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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」 かぐや姫とオズの魔法使い編

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Part5
126 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/31(土)00:06:20 ID:HL3
ムキムキ兵士「お客さん観光客だよね?この辺りは住宅地だから観光して楽しい物は何もないけど、もしかして迷ったの?」
マッチョ兵士「ちょうど今メインストリートで裸王様のパレードしてるからそっちに行くといい、みやげ物屋とかもいっぱい出てる」
ブリキ「裸王…。なるほど、ここは【裸の王様】の世界か…ならば王に話を付けるのが手っ取り早いか…」
ムキムキ兵士「あっ、でもなかなかパレードじゃあ裸王様とは会話できないよ?列の前の方に行かなきゃいけないからね、最前列は競争率すさまじいから今からじゃ遅いかも…」
マッチョ兵士「なんなら明日にでも謁見の予約を入れておくかい?城まで足を運んで貰う事になるけど裸王様と直接謁見が出来r」
ガシッ
マッチョ兵士「ぬぐっ…!な、何をする…!くっ、なんという力だ……!」ウググッ
ムキムキ兵士「マッチョー!畜生、お前何をするんだ!そいつを離せ!」バッ
ブリキ「断る。裸王は心優しい善王と聞く…こいつの命と引き換えに俺の要求を飲めと迫れば断れないだろう」
ムキムキ兵士「こいつ…!裸王様を脅迫するつもりか!そんな事させねぇ…そんな悪事を企む輩には俺の筋肉を味わってもらうぜ!」ブォン
バシィッ
ムキムキ兵士「ぐはぁ…こいつ、強い…!」ヨロッ
ブリキ「雑兵に用は無い…。俺は、俺はすぐにドロシー達を探さなければならないんだ、なりふり構っている時間など無い。さぁ裸王の元へ向かおうか」
マッチョ兵士「クッ…あんたにどんな事情があるか知らねぇが…俺を餌に裸王様を脅すなんてさせない。そんな事になるくらいなら、この命…筋肉の神にお返しするまで…!」バッ
ブリキ「ナイフ…!お前自害するつもりか…!」ギリッ
マッチョ兵士「ああ、お前の思い通りにはならない。さらばです裸王様…!」グッ
???「はーっはっはっは!その必要は無いぞマッチョ兵士君、自害など…んん、ナンセンスッ!!」マッスル

127 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/31(土)00:10:22 ID:HL3
兵士s「こ、この声は…!間違いない、何故この場にいらっしゃるのかわからないが…裸王様!!」
裸王「いかにも、我が名は裸王!この国を統べる…裸の王なりっ!!」ババーン
ブリキ「あんたが…【裸の王様】の主人公、裸王…」
ムキムキ兵士「しかし裸王様はパレード中では?何故このような場所に…」
裸王「うむ。パレードで出会った少女に、寝たきりで家から出られないお婆ちゃんにも我が姿を見せて欲しいと頼まれてな!ならばと足を運んでみるとこの騒ぎだ」
マッチョ兵士「申し訳ありません裸王様、この区域のパトロールは我々の役目。それなのに裸王様の手を煩わせてしまい…」
裸王「ハッハッハ!なんの問題も無いっ!それよりも我の為を想うのならば今後は自害など考えぬようにな!最期まで己の筋肉を信じて生きぬく、それこそ…真の漢というものっ!」マッスル
マッチョ兵士「裸王様…!ありがたきお言葉…!」ババッ
裸王「ハッハッハ!それよりキミは私に用事があるようだが…ふむ、名を聞かせて貰おうかっ!」ムキムキッ
ブリキ「ブリキのきこり…仲間にはブリキと呼ばれている」
裸王「ブリキか!キミは私に何を要求するつもりだったのだ?手っ取り早い筋肉の付け方を聞こうとしたのならば残念だがそんなものは存在しない、筋肉とは日々の積み重ねn」
ブリキ「そんな事じゃない。国王のあんたなら魔法使いや魔女の知り合いの一人くらいいるだろう、そいつに協力してもらいたい」
裸王「ふむ、まぁ…魔法を使える者のあてが無い事も無いが…。その前にひとつ確かめておきたい、君は凄まじい力を持つようだが…その身体からは筋肉の声が聞こえてこない。そのブリキの中身は生身ではあるまい?」
ブリキ「ああ、その通りだ。俺の身体はブリキ製だ、筋肉の声というのは意味がわからないが…少なくとも筋肉は存在しない」
裸王「ほう、ならばこうしようではないか。この裸王と力比べをするのだ!見事この裸王を打ち負かせば、ブリキの望みを聞いてやろうではないか!」ムキムキ
ブリキ「…良いだろう、お前がどんなに鍛錬を積んだ筋肉自慢の王であろうと所詮は生身の身体…俺のブリキの肉体に敵う道理は無い。俺が負ける事があれば逆にお前の望みを聞いてやる」
裸王「はっはっは!では決まりだ!後ほど城に来ると良い、私はパレードが済み次第戻ろう!今から対決の時が楽しみだな、ブリキよ!」ハッハッハ

