キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」 人魚姫編
Part8
Part1<<
Part4
Part5
Part6
Part7
Part8
Part9
Part10
Part11
Part12
>>Part22
評価する!(2575)
キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」一覧に戻る
評価する!(2575)
キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」一覧に戻る
341 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)22:36:27 ID:QTZ
海底 珊瑚の王宮
執事魚「姫様…!またそのような痛々しいアザを…!すぐに手当を致します!」
髪の美しい人魚「いいえ結構、喉は無事ですから。私はディーヴァです、歌うことが出来れば腕の傷など……それよりも明日の仕事の準備を……くっ!」ズキッ
執事魚「無理をなさらないでください!腕もまともに動かせていないじゃないですか!」
髪の美しい人魚「……これは不甲斐ない私への罰です。お父様の期待を裏切った罰……」
執事魚「国王様は何事も私情を挟まず国家のために邁進する立派なお方…とはいえ娘である姫様をここまで強くぶつ必要は無いでしょうに……」
髪の美しい人魚「この程度の痛み、国民の多くを失ったお父様の痛みと比べれば……人魚全体の苦しみと比べれば……些末なものです」
執事魚「とは言いましても痛いものは痛いですよ…」
ペタペタ
執事魚「…はい、治療は済みました。疼くようでしたら鎮痛剤をお飲みくださいね」スッ
髪の美しい人魚「……一つ聞かせて欲しいの、国王に従属するものとしてでなく……私の執事として」
執事魚「はい、なんでしょう…?」
髪の美しい人魚「……私は存在価値が無い人魚なのでしょうか?」ボソッ
342 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)22:37:47 ID:QTZ
執事魚「姫様……お気を確かに。国王様は姫様の為を思うがこそ厳しく接しておられるのです。厳しいお言葉も姫様を思えばこそなのです」
髪の美しい人魚「それは……理解しています。ですが私は本当にディーヴァとして海の平和を守れているのでしょうか…?」
髪の美しい人魚「お父様のなさることは全て正しい。私も全力で国の為に尽力してきたつもりです…しかしふと、自信を失ってしまって…」
執事魚「お気持ちはわかります、でも大丈夫です!自信持ってください。姫様のおかげで我々海の仲間は平和に暮らせているんです」
執事魚「もしもお疑いでしたら外の景色をご覧ください、海底に広がるこの豊かな自然と、平和に暮らす人魚の民や我々魚類達の姿を!」
髪の美しい人魚「そうですね……私たちの住むこの世界はいつも美しい。大勢の人魚が笑顔で行き交い、この雄大な海に生きる全ての生き物達と争うことなく暮らしているのですね」
執事魚「そうですとも!こんな光景陸じゃ見れませんよ、愚かな人間は他の動物を食べるために殺しているっていうんですから、信じられませんよ」
髪の美しい人魚「あまりに野蛮……そのような蛮行がまかり通っているから海を荒らし、人魚を殺すのですね…!」
執事魚「ええ、まったく理解できません……」
髪の美しい人魚「どこまでも野蛮で残酷な種族…!私の友人達も、そして大勢の人魚もあの卑劣な人間共に殺された…!」
343 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)22:39:02 ID:QTZ
執事魚「あの種族だけは絶対に許せませんよね…!この王国も十年ほど前までは人間に多くの人魚が殺され、海が荒らされていましたからね…しかし今では被害は見違えるほどに減少しました!」
執事魚「それは姫様の歌声のおかげです!貴方様がこの海域に立ち入る愚かな人間を駆逐してくださるおかげでどれだけの海の仲間が…そして人魚が救われているか!」
髪の美しい人魚「本当に……私の歌声は、大勢の人魚を救えているでしょうか?」
執事魚「もちろんです!」
髪の美しい人魚「ありがとう……情けない姿を見せてしまいましたね、もう大丈夫です」
執事魚「いいえ、情けないだなんて…姫様は海を守る正義の歌姫!どうか胸を張ってください!」
髪の美しい人魚「ええ、ありがとう」ニコッ
髪の美しい人魚「……それと、お行儀が悪いですよ?立ち聞きなんかせず出てきなさい人魚姫」
人魚姫「……」スッ
執事魚「に、人魚姫様!?いつからそこに…!?」
髪の美しい人魚「ほんの少し前、人間共がいかに野蛮か話していた頃からでしょう。そんな風にこそこそとしてやましいことでもあるの?」
人魚姫「やましいことなんか無いんですけど?……っていうかマジで意味わかんない」イライラ
344 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)22:40:22 ID:QTZ
髪の美しい人魚「……何の事を言っているのかしら?」
人魚姫「姉ちゃんの事を言ってんの!その腕……またアイツに殴られたっしょ!?アイツ、マジ許せない…!」
髪の美しい人魚「人魚姫!お父様のことをアイツなどと…!訂正しなさい、失礼ですよ!」
人魚姫「アイツの言いなりになったりしてどうかしてんだよ姉ちゃんは!アイツはあたし達の事を道具だとしか思ってない!歌声で人間を殺す兵器!だから姉ちゃんの事だって平気で殴ったりできんだよ!」
髪の美しい人魚「お父様は誰よりも私達人魚のことを考えておいでです!それだというのにそんな失礼な物言いを…!お父様に申し訳ないと思わないの!?」
人魚姫「思わないね、だってあたしは間違ってないじゃん!あの人がおかしいんだよ!」
髪の美しい人魚「人魚姫……あなたはお父様を誤解してます。きっと、ディーヴァへの理解が浅いからそのような考えに至るのでしょうね」
人魚姫「誤解?違うじゃん!ディーヴァこそアイツの言いなりで動く兵器じゃん!」
髪の美しい人魚「いいえ、ディーヴァは正義の歌姫…海の平和と人魚の平穏を守る者。そして野蛮な人間を征伐する役割を担う誇り高い役目」
髪の美しい人魚「そしてもう人間に襲われる人魚が現れないよう、先手を打ち人間を駆逐する平和の要といえる役目」
髪の美しい人魚「その要が醜態を晒せば人間の思うがままにされてしまう……ディーヴァのミスが大きな嘆きと悲しみを生み出す。不手際があれば相応の罰則があって然るべきです」
345 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)22:43:11 ID:QTZ
人魚姫「だからそもそもそれがおかしいって言ってんの!人間にだって良い人いるじゃん!だから他の方法をさ」
髪の美しい人魚「あなたはまだ若いからそんな夢物語を恥ずかしげもなく口にするけれど……一体、どれくらいの人魚がそれに賛同すると思う?」
