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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」 かぐや姫とオズの魔法使い編

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Part1
1 :◆oBwZbn5S8kKC:2015/10/17(土)23:11:55 ID:ukB
???の世界 真っ暗な空間
ヘンゼル「……真っ暗だ、何も見えない。ここは何処なんだろうか?」キョロキョロ
ヘンゼル「あの二人は無事なのかな、お千代!グレーテル!居ないのか?居たら返事をして欲しい!」
シーンッ…
魔女「フェッフェッフェ、どれだけ叫んでもあの二人にお前の声は届かんよ」スゥッ
ヘンゼル「お前は…お菓子の家の魔女!グレーテルに殺されたはずなのになんでこんな場所に居る!?二人に何をしたんだ!」
薄毛のおっさん「…ワシは何もしちゃあいない。だがお前の妹達はもう世界のどこを探しても存在しないのだ」スゥッ
ヘンゼル「今度はあんたか…!それよりその言葉、どういう意味なのか答えてもらうよ。返答しだいじゃあ僕はあんたを…」
ルンペン「おいおい、俺達を憎むのは筋違いだぜぇ?妹を失ったのはテメェの責任だぜ、お前が妹達を護りきれなかったんだからよぉ!」スゥッ
ヘンゼル「また姿が変わって…!やめてくれ、僕は妹を失ってなんかいない!あの二人は絶対に僕が幸せにする、どんな悪や不幸からも僕が護るって決めたんだ」
ルンペン「そうかよ、じゃあそこに転がってる娘はなんなんだぁ?」クックック
トサッ
グレーテル「ーー」グッタリ
ヘンゼル「グレーテル…!目をあけてくれ、どこか怪我をしているんじゃ…」サワッ
ヒンヤリッ
ヘンゼル「……っ!なんでお前、こんなに冷たいんだ……!これじゃあまるで……!」

3 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/17(土)23:17:13 ID:ukB
ヘンゼル「違う、そんなはず無いじゃないか。グレーテル…お願いだ!目を開けてくれ、いつものように僕の名前を呼んでくれ…!」ユサユサ
グレーテル「ーー」ユサユサ
ヘンゼル「なんでだ……どうして何も答えてくれないんだ……!」ポロポロ
アリス「当然だろうヘンゼル、死体は口を利くことなんかできないんだ」ストッ
ヘンゼル「アリス…っ!お前か、お前がこんな事をしたのか!?」キッ
アリス「違うよ、ボクじゃない。グレーテルを殺したのは現実世界の奴らだ、キミ達を利用する作者ども、子供を道具にする大人達。そして…妹を護りきれなかったキミ自身だ」
ヘンゼル「……っ!」
アリス「いくら凄まじい魔力を持っていてもキミは無力だ。実際、キミは今までの人生で何を護る事が出来た?」
ヘンゼル「……僕は、何一つ護れてない。グレーテルの笑顔も、パパさんの事も、お千代の事も、家族の事……何一つ!」
ヘンゼル「僕は無力な子供だ、でもそれを認めるわけにはいかない。パパさんと約束したんだ、僕は妹達を…二人の事を護るって、でも今の僕にはその力が無い…!」
アリス「そうだね、キミの魔力じゃ誰も護れない。いずれお千代や雪の女王、カイ…キミの大切な家族は争いに巻き込まれて死ぬかもしれない」
ヘンゼル「僕は、どうすればいい…?」
アリス「キミはもう知っているはずだよ、どうすれば力を手にする事が出来るのか……いや、キミは強くなる為に必要なものはもう持っている」
ヘンゼル「強くなる為に必要なもの…?それを僕が持っているっていうの?」
アリス「強くなる為に必要なもの…それは憎しみだ。キミの心に渦巻く大人への憎しみ、現実世界、そして大人達への憎悪。それを飼いならせばキミは今よりもずっと強くなれる」
アリス「僕と一緒に来るのならその方法を教えてあげるよ。さぁ、選択の時だ。僕と共に歩むか、護れもしない妹と一緒に居るのか…選ぶのはキミだよ」
スッ
ヘンゼル「待ってくれアリス!僕は、僕は妹達が傷つく姿はもう見たくない…!僕は、僕は強くなりたい……!」