128 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/31(土)00:13:02 ID:HL3
とあるおとぎ話の世界
・・・
ドロシー「…はぁはぁ……なんで、なんでこんな事に……」ポロポロ
タッタッタッ
町人1「追えーっ!そっちに逃げたぞ!」
町人2「見慣れない着物、俺達とは目の色も髪の色も違う小娘…異国の人間か、妖怪変化の類か…いずれにしても野放しにはできん!」
町人3「それよりあの小娘、怪我をしている様子も無かったのに血まみれだった。既に何人か殺していると考たほうがいい」
町人1「ならば一刻も早く捕まえなければ、俺達の街に危害を加えられるその前に!」
町人2「おう、よそ者から俺達の街を護るんだ!」
タッタッタッ
ドロシー「もう嫌……急にいろんな事がありすぎて、なにがなんだかわかんないよ……でも今は逃げなきゃ……!」タッタッタ
ドロシー「逃げなきゃ…捕まったら何されるかわかんない。ブリキもかかしもライオンも居ない…私一人じゃ、なにもできない…!」
町人1「居たぞ!こっちだ!!そこの角に逃げ込んだぞ!!」
ドロシー「……っ!!」
ドロシー(もう駄目…!私、友達と離れ離れになってこの知らない場所で殺されちゃうんだ…)ポロポロ
スッ
???「お嬢ちゃん、こっちにいらっしゃい」ユラッ
ドロシー「えっ、でも、えっと…あ、あの。あなたは…?」
???「知りたい?うふふ、後で教えてあげるわね。そんな事よりも今はあの人たちから逃げる事の方が大切なんじゃない?違う?」クスッ