髪の美しい人魚「殺された人魚には家族がいる、友達がいる、志を同じくする仲間がいる…残された人魚はその悲しみを背負って生きていくのです、憎しみと一緒にね。人間を許せる人魚なんて貴方を含めても片手の指で足りるわよ?」
人魚姫「だから…人魚を殺した人間は一部の悪い人間で…!」
髪の美しい人魚「それはあなたの希望でしょう。仮にそうだとしても…人間にとっては殺す人魚は誰でも構わなかった。ならば私達も自衛の為に人間を殺すとなったとき、その人間が善人だとか悪人だとか考慮する必要はないでしょう」
髪の美しい人魚「先に無差別な殺戮を始めたのは人間。そんな輩に同情するなんて、あなたの方こそどうかしているわよ?」
人魚姫「同情じゃない!私は人魚と人間が共存する方法が…」
髪の美しい人魚「そんな事を口にするのはやめてちょうだい。あなたの友人の何人かは人間にさらわれたのでしょう、そんな輩と共存?」
人魚姫「だって赤z……人間だって、他の種族だってそれを望んで…」
髪の美しい人魚「はぁ…あなたももう15歳でしょう?いつまでも夢のようなことを言っていてはダメなの、貴方は明日の誕生日で栄えあるディーヴァになるの、そんなことじゃあ困るのよ」
人魚姫「…もういい!!姉ちゃんはきっといつか後悔するんだから……!!」ザバザバ
執事魚「あ、人魚姫様…!すぐに追いかけましょう、あんな状態の人魚姫様を国王様に見つかってはまた姫様に責任が……!」
髪の美しい人魚「……困った妹。いいわ、今日だけは好きにさせてあげましょうこの海の支配者はお父様ですもの、どれだけ反抗しても決して逃げ切ることは出来ない。行くあてだってないんだもの、じきに戻ってくるでしょう」
髪の美しい人魚「それに先に手を出したのは人間共、私達の殺戮にはあいつらのそれとは違い正義がある。私達人魚の行動は間違っていない」
髪の美しい人魚「あの子はそれがわからない……誰よりもその正義を執行する歌声を持っているのに……それなのにお父様に反抗して……」
髪の美しい人魚「お父様のなさることに間違いはない、私達姉妹はお父様の言うとおりにしていればいい…どうしてそれがわからないのかしら……」
346 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)22:44:55 ID:QTZ
翌日 人魚姫の誕生日
港町の菓子店
カランカラーン
赤ずきん「宿の主人が教えてくれたのはここね……」
赤鬼「おぉ、店中に甘い匂いが…どれもうまそうだ。やっぱりオイラの国の菓子とは全然違うなぁ、なんかこう華やかって感じだよな」
赤ずきん「あら、あなたの国の甘味も私は好きよ。ぜんざいだったかしら?あれは気に入ってるのよ」
赤鬼「おぉ、ぜんざいとは渋いな……」
店のおっさん「はいはい、いらっしゃーい、何をお探しで?」パタパタ
赤ずきん「友達の誕生日のお祝いにフルーツのタルトが欲しいの。オススメはあるかしら?」
店のおっさん「そうだなぁ、それならリンゴのタルトだな!今年は甘くていいリンゴが採れてるんだ、ちょっと地味だが味は保証するぞ」
赤鬼「ならそれを貰おう。あぁ、すまんが適当な大きさに切っておいて貰えるだろうか?あと支払いだが…いくらだ?」
店のおっさん「あいよ!えっと、じゃあリンゴのタルトひとつで……」カチャカチャ
赤ずきん「……」キョロキョロ
店のおばさん「あいよ、お嬢ちゃん。切っておいたからね、落とさないようにするんだよ」ニコッ
赤ずきん「ええ、ありがとう。…ところで少し聞きたいのだけど、構わないかしら?」
店のおばさん「ん?こんなおばちゃんでよけりゃあ何でも聞いとくれ」
赤ずきん「それなら聞かせて頂戴。あなた、人魚って知っているかしら?」
347 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)22:46:07 ID:QTZ
赤鬼「……どうした、赤ずきん?そんな事聞いて」
赤ずきん「…おばさんの知っている人魚のことで良いから教えて欲しいの」
店のおばさん「人魚ってあれだろう?下半身が魚で海に住むっていう……昔話に出てくるやつかい?」
店のおっさん「そういやぁガキの頃、おふくろの話す昔話によく出てたっけなー懐かしいなぁ、お嬢ちゃん昔話が好きなのかい?」
赤ずきん「…そうじゃないの、実際の人魚の話よ」
店のおばさん「実際って……」
赤ずきん「…姿とか、噂とか……なんでもいいのよ」
グイッ
店のおばさん「……お客さん、本当は人魚なんか居ないって言って良いのかい?お嬢ちゃんの夢を壊さないかい?」ヒソヒソ
赤鬼「…ん?本当は居ない…?」
店のおばさん「だってそうだろう、あんなのはただの伝説で作り話だ。実際には人魚なんか居ないんだから…でもお嬢ちゃんが信じてるなら夢を壊しちゃあかわいそうだろう」ヒソヒソ
348 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)22:49:50 ID:QTZ
赤ずきん「……どうなの?」
店のおっさん「あのなぁお嬢ちゃん、実はなぁ…あのおばさんは昔人魚だったんだ!」ババーン
赤ずきん「……」
店のおっさん「もう二十年以上は前かねぇ…俺達がまだ若かった頃、そりゃあもうアイツはこの街でも有名な美人でなぁ……波打ち際のマーメイドなんて言われてたんだぞー?」
赤ずきん「悪いけれど、そういうのが聞きたい訳じゃないのよ」
店のおっさん「それがもう今じゃアレよ、砂浜に打ち上げられたウミウシだよ。お嬢ちゃんはあんな風になるんじゃ…あいたたたたっ!」ギュー
店のおばさん「あんたはまた余計なこと言って!誰がトドだって!?」ギリギリギリ
店のおっさん「言ってねぇ!そこまで言ってねぇってのに!」
ギャーギャー
赤鬼「おい、こりゃあ一体…?」
赤ずきん「どうやら、最初に確認したとおり、この世界の人間にとって人魚はあくまで伝説……実在しない種族という認識のようね……」
349 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)22:51:30 ID:QTZ
海上 船の上
ギーコギーコ
赤ずきん「赤鬼、思い出して頂戴。私達がこの街で最初に話した旅人は人魚なんかいないと言っていたでしょう?」
赤鬼「おう、言っていたな。だがそもそも『人魚姫』のおとぎ話じゃあ人魚は人間に姿を見せられないんだ。だったら人間が人魚の存在を知らなくて当然……と、気にもとめなかったが」ギーコギーコ
赤ずきん「ええ、だから私もそのときは気にとめていなかったのだけど…」
赤鬼「だが人魚姫の話だと『不老不死を求める人間の手によって人魚が殺されている』という事だった……それだとおかしいよな」
赤ずきん「そうね、人魚側は仲間を襲う人間に憎しみを持っているけれど……人間は人魚の存在を信じてすら居ない。明らかに矛盾するわね」
赤鬼「人魚姫が嘘をついているようには見えんし、あの夫婦も隠し事をしているようには見えなかったからなぁ。最初にあった旅人もだ」