4 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/17(土)23:18:34 ID:ukB
現実世界 司書の部屋
ヘンゼル「…待ってくれ!僕は、僕はあんたと……!」ガバッ
グレーテル「……っ」ビクッ
ヘンゼル「……」ゼェゼェ
ヘンゼル(夢を、見てたのか…。外はすっかり真っ暗だ、洗濯物を畳んでいる途中で眠っちゃってたのか)
グレーテル「……お兄ちゃん、どうしたの……?恐い夢、見たの……?」
ヘンゼル「…グレーテル、僕の側においで」スッ
グレーテル「うん……でもどうしたの……?」トテトテ
サワッ
ヘンゼル(大丈夫だ、グレーテルの肌はこんなにも暖かい。夢とはいえ、妹をとんでもない目にあわせてしまった。僕は酷い兄だ)
グレーテル「お兄ちゃん……?本当に大丈夫?どこか、痛いの……?昨日遅くまで起きてた……?」
ヘンゼル「いいや、平気だよ。少しおかしな夢を見ただけだ。昨日夜更かししてあれこれ考えていたからね、お前やお千代の事とか、キモオタお兄さんの事とかさ」
グレーテル「……お兄ちゃん、もしかして……なにか悩んでる事、あるの?困ってる事や気にしてる事があるなら……お兄ちゃんの悩み聞くよ?」
ヘンゼル「グレーテルは優しいね、でも大丈夫だよ。僕は何も悩んでなんかいないから心配しないで」ナデナデ
グレーテル「……本当?」
ヘンゼル(大切な物を何一つ護れてない事、今回の誘拐事件で何もできなかった事、不甲斐ない自分自身の事……悩みなんか言えないに決まってる、僕はグレーテルのお兄ちゃんだ。だから弱音なんか吐いちゃいけない)

5 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/17(土)23:21:20 ID:ukB
ヘンゼル「本当だよ、僕の心配なんかしなくていいから早く洗濯物を片づけよう」スッ
グレーテル「あのね、お兄ちゃん……一人で悩んじゃダメだよ……?」
ヘンゼル「……」
グレーテル「私もお千代ちゃんもいつだってお話聞くよ……?私達じゃ頼りにならなかったら……女王さまやカイお兄ちゃんも、きっと悩み事聞いてくれるの……」
ヘンゼル「フフッ、ありがとうグレーテル。でも、大丈夫だよお兄ちゃんは何も悩んでなんかいない。本当さ」ナデナデ
グレーテル「大丈夫ならいいの……お兄ちゃんはいつだって私の事考えてくれてるから……悩み事があっても私には言えないんじゃないかなって……思ったの……」
ヘンゼル「グレーテルは優しい子だね。僕はこれから先もずっと、お前が幸せなままでいられるように頑張るから…だから何も心配いらないんだよ」ナデナデ
グレーテル「あのね、お兄ちゃん……私ね、これ以上何もいらないの。だから私の側にずっと……」ボソボソ
ガチャッ
司書「ただいまー。ごめんヘンゼルー、新しい本運ぶの手伝ってくれるかなー?下の階で宅配便屋さんに会って、注文してた本受け取ったんだけど…量が多くて大変なのー」
ヘンゼル「わかった、すぐに行くよー!…っと、ごめん。グレーテル今、何か言いかけた?よく聞き取れなかったんだけど…」
グレーテル「……ううん、なんでもないの。お千代ちゃんのお手伝いに行こう……」
ヘンゼル「そうだね、どうせまた考え無しに本を買い込んだに決まってる。もしそうなら、女王の代わりに説教してやらないと」フフッ
スタスタスタ