129 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/31(土)00:16:11 ID:HL3
・・・
町人2「おかしいな、こっちの角に逃げ込んだと思ったんだが」キョロキョロ
町人3「俺も見たぞ、そんなに遠くに逃げていない筈だ。どこか近くに隠れているのかもしれないぞ」
スッ
???「今日も清々しい程良い天気…こんな日はきっとお月さまも美しく輝くわね、陽が落ちるのが楽しみ」ウフフ
町人1「月?何者だ君は…?いいや、そんな事はどうでもいい。この辺りで怪しい小娘を見なかったか?怪我もしてないのに血まみれで、きっと既に何人か殺してる凶悪犯だ」
???「見たわよ?見た事の無い着物で、血まみれだったわね…でもとても可愛らしい女の子、でも泣いて居たわ」
町人2「おっ、見かけたのか!?俺達が捜している奴に違いない、どこに逃げたのか教えてくれ!」
???「そうねぇ、教えるのはあまり気は進まないわね。だって教えても意味が無いと思うから、何も見えなくなるでしょうし」ウフフ
町人3「? あんた何を言って…」
ピカッ!
町人達「うおっ!?なんだ!?突然閃光が……クソッ、前が見えねぇ!」フラフラ
???「ウフフ、ほぉら言った通りでしょう?しばらくは何も見えないと思うけれど、泣いている女の子を寄ってたかって追いかけた罰だと思ってなさいね」フフフ
ドロシー「……」ポカーン
???「ほらっ、お嬢ちゃん。早く逃げましょ、急がないと彼らの目が慣れてきちゃうわ」フフッ
ドロシー「あ、あの、はいっ!えっと、助けてくださってありがとうございます。私の名前、ドロシーって言います。あの、あなたのお名前は…」タッタッタッ
???「ドロシーちゃん…なるほど、でも随分と前に【オズの魔法使い】は消滅していたはずだけれど。どこか別のおとぎ話の世界に居たのかしら?」クスクス
ドロシー「なんでその事……えっと、それはあまり、思い出したくない事で……」
???「そう。だったら聞かないで置くわね、誰にでも内緒にしたい事はあるもの。あぁ、ごめんなさいね、名前を聞いてくれたのに申しおくれてしまったわ」ウフフ
かぐや「私の名はかぐやよ、覚えておいてくれると嬉しいわ。でもおしゃべりは後にして今は逃げましょう。それにあなたの着物も何とかしなければいけないわ」フフッ

130 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/31(土)00:18:29 ID:HL3
今日はここまでです
本編に書くべきだったけどアリスはドロシー達を適当に世界移動させたので各々の移動先は意図していないものです
ここまでに出たおとぎ話紹介
【こびとの靴屋】
グリム童話のひとつ。真面目な靴屋と靴作りの妖精が登場する優しい世界のおとぎ話
真面目だけど貧しい靴屋のおじさんは靴の生地を切り出したところでうっかり眠ってしまいます。
しかし、目が覚めるとそこには立派な靴が出来上がっていました。
おじさんが寝ている間になんと小人が代わりに靴を作ってくれたのです。
おじさんがその靴を売ったお金で生地を買い、またうっかり眠ってしまうとその間にまた立派な靴が…というおとぎ話
このssでは名前での登場のみだけど、現実世界では司書の働く図書館に置かれるくらいには知名度があるようです
かぐや姫とオズの魔法使い編 次回に続きます


131 :名無しさん@おーぷん :2015/10/31(土)00:26:14 ID:se4
乙!
なんだか盛りだくさんでクライマックスに向けて突き進んでる感じ

132 :名無しさん@おーぷん :2015/10/31(土)00:27:37 ID:bx1
乙です!
うわぁ〜面白い組み合わせなところに飛ばされましたね!!
特にライオンと桃太郎って…(笑)
続き待ってます!