赤ずきん「あの菓子屋の夫婦、二十年以上昔からここに住んで居るみたいに言っていたけれど、その頃はまだここが港町として栄えていた頃……」
赤鬼「そうだな、大きな港町で流通するには物品だけじゃねぇ、情報だって行き交う。もしも人魚の肉で不老不死になれるなんて情報があれば…ましてや何十人もさらわれるなんて規模で人魚の捕獲が行われていたなら……」
赤ずきん「必ず、噂になっているはず。けれど噂どころか、人魚の存在すら認知していない。それを踏まえて考えれば、いくつかに可能性が考えられるけれど…」
赤鬼「悪い奴が内密に人魚を捕獲していたとかか?」
350 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)22:53:26 ID:QTZ
赤ずきん「そうね…人魚の存在を認知しているわずかな人間が存在していて、極秘で人魚を捕らえていた……というのは少し考えにくいわね」
赤鬼「それもそうだな……悪人が捕らえた人魚を売りさばけば必ず噂になる、例え貴族や王族相手に商売したとしてもさすがに全く情報を止めるなんて出来ねぇだろうしな」
赤ずきん「たとえば王族が極秘で捕獲していた……うーん、それだと一過性じゃなくて長い間人魚が捕らえられ続けている理由が説明できないわね。実際は不老不死にならないのだから、それが解ればもう人魚を捕まえる必要がないわけだものね」
赤鬼「どうにも難しいな……」
赤ずきん「あるいは……そもそも人間は人魚を捕らえていない。ただの誤解という可能性かしら?なんらかの事故を人間の仕業だと思いこんでいるとかね」
赤鬼「もしも、誤解だとしたら……悲惨だぞ」
赤ずきん「そうね……ただの誤解で憎しみ続けていたとしたらね。けれど、仮に誤解だとしてもこれも長い期間に渡って人魚が消えている理由が説明できないのよ…」
赤鬼「どちらにしても人魚姫にはまだ言わない方が良さそうだな」
赤ずきん「ええ、まだ黙っておきましょう。ただ、基本的に人間は人魚を認知していないというのは確実ね」
赤鬼「……なんつぅか、一筋縄じゃいかないもんが絡んでる気がするんだよな……」
赤ずきん「同感ね……厄介なことにならなければいいけれど」
ギーコギーコ
351 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)22:54:54 ID:QTZ
秘密の入り江
ズズッ
赤鬼「よし、舟はこれでよし。あとは火を焚いて湯を沸かして……薪は昨日桃太郎が集めてくれた奴がまだ使えるな」
赤ずきん「私も手伝うわね。それにしても人魚姫はまだ来ていないのかしら」
赤鬼「オイラ達も少し遅れちまったから人のこと言えないがな」ガハハ
ザバー
人魚姫「っていうかもう居るし!赤鬼も赤ずきんもチョー遅いんですけど!」
赤鬼「うおっ、驚いたな。海中に隠れていたのか?」
人魚姫「隠れてたんじゃなくてさ、待ってる間に貝殻集めしてた感じ?待ちすぎてこんなにたくさん採れたんですけどー?」ドッサリ
赤ずきん「遅くなったのは悪かったわ、けれど大目に見て頂戴。約束通り、甘いお菓子を用意してきたんだもの」フフッ
赤鬼「茶の支度もじきに出来る、船縁で待ってるといい」
人魚姫「おー、人間の世界のお菓子かぁ…!赤ずきんが準備してくれたんだし、食べるっきゃないっしょ!」ワクワク
352 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)22:56:08 ID:QTZ
赤ずきん「はい、リンゴのタルトよ。人魚姫、誕生日おめでとう」ニコッ
人魚姫「うんうん、あんがとね!で…リンゴ?なにそれ?タルトも初めて聞いたし」
赤ずきん「赤い果実ね、甘くて少しだけ酸っぱいの。それをバターや砂糖…小麦粉なんかを混ぜた物に乗せて焼いた物よ」
人魚姫「ふーん?よくわかんないけど美味しいことはわかったからいいや。っていうかチョーいけるねコレ」モグモグ
赤ずきん「……まぁ、気に入ったなら良かったわ。それと桃太郎からプレゼントを預かっているのよ」ゴソゴソ
人魚姫「プレゼント?桃太郎来れないって言ってたのに気が利くじゃーん!」ウキウキ
赤ずきん「はい、彼の住む日ノ本で使われているアクセサリーらしいわよ」スッ
人魚姫「へー、見たこと無いアクセじゃん。細長いけど、何の素材だろうこれ…木でも鉱石でもないっぽいけど……ねぇ、これなんて言う物なの?どうやって使うの?」ジッ
赤鬼「ガハハッ、人魚姫は装飾品のこととなると目つきが変わるなぁ…そいつはかんざしだ、オイラ達の国では人間の女が髪をまとめるのに使うんだ」
人魚姫「へぇー、かんざし…そういうアクセがあんだねー。なんか武器にもなりそうじゃん、刺さりそうだよねこれ」ヘラヘラ
赤鬼「おいおい、きっと上等な代物だぞ。大切にしてやってくれ」
人魚姫「そうなの?なんか気使わせちゃった?」
赤ずきん「そんなこと無いでしょう。『心ばかりの祝いの品だが、お主の夢が叶うことを願っている』って言っていたわよ、桃太郎」
赤鬼「贈り物にさり気ない激励の言葉を添えるとは、なかなかに男前だな桃太郎は」
赤ずきん「良い意味でも悪い意味でも周囲を気にしている彼だから、そういう気遣いは得意なのかもしれないわね」
人魚姫「ってか、男前ってどういう意味?」
赤鬼「若い奴は馴染みがない言葉なのか?まぁ、簡単に言うといい男って事だな」
人魚姫「なるほどね、じゃあイケメンのことじゃん!あっ、イケメンといえばさここに来る途中でマジでイケメンな人間見たよ」
353 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)22:58:47 ID:QTZ
赤ずきん「それって……もしかして立派な船に乗っていたかしら?」
人魚姫「そうそう!船もチョー豪華なやつでさ、あれきっと陸の上の王子か何かだと思うんだよねー。でさ、ちょっと見てたんだけどもうあたしのタイプでさー、桃太郎よりずっとイケメンでさー!まぁ桃太郎もイケメンだけどタイプの違うイケメンっていうか……」
赤鬼「……赤ずきん、そりゃあおそらく」ボソッ
赤ずきん「王子ね。今のところ、元の物語の筋にそっていると
いう事だけれど……」ヒソヒソ
赤鬼「うむ、気になることが多いが……王子を助けなければこのおとぎ話はこの時点で消えてしまうからな、気をつけねぇとな」ヒソヒソ
人魚姫「…ちょっと!折角話してんのになにヒソヒソしてんの?あーっ、あたしの話信じてないっしょ?」イラッ
赤鬼「いやいや、そういう事じゃなくてだな…」
人魚姫「もう、マジでイケメンだったんだって!…じゃあこうしよっ!今からその船の所まで行こう、そしたら二人とも信じるっしょ?」
赤鬼「いや、オイラ達はお前の話を信じてないわけじゃないんだぞ?ただ……」
人魚姫「いいから行くよ!どーせ赤鬼はあれっしょ?イケメンに嫉妬してるんでしょ?」ヘラヘラ
赤鬼「ぬぅ、赤ずきん…オイラは失礼なことを言われたと思うんだが…」
赤ずきん「何を気にしているのよ…どちらにしても私達が行かなければ彼女も来ないでしょう、早く船を出しましょう」スタスタ