6 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/17(土)23:23:49 ID:ukB
グレーテル「やっぱりたくさん本買ってる……お兄ちゃんが言った通りだね……」
司書「えへへ、少し買いすぎちゃったかな?昨日も童話展で絵本買っちゃったし…しばらくは本を買うのは我慢だね」
ヘンゼル「それ先週も言ってたじゃないか。またこんなに買って…図書館に入荷した奴を読めばいいのに。床が抜けて怒られても知らないからね、僕は」フゥ
司書「で、でも読みたい本を我慢するのって凄く辛いし、Amazonってすごく便利だし…司書の私が図書館に入荷した本を一番に借りるのもおかしいし…」ズーン
ヘンゼル「わ、わかったから悲しそうにするのは勘弁してよ。とりあえずお千代の部屋に運べばいい?」
司書「うん、机の上…はきっと置けないね、ベッドの上にお願いしていい?」スッ
グレーテル「うん、わかった……あんまり持てないけど、私もお手伝いする……」
司書「二人ともありがとうね。そうだ、これが終わったらグレーテルは髪の毛結ってあげるよ。今日はこれからおでかけだからおしゃれしようね」ニコニコ
グレーテル「おしゃれ……あのね、髪形……ラプお姉ちゃんが結ってくれたみたいに出来る……?」
司書「昨日ラプンツェルさんに結ってもらった髪型だね、うん似た感じならできるとおもうよ」ニコニコ
ヘンゼル「それはいいけど、おでかけって…こんな時間に?どこにいくつもりなの?」
司書「うふふっ、おでかけって言っても夕飯を外食で済ませるだけだよ。近くのサイゼリヤにね」
ヘンゼル「ああ、そう言う事。でもレストランに行くくらいでおしゃれなんか必要なの?」
司書「せっかくの外食なんだからおしゃれして楽しく過ごした方が楽しいよ、きっと」
グレーテル「私もそう思う……ご飯は楽しい方がいいの……おしゃれ、大事……」
ヘンゼル「そういうもの?まぁ、僕は二人と食事ができるならどこだっていいし、なんだってかまわないけど」
司書「うふふっ、二人ともこの世界のレストラン慣れてないから楽しみだね。きっと楽しい夕飯になるよ」ニコニコ


7 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/17(土)23:26:08 ID:ukB
現実世界 サイゼリヤ
キモオタ「ヘンゼル殿ー!グレーテル殿ー!お待ちしておりましたぞwww」ドゥフコポォ
ヘンゼル「……」
司書「キモオタさんごめんなさい、お待たせしちゃいました?ちょっと出がけにバタバタしてしまって」ペコッ
キモオタ「いやいやwwwまったく問題ないですぞwww我輩の方からお誘いしたのでござるから、少々待つくらい何でもないですぞwww」コポォ
ティンカーベル「とか言って、もうドリンクバー何度も往復してるくせに…あっ、グレーテルその髪形可愛いねっ!」ニコニコ
グレーテル「うん……お姉ちゃんに……お千代ちゃんに結ってもらったの……褒めてくれて嬉しい……」テレテレ
キモオタ「ドゥフフwwwグレーテル殿はキュートガールですなwwwさぁさぁ座るでござる、サイゼリヤはパスタもピザもハンバーグも絶品でござるwwwほい、メニューでござるよwww」スッ
グレーテル「お豆のスープ、あるかな……?」ストッ
キモオタ「スープは無いでござるが、豆料理なら温サラダがありますぞwww頼むでござるよwww」
ティンカーベル「ほらほら、司書さんもヘンゼルも座って座って!」
ヘンゼル「……」チラッ
キモオタ「どうかしましたかなヘンゼル殿www今、あからさまに目があったでござるがwww」コポォ
司書「ほら、ヘンゼルも座ろう。何を注文するのか決めなきゃ」
ヘンゼル「僕の分は、お千代が適当に選んでおいてよ。僕はそれよりも……」
スッ
ヘンゼル「キモオタお兄さん、僕はあんたと二人で少し話がしたい」

8 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/17(土)23:29:03 ID:ukB
司書「ヘンゼル…?」
ヘンゼル「駄目?店の前にベンチがあったでしょ、そこでさ」
キモオタ「ほうwwwいいですぞwww男同士の語らいでござるなwww」スッ
グレーテル「お兄ちゃん……キモオタお兄ちゃんは悪い人じゃないよ、だからもう酷いことしちゃ……駄目だよ……?」ヒソヒソ
ヘンゼル「平気だよ、お前が心配してるような事にはならないから。さぁ行こう、キモオタお兄さん」
キモオタ「承知しましたぞwwwおおっと、ティンカーベル殿www我輩いつものメニューにするでござるので、注文は頼みましたぞwww」コポォ
ティンカーベル「わかったー、ミックスグリルとラージライスとラージライスだよね?私は店員さんに伝えられないから、司書さんお願ーい」フワフワ
司書「あっ、うん…それはいいけど…」
ヘンゼル「じゃあちょっと席をはずすよ」スッ
キモオタ「では後ほどwww」コポォ
スタスタスタ
グレーテル「行っちゃったね……なんのお話なんだろう……気になる……」
司書「私がキモオタさん達も一緒だって言わなかったから怒ってるのかな…?ヘンゼルは現実世界の人や大人を嫌ってるから、険悪な雰囲気にならなければいいけど…」
ティンカーベル「心配しなくても大丈夫だよ。昨日の戦いでヘンゼルはもうキモオタがどういう人なのかわかってくれたと思うんだ」
ティンカーベル「キモオタがただの気持ち悪いだけのオタクじゃないってわかったなら、大体の人はそうそうキモオタの事嫌ったりしないと思うなー、私は」
司書「うふふ、ティンクちゃんはキモオタさんの事とても信頼してるんだね」
ティンカーベル「そ、そんなんじゃないよ!一緒に居るから何となくわかるってだけだよ!それより早く注文しよ!帰って来た時にご飯無かったらキモオタがブヒブヒ喚いちゃうからさ」ケラケラ