133 :名無しさん@おーぷん :2015/10/31(土)06:46:56 ID:i4h
乙!
ライオンと桃太郎クソワロタw

146 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/04(水)00:04:07 ID:Jyu
かぐや姫の世界 町はずれの小屋
かぐや「ここまで来ればもう安心よ。彼らもこんな辺鄙な場所まで追ってこないでしょう。さぁ、入って」スッ
ドロシー「あっ、お邪魔します…」ペコッ
かぐや「フフッ、狭いところですがどうぞ。…なんてね、そんなにかしこまらなくてもいいのよ?ここは貴族の屋敷でも帝の庭でもないんだから」クスクス
ドロシー「あっ、あの、助けて貰って本当にありがとうございました…!もしもかぐやさんが居なかったら…私、きっと捕まって、殺されちゃっていました」
かぐや「そうね、西洋生まれのあなたの姿はこの世界の人間にとっては少々刺激が強いわ。でも彼らも悪人ではないのよ、街を護るために一生懸命なだけ」
かぐや「とはいっても事情の一つも聞かずに、泣いている女の子を追いかけまわすなんて感心しないわ。まぁ私が灸をすえてあげたから大目に見てあげて頂戴」ウフフ
ドロシー「いえ、仕方ない事だと、思います…私はこの国の人とは髪の色も眼の色も違うから…それに血塗れでうろうろしてたら誰だって怪しいって思うし…」
かぐや「そうかしら?私の眼に映るドロシーちゃんは困り果てて泣きだしてる可哀そうな、ただの可愛い女の子だったわよ?」ウフフ
ドロシー「……私はもう、かぐやさんが言ってくれるようなただの女の子じゃないんです…数え切れないほどの世界で暴れて、いろんな人を傷付けて…罪の無い人をたくさん殺した…悪人なんです」
かぐや「……あら、そうなの?」
ドロシー「……あのっ、助けてくれてありがとうございました。でも、私、もう行きます」スッ
かぐや「何処へ行くつもり?どこか行くあてでもあるのかしら、無いのならしばらくここに身を置いていてもいいのよ?」
ドロシー「行くあてはありませんけど…私みたいな人殺しを匿っていたら、かぐやさんに迷惑がかかるから…ここには居られません。その優しい言葉だけ、いただきます」ペコリ

147 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/04(水)00:06:31 ID:Jyu
かぐや「待ちなさいな、そんなに慌てて出て行かなくてもいいでしょう。それに、その服のままこの辺りをうろつけばさっきの二の舞よ」
ドロシー「そ、そうかもしれませんけど、でも私…」
かぐや「ドロシーちゃん、さっき言っていたわね。罪の無い人をたくさん殺したって。いろんな人を傷付けたとも言っていたわ」
かぐや「あなたが本当に悪人なら、私に迷惑がかかるから出て行くなんて考えないわよ。むしろ好意を利用してやろうと考えるものよ、本当の悪人はね」ウフフ
ドロシー「…でも、私は確かに青ひげさんと奥さんを殺した…それに今まで夢の中の残酷な私が殺した人たちも全部…私のせいで…」ブルブル
かぐや「…なんだか深い事情があるようね。よかったら何があったのか、聞かせてくれないかしら?」
ドロシー「でも…こんな事言ったら巻き込んでしまうかもしれません…かぐやさんに迷惑がかかってしまうのは…嫌です」
かぐや「無理強いするつもりは無いけれど吐きだして楽になる事もあると思うわよ」
かぐや「少なくとも私は迷惑だなんて思わないわ、それに言葉にすることであなたが少しでも楽になるのなら私は月が昇って沈むまででもあなたの話を聞いてあげる」
ドロシー「……あの、うまく話せるかわかりません。それにかぐやさんを巻き込んじゃいますけど…でも、私は今の状況がとても辛くて…話を聞いてくれるのなら…かぐやさんに聞いて欲しいです」
かぐや「ええ、構わないわ。続けて、うまく話せなくっても構わないから」
ドロシー「…私はずっと夢を見ていたんです」
かぐや「…夢、ねぇ」
ドロシー「私がいろんな世界へ出かけて、その世界を消滅させる為や何かを奪う為に他人を平気で殺す…そんな夢です」
ドロシー「夢の中の好戦的で残酷な私は、いつだって誰かを傷付け殺していました。いつも愉快そうに笑いながら、楽しそうに蹴り殺すんです……なんの罪もない無抵抗な相手を」

