、ぶっちゃけ素の戦闘能力ではその辺の野良犬以下でござるwww」コポォ
ヘンゼル「しかし、我輩はおとぎ話の世界の旅で様々な物を得ているでござる。ヘンゼル殿の妹達を護りたいという願い…その手助け、出来ると思いますぞwww」
205 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/13(金)00:12:38 ID:mk2
ヘンゼル「…頼っても、いいかな。僕、キモオタお兄さんには散々口汚い事言ったけど」
キモオタ「なーにを気にしているのでござるかwwwもちろんいいでござるよwww大船に乗ったつもりでいてくだされwww」
ティンカーベル「なんだかすっごく自信ありそうだけど、なにかプランでもあるの?またノープランじゃないよね?」
キモオタ「我輩がいつもノープランだと思わない事ですぞwwwズバリ!雪の女王殿の力を借りるのでござるwww女王殿ならば何とか出来るでござろうwww」コポォ
ティンカーベル「えっ…それ雪の女王に問題を丸投げしてるだけなんじゃ…」
キモオタ「丸投げとは失礼なwww他の手段といっても別の魔女や裸王殿の力を借りるのはヘンゼル殿の気が進まないでござろうしwww」
ヘンゼル「いや、女王の力を借りるのは無理だよ。アリスやドロシーが悪さしてるこの状況で僕が二人を護る力が欲しいなんて言えば、危険な事をしようとしてるって思われる。きっと断られるよ」
キモオタ「そうでござろうな、ヘンゼル殿達の話を聞いてると家族想いな方のようでござるから。ヘンゼル殿の身に危険が及ぶ事を良しとしないでござろう」
ティンカーベル「最悪の場合、そんなに危ないなら帰ってきなさいって言われちゃうかも…」
ヘンゼル「それは困るよ、現実世界に留まらないとお千代の夢は叶えられないんだから」
キモオタ「そこで我輩の出番なのでござるよwww我輩が間に入って、女王殿を説得して力をお借りできるよう頼んでみるのでござるwww」
キモオタ「我々がいくつものおとぎ話の消滅を防いだ事は女王殿の耳にも入っているでござろうし、ヘンゼル殿がキチンと生活してる事など織り交ぜて説得すれば問題ありませんぞwww」
ヘンゼル「そんなにうまくいくとは思えないんだけど…言っておくけど雪の女王は相当強い魔力を持ってる。下手な事をすればキモオタお兄さんの氷像が立つ事になるよ?」
キモオタ「またまたビビらせようったってそうはいきませんぞwwwとにかくやってみるでござる、駄目なら次の方法を考えるまでですぞwwwでは早速ティンカーベル殿、頼みますぞwww」
ティンカーベル「うんうん、善は急げだもんね!じゃあ行くよーっ!【雪の女王】の世界へ!」キィィィィィンッ
ヘンゼル「えっ、今から…!?ちょっと待ってよ、僕まだ女王に合う為の心の準備g」
ヒュン
キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」 かぐや姫とオズの魔法使い編
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