9 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/17(土)23:30:48 ID:ukB
現実世界 サイゼリヤ前のベンチ
キモオタ「さてさてwww我輩のようなキモオタと語りたいとは酔狂ですなヘンゼル殿wwwどのような要件ですかなwww」コポォ
ヘンゼル「この食事会はさ…あんたがお千代を誘ったって言ってたよね。どうしてお千代を誘ったの?」
キモオタ「おおっとwwwやきもちですかな?wwwグレーテル殿の件といい、ヘンゼル殿は大概なシスコンでござるなぁwww」コポォ
ヘンゼル「はぐらかさないで欲しいな、僕は真面目に聞いてるんだ」
キモオタ「それは申し訳ないwww実は先ほど図書館に行ったのでござる。昨日の帰り道に司書殿からアリス殿にまつわる情報を聞いていたのでござるが、話の途中で司書殿の自宅に到着してしまいましてなwww昨日は最後まで聞く事が出来なかったのでござるwww」
ヘンゼル「話の途中なんだったっけ、そういえばそんなことも話していたね。それでその続きを聞きに行ったってことなんだね」
キモオタ「アリス殿と戦う我々にとって、あの者の情報は得過ぎという事は無いでござるし…現実世界に住む者の視点とおとぎ話の主人公の視点、両方から物事を見る事が出来る司書殿ならば我々が知らない情報を持っているでござろうし…」
キモオタ「故に司書殿の持つアリス殿の情報にはぶっちゃけ期待していたのでござるが、図書館に行ってみると妙に忙しそうでしてなwww仕事を邪魔するのもアレでござるし、では仕事の後にサイゼリアで食事でもと誘ったのでござるwww」
キモオタ「せっかくこうして出会えたでござるし、ヘンゼル殿やグレーテル殿ともいろいろと話したかったでござるwww丁度いい機会だと思いましてなwww」
ヘンゼル「……お千代に特別な感情があるわけじゃない。そう解釈してもいいの?」
キモオタ「ちょwwwまさかヘンゼル殿、我輩が司書殿の気を引く為に食事に誘ったとでも思ったのでござるかwww」
ヘンゼル「まぁね。いままでだってお千代の気を引こうとしてあれこれ手を尽くしてきた奴が居なかったわけじゃないし」
キモオタ「ほうwwwしかしヘンゼル殿は観察力に掛けますなwwwこんなキモいオタクにそんな度胸があるとでも?無いに決まってるでござろうwwwメタボでキモオタでコミュ障でブサメン、おまけに童貞というスペシャルコンボ状態ですぞ我輩はwww」コポォ
ヘンゼル「そんな風に開き直られても、反応に困るよ」
キモオタ「ヘンゼル殿の心配もわかるでござるが、我輩にとって司書殿とグレーテル殿はキモイ我輩相手でも嫌な顔せず声をかけてくれた優しい図書館司書と異国の少女でござる」
キモオタ「友人として親しくなりたいとは思うでござるが、それ以上の感情など無いでござるよwwwご安心をwww」