148 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/04(水)00:08:01 ID:Jyu
ドロシー「アリスちゃんっていう友達と…いえ、友達だった子といろんな世界に行っていろんな人を殺してほしい物を奪っていたんです」
ドロシー「幸せを求めて旅する兄妹を襲って捕まえたり、願いが叶う道具を寄越せと迫ったり、片腕がカギ爪の海賊船長に魔法の力を貸して世界を滅ぼさせたり、狼を唆して近くの村の住人を食い荒らさせたり…」
ドロシー「アリスちゃんの目的のためにどんな悪いことだってしていたんです。夢の中の残酷なドロシーは私とそっくりだけど、全然違うんです」
かぐや「そう、それはあまり心地のいいものじゃないわね。それに、あなたの洋服が血まみれになっているのは夢の世界での出来事じゃ…ないわよね?」
ドロシー「…そうだったんです。私が夢の中の出来事だと思っていた事は全て、現実で起こっていた事だったんです…」
ドロシー「どうしてかはわからないんです。でも、私は残酷な性格になっている時があってその間の出来事を本当の私は夢だと思い込んでいたんです」
ドロシー「でも、違った。夢なんかじゃ無くて現実の世界で…私は大勢の人を殺していた、たくさんの世界を消していた…それを受け入れる事が出来ないまま、大切な友達と離れ離れになってしまって…」
ドロシー「アリスちゃんに無理矢理この世界に飛ばされて、困り果てているところを…かぐやさんが助けてくれたんです」
かぐや「なるほどね…魔法か魔法具の類で精神を操作されていたという所かしら。それにしても随分と残酷な事をする人も居たものね…」
ドロシー「私は、もう一度友達に会いたい。そして、私が知らず知らずのうちに犯していた罪と向き合わなくちゃいけなくて…覚えは無くても私自信の罪だからその償いをしなければいけなくて…」
ドロシー「でも、いろんな事が一度に起きてしまって何をどうすればいいのかわからないし…友達と再会する方法も罪を償う方法も解らない…どうしていいか、私一人じゃ何もできない…」
かぐや「だったら尚更、誰かを頼ればいいのよ。その相手が私だとしても、私は一向に構わないわよ?」
ドロシー「…かぐやさんは優しい人です。私の友達のブリキとかかしとライオンと一緒で、とても良い人です…だからこそ私は巻き込みたくないんです」
ドロシー「私の友達はみんな、残酷な性格になった私を受け入れてずっと一緒に居てくれたんです。きっと、その為にやりたくない悪事に手を染める事もあったと思うんです…私は知らず知らずのうちに友達を巻き込んでいたんです。そんな事はもう、嫌です…」
かぐや「……」
ドロシー「…だから私は…かぐやさんとはいられません。一人で、友達と出会う方法を考えます、なんとか…してみます」
かぐや「そう…あなたがその気持ちでいるのなら私は無理にとは言わないわ」

149 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/04(水)00:10:55 ID:Jyu
ドロシー「本当にありがとうございました、かぐやさん…優しい人にあえて、嬉しかったです…それじゃあ」スクッ
かぐや「……待って頂戴、あなたが出て行くというのなら私は止めない。だけど最低限の礼儀だけは通してほしいわね、ドロシーちゃん?」
ドロシー「えっ、えっと、礼儀…ですか?」
かぐや「そうね、私はあなたを追手から救ってあげたのだから、お礼の一つでも用意するのが礼儀と言うものじゃないかしら?」クスクス
ドロシー「あっ、お礼ですか…。でも、そうですよね…えっと、でも私、何も持っていなくて…魔法の靴も奪われちゃったから…」
かぐや「あら残念、でも私は強欲なのよ。とても物欲が強いの、だからなにかしらのお礼をしてもらうまではあなたを自由にはしないわよ?」ウフフ
ドロシー「えっ、えっと…それじゃあ何を用意したらいいですか…?私は一人じゃ何もできませんけど、お世話になったかぐやさんにはお礼したいです…」
かぐや「フフッ、いい心構えじゃない。そうねぇ…それじゃあ噂に聞く『燕の生んだ子安貝』を持って来てもらおうかしら」
ドロシー「『燕の生んだ子安貝』…ですか?えっと、それは何処に行けば手に入るんでしょうか、それにこの世界の燕は貝殻を生んだりするんですか…?」
かぐや「生まないでしょうね。何処の世界の燕も生むのは卵だけ、貝殻を生む生き物なんて存在しないわ」クスクス
ドロシー「じゃあそんなものこの世界のどこを探しても見つかりっこないんじゃ…。む、無理ですよそんなものを見つけるなんて…他のもので何とかなりませんか…?」
かぐや「あら、困るわね。私はあなたの命を助けてあげたのよ?それ相応のお礼をして貰わないとね、だから『燕の生んだ子安貝』以外は認めないわ」
ドロシー「ブリキ達が…いえ、友達が一緒に居てくれたら何とかなるかもしれないですけど……私一人じゃ、そんなのとても……」
かぐや「そう、それじゃあ代わりにドロシーちゃんには私の付き人になってもらおうかしら?」クスクス
ドロシー「付き人…?あの、それって一体、私は何をすれば……」
かぐや「難しい事じゃないわ、常に私の側に居て私の仕事のお手伝いをしてもらうだけよ。私はこう見えて色々と忙しいの、ちょうどお手伝いをしてくれる人を探していたのよ」クスクス