赤鬼「まぁ、それもそうだな…じゃあ案内してくれ人魚姫」
人魚姫「オッケー!時間的にそんなに沖に出てないと思うから、しっかり着いてきてよ?」ザバザバー
354 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)23:00:26 ID:QTZ
海上 国の所有する船近く
ギーコギーコ
人魚姫「ほら、遠くに見えてきたっしょ?あの船、さっきは甲板のとこにイケメンが居たんだよね!」スゥー
赤ずきん「あなたさっきから何回イケメンって言うのよ……」
人魚姫「だって名前わかんないししかたないっしょ?じゃあ仮に王子って呼ぶ事にしよっかな」ヘラヘラ
赤鬼「仮も何もお前…というかあまり近くまではいけないぞ?この舟じゃあ近づきすぎると転覆しちまう」
人魚姫「えーっ?なんとかなるっしょ?」
赤ずきん「人魚のあなたと違って転覆でもしたら大事なのよ、ここから陸まで泳ぐなんて…私には、私達には無理よ」
355 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)23:01:13 ID:QTZ
人魚姫「それじゃ仕方ないかー……でももうちょっとくらいならいいんじゃね?」
ユラユラー
赤鬼「いや……やめておこう。あの船様子がおかしい」
人魚姫「ん……マジだね、あんなフラフラしてたら岩場に衝突しちゃうじゃん…!もしかしたら船になにか異常があったんじゃ……」
赤ずきん「あれ、船の向こう見てみなさい…!どうやらこちらには気がついていないようだけど」
ユラユラー
髪の美しい人魚「……」ザブンッ
赤鬼「あの人魚…ってことはこの船が沈む原因はあいつか!」
人魚姫「姉ちゃん……!じゃあこの船マジでヤバいじゃん…!もう姉ちゃんが歌った後なんだこれ!」
ユラユラー
ゴシャアアァァァ
356 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)23:03:35 ID:QTZ
ゴシャアァァァァ
赤鬼「岩場に衝突した!やべぇぞ!」
人魚姫「姉ちゃんの手口だ!船員みんな眠らせて岩場や他の船に衝突させる…!助けるっきゃないっしょ!」スィッ
赤鬼「助けるってお前…!オイラもそうしたいがきっとものすごい人数だぞ!?」
人魚姫「わかってる!とりあえず目を覚まさせなきゃマズイっしょ!あたしの歌を聴いた人間は『眠りから覚める』……!それっ!」ラーラララーララー
赤鬼「だが、流石にあの船の連中を救うのはこの小舟じゃあ無理だぞ!?」
赤ずきん「目が覚めたならなんとか瓦礫に捕まってでも耐えられる。私達は急いで港まで行きましょう!救助を呼べば助かるもの!」
赤鬼「ああ、急ぐぞ!しっかり捕まってろ赤ずきん!」ギコギコギコー
スゥー ゴボゴボゴボ
人魚姫「……っ!赤鬼!今、沈んでいく人影が見えた!引き上げなきゃ…!」
赤鬼「そっちは任せる!人魚姫!落ち着いたらあの入り江で落ち合おう!」ギコギコギコー
人魚姫「わかった!今助けるかんね…もうちょっと頑張ってよ?」
ザブンッ
357 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)23:06:28 ID:QTZ
ザバァッ
人魚姫「ハァハァ…間に合った…!」
王子「ゲホゲホッ……うぅ……」
人魚姫「この人、さっきのイケメンだ…なんとか意識はあるっぽいけど……とにかく陸に連れて行かないとマジヤバいかも…!」
ザバザバー
王子「うぅ……皆の者……無事で……ゲホゲホッ」
人魚姫「意識が朦朧としてるっぽいのに、他の人の心配してるなんて……ただのイケメンじゃないんだ」
王子「……皆を……救ってくれ……ゲホゲホ」
人魚姫「うんうん、任せて!あたしがみんなを助けるっきゃないっしょ…!」
ザバザバー
ザバザバー
ザバザバー
358 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)23:09:05 ID:QTZ
砂浜
人魚姫「ハァハァ……とりあえず、王子は意識もあるしここに寝かせておいて……と」スッ
人魚姫「あたしに足があれば…!でも、今そんなこと言っても仕方ないか」
王子「……うぅ、皆の者……ゲホゲホッ……」
人魚姫「安心して王子、赤ずきん達が助けを呼んでる!あたしも戻って、絶対あんたの仲間助けてあげるから」
王子「うぅ……ゲホゲホ」
ガサガサッ
人魚姫「誰か来た…!じゃあね、王子。あたしは船に戻るけど、きっと通りがかった人が助けてくれっからね!」
ザブンッ
王子「……ゲホゲホッ……ゲホゲホッ……」
ガサッ
359 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)23:19:04 ID:QTZ
ガサッ
ドロシー「おー、ずぶぬれ王子はっけーん♪」ヘラヘラ
ライオン「うわぁー、本当に居たよ。怪我してない?大丈夫かな?」オロオロ
ドロシー「こいつが人魚姫の相手かー…確かにイケメンかもね!まぁ私の好みじゃないけどー、とりあえず助けてやんなきゃねー」ケラケラ
ライオン「あわわ、王子様だいじょうぶかな!?体冷えるとまずいよ、まずは着替えさせてあげてから暖かくしてそれからそれから……!ああぁ!どうしよ!?まずいまずい!」ワタワタ
かかし「落ち着ケ!お前が取り乱してどうするんダ!とりあえずこいつを早く運ぶゾ!」
ブリキ「……ならば俺が抱えよう」グイッ
ドロシー「よろしくー!ブリキはやっぱ頼りになるぅー!」ヘラヘラ
ライオン「ぼ、僕も手伝うよ!頼りになるところドロシーちゃんに見せなきゃ、僕は勇気があるライオンになりたいんだからこういうときに頑張るんだ…!」
ドロシー「うんうん!ライオンのそういうとこ私好きだよー!」スリスリ
ライオン「え、えへへー」ニヘラッ
ドロシー「でも楽しみだよねー、赤ずきんと赤鬼に会うのがさ!あいつら私達がここに来てるって知らない訳じゃん?夢にも思わないわけよ、このおとぎ話で会うことなんかさ」
ドロシー「だから【人魚姫】も絶対消滅させないって信じてるんだよね、きっと!そーんな油断してるあいつらがさぁ……」
ドロシー「私達が王子を助けたって知ったら、どんな顔すると思う?あははっ!すっごい楽しみだなぁー」ヘラヘラ
360 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)23:21:49 ID:QTZ
今日はここまでです。レスサンクスー!
なんとなく火曜日更新になってるねw
ゲス王とかドロシー書くの楽しすぎワロタwww
人魚姫編 次回に続きます
362 :名無しさん@おーぷん :2015/03/31(火)23:36:14 ID:2Fd
乙です!アリスやドロシーの登場に期待してましたが、予想外過ぎです。
これからの展開は一体どうなるのやら…。
次回が楽しみです!!
385 :名無しさん@おーぷん :2015/04/07(火)21:37:47 ID:B1B
さぁて待望の火曜日です!