10 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/17(土)23:32:47 ID:ukB
ヘンゼル「そう…まぁ、その言葉を信用してみる事にするよ」
キモオタ「おおっとwww司書殿とグレーテル殿だけでなく、もちろん我輩はヘンゼル殿と親しくなりたいと思っておりますぞwww」
ヘンゼル「生まれた世界が違うどころか歳だって一回り以上離れてる僕と?不思議な事を言うね。何か企んでる?」
キモオタ「ちょwwwなんwwwでwww友人になるのに性別も年齢も関係ないでござるwww現実世界に住むヘンゼル殿と親しくなれば色々と捗りますからな、孤独を感じる事ももう無いでござるwww」
キモオタ「なにせ我輩、おとぎ話の世界では結構友人居るでござるけど、現実世界には友人居ませんからなwww」コポォ
ヘンゼル「悲しすぎでしょ、それ…」
キモオタ「ところがどっこい事実でござるからなwww」
ヘンゼル「キモオタお兄さんは本当におかしな人だよね。どうして何もなかったように僕と話ができるの?昨日、僕はあんたを殺そうとしたんだよ?普通は警戒すると思うよ」
キモオタ「自慢ではないでござるが、我輩は普通ではありませんからなwww常識の通用しないキモオタでござるwww」コポォ
ヘンゼル「本当に自慢じゃないね、なにそれ」クスクス
キモオタ「ドゥフフwww」
ヘンゼル「……昨日話した通り、僕は僕達を苦しめさせた作者が嫌いだ。そいつらが住む現実世界もね。それに何より大人っていう存在は信用できなかったしただただ憎らしかった」
ヘンゼル「現実世界に来てからも、その想いが薄れる事は少しも無かったよ。ルールやマナーを護れない大人もずるくて自分勝手な大人も当たり前のように溢れかえっていたから」
ヘンゼル「お千代が街で頭の軽そうな男に声を掛けられた事は一度二度じゃなかったし、グレーテルが知らない大人に声を掛けられた回数なんて片手じゃ足りない…」
キモオタ「司書殿は真面目な上に可愛いでござるし、グレーテル殿は良くも悪くも目立ちますからな。良からぬ事を考える大人も少なからずおりますからな…嘆かわしい事でござるが」
ヘンゼル「だから僕はキモオタお兄さんを殺そうとしたんだ、僕が二人を護らなければまた大人達の良いように利用されてしまうと思ったから」
キモオタ「行動はともかくとして、そう思わせてしまう現実世界の我々にも大いに問題がありますな……」
ヘンゼル「僕は今だって現実世界も作者も大人も大嫌いだ。でも、お千代やグレーテルを助けてくれたキモオタお兄さんは少しだけ…少しだけだけど違うかもしれないって思ってる」
ヘンゼル「少なくとも、殺してしまおうなんて事は……今はもう、思っていないよ」

11 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/17(土)23:36:20 ID:ukB
ヘンゼル「グレーテルがアリスに酷いことされそうになった時、あんたは身体を張って助けてくれた。アリスに反撃されれば死ぬかもしれなかったのに、ひどい無茶をするよね」
ヘンゼル「でもその時に…なんていうのかな、ほんの少しだけパパさんの面影を見たんだ。キモオタお兄さんとは体型も顔も性格も何もかも違うけれど、それでも…自分が犠牲になってでも護ろうっていう気概は一緒に思えたんだ」
ヘンゼル「パパさんも、僕達に係われば村での立場が悪くなってしまうかもしれなかったのに、薄毛に言いがかりをつけられていた僕達を助けてくれたしね」
ヘンゼル「だから昨日帰ってから夜遅くまで色々と考えてた、そして思ったんだ…キモオタお兄さんはそこまで悪い大人じゃないかもしれないって。少しだけ、ほんの少しだけなら……信用してもいいんじゃないかって」
キモオタ「おお、ヘンゼル殿…!」パァァ
ヘンゼル「なんでそんなに満面の笑みなの。言っておくけど、すこしだけだからね?僕はキモオタお兄さんの事をなにからなにまで信用したわけじゃないから。あくまでほかの大人よりは少しは信用してもいいかもってだけで…」
キモオタ「とか何とか言ってwww大人をあれほど憎んでいたヘンゼル殿が我輩を認めてくれるとはwwwヘンゼル殿ルートに突入ですなこれwww」
スッ バチンッ
キモオタ「おぶっ!…ちょwwwデコピンに魔力を乗せて打ち出すのはずるいですぞwww」
ヘンゼル「調子に乗るからだよ。あんたがお千代やグレーテルを悲しませるような事をしたり、僕が信用に値しないと思ったらすぐに殺すからそのつもりでいてよ」フイッ
キモオタ「まったく心配性ですなwwwもちろん、わかっておりますぞwww」
ヘンゼル「それならいいんだ。あと、なんていうか、その…」
キモオタ「どうしましたかなwww」
ヘンゼル「昨日は、酷い事して悪かったって思ってる。許してくれなんて言わないけど…やりすぎた僕に非がある事は認める。ただあれは二人を護りたい僕の気持ちが本気だったからで…いや、これじゃ言い訳じみてる。言いたい事はそうじゃなくて…」
ヘンゼル「……昨日は僕が悪かった、ごめん」