150 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/04(水)00:12:14 ID:Jyu
ドロシー「あの、それは出来ません…さっきも言った通り、私がかぐやさんの側に居たら、迷惑をかけてしまうから、だから……」
かぐや「そう、だったら『燕の生んだ子安貝』を探しだすしかないわね」クスクス
ドロシー「そんな…!」
かぐや「どちらかしか認めないわよ?付き人か子安貝か。それとも口では感謝してる風に言っても本当はそんなに感謝していないのかしら?」クスクス
ドロシー「そ、そんなことないです…!私はかぐやさんには本当に感謝しているんです…!」
かぐや「あらどうかしら?付き人はしたくない、子安貝を探すなんか無理…やりもしないでそんな風にすぐに諦めてしまうのに?」クスクス
ドロシー「わかりました…かぐやさんがそう仰るなら…私はかぐやさんへの感謝を証明します…。私、一生懸命かぐやさんの付き人やります…!」
かぐや「フフッ、それじゃあさっそく今夜の仕事からお手伝いをしてもらおうかしら。でもその前にその服をどうにかしなきゃいけないわね」
ガラガラッ
玉龍「ただいまーッス!あっ、かぐや来てたッスか?」
かぐや「あら玉龍、ちょうどいいところに帰ってきたわね。この子に服を貸してあげて欲しいのよ、私の着物じゃ引きずっちゃうものね」クスクス
ドロシー「あ、あのっ…かぐやさんの付き人のドロシーです、よろしくお願いします…!」ペコッ
玉龍「ドロシー…?どっかで聞いたような気がするッスね…?まぁいっか、うちは玉龍ッス、よろしくたのむッス!それよりえーっと、服を貸したらいいんスよね?」
かぐや「ええ、あなた何故か可愛らしい服ばかり集めてるじゃない?どうせ悟空には不評なんだから、ドロシーに一着譲ってあげたらどう?」クスクス
玉龍「何言ってるッスか!先輩のどんな好みにも対応できるようにするためにコレクションッスよ?貸すのはともかくあげたりしたら意味無いッス!」
かぐや「フフッ、まぁ適当にみつくろって貸してあげてちょうだい。ドロシーには色々と覚えて欲しい事もあるもの、私の付き人としてね」クスクス