386 :名無しさん@おーぷん :2015/04/07(火)22:29:16 ID:PdT
ワクワク
海底 珊瑚の王宮
執事魚「姫様…!またそのような痛々しいアザを…!すぐに手当を致します!」
髪の美しい人魚「いいえ結構、喉は無事ですから。私はディーヴァです、歌うことが出来れば腕の傷など……それよりも明日の仕事の準備を……くっ!」ズキッ
執事魚「無理をなさらないでください!腕もまともに動かせていないじゃないですか!」
髪の美しい人魚「……これは不甲斐ない私への罰です。お父様の期待を裏切った罰……」
執事魚「国王様は何事も私情を挟まず国家のために邁進する立派なお方…とはいえ娘である姫様をここまで強くぶつ必要は無いでしょうに……」
髪の美しい人魚「この程度の痛み、国民の多くを失ったお父様の痛みと比べれば……人魚全体の苦しみと比べれば……些末なものです」
執事魚「とは言いましても痛いものは痛いですよ…」
ペタペタ
執事魚「…はい、治療は済みました。疼くようでしたら鎮痛剤をお飲みくださいね」スッ
髪の美しい人魚「……一つ聞かせて欲しいの、国王に従属するものとしてでなく……私の執事として」
執事魚「はい、なんでしょう…?」
髪の美しい人魚「……私は存在価値が無い人魚なのでしょうか?」ボソッ
342 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)22:37:47 ID:QTZ
執事魚「姫様……お気を確かに。国王様は姫様の為を思うがこそ厳しく接しておられるのです。厳しいお言葉も姫様を思えばこそなのです」
髪の美しい人魚「それは……理解しています。ですが私は本当にディーヴァとして海の平和を守れているのでしょうか…?」
髪の美しい人魚「お父様のなさることは全て正しい。私も全力で国の為に尽力してきたつもりです…しかしふと、自信を失ってしまって…」
執事魚「お気持ちはわかります、でも大丈夫です!自信持ってください。姫様のおかげで我々海の仲間は平和に暮らせているんです」
執事魚「もしもお疑いでしたら外の景色をご覧ください、海底に広がるこの豊かな自然と、平和に暮らす人魚の民や我々魚類達の姿を!」
髪の美しい人魚「そうですね……私たちの住むこの世界はいつも美しい。大勢の人魚が笑顔で行き交い、この雄大な海に生きる全ての生き物達と争うことなく暮らしているのですね」
執事魚「そうですとも!こんな光景陸じゃ見れませんよ、愚かな人間は他の動物を食べるために殺しているっていうんですから、信じられませんよ」
髪の美しい人魚「あまりに野蛮……そのような蛮行がまかり通っているから海を荒らし、人魚を殺すのですね…!」
執事魚「ええ、まったく理解できません……」
髪の美しい人魚「どこまでも野蛮で残酷な種族…!私の友人達も、そして大勢の人魚もあの卑劣な人間共に殺された…!」
343 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)22:39:02 ID:QTZ
執事魚「あの種族だけは絶対に許せませんよね…!この王国も十年ほど前までは人間に多くの人魚が殺され、海が荒らされていましたからね…しかし今では被害は見違えるほどに減少しました!」
執事魚「それは姫様の歌声のおかげです!貴方様がこの海域に立ち入る愚かな人間を駆逐してくださるおかげでどれだけの海の仲間が…そして人魚が救われているか!」
髪の美しい人魚「本当に……私の歌声は、大勢の人魚を救えているでしょうか?」
執事魚「もちろんです!」
髪の美しい人魚「ありがとう……情けない姿を見せてしまいましたね、もう大丈夫です」
執事魚「いいえ、情けないだなんて…姫様は海を守る正義の歌姫!どうか胸を張ってください!」
髪の美しい人魚「ええ、ありがとう」ニコッ
髪の美しい人魚「……それと、お行儀が悪いですよ?立ち聞きなんかせず出てきなさい人魚姫」
人魚姫「……」スッ
執事魚「に、人魚姫様!?いつからそこに…!?」
髪の美しい人魚「ほんの少し前、人間共がいかに野蛮か話していた頃からでしょう。そんな風にこそこそとしてやましいことでもあるの?」
人魚姫「やましいことなんか無いんですけど?……っていうかマジで意味わかんない」イライラ
344 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)22:40:22 ID:QTZ
髪の美しい人魚「……何の事を言っているのかしら?」
人魚姫「姉ちゃんの事を言ってんの!その腕……またアイツに殴られたっしょ!?アイツ、マジ許せない…!」
髪の美しい人魚「人魚姫!お父様のことをアイツなどと…!訂正しなさい、失礼ですよ!」
人魚姫「アイツの言いなりになったりしてどうかしてんだよ姉ちゃんは!アイツはあたし達の事を道具だとしか思ってない!歌声で人間を殺す兵器!だから姉ちゃんの事だって平気で殴ったりできんだよ!」
髪の美しい人魚「お父様は誰よりも私達人魚のことを考えておいでです!それだというのにそんな失礼な物言いを…!お父様に申し訳ないと思わないの!?」
人魚姫「思わないね、だってあたしは間違ってないじゃん!あの人がおかしいんだよ!」
髪の美しい人魚「人魚姫……あなたはお父様を誤解してます。きっと、ディーヴァへの理解が浅いからそのような考えに至るのでしょうね」
人魚姫「誤解?違うじゃん!ディーヴァこそアイツの言いなりで動く兵器じゃん!」
髪の美しい人魚「いいえ、ディーヴァは正義の歌姫…海の平和と人魚の平穏を守る者。そして野蛮な人間を征伐する役割を担う誇り高い役目」
髪の美しい人魚「そしてもう人間に襲われる人魚が現れないよう、先手を打ち人間を駆逐する平和の要といえる役目」
髪の美しい人魚「その要が醜態を晒せば人間の思うがままにされてしまう……ディーヴァのミスが大きな嘆きと悲しみを生み出す。不手際があれば相応の罰則があって然るべきです」
345 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)22:43:11 ID:QTZ
人魚姫「だからそもそもそれがおかしいって言ってんの!人間にだって良い人いるじゃん!だから他の方法をさ」
髪の美しい人魚「あなたはまだ若いからそんな夢物語を恥ずかしげもなく口にするけれど……一体、どれくらいの人魚がそれに賛同すると思う?」
髪の美しい人魚「殺された人魚には家族がいる、友達がいる、志を同じくする仲間がいる…残された人魚はその悲しみを背負って生きていくのです、憎しみと一緒にね。人間を許せる人魚なんて貴方を含めても片手の指で足りるわよ?」
人魚姫「だから…人魚を殺した人間は一部の悪い人間で…!」
髪の美しい人魚「それはあなたの希望でしょう。仮にそうだとしても…人間にとっては殺す人魚は誰でも構わなかった。ならば私達も自衛の為に人間を殺すとなったとき、その人間が善人だとか悪人だとか考慮する必要はないでしょう」
髪の美しい人魚「先に無差別な殺戮を始めたのは人間。そんな輩に同情するなんて、あなたの方こそどうかしているわよ?」
人魚姫「同情じゃない!私は人魚と人間が共存する方法が…」