12 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/17(土)23:42:32 ID:ukB
キモオタ「ドゥフフwwwヘンゼル殿ぉーwww素直に謝れるとは偉いですなぁwww我輩、ショタ萌えの気持ちが若干わかったような気がしましたぞwww」コポォ
ヘンゼル「くっ…慣れ慣れしくしないでよ。あんたは二人を助けてくれたから筋を通そうと思って謝っただけだよ。さっきも言ったけどまるっきりあんたの事信用したわけじゃ…」
キモオタ「はいはいwwwわかってるでござるからwwwもう我々の間に確執も貸し借りも何もありませんぞwww」コポォ
ヘンゼル「…まったく、パパさんにしろ女王にしろキモオタお兄さんにしろ、どうしてこうも気楽そうにしてるんだろうね。僕までつられてつい安心しちゃうじゃないか」ボソッ
キモオタ「何かいいましたかなwwwヘンゼル殿www」
ヘンゼル「なにも言ってないよ。僕の言いたい事は伝えた、お店の中に戻ろう」
キモオタ「そうですなwwwそろそろ我輩のミックスグリルが到着している事でござるwww急がねば某妖精のつまみ食い攻撃を受けてしまいますぞwww」
ヘンゼル「グレーテルはきっと僕達が戻ってくるまで料理に手を付けないだろうしね」
キモオタ「律儀というかwww兄想いと言うかwww我輩なんか料理が来たら光の速さで食事開始でござるよwww」
ヘンゼル「あんたと僕の妹を一緒にしないでよ。あいつは家族想いなんだよ、それに兄想いのよくできた妹なんだ」
キモオタ「グレーテル殿はヘンゼル殿にとても懐いておるようですしなwwwおそらく【ヘンゼルとグレーテル】で魔女の家にて離れ離れになっていた故に、ヘンゼル殿と一緒に居られない寂しさを知っているからでござろうなwww」
ヘンゼル「……そうかな?」
キモオタ「ん…?どういうことですかな?」
ヘンゼル「ねぇ、キモオタお兄さん。グレーテルやお千代は、僕が居なくなったら寂しいかな?」
ヘンゼル「二人を護るためって理由でも…しばらく僕が一緒に居られなくなってしまえば…二人は悲しい思いをするのかな?」

13 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/17(土)23:44:31 ID:ukB
キモオタ「ヘンゼル殿……?どうしたでござるか、そんな事を言いだして……」
ヘンゼル「……いいや、なんでもないんだ。忘れて」
キモオタ「……」
ヘンゼル「悪かったよ、変な事言って。さぁ戻ろうよ、料理が覚めてしまう」スッ
キモオタ「……ああっとwwwそういえば我輩猫舌なのでござるよwww少々料理が覚めた方が都合がいいでござるwww」コポォ
ヘンゼル「急がないとティンカーベルに食べられるんじゃなかったの?」
キモオタ「足りなければ追加で頼めばいいだけでござるwwwだからもう少し話してから行くでござるよwwwヘンゼル殿も、座って座ってwww」スッ
ヘンゼル「まぁ、いいけど…」スッ
キモオタ「…で、先ほどの返答でござるが…まぁこれは我輩の考えでござるけど、ヘンゼル殿が居なくなれば二人は寂しいでござろうな」
ヘンゼル「……」
キモオタ「家族と一緒に居られなくなって寂しくない者などいないでござるよ、それに二人ともなんというか…大切な家族に会えない気持ちを知ってるでござるしな。ヘンゼル殿も二人にあえないのは辛いでござろう?」
ヘンゼル「辛いさ。でも、今の僕じゃ……二人を護れないから」
キモオタ「……ふむ?護れないとは?昨日ヘンゼル殿は単身で司書殿の救出に向かい、そしてみごと救出したではござらんかwww」
ヘンゼル「僕はお千代を助けられてないよ。お千代を助けたのは拘束を解いたティンカーベルやアリスと戦った孫悟空やラプンツェル、グレーテル…そしてキモオタお兄さん、あんただよ」
ヘンゼル「僕は何もしていない。何も出来てないんだ」