151 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/04(水)00:15:16 ID:Jyu
町はずれの小屋 裏口
・・・
玉龍「あー、やっぱりこの世界のほうが落ち着くッスねぇー」
玉龍「おっ、柿が食べごろに熟してるッスね。先輩は柿好きッスからもいでおくッス」シュルッ
スタスタ
かぐや「あら、駄目じゃないの玉龍。お尻だけ龍に戻したりして…どこで誰が見ているかわからないのよ?」ウフフ
玉龍「誰も見てないッスよ。それに木登りも竹竿持ってくるのも面倒なんスよ、その点尻尾でしゅるっと取れば一瞬ッスからね!それより、あの付き人の娘はどうしたッス?ほっておいていいんスか?」
かぐや「なんだか着替えを見られたくないようだったから部屋に残してきたの。私にも特にそんな趣味があるわけじゃないから、何となく外の空気でも吸いに来たのよ。隣座ってもいいかしら?」
玉龍「もちろんッス。でも空気なんか吸っても味気ないッスよ?かぐやにも柿あげるッス、きっと甘いッスよ!龍の本能がそう告げているッス」スッ
かぐや「随分と熟しておいしそうね。玉龍、悪いけれどドロシーと…お爺様とお婆様の分も取っておいてくれる?」
玉龍「この玉龍ちゃんに任せておけッス〜!それより、珍しいッスね?かぐやが付き人を欲しがるなんて、自分の仕事には他人を係わらせないタイプだと思っていたッス」シュルル
かぐや「まぁ、本当はそうなんだけどね。あの子の境遇には少し思う所があったのよ、洋服が血塗れだったの…覚えてるでしょ?」
玉龍「もちろん、あんな衝撃的な姿忘れないッスよ。でもあの量はそうとうエグイ殺し方ッスよ?血の量でわかるッス、見かけによらず過激なんスかねー?」
かぐや「自分の意思とは無関係に…知らず知らずのうちに他人を殺してしまっていたらしいわ。そして人を殺した償いをしたいとも言っていた」
玉龍「過去の過ちの償いをしたいって事ッスか…。ははーん、わかったッスよ?そこがうちらと一緒だから声を掛けたんスね?」
かぐや「ええ、過去の過ちを悔いてその償いをしたい…でも方法がわからないと言っていたから理由を付けて引きとめたのよ。ほおっておけば良くない道に進んでしまいそうな気がしたから」
玉龍「なんだかかぐやはあの子には甘いッス。うちや先輩にはもっと辛辣ッスよ?ひいきは良くないッス」ニヤニヤ
かぐや「フフッ、そうかしら?でも、ドロシーはどこか私に似ているわ、むしろ過去の過ちの償いをしたいという所なんか一緒だもの」
かぐや「私も、過去の過ちを償うために……この星に居るんだものね」
・・・

152 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/04(水)00:17:18 ID:Jyu
現実世界 サイゼリヤ
店員「お待たせしました。イタリアンプリンのお客様ー」
司書「あっ、この子です。ほらグレーテル、こっちのお皿はもう下げて貰うね」ソッ
グレーテル「うん、ありがとう……プリンおいしそう……お兄ちゃん、はんぶんこしよ……」スッ
ヘンゼル「一人で食べてもいいんだよ?もうあの頃みたいに分け合って食べないといけないほど食べ物に困ってるわけでもないんだから」
グレーテル「ううん、お兄ちゃんと一緒に食べた方がきっと……ずっとずっとおいしいと思うの……」
店員(お兄ちゃん思いな子だなぁ。外国の女の子とお兄ちゃんかー、仲良さそうで可愛いなぁ……)ほっこり
店員「えっと…煮込みハンバーグのお客さまー」
キモオタ「あっ、こっちです」
店員「ご注文の品、以上となります。では失礼します」ペコッ
スタスタスタ
キモオタ「ドゥフフwwwようやく我輩のデザートが来ましたぞwww」コポォ
グレーテル「……現実世界ではハンバーグをデザートに食べるんだね……始めて知ったよ……またひとつ賢くなったね、お兄ちゃん……」モグモグ
ヘンゼル「…いや、なってないよ。キモオタお兄さん、妹の前で変な事するのやめてよ。グレーテルは純粋なんだから信じてしまうんだから」ギロッ
ティンカーベル「サイゼリアに来ると大体それやるよね。前に来た時もマッチ売りちゃんがキョトンとしてたよ……」
司書「ま、まぁたくさん食べられるのは良い事ですよ。現実世界は飢饉でも食料難でもないんです、お腹いっぱい食事ができるというのは幸せな事なんですから」ニコッ
キモオタ「司書殿が言うと言葉に重みがありますなwwwさてwww腹も膨れたことでござるしデザートでもつつきながら本題に入りますかなwww」コポォ