髪の美しい人魚「そんな事を口にするのはやめてちょうだい。あなたの友人の何人かは人間にさらわれたのでしょう、そんな輩と共存?」
人魚姫「だって赤z……人間だって、他の種族だってそれを望んで…」
髪の美しい人魚「はぁ…あなたももう15歳でしょう?いつまでも夢のようなことを言っていてはダメなの、貴方は明日の誕生日で栄えあるディーヴァになるの、そんなことじゃあ困るのよ」
人魚姫「…もういい!!姉ちゃんはきっといつか後悔するんだから……!!」ザバザバ
執事魚「あ、人魚姫様…!すぐに追いかけましょう、あんな状態の人魚姫様を国王様に見つかってはまた姫様に責任が……!」
髪の美しい人魚「……困った妹。いいわ、今日だけは好きにさせてあげましょうこの海の支配者はお父様ですもの、どれだけ反抗しても決して逃げ切ることは出来ない。行くあてだってないんだもの、じきに戻ってくるでしょう」
髪の美しい人魚「それに先に手を出したのは人間共、私達の殺戮にはあいつらのそれとは違い正義がある。私達人魚の行動は間違っていない」
髪の美しい人魚「あの子はそれがわからない……誰よりもその正義を執行する歌声を持っているのに……それなのにお父様に反抗して……」
髪の美しい人魚「お父様のなさることに間違いはない、私達姉妹はお父様の言うとおりにしていればいい…どうしてそれがわからないのかしら……」
翌日 人魚姫の誕生日
港町の菓子店
カランカラーン
赤ずきん「宿の主人が教えてくれたのはここね……」
赤鬼「おぉ、店中に甘い匂いが…どれもうまそうだ。やっぱりオイラの国の菓子とは全然違うなぁ、なんかこう華やかって感じだよな」
赤ずきん「あら、あなたの国の甘味も私は好きよ。ぜんざいだったかしら?あれは気に入ってるのよ」
赤鬼「おぉ、ぜんざいとは渋いな……」
店のおっさん「はいはい、いらっしゃーい、何をお探しで?」パタパタ
赤ずきん「友達の誕生日のお祝いにフルーツのタルトが欲しいの。オススメはあるかしら?」
店のおっさん「そうだなぁ、それならリンゴのタルトだな!今年は甘くていいリンゴが採れてるんだ、ちょっと地味だが味は保証するぞ」
赤鬼「ならそれを貰おう。あぁ、すまんが適当な大きさに切っておいて貰えるだろうか?あと支払いだが…いくらだ?」
店のおっさん「あいよ!えっと、じゃあリンゴのタルトひとつで……」カチャカチャ
赤ずきん「……」キョロキョロ
店のおばさん「あいよ、お嬢ちゃん。切っておいたからね、落とさないようにするんだよ」ニコッ
赤ずきん「ええ、ありがとう。…ところで少し聞きたいのだけど、構わないかしら?」
店のおばさん「ん?こんなおばちゃんでよけりゃあ何でも聞いとくれ」
赤ずきん「それなら聞かせて頂戴。あなた、人魚って知っているかしら?」
347 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)22:46:07 ID:QTZ
赤鬼「……どうした、赤ずきん?そんな事聞いて」
赤ずきん「…おばさんの知っている人魚のことで良いから教えて欲しいの」
店のおばさん「人魚ってあれだろう?下半身が魚で海に住むっていう……昔話に出てくるやつかい?」
店のおっさん「そういやぁガキの頃、おふくろの話す昔話によく出てたっけなー懐かしいなぁ、お嬢ちゃん昔話が好きなのかい?」
赤ずきん「…そうじゃないの、実際の人魚の話よ」
店のおばさん「実際って……」
赤ずきん「…姿とか、噂とか……なんでもいいのよ」
グイッ
店のおばさん「……お客さん、本当は人魚なんか居ないって言って良いのかい?お嬢ちゃんの夢を壊さないかい?」ヒソヒソ
赤鬼「…ん?本当は居ない…?」
店のおばさん「だってそうだろう、あんなのはただの伝説で作り話だ。実際には人魚なんか居ないんだから…でもお嬢ちゃんが信じてるなら夢を壊しちゃあかわいそうだろう」ヒソヒソ
348 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)22:49:50 ID:QTZ
赤ずきん「……どうなの?」
店のおっさん「あのなぁお嬢ちゃん、実はなぁ…あのおばさんは昔人魚だったんだ!」ババーン
赤ずきん「……」
店のおっさん「もう二十年以上は前かねぇ…俺達がまだ若かった頃、そりゃあもうアイツはこの街でも有名な美人でなぁ……波打ち際のマーメイドなんて言われてたんだぞー?」
赤ずきん「悪いけれど、そういうのが聞きたい訳じゃないのよ」
店のおっさん「それがもう今じゃアレよ、砂浜に打ち上げられたウミウシだよ。お嬢ちゃんはあんな風になるんじゃ…あいたたたたっ!」ギュー
店のおばさん「あんたはまた余計なこと言って!誰がトドだって!?」ギリギリギリ
店のおっさん「言ってねぇ!そこまで言ってねぇってのに!」
ギャーギャー
赤鬼「おい、こりゃあ一体…?」
赤ずきん「どうやら、最初に確認したとおり、この世界の人間にとって人魚はあくまで伝説……実在しない種族という認識のようね……」
349 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)22:51:30 ID:QTZ
海上 船の上
ギーコギーコ
赤ずきん「赤鬼、思い出して頂戴。私達がこの街で最初に話した旅人は人魚なんかいないと言っていたでしょう?」
赤鬼「おう、言っていたな。だがそもそも『人魚姫』のおとぎ話じゃあ人魚は人間に姿を見せられないんだ。だったら人間が人魚の存在を知らなくて当然……と、気にもとめなかったが」ギーコギーコ
赤ずきん「ええ、だから私もそのときは気にとめていなかったのだけど…」
赤鬼「だが人魚姫の話だと『不老不死を求める人間の手によって人魚が殺されている』という事だった……それだとおかしいよな」
赤ずきん「そうね、人魚側は仲間を襲う人間に憎しみを持っているけれど……人間は人魚の存在を信じてすら居ない。明らかに矛盾するわね」
赤鬼「人魚姫が嘘をついているようには見えんし、あの夫婦も隠し事をしているようには見えなかったからなぁ。最初にあった旅人もだ」
赤ずきん「あの菓子屋の夫婦、二十年以上昔からここに住んで居るみたいに言っていたけれど、その頃はまだここが港町として栄えていた頃……」
赤鬼「そうだな、大きな港町で流通するには物品だけじゃねぇ、情報だって行き交う。もしも人魚の肉で不老不死になれるなんて情報があれば…ましてや何十人もさらわれるなんて規模で人魚の捕獲が行われていたなら……」
赤ずきん「必ず、噂になっているはず。けれど噂どころか、人魚の存在すら認知していない。それを踏まえて考えれば、いくつかに可能性が考えられるけれど…」
赤鬼「悪い奴が内密に人魚を捕獲していたとかか?」
350 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)22:53:26 ID:QTZ
赤ずきん「そうね…人魚の存在を認知しているわずかな人間が存在していて、極秘で人魚を捕らえていた……というのは少し考えにくいわね」
赤鬼「それもそうだな……悪人が捕らえた人魚を売りさばけば必ず噂になる、例え貴族や王族相手に商売したとしてもさすがに全く情報を止めるなんて出来ねぇだろうしな」