14 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/17(土)23:46:31 ID:ukB
キモオタ「仮にヘンゼル殿が言うように、今のお主が二人を護れないとして……どうするつもりでござるか?何か考えがあるでござるか?」
ヘンゼル「……それは、言えない」
キモオタ「それならば聞かないでござる。ただ、聞いた感じだとヘンゼル殿は二人を護るための力を得る為にあの二人から離れると…そういうことですな?」
ヘンゼル「まだ悩んでる。僕だって二人とは一緒に居たい、でもそれは僕の我儘でそれを通せば二人を護る力は手に入らない」
キモオタ「お主が二人と一緒に居たいのなら、無理に力を得る必要は無いのではござらんか?」
ヘンゼル「でも力を得られなければ僕は子供のままだ。何もできないまま……二人が傷付いて行くのを見ることしかできない。そんなのは絶対に嫌だ」
キモオタ「お主は何故にそこまで……」
ヘンゼル「妹を護りたいのは当然だよ。その為に力が必要なら、僕は何をしてでもそれを手に入れないといけない」
キモオタ「二人の気持ちを聞いてみてはどうですかな?一人で悩んでいても仕方ないでござろう?もちろん我輩だって聞きますぞ、ヘンゼル殿さえ胸中を打ち明けてくれるのであれば」
ヘンゼル「僕は悩んでないよ。だから二人に余計な事を言わないでよね、僕はお兄ちゃんだから妹に心配を掛けちゃいけないんだ」
キモオタ「兄とか妹とか関係ないでござるよ、悩んでいるのならそれを打ち明けてキチンと話をして……」
ヘンゼル「……もういいよ、行こう。みんな待ってる」
キモオタ「しかし、ヘンゼル殿……」
ヘンゼル「いいから。ああ…そういえばグレーテルが昼間凄く心配していたからラプンツェルがどうなったか教えてあげてよ。あんたもお千代にアリスの情報、聞かなきゃなんでしょ?」
ヘンゼル「先に行ってるからさ、あんたもすぐに来なよ」スタスタ
キモオタ「……ヘンゼル殿」

15 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/10/17(土)23:49:02 ID:ukB
そのころ……
とあるおとぎ話の世界 ある貴族の洋館
タッタッタッ
ドロシー「ハァハァ……ここまで逃げれば、もうあの人たち追いかけてこないかな……?」ゼェゼェ
カツッカツッカツッ
ドロシー「足音…っ!やっぱりまだ追いかけて来てる…でももうこれ以上走れない、この部屋に隠れてやり過ごすしかないよね……」スッ
カツッカツッカツッ
ドロシー「とにかくあの男の人に見つからないようにしないと…そうしなきゃ、見つかれば私きっと殺されちゃう……このクローゼットの中なら見つからないかも……」ゴソゴソ
カツッカツッカツッ スッ
髭の男「ふむ、この廊下に姿は無し…か。彼女はこちらへ駆けて行ったと思ったのだが、私の見間違いだったかな?どう思うかね、我が妻よ」
新妻「いいえ、見間違いではありません。ドロシーと名乗った娘さんは確かにこちらへ駆けて行きましたから」
髭の男「ふむ…彼女は特徴的な靴を履いていたのだったな、あれほど立派な靴ならば駆ければ必ず靴音が響く。響かないと言う事はこの辺りに身を潜めているという事か」
新妻「この辺りの部屋のどこかに身を潜めているのでしょう……しかし、どの部屋に潜んでいるかまではわかりかねます」
髭の男「私も同意見だ、しかし一つ一つの部屋を探すのも面倒だ。ここは私の鍵に聞いてみるとしよう。我が鍵よ、侵入者の魔力を探知し…その居場所を我に示せ」スッスッ
…カチャカチャン
髭の男「我が魔法の鍵が告げている、ドロシーはどうやらそこの部屋の中に隠れているようだ。ついてきたまえ、我が妻よ」ギィッ
ドロシー「……っ」ガクガクブルブル

元スレ:キモオタ「ティンカーベル殿!おとぎ話の世界に行きますぞwww」八冊目
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1445091115/

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