153 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/04(水)00:19:28 ID:Jyu
キモオタ「前提として…我輩とティンカーベル殿が旅を始めた経緯とこれまで出会ったおとぎ話の住人との事は、食べながら話した通りでござるよ」
ティンカーベル「そうそう、あとアリスの目的でわかってる事やあいつらの戦力っていうかどんな魔法具持ってるかも知ってる限りは言ったよね」モグモグ
司書「はい、キモオタさん達の旅の事は概ね理解出来ました。ティンクちゃんは元々【ピーターパン】を元に戻す為に旅に出たんだよね?」
ヘンゼル「元居たおとぎ話をわざわざ救うなんて、僕には理解できないけどね…」
ティンカーベル「ヘンゼルには理解できなくても私には大切なことなの!ピーターパンにもう一度会いたいしさ…あっ、でもフックの奴は全力でぶん殴る。十回くらい」フンフンッ
キモオタ「まぁそれはさておきwww先ほどお話したとおり、アリス殿を止める為に色々なおとぎ話の登場人物が協力してくれているのでござるwww故に我々も色々と情報を集めて戦いに備えているのでござるwww」
グレーテル「いろんなおとぎ話の人たちが協力してくれてるんだ……キモオタお兄ちゃんが良い人だからみんな手伝ってくれるんだね……たしか女王さまも協力してくれてるんだっけ……」
ヘンゼル「危険な事には間違いないのに女王はなんで勝手にそんな事決めたんだろうね。僕達に一言声かけてくれたっていいのに…」
司書「私達を不安にさせちゃうから黙っていたんだと思うよ。でも困ってるおとぎ話の住人の為に手助けをしているなんて女王様らしいと思わない?」
ヘンゼル「まぁ、思うけどさ。でも僕達も一緒に戦うって言ってもどうせ許してくれないんだよ、子供がする事じゃないとか言ってね」
ティンカーベル「でも元の【雪の女王】だと敵役っぽいのに、女王様ってみんなの話聞いてるとすっごく優しい人なんだね!」
ヘンゼル「うん、優しいよ。でも氷系のお仕置きする時だけはまぁ、うん……恐いけど」
グレーテル「……」コクコク
司書「間違っても感情的になって怒鳴ったりはしなかったけど…。そうね、お仕置きの時は…うん…」
キモオタ「ちょwww満場一致で怒ると恐いタイプではござらんかwww」コポォ

154 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/11/04(水)00:20:32 ID:Jyu
キモオタ「それはさておきwww司書殿には昨日の話の続きをしてもらいたいものですなwww」コポォ
司書「あっ、そうでしたよね。確かおとぎ話【浦島太郎】にアリスちゃんが登場している事についてでしたっけ」
グレーテル「あのね、お話の途中でごめんなさい、だけど……聞きたい事あるの……」
キモオタ「ほうwwwなんですかなwww」」
グレーテル「キモオタお兄ちゃん……ラプお姉ちゃんの事……教えて……?怪我、大丈夫だったの……?」
キモオタ「おおっと、我輩とした事がwww報告していませんでしたなwww」
グレーテル「うん……ずっと聞こうとしてたの……ラプお姉ちゃん、私に優しくしてくれたから……心配……」
キモオタ「それは申し訳ない事をしましたなwwwでは実際にラプンツェル殿に付き添っていたティンカーベル殿に報告お願いするでござるwww」
ティンカーベル「うん!えっとね、ラプンツェルはショートカットになったよ!髪の毛短くても可愛かった!」フンス
グレーテル「……どういうこと?ラプお姉ちゃん、怪我は平気なの……?なんで今髪の毛の話……?」
キモオタ「ちょwwwティンカーベル殿wwwそれじゃあ伝わらないでござるよwww最初から順を追って説明せねばwww」
ティンカーベル「そうだよね、えっとね……」

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