赤ずきん「たとえば王族が極秘で捕獲していた……うーん、それだと一過性じゃなくて長い間人魚が捕らえられ続けている理由が説明できないわね。実際は不老不死にならないのだから、それが解ればもう人魚を捕まえる必要がないわけだものね」
赤鬼「どうにも難しいな……」
赤ずきん「あるいは……そもそも人間は人魚を捕らえていない。ただの誤解という可能性かしら?なんらかの事故を人間の仕業だと思いこんでいるとかね」
赤鬼「もしも、誤解だとしたら……悲惨だぞ」
赤ずきん「そうね……ただの誤解で憎しみ続けていたとしたらね。けれど、仮に誤解だとしてもこれも長い期間に渡って人魚が消えている理由が説明できないのよ…」
赤鬼「どちらにしても人魚姫にはまだ言わない方が良さそうだな」
赤ずきん「ええ、まだ黙っておきましょう。ただ、基本的に人間は人魚を認知していないというのは確実ね」
赤鬼「……なんつぅか、一筋縄じゃいかないもんが絡んでる気がするんだよな……」
赤ずきん「同感ね……厄介なことにならなければいいけれど」
ギーコギーコ
351 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)22:54:54 ID:QTZ
秘密の入り江
ズズッ
赤鬼「よし、舟はこれでよし。あとは火を焚いて湯を沸かして……薪は昨日桃太郎が集めてくれた奴がまだ使えるな」
赤ずきん「私も手伝うわね。それにしても人魚姫はまだ来ていないのかしら」
赤鬼「オイラ達も少し遅れちまったから人のこと言えないがな」ガハハ
ザバー
人魚姫「っていうかもう居るし!赤鬼も赤ずきんもチョー遅いんですけど!」
赤鬼「うおっ、驚いたな。海中に隠れていたのか?」
人魚姫「隠れてたんじゃなくてさ、待ってる間に貝殻集めしてた感じ?待ちすぎてこんなにたくさん採れたんですけどー?」ドッサリ
赤ずきん「遅くなったのは悪かったわ、けれど大目に見て頂戴。約束通り、甘いお菓子を用意してきたんだもの」フフッ
赤鬼「茶の支度もじきに出来る、船縁で待ってるといい」
人魚姫「おー、人間の世界のお菓子かぁ…!赤ずきんが準備してくれたんだし、食べるっきゃないっしょ!」ワクワク
352 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)22:56:08 ID:QTZ
赤ずきん「はい、リンゴのタルトよ。人魚姫、誕生日おめでとう」ニコッ
人魚姫「うんうん、あんがとね!で…リンゴ?なにそれ?タルトも初めて聞いたし」
赤ずきん「赤い果実ね、甘くて少しだけ酸っぱいの。それをバターや砂糖…小麦粉なんかを混ぜた物に乗せて焼いた物よ」
人魚姫「ふーん?よくわかんないけど美味しいことはわかったからいいや。っていうかチョーいけるねコレ」モグモグ
赤ずきん「……まぁ、気に入ったなら良かったわ。それと桃太郎からプレゼントを預かっているのよ」ゴソゴソ
人魚姫「プレゼント?桃太郎来れないって言ってたのに気が利くじゃーん!」ウキウキ
赤ずきん「はい、彼の住む日ノ本で使われているアクセサリーらしいわよ」スッ
人魚姫「へー、見たこと無いアクセじゃん。細長いけど、何の素材だろうこれ…木でも鉱石でもないっぽいけど……ねぇ、これなんて言う物なの?どうやって使うの?」ジッ
赤鬼「ガハハッ、人魚姫は装飾品のこととなると目つきが変わるなぁ…そいつはかんざしだ、オイラ達の国では人間の女が髪をまとめるのに使うんだ」
人魚姫「へぇー、かんざし…そういうアクセがあんだねー。なんか武器にもなりそうじゃん、刺さりそうだよねこれ」ヘラヘラ
赤鬼「おいおい、きっと上等な代物だぞ。大切にしてやってくれ」
人魚姫「そうなの?なんか気使わせちゃった?」
赤ずきん「そんなこと無いでしょう。『心ばかりの祝いの品だが、お主の夢が叶うことを願っている』って言っていたわよ、桃太郎」
赤鬼「贈り物にさり気ない激励の言葉を添えるとは、なかなかに男前だな桃太郎は」
赤ずきん「良い意味でも悪い意味でも周囲を気にしている彼だから、そういう気遣いは得意なのかもしれないわね」
人魚姫「ってか、男前ってどういう意味?」
赤鬼「若い奴は馴染みがない言葉なのか?まぁ、簡単に言うといい男って事だな」
人魚姫「なるほどね、じゃあイケメンのことじゃん!あっ、イケメンといえばさここに来る途中でマジでイケメンな人間見たよ」
353 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)22:58:47 ID:QTZ
赤ずきん「それって……もしかして立派な船に乗っていたかしら?」
人魚姫「そうそう!船もチョー豪華なやつでさ、あれきっと陸の上の王子か何かだと思うんだよねー。でさ、ちょっと見てたんだけどもうあたしのタイプでさー、桃太郎よりずっとイケメンでさー!まぁ桃太郎もイケメンだけどタイプの違うイケメンっていうか……」
赤鬼「……赤ずきん、そりゃあおそらく」ボソッ
赤ずきん「王子ね。今のところ、元の物語の筋にそっていると
いう事だけれど……」ヒソヒソ
赤鬼「うむ、気になることが多いが……王子を助けなければこのおとぎ話はこの時点で消えてしまうからな、気をつけねぇとな」ヒソヒソ
人魚姫「…ちょっと!折角話してんのになにヒソヒソしてんの?あーっ、あたしの話信じてないっしょ?」イラッ
赤鬼「いやいや、そういう事じゃなくてだな…」
人魚姫「もう、マジでイケメンだったんだって!…じゃあこうしよっ!今からその船の所まで行こう、そしたら二人とも信じるっしょ?」
赤鬼「いや、オイラ達はお前の話を信じてないわけじゃないんだぞ?ただ……」
人魚姫「いいから行くよ!どーせ赤鬼はあれっしょ?イケメンに嫉妬してるんでしょ?」ヘラヘラ
赤鬼「ぬぅ、赤ずきん…オイラは失礼なことを言われたと思うんだが…」
赤ずきん「何を気にしているのよ…どちらにしても私達が行かなければ彼女も来ないでしょう、早く船を出しましょう」スタスタ
赤鬼「まぁ、それもそうだな…じゃあ案内してくれ人魚姫」
人魚姫「オッケー!時間的にそんなに沖に出てないと思うから、しっかり着いてきてよ?」ザバザバー
354 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)23:00:26 ID:QTZ
海上 国の所有する船近く
ギーコギーコ
人魚姫「ほら、遠くに見えてきたっしょ?あの船、さっきは甲板のとこにイケメンが居たんだよね!」スゥー
赤ずきん「あなたさっきから何回イケメンって言うのよ……」
人魚姫「だって名前わかんないししかたないっしょ?じゃあ仮に王子って呼ぶ事にしよっかな」ヘラヘラ
赤鬼「仮も何もお前…というかあまり近くまではいけないぞ?この舟じゃあ近づきすぎると転覆しちまう」
人魚姫「えーっ?なんとかなるっしょ?」
赤ずきん「人魚のあなたと違って転覆でもしたら大事なのよ、ここから陸まで泳ぐなんて…私には、私達には無理よ」
355 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)23:01:13 ID:QTZ
人魚姫「それじゃ仕方ないかー……でももうちょっとくらいならいいんじゃね?」
ユラユラー
赤鬼「いや……やめておこう。あの船様子がおかしい」
人魚姫「ん……マジだね、あんなフラフラしてたら岩場に衝突しちゃうじゃん…!もしかしたら船になにか異常があったんじゃ……」
赤ずきん「あれ、船の向こう見てみなさい…!どうやらこちらには気がついていないようだけど」
ユラユラー
髪の美しい人魚「……」ザブンッ
赤鬼「あの人魚…ってことはこの船が沈む原因はあいつか!」
人魚姫「姉ちゃん……!じゃあこの船マジでヤバいじゃん…!もう姉ちゃんが歌った後なんだこれ!」
ユラユラー
ゴシャアアァァァ
356 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)23:03:35 ID:QTZ
ゴシャアァァァァ
赤鬼「岩場に衝突した!やべぇぞ!」
人魚姫「姉ちゃんの手口だ!船員みんな眠らせて岩場や他の船に衝突させる…!助けるっきゃないっしょ!」スィッ
赤鬼「助けるってお前…!オイラもそうしたいがきっとものすごい人数だぞ!?」
人魚姫「わかってる!とりあえず目を覚まさせなきゃマズイっしょ!あたしの歌を聴いた人間は『眠りから覚める』……!それっ!」ラーラララーララー
赤鬼「だが、流石にあの船の連中を救うのはこの小舟じゃあ無理だぞ!?」
赤ずきん「目が覚めたならなんとか瓦礫に捕まってでも耐えられる。私達は急いで港まで行きましょう!救助を呼べば助かるもの!」
赤鬼「ああ、急ぐぞ!しっかり捕まってろ赤ずきん!」ギコギコギコー
スゥー ゴボゴボゴボ
人魚姫「……っ!赤鬼!今、沈んでいく人影が見えた!引き上げなきゃ…!」
赤鬼「そっちは任せる!人魚姫!落ち着いたらあの入り江で落ち合おう!」ギコギコギコー
人魚姫「わかった!今助けるかんね…もうちょっと頑張ってよ?」
ザブンッ
357 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)23:06:28 ID:QTZ
ザバァッ
人魚姫「ハァハァ…間に合った…!」
王子「ゲホゲホッ……うぅ……」
人魚姫「この人、さっきのイケメンだ…なんとか意識はあるっぽいけど……とにかく陸に連れて行かないとマジヤバいかも…!」
ザバザバー
王子「うぅ……皆の者……無事で……ゲホゲホッ」
人魚姫「意識が朦朧としてるっぽいのに、他の人の心配してるなんて……ただのイケメンじゃないんだ」
王子「……皆を……救ってくれ……ゲホゲホ」
人魚姫「うんうん、任せて!あたしがみんなを助けるっきゃないっしょ…!」
ザバザバー
ザバザバー
ザバザバー
358 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)23:09:05 ID:QTZ
砂浜
人魚姫「ハァハァ……とりあえず、王子は意識もあるしここに寝かせておいて……と」スッ
人魚姫「あたしに足があれば…!でも、今そんなこと言っても仕方ないか」
王子「……うぅ、皆の者……ゲホゲホッ……」
人魚姫「安心して王子、赤ずきん達が助けを呼んでる!あたしも戻って、絶対あんたの仲間助けてあげるから」
王子「うぅ……ゲホゲホ」
ガサガサッ
人魚姫「誰か来た…!じゃあね、王子。あたしは船に戻るけど、きっと通りがかった人が助けてくれっからね!」
ザブンッ
王子「……ゲホゲホッ……ゲホゲホッ……」
ガサッ
359 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)23:19:04 ID:QTZ
ガサッ
ドロシー「おー、ずぶぬれ王子はっけーん♪」ヘラヘラ
ライオン「うわぁー、本当に居たよ。怪我してない?大丈夫かな?」オロオロ
ドロシー「こいつが人魚姫の相手かー…確かにイケメンかもね!まぁ私の好みじゃないけどー、とりあえず助けてやんなきゃねー」ケラケラ
ライオン「あわわ、王子様だいじょうぶかな!?体冷えるとまずいよ、まずは着替えさせてあげてから暖かくしてそれからそれから……!ああぁ!どうしよ!?まずいまずい!」ワタワタ
かかし「落ち着ケ!お前が取り乱してどうするんダ!とりあえずこいつを早く運ぶゾ!」
ブリキ「……ならば俺が抱えよう」グイッ
ドロシー「よろしくー!ブリキはやっぱ頼りになるぅー!」ヘラヘラ
ライオン「ぼ、僕も手伝うよ!頼りになるところドロシーちゃんに見せなきゃ、僕は勇気があるライオンになりたいんだからこういうときに頑張るんだ…!」
ドロシー「うんうん!ライオンのそういうとこ私好きだよー!」スリスリ
ライオン「え、えへへー」ニヘラッ
ドロシー「でも楽しみだよねー、赤ずきんと赤鬼に会うのがさ!あいつら私達がここに来てるって知らない訳じゃん?夢にも思わないわけよ、このおとぎ話で会うことなんかさ」
ドロシー「だから【人魚姫】も絶対消滅させないって信じてるんだよね、きっと!そーんな油断してるあいつらがさぁ……」
ドロシー「私達が王子を助けたって知ったら、どんな顔すると思う?あははっ!すっごい楽しみだなぁー」ヘラヘラ
360 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/03/31(火)23:21:49 ID:QTZ
今日はここまでです。レスサンクスー!
なんとなく火曜日更新になってるねw
ゲス王とかドロシー書くの楽しすぎワロタwww
人魚姫編 次回に続きます
乙です!アリスやドロシーの登場に期待してましたが、予想外過ぎです。
これからの展開は一体どうなるのやら…。
次回が楽しみです!!
385 :名無しさん@おーぷん :2015/04/07(火)21:37:47 ID:B1B
さぁて待望の火曜日です!
386 :名無しさん@おーぷん :2015/04/07(火)22:29:16 ID:PdT
ワクワク
キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」 人魚姫編
Part1<< Part4 Part5 Part6 Part7 Part8 Part9 Part10 Part11 Part12 >>Part22
評価する!(2575)
キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」一覧に戻る
ショートストーリーの人気記事
神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」
神様の秘密とは?神様が叶えたかったこととは?笑いあり、涙ありの神ss。日常系アニメが好きな方におすすめ!
→記事を読む
女「ハローハロー。誰かいませんか?どうぞ」
→記事を読む
キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」
→記事を読む
魔王「世界の半分はやらぬが、淫魔の国をくれてやろう」
→記事を読む
男「少し不思議な話をしようか」女「いいよ」
→記事を読む
同僚女「おーい、おとこ。起きろ、起きろー」
→記事を読む
妹「マニュアルで恋します!」
→記事を読む
きのこの山「最後通牒だと……?」たけのこの里「……」
→記事を読む
月「で……であ…でぁー…TH…であのて……?」
→記事を読む
彡(゚)(゚)「お、居酒屋やんけ。入ったろ」
→記事を読む